Skip to main content

Full text of "Akutagawa Rynosuke zensh"

See other formats


^^4^ 二. 



EAST ASIAl' , 

UNIVERSITY U> i し 一、 >iTO LIBRAR 
1 30 St. George Stfc^et 
8th FLOOR , ,—— 
TORONTO, CANADA 7*^^ 



々か 




影报 S 年/'; 正大 



Digitized by the Internet Archive 
in 2011 with funding from 
University of Toronto 



http://www.archive.org/details/akutagawarynosuk028800 



稿 原 L 死の 人敎 奉つ 
(頁 三十 九 第) 




M»0 一 

開化の 殺人 五 七 

奉敎 人の 死 七 五 

るし へ る As 

枯野抄 一 〇 五 

1 一一 1 

邪宗 門 一四 一 

毛 利 先生 ニニ 七 

あの 頃の 自分の 事 二 五三 

開 fc の 良人 二八 五 



き, o しと ほろ 上人 奪 三 一 七 

$0 1: 一 g£ 

…: llllf^ul 

H^-A 

疑惑 : : 三 七 九 

gioifi 

じゅり あの • 吉助 五 二 11 

s« S - A 

1^1コーセ 

鼠 小僧 次郞吉 五 五 五 



I' 



舞踏 會 



五 
八 



at りか. M お ほと G さま かた もと つち よ おそ - て-り 

堀^の 大 殿様の やうな 方 は、 これまで は!: より、 後の f に は 恐らく 二人と はいらつ しゃいます 

う. Hv= き かた でたん じ やう まへ だい ゐ とくみ やう わう おんす がた おん は- -ぎみ ゆめまくら た 

まい。 噂に 聞きます と、 あの方の 御 誕生になる 前に は、 大威德 明 王の 御 姿が 御 母君の 夢枕に お 立 

ま を こと と かくお うま なみ/.^ にんげん お ちが 

ちに なった とか 申す 事で ございま すが、 兎に角 御 生れつきから、 並々 の 人間と は 御 違 ひに なって 

ゐ たやう でございます。 でございますから、 あの方の 爲 さいました 蓽に は、 一 つと, P て 私 どもの 

. へう で はや はなし ほり か は おやしき き ぼ はいけんいた うだい 

ヒ il^ 表に 出て ゐな いもの は ございません。 早い話が 堀川の 御 邸の 御規校 を拜昆 致しましても、 ^人 

* 二 ど がう t う ま を たうて いわた くし ぽんり よ およ おも き 七- -ろ 

と 申し ませう か、 豪放と 申し ませう か、 到底 私 どもの 凡慮に は 及ばない、 思 ひ 5- つた 所が ある 

なか ひろ/^ お ほとの V- ま I ご せいかう しく わうて い や-つ だい くら 

やうで ございます。 中には また、 そこ を 色々 と あげつらって 大 殿様の 御 性行 を始 皇帝 ゃ揚 帝に 比 

ことわざ い ぐん まう ざう な 

ベ る もの も ございま すが、. それ は 諺に 云 ふ 群盲の 象 を 撫でる やうな もの でも ございませ うか。 あ 

かた お おぼしめし けつ ご じ ぶん えいえ うえい ぐ わ を 

の 方の 御 思 召 は、 決して その やうに 御 自分ば かり、 榮耀榮 華 をな さらう と 申す ので は ございませ 



變 5il^ 地 



: ノ レぁ み、 こと おかんが い てんか とも ュ 二 ま を 

ん" それより はもつ と 下々 の 事まで 御考 へになる、 云 はば 天下と 共に 樂 しむと でも 申し さうな、 

だいふく ちう 一 ご きり やう 

大 腹中の 御 器量が ございました。 

に で 5 お ほみ や ひゃく. やぎ やう お あ かくべつお 

それで ごさい ますから、 二 條大宮 の 百鬼夜行に 御 遇 ひに なっても、 格別 御 障りがなかった ので 

. 、 - 3 また の 7,、 しせが i け しきう つ な だか ひがしさん でう か はに- C みん よ よ ちら 

ございませう。 又 陸 奥の 鹽 竈の 景色 を寫 したので 名高い あの 東 三條の 河原 院に、 夜な夜な 現 はれ 

r f は 5 とほる ご だいじん れい お ほとの さま しか う すが., 二 ナ リ うち 

ると 云- 1^ のあった 融の 左大臣の 靈 でさへ、 大 殿様のお 叱り を 受けて は、 姿を^したのに相^^ご 

, ゝ - , 3 ■ , P ,?く,*^,^ 、 二ろ らくちつ らうに やくなん によ お ほと cvi * を 

さいますまい。 かやうな 御 威光で ございま すから、 その 頃 洛中の 老若男女が、 大殿樣 と 申します 

ん. や さいらい .,-,: ふ 七 あ けつむ り , , 6^ 

と、 まるで 權 者の 再來の やうに 尊み 合 ひました も、 決して 無理で は ございません。 何時ぞや、 

f い: わ えん お . ^へ おくるま うし はな をり 七 ほ らう じん ナ が レ-き 

の栴 花の 宴からの 御歸 りに 御 車の 牛が 放れて、 折から 通り か 、つた 老人に gii 我 を させました 時で 

、、 > ら つ 5^ じ A て, あ、 は- お ほとの うし こと ありがた ま を こと, 

さ へ そグ 老人 は 手 を 合せて、 大 殿様の 牛に かけられた; £^ を 難 有が つたと 申す 寧で ございます。 

I \\ ザい お ほとの さま ご いちだい あ ひだ のち./, » かた ぐ さ 

さやうな 第で ございま すから、 大殿樣 御 一代の 問に は、 後々 まで も 語り 車になります やうな 

て.^、、/'、 tiPi んたな さん お ほみ あへ ひきで も Q あきつ ま さんじつ とう た * は 

事 か 分澤 山に、 こざいました。 大饗の 引出物に 白馬ば かり を 三十 頭、 賜った こと も ございます 

» な-がら ノ は ヘレ はしばしら ちょうあい わらべ た こと ま 一く や だ じ, &っ つた しん, S ん 

し 長 良 の 橋の 橋 柱に 御 寵愛 の 童 を 立 て た 事 も ご ざ い ますし、 それから 乂華陀 の 術を愧 へ た 震旦 

そう おん も、 も 力.. -ノ お き こと > Ai-./f\ 'かぞ ヒ や- 

の 僧に、 御 腿の 瘡を 御^らせ になった 事 も ございま すし、 —— 一 々數へ 立てて 吾り まして は、 と 



V:* げん かすお ほ で ぃクじ なか いま お いへ ちょ I つ はう を 

て も 際限が ございません。 が、 その 數 多い 御 逸事の 中で も、 今では 御 家の i 喪に なって! ります 

ぢ -, -フ、 、ん び やうぶ ゆ いほ ど おそ はなし ひ |,- 一ろ もの お マり おは AtC い-ま . 

地獄 變の 屏風の 由來 程、 恐ろしい 話 は ございますまい。 日頃 は 物に 御騷 ぎに たらない 大殿樣 でさ 

とき V. すが おお どろ おそ つか わた くし 

へ、 あの 時ば かり は、 流石に 御 驚きに なった やうで ございました" まして 御 側に 仕へ て ゐた私 ど 

たまし ひ き おも ま を あ なか わたくし 

もが、 魂 も 消える ばかりに 思った の は、 申し上げ るまで も ございません。 屮で もこの 私 なぞ は, 

お ほとの さ +H に じふ ねんらいへ」 ほうこう ま を を す さま み もの て あ 

大殿樣 にも 二十 年來御 奉公 申して 居り ましたが、 それで さへ、 あの やうな 凄じい 物に 屮 Z 遇った 

こと また くら ゐ 

事 は、 っひぞ 又となかった 位で ございます。 

おはなし いた あら. 1^ じ ま ぢ へ-一く へん び やうぶ か よし ひで やや 么 

しかし、 その 御 話 を 致します に は、 豫め 先づ、 あの 地獄 變の IS 風 を 描きました、 ^;^秀と中す晝 

し こと iuvj あ お ひつえう 

師の事 を 申し上げて 置く 必要が ございませう。 

二 

よし ひで *- を あるひ た i- いま なほ をと こ こと お ぼ かた 

良秀と 巾し ましたら、 或は 唯今で も猶、 あの 男の 事 を覺 えてい らっしゃる 方が ございませう G 

こ, つも S ふで よし ひで みぎ で ひと リ * へ を くらね かう みやう ^ し 

その 頃繪筆 をと りまして は、 良秀の 右に 出る もの は 一人 も あるまい と 巾され た 位、 高名な 綺.^ て 

七 き こと とき かれこれ ごじ ふ ャ. か て を 

4 ございます。 あの 時の 事が ございました 時には、 彼是もう 五十の 阪に、 乎が と いて 居りました 



變獄地 



み ところ た ビ せ ひく ほね か は や い M ンゎる 、う.: J ん 

らう か。 兒た所 は 唯、 1^ の 低い、 骨と 皮ば かりに 瘦 せた、 意地の 悪さうな 老人で ございました。 

お ほとの さま おやしき まゐ とき す.' やう じぞめ かりぎぬ も, ぺ も; ぼし を ひと 

それが 大 殿様の 御 邸へ 參 ります 時には、 よく 丁子 染の狩 衣に 揉 烏帽子 を かけて 居り ましたが、 人 

いた いや J ハ. た な ぜ とし くちびる めだ あか うへ またき み 

がら は 至って 卑しい 方で、 何故か 年より らし くもなく、 脣の 目立って 赤い のが、 その上に 乂氣味 

わる いか けもの こ 、ろ おこ なか ^ ふで な 

の惡 い、 如何にも 獸 めいた 心 もち を 起させた もので ございます。 巾に は あれ は 畫筆を 舐める ので 

べに ま を ひと を い もっと くちわる 

紅が つくの だと 中した 人 も 居り ましたが、 どう 云 ふ もので ございませ うか。 尤も それよ リロの. 惡 

だ.?^ かれ よし ひで たち ゐ ふるま ひ ざる ま を ャる ひで い な こご 

い 誰彼 は、 良 秀の立 居 振舞が 猿の やう だと か 申しまして、 猿秀と 云ふ諫 名まで つけた 事が ござい 

ました。 . 

さる ひで ま を おはなし ころお ほとの ざま おやしき じふ I ノ- よし ひで 

いや 猿秀と 申せば、 かやうな 御 話 も ございます。 その 頃大 殿様の 御 邸に は、 十五になる. H 秀の 

ひとり. c すめ -- にょうば う あが を またう おや に あいすう むすめ 

一人娘が、 小 女房に 上って 居り ましたが、 これ は 又 生みの親に は 似 もっかない、 愛始の ある 娘で 

,^^へはゃ をん なおや わか おも ふか とし り . ^う 

ございました。 その上:: 十く 女親 に^れ ましたせ ゐか、 思 ひやり の 深い、 年より はませ た、 悧巧な 

うま とし わかに なにき み だい さま け じ ほか 

生れつきで、 年の 若い のに も 似す、 何かとよ く 架が つくもので ございま すから、 御 裘様を 始め 外 

の^ 房た ちに も、 ^愛 がら れ て 居た やう で ご ざ い ます。 

なに ズ V り たんば メ、 に ひとな さる いっぴき けんじゃう やう 

すると: 1: かの 折に、 丹 波の 國 から 人馴れた 猿 を 一匹、 獻 上した ものが ございまして、 そわに 厂 



度 i 戲か I りの 若殿 樣が、 良 秀と云 ふ 名 を 御つ けにな りました。 唯で さへ その 猿の 容 子が 可笑しい 

ところ な おやしき ちう fc み ひとり わら -、 - - 

所へ、 かやうな 名が ついた ので ございま すから、 御 邸 中! i 一人 笑 はない もの は ございません そ 

わら おもしろはんぶん みな おに はまつ のな > 

れも笑 ふば かりなら よろしう ございま すが、 面白半分に 皆の ものが、 やれ 锎 庭の 松に 上った の 

ざう し た,- み たび-ごと よし ひで く よ た, と., かく, \ ' :'> ) -, 

やれ 曹司の 疊を よごした のと、 その 度 毎に、 良秀々 々と 呼び立てて は 兎に角い ちめ た 力る ので 

ご ざ い ます。 

ところ あるひ こと まへ ま を よし ひで むすめ .gl ふみ ネ 、 - ふ;^ ベ, >«f.H ^.u' ^ -,、 ヽ. L.ft^.r、 : 

所が 或 日の 事、 前に 申しました 良秀の 娘が、 御文 を 結んだ 寒 紅梅の 枝 を 持って 長い 御 i^F を 

と. H とほ やり ど .4; か れいこ ざる よし ひで お ほかた あし く; , 、、ヽ 

^りか. - ります と、 遠くの 遣戶の 向う から、 例の 小 猿の 良秀 が、 大 足で も 挫いた ので、 こさ レま 

, つ よしら ^ のぼ げんき びっこ ひ ひ いっさん に まゐ 、 、 I 

4j う、 何 寺 もの やうに 柱へ 驅け 上る 元氣 もな く、 跛 を 引き 引き, 一 散に 逃げて 參る にで ごさ レま 

あと す はえ あ わかとの さま ,ii うじ ぬすびと ま ほ. , P つ.; -ゃ 、 -, > » 

す。 しかも その後から は楚を ふり 上げた 若殿 様が 「柑 子盜 人め、 待て 待て。」 と识 有りな 力ら 

お よし ひで わすめ み llg た. . 

追 ひかけ てい らっしゃ るので は ございま せんか。 良 秀の娘 はこれ を 見ます と、 ちょ: > との 

うど ときに き ざる ほ ti すそ , , > ノ し-;^ *L 

らっ たやう でございますが、 丁度 その 時 逃げて 來た 猿が、 袴の 裾に すがりながら 哀れな 凝をリ 

-J きふ か ま ノ おも こ、 ろ おさ き -、 t - J I 

して啼き^^!てました 11 と、 急に lls^ 哀さ うだと 思 ふ 心が、 抑へ 切れ なくなつ たので ございませう 

かたて うめ え V』 *t かたて むらさきに ほひ - つちぎ そで かぶ ^ , % ^ Z - - 

4r 手に 梅の ま を かざした 儘、 片手に 紫 勻の 桂の 袖を輕 さう に はらり と 問き ますと やさしく そ 



變獄地 



さる だ あ わかとの さま へ-) ぜん こ でし おそ ちくし わう 

の 猿 を 抱き上げて、 若殿 樣の 御前に 小 腰 を か r めながら 「恐れながら 畜生で ございます。 どうか 

y かんべん あそ す r こ ゑ ま をし あ 

御勘辨 遊ばし まし。」 と、 涼しい 聲で申 上げました。 . 

わかとの さま はう きお か い ところ お かほ 

が、 若殿 様の 方 は、 氣 負って 驅 けて お出でになった 所で ございま すから、 むづ かしい 御 額 をな 

に さんど お あし お ふみなら 

すって、 二三 度 御み 足 を 御踏嗚 しにな りながら、 

なん V- る かう じ ぬすびと 

「何で かば ふ。 その 猿 は 柑子盜 人 だぞヒ 

ちくしゃう 

「畜生で ございま すから、 …; 」 

むすめ いちど くり かへ さび ゑ 

娘 はもう 一 度 繰返し ましたが、 やがて 寂し さう に ほ 、笑みます と、 

よし ひで を ち .H つ 一 つかん う た み を 

「それに 良秀と 申します と、 父が 御 折 1^ を 受けます やうで、 どうも 唯 見て は 居られ ませぬ。」 と、 

おも き ま を さすが わかと G さま が お を 

m 心 ひ 切った やうに 申す ので ございます。 これに は 流石の 若殿 樣も、 我 を 御 折りに なった ので ござ 

いませう。 

ち. -ぉゃ いのち-ご ひ ま ゆる 

「さう か。 父親の 命乞なら、 枉 げて赦 して とらす としょう。」 

ふしょう ぷ しょう おっしゃ す はえ お す もと やり ど はう や 、お かへ 

不,^ 無 承に かう 仰 有る と、 楚を そこへ 御 捨てに なって、 元い らしった 遣 方の 方へ、 その at 御歸 

りに なつ てし まひました。 



よし ひで むすめ こ ざる なか こと むすめ お ひめ;. ま A" やう 

良秀の 娘と この 小 猿との 仲が よくな つたの は、 それからの 事で ございます。 娘 は 御姬樣 から 顶 

だ、, こ がね す うつく しんく ひも さ V る あたま か X る また 

戴した 黄金の 鈴 を、 美しい 眞 紅の 紐に 下げて、 それ を 猿の 頭へ 懸けて やります し、 猿は义 どんな 

こと めった むすめ み はな あるときむ 寸 め か^ 一 一 r ち A 三 つ 

事が ございましても、 滅多に 娘の 身の ま はり を 離れません。 或 時 娘の 風邪の 心地で、 」i ^に 就き ま 

とき こ や j る キ くら すわ -^v こ、 ろぽそ う ほ 

した 時な ども、 小 猿 はちゃん とその 枕 もとに 坐り こんで、 氣 のせ ゐか 心細 さうな 額 をしながら、 

頻に爪 を 嚼んで 居りました。 

まため う たれ いま こ ざる 

かうな ると 又 妙な もので、 誰も 今までの やうに この 小 猿 を、 いぢめ る もの は ございません。 い 

かへ か は ひ はじ わかとの さま とき.. かき くり な お 

や、 反って だんだん 可愛がり 始めて、 しま ひに は 若殿 樣 でさへ、 時々 姉 や 栗 を 投げて 御 やりに な 

さむら ひ たれ さる あしげ とき たいそう りっぷく 

つたば かり か、 侍の 誰 やらが この 猿 を 足蹴に した 時 なぞ は、 大暦御 立腹に もな つた さう で ござい 

一 ,- お ほと 0} さま よし ひで むすめ さる V,.- -," - ぜん で お さ た 

ます。 その後 大 殿様が わざわざ 良秀の 娘に 猿 を 抱いて、 御前へ 出る やうと 御沙汰に なった の も、 

わかとの さま お はらだち はなし お き ま を ついで し ザん わす も 

この 若殿 様の 御腹 立に なった 話 を、 御 聞きに なって からだと か 申しました。 その 序に,:! I 然と 娘の 

猿 を 可愛がる^ 由 も 御 耳 に は ひった ので ご ざ いませう。 



か tr かう やつ ほ 

9 「少 カ仃 な奴ぢ や。 褒めて とらす ぞ。」 

ぎょい .c.*^- め とき くれな,.:; あこめ -.」 はう び いた r とこ-?., あ-一め ま. ^み, -- み ■■-t-,, お、 -、 

. かやうな 御意で、 娘 は その 時、 紅の 柏 を 御 褒美に 顶 きました。 所が この 柏 を 又 見やう 見 似に 

i うや < おしに:!' お ほとの V.- ま つ き げん ひとし ' ^ ) - 、、や、 - -、 、 、、 

猿が 恭しく 押 頂きました ので、 大 殿様の 御機嫌 は、 一 入よ ろしかった さう で ごさいます" てこ さ 

--モ と-., ま : レ. 1- で /J. な > > T まった -,, る か はい う -「 力-つ ケノ、 あ I, ピゃう 

いますから、 , ^殿様が £ ^秀の 娘 を 御最展 になった の は、 全く この 猿 を 可 がった、 ^行 恩愛の 情 

を 御- k 美な すった ので、 決して^ 間 で^や 角 中し ます やうに、 色 を 御 好みに なった 「€ では ござい 

ません。 尤も かやうな の 立ちました 起り も、 無理の ない 所が ございま すが、 それ は乂 後に なつ 

お t.r^ ノ-- .;^>ぉ ほと さま い か うつく レー ころ _ も】 丄 J -'V 

て、 ゆつ くリ御 し S ばし ませう。 こ M じ は 唯大 殿様が、 如何に 笑し いにした 所で 繪 の 娘 

.r も „-, か か., 二 > 二 レー .iH を ぶ お 

などに、 I ひ を 御 懸けになる 方で はない と 云 ふ 事 を、 巾し 上げて 置けば, よろしう ごさいます C 

よし ひで むすめ .め ん ぼく ほど- - y ぜん 〈が もと り t や 一ん な 、 、 ノ 

さて 良 秀の娘 は、 面目 を 施して 御前 を 下り ましたが 元より 俐巧な 女で ございます 力ら はし 

にょう v.- リ ねたみ -っ こと かへ い らい ぶ, J いつ Z な: T 、 

たない 外の,^ おたち の^を 受ける やうな 蔡も ございません。 反って それ 以來 猿と 一し よに 仆カ 

A- り わ .3 ひや. -i お そば お はな ま を : と い- ) . 、く.^ -9 

といと し がられまして、 取 分け 御 姬樣の 御 側から は 御 離れ した ^が ない と 云っても よろし レ位 

も^みぐ る i お とも か こと - - ^ 

地 物 ほ.^ の 御供に もつ ひ ぞ缺け た 事 は ご ざ いませんでした。 

? 15 .".t め --と ひ. vi お またお や よしへ で こと ま を あ なる ほゾ -V- に は-つ 

ギザ メ が、 娘の は, 一 先 づ^き まして、 これ か. ら义 親の 良 秀の事 を 巾し 上げ ませう。 成程 猿の は、 



'f, かんじん よし ひで ゆ, 7? - , 

かやう に 酽もヒ く、 f の ものに 发 がられる やうに なり ましたが、 肝腎の 良秀 はや はり^ にても 

一二 S - また おやし ケ なか 

S はれて、 ril© へま はって は、 Mif』 されて ぼり ました。 しかも それが 乂、 御 邸の 巾ば 

かりで は ございません。 ffmf S と f します と、 にで も 御 遇 ひに なった や 

うに、 iQ^ を, へて、 Me み i ばし ました もぎれ は 射 i が ml 様の 御行 狀を薩 に 描いた 

からだな どと, ますが、 纏? ざまの, ございます から、 ,s と は 申されますまい。) も 

こ 力 角く、 ああ-き si は、 どちらのお" に しても、 さう 斗 し 子ば かりで ございます。 もし 

一 こ し ^ し なかま あるひ また をと こ ^ ^ 

11 く Its ない ものが あつたと 歡 じます と、 それ は 二三 人の 繪師 仲間 か、 或は 又、 あの. -.. -綺 を,.^ 

つて ゐる だけで、 あの 男の人 間 は 知らない ものば かりで ございませう 

しか, fei 震に は、 ぎ やしかった ばかりでなく、 もっと 人に 嫌がられる 惡ぃ 癖が あつ 

たので ございま すから、 それ も, とで もな すよ-ぎ、 致し方 は ございません。 



2 その^^とぉじますのは、 M 回が、 節ん 乾で、 、| ぎら すで、 怠け もので、 強慾で II いや、 そのり 



變 獄地 



11 



レり f うな はだ わう へ、 かう まん い つ ほんて. つ. たいいち し ま を こと はな さき さ 

でも 取 分け 甚 しいの は、 横柄で、 高慢で、 何時も 本朝 第一 の 畫師と 申す 事 を、 鼻の 先へ ぶら下げ 

こと "、わ. V ざ うへ をと こ i & , 

てゐる 事で ございませう。 それ も畫 道の 上ば かりなら まだし もで ございま すが, あの 男の^け 惜 

t けん なら はし しキ ん-リ ま を ば か いた お 

しみになります と、 *1 間の 習慣と か 慣例と か 申す やうな ものまで、 すべて 莫迦に 致さす に は^か 

ながねんよ しひで で し をと こ はなし あるひ かた 

ない ので ございます。 これ は 永年 良秀の 弟子に なって ゐた 男の 話で ございま すが、 或 曰 さる 方の 

おやしき な だか ひ がき み こ /しり やう つ おそろ ご たくせん とき をと こ そ ちみ、 はし 

御 邸で 名高い 檜 垣の 巫女に 御霊が 憑いて、 恐し い 御 託宣が あった 時 も、 あの 男 は 空耳 を 走らせな 

ありあ は ふで すみ み こ も C す-ノー かほ ていねい ぅン を ま を お ほかた 

がら、 有 合せた 筆と 墨と で、 その 巫女の 物凄い 顏を、 丁寧に 寫 して 居った とか 巾し ました。 大方 

へ-一り やう お た. - をと こ めみ こ ども だま くらん おも 

御 靈の御 祟り も、 あの の 服から 見ましたなら、 子供 欺し 位に しか 思 はれない ので ございませう 一 

をと こ きっし やう てん か とき いや く V つ I かほ うつ ふどうみ やう わう 

さやうな 男で ございま すから、 吉祥天 を 描く 時 は、 卑しい 愧 儡の 額を寫 しましたり、 不動明王 

か とき ぶ らい はう めん すがた かたど もったい ま ね いた 

を 描く 時 は、 無頼の 放免の 姿 を 像り ましたり、 いろいろの 勿體 ない 似 を 致し ましたが, それで 

たう にん なじ よし ひで か しんぶつ よし ひで みゃぅ=^, つ あ い こと き 

も 當人を 詰ります と 「良秀 の 描いた 神佛 が、 その 良秀に 冥罰 を當 てられる と は、 異な _ ^を M くもの 

そらうそぶ さすが でし あき かへ なか みら L 

ぢゃ」 と签 t いて ゐる では ございま せんか C これに は 流石の 弟子た ち も 呆れ返って、 中には 未 來 

お ご そう, c ひま す,、 な み ま ひとくち ま を 

の 恐ろし さに、 匆々 暇 をと つた もの も, 少 くなかった やうに 見う けました。 . I i 先づ 一 口に 申し 

まん/こふ ちょうで ふ な と かくた うじ あめ した じ ぶん ほど えら にんげん 

ましたなら、 業重疊 とで も 名 づけ ませう か。 兎に角 當時 天が下で、 自分 程の, 惟い 人 問 はない と 



12 



おも をと こ 

m えって ゐた 男で ございます。 

ふお》 よし ひで くら ゐぐゎ だう . こか とま ど 

從 つて 良秀が どの位 畫道 でも、 高く 止って ^ りました か は、 ま よ 上げる まで も ございますまい リ 

尤も その 繪 でさへ、 あの の は 筆 使 ひで も is 、でも、 まるで と は ?き つてぎ りました から、 

な. 3 、 わ:? ; 5" ^ なかま やまし *, を ひやう f/? 

仲" 亞 r 檎ぉ仲 問で は、 山師 だな どと 申す 評 视も、 あった やうで ございます。 その の W 

します に は、 川 成と か 金 岡と か、 その^!^^ になった « とおし ますと、 やわ^ の^の 

花が、 月の 夜; S に 句った の、 ゃれ^^^の|!|^^が、、銜を|^くき曰さへ辦ぇたのと、 歡 ぎ な啦^ つ 

てゐる もので ございま すが、 良秀 になります と、 11:^ でも 11^ ぎがの!! い、 ^な!^ «4 ^けし 

か傳 はりません。 譬へばぁの!^^^^^^^の^^へ^きました、 ^船お f の^に^し ましても、 

もん した と 4* て/や 一一ん こ! T J 

けて 門の 下 を 通ります と、 天人の 嘆 ま をつ く や り^き をす る^が、 贿 えたと S す銜で ござい 

7 ,力 しにんく さ >^ しう き > . ュ 

ます レゃ、 中には 死人の 腐って 行く 臭氣 を、 ^いだと おす もの さへ ございました。 それから! 

殿様の 御 云 ひつけで 描いた、 お il?^ ちの te^ など も、 その 4 に された だけの Mli は、 一 Tj おとた 

た.^ い 中に, $ 魂 の拔 けた やうな 病氣 になって、 ^ん だと では ございま せんか。!! く # ふ 

ものに 申させ ますと、 それが 良 秀の繪 の 邪道 に^ちて ゐる、 ^よりの^^ ださう でございます 。 



變?; 地 



13 



なにぶん.? へ ま を あ とほ よこが みやぶ をと こ かへ よし ひで お ほ 

が、 何分 前に も 申し上げました 通り、 横紙破りな SR でございますから、 それが 反って 良 秀は大 

じ まん い つ お ほとの ざま 「1 じょうだん はう と かくみ にく す み お 3 しゃ レ J き 

自慢で、 何時ぞや 大 殿様が 御 冗談に 、「その 方 は 鬼 角 醜い ものが 好きと 見える。」 仰 有った 時 も、 

とし に あか く+^ ぴる き み わる わら し 

あの 年に 似す 赤ぃ替 でに やりと 氣味惡 く 笑 ひながら 、「さやう で ござり まする。 かいなでの 紛 帥に 

そう みにく うつく ま を こと はナ わ へい お 一-た ま を 

は總 じて 醜い ものの 美し さな どと 申す 事 は、 わからう 普が ございませぬ。」 と、 横柄に 御 答へ 申し 

あ いか ほんてう だいいち ゑ し いた お ほとの ざま -,-ー ビん で か,^ げん は 

上げました。 如何に 本朝 第一 の繪俩 にも 致せ、 よくも 大 殿様の 御前へ 出て、 その やうな 高言が 吐 

せんこく ひキ, あ ひ だ で し ない くしし やう ち ら えいじゅ い あだな 

けた もので ございます" 先刻引合に屮1しました^^子が、 內々 :l;i^ に r 智羅. 水 溝」 と 云 ふ-揮 名 をつ け 

ぞうち やうまん そし を むり でしよう ち ち 

て、 增長 慢を識 つて 居りました が、 それ も 無理 は ございません。 御 承知で も ございませ うが T§w 

ら えい ヒ:^ ま を むかし しんたん わた まゐ てんぐ な 

羅永 靡」 と 巾し ますの は、 昔 震 旦 から 渡って 參 りました 天狗の 名で ござい ます。 

しかし この 良秀 にさへ I この 何とも 云 ひやう のない、 横道お の良秀 にさへ、 たった 一 つ 人 問 

じ やう あい ところ 

らしい、 情愛の ある 所が ございました。 

ま を よし ひで ひとり わすめ こに よう う き ちが かはい こと 

と 申します の は、 良 禿が、 あの 一人, 娘の 小 女房 を まるで ひの やうに 可愛がって ゐた で ご 



せんこ/、 吏 を あ とほ むすめ いた き おやお も をん な 

ざいます。 先刻 申し上げました 通り、 娘 も 至って 氣の やさしい、 親 思 ひの 女で ございま したが、 

, をと こ ュ んは. う > け- 9 , , ;;? と なに むすめ き もの みか ざり こと まら 

あの sf- の 子煥惱 は、 決して それに も 劣りますまい。 何しろ 娘の 着る 物と か、 髮飾 とかの 事と 中し 

お てら くわん じん き しゃ こと をと こ きんせん さら を げ 

ますと、 どこの 御寺の 勸進 にも 喜捨 をした 事の ない あの 男が、 金 錢には 更に 惜し 氣も なく、 盤へ 

い うそ き いた 

て やる と 云 ふので ござい ますから、 噓 の やうな 氣が 致す で は ございま せんか。 

よしり で 力 はい た ビ かはい むこ ま を こと ゆめ 

が、 良 秀の娘 を 可愛がる の は、 唯 可愛がる だけで、 やがてよ い 知 耳 をと らうな どと 申す 事 は、 夢 

かんが を どころ わすめ わるい よ かへ つ 1,、 わん 

にも 考 へて 居りません。 それ 所 か、 あの 娘へ 惡く云 ひ 寄る もので も ございましたら、 反って 辻 冠 

じ や あつ やみうち くら ゐ くら か りゃう けん リ すめ 

者 ばらで も驅り 集めて、 暗 打 位は喻 はせ 鼓ね ない 量 見で ございます。 でございますから、 あの 娘 

お ほと G さま お こ ゑ こに よう ビラ あが とき やち はう だ、 ふ ふく たう ざ あ ひい こ -, 一 グ〉 で 

が大 殿様の 御聲 がかり で 小 女房に 上りました 時 も、 老爺の 方は大 不服で、 當 座の 問 は 御 まへ 出て 

てが き を お ほと 0V.- ま む すめ うつく おこ、 ろ ひ おや ,i!- しょうち 

も 苦り切ってばかり2^5りました。 大 殿様が 娘の 美しい のに 御 心を惹 かされて、 親の 不承知な の 

め あ ま を 5 はさ お ほかた ようす み あてす ゐ りゃう で 

も かま はすに、 召し上げた などと 申す 噂 は、 大方 かやうな 容子を 見た ものの 當 推量から 出た ので 

ござい ませう。 

もつ, i そ P いつ:^ さ "5- ノ こ ぼんな う いっしん よし ひで しじゅう むすめ ざが いの を 

尤も 其 噂 は噓で ございましても、 子 煩惱の 一 心から、 良秀が 始終 娘の 下る やうに 祈って 居り ま 

4 , た,, しか あると キ-ぉ ほとの ざま お い ち ご もんじゅ > と. ケっ あい わらべ 

1 したの は 確で ございます。 或時大 殿様の 御 云 ひつけで、 稚兒- 乂珠を 描きました 時 も- 御 寵愛の 直 



變獄地 



15 



かほうつ み /.J とで き お ほと C- さま し 一 ザ、 ご ま ズ, てく 

の 額を寫 しまして、 見事な 出來で ございま したから、 大 殿様 も 至極 御滿 足で、 

はう ぴ のぞ もの と ゑんり よ C ぞ い ありがた おことば くだ よし ひで 

「褒美に も 望みの 物 を 取らせる ぞ。 遠慮なく 望め。」 と- ムふ難 有い 御 語が 下りました。 すると 良秀 

かしこ なに ま を おも 

は 長 まって、 何 を 申す かと ひます と、 

なにとぞ わたくし むすめ お さ くだ お: めん ま を あ ほか おやしき 

「何卒 私 の 娘 をば 御 下げ 下さい まする やうに。」 と 臆面もなく 申し上げました。 外の 御 邸なら ば 

と かく ほり か は お ほと ざま お そば つか いか かにい ま を ぶ 

鬼 も 角 も、 堀川の 大 殿様の 御 側に 仕へ てゐ るの を、 如何に 可愛い からと 中し まして、 かやう に 無 

しっけ おいと ま ねが くに を だいふく ちう お ほと CV,- ま いさ、 h 卞 ん そん 

嫌に 御 暇 を 願 ひます ものが、 どこの 國に 居り ませう。 これに は大 腹中の 大殿樣 も 聊か 御機嫌 を 担 

み しばら た 5- だま よし >少 で かほ なが お ゐ 

じたと 見えまして、 暫く は唯默 つて 良 秀の顏 を 眺めて 御; 115 でに なり ましたが、 やがて、 

はきだ おっしゃ 今 ふ ま、.::; た 

「そお. はならぬ。」 と 吐出す やうに 仰 有る と、 なに その 儘 御 立ちに なって しま ひました。 かやうな 

こと ザん ご し ご へん いま が/がみ お ほと cv-i よし ひで -, 二 .,、 ん 

_5;^-が、 前後 §: 五遍も ございましたら うか。 今にな つて 考 へて 見ます と、 大 殿様の 良 秀を御 ii にな 

る 限 は、 その都度に だんだんと 冷やかに なって いらし つた やうで ございます。 すると 乂、 それに 

むすめ はう ち V おや み あん ざう し て-が とき 

つけても、 娘の 方 は 父親の 身が 案じられ るせ ゐで でも ございま すか、 ま" 司へ 下って ゐる 時な ど は、 

う n ぎ そで か なを お ほとの さま よし ひで むすめ け さう 

よく 桂の 袖 を嚼ん で、 しくしく泣いて 居りました。 そこで 大 殿様が 良秀の 娘に 懸想な すった など 

と 申 す^が、 愈 擴 がる やうに なった ので ございませう。 中には 地獄 變の祥 風の. H 來も、 實は娘 



お ほとの さま ぎょい したが i を ズノ - もた > 、に ひ-; 1 ^> 

が大 殿様の 御意に 從 はなかった からだな どと 申す もの も 居ります が 元より さやうな 1^ 力 ある:^" 

は ございません。 

わたくし め み お ほと G5H よし ひで 4: すめ お さ ま/た ^^to み, I - つへ- 

私 どもの 眼から 見ます と、 大 殿様が 良 秀の娘 を 御ドげ にならなかった の は 全く 娘の 身の 卜 

に C,H お S しめ かおくな おや そ „J おやしき お なに ふじ いう y ひり 

を」 れに田 I 召した からで、 あの やうに 頑な 親の 側へ やる より は 御 邸に 置いて、 :!: 不自. H なく 慕 さ 

ノ ありがた おかんが もと き だ やさ れ, すめ 

せて やらう と 云 ふ 難 有い 御考 へだった やうで ございます。 それ は 元より:: M 立ての 優しい あの 娘 を- 

,. に ひいき i す-が いろ お - る ま を お;^ け乂, *: 一, C 

御 展 になった の は 問 違 ひご ざいません。 が、 色 を 御 好みに なった と. m. します の は 恐らく 珠强 

-T わい せつ あとかた うそ it はう よろ くら ゐ 

附會 の說で ございませう。 いや、 跡 方 もない 嘘と 申した 方が、 宜しい 位で ございます.) 

と かく 、ヒ むすめ こと よし ひで お お ぼ だいふ わる キ- モキ- 

それ は 鬼 も 角 もと 致しまして、 かやう に 娘の 事から 良秀 の御覺 えが 大分 惡く たって 來た 時で ご 

おぼしめ お ほとの さま とつぜんよ しひで お めし " マ yf 、ん び, やつり ^ . 

ざいます。 どう 思 召した か、 大殿樣 は 突然 良 秀を御 召に なって 地獄 建の 屏風 を 描く やうに と、 

御^ ひつけなさい ました。 

;リ - ザ、、 ん ブ やうぶ ま を わたくし おそ ? わめん け しき め ほ 〈 うか 、 

地獄 變の释 風と 申します と、 私 はもう あの 恐ろしい 畫 面の 景色が、 ありあり と 眼の^ Z 浮んで 



變獄地 



17 



來る やうな 氣が& します。 

おな ぢ ごく へん ま を よし ひて か まか ゑし くら だ、、 でつ ど 

同じ 地獄 變と 申しましても、 良秀の 描き ましたの は、 外の 繪師 のに 比べます と、 第一 圖取 りか 

に を い.^ で ふ ぴ やうぶ かたすみ も ひ じふ わう はじ けんぞく すがた か 

ら 似て 居りません。 それ は 一帖の 屏風の 片隅へ、 小さく 十 王 を 始め^ 屬 たちの 姿 を 描いて、 あと 

いち < 'ん ものすご まう くわ けんざんた ぅヒゅ た,. - おも ほど うづ ま を 

は 一 面に 物 い 猛火が 劍 山刀 樹も 爛れる かと 思 ふ 程 渦を卷 いて 居りました。 でございますから、 

.A ら みやう くわん いしゃう てんく き あん つ 5- を ほか - み れつ,, (1 くわえん 

^めいた 冥官 たちの 衣裳が、 點々 と 黄 や 藍 を 綴って 居ります 外 は、 どこ を兒て も烈々 とした 火焰 

いろ なか まんじ すみ と くろけむり キ-ん ぶん に ふ ひこ ま くる 

の 色で、 その中をまるで^^:-のゃぅに、 墨 を 飛ばした 黑 煙と 金粉 を 1^ つた 火の粉と が、 舞 ひ 狂って 

居る の でございます。 

すみ ぶん ひと め おどろ ひっせい うへ また -.. -ふ くわ や て,, .i 

こればかり でも、 隨分 人の 目 を 驚かす 筆勢で ございま すが、 その上に 又、 業火に 燒 かれて、 轉 

てん くる を ざいにん ほ とん ひとり つうれい ぢ _ ごてる 一 な ぜ 

轉と 苦しんで 居ります it 人 も、 殆ど 一人と して 通例の 地獄 綺 にある もの は ございません。 何故か 

ま を よし ひで お ほ ざいにん なか かみ げっけい うんかく しも こ じきひ にん み 

と 申します と、 良秀 はこの 多くの 人の 屮に、 上 は 月 卿 雲 客から 下 は 乞食 非人まで、 あらゆる 身 

ぶん にんげん うつ き そく、 たい ごん じ やうび と "つ ぎぬ ち をに よう 

分の 人間 を寫 して 來 たからで ございます。 束 IW の いかめしい 殿上人、 五つ 衣の なまめかしい 靑女 

5.- う じゅ,? S ねんぶつそう たか あしだ は さむら ひがく しゃう ほそなが き め わら は み VJ ぐら おん, 3- やう じ 

房 珠數を かけた 念佛 ST 高 足駄 を 穿いた 侍 學生、 細長 を 着た 女の 童、 幣を かざした 陰 El 師— 

I, ち- c カぞ た を さいげん と かく ? にし ん 

I 一 々數へ 立てて 居りましたら、 とても 際限 は ございますまい。 见に角 さう 云 ふいろ いろの 人^ 



IS 



が、 火と 煙と が 逆 捲く 中 を、 牛 頭 馬頭の 獄卒に 虐 まれて、 大風に i¥ 散らされる サ lis やうに、 

ぶん/、 し はう はつばう に まよ V すまこ ,力 . も > 

紛々 と 方 八方へ 逃げ 迷って ゐ るので ございます。 鋼 叉に 髮 をから まれて、 蜘蛛よりも 手 を i 

I - みズケ f かんなぎ たぐ ひ て ほこ むは さ と vi で ま 

めて ゐる女 は 神 巫の 類で でも ございませ うか。 手 矛に 胸 を 刺し通されて、 蝙^の やうに I- にな 

をと こ なます りゃう なに V: ぅゐ ま. A おる ひ くちべ ヒ 5 -> <r t 

つた 男 は、 生 受領 か 何 かに 相違 ございますまい。 その 或 鐵ォ の^に 打 たれる もの、 ^は 干^ 

の 磐石に 押される もの、 或は 怪鳥の 嘴に かけられる もの、 或は 乂毒 ii の 額に, きまれる もの、 11 

, ^しゃく t た 1-1 いにん かナ おう 、v 、と 一よ 

呵責 も 亦 扉 人の 數に應 じて、 幾通り-あるか わかりません。 

、、 、 なか 一一と ひと めだ 十 さま み けもの たう じゅ . な- 

力 その 中で も 殊に 一 つ 目立って i?^ じく 見える の は、 まるで 獸の 牙の やうな 刀 樹の说 きを 半ノば 

- たう じゅ こすも 5 お ほ まう じ 5、 る, o/、 y つら, i を な * ぞク .ゥ 

力す めて (その 刀 樹の栴 にも, 多くの 亡者が 愛々 と、 五體を 貫かれて 居りました が)^ 穴 山から %^ 

て來る 一輛の 牛車で ございませう. - 地獄の 風に s¥ 上 けられた、 その if のまれの 时に は、 5^ま に ^ 

- - . . V* , きら よそ ほ にょうば う たに ノ、 ろ.; み ほのほ なか しろ う とし を 

衣に もま か、. -ぱ かり 綺羅びやかに 装った 女房が、 丈の 黑髮を 炎の 中に なびかせて、 白い 頸 を!^ 

J ' > ゝ もた ゾ、 る を にょうば う すがた ま を さた も ぎ. - ;. ま を 

ら せな 力ら 悶え 苦しんで 居ります が、 その 女房の 姿と 申し、 又 燃えし きって ゐる 牛車と 申し、 

なに ひと えんねつち I. チ、 せめく しつ , v's ぐゎリ ;- そ 

何 一 つと して 炎 一 地獄の 責苦 を^ば せない もの は ございません。 云 はば 廣ぃ畫 面の がろ しさが、 

この 一人の ス 物に 湊 つて ゐ ると でも 申し ませう か。 これ を 見る ものの 耳の 底に は、 自然と 物お い 



變獄地 



19 



叫喚 の 聲が 傅 はって 來 るかと 疑 ふ 程, • 入神の 出來映 えで ございまし た。 

あ, -、 これで ございます、 これ を 描く 爲 めに、 あの 恐ろしい 出來 事が 起った ので ございます。 

. 又 さもなければ 如何に 良 秀で も、 どうして かやう に 生々 と 奈落の 苦 艱が畫 かれ ませう。 ぁの|^_^^ 

この 屛 風の 線 を 仕上げた 代りに、 命 さへ も 捨てる やうな、 無慘な rni に 出 遇 ひました。 「14 はば この 

繪の^ 獄は、 本朝 第一 の繪, S 良秀 が、 自分で 1: 時か墮 ちて 行く 地獄だった ので ございます。 …… 

わた;; i~ し „3- つら ぢ -ピ い、 いん び-やうぶ こと ま をし あ いそ あるひ お. I„M し じ. 3 ん.. .,.: て; --ぅ 

^ は あの 珍しい^ 獄變の It 風の 事 を 申 上げます の を 急いだ あまりに、 或は 御 話の 順 ギを顧 倒 

^ : ^ ^ ^ J ノ 、i * ノ > « た ひ っビ お ほとの さま ;:' -ザ、 も 5 か ま う 

致した 力 も.^ れ ません。 か これから 又 引き 緩いて、 大 殿様から 地獄 総 を 描け と 巾す 仰, せ を 受け 

た 良秀の 事に 移り ませう。 

七 

ょ,:^クで : - ノ, 1 ご "?ふ げっ あ ひだ やしき うか び やうぶ る; を 

ヌ乃は それ 力ら 五,, ハ簡: の まるで 御 邸へ も 伺 はないで、 屏風の 綺に ばかり か、 つて 居り-ま 

した。 あれ 程の 子 si がい ざ 緒 を 描く と 云 ふ 段になります と、 ^めの 総 を? 3- るぎ もなくなる と す 

ので ございま すから、 不思議な もので は ございま せんか。 先刻 中し 上げました;^ 子の g でよ、 ^ 



でも あの s^ii?^ にと りか、 ります と、 まるで 狐で も 憑いた やうになる らしう ございます。 いや 

顏攀の mKr S が 襲で f f たの は、 觀の 義に E を かけた からで、 その 觀 

に は あの が酽を |g いて ゐる ま』 XJ、 そっと^!! からず" いて^る と、 必す 陰々 として 靈 狐の 姿が、 

い rg」 ならす だ^に、 ST つて ゐる のが 見えるな どと 中す 者 も ございました。 その 位で ございま 

么、 -め ほか なに.^ 

すから、 いざ iifc^ をが ると なると、 その 繪を 描き 上げる と 云 ふより 外 は、 何も彼も 忘れて しまぶ 

ので ございませう。 S も? 仏 も ひ 一 間に 閉ぢ こもった きりで、 滅多に 日の EI も 見た 事 は ございません。 

^ . -. - ^う A., 二 +rK.H だ 

I * おに の^ S ビ^いた 嚷に は、 かう 「w ふ 夢中に なり 方が、,. 甚 しかった やうで ございます。 

. と f します の は i も あの p、 駕 も した If ず、 1應のがの^-に、 ぎ i の i あ 

を おせたり、 チ たち を、 が ゐカ干 ん やら 力 狩 II やら、 さまざまに ままら せて、 その 姿 を 一人 づっ. - 

くらゐ .^-i こと べつ ぢ 、へん びお-, 3 

i に ましたり、 11 さう ふずで は ございません。 それ 位の 變 つた 事なら、 ^にあの 地獄 變の 

い i をぎ かなく とも、 -iii ビ か-つて ゐる i とさへ 申します と、 何時でも やり 襲ね ない ので ご 

ざいます。 いや、 概に||^^^の1!&生死の圖を描きました時などは、 當り, 1 附の人 ii たら、 わざと 

^ を ら せて £: く あの &ぅ& "のし 死&" の 厳へ、 と斷を 冗して、 おば i れ かかった S や 手足 を、 髮 



變獄地 



21 

一 o の 

き 毛け 

ふ、、 _ -ひ 



云い ぢ 
ふ も 

m m 
を へ 

申 i す 
す に 
の 、 ' 
か 寫ミ 
、 し 
流 孕 て 

石" 參ま 
に つ 

御お た 
わ 蔡モ 
か が- 
り ご 
に ざ 
な い 
ら ま 
な し 
い た 

ートカ * 

刀た 

も で 

い は 
ら 、 

つ そ 

し の It 

や t!^ き 
い しだ 
キ い 
せ 夢 も 
う 中^ 

そ な 
れ り 

は 一 J5t 
唯^ と 
今 'ま' は 

仏 , \ 



こと +: を あ ひま おも はなし おみ.. 1 い V」 、た、 まう 一 

しいず は 申し上げて ゐる暇 も ございま せんが、 主な 話 を 御 耳に 入れます と、 大體 先、 かやうな 次 

第な ので ございます。 

よ !^^づ で で しひと り まへ *v を をと こ あるひ ゑ C と を 

良秀の 弟子の 一人が (これ もや はり、 前に 申した sf- でございますが) 或 U 繪の具 を 溶いて 居り ま 

きふ ししゃう まゐ - 

すと、 念に 師; 1^ が參 りまして、 

._. おれ す こ ひる.^, おも ごろ iS めみ わる ま を 

一已 は 少し 午睡 をしょう と W 心 ふ。 が、 どうも この頃 は 夢見が 惡 い。」 とかう 巾す ので ございます。 

べつ め • つら こと なん でして やす ん li. 

s; にこれ は 珍しい 事で も 何でも ございま せんから、 弟子 は 手 を 休めす に、 唯、 

ひと, V ほ あい ざつ いた ところ よし ひで い つ さび .A ほ 

1 さやう でございます か。」 と 一 通りの 挨拶 を 致しました。 所が 良秀は 何時に なく 寂し さうな 餅 を 

して、 

つ おれ ひるね あ ひだち う まくら すわ もら ,:>5,? り 

「就いては, 己が 午睡 をして ゐる 間中、 枕 もとに 坐って ゐて貫 ひたいの だが。」 と、 遠慮が ましく 

たの でしい つ ししゃう ゆめ 今 ふし ぎ .:.; も 

頼む では ございま せんか。 ^^子は何時になく、 師匠が 夢 なぞ を ハ1^ にす るの は、 不 E 心議 だと 思 ひま 

したが、 それ も 別に 造作の ない 事で ございま すから、 



も & ししゃう しんば い » 

「よろしう ございます。」 と 申します と、 師匠 はま だ 心配 さう に 

すぐ おく き もっと あと ほか で し き . おれ .V ころ、 い., ノ 、 、 > -0 - 

「では 直に 奥へ 來て くれ。 尤も 後で 外の 弟子が 來ても 己の 陲 つて ゐる 所へ は 人れ ないやう に」 

- おく ま を をと こ る 5 か へや ひ 

と、 ためら ひながら 云 ひつけました。 奥と 申します の は、 あの 男が 畫を 描きます 部屋で その ほ 

よる とたき なか ひ ゃキ- ふで - つど、 で 

も 夜の やうに 戶を 立て切った 中に、 ぼんやりと 灯 をと もしながら、 まだ 燒 筆で 園 取りた H し カリ— 

今 -V うぶ ヒ ii まゐ よし ひで 

來てゐ ない 屏風が、 ぐるりと 立て 廻して あった さう でございます。 さて こ.^ へ參 ります と、 ^:^^ 

は E を 枕に して、 まるで 疲れ切った 人 問の やうに、 すやすや、 陲; < つてし まひ ましたが、 ものの 

i ん とき うち まくら を で し み、 なん か ま を, ■ キ-, "^ゝ > 

半 寺と たちません 中に、 枕 もとに 居ります 弟子の 耳に は、 何とも 彼と も 申し やうの なリ なネ M の 

惡ぃ聲 が は ひり 始めました。 . 

八 

i.^^ ^ こ ゑ しばら しだいき ぎ, ことば I , 

それが 始めは 唯、 聲で ございま したが、 暫くし ますと、 次第に 切れ切れな 語に なって 云 はは 

おば にんげん み-つ なかうな i を- - - 、 - 、 - C 

溺れ か \ つた 人 問が 水の 中で t- る やうに かやうな 事 を 申す ので ございま 

2 51 - 二 if らく -- えん; S つ S •. フ、 -ー 

^ 「な こ、 に來 いと ふの だな。 11 どこへ 11 どこへ 來 いと? 奈 洛へ來 い。 炎熱地獄へ 來ぃ。 - 



變? 地 



23 



たれ 1 き さま & さま たれ たれ おも 

— I 誰 だ。 さう 云 ふ 貴様 は。 —— 貴様 は 誰 だ !—— 誰 だと 思ったら」 

で, 丄 .„,4 - ^ ぐ と, て- "つ そ おそ ししゃう かほ Cfv すか み 

弟子 は 3 や はす 繪の具 を 溶く 手 を やめて、 恐る恐る 師匠の 額 を、 观 くやう にして 透して 兒 ますと、 

し 力 ほ しろ うへ お ほつ ぶ あせ にじ くちびる かわ よ ま „1ら くち .5 ヽ 

皺 だらけな 顏が 白くな つた 上に、 大粒な 汗を渗 ませながら、 臀の 干いた、 御の 疎な 口 を i 的ぐ やう 

P &. 3 くち なか なに いと ひつば . ?;, : が ほど 

に 大きく 開けて 居ります。 さう して その 口の 中で、 何 か 糸で もっけて 引 張って ゐ るかと 疑 ふ 程、 

め うご おも をと こ した *H を 

目まぐるしく 動く ものが あると ひます と、 それが あの 男の 舌だった と 申す では ございま せんか Q 

& ぎ *- とば もと した で く 

切れ切れな 詰 は 元より、 その 舌から 屮:; て來 るので ございます。 

たれ おも 、 き さま おれ き さま おも れか や」 

「誰 だと W 心ったら —— うん、 貴様 だな。 己 も贵樣 だら うと 思って ゐた。 なに、 迎 へに 來 たと? 

二 な らく こ な らく な らく おれ むすめ ま 

だから 來ぃ。 奈落へ 來ぃ。 奈落に は. I 奈-洛 に は 己の 娘が 待って ゐ る。」 

とき てし め もうろう いぎ やう かげ ^やうぶ おもて お く 

その 時, 弟子の 服に は、 膝 脆と した 異形の 影が、 祥 風の 面 を かすめて むらむらと 下りて 來るゃ 

み ほど き み わる こ. -ろ いた もちろんで し よし ひで て 

うに 見えた 程, 氣 味の 惡ぃ心 もちが 致した さう でございます。 勿論 弟子 はすぐ に 良 秀に乎 を かけ 

ちから かぎ ゆ おこ ししゃう なほ ゆめう つ >- ひと ごと い ようい め 

て 力の あらん 阪り搖 り 起し ましたが、 師匠 は猶 夢現に 獨り語 を 云 ひつ けて、 容易に 肌の さめ 

け, し.?;, - - でしお も & かた けら ひっせん み-つ をと こ かほ 

る 象 色 は ございません。 そこで 弟子 は 思 ひ 切って、 側に あった 筆洗の 水 を、 ざぶ りと あの 男の 顏 




かけました 



24 



くるま こ くるま の な らく こ い こと^ 

「待って ゐ るから、 この 車へ 乘 つて 來ぃ 11 この 車へ 乘 つて、 奈落へ 來ぃ ——— 」 と 云 ふ; ^ji がそれ 

どうじ のど うめ _,ー么 おも よし ひで め あ i り 

と 同時に、 喉 を しめられる やうな 呻き 聲に變 つたと 思 ひます と、 やっと 良 秀は跟 を il いて、 針で 

さ あわた やに は はお ゆめな かい るゐ いぎ やう まぶた うしろ さ 

刺された よりも 慌 しく、 矢庭に そこへ 刎ね 起き ましたが、 まだ 夢の 中の 異類 異形が、 眠の 後 を 去 

しばら たビ おそ め お ほ くち ひら 

らな いので ございませう。 暫く は 唯 恐ろし さうな 眼つ きをして、 やはり 大きく 口 を 11 きながら、 

くう み を われ かへ ようす 

空 を 見つめて 居り ましたが、 やがて 我に 返った 容 子で、 

「もう^いから、 あちらへ 〔打 つて くれ」 と、 今度 は:^ 何にも 素つ 氣 なく、 デ 、ひつける ので ございま 

でし い とき さから い つ お ほこ と い そう ししゃう へや でまゐ 

す。 弟子 はかう 云 ふ 時に 逆 ふと、 何時でも 大小 雷 を 云 はれる ので、 匇 々師" ほの 部屋から 屮 I て眷り 

あかる そと ひ ひかり み とき じ ぶん あくむ V- やう き 

ましたが、 まだ 明い 外の 日の 光 を昆た 時には、 まるで 自分が 惡 夢から 覺 めた 様な、 ほっとした^^ 

いた ま を を 

が 致した とか 申して 居りました。 

1: う つ) ひとつき こ/ど キ たべつ で し 

しかし これ なぞ はま だよ い 方な ので、 その後 一月ば かりたつ てから、 今度 は乂 別の 子が、 わ 

おく よ よし ひで ぐら あぶらび ひか なか ゑ ふで か を 

ざ わざ 奥へ 呼ばれ ますと、 良秀 はや はりう す 暗い 油 火の 光りの 中で、 繪筆を んで 居り ましたが" 

でし はう む なま 

いきなり 弟子の 方へ 向き 直って、 

一 ご /、 r 6 または. だか もら ま を とき 

「御 苦勞 だが、 又 裸になって 世 只 はう か。」 と 申す ので ございます。 これ は その 時までに も、 どうか 



するとき, つが i,K ひつけた ぎで ございま すから、 弟子 は 早速^ 類 を ぬぎすてて、 赤^になります と、 

や-とこ め-つ かほ : き 

あの 男 は 妙に 顔をしかめながら . 

(vi し. 二 こんげん み つ • も 々- どく し, ュら あ ひだ とほ ン 

「わし は 鎖で 縛られた 人間が 見たい と 思 ふの だが、 氣の 毒で も 暫くの 問、 わしの する 通りに なつ 

ノ、、 .Jf 一 き どく ようす み れい ザ; ~ i& 

てゐて はくれ まい か。」 と、 その 癖 少しも 氣の審 らしい 容子 など は 見せす に、 冷 と 力う けし まし 

た。 jJI^L この!^ 子 はき など を 握る よりも、 太刀で も 持った 方が 好 ささうな、 退し い 若者で ござ 

ざす! A r どち 7 ス ちとく レ-き はなし いた 71:;- や、 

いました が、 これには流石に驚ぃたとK^ぇて、 後々 まで も その 時の 話 を 致します と 「これ は, 

が 菊が I 遮, つて、 私 を 殺す ので はない かと 思 ひました」 と 繰返して 申した さう でございます。 が、 

よ ノ で よ う あ ひて ぐ-つ /、- じ. W *^ ゐ 、、ゝ |0、|/- 

41. 乂 ずり 方で は、 相手の 愚!:々々 して ゐる のが、 燥った くな つて 參 つたので ございませう とこ 力 

だ で そ 匸っ くさり た ぐ ほ とん と い S- ほ . , で, し, I ^ たい か 

ら屮: : した か、 縦い 鐵の鎖 を ざらざらと 手繰りながら、 殆ど 飛びつ くやうな 勢 ひで ^M- に i??r ハ 

乘り かかり ますと、 否應 なしに その 俊兩腕 をお ぢ あげて、 ぐるぐ る卷 きに 致して しま ひました。 

さう して 又 その 鎮の端 を 邪慳に ぐいと 引きました からた まりません。 弟子の 體 ははす み を 食つ て 

地 い," よく 14^ を& らしながら、 ごろり とそ こ へ 横倒しに 倒れて しまったので ございます。 





九 

とき で し かっかう さかが め ころ * を - —なに, て- あん - ^し 7 

その 時の 弟子の 恰好 は、 まるで 酒 甕を轉 がした やう だとで も 申し ませう か" 何しろ^も足も慘 

を ま を うご た ビくぴ Ju^ 一. Lf. た ジ,, ..X 

たらしく 折り曲げられて 居ります から、 動く の は 唯 首ば かりで ございます そこへ 肥った 靴.^ の 

ち くさり めぐり と かま い どう い いちめん ひ ヌ いろ あ 力 ばし 4:s 

血が、 鎖に 循環 を 止められ たので、 顏と云 はす 胴と 云 はす、 一面に 皮膚の 色が 赤み 走って 參 るで 

よし ひで かくべつき み r か-がめ > -^. 

は ございま せんか。 が、 良 秀には それ も 格別 氣に ならない と 見えまして その 酒^の やうな 體の 

も. は なが おな しゃしん -っ なん ほ < や ふ を- ■ : ) 

ま はり を、 あちこちと 廻って 眺めながら、 同じ やうな 寫眞の 岡 を 何枚と なく 描いて 居りました。 

あ ひだ し f でしみ くら ゐ くる い こと なに 、と, た • - *- を 

その ぼ、 縛られて ゐる 弟子の 身が、 どの位 苦しかった かと 云 ふ は、 何も わざわざ 取り立てて 巾 

ち 

し 上げる まで も ござい ますまい。 

が、 もし 何事 も 起らなかった と 致しましたら、 この 苦しみ は 恐らく まだ その上に も、 つど けら 

こと さい は ひ *< & あるひ ふ > う .^r: を はう,. - , 、- L -ノ 3\ 

れた 事で ございませう C 幸 (と 申します より、 或は 不幸に と 申した 方が よろしい かも 知れません ) 

しばら いた へや すみ つぼ かげ くろ あぶら ;、 ひ. パー,、 - ^ I 

暫く 致します と、 部屋の 隅に ある 壺の 陰から、 まるで 黑ぃ 油の やうな ものが 一す ち糾 くう おり 

5 なが だ *、 ゐ はじめ うち よ ほどねば け * 、 う Jl! ゝ 

2 ながら、 ^^瓜れ出して參りました。 それが 始の中 は餘程 粘りぐ やの ある ものの やうに ゆっくり »-v 



變 地 



27 



を なめ すべ はじ ひか はな さき なが つ 

て 居り ましたが、 だんだん;^ ら かに、、 U り 始めて、 やがてち らちら 光りながら、 鼻の 先まで 流れ着. 

なが でし おも いき ひ 

いたの を 眺めます と、 弟子 は 思 はす、 を 引いて、 

へび へび わめ とき まった からだ ぢぅ ち いちじ -? ほ おも i を 

「蛇が 11 蛇が。」 と 喚きました。 その 時 は 全く 體 中の 血が 一時に 凍る かと 思った と 中し ますが、 

む り へぴ じっさい す こ くさり く くび にく つめた した 

それ も 無理 は ございません。 蛇は實 際もう 少しで、 鎖の 食 ひこんで ゐる、 頸の肉へその冷ぃ^.!:の 

さき ふ おも で き ごと わう だう よし ひで 

先 を觸れ ようとして ゐ たので ございます。 この 思 ひも よらない 出來 事に は、 いくら 横道な 11^ 秀で 

いた あわ ゑ ふでな す とっさ み おも 

も、 ぎょっと 致した ので ございませう。 慌てて 畫筆を 投げ 棄 てながら、 咄嗟に 身をかがめ たと 思 

す ば や -.、 び を さかさま つ さ へびつ さ 

ふと、 素早く 蛇の 尾 をつ かまへ て、 ぶら りと 逆に 吊り下げました。 蛇 は 吊り下げられながら も、 

あたま あ じ ぶん からだ まき をと こ ご ところ 

頭 を 上げて、 きりきりと 自分の 體へ卷 つき ましたが、 どうしても あの 男の 手の 所まで はと どき ま 

せん。 

ひとふで し そん 

「おのれ 故に、 あったら 一筆 を 仕損じた ぞ。」 

よし ひで いやく つぶや へび ま、 へやす み っぽな か はふ ふ 

良秀は 忌々 しさう にかう 眩く と、 蛇 は その 儘 部屋の 隅の 壺の 屮へ拋 りこんで、 それから さも 不 

しょうふしょう で し からだ くさり と たビと い -ぉに 

承 無 承に、 ^^子の體へ か \ ってゐる鎖を解ぃてくれました。 それ も啦 解いて くれたと 云 ふ 丈で、 

かんじん でし はう やさ ことば ひと お ほかた で し ヘプ か しゃ 

肝 ほ K の 弟子の 方へ は、 優しい 言葉 一 つかけ て はやりません。 大方 ^ ^子が 蛇に 嚙 まれる よりも、 寫 



j 5 とレで ちゃ ま 一 *J ふよら あと き , C ,- タカん 

3 ヌの 一筆 を 誤った のが、 業腹だった ので ございませう。 11 後で 聞きます と、 この 蛇 もや はり 姿 

を 寫す爲 に、 わざわざ あの 男が 飼って ゐ たの ださう で ご ざいます。 

こと お き よし ひで き ナ 3 が -っ すき ,.^、 わる .f-* ちう f たつ、 

これ だけの 事 を 御 聞きに なった ので も、 良秀の 違 ひじみ た、 薄氣 味の; 5r』 い. i 穸中 になり 力 力 

そふ ^0 こと ところ 5 いご ひと こんど じふさん し で. し,, , -,、 , 

〔き、 # わかりに なった 事で ございませう。 所が 取 後に もう 一 つ、 今度 はま だ 十三 の 弟子 力 や 

はり 地獄、. y の 屏風の 御 かげで、 云 はば 命に も關 はり 翁ね ない、 恐ろしい: M に 屮_ 遇 ひました。 その 

で ) うま , 'ろ しる をん な をと こ あるよ こと なにげ ししゃう へ.' や 、よ,、 

弟子 は 生れつき おの 白い 女の やうな 男で ございま したが、 或 夜の 事、 何氣 なく^ 匠の 部屋 へ^ば 

ま, n- C \ ひで とうだ, - ひ した てのひら なに な ぐ さ にく み な t ち: 12 とり 

れて參 ります と、 良秀は 燈臺の 火の 下で 掌に 何やら 腥ぃ肉 をのせ ながら、 見慣^ない 一羽の, = ^を 

養って ゐ るので ございます。 ガき さは 先、 の 常の 猫 ほどで も ございませ うか。 さう 云へば、 斗 

りゃうよう で う まう い 二 はく いろ お ほ まる め、 い、、 * み. - ^リ 

の やうに 兩 へつき 屮 I た 羽毛と 云 ひ、 號珀の やうな 色 をした、 大きな 圓ぃ 脱と 云 ひ 見た も.^ 

ねこ に & 

となく 猫に 似て 居りました。 

^ ー兀 來良 あと 云 ふ 男 は、 何でも 自分の して ゐる 事に 嘴 を だれら れる のが 大.. 嫌 ひで、 先刻 IT. し 上げ. 



變獄地 



- 29 



た 蛇な ども さう でございますが、 自分の 部屋の 中に 何が あるか、 11 切 さう 一 ベム ふ 事 は あ 子た ちに も 

ン こと あるとき つく ゑ うへ され かう ベ あるとき 4* た 

^ら せた 事が ございません。 でございますから、 1^ 時 は 机の 上に 髑^が のって ゐ たり、 或 時 は 又、 

しろがね キり ま キ-ゑ たかつき なら A ぶ ._か ゑ し だい ,力 ぶんお も ^、- で 

銀 の 椀 や 蒔繪の 高坏が 並んで ゐ たり、 その 時 描いて ゐる畫 次第で、 隨分 ひも よらない 物が 出 

て 居りました。 が、 ふだん はか やうな 品 を、 ー體 どこに しまって 毅く のか、 それ は 又 誰に も わか 

をと こ . ブ、 A! く お-: がみ みやう じょ う ま を ,r はさ ひと 

ら なかった さう でございます" あの が 福 德の大 神の 冥 助 を 受けて ゐる などと 巾す ほ も、 一 つ は 

確に さ う. 「ムふ 事が 起り にな つて ゐ たので ご ざい ませう。 

で し つく ゑ うへ い やう とり ぢ ごく へん び やう ふ か に ふよう ちが 

そこで^^子は、 机の 上の その 異様な,:: も、 ゃはり地獄變の屛風を描くのに入用なの に^^ひなぃ 

ひと かんが ししゃう まへ かしこ なに っー よう うやく ま を 

と、 かう 獨り考 へながら、 師匠の 前 へ 長 まって 、「何 か 御用で ございま すか」 と、 恭々 しく. S. します 

と、 良秀 はまる で それが 聞えない やうに、 あの 赤い 辱へ 舌な めすり をして、 , 

「どう だ。 よく 馴れて ゐる ではない か。」 と、 鳥の 方へ 頤を やります。 , 

「これ は 何と" k ふ もので ございませう,^ 私 はつひ ぞ まだ、 13^ た がご ざいません が。」 

で し Al. を み、 ねこ とり き み わる なが 

弟子 はかう 巾し なが. ら、 この. 斗の ある、 猫の やうな 鳥 を、 氣味. 惡 さう にじろ じろ 眺めます と、 

よし ひで あ ひか はに すい つ ち ざ わら てうし 

良秀は 不相變 何時もの 嘲笑 ふやうな 調子で、 



み こと みやこ そだ にん? J ん こま に さんにち.-^、. へ くら *^ れ ふし 

「なに、 見た 事がない? 都育ちの 人間 は それ だから 困る。 これ は 二三 日 前に 鞍馬の 獵師 がわし 

み- づく い とり た ふ な たくさん 

にくれ た 耳 木 见と云 ふ ill だ。 唯、. こんなに 馴れて ゐ るの は, 澤山 あるまい。」 

い をと こ おもむろ て 4 つやう どみ ^ た みヒ つく せ なか け 

かう 云 ひながら あの 男 は、 徐に手 を あげて、 丁度 餌 を 食べて しまった 耳 木 兎の 背中の 毛 を、 そ 

した な あ と たん とり きふ するど 1 一 も i みトか ひとこる; な 

つと 下から 撫で上げました。 すると その 途端で ございます。 &1 は 急に 銳ぃ聲 で、 短く ー聲啼 いた 

おも たち ま つく ゑ うへ と あが りゃう あし つめ は でし かほ 

と 思 ふと、 忽ち 机の 上から 飛び 上って、 兩 脚の 爪 を 張りながら、 ぃきなり^^子の顏へとびか \り 

とき で し そで あわ かほ t キチ ひと 

ました。 もし その 時、 弟子が 袖 を かざして、 慌てて 顏を隱 さなかったら、 きっともう 疵の 一 つや 

二つ は 負 はされ て 居りました らう。 ぁっとー1^ひながら、 その 袖 を 振って、 逐ひ, 嫩 はう とする 所 を 

み.. 1, つ く かさ くちばし な また ひとつ で し ししゃう まへ わす た ふ 

耳 木 兎 は 蓋に かかって、 嘴 を 鳴らしながら、 又 一 突き 11 弟子 は 師匠の 前 も 忘れて、 立って は 防 

すわ お おも i 一 ま へ や なか に 5 ど け てう もと 

ぎ、 坐って は逐 ひ、 思 はす 狹ぃ 部屋の 中 を、 あちらこちらと 逃げ惑 ひました。 怪 鳥 も 元より それ 

たか ひく かブ. すき まっしぐら め と き たゾ a 

につれ て、 高く 低く 翔りながら、 隙 さへ あれば 驀地に 服 がけて 飛んで 來 ます。 その 度に はさ 

す V, ま つばさ なら おちば に 一 i ひ -- ぶ-』 しぶき あるひ また さる V- け す 

ば さと、 凄じく 翼 を 鳴す のが、 落葉の 句 だか、 瀧の, 飛沫 だか、 或は 又 猿 酒の 鏡 ゑたい きれ だか、 

なに もや yi』 き み わる い い で 

何やら 怪しげな もののけ は ひ を 誘って、 氣 味の 惡 さと 云ったら ございません。 さぅ云へばその^^ 

し ぐら あぶらび ひかり お^ろ つきあつ,' おも ししゃう へ お 1 1 > わ まお く え- 「.*.- 

3 子 も、 うす 暗い 油 火の 光 さへ 朧げな 月明り かと 思 はれて、 師匠の 部屋が その 俊 遠い 山奥の、 妖: :. 湫 



變獄地 



31 



とざ たに 二 i つ^そ キ- キ を 

に閉 された 谷の やうな、 心細い 氣 がした とか 申した さう でございます。 

で し おそろ なに みヒっ /、 おそ い こと 

しかし 弟子が 恐し かった の は、 何も 耳 木 兎に 襲 はれる と 云 ふ、 その 事ば かりで は ございません" 

. ノ いっそう-^ け :、.- ) ししゃう 、よし ひで さわ れいぜん なが おも. C ろ 

いや それよりも ー曆 身の 毛が よだった の は、 師匠の 良秀 がその 騷ぎを 冷然と 眺めながら、 徐に 

かみ ふで ねぶ をん な せう ねん いぎ やう とり ざいな ものすご あり V.- ま うつ 二と- 

紙 を 展べ筆 を 載って、 女の やうな 少年が 異形な, おに 虐 まれる、 物凄い 有樣 を. H して ゐた 察で ござ 

で し ひとめ み だち ま い おそ おび や じつ V. い: じ し 

います. - 子 は 一 LZ それ を兑 ますと、 忽ち 云 ひやう のない 恐ろし さに 脅かされて、 實際 一 時 は!; 

しゃう ため ころ おも ま を を 

匠の 爲に、 殺される ので はない かとさへ、 思った と 申して 居りました。 

十一 

じつ ズ- いしし やう ころ い こと まった ま を げん ばん で し よ 

實際 師匠に 殺される と 云 ふ 事 も、 全くない と は 申されません。 現に その 晚 わざわざ 弟子 を 呼び 

じつ み. つ /、 けし で し に あり ざま うつ い こん., 二ん 

よせた ので さへ、 實は耳 木 兎 を 唆 かけて、 弟子の 逃げ ま はる 有 樣を寫 さう と- ムふ魂 ま" らしかった 

で し ししゃう ようす ひとめ み はや おも りゃう そで あたま 

ので ございます。 でございますから、 弟子 は、 師匠の 容子を 一目 見る が 早い か、 E 心 はす 兩 袖に 頭 

-," く じ ぶん なん い ひめい ま、 へやす み り ど - 

を隱 しながら、 自分に も 何と 云った かわから ないやうな 悲鳴 を あげて、 その 6t 部屋の 隅の 遣戶の 

ひ: て ゐ ひや-つし よし ひで なに ちわ , 一 も; たも" めが 

-裕 へ、 1$ すくまって しま ひました。 とその 拍子に、 良秀も 何やら 慌てた やうな t^t を あげて、 立 上 



ナ しき たち ま みヒっ く は おと いっそう まへ I i-^ ノ f-i 3 

つた fp- 色で ございま したが、 忽ち 环木 鬼の 羽 昔が 一 曆 前よりも はげしく なって 物の 悌れる 音 や 

や. -、 と キ三 でし にど ど うしな おも 

波" れる 昔が、 けた,^ ましく 即 える では ございま せんか。 これに は 弟子 も 二度、 度 を 失って, 思 は 

/ あ. こま あ,^ へ J^、 なか > つ くら ししゃう で し レリ 

す il して ゐた貌 を 上げて 見ます と、 部屋の 中 は 何時か まつ 暗にな つて ゐて、 ,叫 iki の 子た ちを叮 

た こ-お か いらだた を 

び 立てる 聲が、 その 中で 苛立し さう にして 居ります C 

で Z とリ とま よう へんじ ひ L そ まヌ 

やがて 第 子の 一人が、 遠くの 方で 返事 をして、 それから 灯 を かざしながら、 ふいで やって 4^ り 

-IJ.- くさ あか &が ゆ ひと-つ だい た ふ ゆか た. -み いちめん あぶら ク 

ましたが、 その^ 臭い 明りで 眺めます と、 結 燈臺が 倒れた ので、 床 も疊も 一而に 油 だらけに なつ 

と 一-ろ みヒゥ く かたよう つばさ ぐる き ;」 ス _ > , 

た 所へ、 さっきの. 耳 木 兎が 片方の 翼ば かり 苦し さう に はため かしながら 轉げま はって ゐ るので 

よし ひで つく, 05 むか なか からだ おこ *r ざすが あっけ ^ - > ^ '- V- ^ 3 

ございます。 良秀は 机の 向う で 半ば 體を 起した 儘、 流石に 呆氣に とられた やうな^ をして. 仆ゃ 

ら だに はわから ない 事 を、 ぶつぶつ 眩いて 居り まし た。 —— それ も 無理 では ございません 。あ. の 耳 

* つ く かち だ くろ ヘプ いっぴき くぴ かたはう つばさ ま e I I -- , 

木 鬼の 體に は、 まつ 黑な 蛇が 一匹、 頸から 片方の 翼へ かけて、 きりきりと 格き ついて ゐる. ので ご 

ざいます。 .1^ 方 これ は 弟子が 居す くまる 拍子に、 そこにあった 壺を ひっくり返して、 その 中の 蛇 

が- m ひ 出した の を、 耳 木 鬼が なまじ ひに 摑 みか k らうと したば かりに、 とうとう かう 云 ふ 大^か 

^まった ので ございませう。 ? 一人の 弟子 は 互に 服と 肌と を. 一 せて、 暫く は 唯、 この 不思議な 光 



變獄地 



33 



:7 い な 力 を ししゃう もくれい へや ひ V. が 

景を ぼんやり 眺めて 居り ましたが、 やがて 師匠に 默禮 をして、 こそこそ 部屋へ 引き 下って しま ひ 

ました。 蛇と 耳 木 兎と がその 後 どうな つた か、 それ は 誰も 知って ゐる もの は ございません。 —— 

かう 「ムふ 類の 察 は、 その外 まだ、 幾つと なく ございました。 前に は 申し 落し ましたが、 地狱 3^ 

ブゃラ ぶ か い ご V- た あき はじめ い らい ふゆ す么 よし ひで 

の 屏風 を 描け と 云 ふ 御沙汰が あつたの は、 秋の 初で ございま すから、 それ 以來 冬の 末まで、 

で し だ ししゃう あや ふるま ひ おび や わ ナ "ゆ 

の^^子たちは、 絶えす 師:^ の 怪しげな 掘 舞に 脅かされて ゐた譯 でございます。 が、 その 久 A の 末に 

良^^は何か!^風の畫で、 自由に ならない 事が 出來 たので ございませう、 それまでょりは-ー 

いんき も ひい め み あ まゐ ど >r じ またび やうぶ &5 した 

も陰氣 になり、 物 云 ひも 目に 見えて、 荒々 しくな つて 參 りました。 と 同時に 又 屏風の 靈も、 下靈 

が 「八 分 通り 出來 上った 傲、 更に 涉 どる 校樣は ございません。 いや、 どうかす ると 八.' までに 描いた 

所 さ へ、 塗り^して もし まひ 兼ねない (ま 色な ので ございます。 

せ • ぴや, T ぶ なに じ いう たれ またたれ 

その」 舴 風の 何が 自由に ならない の だか、 それ は 論に も わかりません。 又讓も わからう とし 

まへ で き ごと こ でし とらお ほ, 5- み ひと 

たもの も ございますまい。 前の ぃろぃろな出來_^>に懲りてゐる^^子たちは、 まるで 虎 狼 と 一 つ 

檻に でも ゐる やうな 心 もちで、 その後 :1 匠の 身の ま はりへ は、 成る 可く 近づかない 箅段 をして 居 

りました から。 



34 



十二 

したが あ ひだ こと つ べっと た ま を あ ほど おはなし し 

從 つて その 間の 事に 就いては、 別に 取り立てて 申し上げる 程の 御 話 も ございません。 もし 强ひ 

ま を あ いた が, T じ やう おや ぢ な ぞ めう な,^"だもろ ひと 

て 申し上げ ると 致しましたら、 それ は あの 强 情な 老爺が、 何故か 妙に 淚 脆くな つて、 人の ゐ ない 

ところ とき ふ、 ひと な い おはなし くら ゐ こご あるひ なに よう で し 

所では 時々 獨 りで 泣いて ゐ たと 云 ふ 御 話 位な もので ございませう。 殊に 或 nl、 何かの川で^^子の 

ひとり に はさき まゐ とき らう か た はる 4^- か そら なが ししゃう め 

一人が、 庭先へ 參 りました 時 なぞ は、 廊下に 立って ぼんやり 春の 近い 签を 眺めて ゐる: 帥 匠 の^が、 

なみだ いつ でし み かへ け-つか 

涙で 一 ばいに なって ゐ たさう でございます。 弟子 は それ を 見ます と、 反って こちらが 恥し いやう 

& だ. *S ひ かへ .5 を こと ご しゅしゃ うじ づ か ため 

な氣 がした ので、 默 つて こそこそ 引き返し たと 申す 事で ございま すが、 S 趣 生死の 岡 を 描く 爲に 

みち し がい うつ い がう まん をと こ ぴゃ, T ぶ ゑ おも か くら ゐ こと 

は、 道ば たの 死骸 さへ 寫 したと 云 ふ、 傲慢な あの 男が 屏風の 畫が思 ふやう に 描け ない 位の 事で、 

こ ども な だ ま を ナゐ ぶんい 

子供ら しく 泣き出す などと 申す の は隨分 異な もので ございま せんか。 

ところ いつば うよし ひで 1- やうき にんげん おも まどむ ちう び やつぶ ,01 か 

所が 一方 良秀が この やうに、 まるで 正氣の 人間と は 思 はれない 程 夢中に なって、 風の 紛 を 描 

を うち またい つばう 4: すめ な ぜ き うつ ん だくし なみだ X ら 

いて 居ります 中に、 又 一方で は あの 娘が、 何故か だんだん 氣慰 になって、 どもに さへ 淚を堪 へ 

ようす め た キゐ ぐわん らいうれ: S が ほ いろ しろ やん な 

て ゐる容 子が、 服に 立って 參 りました。 それが 元來愁 顔の、 色の 白い、 つ. -ま しゃかな 女た けに、 



變獄地 



3$ 



かうな ると 何だか 腿 毛が 重くな つて、 服の ま はりに 隈 がか \ つ たやうな、 餘計 寂しい; I- が 致す の 

でございます。 始 はやれ 父 思 ひの せゐ だの、 やれ 戀烦ひ をして ゐ るから だの、 いろいろ 臆測 を 致 

なか-, --ろ お ほとの さま ぎょい T- たが 

した ものが ございま すが、 中頃から、 なに あれ は大 殿様が 御意に 從は せようと してい らっしゃる 

い ひやう ばん た はじ それ だれ わす やう むすめ うは さ l*i 

の だと 云 ふ 評判が 立ち 始めて、 夫から は 誰も 忘れた 樣に、 ばったり あの 娘 の^をし なくなって 了 

ひました。 

ちゃう ど -Z こと あるよ かう た わたくし ひと お らう か と ミ 

丁度 その 頃の 事で ございませう。 或 夜、 更が闌 けてから、 私が 獨り御 廊下 を 通り か、 り ま 十と * 

?る よし ひで と キゐ わたくし はかま すそ しき 

あの 猿の 艮秀 がいきな り どこから か 飛んで 參 りまして、 私の 祷 の-泥 を 頻りに ひつば るので ござい 

たしか うめ に ほひ いた . つき ひかり あ V- 、か よる 

ます。 確、 もう 梅の 句で も 致し さうな、 うすい 月の 光の さして ゐる、 暖ぃ 夜で ございま したが、 

そ t2 あか み さる しろ は だ はな さき しわ き ちが 

其 明りです かして 見ます と、 猿 はまつ 白な 齒を むき 出しながら、 鼻の 先へ 皺 をよ せて、 氣が遠 は 

な た わたくし き み わる ざ/ぶ あたら 

ない ばかりに けた. - ましく 啼き 立てて ゐる では ございま せんか。 私 は; M 味の 惡 いのが 三分と、 新 

はか. *^ は-::. r しちぶ いしょ ざる ナ はな ま. 4 とほ 

しい 祷を ひっぱられる 腹立たし さが 七 分と で、 :; 取 初 は 猿 を 蹴 放して、 その 儘 通りす ぎようかと も 

おも またお も かへ み まへ ざる せっかん わかとの てま ,,..ー ふきょう う さむら ひ れい 

E え ひました が、 又 思 ひ 返して 見ます と、 前に この 猿 を 折檻して、 若殿 様の 御 不與を 受けた 侍の 例 

ざ る ふる t ひ た ごと おも わたくし おも き 

も ございます。 それに 猿の 根 舞が、 どうも 唯 事と は 思 はれません。 そこでとうと う 私 も m しひ 切つ 



36 



はう 一 ご ろく 一" ん ある ある まゐ 

て、 その ひつば る 方へ 五六 間 歩く ともなく 步ぃ て參 りました。 

お らう か ひとまが まが よめ しろ お いけ みづ え V-.- まつ むか 

すると 御 廊下が 一 曲り 曲って、 夜目に もうす 白い 御池の 水が 枝ぶ りの やさしい 松の 向う に ひろ 

み わた ちゃう ど まで まゐ とき こと ちか へ や なか ひ レー あら そ 

びろ と 見渡せる、 丁度 そこ 迄參 つた 時の 事で ございます。 どこか 近くの 部屋の 中で 人の ゆって ゐ 

あわた.、 まため う わたくし み. - おびやか しん し-つ 

るら しいけ は ひが、 慌 しく、 又 妙に ひっそりと 私の 耳 を 脅しました。 あたり は どこも 森と 靜 まり 

かへ つきあ か もや なか つ を を ど おと ほか けな ご ゑ ひと キ-こ 

返って、 月明りと も 露と もっかな いものの 中で、 魚の 跳る 音が する 外 は.、 話し 聲ー つ 問えません。 

もつ おと わたくし おも たちどま ぜ きも G め 

そこへ この 物音で ございま すから、 私 は 思 はす 立 止って、 もし 狼藉者で でもあった なら、 U にも 

み やり ど そと いき み 

の 見せて くれようと、 そっと その 遣戶の 外へ、 息 を ひそめながら 身 をよ せました。 

十三 

所が 猿 は 私の やり方が まだる かった ので ございませう。 良秀 はさ もさ もも どかし さつに、 Ti 三 

ど わた,、 し あし s おも C どし -- 幺ヽ- 

度 私 の 足の ま はり を 駄けま はった と 思 ひます と、 まるで 咽 を 絞められ たやうな li で啼 きながら、 

わたくし か た いっそく とひ と あが わたくし おも うなじ そ つめ 

いきなり 私の 肩の あたりへ 一足 飛に 飛び 上りました。 私 は 思 はす 頸 を 反らせて、 その 爪に かけら 

》• る またす ゐ.^ ん そで わたくし からだ すべ お ひ^-ぅし 

れ まいと する、 猿 は 又 水 干の 袖に かじりついて、 私の 體 から、、 U り 落ちまい とする、 lli その 拍子 



變 1ズ- 地 



37 



わたくし し ふた あしみ し やり ど つ, リ C わたくし かに だ -V 

に、 私 はわれ 知らす 二足 三 足よ ろめいて、 その 遣 戶へ後 ざまに、 した、 か 私の 體を 打ちつ け まし 

いつこく す-うちよ じ あ ひ わたくし や に は やり ど ■ あ はな 

た。 かうな つて は、 もう 一刻 も 躊躇して ゐる 場合で は ございません。 私 は 矢庭に 遣戶を n け!^ し 

つきあ か おく はう を ど いた ときわた くし め さへ ぎ 

て、 月. 明りのと どかない 奥の 方へ 跳り こまう と 致しました。 が、 その 時 私 の 眼 を 遮った もの は 

1 'いや、 それよりも もっと 私 は、 同時に その 部屋の 中から、 彈 かれた やうに 跃け 出さう とした 

をん な はう おどろ を/な であ ひがしら あや ふ わたくし つ あた ま.- そと ころ で 

女の 方に 驚かされました。 女 は 出合 頭に 危く 私に 衝き當 らうと して、 その 儘 外へ 轉び 出ました が. 

ぜ ひざ いき き わたくし かほ なに そ み ケ の,' 

何故か そこへ 膝 をつ いて、 息 を 切, らしながら 私の 額 を、 何 か 恐ろしい もので も 見る やうに、 戰き 

戰き 見上げて ゐ るので ございます。 

よし ひで むすめ なに ま を あ > 、 ばん 

それが 良秀の 娘だった こと は、 何も わざわざ 申し上げ るまで も ございますまい。 が, その 晚の 

をん な にんげん ちが いき/ ヽ わたくし めう つ めお ほ を 

あの 女 は、 まるで 人間が 遠った やうに、 生々 と 私の 服に 映りました。 眼 は 大きく か,. - やいて 居り 

ほ. -ぁ かも を みだ はかま ろち ぎ い つ を. な う 

ます。 頰も 赤く 燃えて 居りました らう。 そこへ しどけ なく 亂れた 袴ゃ挂 が、 何時もの 幼 さと は 打 

^± ^ そ じっさい よわく なにごと ひか め がち よし ひで 

つて 變 つた 艷し ささへ も 添へ て をり ます。 これが 實際 あの 弱々 しい、 何, にも 控へ目 勝な 良秀の 

むすめ わたくし やり ど み さ つきあ か なか うつ,、 むすめ すがた なが 

娘で ございませ うか。 —— 私 は 遣 戶に身 を 支へ て、 この 月明りの 中に ゐる 美しい 娘の 姿 を 眺めな 

あわた とほ ゆ ひとり あしおと ゆび ,ぴ , * .^^ - - ん M か 力: 

がら、 慌 しく 遠の いて 行く もう 一人の 足音 を、 指させる ものの やうに^ さして です と 1.1 に^ 



38 



たづ 

で 尋ねました。 

むすめ くちびる か if- ま くび ようす * ^ ま r く や 

すると 娘 は 替を嚙 みながら、 默 つて 首 を ふりました。 その 容 子が 如何にも 亦 口惜し さうな ので. 

ござい ます。 

わたくし み むすめ み、 くち こんど たれ こ ,..:.《5 たづ 

そこで 私 は 身 を か めながら、 娘の 耳へ 口をつける やうに して、 今度 は 「誰です」 と 小 聲で尋 ね 

. む.^ め くぴ ふ なん へんじ いた どうじ なが 

ました。 が、 娘 はや はり 首 を 振った ばかりで、 何とも 返事 を 致しません。 いや、 それと: M 時に 長. 

まつげ さき なみだ いつ i へ か, 二 くちびる か 

い 睫毛の 先へ、 淚を 一ば いためながら、 前よりも 緊く 脣を嚼 みしめ てゐ るので ございます G 

しゃう とくお ろか わたくし わか ほど わか こと ほか あいにく なに ひと Q 

性 得 愚な 私に は、 分りす ぎて ゐる程 分って ゐる 事の 外 は、 生憎 何 一 っ吞 みこめません。 で ござ 

わたくし ことば し し ら たど むすめ わ ね どう キ- み、 す 11 ろ 

いますから、 私 は 語の かけやう も 知らないで、 暫く は 唯、 娘の 胸の 動 棒に 耳を澄ませる やうな 心 

もちで、 ぢ つと そこに 立ちす くんで 居りました。 尤も これ は 一 つに は、 何故か この 上 問 ひ. 訊す の 

わる き とが いた 

が惡 いやうな、 氣 咎めが 致した からで も ございます。 —— 

くら ゐっピ あ けな やり ど とざ すこ じ や.. メき 

それが どの位 緩いた か、 わかりません。 が、 やがて 開け放した 遣 戶を閉 しながら、 少し は上氣 

さ むすめ はう み かへ ざう し お かへ -て さ- だけ ,を 

の 褪めたら しい 娘の 方 を 見返って、 「もう 曹司 へ 御歸 りた さい」 と 出 來る丈 やさしく 申しました。 

わたくし じぶん なにみ み ふ あん ろ おびやか たれ 

さう して;^ も 自分ながら、 何 か 見て はならない もの を 見た やうな、 不安な 心 もちに 脅されて、 誰 



變 yl: 地 



39 



+y つか おも もとき は う ある だ ところ じつ! ある うす 

に ともなく 恥し い 思 ひ をしながら、 そっと 元來た 方へ 步き 出しました。 所が 十 步と步 かない 中に、 

だ. e * 、/一 わたくし よ かや: すそ うしろ おそ お そ ひ と わたくし おどろ ふ -w- 

敝か又 私 の 祷の裾 を、 後から 恐る恐る、 引き止める では ございま せんか。 私 は 驚いて、 报 り,; 

がな なん おぼしめ 

きました。 あなた 方 は それが 何 だった と 思 召します? 

み わな,、 し し さる よし ひで にんげん り や-つて こ が fs?- す 1- なら 

见る とそれ は 私の 足 もとに あの 猿の 良秀 が、 人 の やうに 雨 手 をつ いて 黄 余の 鈴を呜 しなが 

ら、 何度と なく 丁 に 頭 を 下げ て ゐ る の で ございました。 

十四 

ばん で き ごと はんつき のち こと あるひ よし ひで レ-っ ぜんお やしき 

すると その 晚の 出來 事が あってから、 半月ば かり 後の 事で ございます。 或 日 良秀は 突然 御^へ 

まゐ お ほとの さま ぢき おめ ど ほ ねが いや みぶん -、, - ひ 一,.. Is. . 

參 りまして、 大 殿様へ 直の 御^通り を 願 ひました。 卑しい 身分の もので ございま すか nKN 力ら 

かくべつぎ よい い たれ ようい お あ こな レー. ST.;t ?、 - * 

格別 御意に 入って ゐ たからで ございませう。 誰に でも 容易に 御會 ひに なった 事の ない 大殿橡 が 

ひ こ-ろよ ごしょうち さつ そ っー ぜんち か お め をと こ ^ ^^^.^^J: ) ) 

その 口 も 快く 御 承知に なって、 早速 御前 近くへ 御召しに なりました。 あの 男 は 例の 通り 香 染めの 

かりぎぬ な ゑ ぼし いた i- い つ いっそ. つき かほ 、- P ^.v^ 、 

狩 衣に 萎えた 烏 精子 を 頂いて、 何時もより は 一 氣むづ かし さうな 額 をしながら 恭しく 御ポへ 

へいふく、, た し はが こる 5 ま を 

平伏 致し ましたが、 やがて" 吸れ た聲で 申します に は、 



「兼ねぐ 御 云 ひつけに なりました 地獄 變の 屏風で ございま すが、 私 も 口 夜に 丹; i を杣ん でて、 

ふで A 一 かひみ で き あが どうぜん 

筆 を 執りました 甲斐が 見えまして、 もはや あらまし は出來 上った の も 同前で ございま する。」 

「それ は 目出度い。 予も 滿足ぢ や。」 

おっしゃ お ほとの さま お こみ? なぜ めう ちから な はりあ ひ ところ 

しかし かう 仰 有る 大 殿様の 御 整に は、 何故か 妙に 力の 無い、 張 合の ぬけた 所が ございました。 

いつかう め で た よし ひで や y はら だた よ. す め ふ 

「いえ、 それが 一 向 目出度く は ござり ませぬ。」 良秀 は、 稍 腹 立し さうな 容 子で ぢ つと 服 を 伏せな 

で き あが た 3- ひと い もつ わたくし か ところ 

がら 、「あらまし は出來 上り ましたが、 唯一 つ、 今以て 私に は 描け ぬ 所が ございま する。」 

か ところ 

「なに、 描け ぬ 所が ある?」 . 

わたくし そう み かか とくしん 

「さやう でございまする。 私は總 じて、 見た もので なければ 描け ませぬ。 よし 描 けても、 心が 

t ゐ か . おな こと 

參り ませぬ。 それで は 描け ぬ も 同じ 事で ございませぬ か。」 

お き お ほとの さま お かほ あざけ ひ び せ- うか 

これ を 御 聞きに なると、 大 殿様の 御顔に は、. 嘲る やうな 御 微笑が 浮びました。, 

「では 地獄 變の 屏風 を 描かう とすれば、 地獄 を 見なければ なるまい な。」 

わたくし せんねんお ほく わじ とき えんねつ \ソ つ-,、 まう くわ 

「さやう で ござり まする。 が、 私 は 先年 大火 事が ございました 時に、 炎熱地獄の 猛火に もまが ふ 

ひて ま な が ふどうく わ え んか しつ , 、 わじ あ 

4. 火の手 を、 眼の あたりに 眺めました: 「よ ぢり 不動」 の 火焰を 描き ましたの も、 實は あの 火 まに 遇 



I^BIJ 地 



41 



ご ビん ゑ ご しようち 

つたからで ご ざ いまする。 御前 も あの 綺は御 承知で ご ざ いませう 。」 

ざいにん 「フ、 そつ み こと お ほとの V. ま よし ひで キ: を こと おみ、 

「しかし 罪人 はどう ぢゃ。 獄卒 は 見た 事が あるまい な。」 犬 殿様 はまる で 良 \ ^の 申 十 事が 御 -p^ に は 

つ- ようす た、 お た-つ 

ひらなかった やうな 御容 子で、 かう 墨み かけて 御 尋ねに なりました。 

わたくし くろがね くさり い しめ み こと け てう なや すがた つぶ 

「 私 は鐵の 鎖に 縛 られ たもの を 見た 事が ございま する。 怪 鳥に 惱 まされる ものの 姿 も 具に 

うつ ざいにん しゃく くる さま し キを * へた-ごくそつ い 

寫 しとりました。 されば 罪人の 呵責に 苦しむ 樣も 知らぬ と 巾され ませぬ。 又 獄卒 は —— 」 と 云つ 

よし ひで き み わる く せラ もら 中: た ごくそつ ゆめつつ.^ なんど わたくし め うつ 

て、 良 秀は氣 味の 惡ぃ 苦笑 を洩 しながら、 「又 獄卒 は、 夢現に 何度と なく、 私の 服に 映りました。 

あるひ _..ー づ あるひ め づ あるひ さんめんろっぴ おに かたち おと て た. - r£ で くち ひら わたくし 

或は 牛 頭、 或は 馬頭、 或は 三面六臂 の^の 形が、 昔の せぬ 手を拍 き、 聲の 出ぬ 口 を 開いて 私 を 

さいな ゐ ほ とん ま, \に ちまい よ * 、を わた,、 し か 

虐 みに 參 ります の は、 殆ど 毎日 毎夜の ことと 申しても よろしう ございませう。 —— 私の 描かう と 

し て 描け ぬ の は、 そ の やうな も の で は ご ざい ませぬ。」 

お ほとの ざま V. すが おお ご ろ しばら た 4- いらだ よし ひで 

それに は 大殿樣 も、 流石に 御 驚きに なった で ございませう。 暫く は 唯 苛立たし さう に、 良^の 

額 を 睨めて 御 出に なり ましたが、 やがて 眉を險 しく 御 動かしに なりながら、 

なに ま を うつち や おっしゃ 

「では 何が 描け ぬと 申す のぢ や。」 と 打捨る やうに 仰 有い ました e 



42 



十五 

わたくし ぴ やうぶ た なか ぴ らうげ ノ る ま いちり やう そら お く ところ か お 4 を 

r 私 は 屏風の 唯 中に、 檳榔 毛の 車が 一 輛、 签 から 落ちて 來る所 を 描かう と m.^ つて 居ります る J 

よし ひで 、 はじ するど お ほ, VGV.- ま お かほ なが をと こ る; こ y ク , 、 ^ 

良 \ ^はかう 云って、 始めて 銳く大 殿様の 御顏を 眺めました。 あの は 畫の事 を 云.. I と なま 5! ひ t:^ 

樣 4 なると は 問い て 居り ましたが、 その 時の 眼の くばりに は紘 にさ やうな 恐ろし さがあった やう 

でございます。 

くるま なか ひとり じ やうら ふ まう くわ なか く. ろか-み みお 、^; ^る Z ノ -. > 

「その 車の 中には、 一人の あでやかな 上 藤が、 猛火の 中に 黑髮 を亂 しながら 悶え 苦しん てゐる 

かほ けむり むせ .5 ゆ ひそ そら やかた- , を, - --' て-」」 

ので ございま する。 顔 は 煙に 咽びながら、 屑 を 顰めて、 空 ざまに 車 蓋 を^いで 居り ませう ザに 

下ぎ Ji,」 引きちぎって、 降り か、 る 火の粉の 雨 を 防がう として ゐる かも 知れ ませぬ。 さう して その 

あや してう -シっ にじつ くちばし な ぶん/ ヽ と めぐ 

ま はりに は、 怪しげな 鷥 鳥が 十 羽と なく、 二十 羽と なく、 嘴 を 鳴らして 紛々 と 飛び 繞 つて ゐ るの 

でございまする。, i あ、、 それが、 牛車の 中の 上 腺が、 どうしても 私に は 描け ませぬ。」 

「さう して. ど うぢ や。」 

お ま. ての さ i い わ は めう よろこ な け しき よし ひで ; 55, う が , J 、よ: t 

大殿樣 はどう 云ふ譯 か、 妙に 悅ば しさうな 御氣 色で、 かう 良 秀を御 促しに なりました 力 良 



變獄地 



43 



ひで れい あか くちびる ねつ で とき ふる S め み おも てうし 

秀は 例の 赤い 唇 を 熱で も 出た 時の やうに 震 はせ ながら、 夢を見て ゐる のかと 思 ふ 調子で、 

「それが 私に は 描け ませぬ。」 と、 もう 一度 繰返し ましたが、 突然 嗜 みつく やうな 勢 ひに なって、 

ぴ らうげ く ,0 まいち り やつ わた,、 し み まへ ひ ぃ.^ 

「どうか 檳榔 毛の 車 を 一輛、 私の 見て ゐる 前で、 火 を かけて 頂きた うご ざいます る。 さう しても 

し出來 まするならば. 」 

お まと さま お t くら おも とつぜん お わら 

大殿樣 は 御顏を 暗くな すった と 思 ふと、 突然け たたまし く 御 笑 ひに なりました。 さう して その 

お わら つ) ゑ いき おっしゃ 

御 笑ひ聲 に,: nl^ をつ まらせ ながら、 仰 有い ますに は、 

*K んじ はう ま を とほ いた つか できで さ せんぎ む やく さ た 

「お \ 萬事その^-が申す通りに致して遣はさぅ。 出來 る出來 ぬの 詮議 は 無益の 沙汰 ぢゃ. に 

わたくし おこ, V 一ぶ, うか ビ むし し なん す さ +V- き いた じっさい i たお ほとの さ * へ 

私 は その 御; i を 伺 ひます と、 蟲の 知らせ か、 佝 となく 凄じい 祭が 致しました。 實際乂 大殿樣 

-, •_ よう ダ お くち よ し しろ あわ を おん ゆ いな-つ ..H おこ 

の 御容子 も、 御ロの端には白く泡がたまって^^りますし、 御 35 の あたりに はび く-/ \ と電が 起つ 

を ょしr^で ぐる お そ おも ほど たぐ 

て 居ります し、 まるで 良秀の もの 狂 ひに 御 染みな すった のかと m 心 ふ 程、 唯なら なかった ので ござ 

こと JH- お & *H たなに は ぃキほ と ど のど 

います。 それが ちょいと 語 を 御 切りに なると、 すぐ 又佝 かが 爆ぜた やうな 勢 ひで、 止め 度な く 喉 

を 鳴らし て 御 笑 ひに な りながら、 

び らう タ くるま ひ た たか をん な ひ. V り じ やうら ふ よそ ほひ Q リカ 

「檳榔 の 車に も 火 を かけよう。 又 その 中には あでやかな 女 を 一人、 上 藤の 装 を させて 乘 せて 遣 



i の くろけむり せ くるま なか をん な も だ じに か "も 

はさう。 炎と 黑煙 とに 攻められて、 車の 中の 女が、 悶え 死 をす る —— それ を 描かう と 思 ひついた 

さすが てんか だいいち ゑし ほ ► ほ . 

の は、 流石に 天下 第一 の 総師ぢ や。 褒めて とらす" お、 褒めて とらす ぞ。」 

お ほと Q さま お ことぶ き よし ひで きふ いろ うしな あへ た くす、 ひる うへ" か を 

大 殿様の 御言 葉 を 聞きます と、 良秀は 急に 色 を 失って 喘ぐ やうに 唯、 辱ば かり 動して 居り まし 

からだ; f う すぢ ゆる た- -み りゃうて 

たが、 やがて 體 中の 筋が 緩んだ やうに、 ベたり と 疊へ雨 手 をつ くと、 

.■,c りが た しあ. H せ キ-こ ヤこ ほど ひく --ゑ ていねい お れい ,& 

「難 有い 仕が 口で ございま する。」 と、 聞え るか 聞えない かわからない 程 低い 聲で、 丁寧に 御禮 を-::— 

あ お ほかた じ ぶん かんが もく つ そ お ほとの ざま お 一-と. は 

し 上げました。 これ は 大方 自分の 考 へて ゐた 目ろ みの 恐ろし さが、 大 殿様の 御言 葉に つれて あり 

め まへ う. f き わたくし いっしゃう うち たビ いちど とき よし ひで 

ありと HE の 前へ 浮んで 來 たからで ございませ うか。 私 は 一 生の 屮に唯 一 度、 この 時 だけ は 良秀が 

f どく にんげん おも 

氣の 毒な 人 問に 思 はれ ました C 

十六 

C さん- -ち よる こと お ほ 上 Gv.- ま お やく そ 二 ど ほ よし ひで おめ び らう 

それから T ニー r 日した 夜の 事で ございます。 大殿樣 は 御 約束 通り、 良秀を 御召しに たって、 核榔 

f くるま や ところ ま ぢか み お I もっと ノ ほ"^ か は 1 1 ,--;i^-、 : 

毛の 車の 燒 ける 所 を、 目 近く 見せて 御 やりに なりました 尤も これは^ 川の 御 fflf であった 事で は 

4 ちく きデ r 一 しょ ノ むかしお ほと G さ *i いもうとぎ み らくぐ わい さんさう ^^1 ^ * 

4 ございません。 ^に 雪, t の 御所と 云 ふ、 昔大 殿様の 妹 君が いらし つた 洛外の 山莊で 御燒 きにな 



键 m 地 



45 



つたので ございます。 

ゆきげ y しょ ま を ■ ひざ お 十 ま ところ ひろ お に は 

この 雪 解の 御所と 申します の は、 久しく どなたに も 御 住 ひに はならなかった 所で、 ^い 御 庭 も 

あ i うだ.., あ ま を お ほんた ひとけ n ようす はいけん も Q あてす ゐ りゃう 

荒れ 放题 荒れ果てて 居り ましたが、 大方 こ の 人 1^ のない 御容 子を拜 見した 者の 當 推量で ございま 

お な いもうと ぎみ おみ うへ と かく うは さ た なか * たつ キ- 

せう。 こ, - で御歿 くな りに なった 妹 君の 御身の 上に も、 觅 角の 〈s- が 立ちまして、 中には 乂パ のな 

よ でと ま あや おん i かま ひ いろ ち お ら, つか あゆ い .V りさ " いた 

い 夜毎々々 に、 ケ でも 怪しい 御 袴の 緋の 色が、 地に もっかす 御廊: 卜 を 歩むな どと 云 ふ 取沙汰 を 致 

む り ひる V: び >*J しょ いちど ひ 

す もの も ございました。 —— それ も 無理で は ございません。 畫 でさへ 寂しい この 御所 は、 一度 m 

く わりみ づ おと ひ. v-e- は. -ん ひ-. - ほし あか と ご ゐ ざぎ けぎ やう もの おも 

が 暮れた となり ますと、 遣 水の 昔が 一際 陰に 響いて、 星 明りに 飛ぶ 五位 驚 も、 怪 形の 物 かと 思 ふ 

ほど き み わる 

程、 味が 惡 いので ございま すから。 

ちゃう ど よ っキ- くら ん お ほ .vc あぶら ほ.^ げ なが えん 

丁度 その 夜 はや はり パ のない、 まつ 暗な 晚で ございま したが、 大殿 油の 灯影で 眺めます と、 緣 

ちか ざ .r し お ほヒの ざま ち ざ ぎ なほし 二 わら さき うき もん V,- しぬ キー いつ. め し しんち 

に 近く 座 を 御 h:: めに なった 大殿樣 は、 淺 黄の 直 衣に い 紫の 浮紋の 指貫 を 御 召に なって、 n 地の 

ぎの 緣を とった ぼ 座に、 古 2 々と あぐら を 組んで いらっしゃいました。 その: ^1 後 左. 一 利に 御關 のお ど 

ご ろくにん うや/^ ゐ *H ら を べっとた A を あ 

もが 一.;^ 六 人、 恭しく 居並んで 居り ましたの は、 训に 取り立てて 巾し 上げる まで も ございますまい。 

が、 中に 一人、 er だって 事 ありげ に:: えたの は、 先年 陸 奥の 戰 ひに 娥スム て 人の 肉 を 食って 5^ 來、 



し 4- 、* づ のさ い が- 「りき さむ。 ひ した はらまき き ようす た ち かも,; じり は, 

鹿の 1^ 角 さへ 裂く やうに なった と 云ふ强 力の 侍が、 下に 腹 卷を着 こんだ 容 子で、 太刀 を瞰: ^に倜 

そ お えん しだ いかめ こと , , み:. な、 に. ,かぶ 

き 反らせながら、 御緣の 下に 嚴 しくつく ばって ゐた 事で ございます。 —— それが 皆 夜風に 靡く 

ひ ひんり おる ひ あか あるひ くら ほ とん ^めう つ. - わか け しき な ぜ ^ . ^で み わた, > を t 

灯の 光で、 或は 明るく 或は 暗く、 殆ど 夢現 を 分たない 氣 色で 何故か もの 凌く 見え 渡って 居り ま 

した。 

その上に 又、 御 庭に 引き 据 ゑた 檳榔 毛の 車が、 高い 車 蓋に のつ しりと 暗を扣 へて、 牛 はっけす 

くろ ながえ な、 め しぢ こ がね ほし ひ-ふ - ; 

黑ぃ賴 を 斜に榻 へ かけながら、 金物の 黄金 を 星の やうに ちらちら 光らせて ゐ るの を 眺めます と 

.H る ^*J> は. だ ざむ きいた もっと くるま うち ふせんり よう ふち あ ルれ 、 

泰と はーズ ふ ものの 何となく 肌寒い 氣が 致します。 尤も その 車の 5: は、 浮 線 綾の 緣を とった iln 節が 

重く 封 じこめ て 居ります から、 柳に は 何が は ひって ゐ るか 判りません。 さう して その ま はりに は 

5 ち. e.- う てで, まつと けむり お えん はう なび き、 , - * し, ^u. 

仕 丁た ちが、 手ん 手に 燃えさ かる 松明 を 執って、 煙が 御緣の 方へ 靡く のを氣 にしながら 仔細ら 

ひか を 

しく 控 へ て 居ります。 

t よし ひで や、 ほな ちゃう どお えん まむ かひ ひざ ま-つ & ノぃ つ: I f;^ メぷ , 、 パ, り 

當の良 秀は稍 離れて、 丁度 御 緣の眞 向に、 跪いて 居り ましたが これ は 何時もの 香?^ メ らしい 狩 

ぎぬ な もみ ゑ ぼし いんぶ ほしぞら おもお ノ おも 、くら JJ« に ^ - -^v^*,s » ^ - - 

衣に萎ぇた揉^11.?帽子を頂ぃ て、 星 i 仝の 重みに 壓 された かと 思 ふ 位 何時もより は猶づ さく 見す 

6 み うしろ また ひとり おな ろ! ,t し . りぎ ぬ ぅ-っく ま た- ぶ、 んめ Z 「一一 

4 ぼら しげに 見えました。 その後に 又 一人 同じ やうな 帽子 狩 衣の^ つたの は 多分 刀 叩し 述れ たが 



键獄地 



47 



し ひとり ちゃう ど ふたり とほ くら なか c づ くま を 

子の 一人でで も ございませ うか。 それが 丁度 二人とも、 遠い うす 暗がりの 中に^って 居ります の 

わたくし お えん した かりぎ いろ さ だ 

で、 私の ゐた 御緣の 下から は、 狩 衣の 色 さへ 定かに はわ かりません。 

十七 

じ こく かれこれ ま よ なか ちか りんせん やみ こ ゑ 

時刻 は 彼是 眞 夜中に も 近かった で ございませう。 林 泉 をつ 、んだ 暗が ひっそりと を^んで、 

一同の する,; を 親って ゐ ると 忍 ふ 中には、 唯 かすかな 夜她の 渡る 昔が して、 松明の 煙が その 度に 

す-くさ に ほひ おく キゐ お ほと ざま しばら だ i ふ し ぎ け しき なが 

煤 臭い 勻を 送って 參 ります。 大殿樣 は 暫く 默 つて、 この 不思議な 景色 をぢ つと 眺めて いらっしゃ 

いました が、 やがて 膝 を 御 進めになります と、 

よし ひで するど お よ 

「良 秀、」 と、 銳く御 呼びかけに なりました。 

良秀は 何やら 御 返事 を 致した やうで ございま すが、 私の. 耳に は 唯、 唸る やうな 難し か 間え て參 

りません。 

よし ひで こ よ ひ はう のぞ どま くるま ひ みっか 

一良 秀。 今宵 は その 方の 望み通り、 車に 火 を かけて 昆 せて 遣 はさう。」 

お ほとの さま おっしゃ お そば もの はう なが め y らん と, なに お ま A- のさ ま 

大 殿様 はかう 仰 有って、 御 側の者た ちの 方 を 流し. おに 御覽, になり ました。 その 時 何 か 力 殿樣と 



^8 



裤很の 誰彼との 間に は、 fag ありげ な 微笑が 交された やうに も 見う けました が、 これ は與气 船. L 

) ) - I > . ^か - . 2 - よふで で .i, そ おそ かしら あ おえん うへ あ ふ 

グーき ジ-せ ゐカも 分りません。 すると 良 1^ は 長 る 長 る 頭 を擧げ て 御緣 の 上 を 仰いだら しう ご ざ い ま 

:: ) なに * を あ ひか を 

す 力 やはり 何も 申し上げ すに 控 へて 居ります。 

1 み- 1 よ ひ ーピろ くるま はう ぉ.^^ よ くるま > 

I よう 見, い それ は予が 日頃 乘る 車ぢ や。 その 方も覺 えが あらう。 —— チは その 車に これから 火 

, ゝ ま えんねつち 一く げん つもり 

を 力け て 目の あたりに 炎. 1 一 地獄 を 現ぜさせる 心算 ぢ やが。」 

お ほと さま キた こと K おや お そ, ± もの めく f きふ -,: 

大殿樣 は 又 語 を 御 止めに なって、 御 側の者た ちに 朐せ をなさい ました。 それから にお々 しい 

P なか ざいにん にょうば う ひとり ぃ气し si の くるま ひ . isj ちゃ, ノ 

#: 調子で 一 その 中には 罪人の 女房が 一人、 縛め た儘乘 せて ある。 されば に 火 を かけたら、 、仏定 

» モスな にく や ほね こが し く はっく さい, ピ 七 ま う ,ゃ うぶ ^ あ 

その 女め は 肉 を 燒き骨 を 焦して、 四苦パ 苦の 最期 を 遂げる であらう。 その:; が ぽ風を 仕上げる に 

> また よ, T ほん ゆき はだ も た ビ み くろ.^„-み ひ こ 

は 叉と ない 好い 手本 ぢゃ。 雪の やうな 肌が 燃え 爛れる のを见 のがすな。 黑髮が 火の粉に なって、 

は, あが み お 

舞 ひ 上る さま もよう y:- て 置け。」 

お ほと さ i さんど くち お つぐ な こ お お, b こん ビ ? • - V, -k 

大殿樣 は 三度 口 を御噤 みに なり ましたが、 何 I をき 思 ひに なった のか、 今度 はぎ Is! を^って、 i 

た お わら 

も 立てす に 御 笑 ひたさりながら、 

「末代まで もない 觀物ぢ や。 予も ここで 見物しょう。 それ それ、 籠 1! 揚げて、 に.^ の 5r ヒ, 見 



變 3^: 地 



49 



せて 遣さぬ か。」 

お ほせ き じち やう ひとり かたて i つ ひ たか くるま ちか や 

仰 を 聞く と 仕 丁の 一人 は、 片手に 松明の 火 を 高く かざしながら、 つかつかと 車に 近づく と、 矢 

に-は かた ご すだれ あみ おとた もまつ 

庭に 片手 を さし 伸ばして、 簾 を さらり と 揚げて 見せました。 けた \ま しく 音を立てて 燃える 松明 

ひかり ひと あか だち i せま はこ なか あざわ てら だ とこ うへ わごた 

の 光 は、 一し きり 赤く ゆらぎながら、 忽ち 狹ぃ排 の 中を鮮 かに 照し 出し ましたが、 柳の 上に 慘ら 

/. さり に ようば う たれみ ちがいた ぬひ ざ くら か ら 

しく、 鎖に かけられた 女房 は —— あ \ 誰か 見 違へ を 致し ませう。 きらびやかな 縮の ある 樱の废 

衣に すべらかしの 黑 髮が艷 やかに 塞れ て、 うちかた むいた 黄金の 欽子も 美しく 輝い て 見えました 

み ちが こ づ,、 からだ さるぐつわ うなじ ざ ぴ くら ゐ 

が、 身なり こそ 違へ、 小 造りな 體 つき は、 猿轡の かかった 頸の あたり は、 さう して あの 寂しい 位 

よこが ほ よし ひで むすめ さう ゐ わた,、 し あや ふ さけ -ご么 た いた 

つ.^ まし やかな 横顔 は、 良秀の 娘に 相 遠 ございません。 私 は危く 叫び 聲を 立てようと 致しました。 

とき わたくし むか V,- むら ひ あわた み おこ つかがしら かたて おさ 

その 時で ございます。 私と 向 ひあって ゐた侍 は 慌 しく 身 を 起して、 柄頭 を片 乎に 抑へ ながら、 

きつ よし ひで はう にら おどろ なが をと こ け しき なか しゃう き うしな 

吃と R 秀の方 を 睨みました。 それに 驚いて 眺めます と、 あの 男 はこの 景色に、 半ば 正氣を 失った 

いま しお うづ C ま きふ と た おも りゃうて まへ のば 

ので ございませう。 今まで 下に^って ゐ たのが、 急に 飛び立つ たと 思 ひます と、 兩乎を 前へ 仲し 

ま. - くるま はう おも し はし いた た i.- あいにく まへ ま を とほ とほ かげ 

た 儘、 車の 方へ 思 はす 知らす 走り か \ らうと 致しました。 唯 生憎 前に も 申しました 通り、 遠い 影 

なか & かほ かたち わか おも いっしゅんかん いろ 

の 中に 居ります ので、 顔貌 ははつ きりと 分りません。 しかし さう 思った の はほんの 一 瞬 5^ で、 色 



をお ザ た^^の 織 は、 いや、 まるで E^SI に si- えない がが 宙へ 吊り上げ たやうな 良 秀の娄 は、 忽 

ちう す if がり を, り 把いて ありあり と g 富へ i£ び りました。 娘を乘 せた 檳榔 毛の 琪が、 この 時、 

ひ , お ほと G さま おことば とも じち やう な *^ ド ひ、 "?, r 、、- -ぇ、 ん、, く .%. ユ 4 リ 二 

「5< を かけい」 と 云ふ大 殿様の 御 語と 共に、 仕 丁た ちが 投げる 松明の 火 を、 ぬぴて 炎々 と 燃^ ュ てん 

ので ございます。 . 

十八 

だは^る^ る s_ に、 をつ-みました。 啦-^-っぃた紫の流蘇が、 煸られ たやう にさつ と應く 

しこ も-つく よ め しろ ナれ- り 5- つ ま あるひ すだれ あるひ そで I. あるひ 小:5 -か/ i 、 い, に^- - 

と、 その 下から 灌々 と 夜目に も 白い 麼が 渦を卷 いて、 或は 簾、 或は 袖 或は il^ の 金物 力 一お に 

^けて, ん だかと, I ふ^、 やの &が 蘭の やうに 舞 ひ 上る II その 凄じ さと 云ったら ございません „ 

した は そでが つし から なかぞら た のぼ ノ ^^0^^ 

いや、 それより-もめら めら と 舌, を 吐いて 袖 格子に 搦 みながら、 半 〈4^ まで も 立ち 昇る- ダ-々 とし ズ》 

の^は、 まるで^^*が地に,ちて、 !k 火が S つた やう だとで も 申し ませう か。 おに 危 くれば うと 

し 4^i、 ^1 お.^^ して、 |§51と^^.を1|きながら、 この^ろ しい M 環 ビが¥ るより 外 は 

おや よし ひで 

5 ございません でした。 しかし 親の 良秀は —— 



變 fll/: 地 



51 



よし ひで とき かほ いま わたくし わす おも し . '、る ま はう か よ 

良秀の その 時の 顏 つき は、 今でも 私 は 忘れません。 思 はす 知らす 車の 方へ 驅け 寄らう とした あ 

をと こ ひ も あが どうじ あし と て のば さ、 くい め 

の 男 は、 火が 燃え 上る と 同時に、 足 を 止めて、 やはり 乎 を さし 仲した 儘、 食 ひ 入る ばかりの 眼つ 

/、る ま えんえん す なが を まんしん あ ひ ひかり 

きをして、 車 をつ. -む焰 堙を吸 ひつ けられた やうに 眺めて 居り ましたが、 滿 身に 浴びた 火の 光で、 

しわ みにく かほ r.- げ V.- き み お ほ み ひら めな かい ひ 

皺 だらけな 醜い 顔 は、 髭の 先まで もよ く 見えます。 が、 その 大きく 見開いた 眼の 屮と云 ひ、 引き 

§ が く びる い あるひ またた ひ つ ほ、 にく ふる い よし ひで こ、 ろ こもん \ゎ う 

: 鬼め た 唇の あたりと 云 ひ、 或は 又絕 えす 引き攣って ゐる頰 の 肉の 震へ と 云 ひ、 良秀の 心に 交々 柱 

おそ かな おどろ れき かほ か くび は まへ ぬすびと ないし 

來 する 恐れと 悲しみと 驚きと は、 歷々 と 額に 描かれました。 首 を 刎ねられる 前の 盜人 でも、 乃至 

じ ふわう "つ f つ ひ だ じふぎ やく/」 あく ざいにん くる か .&ひ いた 

はト 王の 鹿へ 引き出された、 十 逆 五惡の 罪人で も、 あ. - まで 苦し さうな 額 は 致しますまい。 これ 

さすが が-つりき さむ、 いひ おも いろ か おそ おそ お ほとの さま お v. よ あ ふ 

に は 流石に あの 强 力の 侍で さへ、 思 はす 色を變 へて、 畏る 長る 大 殿様の 御顏を 仰ぎました。 

お ほと つ さ ま かた く +., 、ひる お か と 今- ん\き み わる お わら め はな 

が、 大殿樣 は 緊く替 を御嚙 みに なりながら、 時々 氣味惡 く 御 笑 ひに なって、 眼 も 放さす ぢ つと 

/ヽる ま はう おみ くる 1 エ なか わたくし とき 

車の 方 を 御 見つめに なって いらっしゃいます。 さう して その 車の 中には —— あ, -、 私 は その 時、 

くる., H むすめ すがた なが く は ま を あ ゆうき たうて い おも 

その 車に どんな 娘の 姿 を 眺めた か、 それ を 詳しく 申し上げる 勇氣 は、 到底 あらう とも E 心 はれませ 

けむり むせ あ ふむ しろ ほつ ほ はら みだ かみな が またみ まひ 

ん。 あの 煙に 咽んで 仰向けた 顔の 白 さ、 焰を 掃って ふり 亂れ た髮の 長さ、 それから 乂 見る 問に 火 

か は ゆ さくら か^ぎぬ うつく なん い むご け しき 二と よ かぜ 

と變 つて 行く、 の 唐衣の 美し さ、 —— 何と 云ふム 一たら しい 景色で ございまし たらう。 殊に 夜風 



52 



十 

九 



ひとお ろ l:..c り むか なび とき あか うへ ,* -ん ぶん * 卜、 、 ほのほ なか , ^ あぶ > - 、 ^-^ 

がー 下しして、 煙が 向う へ 靡いた 時、 赤い 上に 金粉 を 撒いた やうな、 焰の 中から!^;:: き 上って、 猿 

ぐつ わ か いましめ くさ W- き み も だ ありさま ぢ 二" I に ふゾ ま : 、うわ ,だ_| 

轡を嚙 みながら、 縛の 鎖 も 切れる ばかり 身悶え をした 有樣は 地獄の 業苦 を 目の あえりへ 寫し出 

うたが わたくし はじ がう りき さむ. i ひ みけ - -,^ 

した かと 疑: y れて、 私 始め 强 力の 侍までお のづと 身の 毛が よだちました 

よ かぜ i おひと わた お に は き ビ こす ゑ かよ „• お f k - - - 3 

すると その 夜風が 又 一渡り、 御 庭の 木々 の 梢に さっと 通 ふ —— と 誰でも ひました らう さ 

い おと くら そら し はし おも た ちま なに く, ろ ; * ち- I „ 1 

う 云 ふ 昔が 暗い 空 を、 どこと も 知らす 走った と 思 ふと、 忽ち 何か黑 いものが 地に もつ 力す 宙に 

と ,v り を ど ご しょ やね ひも くるま なか いちもんじ 

も 飛ばす、 鞠の やうに 躍りながら、 御所の 屋根から 火の 燃えさ かる 車の 中へ、 一文せ に とびこみ 

しゅぬり そでが うし り お なか そ むすめ かた だ 

ました。 さう して 朱塗の やうな 袖 格子が、 ばらばらと 燒け 落ちる 中に, のけ 反った 娘の 肩 を 抱い 

^;^ さ するど こ ゑ なん い くる なが けむり そと と, a - ンリパ * た 

て、 帛を 裂く やうな 銳ぃ聲 を、 何とも 云へ す 苦し さう に、 長く 煙の 外へ 飛ばせました 絵いて 又 _ 

ふた こ ゑみ こも 5 わたくし われし どうおん さけ かべし ろ ほのほ ぅ丄ろ .C.5 つ/かた 

二 聲三聲 1— 私たち は 我 知らす、 あっと 同 昔に 叫びました。 壁 代の やうな 焰を 後に して 娘の 

すが ほり かよ おわし き つな よし ひで あだな さる - 

に 鍵 つて ゐ るの は、 堀川, の 御 邸に 繁 いであった、 あの 良 秀と歸 名の ある、 猿だった ので ごさい ま 

すから。 



變獄地 



53 



> -る すがた み いっしゅんかん きんな しち ひこ ひと 

が、 猿の 姿が 見えた の は、 ほんの 一 瞬間で ございました。 金 梨 子 地の やうな 火の粉が 一 しきり、 

そら あが おも うち さる もと わすめ すがた くろけ わり そこ かく お に は なか 

ぱっと i4i へ 上った かと 思 ふ 中に、 猿 は 元より 娘の 姿 も、 黑 煙の 底に 11 されて、 御 庭の まん 中には 

た いちり やう ひ くる す さま おと た も た 一 ま ひ くるま 

唯、 一輛の 火の車が 凄じい 音を立てながら、 燃え 沸って ゐる ばかりで ございます。 いや、 火の車 

い あるひ ひ はしら い はう ほし ぞ.. :: J に かへ おそ くわえん +C り ざま 

と 云 ふよりも、 或は 火の 柱と 云った 方が、 あの 星空 を銜 いて. 煮え返る、 恐ろしい 火焰の 有様に は 

ふさ はしい かも 知れません。 

ひ はしら まへ こ かた た よし ひで なん い ふし ギ- こ レー 

その 火の 柱 を 前にして、 凝り固まった やうに 立って ゐ る良秀 は、 —— 何と 云 ふ 不思議な 事で ご 

ぢ -, -ヌ、 せめく なや よし ひで いま い か^ゃ 

ざい ませう。 あの さっきまで 地獄の 責 苦に 惱 んでゐ たやうな 良秀 は、 今 は :14 ひやう のない 輝き を、 

くわう-一つ ほふえ つ か や しわ まんめん うか お ほとの さま ご ぜん わ "タ 

さながら 恍惚と した 法悅の 輝き を、 皺 だらけな 滿 面に 浮べながら、 大 殿様の 御前 も 忘れた のか、 

りゃう, つで むね く た V す をと こ め たか 

兩腕 をし つかり 胸に 組んで、 佇んで ゐる では ございま せんか。 それが どうも あの 男の 服の 巾に は、 

むすめ も だ し ありさま うつ た うつく くわえん いろ なか くる 

娘の 悶え 死ぬ 有様が 映って ゐ ないやう なので ございます。 唯 美しい 火焰の 色と、 その 中に 苦しむ 

にょにん すがた かぎ こ、 ろ よろこ い け しき み 

女人の 姿と が、 限りなく 心を悅 ばせ る さう 云 ふ 景色に 見えました。 

ふ し ぎ なに をと こ ひとりむすめ だんまつま うれ なが 

しかも 不思議な の は、 何も あの 男が 一人娘の 斷末魔 を 嬉し さう に 眺めて ゐた、 それば かりで は 

とき よし ひで な ぜ にんげん おも ゆめみ しし わ,, いか に あや 

ございません。 その 時の 良秀に は、 何故か 人間と は 思 はれない、 夢に 見る 獅子 王の 怒りに 似た & 



54 



しげな 嚴さ がご ざいました。 でございますから 不意の 火の手に 驚いて、 啼き騷 ぎながら 飛び ま は 

る g の 知れない 夜鳥で さへ、 氣 のせ ゐか 良秀の 揉烏霍 子の ま はりへ は、 近づかなかった やうで ご 

おそ む し^ とり め をと 二 かしら うへ ゑんく わう でと か、 9 7 ^、力, し、. r,!^ 、 

ざいます。 恐らく は 無心の 鳥の 眼に も、 あの 男の 頭の 上に、 圓 光の 如く 懸 つて ゐる 不可 m:; 議な 

尸ん 

威厳が 見え たので ございませう。 

レーり わたくし じち やう みないき 、 "A" 一 

鳥で さへ さう でございます。 まして 私たち は 仕 丁まで も、 ijl-ln^l を ひそめな 力ら 身の も 5? おへ 

るば かり、 異 || な隨 喜の 心に 充ち滿 ちて、 まるで^ 眼の 佛 でも 見る やうに、 眼 も 離さす、 良秀を 

9 そら, - ちめ C 1 二 わた くるま ひ たまし ひ うば た 、 よ で 

見つめました。 签 一面に 鳴り渡る 車の 火と、 それに 魂 を 奪 はれて、 立ちす くんで ゐる 良秀と —— 

何と 云 ふ 莊嚴、 何と 云ふ歡 喜で ございませう。 が、 その 中で たった 一人、 御緣の 上の 大殿樣 だけ 

く 3 じ,? おも 5 ど "つ かま "-ろ あ を くちもと あわ お 、す"^ き- 

は、 まるで 別人 かと 思 はれる 程、 御 額の 色 も 青ざめて、 口元に 泡 を 御 ためにな りな 力ら ひ-.^ 

なき ざ り 5- うて お ちゃう どの ど かわ けもの > あ-へ,、 , --- 、ク r\ \ リ 

貫の 膝を兩 手に しっかり 8: つかみに なって、 丁度 喉の 渴 いた 獸の やうに 喘き つ^けて、 らっ しぶ- 

い ました。 …… 

二十 



變獄地 



55 



よ きァ y しょ お ほとの さま くるま お や こと た. ^ くち せじ やう も 

その 夜 1$^ の 御所で、 大 殿様が 車 を御燒 きになった 事 は、 誰の 口から ともなく 世上へ:^ れ まし 

たが、 それに 就いては 隨分 いろいろな 批判 を 致す もの も 居った やうで ございます e 先 第一に 3: 故 

1< 殿様が 良 秀の娘 を 御燒き k しなす つた か、 11 これ は、 かな はぬ 戀の 恨みから なすった の だと 

, う. H さ ちばんお ま お ほとの さま お .J^ しめ *4 つた くるま や ひと ころ び やう 

云 ふ が、 一番^う ございました。 が、 大 殿様の 思 召し は、 全く 車 を 燒き人 を 殺して まで も、 屏 

ぶ 化- か ゑ しこん じ やう よこしま こ お つもり さう ゐ - げん わた y し 

風の 畫を 描かう とする 綺師 根性の 曲な の を 懲らす 御 心算だった のに 相違 ございません 現に^5^は 

お ほとの V- ま お くち おっしゃ うか ビ こと 

大 殿様が 御ロづ からさう 仰 有る の を 伺った 事 さ へ ございます" 

よし ひで もくぜん わすめ や ころ ぴ やう、 ま か い 

それから あの 良秀 が、 目前で 娘 を燒き 殺されながら、 それでも It 風の 畫を 描きたい と 云- - その 

W くせき こ 、ろ なに た 力 をと こ G 、-^ 

木石の やうな 心 もちが、 やはり 何かと あげつら はれた やうで ございます。 中には あの を 篤って 

-a た おやこ じ やう あい わす にんめん じう しん くせもの i を 、 , - , - C- 、 

畫の爲 めに 親子の 情愛 も 忘れて しま ふ、 人面 獸 心の 曲者 だな どと 中す もの も ごさい ましん あ の 

よ か は そうつ i い かんが み .A た お ひとり い か いち ^ いいち G<,{- クぃ , 、 

横 川の I: 都樣 など は、 かう 云ふ考 へに 味方 をな すった 御 一人で、 「如何に ー藝 一能に 秀でよう とも 

ひと ごじ やう わき ま ぢ でく お ほか "5- つん や ,^ : -、、 - 

人と して 五常 を辨 へねば、 地獄に 隨 ちる 外 はない」 などと、 よく 仰 つた もので、 こざ: > ます 

ところ {•> ひとつき た いよ /(... ぢ つ-く へん ぴ やうぶ できあが * よし ひ 、で V. ノ つせ バ ぼル は- ゝ 

所が その後 一月ば かり 經 つて、 愈 地獄 變の屛 風が 出來 上ります と 良秀は nr. 迹 それ を # ^へ 

も で うや,^ お ほとの さま -ご らん そな ちゃう ど とき そ うづ さま お ゐ あは 

持って 出て、 恭しく 大 殿様の 御覽に 供へ ました。 丁度 その 時 は 僧都 樣も御 居 合せに なりました か 



に 死し 娘 ま も"' 
mi 骸チ: を m 



ぴ ひう ぶ ゑ ひ レーめ |,- 一 らん さすが いちで ふ てんち ふす ざ ひ、 あ し "へ_ にろ- や 

屏風の 畫を 一 目御覽 になり ますと、 流石に あの 一 帖の 天地に 吹き荒んで ゐる 火の-ほの 恐し さに 齊 

おどろ にが かほ よし ひで はう にら 

驚きな すった ので ございませう。 それまで は 苦い 顏を なさりながら、 良 秀の方 を じろ じろ 睨めつ 

おも し ひざ う で を おっしゃ ことば おき- 

けて いらし つたの が、 思 はす 知らす 膝 を 打って、 「出かし 居った」 と 仰 有い ました。 この 語 を 御 M 

お まと 「さま ノ、 う とき ご よらす いま ナた くし わす 

になって、 大 殿様が 苦笑な すった 時の 御容子 も、 未だに 私 は 忘れません。 

らい をと こわる い すくな おやしき なか * ほ、 とん ひソ- り, , :— 

それ 以來 あの 男 を 惡く云 ふ もの は、 少く とも 御 邸の 中 だけで は 殆ど 一人 もゐ なくなり ましん。 

たれ ,ひ Joi つぶ み いか ひ -, -- ろよ しひで にく おも ふ し ぎ おつ 一 そ こ. -ろ 

誰でも あの 屛風を 兄る もの は、 如何に 日頃 良秀を 憎く 思って ゐる にせよ, 不 田.^ 議に嚴 かな、 ももち 

う えんねつ: し _ ザ、 だいく げん にょじつ かん , 、 コ 

に 打 たれて、 炎熱地獄の 大苦艱 を 如實に 感じる からで も ございませう 力 

じ ぶん よし ひで よ な ひと かす を ノ 

しかし さうな つた 時分に は、 良秀 はもう この 恥に 無い 人の 數には ひって 居りました それ 

ぶ て き あがつ ぎよ じ ぶん へや はりな は ソ.^ ノ し,, , 、-、 - 3 ひ. とり ル 

風の 出來 上った 次の 夜に、 自分の 部屋の 梁へ 繩を かけて 縊れ 死んだ ので ございます 一人 

さきだ を AT こ おそ あんかん い . ノ, V- • 1 • - • I 3 

先立てた あの 男 は、 恐 らく 安閑と し て 生きな がらへ るのに 堆 へなかった のて ごさい ませ う。 

,■ ま をと こ いへ 」c と う. つ を もっと ち ひ しるし いし * の、 V いなん じ * ふね 乂 .ぉ かバ 

は 今でも あの 男の 家の 跡に 埋まって 居ります。 尤も 小さな 標の石 は その後 何十 年 力の 雨風 

むかし たれ はか し こけむ 

されて、 とうの 昔 誰の 墓と も 知れない やうに、 苔 蒸して ゐ るに ちが ひご ざいません 

广 大正 七^ 四月) 



しも か、 さんきんよ ほんだ ししゃ: か めい しゃくらん こご え こ 今た ばた けぎ い う ケ 

F に揭げ るの は、 最近 予が本 多 子爵 (假名) から 借覽 する 事 を 得た、 故 ドクトル • 北 ー郞 (假 

めい ゐ しょ きた ほた け じつめい あきらか ところ いま し ひと 

名) の 遺書で ある。 北 畠 ドクトル は、 よし 實名を 明に した 所で、 もう 今 は 知って ゐる人 も あるまい 9 

よ じ しん ほんだ ししゃ,、 しんしゃ め いぢ しょき いつじ さ だん き もら はじ 

予自身 も、 本 多 子爵に 親炙して、 明治 初期の 逸事 琪談を 聞かせて 貰 ふやう になって から、 初めて 

な み、 きく わい え かれ じんぶつせ いかう しも ゐ しょ いく ふん せつめい う 

この ドクトルの 名 を 耳に する 機會を 得た。 彼の 人物 性行 は、 下の 遺書に よっても 幾分の 說明を 得 

さう ゐ なほに さん よ そくぶん じ じジ く は お たう じ ない くわ せん も N? ,、 

るに 相違ない が、 猶 二三、 予が 仄聞した 事實 をつ け 加へ て 置けば、 ドクトル は 當時內 科の 專門醫 

いうめ い とも えんげきかい りゃう くわん あるき ふしんて きい けん も いっしゅ げきつう 

として 有名だった と共に、 演劇 改良に 關 しても 或 急進的 意昆を 持って ゐた、 一種の 劇通だった と 

> げん こうしゃ くわん じ しん 匸 ぎきょく 

. 云 ふ。 現に 後者に 關 して は、 ドクトル 自身の 手に なった 戲曲 さへ あって、 それ はヴ オル テ エルの 

いちぶ とくが はじ だい で き ,と .^--ゃくしょく ふた まく もの キ- 5^ き 

0!aiidide の 一部 を、 德川 時代の 出來 事と して 脚色した、 二 幕 物の 喜劇だった さう である。 

きたに- H つくば さつえい しゃしん み きたば た!:; ィ ギリ 人 ふう ほ、 ひげ たく は ようばう くわいん しんし 

北庭筑 波が 撮影した 寫眞 〈を 見る と、 北 畠 ドクトル は 英吉利 風の 頻辑 を蓄 へた、 容貌 ^偉な!: 士 

00 ほんだ ししゃく たいかく せいやう じん しつ せう ねんじ だい なに せいりよ,、 

5 である。 本 多 子爵に よれば、 體格も 西洋人 を 凌ぐ ばかりで、 少年 時代から 何 をす るので も、 精力 



人 殺の 化 f)H 



59 



拔群を 以て 知られて ゐ たと 云 ふ。 さう 云へば 遣 書の 文字 さへ、 鄭板橋 風の 奔放な 字で、 その 淋鸫. 

よ 一ん うち かれ ふうば う かんしゅ 二と 

たる 墨痕の 中に も、 彼の 風貌が 看取され ない 事 もない。 

もナ, ろん よ ゐ しょ お ほやけ あた いくた かい V- ん ほどこ たと たう じ じゅしゃく せい 

勿論 予 はこの 遣 書 を 公に する に當 つて、 幾多の 改資を 施した。 譬 へば 當時 まだ 授 1^ の 制が なか 

か、 よ 二う ねん しょう したが ほ/だ ししゃくお よび ふじんとう な もち 1,- 一と な . ^ん 

つたに も關ら す、 後年の 稱に從 つて 本 多 子爵 及 夫人 等の 名 を 用 ひた 如き ものである。 唯、 その 文 

しやう 匸 うし いた • ほとんど げんぶん マ-つし - つつ い しっか 

ii3i- の 調子に 至って は、 殆 原文の 調子 を そっくり その 儘、 ひき 寫 したと 云っても 差 支へ ない。 



で, んだ しし J!. ;、. ^く か な^び ふ じん 

本 多子键 閣下、 並に 夫人、 

よ よ "、: V い き わう V.- ん ねん^い つね よ きょうてい わ だ..^ ま のろ ベ ひみつ こくはく もつ けいら 

,t は予 が:: 取 期に 際し、 旣往 三年 來、 常に 予が 胸底に 蟠れ る、 呪, ふ 可き 秘密 を吿 白し、 以て 卿 等 

の 前に 予が 醜惡 なる 心事 を 暴露 せんとす。 卿 等に して 若し この 遣 書を讀 むの 後、 ,g 卿 等の 故人た 

よ おく たい いっぺんれ んヷん ひやう うへ-一 か こと もと よ ばう ぐ わい たい.^ う 

る予の 記憶に 對し、 一片 憐 偶の 情 を 動す 事 ありと せんか、 そ は 素より 予に とりて、^ 外の 大 幸な 

またよ もく ばんし キ. やうと な *w さ しかばね むちう のち や ベ よ おい 

リ C さわ ど 乂予を 目して、 萬 死の 狂 徒と 做し、 當に 屍に 鞭打って 後已む 可し とする も、 予に 於て 

が-つ ゐ , 尸ん ところ た よ 一一く はく じ じつ あ. £ いさう ぐ わい § る S もつ みだり 

は 毫も^ 成 rj する;,^ なし。 准、 予が齿 白 せんとす る事實 の、 餘 りに 意想外な るの 故 を 以て、 妄に 



よ し しんけいび やうく ゎスじ や な -.^ ことな か よ さいきん すう げっ わた ふみんし やう ため くる 

予を誣 ふるに、 神經 病患 者の 名 を 藉る事 勿れ。 予は 最近 數 ヶ月に 亙りて、 不眠症の 爲に 苦しみつ 

いへ ど よ い しき めいはく かっき は えいびん もけいら よに じふ ねん.^ ノ さう 

つ ありと 雖も、 予が 意識 は 明白に して、 且 極めて 銳敏 なり。 若し 卿 等に して、 予が 二十 年 來の相 

しき さ うき .ょ あへ いう じん しょう ぺ 一- よ せいしんてき はんかう うたが こ. V なか しか 

識 たる を 想起 せんか。 (予 は敢て 友人と は稱 せざる 可し) 請 ふ、 予が 精神的 健康 を 疑 ふ 事 勿れ。 然 

よ いっしゃう を じょく ひ れき この ゐ しょ 1, 二と けっきょくむ よう こ し なん えら 七 ころ 

ら すん ば、 予 がー 生の 汚辱 を 披瀝 せんとす る此 遺書の 如き も、 結局 無用の 故紙た ると 何の 選ぶ 所 

か是 あらん。 

く か ならび ふ じん よ くわ こ おい さつじんざい を か とも しゃう。 い おい また どういつ ざいあく をい 

閣下、 並に 夫人、 予は 過去に 於て 殺人罪 を 犯した ると 共に、 將來に 於ても 亦 同一, 節惡を 犯さん 

いやし ぺ き けんじん ぶつ はんざい けいら もっと しんきん じんぶつ たい きく わく 

としたる 卑む 可き 危險 人物な り。 しかも その 犯罪が 卿 等に 最も 親近なる 人物に 對 して、 企畫 せら 

またき くわく い いた けいら まさ いぐ わいちう いぐ わい 

れ たるの みならす、 又企畫 せられん としたり と 云 ふに 至りて は、 卿 等に とりて 正に 意外 屮の. に^ 外 

ぺ よ こ =- おい よ けいこく ふた 、び ひつえう :5_*!ん かん あた よ ぜんぜんし やう. 

たる 可し。 予は是 に 於て、 予が 警吿を 再す るの、 必要なる 所以 を 感ぜざる 能 はす。 予は 全然 正氣 

よ こくはく てっとうで つび じ じつ けいら さい は ひ しん しかう よ しゃう がい ゅゐ いつ き ねん 

にして、 予が吿 白 は 徹頭徹尾 事實 なり。 卿 等 幸 に そ を 信ぜよ。 而 して 予が 生涯の 唯一 の 記念た 

すうまい ゐ しょ むな キ- やう じん げぃな ことた. A 

る、 この 數牧の 遣 書 をして、 签 しく 狂人の 囈 語たら しむる 事 勿れ。 

よ いじ やうよ けんぜん て ふ/^ よ ゆう- よ .tl いぞん きんせ う じ かん ちきげ よ か 

予 はこれ 以上 予の 健全 を 喋々 すべき 餘裕 なし。 予が 生存すべき 僅少なる 時間 は、 直下に 予を驅 

よ さつじん どうき じっかう じょ ざら す丄 よ さつじん: きく わい しん 今ん う げんき ふ 

6 りて、 予が 殺人の 動機と 實 行と を 叙し、 更に 進んで 予が 殺人 後の 奇怪なる 心境に 言及せ しめ すん 



r ああよ す. 、り か ん み のぞ ななく XT く み-つか やす 

ば、 ビ まざらん とす C され ど、 嗚呼され ど、 予は现 に呵し 紙に 臨んで、 猶惶々 として 自ら 安から 

6 ぉぽ おも よ くわ こ てんけん き さい よ ふた; -ぴ く. 5 こ, せ;^ ス わつ い V とな,, V. 

ざる もの ある を覺 ゆ。 惟 ふに 予が 過去 を 點檢し 記載す る は、 予に とりて 再 過去の 生活 を營 むと 

、ン 丄、. - さ 3 よ さつじん ナ、 くわく ふた. -ぴ じっかう ふた-び さら さいきん いちねんかん お ぺ y 

i-mjl の 差違 か あらん。 予は 殺人の 計畫を 再し、 その 實行を W し、 更に 最近 一年 問の 恐る 可き 苦 

/ -.. / X > こュ +-ヒ AJ よ, i う V ところ いな よ いま よ すうお 乂 ら LL つ 

2|ゃ〕^.せざる{^らす。 是 果して 善く 予の堪 へ 得 可き 所な り や 否や。 予は 今にして、 予が數 年來失 

* 一 f わがや そ きりすと いの ねが は は ちから あ」 た 、ゆ ま、 D 

却した る 我 耶蘇 基督に 祈る" 願く ば 予にカ を與へ 給へ。 . . 

t 」.-,「. レ よ じゅう ま., いま ほんだ ししゃく ふ じん さんにんしょう もつ は こ, と ゆ-る - ノ ふ:^ ね^、 ふん, L ぶ..^" 

1.^^はグ時ょり予が從妹たる今の本多子爵夭人(三人稱を以て、 呼ぶ 事 を 許せ) 往年の f 露.^ 明 

-_ あ、 よき おく さ. ^のぼ よ あきこ とも かう ふく じ: かん れ き _ - ノ,, ン • , 、 お., ) 

子 を したり。 予の 記憶に 溯りて、 予が明 子と 偕に したる 幸福なる 時 問 を 列記 せんか そ は 恐ら 

く聽 IT が^ の^に!: へざる 所な らん。 され ど予は その 例證 として、 今日 も 猶予が 胸底に 歷々 た 

-i?.!' やう くわう ナ.. ^fc えよ たう じ じふろ くさい せう ねん あきこ いまだ じつ さ; - せう i-- よ > -.. - 

る, 1 場の 光氣^ 語らざる を 得す。 予は當 時 十六 歳の 少年に して、 明 子 は 未 十 歳の 少女な りき 五 

/ソ SJ^ う、 二つ, 4; ら ぁキ -こ 、へ し, "ぢ だな もと き ぎ あきこ よ たい せ. IT.-ir やく よ VU -. 

S すお 日 y 等 は 明 子が f 豕の 芝生なる 藤棚の 下に 嬉戯せ しが、 明 子 は 予に對 して、 隻脚 にて 善く 久し 

たう と しかう よ 、な こた かの ぢょ ひだりて た . ひだ W; あし そ ひ に, メ- . ぎて. 

«fl く 立つ を 得る やと 問 ひぬ。 而 して 予が 否と 答 ふるや、 彼女 は 左手 を 垂れて 左の 趾を 握り 右 ,を 

ち き,?. A う 」 つも せきき やく た こ A 一 これ ひさし * つじ やう し とう しゅんじつ ひかり ゆ た 

の i. げて 1? 録を 保ちつつ、 隻脚 にて 立つ 事、 是を久 うしたり き。 頭上の 紫 藤 は 春 日の 光を搖 りて 垂 

*5 とうか あきこ ぎょう ぜん てう そ 一, .1 と た、 ナ よ と 叶- 「,5 ん 9 やぶ * ぶえ -^^ ?, f. け 

ノ ^、 藤での明子は凝狭で」して彫纖ーの如く-^:めり。 予 はこの 畫の 如き 數 分の 彼女 を 今に 至って 忘 



あた ひそか み-つか かへ り よ こ 、ろす で ふか かの; も. よ あい おどろ じつ ふち だな もと おい 

るる 能 はす。 私に 自ら 省みて、 予が 心旣に 深く 彼女 を 愛せる に 驚きし も、 實に その 藤棚の 下に 於 

しか じ らいよ あきこ たい あい ます,/,^ はげ く は ねんく かの; 一り よ おも ほとんどが,、 はい 

て然 りしな り。 爾來予 の 明 子に 對 する 愛 は 益 烈しき を 加へ、 念々 に 彼女 を 想 ひて、 學を疲 

いた よ せう しん つ ひ いち-ご よ ちう しん と ろ ベ いだ いんせい ク だま 

する に 至りし も、 予の 小心なる、 遂に 一 語の 予が 衷心 を 吐露す 可き もの を 出さす。 陰ゅ定 りなき 

かんじゃう ひ てん もと あるひ な あるひ わら £ うくす うねん ねんげつ けみ よ に じふ いつざい たつ 

感情の 悲 天の下に、 或は 泣き、 或は 笑 ひて、 茫々 數 年の 年月 を閱 せし が、 予の 二十 一歳に 達する 

よ ち, - とつぜんよ めい とほ か げふ い が/.、 えいき やう ロンドン まな よ けつべつ さい 

や、 予が父 は 突然 予に 命じて、 遠く 家業た る 醫學を 英京 龍 動に 學ば しめぬ。 予は 訣^に 際して、 

あきこ かた よ あい もつ げんしゅく よら か てい か、 きく わい あた やぶ さか 

明 子に 語る に 予が愛 を 以てせん とせし も、 嚴 慮なる 予 等が 家庭 は、 斯る機 會を與 ふるに"?^ なりし 

とも じゅけ うし ゆぎ けうい く う よ た V: つかん ぼく じ やう そしり おそ もつ む げん り しう いだ 

と共に、 儒敎 主義の 敎育を 受けた る予 も、 亦 桑間據 上の 識を 憐れた る を 以て、 無限の 離愁 を 抱き 

こ きふ へ うせ ん えいき やう さ 

つつ、 孤笈 飄然と して 英京に 去れり。 

ィ ギリ ス りうが く さんねんかん よ しま, た いか こ 幺んし とうく わか あきこ 

英吉利 留學の 三年 間、 予が ハイド. パァク の 芝生に 立ちて、 如何に 故 園の 紫 藤 花 下なる 明 子 を 

おも あるひ またよ がいとう ほ いか てんがい !:. うし よ じ しん あたれ 

懷ひ しか、 或は 又予が パル マルの 街頭 を 歩して、 如何に 天涯の 遊子た る予 自身 を憫 みし か そ は 

V じょせつ えう ベ よ だ ロンドン あ ひ よ いは ゆるば らいろ みらい f クり キ/ ぺ ベ 

玆 に敍說 する の 要な かる 可し。 予は 唯、 龍 動に 在る の 日、 予が 所謂 薔薇色の 未來の 中に、 來る可 

よ ら けっこんせ いく わつ む さう もつ わ-つか もん/^ じ やう はい かた た しか しかう よ イギリス 

き予 等の 結婚 生活 を 夢想し、 以て 僅に 悶々 の 情を排 せし を 語れば 足る。 然り而 して 予の英 1^ 口和よ 

2 き てう よ あきこ 十で Ml- だい ぎん. でつ とうどりみ つむらき ようへい つま し よ そて ざ 

6 り歸 朝す る や、 予は明 子の 旣に 嫁して 第 X 銀行 頭取 滿村恭 平の 妻と なりし を 知りぬ" 予 は卽」 f に 



人 殺の 化 開 



63 



: さつ すつ しん よ せいらい け ふだ り-,... がくち う.? え キ りすと:; う しんかう J. か-つ よ 

自殺 を^ 心し たれ ども、 予が性 來の怯 11 と、 留 學中歸 依した る 基 哲敎の 信仰と は、 不幸に して 予 

て ま ひ マかん けいら も たう じ よ いか ,- やう しん し 

が 手 を麻摔 せしめし を 如何。 舰等 にして 若し 當 時の 予が、 如何に 傷心した るか を 知らん とせば 

よ き てう,, 一 じゅんじつ ふた. -,; えいき やう さ ため よ +'1 げき 丄 i-ft . い-ちじ. r マ" キノ- - > 

予が歸 朝 後 旬日に して、 再 英京に. 去らん とし、 爲に予 が 父の 激怒 を 招きた るの 一 事 を 想. ^ せよ。 

たう n レ入 しんき やう もつ じつ あきこ に ほん こ こく に 二 こ,、 こ こく 

當 時の 予が 心境 を 以てすれば、 實に明 子な きの 日本 は、 故國 に似て 故國 にあら す。 この 故 闘なら 

こ こく と i-i いた-つら せいし X てき はいざん しゃ しゃう がい おく わしろ 、 , > い, つ 

ざる 故國に 止って、 徒に 精神的 敗殘 者た るの 生涯 を 送らん より は、 寧 チャイルド • ハ 口 ルドの 一 

くわん ニニ とま *1 /り こ かく ほね い ゐき つち うづ はるか なぐさ ぺ しん 

卷を报 いて、 遠く 萬 里の 孤客と なり、 骨 を 異域の 土に 埋 むる の遙に 慰む 可き もの ある をお ぜ しな 

よ し.?./ ん じじ やう つ ひ よ と えい けいく わく はう キ- しかの みな、 JT-fs よ ち、 ぴ やう ゐん ない 

り。 され ど予が 身邊の 事情 は 遂に 予 をして 渡英の 計畫を 抛棄せ しめ、 加 之 予が 父の 病院.?: に 

,つ こ しん てう た すうく わん じ や しんれ う ばう さつ ベ たいくつ . ;.. t ...^r , ん, は 1 , 

.1 個新歸 朝の ドクトル として、 多數 患者の 診療に 忙殺 さる 可き 退屈なる 椅子に 倚らし め 了り ぬ。 

-r お、 よ よ しつれん ゐ しゃ かみ もと たう じ つきち ざいじゅう ィ, t リ ス せ,;? で-、 つし 

是 に^て 予は予 の 失戀の 慰藉 を 神に 求めたり。 當時 築地に 在住した る 英吉利-;: H ー敎 仙へ ン リイ • 

し . ^ん およ h す がた いう じん よ あきこ たい あい い,、 た f 

タウンゼンド 氏 は、 この 問に 於け る予の 忘れ 難き 友人に して、 予の明 子に 對 する 愛が、 幾多の. ゆ" 

トー ズ、 レー 5 ダー V?. し A つれつ せ い、 にくし: てき かんじゃう へんく わ いつ どうし よ i /ダ しゃ ノ、 

轍ぎ W のギ 船^, II にして しかも 鼷^ なる 肉親 的 感情に 變 化した る は、 一 に E 氏が クの 爲に釋 

ぎ せ-しょ すうし やう けつ: わ よ し. +-.- く どうし かみ べん かみ ゆや ん * さ に,, i^>i:-; "^。ん 

義 したる i^- 書の 數萃の 結果な りき。 予は 厘、 同氏と 祌を 論じ、 神の愛 を 論じ 更に 人 EE の笈 を. 1 

on t ん;^ か うじん キれ つき ぢ き 4 りうち ほ ひと よ いへ かへ き お〉、 j ■ z 

じたる の^、 ギ夜 行人 X おなる 築地 居留地 を 歩して、 獨り予 が 家に 歸 りし を 記憶す" 若し 卿 t ズ にし 




よ じ チノ H じ to,- う わら よ きょりう ち そら はんりん つき あ ふ ひそか じゅうまい あきこ . ^う ふく 

て 予が兒 女の 情 ある を哂 はすん ば、 予は 居留地の 空なる 半輪の 月 を 仰ぎて、 私に 從妹明 子の 幸福 

かみ け Q かんき はま きょき かお よ 

を 神に 祈り、 感 極って 戯欷 せし を 語る も 善し。 

よ あい あらた てんかう え いは ゆる しんり もつ せつめい ベ いな よ 

予が 愛の 新なる 轉向を 得し は、 所謂 「あきらめ」 の 心理 を 以て、 說 明す 可き ものな り や 否や、 予 

これ つま * ひらか ゆうき よ ゆう とぼ よ にくしんて きあい じ やう はじ よ こ、 ろ V. う 

は 之 を 詳 にす る勇氣 と餘裕 とに 乏し けれど、 予が この 肉親 的 愛情に よりて、 始めて 予が 心の 创 

い い え いちじ うたが ベ か これ もつ き てうい らい あきこ ふ さい せう そく み.. - だ かつ マと 

瘦を醫 し 得た るの 一 事 は 疑 ふ 可ら す。 是を 以て 歸朝 以來、 明 子 夫妻の 消息 を 耳に する を 蛇 蛻の如 

おそ よ ひま よ にくしんて きあい じ やう い らい す. - . ^れら せっきん こと き ばう 

く 恐れた る予 は、 今や 予が この 肉親 的 愛情に 依頼し、 進んで 彼等に 接近 せん 事 を X 布ひボ したり。 こ 

よ も かれら かう ふく ふ さい み いだ よ ゐ あん ますく だい ねんとう いさ.. -か く もん 

は予 にして 若し 彼等に 幸福なる 夫妻 を 見出さん か、 予の 慰安の 益 大 にして、 念頭 些 の 苦悶な 

いた ベ さう けい しん ゆ ,05 

きに 至る 可し と、 早計に も 信じた るが 故の み。 

よ しんねん う <•) けっく わ つ ひ めいお じ. ぶい i つねん はちぐ わつ みっか りゃうつ i く:!;: うはん だいえん くわ さい ち じん せう 

予 はこの 信念に 動かされし 結果、 遂に 明治 十一 年 八月 三日 兩國 橋畔の 大 煙火に 際し、 知人の 紹 

か、 きく わ, - や 一り かう しょじ ふすう ま ヌ とも やなぎ f しまん ばち すゐ ろう あ あきこ をつ とみつ むらきよう へい はじ 

介 を機會 として、 折から 校 書十數 輩と 共に 柳 橋 萬 八の 水樓に 在りし、 明 子の 夫 滿忖恭 平と、 始め 

、つせ き くわん とも くわん ノ、 わん よ くい はるか まさ ゆ ゑん も あた 

て 一 夕の 歡を俱 にしたり。 歡か、 歡か、 予は その 苦と 云 ふの、 遙に 勝れる の 所以 を 思 はざる 能 は 

よ にっき しょ いはく よ あきこ みっ.^<-^^ぅ と らん いん せんく わ さい おも 、 

t 予は 日記に 書して 曰 T 予は明 子に して、 かの 滿村 某の 如き、 濫淫の 賤貨に 妻た る を 思へば、 

4 ほとんどい つと ひ ふん あんなん ところ むか は し かみ よ あき-」 み こと いも,^ ノと つ-. V 

6 殆 一 ±1 支 の 噴怨 何の 處に 向って か 吐かん とする を, S らす。 祌はチ に 明 子 を 見る 事、 妹の 如くな 



人 殺の 化! 5^ 



65 



< をし たま しか しかう よ いもうと ^ X きんじう て ゐ たま 1 よ も 

る 可き を敎へ 給へ り。 然り而 して 予が妹 を、 斯る 禽獸の 乎に 委せし め 給 ひし は、 ぞゃ。 予は: 取 

ほや.' JT^.^,】k > ん.! ?っ かみ あ. くぎ た あた たれ よ つま いもうと がう じん ため りょうじょく 

^ この 殘酷 にして 奵誦 なる 祌の惡 戯に堪 ふる 能 はす。 誰か 善く その 妻と 妹と を强 人の 爲に凌 辱 

た ほてん あ ふ かみ み な とな ベ よ こぐ ご だ ノ!. かみよ よじ 

せられ、 しかも 猶天 を^いで 神の 御名 を稱ふ 可き もの あらむ。 予は 今後 斷 じて 神に 依らす、 予自 

しん で もつ よ いもうと あきこ しキ」 き VJ きう じ 4 ベ 

身 の^を 以て、 予が 妹 明 子 を この 色 鬼の 乎より 救助す 可し。」 

."1 、 ,•? „ 化, よ しで つお ふた. -ぴ たう じ のろ ベ くわう けい がんぜん はう ふつ きん あた 

予 はこの 遣 書を認 むる に 臨み、 .将 當 時の 呪 ふ: F き 光景の、 ^前に 彷彿す るを禁 する 能 はす。 

^ ; -.; うせ;^ - す _ ^あい ばんてん こうとう しかう たい )(> あ ひふく つ ところ し ぐ わ.? つ 

かの 蒼然た る 水 露と かの せ 2 點 の紅燈 と、 而 して かの 隊々 相銜ん で、 讓 くる 所 を 知らざる 畫^ の 

れつ あ あ • よ しゅうせい よ はんくう あ ふ えんく わ め. - めつ キ-ぉ ミ とも みぎ た-ぎ 

列と I 鳴 呼, 予は 終生 その 夜、 その 半 空に 仰ぎた る 煙火の 明诚を 記憶す ると 共に、 右に 妓を 

^^.^ ; ひメ. り か、 » つ-き た. 、 り か かう ぎん がう ぜん りゃう はう 5 へ .f んすゐ 

據し、 左に 雛 妓を從 へ、 ^逢 聞く に堪 へざる の 便 歌 を 高吟しつつ、 傲然と して 涼 棚の 上に 附^し 

: ,、 、 ) ^ ) AJ- もち.! -〉、 よう/い * 广 小べ ベ いな いな かれ くろろ は おり き f が み もん 

たる 力の 肥大,.^ の 如き 满村 < ふ 平 を も 記憶す 可し。 否、 否、 彼の 黑紹の 羽織に 抱 明 姿の 三つ紋 あ 

Z い. -ま S I ュ ばう きゃく あた よしん よかれ せつがい -し 

りし さへ 今に^^^-って予は忘封する能はざるなり。 予は 信す。 予が彼 を 殺害 せんとす るの 意志 を 

- r 、、 つ、 I け„9^^;んんくゅ み- , ゆ ふべ はじま こと また しん よ さつじん どうき 

抱きし は 實 にこの 水棧 煙火 を 見し の 夕に 始る事 を。 又 信す。 予が 殺人の 動機なる もの は、 その 

^^^^.^ ) 、 ^ - - た乂 レー じ やう tl. しろ ふ ぎ こら ふせい のぞ だろ とく ごさ 

發生 の ゆ 。a 初より、 ^じ て §sf な る 嫉妬 の 情に あ ら すし て 、 寧 不義 を 懲し 不正 を 除か ん とする 逝な g 的 

ふんげき そん こと 

S 激に存 せし 蔡を。 



じ らいよ こんろ ひそ みつ. C らき ようへい ,vf- やう じ やう ちう もく はた よ ひっせき くわ しさつ もと ち かん 

商 來予は 心 を 潜めて、 滿村恭 平の 行狀 に 注目し、 その 果して 予が 一 夕の 觀 察に 俘らざる 痴チ、 

いな けんさ さい は ひ よ ち じんちう しん i,^ んき しゃ げふ t-li. こ さ^し と i- ま 

なり や 否や を檢査 したり。 幸に して 予が 知人 中、 新聞記者 を 業と する もの、 啻に 二三 子に 止ら ざ 

もつ ハれ いんぎ やくむ だう ぎ やうせ き と よ しちやう ... ぜつむ > 

りし を 以て、 彼が 淫虐 無道の 行跡の 如き も、 その予が視聽に入らざるものは絕無なりしと^;^ふも 

^u.-^ 、 メ - 5 : せん „-J や , かつち じん なる しまりう ほくせん せい かれ さいき やうぎ をん ぎ ろう すうぎ い まだ 

妨 けざる 可し。 予が 先輩に して 且 知人た る 成 島 柳 北 先生より、 彼が 西 京 祇園の 妓樓 に、 雛 奴の 未 

力"^ \ , そ, ろ, I;- , もつ し いた そくぶん じつ このかん こと ぞく 

春 を 懐かざる もの を梳櫬 して、 以て 死に 到らし めし を 仄聞せ しも、 實に此 問の 事に 属す。 しかも 

ぶ らい をつ と つと をん りゃうて いし! S く しょう ふ じん あきこ ぐう ど ひ 、っ^ん 、 、ヒ 

この 無頼の 夫に して、 夙に 溫良 貞淑の 稱 ある 夫人 明 子 を 遇する や、 奴婢丄 一^なり と 云 ふに 至つ 

たナ ^ よ, かれ もく にんげん えきれい な え すで かれ そん ふう おと ぞく みだ 

て は 誰か 善く 彼 を 目して、 人間の 疫癘と 做さざる を 得ん や。 旣に 彼を存 する の 風 を 類し 俗を濫 

ゆ ゑん し ん: れ つ さ らう たす えう あはれ ゆ ゑん し こ.. i お- よ 4.- つが、 、し 

る 所以なる を 知り、 彼 を 除く の 老を扶 け 幼 を憐む 所以なる を 知る。 是に 於て 予が 殺害の 意志たり 

おもむろ せつがい けいく わく へんく わ きた 

しもの は、 徐に 殺害の 計 畫と變 化し 來れ り。 

^ これ と 5- ま よ おそ よ さつじん けいく わく じっかう なほい くた しゅ.? じゅん え 

然れ ども 若し 是に 止らん か、 予は 恐らく 予が 殺人の 計 畫を實 行す るに、 猶 幾多の 逵 巡な きを 川,^ 

かう そ もまた ふ 言 うんめい き はん じ き さい よ よ はんせう A- も ほし 

ざり しならん。 幸 か、 抑 亦 不幸 か、 運命 はこの 危險 なる 時期に 際して、 予を予 が 年少の 友た る 本 

だ ししゃ メ、 いちや ぽノ、 じ やう き ていかし はや くわい もつ し: S かん くち いちぢ やう あ わ 一 よ 

多子餘 と、 一夜 墨 上の 旗亭 柏 屋に會 せしめ、 以て 酒 間 その 口より 一場の 哀話 を 語らし めたり。 予 

^ き ぃ广 はじ ほんだ ししゃく あきこ すで ぃ> なつけ やく か-, は か. e みつむら +-乂 うへい. 

はこの 時に 至って 始めて 本 多 子爵と 明 子と が、 旣に 許嫁の 約 ありし にも 關ら す、 彼、 滿村恭 平が 



人 殺の 化 r 肩 



さ 7 



黄金の 威に 壓 せられて、 遂に 破約の 已む 無き に 至りし を 知りぬ e 予が 心、 豈 愤 を 加へ ざらん や。 

しゅとう いっす ゐ ぐ わろう れんり あんたん ところ ほん. た ししゃく よ はい ふく みつむら つう *^ だう じ 

かの 酒燈 一; i、 畫樓雜 裡に點 淡た るの 處、 本 多 子爵と 予 とが 杯 を 含んで、 滿村を 痛 篤せ し 常時 を 

おも よ いま いた おの-つか にくう ご かん え どうじ また たう や じんりきしゃ じょ- リ かし は 

思へば、 予は 八:' に 至って 自ら 肉 動く の感 なき を 得す。 され ど 同時に 又、 當夜 人力車に 乘 じて、 柏 

や かへ と ほんだ ししゃく あ 今 こ きうけい おも いっし S めいじ やう ベ か ひ あい かん よ 

屋 より 歸 るの 途、 本 多 子爵と 明 子との 舊契を 思 ひて、 一種 名狀す 可らざる 悲哀 を 感ぜし も、 予は 

なほ あきらか き おく ところ 二 ふた V よ にっき いんよう ^^る よ こんせき ほんだ ししゃ 二 くわい 

猶 明に 記憶す る 所な り。 請 ふ。 W び予が 日記 を 引用す る を 許せ。 「予は 今夕 本 多 子爵と 會 してよ 

よく じゅんじつ あ ひだ みつむら キ- ようへい ^つがい ベ けっしん ししゃ,、 こうふん さつ かれ あ々」 こ 

り、 愈 句 日の 問に 滿村恭 平 を 殺害す 可し と 決心したり。 子爵の 口吻より 察する に、 彼と 明 子と 

ひと いひな-つ ナ やく また じつ さう あい じ やう いだ - ごと X --ん に-り 

は、 獨 り 許嫁の 約 ありし のみなら す、 又實に 相愛の 情 を 抱きた る ものの 如し。 (予は 今::: にして、 

ししゃ,、 どくしんせ いく わつ り いう はっけん え お ぼ も よ みつむら せつがい しし わ ;、 あ キ: 

子 餘の獨 身 生活の 理由 を f^H^ し 得た るを覺 ゆ) 若し 予 にして 滿村を 殺害 せんか、 子 g: と 明 子と が 

.f- つれい ま つた かなら ナ なんじ たま./. \- あきこ みつむら か いまだい ちじ あ ちた か てん 

优 僵を完 うせん は、 必 しも 難事に あらす。 偶 明 子の 滿 村に 嫁して、 未 一 兒を舉 げざる は、 恰も 天 

い またよ けいく わく たす に くわん よ じう しん きょしん せつがい けっく わ よ しんあい 

意 亦 予が計 畫を扶 くるに 似た るの 觀 あり。 予 はかの 獸 心の 巨 神 を 殺害す るの 結果、 予の 親愛なる 

ししゃく あ. こ さう ばんかう ふく き いく わつ い おも おの-つか こうへん ぴ せう 今- ん ことち た 

子 餘 と 明 子と が、 早晩 幸 幅なる 生活に 入らん とする を 思 ひ、 自ら ロ邊の 微笑 を禁 する 祟 能 はす。」 

いま よ さつじん けいく わく いってん さつじん じっかう うつ よ いくたび し- リ みつ しりぶ し りよ 

今や 予が 殺人の 計畫 は、 ー轉 して 殺人の 實 行に 移らん とす。 予は 幾度 か 周. 辨なる 思慮に m:: 〔慮 を 

ず さ のち やう や みリ むら せつがい ベ てきた う ま しょ しゅだん せんてい い-つ こ 

limll ねたる の 後、 漸くに して 滿村を 殺害す 可き 適當 なる 場所と 手段と を 選定したり。 その 何處 にし 



なに あへ しゃう さい じょじゅつ こ >- ろ えう ベ ナ、 ら なまめ,' ぢ ,ズ I- こ んろ V 、ぐ, つ i^vji 二 

て 何なりし か は、 敢て 詳細なる 叙述 を 試みる の 要な かる 可し。 卿 等に して 敎明 t 治 十 T 一 5h ハル 十一. 1 

にす.. -、 び rj ィ く, A う;^.^.! f 乂か とみ ゾ」. い に ほん^」 み たま よ かれ みつむらき ようへい どうぎ ぢ やう じ て- 

日 1^ 逸 皇孫 殿下が 新 富 座に 於て 日本 劇 を 見 給 ひしの 夜、 彼、 滿村恭 平が 同戲 場より その 自 鳳に 

かへ ひ-, じ ば しゃちう おい とつじょび やうし じ じつ き,"?,、 よ しんと,; <i.j > ,A J^-, 

歸 らんと する の 途次、 馬車 中に 於て 突如 病死した る 事實を 記憶 せんか、 予は新富」座に|§て滿:^の 

けカしタ_、";^ろ, i 、 よし と しょ ぢ ぐわん やく ふくよう くわん いう 、つ こ さう ねん 

色 i しからざる 由を說 き、 これに 所持の 丸藥の 服用 を勸 誘した る、 一個 壯 年の ドクトル ありし 

かいた ソ、 た- ^ S S 丄ト いら- 二 おも 一」 さつ ざう かれ る わ/、 …つきう とう ひか リ あ 

を 語れば 足る。 鳴 呼 贿等 請、、 i、 その ドクトルの 面 を 想像せ よ。 彼 は El^ 々たる 紅 球 燈の光 を 浴び 

. , んゾみ V- , き/ど ぐち ふ」,、 す > りんう なか ほんち 5 みつむら しゃ もくそう さくじつ ふん ゑん 

て 新 富 座の 木戶 口に 仔みつつ、 霖 雨の 中に 奔馳し 去る 滿 村の 馬車 を 目途す る や、 昨 口 の 愤怨、 

- にんに ち ひと . ^ようちう ゐ しふ きた せう せい を えつ レ-も しんとう あ ふ まとん どと ころ : つ こ とキ, 

今日の 歡喜 均しく 胸中に^ 集し 來り、 笑聲 嗚咽 共に 脣 頭に 溢れん として,、, 殆 處の^ 處 たる、 時 

- ど 1^ : ザ や, パ : かれ かつな かつ わら せう う を か でいねい ふ き やう 

の 何時た る を 忘: fR. したりき。 しかも その 彼が 且 泣き 且笑 ひっつ、 蕭雨を 犯し 泥濘 を路ん で、 狂せ 

^ -,. そ , 力 1 とき かれ つぶや や あきこ な とな か 

る,^ く 歸途に 就きし の 時 彼の 眩いて 止め ざり しもの は 明 子の 名な りし を も 忘る る 事 勿れ。 —— 

1.-1 し,? r 々れ -.9 よ しょさい はい ノ、 わい くわん き ひあい よ ぁ^?^か 4? こ た!' 

「予は 終夜 眠らす して 予が 書齋を 徘徊したり。 歡喜 か、 悲哀 か、 予はそ を 明に する 能 はす。 唯、 

あるい がた き やうれ つ かんじゃう よ ぜんしん し はい いつ ^ふじ 、へど よ あんざ 

或 云 ひ 難き 强烈 なる 感情 は、 予の 全身 を 支配して、 ー雾 時たり と雖 も、 予 をして 安 f.: せ ざら しむ 

^ ん ) たく じ やう しゃんぺん しゅ ^ら 1; な しかう また ぐわん やく はこ よ ほとんど てんし 

る を 如何。 予が 卓上に は 三鞭酒 あり。 薔薇の 花 あり。 而 して 又 かの 丸 藥の箱 あり, - 予 は殆、 天使 

あく. 1^" さ いう 今く わ, \ .iK 、うえん ひら -.ーと 

と lej^ 魔と を 左右に して、 奇怪なる 饗宴 を 問き しが 如くな りき …… 。 一 



. 入 殺の 化 開 



69 



よ じ .1:: 、 す,.,' につ ごと > し-ふく にっし けみ こと みつむら し いん け い v>- い よ 

予は 爾來數 ヶ月の 如く、 幸福なる 日子 を閲 せし 事 あらす。 滿 村の 死因 は 警察 醫 によりて、 予の 

よ さう すんぶん さう ゐ なう しゅっけつ :、: やうめ い あた そく こくち か ろくしゃく あんこく ふ に 二 ナノつ そ しぶ ノ、 

豫 想と 寸分の 相違 もな く、 腦 出血の 病名 を與 へられ、 卽刻 地下 六尺の 暗黑 に、 腐肉 を 蟲蚍の 食と 

ごと すで しか たれ またよ もく さつじんはん けん〕 ^T- な そくぶん 

したる が 如し。 旣に然 り、 誰か 又予を 目して、 殺人犯の 嫌疑 ありと 做す もの あらん。 しかも 仄聞 

と-一ろ あき n をつ と し よ はじ そしょく い よ まんめん 

する 所に よれば、 明 子 は その 良人の 死に 依りて、 始めて 蘇 色 ありと 云 ふに あらす や。 予は 滿而の 

きしょく も. - よ くわん じ や しんさつ ひま すな はちほん だ しし b 、く とも こ Q げき しんとみ ざ み これ まった 

喜色 を 以て 予の 患者 を 診察し、 閑 あれば 卽 本 多 子爵と 共に、 1^ んで劇 を 新 赏碟に 見たり" ";ル 全 

よ よ 气コ しょうり はく ,、わう えい せんちゃう し +: なが す .f け t う- i.- ん 

く予 にと りて は、 予が 最後の 勝利 を 博せ し、 光榮 ある 戰場 として、 厘 その 花-:^ 斯 とその 摘 毛-鈍と 

なが ふ し ぎ よくばう かん ため 

を 眺めん とする、 不思議なる 欲望 を 感ぜし が爲 のみ。 

しか しん すう げリ あ ひだ かう ふく すう げっ けいく わ とも よ ^んじ よ 

然れ ども こは眞 に、 數 ヶ月の 問な りき。 この 幸; .1 なる 數ケ: の經 過す ると 共に, 予は 漸次 たが 

しゃ ラ がいちう もっと にく ぺ いう わく た-* か ベ うんめい せっきん た-かひ い か こ,、 れつ き は い か 

生涯 中 最も 憎む 可き 誘惑と 闘 ふ 可き 運命に 接近し ぬ。 その 闘の 如何に 酷烈 を 極めた るか、 如何 

ほ. -ょ しち く ちく よ た-つてい 二、 じょせつ ゆ r> き いな ゐ しょ した、 

に 歩々 予を 死地に 驅逐 したる か。 予は 到底 兹に 叙說 する の 『ず" 氣 なし。 否、 この 遗書を 認めつつ あ 

げん ざ い よ なほ ハイド 1 フ ごと いう. C く し もつ た-か ベ か けいら も よ 

る 現在 さへ も、 予は猶 この 水 蛇の 如き 誘惑と、 死 を 以て 鬪 はざる 可ら す。 卿 等に して 若し. 予が 

はス もん あと み まつ こ いか せ-つろ く よ にっき いちべつ 

規悶の 跡 を 見ん と 欲せば、 請 ふ、 以下に 抄錄 せんとす る予が 日記 を 一 督 せよ。 

じふぐ わつ にち あきこ こ ゆ ゑ もつ みつむらけ さ よし よ きんじつ ほんだ ししゃく とも ろく ねん 

「.rw:x 日、 明 子、 子な きの 故 を 以て 滿村 (1 を 去る 由、 予は 近日 本 多 子爵と 共に、 六 年ぶりに て 



if Mfr。 &ま t 、は ir§ あるの に i びす、 i は靈を f 3 彼女の 爲 

に, すして、 i に 震お に, り。 ,の i£、 謂 の I くなる ずき やず。 

「;i^^s^ i めて f に, の&に としぬ。 i るに らん や、 

お はヂ にお I- ちて、 II に f?^ を^る^^ fil^ なりと iis んに は。 の, をぎ 外す る、 何ぞ斯 

くの びき や。 ; Mi ひく 1^ を, たる あて、 fMskk ま i ピて子 ei 

二 じ しし 4? よ さ のち たんしん あきべ f し-う C 

の f 豕を辭 したり。 子爵 は 恐らく 予の 去りし 後、 § 早 身 明 子 を 訪れし ならん 力 

rrfm お、 爵と i に、 pl^o irE&i お を Mi いたれ ども、 き 

親 rf し 震の S を靈 する は、 T おひ も攀 にあら す。 Mrl に if ぎり。 

いて i すが s"s" |-ってが む^^^-ざる|ー拔を%|するは何ぞ。 予は その 理由 を 知らざる に 苦む。 

「ゼ Tfmx に 日"、 ^^跟はi.-;l.とl』iv^るき:^s心ぁるもののま)し。 斯 くして 予が明 子の 夫 を 殺 したる 

は、 ||めて^^^§姆に^するを|:ん。 され ど 11 され ど、 ; は f がふ W び^^ を^ ひっつ ある 

ごと - やう ノ、 つう *A ぬか こ A 一ち た 

が 如き、 異様た る 苦痛 を 免る る 事 能 はす。 

さんぐ わつ にち しし?、 あき-一 けっこんしき . 二ん ねんねん 1 つ F : ; "う ト. 3 3、、、 ノ :T 一-? 、。 vL よ ヒリい へ 

7 「三月 X 日、 子 と 明 子との 結婚式 は、 今年 年末 を 期して、 擧行 せらる へしと 云- 1 予」 その 一 



人 殺の 化 開 



■ 71 



f メっ す み おか こと ぶ f んじ やう おい よ えい ギ; う や がた く つう だ, り あた •《 

日 も 速な らん 事 を 祈る。 現狀に 於て は、 予は 永久に この 止み難き 苦痛 を脫 離す る 能 はざる 可し." 

ろくぐ わつ じふに にち よ ひと しんとみ ざ おもむ きょねん こんげつ こんにち よ て たいふ - =^|?,せハ お 1- 、 、 , よ,' 

「六月 十二 日、 予は獨 り 新 富 座に 赴け り。 去年 今月 今日、 予が^ に^れた る 犧牲を へば 予は 

くわん f キ ちう おの づか くわ、 しん ぴ せう きん ど- 「ざ き とよ よ さつ ヒん はつ キ广 さ. つたう 

觀軏中 も 自 ら會 心の 微笑 を 禁ぜ ざり き。 され ど 同座より 歸途、 予 がふと 予の 殺人の 動機に 想.;^ 

よ ほとんどき しゅ うしな かんう ああ ► よ .f: れ ため つ < ラ- へい に ► - ^- 3 

する や、 予は 殆 歸趣を 失 ひたる かの 感に打 たれたり C 鳴 呼 予は 誰の 爲に 滿村恭 平 を 殺せし か。 • 

** ん g ししゃく ため あきこ ため そ たよ じ しん ため 5 は た, こ, た . おんめ . 

ボ多 子爵の 爲か、 明 子の 爲か、 抑 も亦予 自身の 爲か。 こ は 予も亦 答 ふる 能 はざる を 如何。 

しちぐ わつ にち よ ししゃく あきこ とも こんせきば しゃ か- す,^ だ が は り-つ,.. _i う-.!, わい け i ぶ - , で,.;^ゃヽパ" 

「七月 X 日、 予は 子爵と 明 子と 共に、 今夕 馬車 を驅 つて 隅 田 川の 流 燈會を 見物せ り。 mlTST の 窓 

も と-つく わう ぶきこ めいぼう さら うつく ほとんど 4 かたはら レレスく ふ.^,' ' i i D 

より:^ るる 燈 光に、 明 子の 明眸の 更に 美し かりし は、 殆 予 をして 傍に 子爵 ある を 忘れし めぬ 

よ ヒ とこ-つ , よば しゃちう ししゃく ゐ つう うった て さば 

さ X- ど そ は予が 語らん とする 所に あらす。 予は 馬車 中 子爵の EH 痛 を 餅 ふるや、 乎に ポケット を拽 

ぐわん やく ± 二 t しかう ぐわん やく いっき やう よ なに r よ ひ ぐ h 仏, は" 

りて、 丸 藥の爾 を 得たり。 而 して その 「かの 丸藥」 なる に 一驚したり。 予は何が故に今.^?この丸藥 

さっさ ぐう ぜ.. ;ん よ せつ ぐう ネ-ん こと こ ひ ひが かな,:: す ぐ; ぜ;^ 

を携 へたる か。 偶然 か、 予は 切に その 偶然な らん 事 を 庶幾 ふ。 され ど そ は、 おしも^ に は あらさ 

1 ごと 

りし もの の 如し。 

丄-' ちぐ bo C ち よ しし J:^ く あきこ とも よ いへ ばんさん .V も よ し: § うし よ 

「ル月 X 日、 予は 子爵と 明 子と 共に、 予が 家に 晩餐 を 共に したり。 しかも 予は 終始 予が ホケッ 

そこ ぐわん やく わす こと あた よ こ i ろ ほとんどよ じしん ふか か,.^ く、.^^ つ 1".-,,^- 

ト の^なる かの 丸藥を 忘る る 事 能 はす。 予の心 は、 殆 予 自身に とりても 不可 f なる 怪物 を 蘇す 



るに 似たり。 

じふい ちぐ わつ にち ししゃく つ ひ あきこ けっこんしき あ よよ じしんたい めいじ やう がた ふんぬ かん 

「十一月 X 日、 子爵 は 遂に 明 子と 結婚式 を擧 げたり。 予は予 自身に 對 して、 名狀し 難き 愤怒 を感 

え ふんぬ ちた か ひとたび とんそう へいし じこ け ふだ たい かん しうち じ やう 

ぜ ざる を 〔5: す。 その 憤怒た る や、 恰も 一度 遁走せ し 兵士が、 自己の 怯懦に 對 して 感 する^ 恥の 情 

に ごと 

- 一 こ _v つ 、、ュ nc ノ 

に.^、 んる, Ri:?; し 

じふ 、わつ にち よ しし,,、 こ ひ おう これ び やうし やう み あきこ また か-: はら や らい はつね J 

「十二月 X 日、 予は 子爵の 請に 應 じて、 之 を その 病床に 見たり。 明 子 亦 傍 にあり て、 夜 來發熱 

1^5.^.- 、 よ しんさつ のち かんばう す い た ビち いへ かへ ししゃ,、 ため み-つか ごう 

I 甚 しと 云 ふ。 予は 診察の 後、 その 感冒に 過ぎざる を 云 ひて、 直に 家に 歸り、 子爵の 爲に 自ら 調 

ざ- - かんやくに じ かん ぐわん やく はこ しゅうしょ おそ ベ いう わく ち ぞく 

劑 、しぬ。 その 間 約 1 一時間 T かの 丸藥」 の函は 終始 予に 恐る 可き 誘惑 を持續 したり。 

じふに ぐ わつ にち よ さくや ししゃく せつがい あくむ ぉぴ やか しゅうじつき ようちう ふく わい はい がた 

「十二月 X 日、 予は 昨夜 子爵 を 殺害せ る惡 夢に 脅されたり。 終日 胸中の 不快 を排し 難し。 

にぐ b つ にち あ あ よ いま はじ し よ しし X.-- く せつがい ため よじ しん せつがい 

「二月 X 日、 鳴 呼予は 今にして 始めて 知る、 予が 子爵 を 殺害せ ざらん が爲に は、 予 自身 を 殺害せ 

ベ. A あきこ いかん , 

ざる 可らざる を。 され ど 明 子 は 如何。」 

しし;;;、 、か なら ぴ ふ じん よ にっき たいりゃく たいりゃく いへ ど よ れんじつれんや く もん けい 

子爵 閣下、 並に 夫人、 こ は予が 日記の 大略な り。 大略な りと 雖も、 予が 連日連夜の 苦悶 は、 卿 

ら ん な ら よ れぅ か". よ ほんだ ししゃく 二ろ ため よ じ しん 二ろ ,ベ か : , 

等 必すゃ 善く 了解 せん。 予は本 多 子爵 を 殺さ ざらん が爲に は、 予 自身 を 殺さざる 可ら す。 され ど 

2 よ も よ じ しん すく ため ほズだ ,ししゃ; ころ よ よ みつむらき ようへい ほ • ふ り いう い 

7 予 にして 若し 予 自身 を 救 はんが 爲に、 本 多 子爵 を 殺さん か、 予は予 が 滿村恭 平 を iS りし 理由 を 如 



«のぎ にか i む T けん。 _5-し;^«をま1したる&.^にして、 ,の 自覺 せざる 利己主義に 伏^した 

る ものと & さんか、 f0 ぶの i# r^li£、 すべてぎ i つて if 可し。. 

: ク しろ に ,レ '0 二ろ るか よ せいしん てき は さん *"、 さ 

H お 額より f の is く^び & る^ば あらす。 予 はぎ、 予 自身 を 殺す の、 逸に 子が 精神的 破産に 勝れる 

を M する ものな り。 II にデは が を^お せんが きに、 ゲき 「かの 丸藥」 の函 によりて、 嘗て ラ 

て た ふ ぎ せい どういつ うんめい ばな , 

が 手に 俱れ たる 犠牲と、 IM 一 運命 を擔 はんとす 

pl^. PS デは « おが ,^ の に、 淝|-がこの^|^を铲 にするの時、 旣に 死體 

となりて、 f が義 i に衡 If らん。 啦、 好に 11 して、 樓々 予が 呪-ふ 可き 半生の 祕密 を吿, n したる は、 

て^ isif にい 蘭 か Sto い S よ^んと S する が^の み。 にして おし £ む 可 くんば、 ^ち£ み、 

^^^くんば、 齢が。 ; f は 11 ^^衡 み、 ^^€^る?^は、 でまず の lir 憐憫と を 蒙 

る IeO ゥ さらば 一す は戰を ^ いて、 1^ が を 1^、 直に 新 富 座に 赴かん。 而 して 卞 =: の m 劇 を 終 

りたる の徵、 チは 「かの;! 難〕 の嫩 ^をお に 断み て、, 裙び, が膨車 に^ぜん。 節 物 は 素より 異れ ども、 

^バ たる «麼 は、 デ をし V い f げ M ^^の を銜嫩 せし む。 ^くして? はかの 肥大 まに 似た る滿村 

きお^ 妮く、 si のおに S# する^お の -、 のおに 爾勺 たる^^の 音 を S きつつ、 新 富- 



ざ さ ことけ な はだ 七 ほ かなら すよ さいご いき こ きふ ベ けいら キノに みやつ にち しんぶん ひるが へ とき おそ 

座 を 去る 事 甚 遠から すして、 必予が 最期の 息 を 呼吸す 可し" 卿 等 亦 明日の 新聞 を飜 すの 時、 恐 

よ ゐ しょ う さきだ きたば たけぎ いちらう なう しゅっけつび やう もつ くんん げき き と ば しゃない 

らく は 予が遣 書 を 得る に 先立って、 ドクトル 北島義 一郎が 腦 出血 病 を 以て、 觀 劇の 歸途、 馬車!: 

とんし いっかう よ を はり のぞ よ せリ けいら かう ふく け/ (ざい い Q けいら つね ちうじつ 

に 頓死せ しの 一 項を讀 まん か。 終に 臨んで 予は 切に 卿 等が 幸福と 健在と を 祈る。 卿 等に 常に 忠赏 

しもべ き だばた はぎ い ちら うはい 

なる 僕、 北畠義 一 郞拜。 

(大正 七 年 六月〕 



76 



さんびゃく V- い よは ひ たも た Q み あ, 1H い み らいえ い/、 はて ±Q くら 

たと ひ 三百 歳 3 齢 を 保ち、 樂 しみ 身に 餘 ると 云 ふと も、 未來 永々 の 菜し なき 樂 しみに 比 ぶれば- 

ゆめ *- ぼろし ごと いい ナ, やう やく 

夢幻 の 如し。 —慶 長 譯 き pecador— 

ぜんみち た. い,, ひと み をし へ ふ -, ナ しぎ かんみ ぉぽ 

善 の 道 に 立ち入り たらん 人 は、 御敎に こ も る 不可思議 のせ 味 を覺ゅ ベ し C 

け 、, す.' やう く 

,1 慶 長 譯 Imitationo christii 

さ ころに ほんな がさき ま を じ ゐん *- を 

去ん ぬる 顷、 日本 長 崎の 「さんた。 ろち や」 と 申す 「え けれし や」 (寺院) に、 「ろお れん そ」 と 申す 

くに せう ねん あると しご かう たん まつり よ と ぐち う つか 

この 國の 少年が ござった。 これ は 或 年 御 降誕の 祭の 夜、 その 「え けれし や」 の戶: IT に、 娥ゑ 疲れて 

ふ を さんけい ほう はラ にんし ゆう かいはう ばてれん あはれ じ ちう やしな こと 

うち 伏して 居った を、 參詣の 奉敎人 衆が 介抱し、 それより 伴天連の 憐み にて、 寺 中に 養 はれる 事 



死の 人敎奉 ■ 77 



なぜ み. すヒ やう と 、-- る さと てん く ち、 な 

となつ たげ で ござる が、 何故か その 身の 素性 を 問へば、 故鄕は 「はらい そ」 (天 國) 父の 名 は 「でう 

ごんし や いつ こと わら ひ まぎ あか こと . 

す」 (天主) などと、 何時も 事 も なげな 笑に 紛らいて、 とんと まこと は 明した 事 も ござない。 なれ 

お b、 -r- , い けうと やから 二と て あ を だま 

ど親の代^^ら「ぜんちょ」(異敎徒)の輩でぁらなんだ事だけは、 手く びに かけた 靑 玉の 「こんた つ」 

れんじ み し ま を ばてれん お ほ しゅうほ ふきやう だい もや 

(念珠) を 見ても、 知れた と 申す。 されば 伴天連 はじめ、 多くの「ぃるまん」衆(法„儿^^)も、 よも 怪 

ふ ち お しんじん けんご 

しい もので は ござるまい とお ぼされ て、 ねんごろに 扶持して かれた が、 その 信心の 堅^な は、 

を:. な こ ちゃうら うし ゆう した ま い ^i- どう てん 

幼い にも 似す 「すべり おれす」 (長老 衆) が 舌 を 捲く ばかりで あつたれば、 一 同 も 「ろお れん ぞ」 は. 入 

どラ うま ま を うま 二し t げ 

童の 生れが はりで あらう すな ど 申し、 いづく の 生れ、 たれの 子と も 知れぬ もの を、 無下にめ でい 

つ くし ん で 居つ たげ で ご ざ る 。 

ま.,: かほ たま きょ こわ をん な やさ 

して 乂 この 「ろお れん ぞ」 は、 顔 かたちが 玉の やうに 淸ら かで あつたに、 驚 ざま も 女の やうに 優 

ひと ひと ふ、、 ひ なか くに 

しかつ たれば、 一 しほ 人々 の あはれ みを惹 いたので ござらう。 中で もこの 國の 「い るまん」 に 一 し 

ま を おと.' では ひ かなら すな か 

め おん」 と 申した は T ろお れん ぞ」 を 弟の やうに もてなし 、「え けれし や」 の 出入りに も、 、ゼ 仲よ- リ 

r く あよ を もと だいみ やう つか やり ひと いへ 

チを 組み 化せて 居った。 この 「しめ おん」 は、 元 さる 大名に 仕へ た、 槍 一す ぢの { 潔 がらな ものち や 

み つぐん しゃう とく がう りき よ ば て れん いし 力 はら 

されば 身の たけ も 抜群な に、 性 得の 剛力で あつたに 由って、 伴天連が 「ぜんちょ」 ばらの 石兀 にう 



78 



ふせ しん こと いちど にど 5 fe 

. たるる を、 防いで 進ぜた 事 も、 一度 二度の 沙汰で は ござない。 それが 「ろお れん ぞ」 と睦 じうす る 

はと 4 めら わし ま を あるひ ざん ひのき え び 

さま は、 とんと te- にな づむ荒 鷲の やうであった とも 申さう か。 或は r れば のん」 山の 檜に、 葡萄 か 

一 はま さ ま を 

づらが 纏 ひついて、 花、 あいた やうであった とも 申さう す。 • 

ほど み とせ としつき なが よ げんぶ 一、 

さる 程に 三年 あまりの 年月 は、 流る る やうに すぎた に 由って、 「ろお れん ぞ」 はや が て: 兀服 もす 

じ せつ ころ あや うは VJ つた .5 を とほ 

べき 時節と なった。 したが その 頃 怪しげな 噂が 傳は つたと 申す は、 「さんた • るち や」 から 遠から 

まちかた かさ はり むすめ した い こと かさ はり おきな てんしゅ み をし へ ほう 

ぬ 町方の 傘 張の 娘が、 「ろお れん ぞ」 と 親しう すると 云 ふ事ぢ や。 この 傘 狠の翁 も: 大 主の 御 敎を奉 

ひと ゆ ゑ むすめ まゐ なら はし おんいの り ひま むすめ . ^うろ 

する 人 故、 娘 ともども 「え けれし や」 へ は 參る慣 であった に、 御 祈の 暇に も、 娘 は 香爐を さげた 「ろ 

すがた め はな *.-を こと では ひ かなら ナ 

おれん ぞ」 の 姿から、 眼 を 離した と 申す 事が ござない。 まして 「え けれし や」 への 出入りに は、 必 

髮 かたち を 美し うして、 「ろお れん ぞ」 のゐる 方へ 服づ かひ をす るが 定で あ つた。 されば おの づ と 

ほうけ うにん しゅう ひとめ とま むすめ ゆ あし ふ い だ 

奉敎人 衆の 人目に も 止り、 娘が 行きす りに 「ろお れん ぞ」 の 足 を 踏んだ と 云 ひ 出す もの も あれば、 

ふたり えんしょ み ま を で き 

一 一人が 艷書 をと りか はす をし かと 見と どけた と 申す もの も, 出て 來 たげ で ござる。 

よ ま て れん お お ぼ あるひ め しら 

由って 伴天連に も、 すて 置かれす 思され たので ござらう。 或 日 「ろお れん ぞ」 を 召されて、 .C ひ 

か .-j う かさ はり むすめ と かく うはぶ よし き 

げを嚙 みながら、 「その 方、 傘 張の 娘と 鬼 角の 噂 ある 由 を 聞いた が、 よも やまこと では あるまい。 



9 ど うぢ や」 ともの i しう i ねられた。 したが 「ろお れん ぞ」 は、 唯 憂 はしげ に 頭 を 掘って、 「その や 

. ぅな;^|はぃーっ^に!^じょぅ|{1もござらぬ」と、淚聲に繰返すばかり故、伴天連もさすがに我を折られ 

て、 IfM と 「K ひ、 Si 頃の 言 心と 云 ひ、 かう まで 申す ものに 偽 は あるまい と され たげ で ござる。 

つおう, i て れ /? う.,: が ひ +* まゐ ひと..^ あ ひだ 9 ひで, - > r\ 

さて 伴天連の 疑 は れて ぢ やが、 「さんた • るち や」 へ參る 人々 の 間で は 容县 にと 力う の 

が, えさう も ござない。 されば 兄弟 同様にして 居った 「しめ おん」 の氣 がかり は、 ヌ 人一倍 ぢ 

ノ つ * たづ 

や。 ||?^かゃぅな|!^|^^を、 ものものしう 詮議 立てす るが、 おのれに も 恥し うて、 うちつけに t 導 

リ 、VH み ほど あるとき 

ねよう は 元より、 「ろお れん ぞ」 の载さ へ まさかと は 見られぬ 程で あつたが、 或 時 「さんた • るち 

や」 の で T ろお れん ぞ」 へ 宛てた 娘の 艷書を 拾うた に 由って、 人氣 ない 部屋に ゐたを 幸、 「ろ 

お^ん ぞ」 の 前に その, ik をつ きつけて、 嚇 しつ 賺 しつ、 さまざまに 問 ひた だいた。 なれ ど 「ろお え 

んぞ」 は:^、 iiK しい 額 を 赤らめて、 「船 は, 私に 心 を 寄せ ましたげ で ござれ ど、 私 は 文 を^うた ばか 

くち き こと ま を /せけん - ; 」ゾー -、 、 , „- ゃ- ゝ *「 \ ,D 

奉 り、 とんと 口 を 利いた 事 も ござらぬ」 と 申す。 なれ ど 世 問の そしり も ある 寒で ごされ は 「しめ あ 

敎 i と なじ め あ ひて み お. f ゝ、 

人 ん」 は鮮も 押して 問 ひ 詰った に 、「ろお れん ぞ」 はわび しげな 服で、 ぢ つと 相手 を 見つめた と へば 

ク : / ^ 七が い にな つば" ら 

死 「私 はお 主に さ \ 、 噓を つきさうな 人間に 見える さうな」 と、 咎める やうに 云 ひ 放って、 とんと f.^; 



80 



なん ま >- へやたい いみ 

か 何ぞの やうに、 その 儘つ と 部屋 を 出って 行つ てし まうた。 かう 云 はれて 見れば、 「しめ お ん」 も 

■ おのれ ラ たが ひぶ か はづか よ . す,.. 7 く- - か: 

己の 疑 深かった のが 恥し う もな つたに 由って 悄々 その 場 を 去らう としたに いきなり 祈:!^ こ 

んで來 たは、 少年の 「ろお れん ぞ」 ぢゃ。 それが 飛びつ くやう に 「しめ おん」 の 頸 を 抱く と、 喘ぐ や 

わたし わる f§ る くだ さ、 や ひとこと こた ま なみだ ぬ かほ t 

うに 「私が 惡 かった。 許して 下されい」 と攝 いて、 こなたが 一 言 も 答へ ぬ 問に、 淚に 1^ れた 顏を隱 

ため あ ひて み ひら いっさん またもと き はう はし い 

さう 爲か、 相手 を つきのける やうに 身 を 開いて、 一散に 又 元來た 方へ、 走つ て^んで しまうた と 

キを わたし わる さ >- や むすめ みっつう わる い あるひ 

申す。 されば その 「私が 惡 かった」 と懾 いたの も、 娘と 密通した のが 惡 かった と 云 ふの やら 或は 

わる い い.? 太ん が てん いた --^ 

「しめ おん」 につれ なう したの が惡 かった と 云 ふの やら、 一 圓合點 の 致さう やうがなかった との 桌 

で ござる。 

へ •- i おこ かさ はり わ すめ みごも い さわ にら こ ナ,、 

すると その後 間 もな う 起った の は、 その 傘 張の 娘が 孕った と 云 ふ 騷ぎぢ や。 しかも 腹の 子の 父 

.13, や ま V,- ^ X まへ *, を か V- はり 

親 は T さんた • る ちゃ」 の 「ろお れん ぞ」 ぢ やと、 正しう 父の 前で 巾し たげ で ござる。 されば 傘 張 

おきな ひ いき ど ほ そく ーフ、 ば て れん ゐ さい うった ?ゐ ぅハ 1 - / * 

の 翁 は 火の やうに 憤って、 卽刻 伴天連の もとへ 委細 を訴 へに 參 つた。 かうな る 上 は 「ろ あれん そ」 

、 つけ -V. こ ひ うち «x て ナん にじ し はう いちど 5 たん 

も、 かつ ふつ 云 ひ譯の 致し やうが ござない。 その H の 中に 伴天連 を 始め、 「いるまん」 衆 一 同の 談 

がふ よ は もん *. を わた こと もと 1! もん さ た え. ^-ノ て』 れ乂 て, 

合に 由って、 破門 を 申し渡される 事に なった。 元より 破門の 沙汰が ある 上 は、 伴天連の ザ もと を 



死の 人敎黎 81 



お よら こと こ こう こま もくぜん ざ いにん 

も 追ひ拂 はれる 事で ござれば、 糊口の よすがに 困る の も 目前 ぢゃ。 したが かやうな 扉 人 を、 この 

V- と 5- お おん あるじ えいく わう か、 は こと ひ 一 ごろした 

儘 「さんた • る ちゃ」 に 止めて 置いて は、 御主の 「ぐろ おり や」 (榮 光) にも 關る事 ゆ ゑ、 曰顷 親しう 

いた ひ A 一ん、 なみだ お はら ま を こと 

致 い た 人 々 も、 淚を のんで 「ろお れん ぞ」 を 追 ひ拂っ たと 申す 事 で ご ざ る " 

なか あは やう だい を み うへ 

その 中で も 哀れ をと どめた は、 兄弟の やうに して 居った 「しめ おん」 の 身の上 ぢゃ。 これ は 「ろ 

お だ いかな あざむ い はら だ いちばい 

おれん ぞ」 が 追 ひ 出される と 云 ふ 悲し さよりも T ろお れん ぞ」 に 欺かれた と 云 ふ 腹立たし さが 一 倍 

^-^ せ-つねん をり こが..:: し ふ なか と ぐち で かたはら こぶし 

故、 あのいた いけな 少年が、 折からの 風が 吹く 中へ、 し をし をと 戶 口を出 かかった に、 傍から 拳 

を ふるうて、 したた かその 美しい 顏を 打った。 「ろお れん ぞ」 は 剛力に 打 たれた に 由って、 思 はす 

た ふ お なみだ め , そら 4-- ふ おん あるじ ゆる たま 

そこへ 倒れた が、 やがて 起き あがる と、 淚 ぐんだ 服で、 签を 仰ぎながら、 「御主 も 許させ 給へ T し 

お g; し わざ いの を こと 

め おん」 は、 己が 仕業 も わき ま へ ぬ もので ござる」 と、 わななく 聲で 祈った と 申す 事ぢ や。 「しめお 

& くじ しばら た と ぐち た こぶし くう を 

ん」 もこれ に は氣が 挫けた ので ござらう。 暫く は唯戶 口に 立って、 拳 を 空に ふるうて 居った が、 

ほか しゅう. しほ て つか あらし ふ い 

その外の 「いるまん」 衆 も、 いろいろと とりない たれば、 それ を 機 食に 乎 を 束ねて、 -M も 吹き出で 

そら 一 ごと す さま かほ くも す-ご かど で うしろ 

ようす 空の 如く、 凄じく 額 を 曇らせながら、 悄々 「さんた. るち や」 の 門 を 出る 「ろお れん ぞ」 の 後 

すがた Avv. ぽ み おく を と きゐ あ ほうけ うにん しゅう はなし つた き 七 き ■ 

姿 を、 貪る やうに きっと 見送って 居った。 その 時 居 合 はせ た 奉敎人 衆の 話 を 傅へ 聞けば、 時し も 



メ ち <r かしち ながさき にし そら し-つ け しき 

こ. g しに ゆらぐ r 円", S が、 うなだれて IC む 「ろお れん ぞ」 の 頭の かなた、 長 崎の 西の 签に 沈まう す 景色 

であった にがって、 あのがん I? の やさしい お 1^、 とんと 1っ|?<ん の 火焰の 中に、 立ちき はまった やうに 

み i を 

見えた と 申す。 

な 、ちん ., ^うろ むかし う か r は 、 . ^ち 

そのぎ の 「ろお れん ぞ」 は、 「さんた • るち や」 の. 內陣に 香爐を かざした 昔と は 打って 霞って W 

は づれの ILM:^ まに I き^しす る、 世に も 哀れな 乞食であった。 まして その 前身 は、 「ぜんちょ」 

てん〕 c^- をし へ まう ます w- 、 こ、., -ズ 

の uti は ゑと りの やうに さげし まるる、 天主の 御敎を 奉す る もの ぢゃ。 されば 町 を 行けば 、もな 

ぃl.^l-にi^るは;^?、 兆5^^|禁1に&ぅた5^も、 I- 々ござ るげ に ぼき おんだ。 いや、 ^ 

つて は、 $«^の^^2はびこった、 ir- い n にと りっかれ て、 ^^!!ぜ^の!" li ばた に 伏し まろ 

ん では、 ^^^えたと も とで ござる。 したが、 「でう す」 無量 無 邊の御 愛憐 は、 その都度 「ろお 

J ,1ヒ 亡 03 ベ. "き/" や-り /\- やま こ み うみ ぎよ 力い 

れん ぞ」 がい 一 1叩ぃを« はせ si うたのみ か、^ 物の 米 t 錢 のない 折々 に は、 山の 木の 實、 海の 魚介な ど 

その * デの II を せ ふの が 1.^ であった。 由って 「ろお れん ぞ」 も、 朝夕の 财 は 「さんた • る ちゃ」 

あ を だ や; 、ろ か *、 を こと , 

に!! つた I れ; 14 树れ す、 がくび にかけ た 「こんた つ」 も、 靑 玉の 色を變 へなかった と 申す 事ぢゃ な 

^ んの、 それの みか、 夜毎に 更闌 けて 人 昔も靜 まる 頃と なれば、 この 少年 は ひそかに は づれグ ..TV 



こん ご や ぬ いだ つき ふ す な おん あるじ |ノ- 

3 人.^ 屋を脫 け 出いて、 月 を 踏んで は 住み 馴れた 「さんた • る ちゃ」 へ、 御主 「せす • きりし と」 の 御 

8 

加護 を 祈り まゐら せに 詣 でて 居った。 

お まう ^うけう. にんし ゆう ころ -リと 

なれ ど 同じ 「え けれし や」 に 詣づる 奉 敎人衆 も、 その 頃 はとん と 「ろお れん ぞ」 を 棘ん じ はてて、 

f て り: ん たれ ひ. V り あはれ は もん * プり しょぎ やうむ r;/、 

伴天連 はじめ、 誰 一人 憐みを かくる もの も ござら なんだ。 ことわり かな、 破門の 折から 所行 無慚 

せう ねん おも を よ なん よ /.M! ひと まゐ ほど しんじ ス 

の 少年と 思 ひこんで 居った に 由って、 何として 夜毎に、 獨り 「え けれし や」 へ參る 程の、 信心 もの 

し せんまん わり や-つ お スはか ひと ゆ ゑ ぎ や-を 

ぢ やと は 知られう ぞ。 これ も 「でう す」 干 萬 無量の 御 計ら ひの 一 つ 故、 よしない 儀と は 中しながら 

み キ た あは こと 

「ろお れん ぞ」 が 身に と つて は、 い み じく も 亦 哀れな 事で ご ざ つ た。 

ほど かさけ り わすめ はもん ま つきみ をん な 

さる 程に、 こなた は あの 傘 張の 娘ぢ や。 「ろお れん ぞ」 が 破門され ると もな く、 月も滿 たす.. M 

こラ おと も. お 令な ひまご かほ に,、 おも 

の 子 を 産み 落いた が、 さすがに かたくな しい 父の 翁 も、 初孫の 額 は 憎から す 思うた ので ござら 

.C すめ たいせつ かいはう み • つか いだ とき に ス ふやう 

う、 娘 ともども 大切に 介抱して、 自ら 抱き もし かかへ もし、 時には もて あそびの 人形な ども とら 

ホ1、 を こと お キ-な もと けう 

奉 せた と 申す 事で ござる。 翁 は 元より さも あらう すなれ ど、 ここに 稀 有な は 「いるまん」 の 「しめお 

^ あくま ひし お ほ をと こ むすめ こ う いな いとま ごと かさ はり 

人 ん」 ぢゃ。 あの r ぢ やぼ」 (惡 魔) を も 挫が うす 大男が、 娘に 子が 産まれる や 否や、 暇 ある 毎に 傘 張の 

の 

ぉキ; な お A,/ つ ぶ こつ かひな をつな ご いだ あ かほ なみだ うか おと- いっく 

^ 翁 を 訪れて、 無骨な 腕に 幼子 を 抱き上げて は、 にがにがしげ な 顏に淚 を 浮べて、 „ ?:^ と 愛しんだ、 



あえかな 「ろお れん ぞ」 の 優姿 を、 思 ひ 慕って 居った と 申す。 唯、 娘の みは T さんた • る ちゃ」 を 

. た すがたみ うら なげ けしき 

% で てこの 方、 絶えて 「ろお れん ぞ」 が 姿 を 見せぬ の を、 怨めしう 歎き わびた 氣色 であつ たれば、 

おと-つ なに こ、 ろよ おも み 

「しめ おん」 の 訪れる のさへ、 何かと 快から す 思 ふげ に 見えた 

く-, - ことわざ くわう いん せきもり ま を とほ ほど ひとと, と 化つ き ま 化、 

この 國の讓 にも、 光陰に 關守 なしと 申す 通り、 とかう する 程に、 一年 あまりの 年月 は 瞬く ひ 

す お fx し. おも たいへん おこ まを いちで うち なが ><\^ まち なか 

まに 過ぎた と 田? 召されい。 ここに 思 ひも よらぬ 大變が 起った と 申す は、 一夜の 中に 長 崎の 町の 半 

r よら ゃノ よく わじ こと をり け しき す さま まつご おん V, はき . 

ば を 燒き拂 つた、 あの 大火 事の あった 事ぢ や。 まことに その 折の 景色の 凄じ さは、 末 ffi- の 御 裁 一 

らっ. ね いってん ひ ひかり な わた .3^- ノ、, , * ュ,. み > け: 、 

の喇 i の 音が、 一天の 火の 光 を つんざいて、 鳴り渡つ たかと 田ん はれる ぱ かり i にも 身の^の よ 

とき か >\ はり お, *v な いへ うん 4: る かざしも よ みみ ? -C ほ 

だつ もので ござった。 その 時、 あの 傘 張の 翁の 家 は、 運惡ぅ 風下に あつたに 由って, 見る見る 焰 

, .1 つやこ ナん ぞく あわ に いだ み .s-' め う をん な こ すがた み 

に 包れ たが、 さて 親子^ 族、 慌てふためいて、 逃げ出いて 見れば、 娘が 産んだ 女の子の 姿が 見え 

> し まつ ,す-' VC 'やう ひとま ね お わす , に - 

ぬと ぜふ 始末 ぢゃ。 ,1 定、 一 問 どころ に寐 かいて いた を、 忘れて ここまで 逃げの ぴ たのて あら 

おきな あし C 、し わすめ た ひ レー さへ ¥ , , * ひ.. なか, だ,, い、 > -、 

うす。 されば 翁 は 足す り をして 罵り わめく。 娘 も 亦、 人に 遮られす ば 火の 中へ も馳せ 入って 

たす 、だ ■ ナ しき み かぜ キ. すくく は ほのほ した てんじゃう ほし こが ぶ . 

助け!!さぅ^^色に見ぇた。 なれ ど 風 は 益 加 はって、 焰の. 舌は大 上の 星 を も 焦 さう す w りゃうち 

^ や。 それ 故 火 を 救 ひに 梨った 町方の 人々 も、 唯、 あれよ あれよ と 立ち 騷 いで、 狂 の やうな 娘 を 



とり § める より 化に、 せんず も 亦 ある まじい。 所へ ひとり、 多くの 人 を 押し わけて、 駆けつけて 

S や だま した た,. ま だい; ちゃう 

. 來バ つた は、 あの 「いるまん」 の 「しめ おん」 で ござる。 これ は 矢玉の 下 もく ぐつ たげ な 逞しい 大丈 

^ ,H, ほ 0ミ なか むか くわせい へきえきい VI 

矢で ござ^ば、 あり やう を 見る より 早く、 勇んで 焰の 中へ 向うた が、 あまりの 火勢に 辟 《 ^致いた 

C さんど すれ-り み i そ びら いっさんにいだ WYr な 

ので ござらう。 二三 度 煙 をく ぐった と a る 間に、 背 をめ ぐらして, 一散に 逃げ出いた して 翁と 

赠ピが 15. がだュ きへ^て 、「これ も 「でう す」 萬 事に かな はせ たま ふ 御 計ら ひの 一 っぢゃ < 詮ない 甲-」 

ま を と お. ?-< か. f まら たれ し たか おん あるじた す i:^ ま さ;; 

あきらめられい」 と. S. す。 その 時 翁の 傍 から、 誰と も 知らす、 高らかに 「御主、 助け 給へ」 と 叫ぶ 

J メ き ぽ か ラベ こ ゑ ぬし 

ものが ござった。 聲 ざまに 聞き 覺ぇも ござれば、 「しめ おん」 が 頭 をめ ぐらして、 その 聲の主 をき つ 

> こと キ よ や ほそ . ^ほ ひ ひ.^ り 

と; 見れば、 いかな 事、 これ は紛 ひもない 「ろお れん ぞ」 ぢゃ。 淸ら かに 瘦せ 細った 額 は、 火の 光に 

> .^"J .qfV こ ノ、 かみ 二 お ま おも あは うつく み ど 

l うかが やいて、 ^に 亂れ る黑髮 も、 肩ビ餘 るげ に 思 はれた が、 哀れに も 美しい 目の かたち は 

^t} メ レ こつ じさ すがた .Avd が ひと ふ、 4 へ产 、め 

,一 if 見て それと 知られた。 その 「ろお れん ぞ」 が、 乞食の 姿の まま、 群る 人々 の" 一 S に 立って U も 

b - 、 な-. を おも ま ほど ひと ほのほ 

奉 はなた す 燃えさ かる 家 を 眺めて 居る。 と 思うた の は、 まことに 瞬く 問 もない 程ぢ や。 一 しきり 焰 

メ M を廳 つて、 い S が 4¥ ^つた と^れば T ろお れん ぞ」 の 姿 はま つし ぐらに、 早く も 火の 柱、 

死 "だの ま、 ^の 1 おがぎ ビ はいって, つた." 「しめ おん」 は 思 はす 遍 身に 汗 を 流いて、 空 高く 「くるす」 



86 



じふ じ る 一が おのれ おん あるじ た. U たま さは ぜ ときこ,.! ろ め こがらし ゆ 

(む 字) を 描きながら、 己 も 「御主、 助け 給へ」 と 叫んだ が、 何故か その 時 心の 眼に は、 風に 搖 るる 

に +r りん ひかり あ かど た うつく かな すがた 

日輪の 光 を 浴びて 、「さんた • るち や」 の 門に 立ちき はまった、 美しく 悲しげ な T ろお れん ぞ」 の 姿 

うか ま を / 

が 浮んだ と 申す。 

を ? うけう にんし ゆう けなげ ふるき ひ おどろ は かい むかし わす 

なれ ど あたりに 居った 奉 敎人衆 は T ろお れん ぞ」 が 健氣な 振舞に 驚きながら も、 破戒の 昔 を 忘 

たちまちと t ひ はん かぜ ひと う.、 わた * ゐ i を 

れ かねた ので も ござらう。 忽 1^ 角の 批判 は 風に 乘 つて、 人 どよめきの 上 を 渡って 參 つた.〕 と 申 

おやこ じ やう あ" そ み おのみ つみ は かげ 

す は、 「さすが 親子の 情 あ ひは爭 はれぬ ものと 見えた。 己が 身の 罪 を恥ぢ て、 この あたりへ は 影 も 

み いま ひとり いのち すく ひ なか たれ 

見せなん だ 「ろお れん ぞ」 が、 今 こそ 一 人 子の 命 を 救 はう とて、 火の 中へ はいった ぞょ」 と、 誰と も 

C 、し おきな どうしん お^ すがた なが 

な く 罵り か はした の で ご ざる。 これに は 翁 さ へ 同心と 覺ぇ て、 「ろお れん ぞ」 の 姿 を 眺めて か らは、 

あや こ、 ろ さわ かく だめ た ゐみ もた なに おろか こと 二 わ だか 

怪しい 心の 騷ぎ を隱 さう す爲 か、 立ちつ 居つ 身 を 悶えて、 何やら 愚し い 事の み を、 聲高に ひとり 

を たう わすめ てる だいち ひざ *. づ りゃう て かほ 

わめいって 居った。 なれ ど當の 娘ば かり は、 狂 ほしく 大地に 跪いて、 雨の 手で 顏を うづめ ながら 

いっしん ふ C ん き せいこ みう ご け しき そら ひ 二 あめ 

一心 不亂に 祈誓 を 凝らいて、 身動き をす る氣色 さへ も ござない。 その 空に は 火の粉が 雨の やうに 

ふ ナ. C り ち .tj ら おもて う .C すめ もくねん かう ベ た み よ わす いの 

降り かかる。 is も 地 を つて、 面 を 打った。 したが 娘は默 然と 頭 を 垂れて、 身 も 世 も 忘れた 祈り 

ざん ま い 

三味で ござる。 



死の 人敎奉 



87 



とかう する 1 に、 Ti< のまに i ザた おが、 にどつ とどよ めく かと 見れば、 f ふり 亂 

、- <£ ほ D な なか あま すが;^ あら: 

いた 「ろお れん ぞ」 が、 もろ f に窮を かい, て、 fa. 天く だる やうに 省 現 

1 -: ;. ど す さま おと とも 

いた。 なれ ど その 1、 !^きき& が T つが、 &1^¥ ばから がれた ので ござらう。 凄じい 昔と 共 

に、 ひ 一とな だれの が!^ ら】 ま" しったと, もな く、 「ろお れん ぞ」 のぎ ははた と..^ えすな つて、 跳 

こ ま§|< の ?^|,、 ,瑚 の 如く そば 立 つたば かりで ござる。 

よ ,3 ほど ほうけ うにん しゅろ- みなめ 

ぁまりの船點にが^.ぎぇて、「しめぉん」をはじめま?で、 居 あはせ た 程の 奉敎人 f、 省の 

S む II ひが ござった。 ぎ かに もき; はけた たまし う^き f んで、 一度 は 脛 も あら はに 躍り 立った が、 

やがてい tr に たれた s< との やうに、 そのまま おきに ひれふし たと 申す。 さも あらば あれ、 ひれふし 

た やに は、 fim^M^f 纖 P うの 禁 がら、 ひしと g かれて 居った をい かに 

しょう ぞ。 ああ、 懸靈 なる 「でう す」 の i まき、 mi^faK 燃 

え 『i れズぷ r に^たれ ながら、 「ろお れん ぞ」 がひ必 つ. がの かや" しぼって、 こなたへ 投げた 幼子 は、 祈よ く 

齡 めのお もとへ、 &寶 もな くまろ び 落ちた ので ござる。 

C ノン- て た おきな くち 

さき 辦 に ひれ i して、 g し gl-i んだ i とぎ、 も拿をさしぁげて^.^った翁のロか 



88 



. .J-i んじ ひ たてまつ こ, 0; おの づか あ ふ まん あ ふ 

らは 一で うす」 の 御 慈悲 を ほめ 奉る I 徵が、 自ら おごそかに 溢れて 參 つた。 いや、 まさに 溢れよう 

*Kvj さき ひ ぁケし ュ ;- 

す: D は ひであった とも 申さう か。 それより 先に 「しめ おん」 は、 さかまく 火の 嵐の 中へ、 「ろお れん 

すべ いちねん ま いちもんじ を ど よ お キ-な こ-や 5 ふた. -1 びき 

ぞ」 を 救 はう す 一 念から、 眞 一 文字に 躍り こんだ にめ つて、 翁の 聲は 再 氣づか はしげ な、 いたま 

^r^ くとば ♦ よ ぞら た か もと お 今な おや 

しいぎ りの 言と なって 夜 i 仝に 高く あがった ので ござる。 これ は 元より 翁の みで は ござない。 親 

こ かこ ほうけ うにん しゅう みないす.' どう こ. 0? fA ろ おん あるじ たす たま な . > 9 さ., 

子 を 園んだ 奉 敎人衆 は、 比 n 一 同に 聲を 揃へ て 、「御主、 助け 給へ」 と、 泣く 泣く 祈り を 捧げた のぢ や。 

み こ ひと く >^ かな お なと み 

して 「びる ぜん • まりや」 の 御子、 なべての 人の 苦しみと 悲しみと を 己が もの の 如くに 見 そな はす、 

おん あるじ つ; S いの き い たま み や 

われらが 祸主 r せす. きりし と」 は、 遂に この 祈り を 聞き入れ 給うた。 見られい。 むごたら しう 燒 

けた だれた 「ろお れん ぞ」 は、 「しめ おん」 が 腕に^ かれて、 早く も 火と 煙との ただ 中から、 救 ひ 出 

まゐ 

されて 參 つたで はない か。 

なれ ど その 夜の 大變 は、 これの みで は ござなん だ。 息 も 絶え絶えな 「ろお れん ぞ」 が、 とりあへ 

ほ-つけ うにん しゅう て か かざ ふみ かど よ-ニニ と.? こと 

す 奉敎人 衆の 手に 界 かれて、 風上に あった あの 「え けれし や」 の 門へ 橫 へられた 時の 事ぢ や。 それ 

、 な/一 i5 い. A なみだ かさ はり むすめ ゃリ . か どい i. て れん あし 

まで 幼子 を 胸に 抱きしめて、 淚 にくれ て ゐた傘 張の 娘 は、 折から 門へ 出 でられた 伴; 大 連の 足 もと 

ひ ザ づ な ゐ ひと ふ \ もくぜん をな 一.. 一 V- ま みに 

に 跪く と、 並み居る 人々 の 目前で 、「この 女子 は 「ろお れん ぞ」 樣の 種で はお じ やらぬ。 まこと は 



.p-f .H へ ビん< り こ みっつう む すめ おも 

9 妾が S 豕 隣の 「ぜんちょ」 の 子と 密通して、 まう けた 娘で おじ やる わい の」 と、 田. ^ ひもよ ら^ 「こ ひさ 

8 > 

. さ つ ハ卞っ おも こわ ふる ま を な さう め 

ん」 (徴悔 ) を 仕った。 その 思 ひつめ た聲 ざまの 震へ と 申し、 その 泣き ぬれた 双の^の かがやきと 

まご つゆ 、つ はり おも t& 一一と わり f 、た なら 

申し、 この 「こ ひさん」 に は、 露ば かりの 僞 さへ、 あらう と は 思 はれ 申さぬ。 道理 かな、 肩 を 並べ 

i う ナラ: んし ゆう _乙 ん こ えう くわ わす いき 二; f 一 の 

た^^敎人衆は、 天 を 焦がす 猛火 も 忘れて、 息 さへ つかぬ やうに 聲を 吞んた 

hfA なみ, V- ま を つ わら は ひ _ゾ ろ さま こ した を ノ * 丄ん 

娘が 淚をを さめて、 申し 次いだ は T 妾 は 日頃 「ろお れん ぞ」 樣を戀 ひ 慕うて 居った なれ ど 御^ 

.., ん ナ, J,,, ゆ ゑ うら こ.. -ろ ではら こ -.. 

心の 堅!: さから あまりに つれな くもて なされる 故、 つい 怨む心 も 出て、 股の 子 を 「ろお れん ぞ」 樣 

ヒな ま を 、つよ わら は くち を おも し いた . 

の 種と 申し 偽り、 妾に つらかった 口惜し さ を 思 ひ 知ら さう と 致いた のでお じ やる なれ ど 「ろ ふ? 

A, ま み-一... ろ け だか わら は だいざい に, - たま に ,よ ひ んみ 1 あや ふ _ f - け ノ、 1 ヽ 

れん ぞ」 樣の御 心の 氣高 さは、 妾が 大罪 を も 憎ませ 給 はいで、 今宵 は 街 身の 危さ をもう ち 忘れ 「い 

y ..--< くわえん なか わ f 「はむ すめ いちめい かた じ 1: な すく -ゃ i -ジ , -'. れ、、 

んへ るの」 (地獄) にも まが ふ 火焰の 中から、 妾 娘の 一命 を 辱 くも 救 はせ 給うた その 御憐み 御 

お V? あるじ さいらい *. を 丄;^ 1 も- ^^^^>( つ ^ あに、 

らひ、 まことに 御キ r せす. きりし と」 の 再來か ともをが まれ 申す。 さる にても 妾が 重々 の 極. ぼ 

おも y . ^一 1 たち *K ち つめ すん ふ、 v.- なか/、 うら と-; ろ 

奉 を 思へば、 この 五 體は忽 r ぢ やぼ」 の 爪に かかって、 寸々 に 裂かれよう とも、 屮々 怨む所 はお じ や 

人 る ま、,'。 一 娘 は 「こ ひさん」 を 致い も 果てす、 大地に 身 を 投げて 泣き伏した。 

の 

.t ふたへ み へ む, r か ほうけ, T にんし ゆう あ ひだ じゅんけ う -; . . なみ,、 

^ 一 一重 三重に 群った 奉敎人 衆の 問から 、「まる 太 り」 (殉敎 ) ぢゃ、 「まるち り」 ちゃと 云ヌ聲 が 波の 



ちゃう ど とき こと しゅしょう ざ, - こ,、 -r-^ i?,〉 

やうに 起った の は、 丁度 この 時の 事で ござる。 殊勝に も 「ろお れん ぞ」 は、 人 を^む 心,^ ら、 

.f,? 化: - . - J;;^5S やうせ JV ふ こつじき み おと ち... あ ふ =H て れノ) あこ 

主 「せす. きりし と」 の 御行 跡 を 踏んで、 乞食にまで 身 を 落いた。 して 父と 仰ぐ 伴天連 も、 n 几と た 

みな こ 、ろ し なし 

のむ 「しめ おん」 も、 皆 その 心 を 知らなん だ。 これが 「まるち り」 でな うて、 で ござらう。 

たう _ -v.^ す き わ-つか に さん i,- びう」 * づ み 

したが 當の 一ろ おれん ぞ」 は、 娘の 「こ ひさん」 を 聞きながら も、 僅に 二三 度 頷いて 見せた ばか 

9 力 や はだ こ て あしう,,」 うへ くち けし き ま *H つ ヒ つ 

り 髮は燒 け 肌 は 焦げて、 手 も 足 も 動かぬ 上に、 口 をき かう I 淑色 さへ もャは 全く 蜜き たげ で ござ 

む^:-め 1 むね やぶ おきな ** くら 1っ く ま 5: .^、± う 、た 

る。 娘の 「こ ひさん」 に 胸 を 破った 翁と 「しめ おん」 と は、 その 枕が みに^って、 .g かと <ル ^を^い 

て 居った が、 「ろお れん ぞ」 のま は、 刻々 に 短うな つて、 最期 もも はや 遠く は ある まじい。 ま、 n 

ごろ ゆ は はるか てんじゃう あ ふ ゐ ほし ひとみ 、ろ 

頃と 變ら ぬの は、 遙に 天上 を 仰いで 居る、 星の やうな 瞳の 色ば かり ぢゃ。 

むけめ み、 ば て れん ふ .^.i」 よ かぜ しら 

やかて 娘の 一 こ ひさん」 に 耳 をす まされた 伴天連 は、 吹き荒ぶ 夜風に 白 ひげ をな びかせ ながら、 • 

かど うしろ ま を く あらた v,-2*rs t-- 

「さんた. るち や」 の 門 を 後に して、 おごそかに 申された は、 「悔い 改 むる もの は、 幸ぢ や。 しに 

さい は ひ にんげん て ばつ ます... (I おん,' i しめ み -- 、つ y つ., - *, つ 

その 幸な もの を, 人間の 手に 罰しよう ぞ。 これより 益、 「でう す」 の 御戒を 身に しめて、、 レが ゆに 末 

P ひ *^ また み ぎ やうぎ おぐ あるじ 

期の 御 裁^の 日 を 待った がよ い。 叉 「ろお れん ぞ」 がわが 身の 行儀 を、 御主 r せす: きりし と」 とひ 

^ Z た つ こいろ ざし くに ほうけ-つ にんし: S う なか たぐ ひまれ とく かう べつ 4-, ン 

としく し 奉らう す 志 は、 この 國の 奉敎人 衆の 中に あっても、 類 稀なる 德 行で ござる。 训 して少 



1 の!? こ は ひ 11 」 ああ、 これ は 又 何とした 事で ござらう ぞ,^ ここまで 巾され た 伴 天 は、 俄 

. に はたと!: T を §ん で、 あたかも 「はらい そ」 の 光 を 望んだ やうに, ぢ つと 足 もとの 「ろお れん ぞ」 の 

が 1 せられた。 その" げな容 子 はどう ぢゃ。 その 兩の 乎の ふるへ ざま も、 ? S 吊の 事で は ござ 

ぶ S て れん ミ V- う へ な み だ あ. -: な 力 , 

るまい。 おう、 伴天連の からびた 顿の 上に は、 とめどなく 淚が 溢れ 流れる ぞょ。 

メ み はり ぉキな おん あるじ ち "f,:^ 、、ひ、 

JTR ら れい。 「しめ おん. r 見られい C 八 率 張の 翁 C 御主 r せす • きりし と」 の 街, i 潮よりも 赤い 火 

の nrY 射に ぎび て、 if なく 「さんた • る ちゃ」 の n に橫 はった、 いみ じく も 美しい 少年の 胸に 

は、 ぎげ れ たおが ひまから、 i ら かな ひつの, ま」 が、 玉の やうに 露れ て 居る ではない か。 今 は 

> をん な 

|| サ ただれた こ、 も、 自らな やさし さは、 隱れ ようすべ も ある まじい。 おう 、「ろお れん ぞ」 は 女 

^ まう くわ うしろ かき ^-v* せ-, に.^ 丄! I" ^ 

ぢゃ。 「ろお れん ぞ」 は女ぢ や。 見られい。 猛火 を 後に して、 垣の やうに んでゐ る 奉敎人 1- ^ 

! .-. £ お かさ はり れ-す め おな ま、 

? ぬの t まビ § つたに 由って 「さんた • る ちゃ」 を逐 はれた 「ろお れん ぞ」 は、 傘-? の 娘と M じ、 服な ざ 

泰 しの あでやかな こ の國 の女ぢ や。 

缓 まことに その ま ずの い 1^ さは、 あたかも 「でう す」 の tl が、 星の 光 も 見えぬ 遠い i 宗ら、 

死 i よってが る やうであった とがす。 されば 「さんた • るち や」 の 前に 居並んだ 奉 敎人衆 は、 麼に吹 



ほ .4;.s たれ かう ベ た こ. V-,.,: と 、 ひざ つ なか 

かれる 徵麥の やうに、 誰から ともなく 頭 を 垂れて、 悉 「ろお れん ぞ」 のま はりに 跪いた その 巾 

キ三 . -- ^ そら も ばん V 、やう ほ G ほ ひ き たれ 

で 聞え る もの は、 唯、 空 を どよ もして 燃えし きる、 萬 丈の 焰の響 はかりで ござる。 いや、 誰 やら 

4*、 な こ ゑ きこ か 一.」 はり むすめ あるひ またみ. T か あに おも 

の 双り 泣く 聲も 聞え たが、 それ は 傘 張の 娘で ござらう か" 或は 又 自ら 兄と も 思うた、 あの 「いるま 

じ や/.、 4 てソ、 .0 へ たか 

ん」 の 「しめ おん」 で ござらう か。 やがて その 寂寞た る あたり を ふるはせて、 「ろお れん ぞ」 の 上に 高 

て 一 i て れん おん キ- やう ,ア こ, 0; かな み >1 おん 

く 手 を かざしながら、 伴天連の 御經を 誦せられる 聲が、 おごそかに 悲しく. 斗に はいった。 して 御. 

.li- やう 二 *5 レ-き よ くに わか をメな くら よる 

經の聲 が やんだ 時 、「ろお れん ぞ」 と 呼ばれた、 この 國 のうら 若い 女 は、 まだ 暗い 夜の あなたに T は 

あ ふ み やす ゑ くちびる とピ しづか いき た 

らい そ」 の 「ぐろ おり や」 を 仰ぎ見て、 安らかな ほ、 笑み を臂に 止めた まま、 離に 患が 絕 えたので 

ござる。 

をん な いっしゃう ほか なに ひと し き およ , , ' : . な UVJ;>J 

その 女の 一生 は、 この 外に 何 一 つ、 知られなん だげ に 聞き及んだ" なれ ど それが 何事で ござ 

ひと よ た ふと なに か がた せつな かんどう 今-はま やみよ うみ 

らう ぞ。 なべて 人の 世の 尊 さは、 何ものに も換へ 難い、 刹那の 感動に 極る ものち や。 暗夜の 海に 

,M と ん, M うしん そら いつば いまだで つき ひかり み なわ なか A- ら い かひ 

も譬 へよう す煩惱 心の 空に 一波 を あげて、 未 出ぬ 月の 光 を、 水沫の 中に 捕へ てこ そ、 生きて 3. 斐 

* のち *: を さいつ 一 し いっしゃう し 

ある 命と も 申さう ン w」 されば 「ろお れん ぞ」 が 最期 を 知る も の は、 一 ろお れん ぞ」 の 一 生 を 知る もの 

9 では ござるまい か" 




が m まに 瞰 る、^ i.^.iivs、li して r れ げん だ. おうれ あ」 しきふ i し、 

, よ-つ かなら ナ せいり リラ ひ は § る わう ごん でんせつ かの ど- し と:-せゃじ.^„ 5^ん>にフ 

の J:) なり。 され ど內 t 容は必 しも、 西 歐の所 黄金 傅說」 ならす。 彼 土の 使徒 麥人か 一 

ザつ く ヒ L0 あよ ほしぶ う +ー、 ナ うと ぅヤ うしん- r じん じ せキ」 さいろく もつ ふくいんで .^v 一う I つじよ - 

を錄 すると 共に、 ^せて 本邦: S 敎 徒が 勇猛 精進の^ 蹐を も探錄 し、 以て; i 音 傅 道の 一^たら しめ 

ん とせし ものの 如し。 

て-さ 1 じ や ろげ にくわん み の がみ. r りさうたい まじ ひ,. が な ぶん , いん.^ つ は ザ K 4^ ん&ぃ ^ 、 ぺ に 3 やひ 

一 || 裁ノは 上下 ニ卷、 美 濃 紙 招草體 交り 平 假名 文に して、 印刷 甚 しく &明 を缺き 活-^^なりゃ否 

あきらか ヒ やうく わん 七. ひら らてん じ しょめい よに-がき した かんじ, 1、. 化 ゆつ せ-いい、. i いせ- んぐ^ t くく :- 

や を 明に せす。 上卷の 扉に は、. 羅甸 字に て 誓 名を橫 書し、 その 下に 漢字に て 「苻出 州ね 來ザ src ブ 

ナ 、ちゃう: ねんさ.,? ぐ わつ じ やう じゅ.. > る:.. なり にぎ やう たてがき ねんだい さ いう らっぱ ふ, - ) ^u^.^r-^^ I 

i 上句 鏤剣 也」 の i 一行 を縱 書す/ヰ 代の 左右に は 喇机を 吹け る 天使の 畫像ぁ 

f 、うす 二..; -6 ち えん ぶ. ス、 ベ し.^ ち げくわん とびら ごぐ わつ ちう ヒ ゆん るこくな り く 

り。 技 頗幼椎 なれ ども、 亦, 掬す 可き 趣 致な しとせ す。 下卷も 扉に 「五月 中句 鏤刻 也」 の 句 ある 

のぞ まった じ やうく わん い どう. 

率 を 除いて は、 全く 上卷と 異同な し) 

敎 りゃうく わん し すう やくろ, 、じつ ペラン f .V ころ ;^,^】...-.^f^A^^ ; じ や r い 1 ん はい 化 ザく ん 1 ヒ- つ. う,..^、 , 一, 

人 .# 卷 とも 诋救は 約 六 hlo; にして、 載す る の 黄金 傳說は 上 卷八章 下卷 l-i?!. を灘ユ そ 

り - 

-^^ .1 かくく,/? くんん- A ちょしゃ.^ ^ . じょぶん および、:: て/じ く は もくじ じょぶん ぶんしゃう ガヒ^ 、 P 

ク の^ 各 卷の卷 首に 著者 不明の 序文 及 羅甸字 を 加へ たる 次 あり。 序文 は 文章 雅^なら すして ^ 



i うぶん ちょくやく つ) と つ はふ まじ いっけん ま て れん せいじん て rzu が 

間歐文 を直譯 せる 如き 語法 を 交へ、 一 見 その 伴天連た る 西 人の 手に なりし や を 疑 はしむ。 

1 じ やう さいろく ほうけ うにん し がい げくわん だいにし やう よ おそ 

以上 採錄 したる 「奉敎 人の 死」 は、 該 r れ げん だ. おうれ あ」 下卷 第二 章に 依る ものにして、 恐ら 

たう じ なが さき いちせい けう じ ゐん おこ じ じつ ちうじつ き ろく たどし き じ す? つ たいく わ 

く は 當時長 崎の 一 西敎 寺院に 起り し、 事實 の忠實 なる 記錄 ならん か。 但、 記事 中の 大火なる もの 

なが V. きみな とぐ さい か しょしょ ちょう う む あきらか もつ じ じつ せいかく ねんだい いた 

は、 「長 崎 港 草」 以下 諸 書に 徵 する も、 その 有無 を すら 明に せざる を 以て、 事實の 正確なる 年代に 至 

まった けってい え 

つて は、 全く これ を 決定す る を 得す。 

よ ほ ラナう にん し おい はつべ う ひつえう じ やう た せう ぶんしょく あへ げんぶん へいい がド 5 ん 

予は 「奉 敎 人の 死」 に 於て、 發 表の 必要 上、 多少の 文飾 を敢 てしたり。 もし 原文の 平易 雅馴 なる 

ひっち はなはだ き そん こと よ かう じん ところ しかい". 

筆致に して、 甚 しく 毀損 せらる る 事な からん か、 予の 幸甚と する 所な りと 云爾.。 

(大正 七 年 八月 十二 H ) 



96 



チ ンシ ュ ハ ジメセ カイ ヲ ックリ 、ソ く チサ ンジフ ロクシン ヲッ クル ダイ イチノ キヨシ ンヲ るし へる トイ フ >i 'ゥリ t ク ミヅ カラ ォモ ヘラ クソ ノチ テン シュ トヒ トシ ト テン 

天主 初 成 ぼ 界隨造 三十 六祌 第一 鉅神 云 格 齊布兒 (中略) 自 謂 共 智 與天 主 等 天 

シ ィ カツ テナ-トシ テヂゴ クニ ィル や- ゥリ ャグ る;. チゴ クー 一 イツ テク ヲヮ グ トイへ. トモ シカモ イツ パ ン ノコ ン シン ハマ キト 十 ツチ セ, 尸-ノー I ュ ギヤ ゥシ ヒトノ ビン ネンヲ ン" ゾク 

主 怒 而貶入 地獄 (中略) 輅齊雖 入 地獄 受苦而 一半 魂 神 作 魔 鬼 遊行 世 問 退 人 ^ 念 

サ へ キ ダイ サン へ キ レツ セ イノ, リチガ イジ ユリ ャク キヨ グイ ジュ 一一 :.- タフ ルノゴ 

—— 左 關 第三 闕 裂 性 中 艾儒略 苍 許 大 受 語 ——— 

は で うす い てんしゅ けう べんなん しょもつ こと し • ひと すくな ザん 

破提 宇子と 云 ふ 天主 敎を辯 難した 書物の ある 事 は、 知って ゐる人 も少く あるまい。 これ は、 元 

な ろ くねん か が J ん そうは ぴ あん あら は しょもつ はび あん た,^し>^なん£んじ ちゅう てんし &寸 うと 

和 六 年、 加 賀の禪 II 巴毗 弁なる ものの 著した 書物で ある" 巴毗 食は當 初南蠻 寺に 住した 天主 敎徒 

ご なに じじ やう でう す にょらい す ぶつもん キ- え こと しょちう » 

であった が、 その後 何 かの 事情から、 如來を 捨てて 佛 門に 歸 依す る 事に なった 。書中に 一; つ 

ところ お. かれ らう ヒゅ V, く V- 一う けい ひと さいし 

てゐる 所から 推す と、 彼は老.^|の學にも造詣のぁる、 一 かどの 才子だった らしい。 

はで 5 す るふ ti ん くわち やうさん ぶんこ ざう ほん め いぢ ぽ しん ころ き いう だう じんう が ひて つじ やう じょぶ し と も 

破 宇子の 流布本 は、 華 頂 山 文庫の 藏本 を、 明治!^ 辰の 頃、 祀憂道 人^ 飼 徹定の 序文と 共に、 



もへ しる 



97 



^£ ^ ミ か ゎ-ノ げん よ しょ メ こ しゃほん と * 

ifi ひた ものである レ が、 その i; にも 異本がない 譯 ではない。 現に 予が 所藏 OTO: お 木の 如き は 

る ふ ん ないよう ここ か 丄ょ: たす つ r- 

流布本と^ 容を 異にする 個;; W が 多少 ある。 

fkmsf 爵の S を S じた T 擎 あるが、 S おの それに どて、 n 

では S が is い。 の 編した 露の まが、 あの Si た i 觀 ss!^ 羅 

きじ るふ ぼし の りい うお そ ま バ if. た. Gi? 

されて あるから である。 こ C 記事が 流布本に 載せられて ゐ ない 理由 は、 恐らく その 餘 りに? Mr? 化: 

ナ- 5h. と 二ろ - ± じ a> けんし 5,- う へう f- う しょもつ せいしつ ヒゃぅ こ い ぶつろ,, I:- r ' : V. -, 

ぼに 辦 する K がら、 かう rK ふ^ 邪 顯正を 標榜す る 書物の 性 上、 故意の 脫泥を 利と したから でも 

あらう か." 

X - . , ほ,?; こ-さんだ,? せう かひ いさ,. - かに び あん まへ すがた あら は にほん • , .- 1-^^ 

予は 1^ 下に この g| 本^ 三 段 を 紹介して、 聊 巴呲 弁の 前に 姿 を 現した 日本の Dlabclus を 一 

IS しょうお ふ。 iljs に て、 $f^f si ぎ IJS に irs を T 

讀す るが 好い。 

二 

ぎず デの いはく、 rs す は 「す ひ りつ ある すすた ん しゃ」 とて、 無色 無形の 赏 ii にて、 問に 髮を入 れす 



て.,? ち じゅ, つ *^ ん まし ベ つ ゐ くわう あら は ぜんにん らく あた た *^ ため 

天地い つくに も充滿 して 在 ませ ども、 別して 威光 を顯し 善人に 樂を與 へ 玉 はん 爲に 「はらい そ」 と 

つ J くらくせ かい しょてん うへ つく だ i はじめ にんげん まへ あんじよ てんし れ りゃうむ -f- う てんにん つく 

て極樂 世界 を 諸 天の 上に 作り 玉 ふ。 その 始 人間よりも 前に、 安助 (天使) とて 無量 無数の 天人 を 造 

そんたい あら は たま かみい にん くら ゐ のぞ てんかい さ だ たま てんかい キも 

り、 いまだ 尊 體を顯 し 玉 はす。 上 一人の 位 を 望む ベから すとの 天戒を 定め 玉 ひ、 この 天 戒を 守ら 

く どく よ でら す そんたい はい ふたい らく き は も または かい 

ば その 功德に 依って、 の 尊 體を拜 し、 不退の 樂を 極むべし。 若し 又 破戒せば 「いんへ るの」 と 

しゅうく じゅうまん ぢ っブヽ ノニ どくかん どくね つ く なん あた ぎ つく た ごまつ いま いっこく 

て、 衆 苦 充滿の 地獄に 墮し、 毒 寒 毒 熱の 苦難 を與 ふべ しとの 義 なりし に、 造られ 奉って 未だ 一刻 

へ すな は むり やう あんじよ なか t あんじよ おの ザ 一ん ほこ われ これ でう す 

をも經 ざるに、 卽ち 無量の 安助の 中に 「るし へる」 と 云へ る 安助、 己が 善に 誇って 我は是 es なり- 

われ はい r V . りゃう あんじよ うち さんぶん いち どうい た ぶん くみ 

我を拜 せよ と勸 めしに、 かの 無量の 安助の 屮、 三分が 一は 「るし へる」 に 同意し、 多分 は與 せす。 

こん おい で-つす はじめ かれ くみ さんぶん いち あんじよ げかい お くだ 

兹に 於て DS 「るし へる」 を 初と し、 彼に 與 せし 三分の 一 の 安助 をば 下界へ 追 ひ 下し 、「いんへ るの」 

だ た. 一一 A すなけ ちあん じょ かう まん とが よ てんぐ な 

に墮 せしめ 給 ふ。 卽 安助 高慢の 科に 依って、 r ぢ やぼ」 とて 天狗と 成りた る ものな り。 

ま なんちで う す だん と こと じじょう じ ばく ま-つ でう す み 

破して いはく、 汝提 宇子、 この 段 を說く 事、 ひとへ に自繩 自縛な り。 先 DS はいつ くに も充ち 

み まし い しんによ ほっし やう ほんぶん ごんち じゅ, r そく りくが ふ へんまん 一-と,, り 々- い 

滿 ちて 在ます と 云 ふ は、 眞 如法 性 本分の 天地に 充塞し、 六合に 遍滿 したる 理を、 聞き はつり 云 ふ 

お r に こと に ザ こと いま ザ へん ノ c _,.)と今- こと い ベ 

かと 覺 えたり。 似た る 事 は 似 たれ ども、 是 なる 箏は 未だ 是 ならす と は、 如 此の 事 を や 云 ふ 可き。 

8 なんちい で-つす さんぜ れ うだつ ち しか かれ あん i: よ つく 

9 さて 汝云 はす や。 r>s は 「さ ひえんち いし も」 とて、 三世 了 達の 智 なりと は。 然 らば 彼 安助 を 造ら 



1 



しも 



99 



そくじ とがお ベい ことし し ャ々 スぜ れ うだつ ち い. . 

ば、 卽 時に 科に 落つ 可き と 云 ふ 事 を 知ら すん ば あるべ からす。 知ら すん ば、 三世 了 達の 智と 云へ 

きょ だ,? またし つく けん どん だいいち ばんじ かな で. T す あんじよ とが だ 

ば虛談 なり 又 知りながら 造りたら ば、 慳貪の 第 一 なり" 萬 事に 叶 ふ: ならば、 安助の 科に 墮 

なん つ,、 とが お ま ネ :- か おき す こぶ てんま つく 

せざる やうに は、 何とて 造らざる ぞ。 科に 落つ る を 儘に 任せ 置た る は, 頗る 天魔 を 造りた る もの 

む よう でんぐ つく 卜 や な なん いこ V い てんぐ 

なり" 無用の 天狗 を 造り、 邪魔 を爲 さする は、 何と 云 ふ 事ぞ" され ど r ぢゃ ぼ」 と 云 ふ 天狗、 もと 

よ - た で 5 す あんじよ つく あんじよ あくま な ことわり きこ べん 

よりこの せに なしと 云 ふべ からす。 唯、 DS 安助 を 造り、 安助 惡 魔と 成りし 现、 聞え すと 辯す る 

のみ。 

*i た な たち こと *-„>んパ もつ ごて あ,、 キ- よう, つ キ- ふ" で-..' 

よし 又、 「ぢ やぼ」 の 成り立 は、 さる 事な りと する も、 汝が これ を 以て 極 はル の 鬼 物と なす 條、 

は でもつ ふ しん g ろ i .C かし なん ビ-ん じ ^ゆう とき あくま ま み , 

以て不審なり。 その 故 は、 われ、 昔、 南蠻 寺に 住せし 時、 惡魔 「るし へる」 を 目の あたりに 兑 

こと かれみ-つか しか ことわり の にんげん し こと おび , た^ j 

し 事 ありし が、 彼 自ら その 然ら ざる 理を 述べ、 人間の 「ぢ やぼ」 を 知らざる 事、 夥しき を彭 きし を 

-^^ > なか はび あん てん キ ぐ ろう ところ みだり つ ろん げん てんし!^ ^ 、な 

如何。 云 ふこと 勿れ、 巴毗 弁、 天魔の 愚弄す る 所と なり、 妄に胡 亂の言 をな すと.) 天主と 云.^ 名 

おど ,いやろ ぼ ふ ぁキ. I か さと な/ V つで う す ぐ ち なか * な こ み ノ、 ^^>^ 

に嚇 されて、 正 法の 明なる を 悟らざる 汝提 宇子 こそ、 H! ,痴 のた 中よ。 わが 服より 見れ ぱ ハ ゆけ 

ねん たま 5, て れん かナ お ほ あく i ほゾ- ヌ ん丄ゃ , ぃ,ら 

に 「さんた • まりあ」 などと 念じ 玉 ふ、 伴天連の 數は多 けれど、 惡魔 「るし へる」 程の 議論 ネは 一 

こん そ/つ いま こと ついで あし だい なん ひん こ. とば 

人 も ある まじく 存 するな り。 今、 事の 序 なれば、 わが 「ぢ やぼ」 に會 ひし 次第、 南蠻の 語に て は 一 あ 



ぼくり は」 とも ふべき を、 あらあら? もに しきかん。 . 

ね;^ げっ ほど ベ よう , 

年月の 程 は、 さる 可き 用 もな けれ S はす。 ifsm. われ, 菌 f if る 

し" W 、ほ. はした 乂 しゅうもん もんと 

t ィ 木の 茂み を步 みつ 乂 同じく 切支丹 宗門の 門徒に して、 さる やん ごとな き あたり ひだ:^ ん;、 なお 

こ ひさん おも b ? - 7 

ながらの 徵悔直 ひめぐ らし 居た る 事 あり。 1^ つ ごろ、 そのお" の われに れ ける は、 「こ あ、 

t> ことに 十, やなに レ 」 J4. 

怪しき f り。 I 何も Q とも 知れす、 i&f. tl ぞ さばず むくつ け あ f お 

ノ た 7 ほ をと こ すくな , « - 

る * に は II も少 からぬ もの をと?。 しかも その? I くき、 ききき どして、 

^ふ 1 じ やろ おの づか と,. がた こ / 5 .^'i 11 > 

I の 情 自 ら 止め 難し。 されば とてん、 g と i らんと i ふに も あらす、 , わ P の 纏く、 

美しき 事の みなげ かれ、 徒ら なる 伊 を II すなり」 と。 われ、 その 1" ^;i:tQ^S4\^l¥^、 m 

嚴 に 警めけ る は 、「その i こそ、 い Tsf ,と は ,たれ。 ,てこの 「ぢゃ ざこ ま、 ぎ 

おそろ つみ にズ げん * そ ら ナ」 ) , J L =« r\ 

の 恐し き 罪に 人 f 誘 ふ 力 あり、 一 「一 Afeir fff に i &、 I: に 編、 こお 

^1 う、 , ^ち けたい ひと だ ご、 あく- > 二 ~1 } チ > 

« 七に 懈怠、 一つと して 讓の靈 たらざる ものな し。 されば が の^たる とう 

らうへ にて 、「ぢゃ ぼ」 は Y 纏 i の れば、 §ひも§ の if I する もの は、 かりそめに 

も その 爪牙に 近づく ベから す。 i、 きに 難 を iv 、?; むの It にす が. -51 ゲて、 ; 「いん、 



I 



n ふく わ や こと * ぬか さら えたなん ぶん K>; み あくま す さえ 〉v やつ さつ 

I るの」 の 業火に 燒 かるる 事 を 免るべし」 と- - われ、 更に 乂南 蠻の畫 にて 見た る、 惡 魔の 凄じき 形相 

I かた ふじん いまさら おそろ おも し か は ほり 

など、 こまごまと 談 りければ、 夫人 も 今更に r ぢ やぼ」 の 恐し さ を 思 ひ 知られ 、「さて は その 蝙.. 1 の 

っズさ や ¥ ひづめ くちな . うろこ そな め み み. - う-つく Ai みだ 二;^ 

翼、 山羊の 蹄、 蛇の 鱗を備 へし ものが、 cw にこ そ 見えね、 わが 耳の ほとりに りて 淫らなる 

さ. -i^ み も を いちぶ しじゅう こ、 ろ うち くり かへ い こく 

を皤 くに や」 と、 身ぶ る ひして 申されたり。 われ、 その 一部始終 を 心の中に 繰返しつ、、 異國 より 

5 つう なし くさき かぐ は はな わ ぐら こ みち あゆ ゐ ,な こ あ 

移し 梳ゑ たる、 名 も 知らぬ 草木の 薰 しき 花 を 分けて、 ほの 暗き 小路 を 歩み 居し が、 ふと 眼 を舉げ 

, てみ さ ことじ っぽ ぽ て れん ひとかげ ひと *^ な こ 

て、 行 手 を 見れば、 われ を 去る 事十步 ならざる に、 伴天連め きたる 人影 あり。 その 人、 わが 服 を 

ち t ,や かぜ ごと キた と なんち し *〕 な こ タ-だ 

歌ぐ るより 早く、 風の 如く 來 りて、 問 ひける は T 汝、 われ を 知る や」 と。 われ、 眼 を 定めて その 

ひとみ おもて こんろん ぬ ごと くろ みめ いや み ぁぴ ご- 十 そな が 

人 を 見れば、 面 はさながら 崖 51™ 奴の 如く 黑 けれど、 眉目 さまで 卑しから す 身に は 法服の-柳 長き 

& くび こ がね .?」 た つ ひ おもて みし , 、いな ベ fi 

を 着て、 首の めぐりに は 黄金の 飾り を 垂れたり。 われ、 遂に その 面 を 見知ら ざり しかば、 否と 答 

ひと たち ま あ r わら ごと こる $ あくま い > ノ.' お ほ. > 

へけ るに、 その 人、 忽ち 嘲笑 ふが 如き 聲 にて、 「われ は惡魔 「るし へる」 なり」 と 云 ふ われ 大に 

.!., 二ろ - ,かん ことみ よ- 「だい ひと こ, V な .<= ;!: ほり っ^^さ や 

驚きて 云 ひける は T 如何 ぞ、 「るし へる」 なる 事 あらん" 見れば、 容體も 人に 異ら す。 の 翼、 山 

る ぎ ひづめ くちな は うろこ い か ひとこた あくま にんげん こで な 

し 羊の 蹄、 蛇の 鱗 は 如何にし たる」 と。 その 人 答 ふらく T 惡魔 はもと より、 人間と 異る ものに あら 

ち る 5 が しう あくぜつる ゐ ぐ わこう みな 

す。 われ を 描いて、 醜惡 3t 類なら しむる もの は畫ェ のさ かしらな り。 わがと もがら は、 皆 われの 



如く、 翼な く、 ^it; く、 ? ^^^'p 



2 

o 



_ f パ、 げ蹄 なし。 g や I ぞ かの gtp らん。」 われ、 ぎ まひ チる は、 

「i はて 1 ま、. r 間:: 異るも r にあら? する-、 $ £ii ff^ 

に はつみ 恐 は 七 i 、まく 信ん、」 と。 「るし へる ま i ふ f If 、「だ 

お":" jtr 幅く きり: そ 簾き と。 I: く、,、 

^^-^,^<^^^l_ 巴耻 弁。 汝 r れき f る;? これ にして、 ぎの g の踯 

一 コ は 問:: 異らぬ は、 汝 f べし。 f 顧に して、 ioF^^ 

t ii の 1 ならん か、 われらお が? あつに まて、 f f きみ。 そ, 

光 あれば、 4f ^iiii あるべ から::: 

f され ど われ I 魔の Mf の慶 なれ ど、 rrt ,f いんへ るの 一の i の^ 

fr: へど、 左?! ri、「 はらい そ」 §, あに sfe むるな り。 されぎ そ 

IJ て 全から す。 m^.-siilfs. iimef 

る 夫人 も、 「るし へる s そのぎ 證きあ r を。 ,lf して、 LeF 



ii ふ Si はす。 ^、 is! 一は-」 ぉビ射 i を して、 そがき ん瑚の 念珠と、 象牙に 似た る 手頸と を、 え 

• t んぢ しゃもん おそ へ. 一と キ- ようけんむ だう あくま 

1 もなら す ir-.^lr の辦く i 力めし のみ。 もし われに して、 汝ら 沙門の 恐る 、如き、 跑險 無道の 惡 魔 

ならん か、 ? はか rmi に ig の,, がんより、. itiEss^i に i つて、 ぎぎの 

べんぜつ さわ や * おとろ 二た へ げ ぅぜ. < 

を戯 ん」 と。 われ T るし へる」 の 辯 舌、 爽な るに 驚きて、 はかばかしく 答 もな さす、 茫然と し 

て&、 その i 體 の- i く、 っゃ.-かなるまも1^^^1!¥り居しに、 彼、 忽 わが 肩 を 抱いて、 悲しげに 喘き , 

けるは、「ゎが|^に「ぃんへるの」に|^さんと^"^-魂は、 同じく 又、 わが 常に 「いんへ るの」 に, ほす ま. 

、 -ぶ ろ? 力. - - --な ふ じん じゃいん あな とら 

じと がり。 われら 11^ が この しき 運命 t を 知る や? r わが かの 夫人 を 邪淫の 萍に W 

へんと して、 しかも. g に 観へ!: ざり し を よ。 われ 夫人の 氣 高く 清らかなる を 愛づれ ば、 〈ゆ" 夫 

,だ を 1^ さまく, I ひ、 I- つてお、 ^だん を is さまく 思へば、 愈 氣 高く 淸ら かなる を 愛でん とす。 こ 

ごと ま」 - つね な、 おそろ とく おこな 

れ、 がし つの!!:^ き i を^さん とする が 如く、 われら 亦、 常に 七つの 恐し き 徳を行 はん 

とすれば なり。 ああ、 われら 惡魔を 誘うて、 絶えす 善に 赴かし めんと する もの は、 抑 又 汝らが 

み. >, v-.-te^ はくぼ そら あ ふ 

い か。 ^ll^sw おの か」 と。 「るし へる」 は、 かく わが 好に 攝 きて、 簿 慕の 察 を ふり 仰 

_> . ,,• : , 二に- E やり -- 一と たんば く ぁキ广 な こ ま ぶ ■ 、 

ろ ぐよ と k えしが、 そ^^ぼち 霧の 如くう すくなり て、 淡 薄た る 秋 花の木 の^に ザ ゆる ともなく 



消え 實 z ぬ。 われ、 擎纏」 して is き y 「るし へ る」 が Ir ず これ こずた., 

れど、 無智の 伴天連、 反って われ を艇ぜ す。 酸が Ism くものと して、 E^Mti, 

I わが 5 てず わがお にて f たる このき 「るし へる」 を にかして i!- 

.0 ^-o s.^su't^^^^^ >k o ' . いっさい しょあく 二ん 5* ん ン 

, ^き 悪魔 功 性 善な り。 斷 じて 一 切 諸 惡の根 もに あ. らす。 

h.. 汝、 1 子、 旣に靜 の t たる を f す。 sis. 薦の擊 

截斷 しまる。 咄 Q 

(大 疋 七 年 八月) 



4 





^'H.^^J きょらい め さくや め 

丈" 去來 を!、 昨 f の あはざる まま、 it. 爾 に,. かせたり、 

の咏 じた まへ 

たび や ゆめ .fr^ の 

旅に 病む で 夢 は 枯野を かけめぐる 

? ぷ ふぐ わつ-じふ ¥ にち ... ご ?- , . I マ M に m. 



い" ろ R し t ,ねんじ ふぐ わつ じふに にナ. - -M I ご - T ィ I ft さ n . 

と 大阪商人の臉起の眼を、 遠、."^,屋"きの^ぅこ^っ.^」;、 さ中,っ叶^^,,- 、 フ I i ナむ 

ほど あめ も にレ -.^g- ォグ广 う! 誘った 力 幸 葉 を ふるった 柳の 桃 を、 g ら 4- 

囊,、 やが" 暴" が "う, もの i になった。 rlr 

I. ゆれる" な" I る 凡の 水 さへ、 ifft そのぎ is, pi 

ijgi. まして IE: く顏の 5?、 義を かぶった の も、 g 

- 足袋 を はいたの も、 ^ i ^-l^f.^. うつ f としてお いてぶ、。 n 



. « まの ti;: きか ひ、 だく i 一之し^の い iil^i" の I 曰 11 すべてが うす 明" い、 もの な 冬の 晝を、 橋の 擬齊 

1 , ズ ち S.* 二 J つ ご くらん .* 乂も 

珠に く 町の s:^ も、 動かさない 位、 ひっそりと 守って ゐる …… 

. この 1、 Sm0i. 舊 ll&s の if は、 isiiif の義 がれた ぎ 謹 

.紀^^ま1^が、 四方から 築って 來た 門下の 人々 に 介抱され ながら、 五十一 歳 を 一期と して、 「埋 火の 

さ コ上 しづか ノ ぶ ひ じ こく およ さる 十,. -ぅ "レ、 ぶ > 

あたたまりの 冷む るが 如く、」 靜に息 を 引きと らうと して ゐた。 時 ll^x は 凡そ 申の 屮 一.^ ス にも 汇 力ら 

へ.. -- > -?; よ, ゾろ ざ しき なか ちんとう た 力う り も 七 

うか。 . I 一 J ての 衡を とり 拂 つた、 だ だつ 廣ぃ 座敷の 中には、 枕頭に 炷 きさした 香の 煙が 一す 

ぢ §1 つて、 ! i^i^ の I を^さき に垠 いた、 新しい 障子の 色 も、 こ こばかり は 暗く かげりながら、 身に 

少 r/、 しゃう じ i う まく、,: じゃくねん よこた ば せ を , 、、 まへ_^、 t^-^ 

しみる やうに お々 する。 その 障子 の^を 枕に して、 寂然と 橫 はった t 巴蕉 のま はりに は 先 翳 者 

のお K が、 ぎぎの 1^ から f を だれて、 i 遠い 脈 を 1 ずりながら、 浮かない Hi を ひそめて ゐた。 その 

すくまって、 さっきから^ i 一 si お P ぎたない の は、 ゲ度 伊賀から 伴に 立って 來た、 老僕 

の^, が (ik に II ひない。 と §r とお、 ¥S の^ r は、 i の i にも それと きれる、 大兵 肥 滿の晉 子 

枯 が、 編が 辦诞し 0- 變 に ふくらませて、 憲法 小紋の 肩 を そば 立てた、 ものごしの 讓々 し 

抄 : おおと い 一つし よに、 ぢ つと 師- £ つの 容っ || を 窺って ゐる。 それから 其 角の 後に は、 法師 じみた 丈 卿 が 



て f V- ノじゅ じゅす たんぜん ひか ヒなり ざ し おつし う た にな V- 

手く びに 菩提樹の 珠數を かけて、 端然と 控 へて ゐ たが、 隣に 座 を 占めた 乙 州の、 絶えす:!^ を 吸つ 

てゐ るの は、 もうこみ 上げて 來る 悲し さに、 堪 へられ なくなつ たからで あらう。 その 容子 をぢろ 

なが ふる ごろ も そで ぷ あい V- う おとが ひ せ ひく そうぎ t う r3 

ぢろ 眺めながら、 古法 衣の 袖 を かきつく ろって、 無愛想な 願 を そらせて ゐる、 背の 低い!^ 形 は 惟 

ねス" 孓ぅ いろ あさぐろ がう ふく し かう かた もく せつ むか すわ 

然坊 で、 これ は 色の 淺黑 い、 剛愎 さうな 支 考と肩 をなら ベて、 木 節の 向う に 坐って ゐた。 あと は 

た,.. - . なんにん で し みないき しつ かへ あるひ みぎ あるひ ひだり ししゃう と 二 かこ 

唯、 何 人 かの 弟子た ちが 皆 息 もしない やうに 靜 まり 返って、 或は 右、 或は 左と、 師匠の 床 を 園み 

かぎ しべつ な を なか とり ザ 一 しキ- み 5 づく i 

ながら、 限りない 死別の 名 ごり を 惜しんで ゐる。 が、 その 中で もた つた 一人、 座敷の 隅に^つ て- 

V- ふ < X どうこく こ. Oj もら せいしう おも 

ぴったり 疊に ひれ 伏した 俊、 慟哭の 聲を洩 して ゐ たの は、 秀で はない かと 3 心 はれる。 しかし こ 

ざ しき なか やむ ち" もく おさ ちんとう . ^う に ほひ みだ ほど こ ゑ た 

れ さへ、 座敷の, 中のう すら 寒い 沈 默に抑 へられて、 枕頭の 香の かすかな 勻を、 擾す 程の 聲も 立て 

ない。 

ば せ を たんせき ニ么 お?^ つか Srcn ん あと なか め みひら ま、 :/ すん 

色蕉 はさつ き、 痰 喘に かすれた 聲で、 覺朿 ない 遣 言 をした 後 は、 半ば眼を見開ぃた^!、 !^?:!睡の 

じ やう.,, 7、 い も かほ くひん-一つ あら は や ほそ しわ かこ くちびる 

狀 態に はいった らしい。 うす 瘦痕の ある 額 は、 顴骨 ばかり 露に 瘦せ 細って、 皺に 園 まれた 1^ にも 

とうに 血の 氣 はなくな つてし まった。 殊に 傷し いのは その 吸の 色で、 これ は ぼんやりした 光 を 浮 

§ やねむ か さいげん さむ ぞら つ ぞ いた-つら とほ ところみ , 

1 ベながら、 まるで 屋根の 向う にある、 祭 限ない 寒空で も! 11- む やうに、 徒に 遠い 所 を 見やって ゐる 



「歸 にぎんで は Jli?- かけめぐ るに ——| 事によると この 時、 この とりとめのない 視線の 中には、 

^ ぽ 1 がまに gK が、 その 1 のぎ i じた I り、 とした 橄 rsv .?ff 

く、 夢の やうに 漂って でも ゐ たの かも 知れない 

「水 を。」 

¥航 はやが て かう Ik つて、 ^tiiE ゐる治 郞兵衛 を M みた。 ー捥の 水と 一本の 羽根 楊子と は、 

, r よう、 とこ 5 か气 ふたし な しゅじん *^ くらもと お なら 

^にこの ぎ 僕が、 用 |ip て si^ いた 所で ある。 彼 は その 二 品 をお づぉづ 主人の 枕元 へ^し 並べる と 

5- £ ト i くち せんねん しょうみ やう とな はじ ぢろぺ .05 そ .^^く * 4 まぶ、.^ だ 」.M い C- 

ま" ひ, したやう にお、 口 を f めて、 ^"rl に稱名 を唱へ 始めた。 治 郞兵衞 の 素朴な 山家?^ -の心 

に は、 ?巴|| にせよ、 || にもせ よ、 ひとしく 彼岸に 往生す るの なら、 ひとしく 乂、 彌陀の 慈悲に す 

よす い かた しんねん ね 1?、 > , , ,, - ) 

が る ベ き^だと :ェ ふ、 堅い 信念が 根 を 張 つて ゐ たからで あらう 

ぃーっ^;^ぉ^は、「ぉを」と?^^ った鞭聚の!^ if して^お は i^tt て、 を ii したら うかと: ぶ 

ふ、 いほ もの, にき 1i したが、 すぐに 又 自ら 働ます やうな 心 もちに なって、 隣に ゐた其 角の 方 

^ を ふりむきながら、 liii 口ん の if、 ちょいと 相圖 をした。 芭蕉の 床 を 園んで ゐた 一同の 心に、 愈と 云 

> ^ J 二き キむ ちゃう かん ぜんご いっしゅ し 

仏ね ふ Hi じ た^じが ままに^い たの はこの 時で ある。 が、 その 緊張した 感じと 前後して、 一種の 她 



緩した 感じが (is ば、 もの £ に またと f 、 0if. f& 

も I はれない。 唯、 この S にぎた は、 i も そのき i の 襲. fci^ しょうと はしな かつ 

た 程 一 微妙な 性質の ものであった からか、 I んに ここに ゐる の IV は、 S とも iiv きで さ 

へ、 折から 顔 を 見合せ た 木 節と、 f0^f? お i ち をき みぎた 嚼は、 i ず. 

"はとずに は ゐられ なかった ので あらう. g き: w,i£vf せる と、 さあ あくぎ 

根 楊子 をと りあげて、 

「、 、あ < -^, ^ と * 二り きょら、 あ、 さつ ?- 

「"は 御先へ」 と、 隣の I に 豪した。 さう して そのき lirs の おをひた しながら、 ま 

i 膝 を i きせて、 そっと ケ はの 師匠つ の範を のぞきこんだ。 ま を 一 r と I は、 かうな るまでに、 

師匠と 今生の 別 を つげる と 云 ふま V li しい もので あらう おや f くめい 4fr かった!! 

でよ メ ない。 が、 かう して 愈 末期の水 をと つて f と、 まんの 聽 のおち は羅 その 辦 めい 

た 豫?: TJfr にき 何にも 冷淡に f わたって ゐる。 のみなら す、 Imlol 

。 は、 文字通り 骨と 皮ば かりに 15 きた、 ^^^l^il. .s¥tf 

1 られ なかった 程、 烈しい 露の, &i させた。 いや、 ぎ f いとぎ たの 1、 ま, fef 



あこ? めみ どくぶつ せいり てき さ よう およ く もっと 

S 船で はない。 それ は 恰も 目に 見えない 毒物の やうに、 生理的な 作^ さへ も 及ぼして 來る 最も 

1 1! へ獻ぃ S 驟の であった。 & はこの f、 まが; なき 機に よって、 醜き 一切に 對 する 反感 を 師^ 

の めどに % らした ので あらう か。 或は 又 「生」 の享樂 家た る 彼に とって、 そこに 象徴され た 

「&」 のず Si が、 この ゼも なく 呪. ふ 可き 自然の 威嚇だった ので あらう か。 —— 兎に角、 垂死の 笆蕪 

, ,1 くわい 、ん き かく ほとんどなん かな む: f- さ, *ii > ?: - ヽく, ひびる 

の歸 ほ、 fK ひやう のない 1^ 快 を 感じた 其 角 は、 殆 何の 悲しみ もな く、 その 紫が 力った うす レ替 

に、 T まぜのお を!: f や や、 » を しかめて 引き 下った。 尤も その 引き 下る 時に、 自責に 似た 一 

^の:. 5, もちが、 1: ずに « のい 仏 1! かすめ もした が、 銜 のさき に 感じて ゐた嫌 惡の情 は、 さう 云 ふ m 

とく ケ七 こ りよ あま き やうれ つ 

德感に 顧慮すべく、 餘 り强烈 だった ものら しい . 

, き 、こ^いで^^ 楊子 をと り 上げた の は、 さっき 木 節が 相圖 をした 時から、 旣に 心の 落着き を 

* レ、 つ、 % き: う r ん , 二 え か れ い +5- どう かる も S しゃく ば せ を 

? 1^ つて ゐ たらしい 去來 である。 日- 顷 から 恭謙の 名 を 得て ゐた彼 は、 一同に 輕 く會釋 をして、 笆蒸 

, . 一」,, た ..T- つ, I、 か、 し や かほ なが あるまん やく 

の: g;^ とへ すりよつ たが、 そこに 横 はって ゐる老 俳諧師の 病み ほうけ た 額 を 眺める と、 或滿 足と 

祜 ^お ij の }^„に| 幅した;. 仏 ち を、 » でも I ぼなければ ならなかった。 しかも その 滿 足と 悔 

抄 とよ、 まるで |1 と-お パ!: の やうに、 離れられない 冈緣を 背負って、 實 はこの 四 五 曰 以前から、 絶え 



せう しん かれ き ぶん さう らん い ししゃう ; T ゆうび やう い し き いな 

や 小心な 彼の 氣分 を播亂 して ゐ たので ある。 と 云 ふの は、 師匠の 重病 だと 云 ふ 知らせ を 間く や 否 

ふしみ ふね の しんや はなや もん た i い、 いい . ^ノれ ししゃう . ^ん 

や、 すぐに 伏 見から 船に 乘 つて、 深夜に も かま はす、 この 花屋の 門 を 叩いて 以來、 彼 は 師匠の 着 

ぴ やう いちにち おこた い こと うへ し だう たの て つ だ 15 亡ん ひ う 

病 を 一 曰 も 怠った と 云 ふ 事 はない。 その上 之 道に 賴 みこんで 手傳 ひの 周旋 を 引き受けさせる やら" 

十み よしだ 一み 5^ うじん ひと た び やうき ほんぷく いの あるひ またはな や に ざ- OS もん さう だん てう ど るゐ かひい 

往吉大 明 神へ 人 を 立てて 病氣本 (仅を 祈らせる やら、 或は 又 花屋 仁左衞 門に 相談して 調度 類の 入 

もら ほとんど かれ ひとり しゃりん ぼんじ ばんたん せわ や もちろん キ; よ いじ しん 

れ をして 貰 ふやら、 殆 彼 一人が 車輪に なって、 萬 事 萬 端の 世話 を燒 いた。 それ は 勿論 去來 自身 

ナ- こと あた たれ おん き いき かいむ ことじ じつ 、 、 い-つ 1^ ん 

進んで 事に 當 つたので、 誰に 恩 を 着せようと 云ふ氣 も、 皆無だった 事 は事赏 である。 が 一身 を 

あ し.,: やう かいはう ^^っとぅ い じ かく いき ほひ かれ >r ろ そこ お ほ まんぞく たね *x 

擧げて 師匠の 介抱に 沒 頭した と 云 ふ自覺 は、 勢、 彼の 心の底に 大きな 滿 足の 種 を 蒔いた" それが 

だ £4 い しき t ん;, てく かれ くわつ ど-つ はいけい あた、.^ こ- 'ろ ,i 'ち もと かれ 

唯、 意識せられ ざる 滿足 として、 彼の 活動の 背景に 暖ぃ心 もち を ひろげて ゐた中 は、 元より 彼 も 

ぎ やう V つゆう ざ ぐつ- なんら かん よ とぎ あんどう ひかり した し 

行 ま 坐 臥に、 何等の こだ はり を 感じなかったら しい。 さもなければ 夜伽の 行燈の 光の 下で、 支 

か-つ うきよば なし ふけ さい こと ざら かう だう ぎ と じ ぶん ししゃう つか おや つか つも 

考と 浮世 話に 耽って ゐる 際に も、 故に 孝道の 義を 釋 いて、 自分が 師匠に 仕へ るの は 親に 化へ る V 

り なが/ ヽ じゅつく わい とき とくい かれ ひと わる し かう 

算だ などと、 長々 しい 述懐 はしなかった であらう。 しかし その 時、 得意な 彼 は、 人の: 惡ぃ 支考の 

かほ ひらめ く う み 今. ふ いま こ,. -ろ て-つ わ くる で き こと い しき 

額に、 ちらりと 閃いた 苦笑 を 見る と、 急に 今までの 心の 調和に 狂 ひの 出来た 事 を 意識した。 さう 

1 くる げんいん はじ き じ ぶん き、 んモく *、 んぞく たい じ こ ひひ やう そん 

1 して その 狂 ひの 原因 は、 始めて 氣の ついた 自分の 滿 足と、 その 滿:: 止に 對 する,! m 巳 批評と に存 して 



抄野枯 113 



こと はっけた あ す たいび やう ししゃう かんご よつ だい 、 しヽ/ ば丄 • に. 

ゐる 事を發 見した。 明日に も わからない 大病の 師匠 を 看護しながら、 その 容態 をで も、 も 配す る^ 

うら じ ぶ.? ほね をり キ ん ぞく め なが たしか かれ >-.1, と 丄 うぢ > もの— み/ 

か、 徒に 自分の 骨折ぶ りを滿 足の 眼で 眺めて ゐる。 11 これ は il に 彼の 如き 正直者の 身に とつ 

ひう * J0 、ホ、 こ、 ろ ちが ^ ら、 きょ..: い なに まんぞく くめい こん 

て、 自:. 疚しい 心 もちだつ たのに 違 ひない。 それ 以來去 來は何 をす るのに も、 この 満足と 悔恨と 

-ヽ0 かく し ぜん あるて でと き ちう かん だ t さ し かう め うち ぐうぜん つ せう つ 

の扞 I から、 自然と 或 程度の 掣肘 を 感じ 出した。 將に 支考の 服の 中に、 偶然で も 微笑の 額が え 

とき かへ まんぞく じ t いっそう めいはく いしき . .s^ つく わ 、いは.^ じ ぶ、 ん > ぃォ 

る 時 は、 反って その 滿 足の 自覺 なる ものが、 一層 明白に 意識され て その 結果 愈自ハ 刀の 埤 しさ 

なさ ナ "も こと た, びく なんにち つ け ふ ししゃう もズら 、 ^り 一; 21 、 

を 情なく 思った 事 も 度々 ある。 それが 何 n か 緩いた 今日、 かう して 師匠の 枕 もとで 末 ffi- の 水 を 

きょう だん だう とくて き けっぺき ぞんぐ わい しんけい せ A じゃく かれ、 、 い、 ,-*^ し乂 -す, じ > .ti- - -、 

供す る 段になる と、 道德 的に 潔癖な、 しかも 存外 神 經の纖 弱な 彼が かう 云 ふ內、 もの. 1.: 后の" 一 がに 

ぜ, さんお ちつ うしな き どく む り きょらい ^ ね、 や-う;:^ あ: > 

全然 落着き を 失った の は、 氣の 毒で は あるが 無理 もない。 だから 去來は 羽根 楊子 をと り 上け ると 

めう からだ ぢぅ み-つ ふく しろ さき ば せ を くちびる な 7^- り „ 、 - ./y-^* 

妙に 體 中が 固くなって、 その 水 を 含んだ 白い 先 も、 笆蕉 の臂を 撫でながら、 頻 に.. -る へて ゐた位 

、じ やう こう" ん おそ . さい は ひ とも かれ まつげ あ ふ - ► な. ^へた んな ) : 

in ハ 常な 興奮に 襲 はれた。 が、 幸、 それと 共に、 彼の 睫毛に 溢れよう として ゐた 淚の珠 もあった 

かれ ,^ もんてい おそら しんらつ し かう まった こうふん かホ ぶ . ^!っく:.;、 

ので、 彼 を 見て ゐた鬥 弟た ち は、 恐く あの 辛辣な 支考 まで、 全く この 興奮 も 彼の 悲しみの 給 だ 

と解釋 して ゐた 事で あらう。 

きょら |,, i たけ. r ぼ ふこ もん かた だ せき ふく . P ね: やう.^ ) ろ, : 

やがて 去 來が又 憲法 小紋の 肩 を そば 立てて、 お づぉづ 席に 復 すると 羽根 楊子 は その後に ゐん 



114 



ちゃう V,- う て ひ 一ろ .1^ うじつ かれ ふしめ なに くち なか 

丈艸の 手へ わたされた。 口 頃から 老實な 彼が、 つ. うまし く 伏 服に なって、 何やら かすかに 口の 中 

お しづか ししゃう くちびる うる ほ すがた おそ たれ み め お-や ごか さう ゐ 

で 誦しながら、 靜に 師匠のお:! を沽 して ゐる姿 は、 恐らく 誰の a た 眼に も 厳だった のに 相 遠ない。 

おご-か しゅんかん とつぜんぶ しき かた ぶ き み わら ご. お .,1 へこ だ すく, C 

が、 この 嚴な 瞬間に 突然 座敷の 片 すみから は、 不^味な 笑 ひ聲が 聞え した。 いや、 少く とも そ 

とき き-一 だ おも はら そこ あ く こうせつ つど 

の 時 は、 聞え 出した と 思 はれた ので ある。 それ はまる で 腹の 底から こみ上げて 來る 哄笑が、 嗽と 

くちびる せ なほ を か た V け な あな ほとばし ,、 

脣 とに 堪 かれながら、 しかも 猶 可笑し さに 堪へ、 おねて、 ちぎれ ちぎれに 鼻の 孔 から、 迸って 來 

こ ゑ い たれ ば あ ひ わら ひ しつ わけ 

る やうな 聲 であった。 が、 云 ふまで もな く、 誰も この場合、 笑 を 失した ものが あった 譯 ではない。 

"-ゑ じつ な みだ せいし う お さ お さ どう こ く と. む ね さ あ . ; 

聲は實 にさつ きから、 淚 にくれ てゐた 正秀の 抑へ に 抑へ てゐた 慟哭が、 この 時 胸 を 裂いて 溢れた 

どう 二く もちろん ひ マう き は さ うん あるひ もんてい ない 

ので ある。 その 慟哭 は 勿 41、 悲恰を 極めて ゐ たのに 相違なかった。 或は そこに ゐた 門: の 中には、 

つ.^ うご な こる: あき か い ししゃう めい: おも V,- すくな 二 A- 

「塚 も 動け わが 泣く 勢 は 秋の 風」 と 云 ふ、 師; 1^ の 名句 を 思 ひ 出した もの も、 少 くはなかった^ であ 

らう。 が、 その 一き, g なる ずき 慟哭に も、 同じく 淚に 咽ば うとして ゐた乙 州 は、 その 中に ある,. 一種 

二ち やう た::, い おな-や A どう- - く よ, せ、, ノ しりょ,、 けつば ふ だい */ 

の 誇張に 對 して、 11 と 云 ふの が穩 でないならば、 慟哭 を 抑制すべき 意志 力の 缺乏 に對 して、 多 

せう ふく わい かん た J. 、ふく わいせい しつ ち てき す 

少 不快 を 感じす に は ゐられ なかつ. た。 唯、 さう 云 ふ 不快の 性質 は、 どこまでも 智 的な ものに 過ぎ 

^ a あたま いな い V -、. -* かれ しズ ごう .A 二.. ま せいしう あ、, どう -/-J -J'- 

なかった ので あらう。 彼の 頭が 否と 云って ゐ るに も關ら す、 彼の 心 織 は 忽ち 正秀 のお 働の- 錄に動 



抄野枯 - 115 



かされて、 時か^の 屮は淚 で 一 ばいに なった。 が、 彼が 正 秀の 慟哭 を 不快に m 心 ひ、 延、 いて は 彼 

じ しん なみだ いぶ S. ぶ こご す こ か ii 、みだ キ す ノ\ め あ? i 

自身の 淚をも 潔しとしない 事 は、 さっきと 少しも 變り はない。 しかも 淚は 益 眼に 溢れて 來る— 

おつし つ つ ひ りゃう 匸 ひざ うへ キ 、 おも をえ つ 二 ゑ はつ ときき よき 

—乙 州 は 遂に 兩手を 膝の 上に ついた^、. 思 はす 嗚咽の 聲を發 してし まった。 が、 この 時戯 5g する 

らしい け は ひ を:^ らした の は、 獨り乙 州ば かりで はない。 色 蒸の 床の 裾の 方に 控 へて ゐた、 何人 

かの" め 子の 中から は、 それと 殆 同時に 渎 をす \ る聲 が、 しめ やかに ゆえた 敷の 络氣を ふる は 

せて、 斷 綾しながら 聞え 始めた。 

そ// \ かな : る; - つす,' ^ だいじゅ ねんじゅ て 二/ ちゃ .r>v. う もと ,ビ と し 「か 卄- や- かへ 

その 惻々 として 悲しい 聲の 中に、 菩提樹の 念珠 を 手頸に かけた 丈艸 は、 元の 如く 靜に 席へ 返つ 

キ- か,、 キ- よらい むか し かう まくら す- ひにく 5- もつ 

て、 あとに は 其 角 や 去 來と向 ひあって ゐる、 支 考が枕 もとへ 進みよ つた。 が、 この 皮 肉屋 を 以て 

し と-つく わば う しう ゐ かんじゃ, つ V.- そ いた-つら なみだ おと せん ド": しんけい 

知られた 柬花坊 に は 周 園の 感情に 誘 ひこ まれて、 徒に 淚を 落す やうな 纖 弱な 祌經は なかった、 りし 

い。 彼 は 何時もの 通り 淺黑ぃ 誠に、 何時もの 通り 人を莫 逸に したやうな 容子を 浮べて、 更に 乂^ 

時 もの 通り 妙に 横風に 構へ たがら、 無造作に 師匠の 傅へ 水 を 塗った。 しかし 彼と 雖 もこの 場 介、 

勿論 多少の 感慨が あった 事 は はれない。 「野 ざら し を 心に 風の しむ 身 かた」 —— 師:! ^は 叫 五 H 前 

に、 「かねて は 草 を 敷き、 土 を 枕に して 死ぬ 自分と 思った が、 かう^ ふ 美しい 湘圃の 上で、 往生の 



そく わい と ことで き モ, - : メ 

霞 を 遂げる 事が 出來 るの は 、,り も 摩しい」 と囊 して ^1 に、 れ&が ある。 

が、 實は祜 野の ただ 中 も、 この, の 蒙,、 ?た醇 が ある i ではない。 まに かう して" 

をし めして ゐる 自分に しても、 謹が まま では、 の 句がない の をぎ かけて そ 

ノ - 1。 の ふ ししゃう ほっく め?.., ,-っ しふ r', S 

ォ 力ら 昨日 は 師匠の 發 句を滅 後に 一 集す る s<f 1 ず-てて ゐた。 がに ゲ^ は、 たった (A5、 

-7 りんじ ゆつ ナ.' か レ わう T i , > 

i 臨終に 近づいて く 1 匠 を、 どこか その S に 襲で も ある やうな、 si ざで i めて ゐ 

た。 もう I 一歩 進めて 皮肉に F やれば、 i によると その K めき 群に は、 ぎお^の 鎮 こよつ, 

ふ 一 しゅうえんき : せつ さう ン * 

書かるべき 終焉 記の 一節 さへ、 豫 想され てゐ なかった と は へない。 して れば i おの^ g;^^ 

Z ゝ,、 じ ぶん あたま しはい b - f 

しな 力ら 自分の 頭 を 支配して ゐる もの は、 ま 門ん への きも、 £1 たちの s、 000.f 

輿 味 打算- lli 死の 師匠と は、 i# け ひない 萨 かりで ある。 だから し師£ はや は 4^ が あ 

しば さう たくまし とま ぎ , 

で、 屢 豫想を逞 くし I り、 限りな いんぎ 化 I のおで、 I ざら しにな つたと ぎて 襲? 

し ;, パ もん 一」 ひ な * 二し し う さク, 二 > I ■ 

い 自分た ち 門き 皆 師匠の きを i ますに、 m£V きた じ自 ぎち K を t おんで ゐる二 11: 

キ ゆ-つし せんだつ ■-<-, i く *、 4- ;> -- ■ JTW^ ( 

^ I した 先達 を歡 かすに、 きに辦 を, きおた ちが 射 あいて ゐる。 が、 それ を i 難に 

非難して 見た所で、 本來 きに お; 5| つた, おんた を どうしょう。 —かう おな^ 



7 慨に 沈みながら、 しかも それに 沈み 得る 事 を 得 f 思に して ゐた 支考 は、 師匠の 辱 をし めし 終って、 

1 i ね やう.. レ もと ゆ C み かへ な, だ むせ もんて に ち ざけ み ま は , お..^ むろ 

• 羽根 楊子 を 元の 吞へ 返す と、 淚に 咽んで ゐる 門 弟た ち を、 嘲る やうに じろ りと 廻して 徐 

また じ ぶん せき お ,b ひど よ さよら い 一 ごと はじめ れ. ぜん たいど あ ノ , 

に 又 自分の 席へ 立ち 戾 つた。 人の 好い 去來の 如き は、 始 から その 冷然と した 態度に 中 てられて 

ふ ちん いま ざら またち ちた ひと き かく めう くすぐ . ^ほ 9 

さっきの 不,; を 今更の やうに 又 新に したが、 獨り其 角が 妙に 櫟 つたい 額 をして ゐ たの は どこ ま 

はく^^ん お とほ と-つく わば う せいかう じ やう しふき 二 かス 

でも,: n 眼で 押し通さう とする、 東花坊 のこの 性行 上の 習氣 を、 小うる さく 感じて ゐた らしい。 

し t つ ん ねんば う すみぞめ ころも すそ た、 み ち,^ せ-.. だ ー \ ぶ, 1|、1 ベ - 

支 考に續 いて 惟然坊 が、 墨染の 法衣の 裾 を も そりと 疊へ ひきながら、 小さく 這 ひ屮- した 時分に 

ば せ を ん. ^つ i Ji- だんし あ ひだ せま ほ いつ まへ さら ち け, -, し/ J 

は、 ^蕉 の斷末 魔も旣 にもう、 彈 指の 問に 迫った ので あらう。 顏の色 は 前よりも: 史に 血の (まど 失 

つ ぬ くちびる あ ひだ とき 》JL--i,. す いき も お f まえ ^ ' J Z 二 

つて、 水に 儒れ た替の 問から も、 時々 忘れた やうに 息が 洩れなくなる と と乂 ひ 屮_ した 

のど お ほ き.. 一 ちんら くうき かよ はじ め .i^ お」" "もう - » , 

やうに ぎくり と 喉が 大きく 動いて、 力の ない 空 氣が通 ひ 始める。 しかも その^の 奥の で 力す 

-, - さ .ん ど 一ん な こ き" しだい しづか とき は ね V -, じ ;ろ さォ まさ く十,^^る 

かに 一 一三 度褒が 鳴った。 呼吸 も 次第に 靜 になる らしい。 その 時 羽根 楊子の 白い 先 を、 將に その # 

ダ 

ち ゐ ね o,± う きふ し べつ .^-r" えん あ きょうふ ",そ はじ 

へ當 てようと して ゐた 惟然坊 は、 急に 死^の 悲し さと は緣 のない、 或る 恐怖に 襲 はれ 始めた。 そ 

枯 れは i- 匠の 次に 死ぬ もの は、 この 自分で は あるまい かと ムふ、 殆 無理 巾に 近い 恐怖で ある。 が- 

むり ノぅ ひとたび キ ようふ おそ だ が まん て や r ん,' ' > ; 、 、 , 'ぐ.. T"t、> - 

^ 瞎 理由で あれば ある だけに、 一度 この 恐怖に 襲 はれ 出す と、 我慢に も 抵抗の しゃう がない ー儿來 



かれし J い び やうて き ャ や-?/ し5^<-.," にんげん むかし じ ぶん し こと かんが "つりつ おん 

彼 は 死と 云 ふと、 病的に 驚 f: する 種類の 人間で、 昔からょく自分の死ぬ_3^^忙考へ ると、 風流の 行 

^ . とさ そうみ おせ なが ぶ な み おそろ けいけん したが ま じ ぶんいぐ わ" 

脚 をして ゐる 時で も、 總 身に 汗の 流れる やうな 不氣 味な 恐し さ を經驗 した。 從 つて 乂、 自分 以外 

の 人 が、 死んだ と: ズふ事 を 耳に すると、 まあ 自分が 死ぬ ので はなく つてよ かった と、 (だ 心した 

こ、 ろ どうじ また じ ぶん し ほんた * ふ あん かし 

やうな 心 もちになる。 と 同 時に 又、 もし 自分が 死ぬ の だったら どう だら うと、 反對の 不安 をも感 

. -^, . 3 . ば せ を ば あ ひ れいぐ わい も はじめ かれ りんじゅう ほどせ つば,、 

じる 喜 か ある。 これ はや はり 色蕉の 場合 も, 例外に は 洩れないで、 始ま だ 彼の 臨終が これ 程 切迫し 

うて しゃう じ ふゆばれ ひ そ ひ:;' よ おく すゐ 4- ん 今よ に ほひ たが 

てゐ ない 中 は —— 障子に 冬晴の 日が さして、 園 女の 贈った 水仙が、 淸ら かな 勻を 流す やうに な 

いちどう ししゃう まく, I あつ. VH び やうかん *- 之、 さ く さく じ ぶ.'、 y め-あんふ たと 

ると、 一同 師匠の 枕 もとに つて、 病 問 を 慰める 句作な ど をした 時分 は、 さう ふ 明暗 二通りの 

一-/ ろ あ ひ V- ときし だい はい ノ、 わい し だい しゅ, つえん ちか /、 わす 

、ももち の 間 を、 その 時 次第で 徘徊して ゐた。 が、 次第に その 終焉が 近づいて 來 ると III 忘れ もし 

はっし ぐれ ひ み-つか こ C なし み ししゃう た ようす ,,; しんば い もく せ つ 

ない 初 時雨の 日に、 自ら 好んだ 梨の 實 さへ、 師匠の 食べられない 容子を 見て、 心配 さう に 木 節が 

かう ベ かたむ -1 ろ あんしん おひく ふ あん V- い- *】 ふ あん こんど し 

首 を 傾けた、 あの 頃から 安心 は 追々 不安に まきこまれて、 最後に は その 不安 さへ、 今度 死ぬ の は 

じ ふん し い けんあく きょうふ か": こ. * ろ うへ 

自分 かも 知れない と 云 ふ 險惡な 恐怖の 影 を、 うすら 寒く 心の 上に ひろげる やうに なった ので ある" 

J クオ ま 二、.:: す;; 二く めい ししゃ ラ く. I 「びる あ ひた-ちう きょうふ .,:i ほとんど-, つつ 

だから 彼 は 枕 もとへ 坐って、 刻銘に 師匠の 眷を しめして ゐる 間中、 この 恐怖に 祟られて、 殆 末期 

ば せん- - >x> せいし こと で き い- r ど せ-. し おも も あ-つど 

の 芭蕉の 顔 を 正- S する 事が 屮:: 來 なかったら しい。 いや、 一度 は 正視し たかとも 思 はれる が、 丁度 



抄野枯 , .119 



ときば せ& のど なか "ぶ おと きこ 、 . せつん;^、 かれ ゆうき, ひ), す,.'、 ざ、,^ -っ 

その 時 芭蕉の 喉の 中で は、 痰の つまる 音が かすかに 聞え たので 祈 角の 彼の 房 〈米 も 途中で. お 折 

ししゃう つぎ し 二 レー じぶんし "一 

してし まった ので あらう。 「師匠の 次に 死ぬ もの は、 事によると 自分 かも 知れない」 —— 絕ぇ すか 

、 よ ., い.? こみ! み、 そこ き ゐ ねん^う ち ひ . ^らだ じ 、ぶ; < せき 

う 1.1^ ふ豫感 めいた 聲を、 耳の 底に 聞いて ゐた 惟然坊 は、 小さな 體を すくませながら 自分の」 へ 

かへ のち ぶ あいさう V ま いっそうぶ あい V. う ベ れ かほ み -r はめ つ 力, 

返った 後 も、 無愛想な 顔 をー歷 無愛想に して、 なる. く 誰の 顏も 見ない やうに、 上服ば 力り 仗つ 

C -コ ヒ 

つ-, - おつし う せ 、しう し だう もく せつ びわう しゃう かこ もんじん じ.*?ん》.^- ししゃ-つ くちびる - つる ほ 

綾いて 乙 州、 H 秀、 之 道、 木 節と、 病床 を圍ん でゐた 門人た ち は、 順々 に師 -ia のお 门を沾 した。 

が、 その 間に 芭蕉の 呼吸 は、 一息 毎に 細くな つて、 數 さへ 次第 に^じて 行く。 ^も、 もう 今では 

; J 3 1 も う, f らふ ナ. 'ひ か 一、; るか くうかん み す つ カリ 

動かない。 うす 痘痕の 浮んで ゐる、 どこか 颯の やうな 小さい 顏、 遙な空 問 を a 据 ゑて ゐる、 光の 

ち .S ヒみ <- ろ おとが ひ ぎん しろ ひげ みなに んヒ やう つめ. y. い 

褪せた ー隨 のお、 さう して 頤に のびて ゐる、 銀の やうな 白い 鬚 11 それが 人情の 冷 さに 凍てつ い 

おも 卜. 1 じゃくく わう ど ゆめ おも とき さぶ らい うしろ せき 

て、 やがて 赴くべき 寂 光 土 を、 ぢ つと 夢み てゐる やうに 思 はれる。 すると この 時、 去来の 後の 席 

もくねん か,, ベ た ;ら やう さう らう じつ ぜんかく ちゃう さう ばせ を こ 今,. - し *、;*^ 

に、 默 然と 頭 を 垂れて ゐ た丈艸 は、 あの 老實 な禪 客の 丈艸 は、 芭蕉の 呼吸の かすかになる のに 從 

かぎ かな ま たかぎ やす 一 r ろ おもむろ こ、 ろ たか 、な ぷノ ノ. /に, 

つて、 限りない 悲しみと、 さう して 又 限りない 安らかな 心 もちと が, 狳に 心の中へ 流れ こんで 來 

るの を 惑 じ 出した。 悲しみ は 元より 說 明を费 すまで もない。 が、 その 安らかな 心 もち は、 恰も 明 



方の 塞い 光が 次第に 暗の f に ひろがる やうな、 K^ES おちで ある。 しかも それよ, こ、 

ぶ.^ ねん お r< さ £ ズ -才 / た. *^ノ{ 

あらゆる 雜 念 I らし 去って、? S もの さへ も、 ,;^;L きす i みのな,、 f か あ 

しみに 化して しま ふ。 i は isil 鎖の t を 親し 一」、 liii の 戴ゼ& つたの をお 

でで もゐる 1 あらう か。 いや、 これ は g が 射に も、 ま のき f い 1^ 断であった。 それならば 

リ t-^ 誰 ^ 徒に 置 1 一にて、 P ,の f f てしょう。 0.^^n( 

- し、」 \ ^u^^ じんかくて きあつり よく ., つ- 7、 む,, - ■ 7 7' » 

^ヮ J ま 人格 的壓 力の I に、 きく 屈して ゐた が f 變、 そ あ f g"5n」、 

漸 伸ばさう とする、 紙 ま 喜びだった ので ある。 g はこの a ^ぎ!^ い, の おに、 

菩提樹の 念珠 を つまぐりながら、 し 周う r すすな く i たち も、 i を i つてぎ た f 、 M 

にかす かな 笑 を ベ て、 nlwgg が Ife に^^した。 ,1 • 

t かう し は、 i&as. i 薦き靈 は TS かぎりなき」 ちに 

圍 まれた 儘、 溢 然として 屬; きいた ので ある。 

^ , C 大正 セ年 九お) 



八 あ 
tl 

ひ 
問え 

ムぁ 

It 

ひ 

問 ま 

は 



2 



力 化 やまと くに かつらぎ やま ふもと かみ こ ' * 

+曰 大和の 纏 城 山の 麓に、 sf いふ, _ ^ま f でゐ ました。 これ & かたちが おが 

やうに やさしく つて、 その上? H であ I やう あかった ものです から、 かう いふ S をつ けら 

れてゐ たのです。 

髮長彥 は、 大 そう^が でした から、 §V が を!: りに!:: く!. でも、 i« の 

腰に さして ゐる f 出して、 きとり で その ri しんで ゐ ました。 する に %ケ しきな ことこよ、 ど 

, とりけ もの くさき ,£ おも 一. i . ノ ■ ノ l-fr / - 1 と 

んな I や 草木で も、 &の 面白さ はわ かるので せう。 g 議 がそれ を と、 f^t 

とり け も き ) T , )! ..7' 

木 は そよ ぎ、 ^ゃ獸 はま はりへ 来て、 ぢっ としま ひまで 謝いて ゐ ました。 

ところ あ ひ かみ J 

:1 或る 曰の こと、 囊窗, つもの,、 と ある t< い IV 根が た ife を i しながら、 l^f な 

く I 吮 いて ゐ ますと、 忽ち 自 おの へ、 m い 霞 ぶら ず げた、 おの Y¥ しかない 5^ 



tru 犬 123 



が 現れて、 

まへ なかく ふえ おれ むかし やまおく ほらあな かみよ ゆめ み $ .. 

「お前 は 中々, 战 がうまい な。 己 はすつ と 昔から 山奥の 洞穴で、 神代の 夢ば かり 兄て ゐ たが, お^ 

キ- キ- き はじ ふえ ね さそ t いに ちお もしろ おも ひ け ふ 

が 木 を 伐り に來 始めてから は、 その 笛の 音に 誘 はれて、 ハ母日 面白い m 心 をして ゐた。 そこで 今日は 

れ,. き たん まへ す Q-V い い 

そのお 禮に、 こ、 まで わざわざ 來 たの だから、 何でもお 前の 好きな もの を 望む が 好い。」 と 言 ひま 

した。 

そこで 木 樵 は、 暫く 考 へて ゐ ましたが、 

わたくし いぬ す いぬ いっぴき くだ, , 二, た ? 

「私 は 犬が 好きです から、 どうか 犬 を 一 匹 下さい。」 と 答へ ました。 

お ほ をと こ わら 

すると、 大男 は 笑 ひながら、 

たか 、-ぬ 、,つ ぴき まへ よ ぼと よく をと こ よく カス しん 

「高が 犬 を 一匹 くれな どと は、 お前 も 餘っ程 欲の ない 男 だ。 しかし その 欲の な. いのも 感心 だから 

まか また *A しギ I 、、 ぬ -. おれ %- つらぎ やま あし ひと かみ い 

外に は乂 とない やうな 不思議な 犬 を くれてやらう。 かう 言ふ已 は、 葛 城 山の 足 一 つの 神 だ。」 と.) i3 

ひとこ- si か くちぶえ な もり お C いっぴき しろい ぬ おちば- た, -か: - ' : , 

つて、 ー聲 高く 口笛 を 鳴らし ますと、 森の奥から 一 匹の 白 犬が、 ^葉 を 蹴立て て^けて 來ま しん" 

あし ひと かみ いぬ ゆび 

足 一 つの 祌は その 犬 を 指さして、 . 

ゝ、 , とほ とこ/.' こと か だ く りこう いぬ いっしゃ うおれ 

「これ は 名 を 喚げ と 言って、 どんな 遠い 所の 事で も 嗅ぎ出して 來る 利口な 犬 だ。 では、 一生 己の 



< 



と の 

が 犬 1^: 

出で の 
來き 名な 
る は 
" 飛、 

明き ベ、 

曰た と 
は 言い 
又 ま つ 

已^ て 
のお 、 

弟き 誰 ま 

がと で 
、 も 

何 I 



を 

吹 ふ さ 
い -、 

て L 
、 マ 

ーヒ ^ 

匹? J 
の き 

黑 4 力: 

犬 ^ " 
を さ 

呼よ n| 

び ff 
出 だ (i 

ナし i 
な ^ 



冃 一 



が 
ら 



け 
な 



代りに、 大事に 飼って やってくれ。」 と f かと, と、 その 酵 g の やうに f て、 ffx 

つ てし まひました。 

力みな^ ひこ お ほ よろこ 、 r< - ^ 

囊窗 大喜びで、 この 白ず T しょに 配」 へまって f したが、 あくるが;^、 ^?\ズご、 ^ 

氣 f:t きらして ゐ ると、 き 仏い 3 を m へ かけた、 rYf かない 趟ゃ どこから 

か 形 を 現して、 

「きの ふ已の 01 きの, つの,、 お S に 4! を やった さう だから、 M もゲ しょうと S つ 

きな-, M f pf [y ^ - 

て やって 來た 何 か 欲しい ものが あるの なら、 霞な くき ふが r。s は s§Qrr つも 

だ。」 と 言 ひました。 



.A みな" ひ 二 また 



い やうな 犬が 欲し い 。」 と へ ますと、 お すぐに. 



へ 消え失せて しま ひました。 



f か Q 



へ乘 つて さへ すれば: :0: 里で も tl, ん Sfi でも、 :!;^ー を, ん で, 

ま へれ.. , 、 

R お ^ に 禮 を す る だ ら う c」 と 一ず つて、 § の やう こど こ,^ 



笛と 犬 



125 



ひ ふえ ふ ふ あか まがたま かざ め ひと 

すると あくる 日 は、 まだ、 笛 を 吹く か 吹かない のに、 赤い 勾玉 を 飾りに した、 目の 一 つし かな 

お ほ をと かぜ そら i ざが 

ぃ大 が、 風の やうに i 仝から 舞 ひ 下って、 

おれ か:/ つぎ やま め ひと かみ あに まへ れい おれ 、 、 f , ゝ fii 

「己 は 葛 城 山の ほ 一 つの 神 だ。 兄き たちが お前に 禮 をした さう だから、 己 も i< げや 飛べに 劣らな 

りつば、 ぬ い おも くちぶえ こジ" もり ぢぅ わた 

いやうな、 立派な 犬 を くれてやらう。」 と 言った と 思 ふと、 もう 口 の 聲が森 中に ひびき 渡って, 

いつび き ふちい ぬ きば だ かき 

一 匹の 斑 犬が 牙 をむ き 出しながら、 駄 けて 来ました。 

\ \ いぬ いぬ ぶ ひて さいご おそろ おにがみ. ひと か 

「これ は嚼 めと いふ 犬 だ。 この 犬 を 相手に. したが 最後、 どんな 恐し い 鬼神で も、 きっと ー嚙 みに 

V - 一ろ た おれ いぬ とほ *^ へ ふえ ふ 

噴み 殺されて しま ふ。 唯、 己た ちの やった 人 は、 どんな 遠い ところに ゐて も、 ぉ前が^£を吹きさ 

かへ く ふえ こ "ず い 

へ すれば、 きつ. とそ こへ 歸 つて 來 るが、 ^がなければ 來 ないから. それ を 忘れす にゐ るが 好い。」 

い め ひと かみ またもり き は かぜ そら i あが 

さう 言 ひながら 目 一 つの 神 は、 又 森の 木の葉 を ふるはせて、 風の やうに 签へ舞 ひ 上って しま ひ 

まし/ 

二 

し _ピ にち あるひ かみな が ひこ さんびき いぬ かつらぎ やま ふもと みち 

それから W 五日た つた 或 日の ことです。 髮長彥 は 三 匹の 犬 を つれて、 葛 城 山の 麓に ある、 路が 



一: :) :f"^ : ずん ふ 



2 



爱 になった 往來 へ、 iiffa ,: f かた 

め f 0if しづし まつち へやって ずした- 



i は それ を 見る と、 吹いて ゐ た!^ を g へさして、 お、 にお じぎ をしながら、 

「 とのさま がた、 つ-一- 

一 もし もし 殿様、 あなた 方 は J 袢ど ちらへ いらっしゃ るので ございます。」 と f ま 

_ - ぶり ざ むら ひ か は が は ,r: 5- - ? 

ると 二人の 侍が、 交る 交る 答へ ますに は、 

こスと ュ 9 か お 一 まお み ま > ) K- 

「rsj のき 様の 御 • がき攀 どうやら t¥ のた ぐ ひに でも さら はれた と えて、 

の 中に 御行 方が 知れ なくなった。」 

お ほおみ ざま た * し?? - -- . 

,r5s は龙 さうな 御 心 g で、 g でも し r てきた ものに は、 ^-sf . 

云 ふ 仰せ だから、 それで, ;ガ も、 Is- を i ねて i いて ゐ るの だ。」 

さか" K つて 一 KI は、 お f うなが i と録 のな と を さもき きにした やうに が |2 しながら、 

途を 急いで 行つ てし まひました。 

みな 力 ひこ い こと き , つ Lo 

髮 i は 好い 事 を 聞いた とぎました から、 あ;^ きで て、 

5げ。 IC 御き またち の Imr4、 ぎ I: せ。」 と 一 r ました。 



访と 犬 



三 

みなが ひこ い こま やま き み なる は どや. H たか ほど お ほ ほらあな ひと なか きん 

やがて 髮長 が 生 駒 山へ 來て 見ます と、 成程 山の 中程に 大きな 洞穴が 一 つあって、 その 中に 金 



しろい ぬ をり ふ き かぜ わ か し々 り はな - だち ま み 

すると 白 犬 は、 折から 吹いて 來た 風に 向って、 頻に鼻 を ひこつ かせて ゐ ましたが、 忽ち 身ぶ る 

ひ を 一 つす るが 早い か、 

お あねえ さま お ひめさま い こま やま ほらあな す しよくし ズ じん とりこ こた 

「わん、 わん、 御 姊樣の 御姬樣 は、 生 駒 山の 洞^に 住んで ゐ る食蜃 人の 慮に なって ゐ ます。」 と 答 

しょく しんじん い わ かしゃ また をろ ち か レ- はう お ほ を レー こ わるもの 

へました。 食 蟹 人と 云 ふの は、 昔 八岐の 大蛇 を 飼って ゐた、 途方もない 大男の 惡者 なのです。 

き 二り しろい ぬ ぶ、 いぬ りゃう はう わき ま、 ノ、 ろい ぬ せ な, い t^;^ お ほ こも 5 

そこで 木 樵 はすぐ に 白 犬と 斑 犬と を、 兩 方の 側に かかへ た 儘、 黑 犬の 北::: 中に 跨って、 大きな 驟 

でかう fK ひつけました。 

と と \ こま やま ま.:: あな す しょく しんじん ところ と ゆ 

「飛べ。 飛べ。 生 駒 山の 洞穴に 住んで ゐ る食蠻 人の 所へ 飛んで 行け。」 

ことば を は うち おそろ かぜ かみな が ひこ あし した ふお こ おも 

その 言が まだ 終らない 中です。 恐し いつむ じ 風が、 髮長彥 の 足の 下から 吹き 起った と 思 ひます 

ひと こ は みみく ろい ぬ そら ま あが あ をぐ も む か 

と、 まるで 一 ひらの 木の葉の やうに、 見る no- る 黑犬は it^ ぺ舞ひ 上って、 靑 雲の 向う にかくれ てゐ 

とほ い こキ やま み はう ま いす. もんじ と はじ 

る、 遠い 生 駒 山の 峯の 方へ、 眞 一文字に 飛び 始めました。 



128 



o .i. 卩 : - ノ:、 ひ: 5" .11 ひめ ざま ひセり 

の 梓 を さしん 綺區な 御姬樣 がー 人、 しくし く _ ^いていら つし.,. C まし,, こ。 

户 户 ひめさま わたくし い, むか 

ぉ「!!^1-御5"、 私が 御迎 へに まゐ- ましたから、 に は S びません。 さあ、 f 、 

锅父樣 の 所へ 御歸 りになる 御 仕度 をな す つ て f.! さい まし。 一 

かう 髮 I ダに ますと、 一 # きの |< ぬ も Iff のき そや I をき はへ ながら、 

「さ 章く、 ぎ 度 をな すって さい まし。 わん、 わん、 わん、」 と |c えました。 

しかし 御姬樣 は、 まだ, rp ためながら、 灣 のぎ f そっと 1 さして させこな つて、 

「"れ でも あすこに は、 私 を さらって きた i お、 さっき からぎ i にぎって I てゐ ます。 あれ 

力 目 をさ ましたら、 すぐに 追 ひかけ て f でず。 さう すると、 あなた も わ, も、 られ てし 

まふのに ちが ひありません。」 とす 有い ました。 

かみな が ひこ & 

髮長亲 は にっこりと ほ丄 夭んで、 

,「け 问の 知れた i:^ ぎ を、 M?^i!t その 難に は、 さ」 こで、 g なお- 

退治し て 靈に; < れ Icy, まひながら、 I おの P ? たたいて、 

i う まら 4py< *C ,ゝ z - 

「嘯め」 この 洞穴の 奥に ゐる みに i み,。」 と、 f しいき ひつけ まし 



tit と 犬 



129 




た。 

ぶちい ぬ $ だ か, 、り うな ほらあな たか 

すると 斑 犬 はすぐ 牙 をむ き 出して, 雷の や-つに ぬりながら、 まっしぐらに 洞穴の 中へ とびこみ 

た』, ま IT も またち しょくしえ じん くプ く は *^、 を そ 二 で ゥ 

ましたが、 忽ちの 中に 又 血 だらけな 食^ 人 の^を 啣 へた 债、 尾 を ふって 外へ 出て 來 ました C 

ところ ふ し ぎ こと どうじ 二 も ,つう たに-そこ いち ゲ, ん かぜ お- - 

所が 不思議な 事に は、 それと 同時に、 雲で 视 まって ゐる 谷- M から、 一陣の風 がまき 起り ま寸と 

かぜ なか なに 

その 風の 中に 何かゐ て、 , 

かみな が ひこ ありがた i-i おん す ■ わたし し- ン、 しん ヒん い --、 や. Hi ニキ ひめ 

r 髮長亲 さん。 難^う。 この 御 恩 は 忘れません。 ^は 食 蟹 人に いぢ めら れてゐ た、 ^駒 山の 駒姬 

こ ゑ い 

です。」 と、 やさしい 聲で云 ひました C 

お ひめさま いのちび ろ うれ 二 ゑ きこ ご ようす 

しかし 御姬樣 は、 命 拾 ひ をな すった 嬉し さに、 この 聲も 聞えない やうな 御容 子でした が、 やが 

か みなが .N-- け-つ わ しんぱい おっしゃ 

て髮長 の 方 を 向いて、 心配 さう に 仰 有い ますに は、 

わたくし いのちび ろ いも- 「と に§ ぶん め あ を 

「私 は あなたの おかげで 命 拾 ひ をし ましたが、 妹 は 今時分 どこで どんな 目に 逢って 居り ませう c」 

.^-みなが^こ , * 一た しろい ぬ あたま な 

髮長 はこれ を 聞く と、 又 白 犬の 頭 を 撫でながら、 

かかお ひめさま おゆく へ か だ ひ L, ついぬ 

「g< げ。 g< げ。 御姬 様の 御行 方 を g< ぎ 出せ c」 と 云 ひました。 と、 すぐに 白 犬 は、 

お いもと ご お ひめさま かぶぎ やま ほらあな す つちく も とりこ しゃ 

「わん、 わん、 御 妹 御の 御 姬樣は 笠 置 山の 洞穴に 接んで ゐる土 蜘蛛の 慮に なって ゐ ます。」 と、 主 



じん ふ ほ みあ はな 一 -, 

人の 顔 を 見上げながら、 鼻 を びくつかせて 答へ ました。 このつ 土ち^. 鲈と fl- ふの は I お «緲|;<ん|^- 

が 御 征伐に なった 事の ある、 一寸法師の 惡 t なのです。 

かみな が ひこ まへ -- > き - ^ 1 ,0 ト 

そこで S 長彥 は、 前の やうに riki の 力 を 小 i にか かへ てぎ « 観 とい 一つし よに の Ife へ^" な 

ぐ > フ, 

力 、レー 

「I ベ。 I ベ。 is の雜に f でゐ る^ぎ まんで r。」 と Ik ひます と、 11 

i4K 飛び 上って、 これも靑きたなびく|^に|?ぇてゐる爵,ぎりぉくぎけ|めました。 

さて 笠 置 山へ 着きます と、 ここに ゐる 土撫珠 は^って PIS ある やつでし たから、 1^^ 艇の 

姿 を 見る が 早い か、 わざとに こに こ ,ひながら、 ぎ 1! の撤 までき" へに 1! て、 

【1 、 ,1^ らたカ > 二 ゑんば うつ- く 、、う 

一 これに これ は 變長 まさん。 遠方 御 苦勞で ございました。 まあ、 こっちへ おはいりな 1 、。 

碌なき はあり I んが、 せめて, 囊 &の與 でも k£ しませう。」 と すました。 

! しかし 髮長彥 は 首 を ふ つ て、 



笛と 犬 ■ 131 



おれ まへ き おひめ ざま かへ き はや お ひめさ 二 かゾ 

「いや、 いや、 己 はお 前が さらって 來た 御姬樣 をと り 返しに やって 來 たの だ。 M- く 御 姬樣を 返せ 

しょくしん じんこう jt; う ころ おも おそろ い. 1- ほひ 1ゃ< 

ばよ し、 さもなければ あの 貧髮人 同様、 殺して しま ふから さう 思へ。」 と、 恐し い 勢で 叱りつ け ま 

した。 

つちぐ も ひと あ 力 

すると 土 蜘蛛 は、 一 ちぢみに ちぢみ 上って、 

お かへ ま を なん おっしゃ こと i 产!^カ;.,,ほ 、 

「ああ、 御返し 申します とも、 何で あなたの 仰 有る 事に、 いや だな どと 申し ませう。 街^ 樣 はこ 

おく ひと ご る 一ん りよ なか お /、お 

の奧 にちやん と、 獨り でい らっしゃい キ、 す。 どうか 御 遠慮なく 屮へ はいって、 街 つれに なって 下 

さ いまし。」 と、 聲を ふるはせながら 云 ひました。 

かみな が ひこ お あねえ V.- ま お ひめさま マん/き い, 3 ほ" あな なか * チ ほ.. -.1 

そこで 髮長彥 は、 御 姊樣の 御 姬樣と 三 匹の 犬と を つれて、 洞穴の 中へ はいり ますと 成程 ここ 

ぎん くし かはい おひめつ *,。 かな な 

にも 銀の 樹を さした、 可愛らしい 御姬樣 が、 悲し さう にしく しく 泣いて ゐ ます 

ひと -? ようす おどろ ぃぞ つ 一 ^ん お あねえ V 5 户 ほ ひ, とめ み ,- ,- 

それが 人の 來た容 子に 驚いて、 ^いで こちら を御覽 になり ましたが、 御 姊樣の 御 額 を 一 RIHi> ^た 

おも 

と m じ J と 

お あねえ さま 

「御 姊 様。」 

-. も-つ A- ふたり お ひめさま いちど りゃう は-つ か しばに たが ひ だ あ - f-,-* ノ ■ な: P.I 

「, 妹.^」 と、 二人の 御 姬樣は 一度に 兩 方から 駆けよ つて、 暫く は 互に 抱き合った 倚 うれし 淚 にく 



かみな が ひこ け しき み もら なき き. -I ?ん びき いぬ 

れ ていら つ しゃいました。 髮長彥 もこの 氣色を 見て、 貰 ひ 泣 をして ゐ ましたが、 急に.: 二 匹の 犬が 

せ なか け さかだ 

背中の 毛 を 逆立てて、 

つちぐ も 亡 > くし わ う 

「わん。 わん。 土蜘蛛の畜生め^1 -. 

「憎い やつ だ。 わん。 わん。」 

お? H タ- 十" が ほ だ 

「わん。 わん。 わん-し 覺 えて ゐろ。 わん。 わん。 わん。」 と、 I 湫の 違った やう に^え 出しました か 

き か かう,、 わつ つちぐ も いつ おは いは いち. \ 

ら、 ふと^!^がっぃてふり返へ ると、 あの 狡猾な 土 蜘蛛 は、 何時 どうした のか、 大きな 5 石で、 一分 

すき そと ほらあな いりくち いけ ォ, 力 

の 隙 もない やうに、 外から 洞穴の 入口 を ぴったり ふさいで しま ひました。 ぉまけにその^;の向ぅ 

では、 . 

み かみな が ひこ お き さま ひとつき ち 

「ざまを見ろ。 髮長彥 め。 かう して 置けば、 貴樣 たち は、 一月と たたない 中に、 ひぼしに たって 

し なん ざま ナ、 りャニ おそ ノ て た- つちぐ も わら -£ 

死んで しま ふぞ。 何と 己 様の 計略 は、 恐れ 人った もの だら う。」 と、 手を拍 いて 土蜘 妹の 笑 ふ聲が 

して ゐ ます。 

か みなが ひ: いつ く い + つじ. く々, , -;、 :. い: に ひお. T 

これに はさす がの 髮長彥 も、 さて は 一ば い 食 はされ たかと、 一時 は 口惜しが りました が 幸 m 丄 

2 

3 だ こ ノ ふえ こと "え ふ ,v り 1:: も い 

1 ひ 出した の は、 1^ にさして ゐた IE の 事です。 この |H を 吹き さへ すれば、 爲獸 は 云 ふまで もな く 



笛と 犬 



133 



/、さき き ほ か-?.、 わつ つちぐ も こ-ろ - つ-.. 一 A 

草木もう つと り即き 惚れる のです から、 あの 狡搰 な土蜘 if でも、 心 を 動かさない とは^りません 〈 

„〖 みなが ひこ ゆうき なほ ほ いぬ ; > い/し、 んュヽ -. ぱ, .\ 、 -だ I ノ- ノ 

そこで 髮長彥 は _ 與氣 をと り 直して、 吠えた ける 犬 をな だめながら 一 、も不 f に を 队きリ しまし 

た。 

ね * ろ おもしろ わるもの つち? も おひお ひわれ わす はじめ ほ、.^ あな いりくち 

すると その 昔 の 面白さに は、 悪者の 土蜘崃 も、 追 追 我 を 忘れた のでせ う。 始は 洞穴の 人口に 

み.., さす むちう いっすんに ん おは 

耳 をつ けて、 ぢ つと 聞き澄まして ゐ ましたが、 とうとうし まひに は 夢中に なって、 一寸 二 寸と大 

5;; を、 少しづつ 側へ 開き はじめました e 

ひと ひ- V り とほ くら 1^ お ほ くも とき かみな が りこ き..: え 

それが 人 一人 通れる 位、 大きな 口 を あいた 時です。 髮長彥 は 急に 笛 を やめて 

や ^ まら あな いりくち た つ ぐ も S ころ 、"ちいぬ せ な 力 I ) 

「嚼 め。 嚼め。 洞穴の 入口に 立って ゐる土 蜘蛛 を 噴み 殺せ。」 と、 斑 犬の 背中 をた たいて、 ーム ひつ 

けました。 

こる 5 ^--Lu 1 もくさん っナ つぐ も にだ とき ョぃ 力 

この に瞻 をつ ぶし, て、 一目散に 土 蜘蛛 は、 逃げ出さう としまし たが、 もう その 時 はに に 合 ひ 

■,4- いな-つま ほらあな そとと だ なん く つち ケ r も: V に,、 X 

ません。 r 嚙め」 はまる で電の やうに、 洞穴の 外へ 飛び出して、 何の 苦 もな く 土 蜘蛛 を巇み 殺して 

しま ひました。 - 

ところ また ふ し き こと • どうじ たにそこ いちぢ;^ かぜ ふ お ニ> 、 

听が又 不思議な 事に は、 それと 同時に 谷底から、 一陣の風が 吹き 起って 



134 



r 髮 i さん。 難 有う。 . のき il は t れま せん。 i-i^i に いぢ めら れてゐ た、 1-^^ 

; 一 二- 一-オーこ . i し I r I /-V- (2. 

てす 」 と やさしい 聲が 間え ました e 



五 

ノ 力みな 力 ひこ ふ り .To >/J^-t r V -、 > fc 

. ま は: ら髮! f は: ほの i と疆 £11 て、 min P 

r ほら; ^ilisi きまんで まゐ りました。 ^ 

中で 二人 si は、 どう 御 i| ひに なった のか、 きが のぎ f 艇 の, をぬ きとって、 

1 を I まの 長い 髮へ そっと さしてぎ むきになりました。 が、 こっち は? りそんな f は、 

J がっく It ません。 唯、 一生 灣 L き あがせ ながら、 きい 群の if ぎせ にが 

下して、 すん すん 空 を 飛んで 行きました。 

うす う.^ な 力 ひこ まじ ニー t 

み その 中 si は、 あの 3, め きりかかった、 ぎ, i の, で、 ff.fi. 

ると そこに はさつ きの 二人 翁 や どこから かの i りと f て、 S を, たがら、 n がぞ 

急いで ゐ ます。 これ あると、 耀ま は、 ふとが おのお ^1 を、 この, 翁 だち にも f ナた 



馆と犬 • 135 



いこ、 ろお こき 

いと 云 ふ 心 もちが 起って 來 たもので すから、 

「;ト りろ。 下りろ。 あの 三つ叉に なって ゐる路 の 上へ 下りて 行け。」 と、 かう 黑 14^ に % ひつけ ま 

した。 

ふたり さむ.:: ひ せっかく はう, t\ さが お ひめさま お ゆく へ し 

こっち は 二人の 侍です。 折角 方々 探し ま はった のに、 御姬 様た ちの 御行 方が どうしても 知れな 

うま す お ひめさ をん な さ 二り いつ 

いので、 し をし を 馬 を 進めて ゐ ると、 いきなり その 御姬樣 たちが、 女の やうな 木 機と 一し よに、 

たくま くろ ひぬ またが そ。 ま V.- が や おどろ い , 

退し い 犬に 跨って、 签 から 舞 ひ 下って 來 たのです から、 その 驚きと 云ったら ありません。 

みなが ひ-一 いぬ せ なか お ていねい また » 

髮長彥 は 犬の 背中 を 下りる と、 叮嘛に 又お じぎ をして 

との ざま わたくし がた お わか ま を い こま やま かさぎ やま と い とほり お 

「殿様、 私 は あなた 方に 御 別れ 申してから、 すぐに 生 駒 山と 笠 能 山と へ 飛んで:;;: つて この 通 御 

ふたかた お ひめさま お こす ま を い 

1 一方の 御 姬樣を 御 助け 申して まゐ りました ピと云 ひました。 

ふたり VJ むら ひ いや き こり はな ノ ,?. :,- や.^ i 

しかし 二人の 侍 は、 こんな 卑しい 木 樵な どに、 まんまと 鼻 を あかされ たのです から、^ しいの 

ねた はら た しかた うはべ うれ かみ 

と、 妬ましい のとで、 腹が立って 仕方が ありません。 そこで 上 逢 はさ も 嬉し さう に、 いろいろ 髮 

たが ひこ てがら ほ た さんぴき いぬ ゆらい こし ふえ ふ し ぎ 

長彥の 手柄 を 褒め立てながら、 とうとう 三 匹の 犬の 由來 や、 腰に さした 笛の 不思議な ど をす つか 

キー だ かみな が ひこ ゆ だん うち ま-つ だいじ ふえ こし 

り 聞き出して しま ひました。 さう して 髮長彥 の油斷 をして ゐる 中に、 先 大事な 笛 を そっと 腰から 



136 



ぬいて しま ふと、 二人 はいきな り黑 4- の 背 S: へと びぎて、 rj:< のぎ ,さ 蹈の f を、 

りゃう わき ,^ X 一 - \ 

かり 兩 脇に 抱へ ながら、 

二, I: きの 禁銜 のい らっしゃる、 まが", んで r。」 と、 i を滅 へて i きました。 

髮長彥 は 驚いて、 すぐ こ 二ん/と ヌ. - 、 ー .C ノ こ ;、 . >と,^- お ほ かぜ ふ おこ 一-む,, ひ 

I マ つく一ニノへ とり 力 力り ました 力 もう その 時には 大風 が^き lj つて、: け ホ ビ 

。一 ろ ,力 ビ 、 /H -, / 

ち を乘 せた 黑犬 は、 I りと ぎ 捲いた, iJftsQI- へぎ B つてぎ てし まひ まし.,。 

た ど さむら ひ のこ、? 

あと 丄は 唯、 侍た ちの 飛り すてた 「一 IT の i が? でゐ るば かりです から、 S ぎ な 

つた 禁 のまん 中に つっぷして、 g ひ は ii しさう においお い r て をり ました。 

い こま やま みね はう , f , 

すると 生 駒 山の き:^ から、 さっと i が 4^ いてきた とぎます と、. そ あの? i あがして、 

ヨ I さん。 i 震さん。 i か 鎖ぎ i です。」 と、 やさしい, が g えました。 

: また- A さぎ やま ほう 、? つ,, ,- : 

それと I に又讓 山の 方から も、 さっと, きる &ゃ、 やはり その g の g にも, あって、 

「髮業さ ん。 霞まん。 これ もやさし あ r した。 

, こ ゑ ひと 

さう して その 聲が 一 つに なって、 

「これから すぐに P ち は、 あ ちの i をぎ て、 まとり F てぎ ますから、 がし もぎ 



t な と 犬 



137 



Lc- . い い うち か^ うな くろい ぬ . 

心^なさい ますな。」 と 云 ふか 云 はない 中に、 風 はび ゆうび ゆう 唸りながら、 さっき 黑 犬の 飛んで 

、 う くる い 

〔n つた 方へ、 狂って 行って しま ひました。 

-U こ また み また みち うへ. *^ へ , ぶ、 や . 

が、 ^したつと その 風 は、 又 この 三つ叉に なった 路の 上へ、 "一利の やうに やさしく^きながら 

fc^. そら おろ き , 

高い 空から 下して 來 ました。 

"に-り V」 むら ひ • お ふたかた お ひめ やま いつ あすか ぉほぉみさ.*^ まへ で P 

「あの 二人の 侍た ち は、 もう 御 二方の 御 姬樣と 一し よに、 飛鳥の 大臣 樣の 前へ 出て いろいろ 街 

t う び ノ-: ビ « はや ふえ ふ さ んぴ き い ぬ お J よ 

寶美を 頂いて ゐ ます。 さあ、 さあ、 早く この 笛 を 吹いて、 三 匹の 犬 を ここへ 街 呼びなさい その 

あ ひだ わたし -ご しゅっせ たびだ f . t ^つが , ■ - あ :、- - C _ 

間に 私たち は、 あなたが 御 出世の 旅立 を 恥し くない やうに して 上げ ませう」 

, こ么 おも だいじ ふえ はじ きん よろ ひ ぎん ぶと くじ や,、 はね わ こ 

かう fK ふ聲 がした かと 思 ふと、 あの 大事な 笛 を 始め、 金の 鎮 だの、 銀の だの、 孔^の 羽の 欠 

かう ぼく ゆみ りつば たいしゃう よそ ほ あめ あられ 砖- ぶ ひ か や ,, * 、 

だの、 香木の 弓 だの、 立派な 大將の 装 ひが、 まるで 雨 か 霰の やうに、 眩しく 日に 輝きな 力ら ば 

め ま,、 ふ き 

ら ば ら ^の 前へ 降って 來 ました。 

しばら , ^う ぼ,、 ゆみ くじゃく よね や しょ かみ さま みなが ひこ くろい" せ 

それから 暫くた つて、 香木の 弓に 孔^の 羽の 矢 を 背負った、 神様の やうな 髮長彥 が、 §^ 一 スの背 



产べか またが しろ ぶち に ひき いぬ こ わき あすか お ほおみ v-i おめ》 ハた そ、.:: 卞 さが 

中に 跨りながら、 白と 斑と 二 匹の 犬 を 小脇に かかへ て、 飛鳥の 大臣 様の 御館へ、 { 仝から 舞 ひドっ 

& とき ふたり としわか V- むら ひ あわ ざゎ 

て來た 時には、 あの 二人の 年若な 侍た ちが、 どんなに 慌て 騷 ぎました らう。 

お ほおみ さま ふ し ぎ おお どろ ki ら ゆめ -; みなが ひ- - 

いや、 大臣 樣 でさへ、 あまりの 不思議に 御 驚きに なって、 暫く はまる で 夢の やうに、 ^:与:^彥の 

り 、 す 力た なが 

療々 しい 姿 を、 ぼんやり 眺めて いらっしゃいました。 

かみな が ひこ ま-つか ぶと ていねい お ほおみ さま お 

が、 髮長彥 は 先^ をぬ いで、 叮嘛に 大臣 様に 御 じぎ をしながら、 

わたくし くに ,^^-っらぎゃま ふもと す みなが ひこ ま を お ふたかた お ひめ や 

「私 はこの 國の葛 城 山の 麓に 住んで ゐる、 髮長彥 と 巾す も の で ご ざ いますが、 御 二方の 御 姬樣を 

お たす * を わたくし おさむら ひ しょ,、 しんじん つちぐ も たいち ゅブ い? はん 

# 助け 申した の は 私で、 そこに をり ます 御 侍た ち は、 食 餐人ゃ 土 蜘姝を 退: する のに、 指 一本で 

お 5- ご いた を あ 

も 御 動かしに なり は 致しません。」 と 申し上げました。 

き さむら ひ なに いま みなが ひ- 1 はな こと じ ぶん て がら ふい ナノ: う 

これ を 聞いた 侍た ち は、 何しろ 今まで は 髮長亲 の 話した 事 を、 さも 自分た ちの 手柄ら しく 吹聽 

T り きふ かほい ろ か あ ひて ことば さへ ぎ 

して ゐ たのです から、 二人とも^に 額 色を變 へて、 相 乎の 一 W を 遮りながら、 

またお も うそ しょく しんじん くび キ- わたくし つち 

「これ は 又 忍 ひも よらない 噓を つく やつで ございます。 食缓 人の 首 を 斬った の も 私たちなら、 土 

C も に いり やくみ わたくし さう ゐ まこと キを あ 

蜘蛛の 計略 を 見やぶ つたの も、 私たちに 相違 ございません c」 と、 誠しやかに 申し上げました。 

なか 人: お ほおみ さま い こと み お 

そこでまん 中に 立った 大臣 樣は、 どちらの 云 ふ 事が ほんとう とも、 見き はめが 御つ きにならな 



tfl と 犬 



139 



さむら ひ 加み なが ひこ お み くら 

いので、 侍た ちと 髮お^ を 御 見比べな さり-ながら 

まへ キ- み ほか いったい まへ t-- す をと 二 

「これ はお 前た ちに 聞いて 見る より 外 はない。 一 體 お前た ち を 助けた の は、 どっちの sf^ たったと 

おも お ひめ ざま はう む おっしゃ 

思 ふ。」 と、 御姬 様た ちの 方 を 向いて、 仰 有い ました。 

ふたり お ひめ ざま いちど お とう V-*: わむ お 

すると 一 一人の 御姬樣 は、 一 度に 御 父 様の 胸に 御す がりに たりながら、 

わたし たす かみな が ひこ しょうこ を 七: なが 

「私たち を 助け ましたの は、 髮長彥 でございます。 その 證據に は、 あの 男の ふさふさした 長い 愛 

に、 私たちの 櫛 を さして 置きました から、 どうか それ を御覽 卜さい まし。」 と、 恥し さう に 铜云ひ 

み なるほど かみな が ひ-一 あたま きん くし ぎん くし うつく ひか 

になり ました。 見る と 成程、 髮長 _ ^の 頭に は、 金の 櫛と 銀の 櫛と が、 美しく きらきら 光って ゐま 

さむら ひ ほ. か し かた お ほおみ さま まへ ふ 

もうかう なって は 侍た ち も、 外に 仕方 は ございま せんから、 とうとう 大ほ樣 の 前に ひれ 伏して I 

じつ わたくし わる かみな が ひこ だす お ひめさま わたくし て がら 々を 

「實は 私たちが 惡 だくみ で、 あの 髮長彥 の 助けた 御姬樣 を、 私たちの 千 柄の やうに ここで は 巾 

あ とほ はくじ やういた うへ いのす, お たす くだ 

し 上げた ので ございます。 この 通り 白狀 致しました 上 は、 どうか 命ば かり は 御 助け ドさ いまし"」 

ま を あ 

と、 がたがた ふるへ ながら 申し上げました。 

さき こと べつ "つ はな かみな が ひ-. たくさん ご はつび いた ビ うへ 

それから 先の 事 は、 別に 御 話しす るまで もあります まい。 髮長彥 は 澤 山 御 美 を 頂いた 上に、 



HO 

i 



あ- ^か お ほおみ さま お むこ さま 、: 7 * . 

,の 大臣 様の 御 婿樣 になり ましたし、 「ー人の^?きちは、 囊の に r ま はされ て、 よふ 

おや. 3 た そとに お こ, 

はふ 御館の 外へ 逃げ出して しま ひました。 どちらの, i 震の ぎ i さんに たり まし 

: 、 、 なに-ふんむ かし こと い.. H 

た 力 それだけ は 何分 昔の事で、 今では はっきりと わかって をり ませし e 

(人; 爪 七.!^ 十二月, } 



一 



2 

4 



さき? つお ほと C さ ま,, j いちだ . ちう . 

先頃 大 殿樣 御 一 中で、 rgi^ を s せた、 . こん 

f 霸 fog ず、 こつ 4リ>1,し、 つて:^ :: きめ ォを 申; i 上け ましたから、 今 

" :::: 御," て きん 一? 不 i な 出 來事を 御 話し まう か て, ります。 い、 

前に」 通り、 も よらない き Ig で、 i がき酵 なった i- き、 ままし お 

し丄 けて 置き ませう。 

, 力し 力 わかと さま じふく -I 一 

あ f は pi は 十九の 御 年だった かと, ます。 fi^a 

^ J は J 是そ の? ばかり まから、 ま £ のき, t れ ます やら、 E&frIT 

度に ほ を J き" す" ら "觀, 纖, r&.m,sr! す やら、 l^^rrso 

て、 鯉! が s!:!1!ir、 いろいろ, いお ざ ざい-した。, あに 藝 ろしく n 

はれた の は、 或 直 多 枕に、 • の t びぎた やうな、 お V とやの f しきる, T ま" i 



の^? かれながら、 Ik ん から りて 來 たと 思 ひます と、 その 車の 中から やさしい 聲 がして、 「大殿 

1 観 を これへ!:^ へ S せ。」 と、 1^ はった さう でございます。 その 時、 その 人面の -獸 が 怪しく 吟 ち-て、 

. , -た, T バカう やみ か くちびる な. tH-/\> リ いか おも 力な ふリ 

g がピ げたの を M めます と、 t 夕 現の 暗の 中に も、 臂 ばかりが 生々 しく 赤かった ので、 す 金 は 

凧をあげながら、 その 一 S で やっと 我に 返り ましたが、 總身は びっしょり 冷汗で、 胸 さへ まるで 

1 をつ くやう に i つて ゐた とか 申しました。 でございますから、 北の方 を 始め、 私 どもまで、., £ 

齢め て、 +i ま i のぼ T に si 師の護 I ゆ も 貼りました し、 驗の 法師た ち を 御召しに なって、 !^々 

の!:, まも 1: ビげ になり ましたが、 これ も. 誠に 遁れ 難い 定業で でも ございましたら う。 

J、 P^J そ:/.,) ひ 二と いまで が は だいな ごんく-ま お や かた 

或 SI. I それ も 雪 もよ ひの、 底 冷が する 日の 事で ございま したが、 今 出 川の 大納言 様の-御 屋形 

から、 |:i りになる 兩 S の^で、 急に大熱が御發しになり、御^|館遊ばした時分には、もぅ唯「ぁ 

5 J お み いちめん き み わる むら" キ-だ おしと;? しろ. i, ォ 

た、 あた」 と, 有る ばかり、 あまつ さへ 御身のう ち は、 一面に 氣味惡 く 紫 立って、 銜褥の 白 終 も 

も ; ナ ぶ, J も A 一 とき お まノ ほふし い し おんみ やう, U . 

焦げる かと St 「き 【湫 色に なりました。 元より その 時 も 御 枕 もとに は、 法師、 醫, 帥. 陰陽 一 H などが 

邪 ^それぞれに £獻 を^いて、 ^死の?? を盡 しました が、 御 熱 は m 烈しくたって、 や. がて 御床の 

K ノ、 ,ー ろ で つま べつじん し はが お こる 一 ^ ひ 一;,、 

門 -.^ まで 轉び 出て いらっしゃ ると、 忽ち 別人の やうな-吸れ た 御聲で 、「あおう 身のう ちに 火^つ し 



M4 



た f こ q り は 如何 致した。」 と、 狂 ほしく ぎ, になつ-きわ 塑き. かりの は び、 f もお 

ノ * 1 、、广 、: t ざ ん こ さ » ご H 41 I 

無 ft 期で ございます。 その f の, さ、 ,しさ、 P さ L こ 

へま: r、 都 J? ほる、 Ms,ri つて ゐ ir § 



紅と が ぁ の茫然とした險ずゃ11^-ぉ..で >っ .,^.K. : S 、 だう 

おはき 、,- ぎ ィ"^ が...^ ちの 姿と 一し よに ありあり と 眼に 浮かんで、 かいつまし 

^5 を へ;,! き:. まが ございません。 が、 i き r ぎ も、 あ. 

塞 様 I、! し: き た藝|せ I す、 i、 P きき I ら、 

ちっと 大 is 枕元へ きていら しった? S ると、 まるでぎ すました, の ^ ひ 

でも? やうな、 身に しき、 ひやり とする、 それで ゐて やはり, しい、 rp^f 

でございます。 

二 

ぎ の if でありながら、 iplltf I. うらう 

の も 稀で ございませう。 gi は si の,、 S 疆で いらっしゃ いますが、 證, お 



門宗邪 M う 



ま を やせ お i だ 一. 一 キ りゃう お ほとの さま をと こ しんしゃ, つ 

の、 どちら かと 申せば 瘦 ぎすな 御 生れ 立ちで、 御 容貌 も大 殿様の どこまでも 男らしい 祌將の や 

おもかげ 一- お やさ おうつ く た かた り ふた 

うな^と は、 似 もっかない 御 優し さで ございます。 これ は あの 御 美しい 北の方に、 ^二つと でも 

- や-を まゆ せま め 十 t こ、 ろ くち くせ 、 ズ べんな ) ^ . -, 、 , 

申し ませう か。 眉の 迫った、 眼の 涼しい、 心 もち 口 もとに 癖のある 女の やうな 祸顏 立-ちで ござ 

ぐら しづ かげ こと -,】 しゃう ぞく め ご 

いました が、 どこか そこにう す 暗い、 沈んだ 影が ひそんで ゐて、 殊に 御 装束で も 召します と、 街 

りつ?" キを ほとんど かみ" -ぴ * を あ くら ゐ い か 丄. 2 か 、 . ゝ 

立^と 申します より、 殆 神 寂て ゐ ると でも 申し上げたい 位、 如何にも もの 靜な御 威光が ござい 

ました。 - 

お ほとの, $ わかとの さま とわち が _,.!J t-J や",^ せつ、 . 

が、 大 殿様と 若殿 樣 とが、 取り分け 違って いらし つたの は どちら かと 云へば, 御氣 象の 方で 

お まと CV-.. ェ こと がう はう ゆうだい なん ひとめ おどろ ノ, や, - 卜^ 

大 殿様の なさる 事 は、 すべてが 豪放で、 雄大で、 何でも 人目 を 驚かさな けれ ぱ 止まな; > と 云 祸 

、キ, ま わか?! の vi お この きん さい キ た いつぶ お メ 、 . 

勢 ひで ございま したが、 若殿 樣の御 好み は、 どこまでも 纖 細で、 亦 どこまでも 優雅な 鼠が ござい 

ぞん を お ほとの さま おこ-ろ ほり か は 一 ご しょ うか, V ごよ 

ました やうに 存じて 居ります。 たと へば 大 殿様の 御 心 もちが、 あの 堀川の 御所に 窺 はれます 通り 

わかとの さま にやく わう じ お つく た つた ゐん * ご き ぼ ち ひ "わん. うん〉 "^x 4- 15 

若殿 樣が若 王子に 御 造りに なった 龍 田の 院は、 御規梭 こそ 小さう ございま すが 菅 相 一の 御 歌 

もみ ぢ お によ ま を おに はぬ きょ ひと なが キを 

を その ま. -な、 紅葉ば かりの 御 庭と 申し、 その 御 庭 を 縫って ゐる、 淸ら かな 一す ぢの 流れと 巾し 

ある- S また まが ,H な なん し しらさぎ * を ひと わかとの さま おく W 力 

或は 又 その 流れへ 御^しに なった、 何 羽と も 知れない 白鷺と 申し、 一 つと して 若殿 様の 奥床しい 



H6 



お .T ぽ しめ まど あ,.: は 

御 思 召しの 程が、 現れて ゐな いもの は ございません。 . 

い „ し 、だい 、 お ほとの ぶま なに ぶ ば 二と お 

■ さう 云- - 次第で ございま すから、 大殿樣 は 何 かにつ けて、 武張った 事 を 御 好みに なり ましたが、 

力と.^) ズ ほ.、 まだん-い.? く "^ん げん なに およろ こ ,"+ ^く めい じんじゃう ナ -ご み ぶ-" ヒゥ. T げ 

若殿 樣は又 詩 省 枝 を 何よりも 御喜び なさい まして、 その 道々 の 名人 上手と は、 御身 分の 上下 も 

御 忘れに なった やうな、 隔てない 御つ き 合 ひが ございました。 いや、 それ も 唯、 さう 云 ふ ものが 

. ^す, 、- ) ., , * ごじ ぶん ながねんお こ、 ろ しょげい あう ひ お ひそ しゃ- リ 

御 好きだつ たと 申す ぱ かりで なく、 御 自分 も 永年 御 心 を 諸 藝の奥 祕に御 潜めに なった ので、 ^こ 

そ^ 吹きに なりませんで したが、 あの 名高い 帥 民 部 卿 以來、 三 舟に 乘る もの は、 若殿 樣 J: 一人で 

う, -、 -; ほど "つ , ゝ し, い ク-^と ゥ V ふ H -. つ- * 

あらうな どと、 t^のぁった程でござぃます。 でございますから、 御 家の 集に も、 若殿 様の 秀句 や 

めいふ V くゝ ぶま た, ベさん 9,: を , なか せじ やう ひやう ばん たか よし ひで >.1 しゅしゃ-,, し 

名歌 か 今に 澤山殘 つて 居ります が、 中で も 世上に 評判が 高かった の は、 あの 良 秀が五 趣 生死の 

* つ _ う り ふう V "いじ ふつし 6j j ふたり からびと もん V! ふ お き よ う., 二 

ii を 描, いた 龍 蓋 寺の 佛 事の 節、 二人の 唐人の 問答 を 御 聞き. になって、 御詠み になった 歌で ござい 

ときう ちなら し も やう はちえ ふ れ /げ よさ に .H くヒ やく , 

ませう。 これ は その 時磬 の 模様に、 八 葉の 蓮華 を 挟んで 二 1^ の 孔雀が 錄 つけて あつたの を、 そ 

力 < ^びと な 力 しゃし スし. やくく わし い ひとり こ ゑ した ひとり V ふ り ふう r- う -re 

の 唐人た ちが 眺めながら、 「捨身 惜花 思」 と-; W ふ 一 人の 聲の 下から、 もう 一 人が 「打 不立有 £1:1」 と 答 

、 いみ あげ ゐぁ ひとみ、 と かく せんぎ だ を 

へました 11 その 意味 合 ひが 解せない ので、 そこに 居 合 はせ た 人々 が、 兎角の 詮議 立て をして 居 

",- f ハ かとの v.- 卞 i お も あ ふぎ うら 5 つく か な-い 

ります と、 それ を 御 聞きに なった 若殿 樣が、 御 持ちに なった 扇の 褒 へさら さらと 美しく 書き流, し 



ひと"、 なか おつか は * つた 

/. て、 その 人々 の ゐる屮 へ 御 遣し になった 歌で ございます 

身 をす て て 花 を 惜し やと 思 ふらむ 打て ども 立た ぬ^も ありけ り 

観と 。銜と は、 かやう に& 5^ がかけ 離れて いらっしゃいました から、 それだけ 又 御 二方 

の!;!' こ, も、 そぐ はない 所があった やうで ございます。 これに も, に は 兎角 の^が ございまし 

s> , ご し- し おな ,^ にょうば う お あ,: そ * キ& , ) 、、- ヽ - , I -、 < 

て、 .5- に は 御 親子で、 同じ {呂 腹の 女房 を御爭 ひに なった からだな どと 中す もの も、 こさ V ま リカ 

一, と ± ャ なつ わ、 くし ic, よ ん 人 かぎ 

元より その やうな 迴 げた 事が あらう 害 は ございません。 何でも 私の i えて 居ります 限りで は 

ぉぁ1観がゼ1^-六の御^=|-に、 もう 御 二ず の 間に は、 御 不和の 芽. がふいて ゐ たやう に 街 受け 巾し ま 

一-、 ま をち お わかと Gv. まし やう お-.: I 

した。 これが 前に もちよい と 申し上げて 置きました、 若殿 樣 が^だけ は 御 吹きに ならない と 一 

その is はれに 緣の ある 事な ので ございま す 。 

ころ ゥ、 レーの さま -., - . しゃう つ こゥ と,, ん "とこ "リ. - あた なかみ かど せうな _ ごん おでし 

邪 その 頃、 若殿 樣は大 さ う^を 御 好みで、 遠 緣の從 兄に 銜當 りな さる 屮御 a,: の 4:^ 一一 一口に、 御^ チ 

|i り せ-つな -.. 一ん がりょう い な だか しゃう だいじゃ ■T-.f^ に ••: じきて う ふ- 

r ;< をな すって いらっしゃいました。 この 少納言 は、 伽 陵と 云 ふ 名高い 笙と、 大食 調 入 食 調の is と 



148 



だ い/、 お いへ おった み ち キ; だ い め-:. じん 

を、 代々 御 象に 御 傅へ になって いらっしゃる、 その 道で も 稀代の 名人だった ので ございます。 

わかとの さま せうな - ごん お て もと なが せっさ たく i こう ,; つ 1 つ i こ、 レ. ti 

若殿 樣 はこの 少納 言の 御手 許で、 長らく 切薩球 磨の 功 を 御 積みに なり ましたが、 さて その 大食 

てうに ふじき て 0- でんじゅ r: の fv せつな ん おぼしめ お ほ お き い 

調 入 食 調の 傳授を 御望み になり ますと、 少納言 はどう 思 召した のか、 この 仰せば かり は 御 聞き 人 

さいさんお お だの I ご まんぞく ゆ ご へんじ 

れ になり ません。 それが 再三 押して 御 頼みに なっても、 やはり 御滿 足の 行く やうな 御 返事が なか 

お としわか わかとの さ i ひと かた ざんねん おぼしめ あるひ お ほとの さま す-, ヌヅ、 

つたので、 御 年若な 若殿 樣は、 一方なら す殘 念に 思 召した ので ございませう。 或日大 殿様の 双六 

お あ ひて とき ご ふ I てん お もら .:?.-1.VCJn ま 

の 御 相手 をな すって いらっしゃる 時に、 ふと その 御不滿 を御洩 しにな りました。 すると 大殿樣 は 

何時もの やうに 麼; 揚に御 笑 ひに なりながら T さう 不平 t は 一 1^ はぬ もの ぢゃ。 やがて は その 譜も 乎に 

じ せつ お なぐさ ところ は/つき 

は ひる 時節が あるで あらう。」 と、 やさしく 御 慰めに なった さう でございます。 所が それから 半月 

あるひ こと なかみ かど せうな - ごん ほ リかは お や かた さん もり おいで かへ に はか n は 

とたたない 或 日の 事、 中 御門の 少納言 は、 堀川の 御屋 形の 饗べ御 出に なった 歸 りに、 俄に 血 を 吐 

いて 御歿 りに なって しま ひました。 が、 それ は 先づ、 よろしい と 致しましても、 その 明くる:::、 

わかと 〇さ ま なにげ お ゐ ま おい ら でん 十> りば 一 おつく ゑ うへ がりょう しゃう V -卜 ぶ. てう- -ふ 

若殿 様が 何氣 なく 御 居間へ 御出でに なると、 螺鈿 を 鏤めた 御机の 上に、 あの 伽 陵の 笙と 大食 調 入 

しきて う ;- たれ も き つ *H を 

食 調の 譜 とが、 誰が 持って 來た ともなく、 ちゃんと 載って ゐ たと 申す では ございま せんか。 

のち またお ほと G さま わか. vC さま お あ ひて す ごろく お 5 とき 

その後 又大 殿様が 若殿 樣を御 相手に 双六 を 御 打ちに なった 時、 



門宗邪 



149 



つ マつ しゃう ,.ち だん じ やうた つ:.. た ねん お お j しゃ わかと cviM しづか ばんめん 

「この頃 は 笛 も 一段と 上達 致した であらうな。」 と、 念 を 押す やうに 仰 有る と、 若殿 樣は靜 に 盤-. S 

を 御 眺めに なった 儘、 

しゃう いっしゃう ふ こと いた ひや >- お こた 

「いや Si はもう, 一 生、 吹かない 事に 致しました。」 と、 冷 かに 御 答へ になり ました。 

「何として 又、 吹かぬ 事に 致した な。」 . 

いさ、 i:- うな 一 ごん だい とむら そん 

「聊かながら、 少納 言の 菩提 を 弔 はう と 存じます から。」 

おつし Jl, わか. vo. くま ち- - うへ お 、ほ おみ お ほと C さ i 

かう 仰 有って 若殿 樣は、 ぢ つと 父上の 御:! を 御 見つめに なりました。 が、 大殿樣 はまる で その 

お こも 5 キ i いき ほ とう ふ 

御聲が 聞えない やうに 勢 ひよく 筒 を 振りながら、 

二 つど .? わ ぢ !,. 1 ち ようすしょう ふ つ ぐ 

「今度 もこ の 方が 無地 勝らし い ぞ。」 と さりげない 容 子で 勝負 を御繽 けにな りました。 で ございま 

一 ご ^/^r^ た ぎ 一 ご しんし おんな か とき 

すから この 御 問答 は、 それぎ り 立ち消え になって しま ひました が、 御 親子の 御 仲に は、 この 時 か 

あるお もしろ こ-ろ は V,- ぞん 

ら或 }M 白くな い 心 もち が、 挾ま る やうに な つた かと 存ぜ られ ます。 

.V はと C ベ ま お かく とき ご しんし あ ひだ に は あ をた か たが ひ あ ひて うか 

それから 大 殿様の 御隱れ になる 時まで、 御 親子の 間に は、 まるで 二 羽の 蒼 鷹が、 互に 相 チを窺 



ひな r、 ^isa ちつとの F ない i み!: ひがす つと いて すました, 

PJf r!:" 上 r したず 脆き、 すべて 謂 編の i ぞ ^^ぎ1ひでござぃましたカら、 

2 様の 御所き 向っても、 術 をき つきに などな つた f、 ま ございまん。 & , 

麼 § な 御 震 を、 H0i$-it T 層 S ぎ 





5 



を 御 漏らしになる ばかりで ございます 



』 時ぞ 1"; 様が、 「き, im にき ひに なっても、 き mF なかった f ^ 

中 洛外の 大 R になります と、 Sm0f^ft^. 

「鬼-神ば 神に 遇うた の I。 if a お i もない。」 と、 If 

:;: に 仰:! いま U が、 i ssf f f ま rpig, 望 を、 だ 

殿 ほが」 喝 ュて衛 i けにな つた i も、 霞 樹 はまの まり、 ま f きひに なりながら、 • 

ヨの 左大臣 は、 風月の 才 t に 富んで 居られた と, ではない か。 されば お,. 、つれ は、 J あと を 

i^nnn f 失せられ たに 鎖ない。」 と、 霍 つたの &ぇ; ります Q 

それが 叉大 殿様に は、 何よりも la^ に i かった と f まして、 ふとした 獎こ、 H 



門 ま 邪 



151 



V ま おことば おき たつ こと つけ、、 h 力;?, .,,.. ^^- I » _.rlj し 、ん 

樣の 御言 葉が、 御 聞きに 達する 事で も ございま すと 上べ は 苦笑 ひに 御 親 はしな すっても 御、 も 

ち ラ .... /ハ お かな ぶ げん だいり う 力み えん お かへ お ほとの ャ-ま み 

中の 難8 きりは ありあり と 御 組に 讀 まれました。 現に. 裡の 梅見の 实 からの 御歸 りに、 大 殿様の 御 

/, る丄 うし 4:--., らい に-つじん け が とキ- ち-つじん かへ て あは ごん じ や お ほ と0 

車の 牛が それて、 往來の 老人に 怪我 させた 時、 その 老人が 反って 手 を 合せて、 權 者の やうな 大殿 

> --ま うし みやう が **、 ど ありがた こと とさ わ.^ .vc v. ま お ほ. V の ふ 一 

1! の 御 牛に かけられた 冥加 の^を、 難 有が つた 事が ございま したが、 その 時 も 若殿 樣は、 大 殿様 

のい らっしゃる 前で、 牛 飼の 童子に 御 向 ひな さりながら、 

よう しょせん-つし く. IT ゐ 2 ぜ :6 ま わ げす 

「その 方 はう つけもの ぢ やな。 所詮 牛 を そらす 位なら ば、 何故 車の 輪に かけて、 あの 下司 を嵊き 

,ー, つ う が て ち は す ん き ほど ,2.\っ „.,-.. たち した わう じ やう と しゃ-つ レゆ 

殺さぬ。 我 をして さへ、 手 を 合せて、 隨喜 する 程の 老爺 ぢゃ。 轍の 下に 往生 を 遂げたら、 像 

の.!^迎を受けたにも|?して、 難 有く 心得た に 相違ない。 されば 父上の 御名 躲" も、 一 dzl と がらう 

こ-ろ わる や J つし や とき おはと で. ひ" P い-.. 

もの を" さりと は 心がけの 惡ぃ 奴ぢゃ 」 と、 仰 有った もので ございます。 その 時の 大 殿様の 狗機 

げん わる ま を いま r, て あ" ぎ あが 「ュ せつ いんぐ <: ゐ. お く は 、わたべ し メち 

嫌の 惡 さと 申しましたら、 今にも 御手の 一.! が 上って, 御 析篮位 は 御 加へ になら うかと ども 一 

同が 磨 を 冷す 程で ございま したが、 それでも 若殿 樣は晴 々と、 美しい 齒を 見せて 御 笑 ひに なりな 

がら、 

へ +.-i-r- へ お は- だ あそ うし かひ とほ - ^ ) &. > , 、-、 - 

「父上、 父上、 さう 御腹 立ち 遊ばすな。 牛 飼め も あの 通り 恐れ入って 居る やうで ござ,. ます 



この J とき 心に かけましたら、 Pif0ff お, i" を 透 ま 

でも 傳へ 事で ござ, まず。」 と. き f ぬ i で ま おった も? ございま すから、 趙 街 もとう 

とう 我 を 御 折りに なった と f て、 sii. ff なくき f になって しま ひまし 

た。 

> お あ ひ 10 

かう 云 ふ 御 間 がらで ございま したから、 藝の i、 ぢ つと こなって、 

どの 事 をま考 へます と、 まるで 磨ぎす ましたき の f ひ を f やうな、 I. にしみ て ひやり とする、 と 

同時 は 又き となく 賴 もしい、 ifi^. 譜 もう? にだれ て &| した。 響 

一 J 時の 私 ども はは、 心からき g りが したと fl, が、 II それ も 御ぎ M あばかり でな く、 

一天 下に さす I が、 ぎ, ら, ti つた やうな、. i:^ いぎ i したので ございます。 

-、、-、、、 ゝ わかと GV- ま か とく .0 

て ごさ. ますから 若殿 様が、 御 家督 をき 取りに なった その rE^ ら、 V 屋ま あへ は どこ. 



r'】 宗邪 



153 



、: yj. ナ しき しゅ ス ぶう ふ ま ゐ -?' た あは は な あは 

ら ともなく、 ん?^ までにない 長閑な 景色が、 春風の やうに 吹き こんで 參 りました。 歌合せ、 花 合せ、 

避^ g 伊 4 すな どが、 ,2^ハ1にも增して度ぺ御催しになられたのは、 申す まで も ございますまい。 

? L1 -- よ- う よし さむら ひ ふうぞく かし t. き, . ?、, だ I Z t. ゝ: r- - V. k 

それから 乂、 ^.<;121^たちを始め、 侍 どもの 風俗が、 まるで 昔の 繪卷 から 抜け 51t て來 たやう に み 

t 一 こと こと い ぜん か は 、 か は t ヽ - 

やび やかに なった の も、 元よりの 事で ございます。 が、 殊に 以前と 變 つたの は 御屋 形の 御 客に 

|:k でになる おっ^の!: 纖 ぶれで、 ケは 如何に 時め いて ゐる 大臣 大將 でも、 ー藝 一能に すぐれて 

いらっしゃらな い^は、 肥^に &か& ¥ の!:^ に はか 、れ ません。 いや、 たと ひ 御 限に か 、れ たの 

こしても、 御 % でになる 方々 が、 皆 風流の 才,. 子ば かりで いらっしゃい ますから、 流石に 御身 を祸 

i しぜんお あし とほ 

f ぢ になって、 自然 御み 足が 遠くな つてし まふので ございます 

その f りお、 JilsJS" の に 長 じて さへ 居り ますれば、 無位 無官の 侍で も、 肩に 餘る やうな^ 

t} 5 - 一と ある あき よ つき ひかり か. P し, . . , げ: ) いお、,、 -vs 

il< を 受けた 事が ございます。 たと へば、 或 秋の 夜に、 月の 光が 格子に さして 機^りの 聲カ致 

して ^5 りました 時、 ふと 人 を 御召しに なると、 新參の 侍が 參り ましたが、 どう 思ぞ したの か、 急 

に その 侍に 御 向 ひなす つて、 

±-ー; -;. 、-- ±5 だい いっしゅ つかまつ ン » .•> ゝ ,,、. 、 

r 搬微 りの *€が§ すの は、 その 方に も 聞え ような。 これ を 題に 一首 仕れ」 と や P 力り 力 こ 



ざい:: した。 すると そ a おに ゐて、 動 ひ, 群て f ましたが、 やがて、 r 應,」 と、 II 

di^iipa 摩かった ので ござ, いませう。 i ぎ 

の 間に は、 忍び 笑 ひの 齢が SU ましたが、,!^!^ g 、二し、 

「み ひりの 糸^" まて ぼいて t は if ぞ f。」 と、 まやかに, ますと、 

r 返.:::; ほ I の ある s-m" mr0pi^. rr て? いまし,。 i 

赏はそ Q 上寸 と, fl- ) お, U 3 、、、 、 i^^^ ほ 1 i とり . わす こ わかと。 さま 1 

、 f !! の 姉の 一 人 息子で、 若殿 様と は、 

レ!; にこ frj ぎの 御め にして、 その 菊い iff たので ございます。 

先 I 様の 御 平生は、 あらあら かやうな もの. で ございませ うか 。そ あび ^ の f ぎ, こ 

リ 4U ノー: ノ- 一ん バ.. > ぶ," もく 】,) くわん ゐ お -TV - "1 j , ( 

H A 年々 のきに は 御 官位 も 御 進みに な-ましたが、 さう rfKT の f 、 よく 

存じて は 奪 _^^ます から、 ラに はとり ぎて 【:- げ ません。 それよりも ぎお ぎます 

ら; に S 束き ました f 賺铜§1? に、 たった いき かなかった あ ふ、 f 

Jg§ 事の g へ は ひる 事に g しまず。 とおし ますの は、 戲 f は E ひこな つて、 だが 

下の きのみな どと f 御渾 名 こそ、 けにな りました が、 ま y 一 I あきで、 その ぜ: 



は 一 つ、 尺 口に gi 炙す る やうな 御 逸事と 申す もの も、 なかった からで ございます" 

六 * 

その si の そ wif 確大 殿様が 御 li れ になって から、 五六 年た つた 頃で ございま すが、 丁度 その 

si 観 は、 i にだぎ ました fit! の pi 鍵の Its で、 議が i いいぎ 讓へ、 

.Kl::^ を I 曰いて いらっしゃいました。 唯今で も あの 頃の 御 熱心だった 街 が、 私 どもの 口から:^ 

かと C さ i い つ はれ,^ お わら . 

れ ますと、 . 若殿 樣は 何時も 晴々 と 御 笑 ひに なって 

コ、 ;、 しに 一 >^ , ころ よ む ちう つたな うた し っノ、 み, なき に-に、 - 

「^よ。 K が は^しと _h へ、 あの 頃の 予が 夢中に なって、 拙い 歌 や 詩 を 作った の は $1 戀 がさ 

ゥ r ",も きつねつ.^ ふ も ひ くる どうぜん 、 -, P じ 、二ん .^」ー 

せた 1 ぢゃ。 思へば 狐の 塚 を 踏んで、 物に 狂うた の も 同然 ぢ やな。」 と まるで # 自分 を 1- る やう 

Lx^ "く おっしゃ まった たう じ わか とのさま ほど-.. 一 へいぜいに , -.、 ゅ-ふ ヌ, ャ;^ 

に、 i ぎと して かう 仰 有い ます。 が、 全く 當 時の 若殿 樣は、 それ 程 御 平生に 似 もやら す 慕 三 

味に 耽って 御^でになりました。 • リ 

邪 しかし、 これ は、 あながち、 若殿 樣御 一人に 限った 事で は ございません。 あの 顷の年 tT.- な 殿上 

鬥 ギ ぼの ぎ 鍵 観に 敏ひ をぎ けない ものと つたら、 ^らく 御 一 方 も ございますまい。 あの 



力た、 お さま だい お. 

方が 阿 父 稿の 代から、 すっと 御 住み こなって 、つ f 、 一に T.^.^-.^ の ドラお r p やかた 

い いろ, ろ なぐ J^.^ 户 Z て, > らっしゃ ス。 ニ條 西、 か院 の御屋 形の ま はりに は、 

m ^0fa 摩ぎ ひで ぎ% で こなつ ず、 

f け 御 J ひきばし たも います。 に は ST にーガ まで、 あのぎ i の g あの は 

で、 月に f 吹いて ゐる立 I 子が あつたと ri?v ff だ ,ございました。 

いや、 現に 一時 は S の 名が i かった sir とか 戰る f、 観 こ II すつ 一」、 

ismt iirl ぎに なって、 まがで は辦, f お 

、て さで になる とやら、 sgi の f きん で m おに If になった とやら、 In 

.は:! いと 申す ことで ございます。 この?? など は賺 f とも、 i ぎ 鍵り の 21 かった rr:< で、 

iiufsf ききき に I していら しつた I ございます 

^ Js^-i き rfM^ のま if は 露し いのに I しましても、 y ぎ跗 

f か :2? 涯 を邊 土に 御 送りなさい ますの は、 き g と, おげ るよ あは ございますまい. レ 

h 叉 驟 つて 考 へます と、 これ もき is がない と II はれる のぎ 濃と I る f 、 

御, しかった ので ございます。 私が 一 i^^^^£&\st^Tr-\^ 



5 



門宗邪 ' 157 



たま つ. L-?;! 今ら も - 一し お ほとの ネ ぶ、.:: あかる ひかり おか r や おんまぶ た おも 

に 玉 を 貫いた 燦び やかな 裳の 腰 を、 大殿 油の 明い 光に、 御 輝かせに なりながら、 御 眠 も 重さう に 

か だむ おすが な いっしゃ S わす ,- ■ ^ ^ 

うち 傾いて いらし つた、 あの あでやかな 御 姿 は 一生 忘れ やう も ございますまい。 しかも この 御她 

さま つ 一 きしゃう なみく ご: わつ.^ つ てん;:, やうび と おぼしめ 

様 は御氣 象 も 並々 ならす 御 潤 達で いらっしゃいました から、 なまじ ひな 殿上人な ど は、 思 召しに 

どころ ほんしゃう お み とほ - ごちょう あい ねこ どうわう お なぶ 

かな ふ 所 か、 すぐに 本性 を御昆 透し になって、 とんと 御寵 の 猫 も 同様、 さんざん 御 弄りに なつ 

うへ にど ふた >- お ひざもと 

た. H、 一 一度と 再び 御 膝元 へ もよ せっけない やうに なすつ てし まひました。 

七 

お ひめさま おも ひ か かた, *\ あ ひだ たけとり も C がたり なか 

でございます からこの 御姬樣 に、 想 を 懸けて いらし つた 方々 の 間に は、 まるで竹取物;^^ー1の中に 

を か たくさん なか いちばんお き どく き やつ-. こく さ 

でも ありさうな、 可笑しい ことが 澤山 ございま したが、 中で も 一番 御氣の 毒だった の は 京 極の 左 

だいべん さま かた さ. やう わらん ベ かにす さ だいべん キを あ ほど お いろ くろ 

大辨樣 で、 この 方 は 京 童が 鸦の 左大辨 などと 申し上げた 程、 御 色が 黑ぅ ございま したが、 それ 

にんじゃう か は なかみ かど お ひめ ま こ した ところ かた 

でも やはり 人情に は變り もな く、 中 御門の 御姬樣 を戀ひ 慕って いらっしゃいました。 所が この 方 

お り かう どうじ き 卞 ひ 一.. 一 せ... しつ み いかお ひめさま なつか おぼしめ 

は 御 利 巧 だと 同時に、 氣の 小さい 御 性質だった と 見えまして、 如何に 御姬 様を懷 しく m わ 召しても 

ご b ふん えう おう あ こと もと また ご どうはい かたん ヽ 

御 自分の 方から それと は 御 打ち明け なすった 事 も ございま せんし、 元より 又 御 同輩の 方々 にも、 



00 

5 



つ 11 い! き、 r て、 ,lf ません。 し tliii 

寡み に f ます 事 は、 隠れない まご ざいます から、 奪 それ をぎ して、 f ず i,、、 

C, ^ しな か と-, { - ,~^li=-aHT グ-! ?? 5<3 ^力 

S 換 へき 換 r いろいろと 問 ひ 落さう と r かりにな りました。 すると i が だ 凝ず、 m 

し まぎれの 御 一 策に、 

み 「いや、 ぁれは甸も私が群きけ-てゐるばかりではなぃ。|^は^の,らも、 

見せ:. れ るので、 つ; - ついお |くな るの だ。」 と、 かう I ぎに なりました。 しかも ま を i;, 

i^4£f it^rslt s など を、 あるず た 

い 事 も 皆 一し よに 取つ くろって、 さもぎ 難の が; ,てい らっしゃる やう こ、 S しこ, 

はま:: ま は。 元より 譲 r なま i たち は、 i でい らっしゃりながら、 S 

御! の僞 手紙 を 捲へ て、 折からの ま&か f かにつ けた, それ を s-i の 1- へ f . けこ 

なりました。 

.<1: やうつ J く さ だ 1- べん V- ま と • 2 

こちら 1 京 極の 左大 辦樣 で、 H 事 かとき を, せながら、 ^^ffft g ひも 

よらす 御 i は、 * 何に 左お き 樣を职 ひわび てもとん とつれ なく r てな しになる から、 鍵 か 



な はぬ 戀と あきらめて、 尼法師の 境 .f^ に は ひると rw ふ 事が、 何にも もの 哀れに 書いて ある. では 

お ひめ おも ゆめ お t にめ 

ございま せんか。 まさか さう まで 御姬樣 が、 思 ひつめ てい らっしゃ らうと は、 夢にも 思 召さな か 

つたので ございま すから、 穂の 左 大,. 辨樣は 悲しい とも、 嬉しい ともつ かない 御 心 もちで、 堑くは 

唯,、 茫然と 御文 を 前に ひろげた 儘、 溜 息をついて いらっしゃいました。 が、 は ともあれ、 御 肌 

いま むね .: ハもひ ほど ま& あ お? si しめ 

にか \ つて、 今まで 胸に ひそめて ゐた 想の 程 も 申し上げようと、 かう 思 召した ので ございませう U 

丁度 五月雨の 暮 方で ございま したが、 童子 を 一人 御 伴に 御 つれに なって、 傘 を かざしながら、 ひ 

にで うにし のとう ゐん お や かた さゐ ご もん かた とざ おと た- 1 

そかに ニ條 西洞院 の御屋 形まで 參 ります と、 御門 は 堅く 鈹し てあつて、 いくら 昔な つても 叩いて 

も、 開ける 氣色は ございません。 さう かう する .2: に 夜に なって、 人の 往來も 稀な 築 土路に は、 唯、 

蛙の 聲が 聞え るば かり、 雨 は 益 降りしきって、 御 召 物 も: 儒れ れば、 御 股 も 眩む とま ふ 情;^ い, 次 

第で ございます。 

ほどへ ご もん とびら あ おも へいだ いふ やや- わたくしぐ 。ゐ おい ざむ r ひ 

それが 程經 てから、 御門の 扉が、 やっと 開いた と 思 ひます と、 平 太夫と 申します 私 位の 老 侍 

が、 これ も 同じ やうな 藤の 枝に 御文 を 結んだ の を 渡した なり、 無言で 又、 その 房をぴ たり. と 閉め 



そこで 泣く 泣く 御 立ち 歸り になって、 その 御文 を 11 けて 御覽 になる と、 ,1 首の 古 |g がちら し iv. 

ひとこと ほか お たよ 

きにして ある だけで、 一 一一 一一 c も 外に は 御 便りが ございません。 

おも、 おも い おも te: も 

田丄 へ ども 田. - はすとの み 云 ふなれば いなや 思 はじ 思 ふかひな し 

ノ -^、 、 P ひめさま いた-つ.: す b,AA-ci- ら こ +: . ぐ- ごせう そく からす さ y- 、べん ま -co 

これ は 云 ふまで もな く 御姬樣 が、 惡戲 好きな 若殿原から、 細々 と 御 消息で、 鴉の 左大辨 様の 心 

ご しょうち • 

なし を 御 承知に なって ゐ たので ございます。 

> Z いお, - , なか よ つね ひめ >f み ひ くら お ひめて. ま やう じお- 5 うそ 

力う 御 話し 致します と、 中には ft の 常の 她君 たちに 引き 比べて、 この 御 姬樣の 御行 狀を、 噓の 

お^ M あ, % > . げ/ ざい わたくし -ご ほうこういた わかとの さ.. H -と * を お 

やうに 召す 方 もい らっしゃい ませう が、 現在 私 が 御 奉公 致して ゐる 若殿 様の 事 を 申し上げな 

) > - > そ; 1--...-_と , く は だう り ろ,: くす-う ひやう ばん 

力ら 何も その やうな 1. 仝 事 を さし 加へ よう 道理 は ございません。 その 頃 洛中で 評判だった の は、 

) ^ . ^ひと. A た むし だいお す ながむ し おか * ふし f 

この 祸她樣 ともう 铜 一方、 これ は 蟲が大 御 好きで、 長蟲 まで も 御 飼 ひに なった と 云 ふ、 不忍議 な 

,K 、- あとお ひめさま こと まった よ だん J4: * を 

御她樣 かご ざいました。 この 後の 御 姬樣の 事 は、 全くの 餘談 でございますから、 ここに は^も 申 

ノす, 1,- . ^ ; J » な かど P ひめさ *^に ごり うしん お t お 6, かた た K せ,; - 

し 上け ますまい。 が、 中 御門の 御姬樣 は、 何しろ 御兩 親と も 御隱れ になって、 御屋 形に は 唯、 先 



門宗邪 161 



1 お み V い へいだ いふ かしら おめしつ かひ ~-<ん によ を ,ご せんだい ーノ いう 

刻 御 耳に 入れました 平 太夫 を 頭に して、 御 f^:: 使の 男女が 居ります ばかり、 それに 御先 代から 御 有 

ふく なに? ふじい う し ぜんおう つく ごく わった つ お まか 

福で、 何 御 不自. e も ございませんで したから、 自然 御 美しい のと、 御澗 達な のとに 御 任せな すつ 

ナ ゐぶス よ よ おも 一 ご は うたん ま ね 

て、 隨分壯 を 骨と も 思 はない、 御 放 膽な眞 似 もな すった ので ございます。 

うは さ た やすせ けん お ひめさま ご じ しん じつ せうな ごん さ M きた かた "ほとの ふま あ ひだ 

そこで^ を 立て 易い 世間に は、 この 御姬樣 御自身が、 實は少 納言樣 の 北の方と 大 殿様との 問に 

お う ち 、ぎみ お かく こ > ゐ :ん お ほとの ざま どくがい あそ 

御 生まれな すった ので、 父君の 御 隠れな すった の も、 戀の 遺恨で 大 殿様が 毒 寄 遊ばした の だな ど 

キ: を わから で /、 せうな 一 ごん さま きふ お な おはなし まへ 

と 申す も 出て 來 るので ございませう。 しかし 少納 言樣の 急に 御歿 くな りに なった 御 話 は、 前に 

1 ちおう ま をし あ とほ V. ら し だい うは さ ま を 

ー應申 上げました 通り、 更に その やうな 次第で は ございま せんから、 その 噂 は 申す まで もな く、 

みな あ, V かた うそ わかとの ざま けつ St ど お ひめさま こ. -ろ およ 

呰跡 方の ない 噓 でございます" さもなければ 若殿 樣も、 決して あれ 程まで は 御姬樣 へ、 心 を 御 寄 

せに はなり ますまい。 

なん わた,、 し ひとづて う-けた ま ところ はじ わかと さま はう ご ねっしん お ひめさま かへ 

何でも 私が 人 傅に 承 はりました 所では、 初めはい くら 若殿 様の 方で 御 熱心で も、 御 姬樣は 反つ 

て 誰よりも、 素氣 なく 御 もてなし になった とか 申す 事で ございます。 いや、 それば かり か.、 一度 

わかと G さま お ふみ も あが わたくし 0- ひ からす さ だいべん さま どうやう ご もん とびら お 

など は 若殿 樣の 御文 を 持って 上った 私の 甥に、 あの 鴉の 左 大辨樣 同樣、 どうしても 御門の 1;^ を 御 

開けに ならなかった とかで ございました。 しかも あの 平 太夫が、 何故か 堀川の 御屋 形の もの を 仇 



の やうに "一. に その Eg に、 うら? きが f つて ゐ る,,: If g£l 

して 檢 皮の 狩 衣の 袖 を まくりながら、 きしても M: んを i かう とすお しの,、 

「は、 おのれ は垂人 か。 1 と あれば はせ ぬ。 3 でも に は ひった がま、 f 

が 太刀に かけて、 まつ 二つに 斬って 捨て るぞ。」 と、 r つく やうに f きました。 もし これ,^ がが 

ございましたら、 刃傷沙汰 にも r だで ございまず が、 m はき、 i ばた のおの i 編 f 

げ つけた だけで、 歸 つて 来た あして すました。 かやうな S でございますから、 f りぎ y 

< J "ノ p てもと - へ.. 1 フ-フ lA ■ 

力無 事に 御手 許に きいても、 とんと 御 返事と, もの は聰 t せん。 が、 髓観 は、 yg こそ 

^ も 御 I なく、 一二 曰に あげす、 S やら 霍 やら、 iiil^. ; よそものので 

一.^」 ニスき おつかよ C ^ r ^ 

月 あまり.::^ T 震し になり ました。 されば こそ、 K も g5l り、 「あの i の; 

になって、 拙い 歌 ゃ詩 を 作った の は、 纖 がさせた, や」 に、 がし あ ひはなかった ので ござい 



弋 やう ど ころ 二と . らく す, う ひ \.- り いぎう しゃもん あ、.!: は r. 、 tl- 、 : 

3 丁度 その 頃の 事で ございます。 洛中に 一 人の 異形な 沙門が 現れまして、 とんと 今までに 閱レた 

6 

1 一一と さ: り をし へ * へ を と ュろ はじ いちじ すゐぶんひゃ-f^^^N; 、 Z 二、 , 

事の ない、 摩 利の 敎と 申す もの を 說き弘 め 始めました。 これ も 一時 隨分 評^で ごさい ましん 力ら 

中 に は ぎ 聞ュ? おび の?^ もい らっしゃる 事で ござい ま せう。 よくもの の 草紙な ど に 、 • めお 日: から 犬狗 

ゎヒ ^ ちゃ-つど そつ ど C おき さ き おに つ & レ-ほ んゃ 

が 渡った と 書いて あります の は、 丁度 あの 染 殿の 御 后に 鬼が 憑いた などと 申します 通り、 このお 

門の 事 を譬へ て f ム つたので ございます。 . 

を わた,、 し ャヒ し-もん :. そ C -っ こと ある:^ マ..、, も 

さう 申せば 私が 初めて その 沙門 を 見ました の も、 やはり 其 頃の 事で ございました ^ 或花釁 

、ソ るな か 一て V? なに ようた で かへ し 人せ. i 一ん そと レに , 

りの 日の 晝中 だった かと 存じます が、 何 か 用足しに 出ました 歸 りに、 神 泉苑の 外を迎 りか \ り ま 

-.. 、ぢ * 、 ぼ し H-- てる 一 H し 卞るひ ま iU み だか ぃケ, め がさ 

すと、 あすこの 築 土 を 前にして、 揉 烏帽子 やら, 立 烏 頓子 やら、 或は 又もの 见 い 市 女 笠 やら か、 

. ^卡 .; 「よ こ さぐ じふ こ?" たか たすう, iH 二て たが わらべ キじ みな ひと 力 r 卞り r し や 

數 にして ルそ T 一三 十 人、 中には 竹— 馬に 跨った 童 部 も 交って、 皆 一 塊に なりながら、 篤り 騷 いで 

また ふくとく お ほかみ た、 も C な-る ?と 

ゐ るので ございます。 さて は 又、 一 i 德の大 神に 祟られた 物 狂 ひで も 踊って ゐ るか さもなければ 

ぅノ、 わつ あ ふ あ (つう ど う を すび ど に V ら し 力ん が Z 二、、、 - ) 

迂濶な 近 江 商人が、 <p (盜 人に 荷で も 獲 はれた の だら うと かう 私は考 へました が あまり そび k 

邪 ぎが 仰々 しいので、 何 〈湫 なく から そっと^き こんで 見ます と、 ひも よらす その ぼ 〈中には、 乞 

& .i: す- に. ,.i:,0 ケ , 二 - し ャ り み な によ T さつ がた か、 はた ざ を かた 

r 食の やうな 姿 をした 沙門が、 何か頻 にしゃべ りながら、 見慣れぬ 女菩睡 の畫像 • を褐 げた 旗竿 を片 



164 




手に つき 立てて、 佇んで ゐ るので ございました。 年の 頃 は 彼是 三十に も 近う ごさい ませう か、 色 

くろ め あが いか す さま つら き すみ 

の黑 い、 眼の つり 上った、 如何にも 凄じい 面が まへ で、 着て ゐる もの こそ、 よれよれ になった 墨 

.HJ め ころも うつ ま かた ぅヽ た V, が かみ け ま を く *> じふ もんじ 

染の 法衣で ございま すが、 渦を卷 いて 肩の 上まで 達 れ 下った 髮の 毛と 申し、 頸に かけた 十文字の 

や こ がね y ふ * を もと よ つね ほふし わたくし のぞ 

怪しげな 黄金の 護符と 申し、 元より 世の常の 法師で は ございますまい。 それが、 私の 舰 きました 

とき なが かぜ ち しんせんみ J ん さくら は あたま あ まった にんげん い ちら えいじゅ 

時 は、 流れ 風に 散る 神 泉苑の 櫻の 葉 を 頭から 浴びて、 全く 人間と 云 ふよりも、 あの 羅永簿 〔 

ん て,、 とび つばさ ころも した かく おも ほど あや すがた み 

屬が, 焉の翼 を 法衣の 下に 隱 して ゐ るので はない かと 思 ふ 程、 怪しい 姿に 見う けられました。 

とき わたくし そ, +•! たくま か ぢ なに す ば や わらべ て たけうま 

すると その 時、 私の 側に ゐた、 逞しい 鍛冶 か 何 かが、 素早く 童 部の 手から 竹馬 を ひったくって、 

. ち ざう ぼ V つ てんぐ ぬか か わめ はす あ ひて 

「おのれ、 よくも 地藏 菩薩 を 天狗 だな どと 吐した な。」 と、 嚼 みつく やうに 喚きながら、 斜に相 乎 

おもて う す う しゃもん きみ わるび せう も 

の 面 を 打ち 据 ゑました。 が、 打 たれなが らも、 その 沙門 は、 にやり と氣 味の 惡ぃ 微笑 を;^ らした 

ま. - いよ/.... たか によ ぼ さつ る 1 すがた らくく わ かぜ ひるが へ 

像、 愈 高く 女 菩薩の 畫像を 落花の 風に 飜 して、 

こんじ やう い か えいぐ わ キ 二し てんじゃう くわうて い み をし へ もと いったんめ いしゅう 七 き 

「たと ひ 今生で は、 如何なる 榮華を 極めよう とも、 天上 皇帝の 御敎に 悖る もの は、 一旦 命 終の 時 

およ たち ま あ プ!: : う; わん "つ つ 了、 お ふ だん ごふく わ ひにく や じんみ らい ほ を 

に 及んで、 忽ち 阿鼻叫喚の 地獄に 墮ち、 不斷の 業火に 皮肉 を燒 かれて、 盡未來 まで 吠え 3i5 らう ぞ。 

てんじゃう くわうて い C こ まりしつ ほふし しもと あ めいし-ゆう とき ,を あ す 

まして その 天上 皇帝の 遣され た、 摩 利 信 乃 法師に 笞を當 つる もの は、 命 終の 時と も 申さす、 明 口 



門宗邪 



165 



が 曰に も 諸 天童 子の 現 罰 を 蒙って、 白痴 §身 となり 菜て るぞ よ。」 と、 叱りつ けたで は ございませ 

いき ほ き わたくし もと たう か ;ら しばら た た け うま ほこ ま、 くる 

んか。 この 勢 ひに 氣を 呑まれて、 私 は 元より 當の 鍛冶まで、 暫く は 唯、 竹馬 を戟 にした 儘、 狂 ほ • 

しゃもん ふる *^ ひ ちき み まも を 

しい 沙門の 振舞 を、 呆れて ぢ つと 見守って 居りました。 

わ • つか ま か ぢ . ヰ, たたけ うま なほ 

が、 それ はほんの 僅の 間で、 鍛冶 は 又 竹馬 をと り 直します と、 

「まだ 雜言を やめ 居らぬ か。」 と、 恐ろしい 權 幕で 罵りながら、 矢庭に 沙門へ とびか 、りました。 

も \,ー とき わたくし たれ か ;ち たはう ま あ ひて おもて う r おも 

元より その 時 は 私 はじめ、 誰でも 鍛冶の 竹馬が、 した. -か相 乎の 面 を 打ち 据ゑ たと、 思 はな か 

じっさい またた りう ま ひ や ほ、 ひと ,4 、ナ ばれ ぶレ J 

つた もの は ございません。 いや、 實際又 竹馬 は、 あの 日の 焦け た頗 に、 もう 一す ぢ 蚯^ 腿の 跡 を 

く は よこ う おろ た けう ま あ を V」、 は らくく わ たら 

加へ たやう でございます。 が、 横 なぐりに 打ち 下した 竹馬が、 まだ 靑ぃ I の 葉に 落花 を 11 つたと 

思 ふが 早い か、 いきなり 大地に どうと倒れ たの は、 沙門ではなくて、 肝腎の 鍛冶の 方で ございま 

した。 

へきえき いちどう おも !^げ-,-ーし もみ- <>3 V あ し i,! て. *i ぼし いく ドン 

これに 辟易した 一同 は、 思 はす 逃腰に なった ので ございませう。 揉 烏 隋子も 立 烏帽子 も 意 ハ浙地 



165 



鍛か 阿-: 
冶 ^ 父」 
は さ 
更 g ん 
に し 



る 



'h し 

ず 

―、 
ざ 



b 



フ 



うしろ み しゃも " - 

なく 後 を 見せて、 どっと 沙門の ま はり を氣れ ましたが、 ^ると I5S、 を % つた ii、 11;^ の 

足 もとに のけぞり 返って.、 から はまる で g きみの やうに き f へ も r て 1^ ります。 I ぽ 

は 暫く その 呼吸 をき てゐる やうで ございま したが、 やがて や おし ども あへ: きます と、 

「見られい。 わし の云 うた 街に、 なかった らうな。 8釋 はきに 氍 S を、 

つ る- irJ う L- - „ し 

えぬ 劍で 打た せ 給うた。 まだし も に 萨て、 S にぎ あやさなん だのが、 啦に とつ 

て の 仕 合せ と は, ばな るまい c」 と、 さも g 柄い におし ました。 

と 今- 

すると その 時で ございます。 ひっそりと f 4 つた: の から、 ぎけ, ましい 5^ あ 

た けう. も.'、. く.,' . 

を あげて、 さっき 竹馬 を 持って ゐた if 部が T 人、 i き を i らせ ながら、 i れてゐ あ tj ん IT 

ころ はし よ 、ノ 

〈 轉 がる やうに 走り 寄った の は。 

お A」 つ お 4: 

「阿 父さん。 阿 父さんてば。 よう。 

わ" ベ なんど わり 

童 部 はかう 何度も 喚き ましたが、 — 

た 泡 さへ、 不 ifel りの S に r れて、 f^^^m-fft 

お とつ 

「阿 父さん。 よう。 j 



『"] 宗邪 



167 



「 ,,v ま.: クバ f ,r .0 Au み たち ま につ v. う か と た 

立^!部は又かぅ繰!逸しましたが、 鍛冶が 返事 を しないの を 見る と、 忽ち 血相 を變 へて、 飛び立ち 

り、 て のこ ん」 けう ま りゃうて 1: や し" もん め ド~ へげ, 、 ) , 

ながら、 父の 乎に 殘 つて ゐる 竹馬 を兩 手で つかむ が 早い か、 沙門 を 目が けて 健お にも まっしぐ 

う しゃもん たけ. T ま も -yt す. へた はた ざ を こと はら 

らに 打って かかりました。 が、 沙門 は その 竹馬 を、 持って ゐた畫 像の 旗竿で, ^も なげに 彿 ひな 

また き み わる ゑみ も ゃゾ V に ?ー だ . V. 

がら、 又 あの 氣. 味の 惡ぃ笑 を:^ らします と、 わざと!^ しい 聲を屮 _ して 

力 つ > --ぅ お ぬし て、 おや き う ー な まリ しの はふし ひ, 一 、 ン 

「これ は 相な。 御主の 父親が 氣を 失った の は、 この 摩 利 信 乃 法師が なせる 業で はない ぞ され 

ば わ し を!; めた と て 、 父親が 生き て 返 ら う 次第: ほ ない。」 と、 たしなめる や う に 申しました C 

こうり わらべ つう い しょせん し. 5 もん う あ か. お f つ 

そ の 道^が 童 部に 通じた と 云 ふより は、 所詮 こ の 沙門と 打ち合 つても 勝 て さ う もな 、 と m あ つ 

たからで ございませう。 鍛冶の 小 枠 は i や, ハ度 竹馬 を 振り ま はした 後で、 ベ そを梭 いた! r 往來 P 

まん 屮 へ 立ちす くんで しま ひました。 

十一 

t J. レゥ まふし み *, た ほ V 么 ォにハ ォた i-t さ! W 

摩!::;:; 師 はこれ を 0- ると、 又 にゃにゃ 微笑みながら、 童 部の 傍へ 步 み. よって 

"つ ,i ン ゥ、 わ とし ま りはつ こ お" な を ノ、, - .; ^よてん ど. 一 7 

「さても i:?H は、 聞 分けの よい、 年に は!? した 利發 な子ぢ や。 さう 溫和 しくして 居れば 諸: 



. ク ぬし まど C ョ - 

は 御主に め! r ぎく そこな 父 fs& して P されよう。 わし も. れ から 蓄ず I こ、, 

御主 も わし を S うて、 天上き" の III に 架す がり, たがよ から ぅぞ。」 , 

かう 云 ふと 沙門 は 旗竿 を 大きく 避 SIf 、,のた お』, て、 きげ こま ずれ 

ました。 さう して, をつ ぶった s、 t やら, げな If の やうな もの を、 ■ に rf まし 

たかた えが どの位つ. いた 事で ございませう。 のま はりに^ ぎて、 , のが S なきの 

し 方 を 眺め て ゐ る 私 ども こま、 list? も J フ 4^ こ、 お f . ほど 

t め. ひ. ひ!| tt のの ュも たった かと 田 S れる 程で ございま したが、 やが 

て 沙門!: f S いて、 跪いた な-伸ばした f、 £si のおへ さし かざします と、 f ぎ ^ 

に そ、 顏が、 暖かく 血の 色 を 盛まして、 <$^^.f^. i の 1 だらけ あの? か 

ら 一 しきり 長く 溢れて 參 りました。 



00 

6 



おとつ 、 -v 

「や あ 阿 父さんが、 生き返ったら 



f ^ ^ たげ うま はふ ビ う, J 

Jiff しさう に 和き りして、 0§fi. が、 そ f 

で 抱き起さ at でもな く、 fm.fn fiffk 

ふやうな、 秦 ない 身の こなしで、 life 馬し ました。 すると S はさ も 磨 さう こ、 f 



門宗邪 ' 169 



ノリ ぜん i: あが によ ザ さつ * 一す がた おやこ かしら うへ * ひ \ れ- ノ、 で- 、 

, 心 然と 立ち上って、 あの 女 菩薩の 畫像を 親子の ものの 頭の 上に, 日 を!^ ふ 如く さし 力 さすと • 

rl^rinsn ^いの!: ま 截は、 この?^" i の やうに m お m きぢ や。 何と 信 を 起された か。」 と、 嚴か にか 

ま を 

う 申しました。 

- -.. J 二 -,^ > > だ あ つちう へ うづく ま を しゃもん に -1 りき 

¥ 冶の 子 は^にし つかり 掘き 合 ひながら、 まだ 土の 上に 蹐 つて 居り ましたが, 沙門の 法力の 

一ず ろし さに は、 魂 も i 仝に けし 飛んだ ので ございませう。 女 菩薩の 幢を 化ぎ ますと •、 二人とも 殊勝 

りゃうて あよ ふる らいはい おも にさん にん, 

げな兩 乎 を Am せて、 わな わな 震へ ながら、 禮拜 いたしました。 と ふとっ^いて 二三 人 ま はり 

に t:- つて ゐる私 どもの 中に も、 笠を脫 いだり、 il:^ 帽子 を 直したり して、 畫像 を拜ん だものが 居つ 

ヒ 5- わ たくし なん しゃもん によ ぼ さつ ゑす がた かい かぜ, -%、 ノ-, 

たやう でございます。 唯 私 は 何となく、 その 沙門 や 女 菩薩の 畫 像が、 まるで魔界の^^!に^^メんで 

ゐる やうな、 敦 はしい 氣 が^しました から、 鍛冶が 正氣 に? B つたの を 潮に、 匆々 そ の^を 立ち去. 

つ てし まひました。 

^で ります と、 この の i 敎致 します のが、 震旦から 渡って 參 りました、 あの 

£ り をし ヽ を まりしの ほふし ま を をと こ くに う *^ ノ > % な., い 7!- < ろ-一 - - 

摩 利の 敎と 申す もの ださう で、 摩 利 信 乃 法師. と 申します 男 も、 この 國の 生れ やら 灭ム丄 は^. 71 に 

ひと 仁 一し か い こと なか し-ひた. f • 

人と なつ』」 もの やら、 とんと 確な こと はわから ない と 云 ふ 事で ございました。 中には ヌ 震旦で 



7〉ilx 、 てん XT く -He J t . し 

r 本 r もない、 i の f ら來 た sj 師で、 i こそ あの やうに ま を I- いて ゐ るが、 一 r 謹の 顆 



と り と 



衣が 翼に なって、 八^の の I- へ S るな どと r ,ございま したが、 ずり それ ま 

め もない、 g つたので ございませう。 が、 さやうな i£ はり ましたの も、 0ff 

られ ます 位、 この 摩 利 信 si の £ に は、 いろいろ かった ので ございます。 

十二 



しゃと" します の は、 先づ 第一に 摩 利き か t 師が、 あの i しげき 1bfl^l,、 ,g こ f 1 

f 癒 a た 事で ございます。 瞬が がえ ましたり-ぼ おちましたり、 g が" I きましたり— 

—ヒ數 へ 立" ますの も、 煩 はしい g ,ございま すが、 1^ でも Tf 1 かった^、 mi 

"惱" で ゐ交面 a でで も ございませ うか。 これ &を 摩に かけて、 さ 編; つたと やら 

s^r^ ifi!. なき^れて、 mi&im 

苦 i 惱ん: :居り :r ま、 あの g のま をぎ ますと、 f i に その 鍵が S を If 、 やが 

て 口と も覺 しい 所から 「南無」 と f ,あれる 4 や、 SMK^if?.. 



門宗邪 . 



ざいます。 元より その 位で ございま すから、 狐の 憑き ましたの も、 天狗の 憑き ましたの も、 或は 

* に- なに な し t つみ &. じん つ じふ もんじ -ご J ,^r\ 、 

又、 何とも 名の 知れない、 妖魅 鬼神の 憑き ましたの も、 あの 十文字の 護符 を 頂きます と まるで 

がの 紫 をぎ ふ蟲 が、 大風に でも 振 はれて 落ちる やうに、 すぐさま 落ちて しま ひました。 

J . ^つまん し まふり キ. J ひやう * で- *.>//\J 

が、 摩 利 信 乃 Si 師の Si 力が 評判 < になった の は、 それ だからば かりで は ございません にも^ 

が g 歉で ,がかけ ました やうに、 摩 利の 敎を排 ゆ n したり、 その 信者 を 呵責したり # します と、 あの 

r , に 少\」 - "き r-^x J 1 つ く. こ P ど みう なまぐさ ち しほ か は 

は i ぎに そのず V 、 §k つし い 神罰 を肿り 下しました。 おかげで 井戶の 水が 腿い 血 湖に 變っ 

も だいね いちや - 6^. い なむし く 、-. * > 

たもの も ございま すし、 持ち 田の 稻を 一 夜の 中に 蝗が 食って しまった もの も ございま すか あの 

i IP みこ まクし C まふし こ 乙 おう はう ひとめ み きみ わる びやく.^ い 

in 來 社の 巫女な ど は、 摩 利 信 乃 法師 を 祈り 殺さう とした 應 報で、 一目 見る のさへ (5- 味の 惡ぃ. Eli 

しゃもん ごん? は しん ま を ,つ はさ いっそうた 力 

になって しまった さう でございます。 そこで あの 沙門 は 天狗の 化身 だな どと 申 す^が 1 1^ 古问く 

てんぐ ひとや い み * を , 

なった ので ございませう。 が、 天狗なら ば 一矢に 射てと つて 見せる とか 申して、 わざわざ 鞍-:^ r の 

き; から * 夬 I りました 響師 も、 俩の諸 天童 子の 劍に でも 打 たれた のか、 き& 目が つぶれた 揚句、 しま 

ま り をし へ しんじゃ - を - こ.^、 、 ' : 

ひに は 摩 利の 敎の 信者に なって しまった とか 申す 事で ございました 

さう Ik ふ 勢 ひで ございま すから、 ii を經 るに 從 つて、 信者になる老若^^-女も、 追々 數 を!? して 



參 りました が、 その 又 信者になります に は、 fh^M^^^. : くわん ちゃう し, 

いちど うち f も^て 頭 を 、儒す と 云 ふ、 燕 頂めい 式 がらって. 

そ U, 一度け I い i.v 露藝 にが f fi, う"" ひリ" リ 

こォ はと 私の H けき とで ござ, ますが, 群き,.、 きを f ますと、 ぎ" の,.^ の S 

ほ: S かりが r て 居.:: したから、 ai% これ もや はり 

が 1 は 2 に; lii けて r ので! ました。 f :ns 

1 S 把: 流れようと f まき、 ar^-sl ^ 

棒! I あ if とが g きて、 きない,? ゐ I す"":": 

"く 一に』」 おもしろ み も。 >, 一 沪产と 申す ク) で こさいます から、. 

白い 見物で ございまし たらう。. ( さう fs/,c、:;i-: ま.; - >, : と わす * 

v ほふし はじ し でつ: r さう 云へ は 乂£ に 申し 上け る 事 を 忘れました が、 まぎ 

信 乃 法師 は 始めから、 I 銜ザ g りの ん: y^DC ほ.》 、ち、 ひ t ろば い f つく ぽォ 

,こ? rc 原の ii の,, へ W さ I 張りの 庵 を 造りまして、 そこに 船 g 

たった 一人、 侘しく 住んで ゐ たので ございます。 

十一 一一 

そこでぉ話^^-へ,ますが、 その Kfei ぐ ^ひも よらない; fe-. ら、 ぎ 1 ^ 

'rL 。に 产レ rtlT^ 荨カら 豫て夠 、し を 寄 



2 

7 



門宗邪 



• 173 



なか.!" か-二 お ひめ- ま した お かた こと -.; ^で き. , な- , 

せて いらし つた 屮 御門の 御姬樣 と、 親しい 御 語ら ひ をな さる 事が 御出來 なさる やうに 和 成り まし 

おも こと キ: を はな fe ちまな に ほひ ほと、 ぎす こ ゑ あめ そ; お. f - 

た。 その 思 ひも よらない 事と 申します の は、 もう 花 橘の 勻と 時鳥の 聲 とが 雨 もよ ひの 空 を 想 はせ 

パるょ こと よ め-つら つき で よ め おぼろ ひと かほ み わ 

る、 或 夜の 事で ございま したが、 その 夜 は 珍しく 月が 出て、 夜目に も、 朧げに は 人の 額が: :!^ 分け 

ほど * を わかと G さま あるに ようばう ところ おし G おかへ ,^3、 » ^-^ \. に. iT;^^ y 

られる 程だった と 申します。 若殿 樣は或 女房の 所へ 御 忍びに なった 御 歸り途 で 御 仏の 人數も U 

だ わ-つか ひとり ふたり お もしつ ま、 あか つき なか ゾ ^KJ 14 

立たない やうに、 僅に 一人 か 二人 御 召 連れに なった 儘、 その 明るい 月の 屮を 車で ゆっくりと 御 出 

なに じ こく おそ ひと こ ひとり とほ わ, つらい k とほ だ 、: るへ * 

でに なりました。 が、 何しろ 時刻が 遲 いので、 人っ子 一人 通らない 往來に は、 遠 田の 蚱の聲 と 

くる わ お レー きこ こと V. ぴ び ふくもん そと きつねび ■ も:, .V こ^ -、 ^ 

車の 輪の 音と が 聞え るば かり、 殊に あの 寂しい 美 福 門の 外 は、 よく 狐火の 燃える 所 だ: D に 何と 

き き み せま こ.. -ろな うし あゆ はや き - いた ノ-, - A , V. 

なく 鬼氣が 身に 迫って、 心無い 牛の歩み さへ 早くなる やうな 氣が 致されます。 ,1 - さう ュと 

きふ むか つい V かげ あや し はぶき i いな しらは つき .fat や" - - 、 ナ」 T び^ 

急に 向う の 築 土の 陰で、 怪しい 咳の 聲 がする や 否や、 きらきらと 白刃 を 月に 輝かせて 盜 人と 覺 

ふくめん をと こ さ いう およ ろくし ち にん わか. vC さま くるま め たけ ふ、 お I て . ' 1 ; 

しい 覆面の 男が、 左右から 凡そ 六 七 人、 若殿 様の 車 を 目が けて、 猛々 しく 襲 ひか かりました C 

どうじ -, T しか ひ わらべ はじ お とも ざ ふしき あま こと たまし ひ き おも 

と 同時に 牛 飼の 童 部 を 始め、 御供の 雜色 たち は餘 りの 事に、 魂 も 消える かと 田. - つたので ござ V 

ダ は ,, i さん みだ も 七き はう いっさん にだ 2 ,、 、 ぬ マ 

ませう。 驚 破と 云 ふ 問 もな く、 算を亂 して、 元來た 方へ 一 散に 逃げ出して しま ひました が 

7 と 6 t しき や に は ひとり うし は-つな と わう. d い なか 

人た ち は それに は 目 を くれる 氣色 もな く、 矢庭に 一人が 牛の 韆を 取って、 往來 のまん 中へ びたり 



"、る 一) h と i や ) i つ 

U を f ほ は 一 ? から 鍋の f まて、 ? if ii f 

頭 立った のが 横柄に ま.; ij^ つて、 

「どう ぢゃ。 この 殿に ま は あるまい な。」 と、 のお を f 鲈 きながら、 ff! 

"いず その 容 子が どうも 物盜り とも ずられ ません ので、 li きの: S にも 難觀は IJg 

f れ たの!: マ ざいまず。 それまで ぢっ としてい らしった のが、 lisurf 、 f 

やうに して s ひなさい ますと、 その f その ts^ あに g ^た, して、 

い "おう ( "かと この 殿 ぢゃ。」 と、 しげきへ ました。 すると その f 、 g となく ぎぎ かで 

- ^ 铜 耳に なすった やうで ござ ハま c」 、 つ、 いいい ズほ X ま つ- ミり 

ぬし : ,:d てこ さ. > まし/力ら 怪しく E え 召して、 明るい^の おりに、 その) お 

の 主 を、 吃と S になり ますと、 if F で f ますが、 あの, おの 紺靈こ :3 - 户は 

/:;? ノー, 「、へ, いや "二 さつ ゐ ^街. 1 グ-街 % ^賴に <T 久しく 街 仕 

H ございません。 この 續 lii も、 f If 

つ, な r 恐ろ", いま をな すった, あす, ございました。 i 

夫 力 i^i:::: の 御 一 家 を 仇の やうに ^?ん\!^ ゐる i とま、 P, マ 、 

..-ct ん て.^ ス ね ま.^ 様の 御 耳に もとう から は ひって ゐ たから 

でございます。 力 



門 ズミ邪 • 175 



いや、 現に その 時 も、 平 太夫が さう 答へ ますと、 さっきの 盜人 は,. 一 1^ 聲を 荒げ て、 太刀の:? 先』 

を 若殿 樣の御 胸に 向けながら、 

■r ,、 , の ち ま をし つ C 、 し * 、 を 

「さら ば 御 命 を 申 受けよ うす。」 と 駕 つたと 申す では ございま せんか。 

十四 

レ C もの お クー わ h^. ^r, ...i ゆう キー "つ レ- なほ 

しかし あの 飽くまで も、 物に 御騷 ぎに ならない 若殿 樣は、 すぐに 勇 氣を御 取り^し になって、 

いう/., \- あ ふぎ おもて あそ 

悠々 と ni を 御 弄び なさりながら、 

r:: て。 待て。 予の 命が 欲しく ば、 次第によ つて 吳れて やらぬ もので もない。 が、 その ども は 1 

たん な * ひと/: と お たづ T しら 

何で その やうな もの を 欲しがる のぢ や。」 と、 まるで 人事. の やうに 御 尋ねに なりました。 すると 一如 

ぬすびと し、.: は *に- くお む 4 す-か 

立った 盗人 は、 白刃 を 益 御 胸へ 近づけて、 

なかみ かど iv- な 「んど C I-- れ § も; -.. 一 )- い-.. J , I 

「中 御門の 少納言 殿 は、 誰 故の 御 最期 ぢ や。」 

r 予は誰 やら 知らぬ。 が、 予 でない 事 だけ は、 しかと した 證も ある。」 . 

> と C ち V- き t と〇 かたき ぃハみ 

「殿 か、 殿の 父君 か。 いづれ にしても、 殿 は 仇の 一 味ぢ や。」 . 



頭 立った 一 人が かう 中し ますと、 ^りの ども も の tif で、 

かたき * ち、 、 、 . 

「:! う!: r 仇の) 味 ぢゃ。」 と、 i 勺に,, ました。 おに も あの! rlr をし 一」、 く s: 

の 中 を獸 の やうに 舰 きこみながら、 お で穀疆 がき g& さします と、 

「さか しらは 御 無用 I よ。 それ ま は; pl?4f へお され,。」 と、 鍵 ふやうな 学^た 

さう でございます。 . 

わかとの さ. 一ぶ おひか. H-: ナぉ つまつ . . 

が、 薩樣は 相, 落ち着 I つて、 の 舞の も f ないやう に、 

「して その I? たち は、 ^§:£目ん| のの ちの も P 、。- こ、 お,^ £4t ,t.r 

2, ぴ / ズォ, &,, > 翁.^ の も ク-カ 」 と 拋り Sz す やうに 御 尋ねなさい ました。 す 

ると 盜人 ^ち は 皆 どうした のか、 T しきりき ためらった やうで ございま したが、 その S き 

てと つた 平 太夫 は、 透かさ ffe を § まして、 

1 、 > - まなん 

「さう ちゃ。 それが 又 何とず した o」 

なん . 'た 

r ルゃ、 何とも f ぬが、 もし この にお iKQIm でない ものが ゐ たと,。 その もりこ そ 

^ WO した あ +* 二つ 一 

は 天が下の 阿呆 もの ぢ や。」 

若殿 i はかう S つて、 B い fir- になりながら、 f を t つて S ひに きまし.,。 こ 



7 れに はか 叩 知らす の盜 人た ち も、 暫く は 膽を奪 はれた ので ございませう") 御 胸に 迫って ゐた 太刀先 

7 

] ヒキ- し ぜん くるま そ つきあ か ひ ま ハ,」 

. さへ、 この 時 はもう 自然と、 車の 外の 月明りへ 引かれて ゐたと 中し ますから。 

「^:^. と 巾せ に と、 若殿 樣は首 葉 を御繼 ぎに なって、 r 予を殺 宵した 隨に は、 その, 方 ども は 悉く 

ぎ J 連 使の 目に かかり 次第、 極 跳にば はるべき 奴ば らぢ や。 元より それ も 少納言 殿の^: M: の ものな 

おつ ちう ぎ す い C ち ぶ だ ほん まう V. うん , 

ら、 己が 忠義に 捨 つる 命ぢゃ によって、 定めて 本望に 相違 は あるまい。 が さもない もの. かこの 

A-n ゎづ キ-ん ぎん ま よ み し、—.: は む ) ?: た ) 

屮 にあって、 條か ばかりの 金銀が 欲し さに、 予が 身に 白刃 を 向ける とすれば、 そやつ は 二つと な 

い 大_?^ な 命 を、 その 褒美と 換 へよう す 1:= ネも のぢ や。 何と さう- W ふ近现 では あるまい か。」 

き なすびと いまさら . ^ほ み- あは へいたい?: 

これ を 聞いた 盜人 たち は、 今; の やうに 額 を 見合せ たけ は ひで ございま したが、 平 太夫 だけ は 

獨り、 氣違 ひの やうに 吼り 立って、 

「ええ、 何が 阿呆 もの ぢゃ。 その 阿呆 ものの 太刀に か、 つて、 最 殿を遂 ける 殿の 力が、 W 曆^ も 

阿呆 も のぢ やと は 覺さ れ ぬか ピ 

祁 「,,E- その 方 どもが 阿呆 もの だとな。 では この 中に 小 ノ納言 殿の 齊. 2: でない もの もなる ので あら- リ 

nj \ も .2 おもしろ もゐ みうち . *? 一 /1 - - ヾ.! v,> 

r こ X- よ 一段と 面白うな つて 參 つた。 さらば その 御內 でない もの どもに, ちと 巾し W 力す _5 ^が あ?/。 



8 

7 



その 方 どもが 予を 殺害しょう とする のま、 ^ r し ?と 之 t 

-ミ : i ス 王く 金銀 力, 痨 しさに する 仕事で あらうな。 さて 5;!^ が 

欲しい と あれば、 予は その 方 どもに^ なりと f み;^ お つ 卜 一、 かに まよ 

はう ま の f ,」 ョ. vt^:^ の 爽^ を 取らす であらう。 が、 その;^ り, i 

の 方に も亦頓 みが ある。 M と、^ じお おの こ.. る. は.. つ、 まび、 よ よう み. なや . 

よか f 尸し # 愈の グ おにす る萄 なら、 褒美の 多い 予 のぶに 1^ 对し 一し、 f お 

を 計った がよ いで はない か。」 . fi, 

かとつ ざま おう やう ご び つ 

若殿 樣は窗 M§ こ卸教 .£ ゝ」 r?- フ M 、-、 フ、 ドし ひざ あ ふぎお fei 

お.^ け f ダ なさりな 力ら 指貫の 膝を 扇で 御 叩きに なって、 かう g まの がの ^ども 

と夠談 じに なりました。 f . 



十五 

ぜ よい ど ほ つかまつ 



「次第によ つて は、 赠£ りつ ぬ もので も ございませぬ。」 

恐ろしい 位 ひっそり, 41 ま 4 つて ゐ た!^ が I. ド 1 % . -. 

\^ ^ef 、 frs まんぞく ふソズ そ.^ 4 カレ 頭た つんの 力 牛 恐る恐る かう 御 答 

^ir I 樣 は御滿 足さう に、 はたはたと ,ききら しにな りながら、 I の S な 

御 i 子で 



ちょうで ふ 



「それ は 重疊ぢ や。 ザい - -^. ノ: く iirl, に, ぎ 

n 予 力頼みと 申しても 格 t 刈む、 つかしい 俊で はない。 それ、 そこに f そ 



門宗邪 



. 179 



.KT ノ せ. つな -.. 一ん ど C み つちび と へい. たいふ ま を ち. ミ た ふうぶん キ- およ ,., > 

の 老爺 は、 少納言 殿の 御 :2: 人で、 平 太夫と 申す もので あらう 巷の 風聞に も關き 及ん たか そや 

ひ マろ よ うら t よいの ち 6 J い く はだ いた を 

つ は 日頃 予に 恨み を 含んで、 あはよ くば 予が命 を 奪 はうな どと、 大 それた 企てさへ 致して 居る と 

*i) 二と よう たび けっこう へいだ いふ そ、 か こと ち さ "つ. 

申す ぢゃ。 されば その 方 どもが この度の 結構 も、 平 太夫め に 唆されて、 _3 ^を舉 げたのに 相 遠 あ 

るまい。 —— 」 . . 

「さやう で ござい ます。」 

ぬす.,、 と さんよ にん いら ど ふくめん した ま を あ 

これ は盜 人た ちが 一二 四 人、 一 度に 複 面の から 申し上げました。 

よ たの ま を , .V つやう ぽん おや; ら . ^ら なが わざ は ひ ■ > J 

「そこで 予が齡 みと 申す の は、 その 張 本の 老爺 を搦 めと つて、 長く 禍の 根を斷 ちたいの ちゃか 

なん はう ちから へいだ いふ *rf は ノ 

3: とその 方 どもの 力で、 平 太夫め に繩を かけて はくれ まい か。」 

お/?; r, 二 ぬすび ヒ あま こと しば あ ひだ もき は , ゾ ま 

この 御 仰せに は、 盜人 たち も、 餘 りの 事に 暫 らくの 間 は、 呆れ果て たので ごさい ませう .sr を 

ふ: めん かしら たが ひ めめみ あ ひと, 、 > 、 > ,^ , :— - 、 

めぐって ゐた 覆面の 頭が、 互に 服と 眼 を 見合 はしな がらに 一 しきり ざわざわ,:, こ 動く やうな けに 

*!v- しづ レーつ ぜん, :5.r ぴレ; た t- たか , .^ 

ひが ございま したが、 やがて それが 叉靜 かになります と、 突然 盗人た ちの 唯 中から まるで 夜. お 

な し はが こ ゑ おこ 

の 鳴く やうな、 嗄れた 聲が 起り ました。 

ち さ A- の くちぐ る.; H の をぬ しらは も 

「や ハ、 こ \ な うつ そり どもめ。 まだ^ 臭い この 殿の 口車に 乘 せられ 居って、 祓いた 白刃 を 持て 



180 



XX f, fl ゝ 、ゝ、 きょい した 

めお め 御意に 從 ひまず などと は、 どの,?, たぎぎ ぢゃ。 よしより 

ならば 己れ らがチ は 俳り ぬわ。 ^が この^ 為 1 つ、 . 、 みち 1 を -っ 

* ひ I E^^/ ^ ^ 一. - 太す 力 太刀 は 力り で、 見事 申し ー义 けよう 

も、 瞬く £1 ぢゃ。 I 

言 申す や 否や 平 太夫 は、 :Kf まっかう に ふりかざしながら、 やに はに 靈, ずび..^ ら 

うと ほしました。 が、 その r かえう と ,たのと、 つた S が、 gh^pfL 

一」、 橫 まひ. むすと 組みつ いたのと が、 PS で ございま t すると たち も、 てん 

ほひ 刀 a に を さめて、 まる s-f かの やうに、 i: おから 豪へ 腿り かさました。 ^ 

ろ 多勢に 無勢と IK ひ、 こちら ま is? よりの i;^ とで ござ、 ま, つ、、 cn- しようぶ あらそ 

, さ i うち ;; T "I 一二 こさ 、ます 力ら 力うな つて は 勝負 を爭 ふまで も ご 

ざいません。 忽ちの,^ こ あ ま、 Tc-,^. ま 、 , あ あは な1 つ 

:: ' 。に.,' 岁ク老 き は tip の鞲て ございませう、 有り合せヒけ^^こか丄ノら^-て、 お 

りの 往 据 f れて しま ひました, その f の のきお にましたら、 とんと! £さ も 

かぶた 狐の やうに、 牙ば かりむ あして、 IM らしく? ながら、 4fe えして ゐ たさう で 

i 1 r 、 レヒ、 」| 。 



すると これ を I になった 粒 g き"、 まじりに £T ひに なって 



門 パミ邪 . 181 



レ : : き たいぎ X は 、し ひ とま-つ い i を こと は う 

「おお、 太 tg。 大俄。 それで 予の腹 も 一先 癒えた と, S. す もの ぢゃ。 が、 とてもの に、 その 方 ど 

よ くるま けいご かた ふ、 おいぼれ ひ た モ りか は や かた きゐ,.' ノ 

も は、 予が車 を 警護 旁、 そこな 老!" を 引き立て、 堀川の 屋 形まで 參 つてく れい。」 

.r し J:、 み ^ す プ と い ま さら t を いち ど う そ ろ ざ J, 

かつ g: 有られて 見ます と 盗人た ち も、 今更い やと は. & されません。 そこで 一 问 うち 揃って、 雜 

し t うし お たは なか つ々: よ ある あめ 

色が はりに 牛 を 追 ひながら、 繩っ きを 中に とりまいて、 ::!: 夜に ぞろぞろと 歩き はじめました。 天 

しん 一 ひ 5 ぬすびと お とも お あそ まづ わかと G さ ほか 

が IX- は廣 うご ざいます が、 かやう に盜人 ども を 御供に 御 つれ 遊ばした の は、 先 若殿 様の 外に は ご 

も:^ と 、やう ギ うれつ お や かュ * ゐ ,つち きふ キ. - ^ ォ たくし 

ざいますまい。 尤も この 異様な 行列 も、 御屋 形まで 參 りっかない. £ に、^ を 聞いて 驅 けつけ た 私 

V- あ めん/ \- 「二 はう ぴ い-こで うへ たいさんいた 

どもと 出, t: ひました から、 そ の 場で 面 々 御 褒突を 頂 い た 上、 こ そ こ そ 退散 致し てし まひました。 

十六 

わかとの へいだ いふ おや かた お かへ ま、 : ヒっキ や はし-に I 

さて 若殿 樣は平 太夫 を御屋 形へ つれて 御^りになります と、 その 儘、 御 廐の 柱に く、 りつけ て- 

l.J.i- し 今- み ± お、 --ク てう そう./, \ や:. リ. あさぐ も お にけ さ キ- お め 

雜 たちに 見張り を街チ 、ひつけなさい ましたが、 翌朝 は匆々 あの 老爺 を、 朝曇りの 御 庭先へ 御刀门 

しにな つて、 

へ、 だ i- リ せりな ごん どつ おうらみ はら いた ---- ろ なるほど おろか さつ ゐ 

「こり や 平 太夫、 その 方が 少 納 言 殿の 御 恨を晴 さう と 致す 心がけ は、 成程 愚に は 相違ない が、 さ 



れば とて 又" ; f: 妙と も, して 申さ,^ コ;^ - よぶ、。 お 二う s^」 び -、 ,ふべ めん も。 ^ もう 

よ >- つ- ;:, . さ- -yl.^ はな V 殊に あの 月夜に、 覆面の 者 ども を^り!^" ひて、 

予を 殺害 致さう と f 趣向の i は、 "その ずれと も 11., れぬ if ぢゃ。 が、 1-?. 

り f :: 急所が ようなかった ぞ。 ならばお i あたりの、 雰の t£g にきたかった。 i 

は 夏の 月夜に は、 |らぎの|^が£く|ぇて、 きの i の S く § ひの も と § あ へる # 

や。 1_ -」 れは その 方づれ に、 i む r?? が、 ii& かも きれぬ。 & いて は その i きり、 i な 

のが 目 出たい によって、 ゲん 度ば かり は その!^ の,, てっか I こしょ 

> 户 つ.^ や わかとの さま 、つ £1 - (I し 

力う 仰 有って 若殿 樣は、 ^時 もの やうに と,!^ \5 になりながら、 

「その代り その 方 も、 折角 これまで i つた もの ぢゃ。 §trf slif 

てく れい。 よい か。 しかと 申しつ けた ぞ。」 

わたく I- とき へいだ いふ まくら, r* V. ^ . . 

^ は その 時の 平 太夫の 親 位、 まに も r きもの をぎ & ございません。 あの? の f 

:、 ヤーが めんしよ-、 な わら さ.^: H 判?: d さ 

うな 苦き; つた 面色が、 泣く とも 笑 ふと もっかない かべて、 I ばかり ぎょろぎょろ は 

^ しさう に、 働かせて 居る ので ございます。 すると その が、 ,ながらぎ i にきされ たの 

I で ございませう。 若殿 樣は伊 I 歸 をぎ やめに なると、 ま II を^へ てゐ たま. おこ、 



門宗邪 



183 



「これ、 これ、 永 居 は 平 太夫の 迷惑 ぢゃ。 すぐさま 繩 ni を 許して つか はすが よい。」 と、 難 有い 辨 

きう 

読が ございました。 - 

i こと いちや う ケ.' - 一し 55 み が へ いだい ふ . かとの さ i 

それから 問 もな くの 事で ございます。 一夜の. s: に 腰 さへ 弓の やうに 曲った 平 太夫 は、 若殿 様の 

お ふみ はなた ちぶな え- かた はふ/ \ うら -ご もん に . だ まゐ ところ あ. M また 

御文 をつ けた 花 橘の 枝 を 肩に して、 這々 裏の 御門から 逃げ出して 參 りました。 所が その後から 又 

ひとり /二 もん で わたくし を ひ ざむ らひ まんいちへ いだい ふ お ふみ ぶ れい はたら 

一人、 そっと 御門 を 出ました の は、 私の 甥の 侍で、 これ は 萬 一平 太夫が 御文に 無禮 でも 働いて は 

わか V のさ ま ま を あ み がく おやち あ, M 

ならない と、 若殿 樣 にも 中し 上げす、 見え隠れ にあの 老爺の 跡 をつ けたので ございます。 

ふたり ち ひだ およ と: ろ はんち やつ へいだ いふ き こ、 ろ ゆ, おも 

二人の 問 は 凡その 所、 半 町ば かり も ございましたら うか。 平 太夫 は氣も 心も綏 みはてた かと 3 心 

はだし ちから くもぎ そら 4- きわ かば に ほひ つ いぢ 

ふば かり、 跌足を 力なく ひきす りながら、 まだ 雲 切れの しない 签に柹 若葉の 勻の する、 築 土 つづ 

みや 1 一お Its ある まゐ , ^ち/,.,^ とほ な う をん な けう ふ • つか 

きの 都 大路 を、 とぼとぼと 步 いて 參 ります。 途々 通りち がふ 菜資 りの 女な どが、 稀 有な 文 使 ひだ 

おも うさん かへ み おく おやち 

とで も m 心 ひます のか、 迂 散らしく ふり 返って、 n^. 送る もの も ございま したが、 あの 老爺 はとん と 

それに も nn を くれる f 浙色は ございません。 

てうし まづ なに/にと いちじ わたくし やひ と ちう ひかへ いた 

この 調子なら 先 何事 もなから うと、 一時 は 私の 甥 も 途中から 引き返さ うと 致し ましたが、 よも 

ひ しばら なほ あと した まゐ ちゃう vj あぶ.,: の U うぢ で い さ へ かみ 

やに 引かされて、 暫く は 猶も跡 を 慕って 參 ります と、 丁度 油 小路へ 出ようと 云 ふ、 道 狐の 神の 



4 

8 



の J で、 折から あの 辻 を こちらへ g つ あた、 f れ ない ti- が、 y 门 ひがしら におお 

! りさう になり ました。 参 醜の 寧 ii. それから? m の 1 しい f 、 

-a infff きがつい たさう でございます。 



十七 

あや ふ あた 



危 くつき f さう になった 摩 利;^ si は、 雞に 4 を, ましたが、 

I 一、 ,、 一 r\ ゾ 1- た f がた み まも • ([- i 

て ちっと 平 太夫の 姿 を 見守りました。 が、 ぁり^^、_^ょ VJ レ 1 cr-:.^1L々i: ^^M.^ 

に てんぼみ ち 、-っ ズゾ まシ老 v^=r ,2 とんと それに 頓;; する 容子 もな く、 唯、 

ヒー 二 歩 路を讓っ ただけ で、 とぼとぼと i しい:? み を す。 さて は 1?. り 5 

乃 法師 も、 平 太夫の i な i,、 f^^ffft ^iit^^: 

リて その 似まで 參り ますと、 まだ g& れ たやう に、 まの i の 醇 して、 ,でゐ るお 

MJ つ J< こ,、 \ 9 AJ 力 • 一— ズ,、 けし N.) ま を 

r., & なさし., 如何に 大狗の 化身と は 申しながら、 ぎ も ¥ ,は^はれ ません。 い,、、 ぎ 

て その 眼な ざし こま、 ^:&もり.._^ぉ0^|?、 ミ :、 . な. f だ :: 

h f ず も グ/. *M の, おん レ义 力なくて まるで 淚 ぐんで でも ゐる やうた、 ものお 

しい 潤 ひが きて ゐ るので ございます。 それが i& まへ f をのば した、 まの 豪の f ぎび 



門 ズミ邪 



185 



て、 あの 女 菩薩の 旗竿 を斜に 肩へ あてながら、 しげ しげ 向う を 見送って ゐた 立ち姿の 寂し さは、 

, J し r 、う うす- いちど わたくし ひ しゃもん なつか おも *、 を こと Z 3 

t 一 生の 屮 にたった 一 度、 私の 甥に も あの 沙門 を 懐し く 思 はせ たと か 申す 事で ございました。 

うち わたくし を ひ あしおと おどろ i りし G ほ- -し ゆめ V 

が、 その. s: に 私の 甥の 足音に 驚かされ たので ございませう。 摩 利 倡 乃 法師 は のさめ たやう に 

あ.' た,. ふ む ふ かた 一」 たか あ あや く じ き なに じゅもん 

慌 しく こちら を 振り向き ますと、 急に 片手 を 高く 舉げ て、 怪しい 九 字 を 切りながら、 佃 カ咒文 

くち うち くり かへ そうく ある レ-き じゅもん な y なかみ かど い , 

の やうな もの を 口の に 繰返して、 匆々 歩き はじめました。 その 時の 咒 文の 巾に, 屮 街^と 云- - 

一-七 ズ 々-こ ま を こと わたくし を ひ み 1 

やうな: 近 S が閱 えたと 巾し ますが、 それ は 事によると 私の 甥の. 斗の せゐ だった かも わかりません。 

もと あ ひだ へ 1 だいふ はう はなた にばな えだ かた わきめ し >vV く ある ま I 

元より その 間 も 平 太夫の は、 やはり 花 橘の 枝 を 肩に して、 側 nz も ふらす 怕々 と步 いて 參 つた" 

また わたくし や-ひ み が,/ あと にしのと,!;;; < ^ん .^1 や-か,^ 、 

でございます。 そこで 乂 私 の 甥 も、 a え 隱れに その 跡 をつ けて、 とうとう 西、,^ 院の P 屋形 まで 

i J とき まりし C ほふし ふ し ぎ ふるま ひ き わかと さま P ふみ 

參っ たさう でございますが、 時に あの 摩 利 信 乃 法師の 不思議な 板 舞が (湫 になって、 t お 殿様の 御文 

の i さへ、 はて は 忘れさう になった 位、 落着かない 心 もちに 苦しめられた とか 中して 居りました * 

しかし その 御文 は S 心 く、 御姬 様の I: 手 もとまで とどいた ものと 見えまして、 珍しく も 今度に 

かぎ V つ そく,, へんじ わたくし レも. ぐ なん たしか こ.^ も を , あ: ^% 

限って 早 f# 返事が ございました。 これ は 私 ども 下々 に は、 何とも 確な 事 は 申し 丄げ る: に參り 

おそ I. 二 しようち とほ |/、 わった つ お ひめ, -.. ま こと _ へ, い V (て- 1. . ^-J/^ ) 

ません が、 S らく は 御 承知の 通り 御澗 達な 御姬 様の 事で ございま すから 平 太夫から あの 暗 討てつ 



186 



の t でも 御 聞きに なって、 i 灣 のま 襲のお に, てい らっしゃ るの を、 fp^ 

.っ!^かき1も!1はま!?か。 それ かき ■、 1^110% とうと あ 

§1 夜、 4ikf もう 薄 lgl、 lis へ g 

んて简 通 ひになる 事に なりました。 かう までつ ご^ ばピ ,, ほ が を 

/ ま マオ \ニ05 ^ますと あの 平 太夫 も 流 h に 我が 斤 e., こ c\ 

r、 I や- V ヽー ょナ 申-^ 、/一, YTT y JJ >/ ^ 

r さレ: m その 夜 も ,くき ひそめて はずまし たが、 わ, i に g ひましても、 1^ 

言な ど を 申す 勢 ひはなかった さう でございます。 . - 



十八 

: わかとの さま ミ と/や y わ ?ヒ - D I 

"御 J に 御 1 になった 事が ございました。 わ めて あのぎ ■ の、 f いやう IF を 

拜 1 事が 出來 ましたの も、 さき ふずし の, ござ, ます。 fkf.0§ 

く 御 呼びよ せな さりながら、 Mfmp&ffmfl. € その 

で ございませう。 iifff さわやか なぎ!^ がぎ ちて、 ff 



門:^ お 邪 • は 7 



た 藤の 勻 がかす かに 漂って 來る やうな 夜で ございま したが、 その 涼しい 夜氣の 中に、 一人 二人の 

よう f う ほべ しうか お ?ハ もり お ふたかた うつく やま. V 

女房 を 御 俘ら せに なって、 もの 靜に 御酒 盛 をな すって いらっしゃる 御 二方の 美し さは、 まるで 後 

ぎの ^ からで も、 拔け 出して いらし つた やうで ございました。 殊に 白い 單衣 襲に 簿 の 桂 を?^ "し 

お ひめさ. きょ かぐや りめ . ^卜 おと L た 

た 御姬樣 の淸ら かさ は、 を さ を さあの 赫夜姬 にも 御 劣りに なり は 致しますまい 

うち y しゅき ザん わかとの さま お ひめ ざま はう お むか 

その に 御酒 機嫌の 若殿 樣が、 ふと 御 姬樣の 方へ 御 向 ひな さりながら 

ま ぢ 1 ま を 七 ま せま らくちう さう かい へん たび せ 寸-ん いっさい ほふ とほ 

「ャも 爺の 申した 通り、 この 狭い 洛中で さへ、 桑海の 變は 度々 あった。 f 間 一切の 法 は その 通り 

. ^一 せ めつ せんりう .4>- つ な ^^ゅぅ ま を こと むじ やうき やう いまだ か つてい ちじの むじ やうに の.^ れざる は あ 

$ だえ す 生滅 遷 流して、 刹那 も 住すと 申す 事 はない。 されば 無常 經 にも 『未 W 曾. i^s 一 事不レ 被:: 無常 

,す 一』 と說 かせられた。 恐らく はわれら が戀 も、 この 投 ばかり は 逃れられまい。 唯^ 時 3i まって き 

つ を ± よ き じ乂 うだん おっしゃ お ひめ. -ま 

時 iS るか、 予が氣 がかり なの は それだけ ぢ や。」 と、 冗談の やうに 仰 有い ますと. 御歡様 はとん と 

す お ほと © あぶら あか ひかり お; -7 » 

拗ねた やうに、 大殿 油の 明るい 光 を わざと 御 避けに なりながら, 

「まあ、 憎らしい 事ば かり 仰 有い ます。 ではもう 始めから 私 を、 御 捨てになる & 、七算 で ございま 

やさ わかとの さま お にら わかとの さま ますく 「一 き t,^^ . p;^ き ほ 一 

すか。」 と、 優しく 若殿 樣を御 睨みな. さいました。 が、 若殿 樣は 益 御機嫌よ く 御 盃を祸 干しに 

なって、 



3 

00 



「いや、 そ f よ-も 始めから、 ぎ」 られ る? ぎ f と, た,、 0^f^^i 

しい やうに ま 乙る。 I 



なぶ おそ 



一 たんと 铜 弄り, 遊ばし まし。」 

お めざ ま おつし わ、 . 、ち-, „ 

.^姬樣 はかう 仰 有って、 一度 は 愛 くるしく 露 ひに なりました が、 

う つと りと 服 を 御 やりに なつ て、 

n",: の戀と 申す もの は、 i その やうに 1 ない もので ございませう か。」, こ、. F おの T 

に 仰 有い ました。 すると 賺 き if の,、 i いい て、 S ひこな りな f 、 

「はば はなくな いと" 中され まな。 が、 おら:^, が i の靈も f はてて、 1^^ 

のき を暫 したりと も 味 はふの は、 哞 i をして ゐる, け ぢゃ。 いや、 その 磨け ま f gl^ 

忘:: てゐ ると 申して I い。 I によって ず i から は、 igs に ri つた 霸 こそ、 

ほ 晴知識ぢゃ いかわれ らも ま, 爵、 をお つて、 ド Irs う あに Ir に はぎ if そ, まぶ 

f する より 外 は あるまい。 何と *f さう は g はれぬ か。」 と、 まひから ぎ繼 のぎ i を, 

きにな ケ ました。 



十九 

二 ひ く どく せん * へんむ りゃう * を 

「されば 戀 の功德 こそ、 干 萬 無量と も 申して よから う。」 

わか. VOV: ま は-つか おめ お ふ ,3, ひめ づェ ► わ」 ノし ^う : ^.u^-^, - ) - 

やがて 若殿 樣は、 恥し さう に 御 服 を 御 伏せに なった 御姬樣 から 私の 力へ 陶然と なすった 街 

な * お む 

額 を 御 向けに なって、 

な,) つ 1 おも もつ A 一 はう : ひ ま を かう ぶつ ャ * け 

「化と、 爺 もさう 思 ふで あらうな。 尤も その 方に は 戀 と は 申さぬ。 が、 好物の 酒で はどう ぢ や。」 

「いえ、 却々 持ちまして、 手前 は 後生が 恐ろしう ございます。」 

ク-ノ 、し しらが か あわ お こた ま を わかと い.、 - ごま またはれ ふ \ お わら 

;^#が,£1:髮を搔きながら、 慌てて かう 御 答へ 申します と、 若殿 樣は 叉晴々 と 御 笑 ひに なって、 

こ」 一 な こ い でし やう おそ *^ を ひ がん わう じ やう おも こ- -ろ 

「いや、 その 答へ が より ぢ や.。 爺 は 後生が 恐ろしい と 申す が、 彼-: がに 往生せ うと ふ 心 は、 そ 

あんや 七 もし プ たの よ わ じ やう 0h/ おも :v ろ 力 は 

れ を 暗夜の 燈火 とも 頼んで 、 この f の 無常 を 忘 れ よ う と 思 ふ 心に は變り はない ぢ や に よ つ て そ 

まう しぐ くけ-つ >-ひ さ, T ん しょせん よ どうしん キ-は 

の 方 も、 .釋 敎と戀 との 相違 こそ あれ、 所詮 は予 と: M 心に 極まった ぞ。」 

また C つ V. う たる ほどお ひめ ふ i おうつ く ぎ いてんに よ およ ほど にに.. に^- 

「これ は乂減 相な。 成程 御 姬樣の 御 美し さは、 伎藝: 大女 も 及ばぬ 程で は ございます 力 は^ 

にやくけ う しゃ N 、ケぅ V うぶつ -, 二. しゅ ひと ぎ は お; を 

は 釋敎、 まして 好物の 御酒な どと、 一 つ 際に は 申せ ませぬ。」 



を 忘れさせる 愧 儡の 類 ひに I かならぬ。 I 」 , 

わかとの さま お ひ i . 

力う 若殿 様が 御 云 ひ? になる と、 fsm&!. il^ff! 



力ら、 

をな/. 



をな 「二 く t 'つ .- や 

き:: 享が 5^! は、 嫌 I と^は, ませぬ か。」 と、 ? さなぎ, きいました。 

「傀 で惡 くば、 佛 菩薩と も 申さう か ノー , 

わ 力との M ま ぃキほ S へ :ン 

T 右 殿様 は 勢 ひよく、 かう 御 返事 をなさい ましたが、 と f か ひ i- - フこ、 、 フ 

お ほと。 あま ミ か, , 一ら" / - f 力ず ほん こ ひしな す つん やうに、 ちつ 

と 大殿油 の 火影 を 御覽に なると、 

「^ カル ひが はらま さ ひら し,., 一し まじ. H ころ 

N 曰 あの I 雅 平と 親う きて ゐた 頃に も、 度^-このゃぅな霊をぼ^せた, ぎ P 

は: r が; f!- は!: と 鶴って: lit されば" が 

^ は 金口の 御 經も、 ききと 歡ぢ やと 襲 ふ § に? ぎて、 羅£ と は f がず やと、 

,惡し ざまに if 居った。 その乾さへまだ^^にぁるが、|^の8!.4:^^ .^れぬ。ー,、 rr, 

し. つ お こも おも -, つ J 3 fvl: ク/ 」 と や t£ に 

なく 沈んだ 御聲 でもの 恩 はしげ に!^!? なさ、 まノ こ。,^ :3_.-^7:r す 一 - い 

ト, さ, K さ. え すると その 御容 子に ひき 入れられた のか、 



h' 宗邪 . 191 



4i ら ち ひだ ひめ ざま はじ わたくし くちつ ぐ おへ や なか ふぢ はな に ほつ 

暫くの 問 は 御 姬樣を 始め、 私まで も 口 を 襟んで、 しんとした 御 部屋の 中には 藤の 花の 勻 ばかり 力 

、あだん たか おも お しら おも - 

一段と 高くな つた やうに 思 はれまし たが、 それ を 御座が 白けた とで も、 m 心った ので ごさい ませう: 

にょうば つ ひとり おそ おそ 

女房た ちの 一 人が 恐る恐る、 

つろ らくち.' まや まり をし へ ま を むじ やう わす あたら は 「へん 

「では、 この頃 洛中に 流行ります 摩 利の 敎 とやら 申す の も、 やはり 無常 を 忘れさせる 新しい 方便 

おはなし くさ ゾ い ひとり にょうば う 

なので ございませう。」 と、 御 話の 換を 人れ ますと、 もう 一人の,^ -房 も、 

ま を をし へ と ある しゃもん もや ひやう ばん 、 

「さう 申せば あの 敎を說 いて 歩きます 沙門に は、 いろいろ 怪しい 評判が ある やうで ごさいません 

き み わる ま を お ほと G あぶら とうしん かきに , 3 

か。」 と、 さも 祭味惡 さう に 申しながら、 大殿 油の 燈心を わざとら しく 搔立 てました 

二十 

なに i り をし へ まため-つら をし へ • 

「何、 摩 利の 敎。 それ は乂 珍しい 敎が ある もの ぢ や。」 . 

なに おかんが ふび わかと さ i おも だ おさか-つ > .„5J あ;, . * - - 

何 か御考 へに 耽って いらし つた 若殿 樣は、 思 ひ 出した やうに、 御盃 を御舉 けになる と その 女 

M うはう J, 二らん , . 

房の 方 を御覽 になって、 

*ム り ま を i りし てん まつ をし へ • 

「摩 利と 申す から は、 摩利支天 を 祭る 敎のゃ うぢ やな。」 , 



2 

9 



: 〔いえ、 摩利支天なら よろしう ございま すが、 その, 養 は、 fi^fkt 

でございます。」 

「では、 iKT ぁ&, あった、 fpfff3 

r --、 ォ たい、 し せ- ん じっしん せん *S し そと み 

. こ ^先" 神 泉苑 の 外で 見かけました、 ilnsL^Lrxt. 

では、 茉利 * おと やらの やうで も ございませぬ。 いや、 それより はこれ まで, 

と レー 佛者薩 に 街 像に も、 以て マ 、, り つ-」 ご r - 、 uch o - > .f, ゆ は卞" か を さき い.,.】 や- 

- 「-リ f _ グ户 レレ 二」 こさ,, ます £ ^して あの 赤裸の 幼子 を 抱いて:^:: るけ うと 

. さ 2〔 ,肉 を 食む 女 夜叉の やう だ! ませう か。 ぎ に は if い、 じ, 

の佛に 相違 ございますまい。」 と、 まき; ますと、 ^観 は g いい ■ を そっと r 

そめに なりながら、 

お 「さう して If fir やね, &、 鍵, の £ の やうに f たさうな。」 と、 f 

押す やうに 御 尋ねなさい ました。 

「さやう でございます。 き はとん とおの r ああから でも、 „ つ あてぎ やうで. 

ございま すが、 よも や この 洛中に、 鎮 さやう 41^ のま: |き| す f ございますまい ピ 



PI 杂祁 



わか. V C V, ま ま たもと さ え fr\ おわら ひ 一, - 一 ろん 

すると 若殿 樣は乂 元の やうに、 冴々 した 御笑聲 で、 

なん * を げん えんぎ ^ かど な よ ご でう かき こす ゑ な C か あ ひだ てんぐ 

「いや、 何とも 申されぬ。 現に 延 言:: の 御門の 御代に は、 五條 あたりの 柹の 稍に、 七 R の 間 天狗が 

、ほとけ かたち びやく;, いうく わう はな またぶ r げんじ に-.? せう あ ざ り ひ 一 ごと りょう .V ゐ 

御佛の 形と なって、 白 一 f 光 を 放った と ある。 又佛眼 寺の 仁 照 阿 閣梨を 日毎に 凌 じに 參 つたの も、 

がた をん な み ヒっ てんぐ 

姿 は 女と iw- えたが 實は 天狗 ぢ や。」 

_ み わる こと おっしゃ 

「まあ、 ハ湫 味の., -ぃ isi- を 仰 有い ます。」 

お ひめ ざま もと ふたり にょうば う いちど い かさね そで あは わかとの さま いぶ fcfi 

御 姬樣は 元より、 二人の 女房 も、 一度に かう:. ム つて、 襲の 袖 を 合せ ましたが、 ^殿様 は 愈 御 

し § き げん お .f ほ おや はら 

酒 機嫌 の 御 額 を 御 和げ になって、 、 

さズ ぜんせ かい もと くわう だいむ へん ゎづい にんげん .r- ゑ ま を 一-と ひと 

「三 干 I 界は 元より 廣 大無邊 ぢゃ。 ばかりの 人 問の 智慧で、 ない と 巾され る は 一 つもない。 

しゃもん ば ごんぐ や かた ひめぎみ I 一、 ろ か あるよ は ふ そら 

たと へば その 沙門に 化けた 天狗が、 この屋形の姬1_^;に心を懸けて、 或 夜 ひそかに 破風の { や: から、 

爪 だらけの を さしのべよう も、 全くない 事ぢ やと は 誰も へぬ) が、 —— 」 と 仰 有りながら、 

ほ とん い-つ お .1^ は おそ およ お ひめ? ま r.' ちぎ 6- 

殆ど 色 も御變 りに ならない ばかり、 恐ろしげ に 御 寄り そ ひに なった 御 姬樣の 桂の 北 = を、 やさしく 

御 さすり になりながら、 

i りし C ほふし さ". は ひ ひめぎみ すがた かい ま み --と , つ 

「が、 まだ その 摩 利 信 乃 法師と やら は、 幸、 姬 君の 姿 さへ 垣 問 見た 事 もないで あらう。 先、 それ 



4 

9 



_^1fs、 成就す るず ま はよ も ある ま。 されば もう そまう に、 fl 

大丈夫 ぢゃ。」 と、 まるで 子供 を あやす やうに、 i つて 震め なさい ました。 



I 十 

*u とっき キ、 を 



に: 一:: S か::? す r の は、 きもな くす ぎました が、 やがて f£ りの 群の 與、 

ざいます。 ふだんから 釣の f &s は、 t-i の i の,, まして、 0^ff^L 

ながら、 ここば か-は 涼風の 通 ふの &ど、 蕩 のまった f に f ずて、 ^^£?f 

ま iri と 71 の 上の 櫬 干で、 どうも r た の ある やうな i し ますから、 , 

^ひ H 眺め 孝と、 そこに は あの 豪が; SI? ひながら、 赚ゼに f よせかけて、 ^のま 

利 信 乃 法師と T しょに、 £なく1^^か||して铲 ではござぃませんか。 

れを 見ます お S は ilsl き f けた、 f き がふと; - 

に 浮びました。 さ 基へば あの i も、 どうやら n:< の if 、 f があった やうで も ある。 I 



h 宗邪 • 195 



わたくし を ひ おも めいと はう み.^ はしう へ ぷ たり けなし キ. - 

かう 私の 甥 は 思 ひました から、 服 は絲の 方へ やって ゐて も、 耳 は 橋の 上の 二人の 話 を、 ぢ つと M 

f を むか ひと ど ほ 1 とん と だ ひ ざ か さび こ-ろ ^る 

き 澄まして 居ります と、 向う は 人通り も 殆ど 途絕 えた、 日盛りの 寂し さに 心 を 許した ので ござい 

わたくし を ひ を こと さら き よ, つす おも だい こと な 

ませう。 私の!; の 居る 事 なぞに は、 更に 氣 のつ く容子 もな く、 思 ひも よらない、 大 それた 事 を 話 

し 合って 居る ので ございます。 * 

さま ま り をし へ お ひろ ひろ らく う V- れひ とり ぞん 

「あなた 様が この 摩 利の 敎を 御擴 めに なって いらっしゃらう などと は、 この 廣ぃ洛 巾で 誰 一 人存 

を わたくし ざま ごじ ぶん おっしゃ おみ 

じて 居る もの は ございますまい。 私で さへ あなた 樣が 街自ハ 刃で さう 仰 有る まで は、 どこかで 御 

まや! おも ぉぽ またかん が み もリと 

かけ 申した と は 思 ひながら、 とんと 覺ぇ がご ざいませんでした。 それ も亦考 へて 見れば、 尤もな 

しだ- いつ はる つきよ ざ-、. 1: びと きょく お うた お としわか さま 

次第で ございます。 何時ぞやの 春の 月夜に 樱 人の 曲 を 御 諮 ひに なった、 あの 御 年若な あなた 様と、 

た V いま えんてん は., お ちる りよぐ わい てんぐ み すぶ *- 

唯今 かう して 炎天に 裸で 御步 きになって いらっしゃる、 慮外ながら 天狗の やうな、 見る の も^じ 

r.i おな かた うち ふし みこき み 

い あなた 様と、 同じ 方で いらっしゃ らうと は、 あの 打 伏の 巫子に 閱 いて 見ても..' わからな いのに 

相 遠 ございません。」 , 

へい., こい ふ くちがる あ" ぎ おと いつ ま を まりしの モ ふし * た レー Cmv ま 

かう 平 太夫が ロ輕 く、 扇の 音と 一し よに 申します と、 摩 利 信 乃 法師 はまる で 又.' どこの 殿様 か 

うたが お-つやう 二とば 

と 疑 はれる、 磨 揚な言 つきで、 • 



196 



r1 も そ s に會 つた り も, ぢゃ。 fi^iir. ちら 

と _ ^かけた 事が あつたが、 そのき ふらす、 fiirit も 

の 思 はしげ にた どた どと i の" おいてき た。」 

「"""で ござ ひます か。 ipfi 鍵な f ,たもので ございます。, 

:| 太 朝 ^事まひ 出した ので ございま 有 齊 しげに かう おしまし たが、 やが g 

の 好い 扇の 昔が、 ;冉び はたはたと 孰し ますと、 



「ノ. J , こズ にち,: C ;0 

一 し 力し 力う してべ /コ 卸艮こ ハハ しこ 3 お、 .71 た ドム Q 卢ら > く f んザ おん ぼ ま "一 り r< 

へい, い. ,?「街?カカ1のは 全く 淸水サの觀世 昔蕭の 御 利 でで も ございませ 

う。 平 太夫 一生の 內に、 これ, い は ございません。」 



t1 前で 神き 名 は ,まい。 S ながら、 ^^iisx. おがのお 

に摩^1^の敎を布かぅと致す沙門,の,ぢゃ。」 



キ-ふ */ ゆ 

急に きひ そめたら しいけ は ひで、 tis^ 



門 ま 邪 . 197 



つた, id もた く、 扇 と 古と M じ やうに 倒 かせながら、 

よる 一 t ど へ 、だ , " ち.^ -, --ろ お 、ふ 入 み こシ な --と 

「成^ さやう で ございま したな。 平 太夫 も 近頃 はめつき り老! f れ たと Hi えまして、 する 事爲す 事- 

- . t . ど い しだい さま お まへ に ど しんぶつ 

悉く 落度ば かりで ございます。 いや、 さう 云 ふ 次第なら もうあな た樣の 街^で は、 一 一度と;^^ の 

み ,u くち ノこ もっと ひ -,. ろ おや r.- あま しんじんぎ はう 

御名はロに$_^^ますまぃ。 尤も 日頃 はこの 老爺 も、 餘り 信心 (CH などと 申す ものが ある 方で は ござ 

た 4- いまや ふ くわん ぜ おん?, i さつ C た . "つた ひさ , ft 

いません。 それ を 唯今. に、 觀世昔 菩薩な どと 述べ立て ましたの は 全く 久しぶりで 御 nl にか \ 

ま を ひめぎ ケ を さなな じみ さま ご ぶ じ 

つたの が、 嬉しかった からで ございます, - さう 申せば 姬君 も、 幼馴染の あなた 樣が御 無^で いら 

お T およろ 二 一一 ヒ , , ..i-! くし 

つし やる と 御 聞きに なったら、 どんなに か 御喜び になる 察で ございませう」 と、 ュ だん^ どもに 

r か / んじ めん だ う くちおもよう す う か は い き ほ ベ ん た 

向って は、 返 is?- をす るの も 面倒 さうな、 口の 重い 容 子と は 打って 變 つて、 勢 ひよく、 ほじ 力て ま 

もりし Q ほふし へんじ しばら う つ 、 , 

した。 これにはぁの摩利;::^乃法師も、 返事の しゃう さへ なさ さう に 暫く は 唯 額いて ば 力り ゐる 

ひめ ざみ い ことばし ほ 

やうで ござ いました が、 やがて その 姬 君と 云 ふ 言 を機會 に、 

ひんぎ つ よ いさ、 ム つく ぎょい えし さい い • いちだ.^ *- た 

「さて その 姬 君に 就いて おやが、 予は 聊か 密々 に 御意 得たい 仔細が ある。」 と 云って 一段と 乂 

こ. 05 

聲を ひそめながら、 

なん へ VV- いふ はう +f 'から やぶん おめ • , „ . 

「.ra と 平 太夫、 その 方の 力で 夜分な りと、 御 目に か." ら せて はくれ まい か。」 



198 



と:? 時 ま 上で は、 きき 一, きんで しま ひました。 そやき", f S 

干の 方 を 見上げよう あしまし たが、 g よ,, 讓な纖 をして は、 こ. に i んでゐ おが, さ 

れ ない でも ございません。 そこで やはり のお を, て の た, f 

か" に 上の 容 子へ 氣を くばって 居りました。 が、 彦は專 の歸に へて、, に" 

I きません。 その sll さねし ましたら、 i の に は、 霸が i が g にむ づ f 

なった 位、. 待ち遠しかった さう でございます。 • 



か はら */ を よ . 

「たと ひ 河原と は 中しながら、 予 もが 5: にぎ ふ もの I. 爾 あが この ■、. ぎぎ もと、 

しげしげと、 通 はるる 趣 も 知って は s« る。 ! I 一 

また ま りし つ まふ \ fc^ > ^ 

やがて 又 摩 利 信 乃 Si 師は、 き i もの ijfe で、 Efc の やうに ぐと、 

» よ で :9 ぎみ こ. ひ ぎよ > え f 

一力 ^-:^#君が戀しぅて、 御意 得たい と 申す ので はない C ,の!^ に: g^x:;:5^、 ひ f-§t--:.e こ 

喜" つ 一へ、 a 霞の ら、 て賺 i を とお 〔に、 1 びて し l「i、 

予が胸 を痛1 の は、 あの 玉の やうな if 、 -§^mnfif 

や。 されば神と^?佛と? ,^蒙^の,徵斷せられて、 その if ぞら へた も f を 



門宗邪 



199 



? X め、 し: S う ご G ョ えいご ふき W _ --; ひ や たま 

供 へられる。 かくて はやが て 命 t 終の 期に 臨んで、 永劫 消えぬ 地獄の 火に 燒 かれ 給 ふに^ 遠ない。 

よ こと おも たび あ び..: いじ やう やみ ?こ さかお と お 4 でぷ rf; 一み tvr 

予は その 事 を m 心 ふ 度に、 阿鼻大 城の 暗の 底へ 逆落しに 落ちさ せらる. -、 あえかな 姬 君の 姿 さへ あ 

めう か く げん f パ - 

り ありと 陽に 浮んで 來 るの ぢゃ。 現に 昨夜 も。 i .」 

- l-g- もん かんが、 -, 二 しだい す, から --も き くち しばら あ ひだ 

かう? ム ひかけ て、 あの 沙門 はさ も 感慨に 堪 へない らしく、 次第に 力の 龍って 來たロ を 暫くの 問 

とざしました。 

二十 三 

「昨晩、 何 かあつた ので ございま すか。」 

まどへ へ 、ふ しんば ノ あ ひ 一」 ことば ?: が まりし 〇 ほふし / われ 力). ク - ? 

^經て 平 I 大 r 夫が、 心配 さう に、 かう 相手の 言 を 促します と、 摩 利 乃 法師 はュと 我に 返った や 

またもと しづか こ-^ ひとこと ごと あ ひだ お 

うに、 又 元の 靜 な 聲で、 一言 毎に 問 を 置きながら、 

な こ を ほど し V,- ... よ ゆうべ 二 も なか ひと 

「いや、 ^もあった と 中す 程の 仔細 はない。 が、 予は 昨夜 も あの 菰 だれの 中で、 獨 りうとう とと 

ねむ を やなぎ いつ ぎぬ き ひめぎみ すがた ゆめ よ まくら , 4 ゆ ン,, r- .,-,--マ-、 ^ V こ,t:I*-^.^ 、- 

眠って 居る と、 柳の 五つ 衣 を 着た 姬 君の 姿が、 夢に 予の枕 もとへ 歩み よられた 現と 3_ ジ-ん 

ひ ,? ろ くろ 卜み ,^ぅろぅ けぶ なか こ がね さいし あや ひかり 1^ な V- . 

は、 日.^^っゃゃかな黑髮が、 朦朧と 煙った 中に、 黄金の 釵 子が 怪しげな 光 を 放って 居った だけち 



.、^;.1:?"ぃ5面|:;!,、『ょ2」ぁ|れた』丄|をかけたが、蟹は||しげな 

えて 2 前;; れ秦、 きさへ せらる あ a はない。 f 

ら? ゐ:: まま I。 そ If ま > よきき て、 f f 、 t 

にも 居る。 中には 癒の¥ にゐ て、 えせ f ふらしい もの もあった。 —一 /f a 

「と 仰 J つた ださ は f I んが、 rif がぎた, でございます。」 

とき 广 >. で ,-,\ , \ .> し 

こ.;: 上寸 -Hull, て- ク、 l^r 、一-、 ^ -. しゃもん てうし つ 一- 一 

、」 ジ ck u:^.f^TK も £」 十 クチ f ^、つ 4k.A\HJ J 一 - - P - 

ね - こわ ソ.. ,ジら す、 汐 r ク酽 子に 釣り込まれて しまったので ございませう。 かう 

ir おました 聲 ざまに は、 もうさつ き す^つ こ its k を ^-, 

ほふし , きの つん 勢 ひも 聞え なくなって 居りました。 が、 ^fr 

法師 は ゃはりもの思はしげな^^ぶりで、 . 

「"; 1^,,, ァゲー ま を こと よ 、し し ノ 

.^"1 なと 申"!! は: 予自 きもし かと はわから ぬ。 pi のき しげな ものが、 m 

rr 群つ:」、 1 のず のま はりに まて ゐ るの を i めた だけ ぢゃ。 が、 それき ると,、. 

r の 中ながら 予は 悲しうな つて、 ー^を|^ます_^き5^ ザ みぶ、 能り なさ 、、が 

ひさ あ :-? 1 1 伫" a びん ズ .^fl?.c も ザの 泣く の を 見て、 頻に淚 を^ 

される それが 久しい^ 緩い.. とおう.^」、、: Jt^v, :、 、 「 とり な よ ク. 

ザ frv^ ぅズカ や 力て どこ やらで 戴が 啼 いて、 予の は それぎ り 

覺め てし まうた <」 I 



門宗邪 . 201 



がかう; i り^り ますと、 今度 は-午 太夫 も 口 を噤ん で、 一 しきり やめて ゐた a を乂 

0^ ,r し-くし を ひ あ ひだ ぢ うより はえ わ よ /、 らゐ き な、 た を > * 

も&ひ 5: しました。 私の 甥 は その 間中 夠 にか つた 脆 も 忘れる 位、 聞き耳 を 立てて 居り ましんが 

ゆ。 t なし き TtT i,- し. した すビ なん はだみ , 、 、 い,、 - ^ ^^^) ^.^ 

この 夢の _i ^を^いて ゐる屮 は、 橋の 下の 涼し さが、 何となく 肌身に しみて さぅ:ぶュ街^樣の^?55- 

しい 辦 II を、 自バ^^も何時か朧げに見た事がぁるゃぅな、 不 m 讓なハ 刺が 致した さう でございます。 

うに よし うへ また ま りしの ほふし しづ こ * 一 

その 內に榴 の 上で は、 又 摩 利 信 乃 法師の 沈んだ 聲 がして、 

よ もや え-つ i おも てんじゃう くわうて い "一 にユ お.,, - ン :ガーめ„»^-5 : 

「予は その 怪しげな もの を 妖魔 ぢ やと 思 ふ。 されば 天上 皇帝 は、 ^獄の 業 を负 はせられ た 抓^ を 

.1C よみ よ けうげ ほと-一 れいむ. fe* は ざう ろ, ) X 、1 1- . せう.,. - +2i ら ^.1 -,、 

憐れと 見 そな はして、 予に敎 化 を 施せと 靈夢を 賜った のに 相違ない 予 がその 力の 力 を^り て 

"にきまず たいと 中す の は、 かう 云 ふ 仔 * が あるから ぢゃ。 何と 予が 頼み を 恥き. <れ て はくれ 

ま,, > 力 」 

それでも 猶、 平 太夫 は 暫く ためらって ゐ たやう でございますが、 やがて 一 :! を つぼめた と ふと 

らっかん ちゃう 5 

それで 欄 千 を 丁 と 打ちな が ら, 

「よろしう ございます。 この 平 太夫 は 何時ぞや 淸 水の 阪の; 卜で、 辻 冠者 ばらと 刃傷 を 致しました 

¥ すんで こ ii^^ られ る^ 1」、 あなた 様の 御 かげに よって、 落ち延びる 事が 出來 ました〕 その 



おん おも 



铜恩を 思 ひます と、 あな.^」 翁つ 乙,」 ト と:、 、 n ま- ぎ リ 

r え あえ/もの ダ有 きに いやと 申せた 義理で は ございません。 # の g:- 

ら に御歸 依な さる か、 なさらな いか、 を ま ■s?,,. 輕 i 、な、 にい 一、 、 、 ひさ 

M のぎ r、 . i^.. ひ z きの, I て ございま すが、 久しぶりで あなた 

H 申す 事 は; I も 御 i では ございますまい。 おに rr のおのお ぶ g り、 ^ 

..ュ 面 だけ はなされる やうに I 取り £ら ひ 1^ ませう。」 f 



二十 四 

_?、 っ^べ し さい を ひ 



その 謹の 仔細 I の 口から わ 街 K しく ,1 それから f f つ ht^. 

ざいます。 nf iipuu 

SI きの p は- iLHH a^J 

び は まゐ • 1 ムカ そろ モろ 動力う とする 秋の、 いもち を 寺 

時 吹いて 參 りました。 > ^ 

わた べし おひ .H なし をよ _ 

き 甥 は そのぎ!?」 から、 11^, ひそめ ますと、 

t つ. たい まりし VH ふし 、 

1 一 體ぁ の 擊利 1W 乃^ ip- と ー% " 、 ? 一 - r - レ . を 

pi 牙 VI. ノ. >A;L.R- VJ 一!, j A,^ 力 とうし て ;^:«.T:4J つ ..^ HI 、 、 . ノ もと わたくし -? 

しぎ £ ミか マ-^-ー芣を,..^^ て2^るのたか それは:兀ょり私こもド 

田き ほと 申す 外はありません が、 こ 所 あのれ々 お、.,, 4 み. お. プ "-' ^ 

力 あの、 シ r カ姬 君の 御意 を 得る やうな 事で も あると、 どうも.. 



s r A ヒ とつ vi おみ うへ おも きょうへん おこ ふ-^ -ら き,: 、- > 

この!:, 縦の J 様の 御身の 上に は、 m 心 ひも よらない 凶變 でも 起り さうな 不吉な 氣 がする のです。 

^ こと との vi *H をし あ とほ へ-一 きしゃう けつ おと あ 

. が、 この やうな 事 は 殿様に 申 上げても、 あの 通りの 御氣 象です から、 汄 して 祸 取り上げに はなら 

さう. 3 わたくし わたくし いす- ぞん しゃもん ひめ J6; 一み め ノ > > 

ない のに 相違ありません。 そこで、 私 は 私の 一 存で、 あの 沙門 を姬 針の 御 目に か \れ ないやう 

おも を.. f ジ おかんが、 > - 、 1 - 

にしようと 思 ふので すが、 叔父さんの 御考へ はどうい もので せう 」 

あや てんぐ ミ ふし ひめぎみ お ケ ほ をが な ぬし,..' 、 

「それ はわし も、 あの 怪しげな 天狗 法師な どに 姬 君の 御 顏を拜 ませた く 無い が、 铜主も わ こも 

i 観の!: ぎ" を& かぬ i り は、 西洞院 の御屋 形の 警護ば かりして 居る 譯 にも 10 かぬ 苦ぢ や。 されば 

お ぬし しゃもん ひめぎみ おみ * 4 ふ、 I. ャ : - - H^^. - 

御主 は あの 沙門 を、 姬 君の 御身の ま はりに 近づけぬ と 云うた にしん て — 」 

「さあ、 そこです。 $ 一 君の 召し も 私共に は 分りません し、 その上 あすこに は 平 太 火と 云 ふ 老爺 

を まりし ほふし にし G とう- ゐん お や かた たちよ » 5<^ は で t. ゝ - ノ 、、、 

も 居ります から、 摩 利 信 乃 法師が 西洞院 の御屋 形に 立 寄る の は 迂濶に 邪魔 も 來 ません 力 F 

piQgi りのお ならば、 P ^ ikiipt M ぎ ちらの S 

次!^ で、 二度と あの 沙門が 洛中 へ 出て 來 ないやう にす る こ とも 出來さ うな も の だ と ふ の で す。」 

, こやみ ± ゎナゅ おぬし ま を こと なに 3^ 

邪 「と 「14 うて、 あの 小屋で 見張り をして る譯 にも 行くまい。 御主の 申す 事 は、 何やら 謎め レた^ 力 

n あって、 ,c しの やうな i. 寄りに は、 十" ^に 解し 兼ねる が、 ー體 御主 は あの 摩 利 1^ 乃 法. E を どうし 



o 

2 



い つもり 

ようと 云 ふ 心算な のぢ や。」 

わたくし ふ しん 



私が 不審 さう にかう 尋ねます と、 おお |g ま; ^は dfe は』 か . あき 

る Br, ん r め f 化お を t やうに 梅の 靑 葉の 1 がさして 

る 音屋の I へ 目 をく ずながら 、わお、」 の. ずぐ が を I けて、 

、「どう するとず て、 外に の あるきが ありません。!, F にで も、 ss^^^e 

「了つ 二、 5 } 化. や はん いきね と > \ ン ..-pf;: 'かハ タ あんて 

,ィ つて あの 沙門の 自 心の 根 を 止めて しま ふば かりです。 一 , 

二 L こ お .;1_^1カ3 ^^ゎ^i乂し :^ばら あ ひだ あき ± : 

こ才に は;^ 石の 私 も 暫くの 53 よ 口. Z, 丁お C c、 3 7 .J r^ こと わす を 

ヽ . い; f 二の句 をつ ぐ 事 さへ 忘れて 居-ましたが、 き はき 

レ者 らしい、 一 圖に思 ひつめ た I 子で、 : 



「*f;,:^、 ^^.'> I > とほ こつじき ほふし 

一 何 高 力 あの 通りの 乞食 法師です。 たと ひが?, ル orlf;f.^r り フ 、しと IV- 

! i , t こ 力 の 二三 メは あらう とも、 化, y める のこ 一き) ち 

i ノ ますまい。 I 

「が ^ は lusf mfisT if て はお ま 

よ;. Ji-im^ft されば あ i き, は、 rf 

を 殺す とで も 申さう) . 一 

「いや、 I はどうで もつ くもので す。 それより ももし あの g が、 ^^SM^0^^ 



門宗邪 



205 



とっさ ひめ-きみ C ろ こと つ- "ん を ぢ はじ わたくし ろく 

りて、 殿様 や 姬君を 呪, ふやうな 事が あつたと して 御覽 なさい。 叔父さん 始め 私まで、 かう して 祿 

を 頂いて ゐる 甲斐が な いぢゃありません か。」 

わん-くし を ひ かま ほ て べん わたくし ま を こと み-. - 

私の 甥 は 顔 を 火照らせながら、 どこまでも かう 辯 じつ どけて. 私な どの 申す 事に は、 とんと PT 

^ け し キー ちゃ-つど ほか さむら ひ あ ふ ざ おと 

を藉 しさうな 氣色 さへ も ございません。 —— すると 丁度 そこへ 外の 侍た ちが、 11 の 音 を させな が 

に さんにん まゐ はなし ば .rs おながれ 

ら、 二三 人 は ひって 參 りました ので、 とうとう この 話 も その場限り、 御 流に なって しま ひました。 

二十 五 

*^ た さんよつ か お ぼ を ある ほしづくよ こと わたくし 

それから 又、 三 匹 日 はすぎ たやう に覺 えて 居ります。 或 星: 夜の 事で ございま したが、 私 は^ 

* つ うた し でう が はら しの まゐ とき わたくし てん 

と 一し よに 更闌 けてから 四 條 河原へ そっと 忍んで 參 りました。 その 時で さへ まだ 私に は、 あの iK 

*、 人 ふし ころ *, つもり また ころ はう t き わけ 

狗 法師 を 殺さう と 云 ふ 心算 もな し、 又 殺す 方が よいと 云ふ氣 もあった 譯 では ございません。 が、 

を ひ .-i じめ もく す ヒひ ^ とり こと な ぜ めう き 

どうしても 甥が 初の 目ろ み を 捨てない のと、 甥 を 一 人で やる 事が 何故か 妙に ぐ湫 がかり だった のと 

わたくし としが ひ ら よも ビ つゆぬ まりし Q ほふし す : や め. - 

で、 とうとう 私まで が 年甲斐 もな く、 河原 蓬の 露に れ ながら、 摩 利 信 乃 法師の 住む 小屋 を U1 か 

うか .V 

けて、 窺 ひよ る ことにな つたので ございます。 



J - しょうち ふ-ま > ± . 

御 承知 グー 通り あの 河^に は、 が 苦 6 し!. なド や、 ^ず_ん プ を 

お ほ ぴ T らい 41 し V まン, 屋カ ケ^^となく立ち並んで居りますが、 ん:: よも 

ゥ れつ 多 iif 、きま f i" mia ぐ? 

"居: , と, I き? if のき! りぬ け 

1:.""";』 壁の fj に は 唯、 fgi が, える ば t どこも かしこ も ひっそり とず 4 つ 

て、 たったー所焚き殘してぁる駕さへ、 ,なぃの.§ぐ^^7ろ 、 . つ.' けぶり : 

I ^^^<: ^1 t a ; 屈 も.^ レ.^ 力 夜 {<1 へ 白く まっすぐな 煙 を あげて, 4, り 

ます 殊に その 煙の 末が、 所 まな, e ことつ でゐ るの あめます と、 f . つ S ゝき . し 

f. ^^^a いっしゃく J すん 一 z て、.^ スグを 形め ますと とうやら 數へ 切れない 星 

だ 力 洛中 の 天 を 頃サ て 、 一 P ヽづ つ . ^..p つ 、 . と き . 

ザ 一 - 尸つつ 一. F つつ 、、一 J る 昔まで はっきりと A 間き とれさう におよ., まし 



2 



た。 

^^^^-; : めぼし 



その 中に 私の 甥 は、 兼ねて 星 をつ けて r いたので ございませう、 ぎず ほの f ぎ. i ビ 

ゐる、 菰 だれの 小屋の 1. つ t さします と、 $^ 遺 一の I? こぎ.,"、 4、^ . . ご- 

、ひさ? ま ) 蓬の 中に 立った!^ の 方 を ふり 向きまして、 

^ f しました。 能から あの r ぎた 露が、 n--ts 

M 力な 光に 透かして 見ます と、 が f どれより おさい おで ^nf l^c 

變りは ございま せんが、 iifi ,こリ 



門宗邪 



207 



かめし く 立って 居ります。 , - 

「あれ か。」 

わたくし お つか こ. ム だ なん い こと と かへ じっさい とき わたくし 

私は覺 束ない 聲を 出して、 何と 云 ふ 事 もな く かう 問 ひ 返しました。 際 その 時の;^ に は、 まだ 

摩 利 信 乃 法師 を 殺さう とも、 殺すまい とも、 はっきりした 決斷 がっかす にゐ たので ございます。 

、, うち わたくし を ひ こんど む ようす こや み i も 

が、 さう 云 ふ にも 私の 甥が、 今度 はふり 向く らしい 容子 もな く, ぢっとその小屋をD^i;^^りなが 

ら、 . 

そ け こた >- ゑき いよ. ('た ち ち とき き い なん 

「さう です。」 と、 素つ 氣 なく 答へ る聲を 聞きます と、 愈 太刀へ 血 を あやす 時が 來 たと 云 ふ、 何 

とも まひ やうの ない 心 もちで、 思 はす 總身 がわな. - きました。 すると 甥 は 早く も iJJ^ 什 度 を 整へ た 

み fe ちめ くぎ ていねい しめ わたくし め か はちよ もぎ ふ 

ものと 見えて、 太刀の 目釘 を叮 摩に 潤します と、 まるで 私に は 目 も くれす、 そっと 河 1^ 蓬 を路み 

わ -us じき ねら くも おと こ や そと しの まった あく.^ ぴ ぉぽろ 

分けながら、 食 を舰ふ 蜘蛛の やうに、 音 もな く 小屋の 外へ 忍びより ました。 いや 全く 芥 火の 跳 

ひかり むしろ かべ からだ うち - つか^ わ くし やひ うしろ.^ がた なん 

げな 光の さした、 蓆 壁に ぴったり 體を よせて、 內 のけ は ひ を 窺って ゐる 私の 甥の 後 姿 は、 何とな 

く 大きな 蜘蛛の やうな 氣 味の 惡 いものに 見えた ので ござい ます。 



。 お 
そ 、 

こ か 

で+ う 

水!: 云い 
干お ふ 
の 場よ' 
袖 I- 合 ま 
を に 
後 t 立た 
でろ ち 

結き 至 





つ 


乙 


た 




か 


甥き 


ら 


の 


は 


後ら 




かろ 


元き 


らゎ 


よ 一 


れ' 


り 


もし 


> - 

、 ~™ . 




ち 


小 二 


ら 


屋ゃ 


も 


の 




外 f 


を 


へ 


成 


ね 



3 





二十 六 



み を わけ ま/^ 

て 見て 居る 譯に は參り ませ 

i^, しろ tLIJ- なか よ 5 

チを、 ぢ つと^き こみました。 

め 

. , J: — 



f ) - > y しろ すき なか よう 

i f . ひよ つて、 席の 隙 から^の 容 

二 k 、;一 JU 



- まつ めう つ .T こ, V- - 

S る" 服に 映った の は,、 あ &i げて £ き 震で ござ, ます。 それが,、 

r の S 壁";? られ て、 ,はっき-と 見えません が、 itif. 

美よ" い 金の 光輪ば かりが、 まるで 月蝕 か 何 かの やうに、 ほんのりき めいて きりました。 ま 又た その 

に SI ヒ: 居 I すの?、。?, にき を, き f かお & でございます。 それ か 急 

£Jf は 5 てゐ る、 着 i らしい ものが ぎきした が、 これ は S に^て ゐる, で、 ,す 

、天狗の 翼 だか、 それとも 爾 にある と Ik あ £ 蒙 かわか I せん。 I 

^^r. み わたくし 「 / 



ようす み わ, -- くし <- a 

この 容子を S?: も は、 ます F す f のが r きんで、 ? 4< ずの fi 

1< ノこ C *N- \ r \ t r- ) - めう き , -1 

こまし/ 力 vl^ は 初めから どうも 沙^ 気お く 、、ュ ノ ur>:、 >-、 , - - ひやう し 

くォカ 致して ゐ たからで ございませう。 そのれ 子 こ 



mm 



209 



て くる おも するど つばお と ふ わたくし :、 ろ なか 

乎 もとが 狂って、 思 はす 鋭い 鍔 昔 を 響かせて しまった では ございま せんか。 すると 私が 心の中で、 

おも いとま いま いき こも むか まりしの ほふし たち- み おこ 

はっと 思 ふ 暇 さへ なく、 今まで, 息 もしなかった 菰 だれの 向う の 摩 利 信 乃 法師が、 忽ち 身 を 起した 

らしい け は ひ を 見せて、 

たれ ひとこ ゑと が を ひ ほじ わた, ■ し き 二 いき ほ 

「誰ぢ や。」 と * ー聲 咎めました。 もうかう なって は、 甥 を 始め、 私まで も騎 虎の 勢 ひで、 どうし 

しゃもん 二ろ ほか --ゑ いな t へ ラ しろ い.' せい 

て も あの 沙門 を、 殺す より 外 は ございません。 そこで その 聲 がする や 否や、 前と 後と ー齊 に、 も 

い しらは こ や なか . しらは ふ あ おと だけ 

の も 云 はす 白刃 を かざして、 いきなり 小屋の 中へ つき こみました。 その 白刃の 觸れ合 ふ 昔、 竹の 

i しら を おと むしろ かべ さ と おと い ものおと す さま いちど いた おも や 

柱の 折れる 昔、 席 壁の 裂け 飛ぶ 昔、 . I さう 云 ふ 物 昔が 凄じく、 丁度に 致した と m 心 ひます と、 矢 

によ を ひ ふた あしみ あしうし ろ はう と 

庭に 甥が、 二足 三 足 後の.^ へ 飛びす さって、 

「おのれ、 !!ー がして たまらう か。」 と、 太刀 を まっかう に ふりかざしながら、 苦し さうな I 降で をめ 

こ ゑ おどろ わたくし すばや は も あくた び ひかり むか 

きました。 その 聲に 驚いて 私 も 素早く 跳ねの きながら、 まだ 燃えて ゐる芥 火の 光に きっと 向う を 

透かして 見ます と, まあ、 どうで ございませう。 粉微塵に なった 小屋の 前に は、 あの 無 (湫 味な 摩 

りしの ほふし 5 す-ろ うちぎ かた ましら み れい じふ もんじ n ふ 

利 信 乃 法師が、 簿 色の 桂 を 肩に かけて、 まるで 猿の やうに 身をかがめながら、 例の十文-:?^の護符 

ひた ひ わたくし ふるま ひ うか み わたくし もと 

を 額に あてて、 ぢ つと 私 どもの 振舞 を 窺って ゐ るので ございます。 これ を 見た 私 は、 元よりす ぐ 



いったう あ 

こ. 



も 一 フぉ ひせようと あせり まし』」:; i -、 、、ニーフ Il> 、 > う、、 しゃもん み 

しぜん や, こ 一 ズカ とう 云 ふ もの か あの 沙門の 身 を か.^ めた ま はりに、 H、 

自然と 闇が 濃くなる やうで、 あ こ,、, 4- \ ; ヽ』 _ ある ひ S ま ! , 

み 4 ま シノ层 丄ヲひ 力る 隙 力 こさいません。 或は その^の:^ に、!. P ら I: 

に 見えぬ ものが 渦卷 くやう で、 がず つ Js^,,, つ. - 、つ: i ,に . 

i , て ヌァ し.^ り 力 定まらなかった とも 申し ませう か。 これよ li,,/;^ じ 

思 ひだった もの あえて、 ぐ やま び ま」」、、 J^f も 一, t.5「r ト 

. わ , r f ひひます 力 白刃 は 何時までも その 頭の 上に がまぐ る 

しく くるくると 輪ば かり 描い て Jig りました。 

二十 七 

うち まりしの まふし おも f5 ^ 

その 中に 摩 利 llllE 乃 法^ ま、 <^ ""ト ご y - eh .、 ご ふ さ いう : 

さけ " " 徐.^ 身 を. W しま 寸と ,^文字の護符を左右にふり)ズてながら、 厳し 

^ ぶ やうな 凄い 聲で、 

し 〔やい。 おのれら はきな くも、 て iilyL-si すが i か。 この f .£ェ つ 

き;/! れらの !っ? ,は、 鳴、 襲の 籍 &i ふ もの もない やう ぢゃ が、 ig^s 

,厂っ^5- ご" マノ」、 ノー-、 P や: まん てんぐん * も& y ."丄,^ き W ラ 

ほ Sri!: ほ 2 軍? 守って 居る ぞょ。 ならば S に その を ふりかざして、 g の 

後に 從ぅた讓の 車馬き と まき うて f がよ いわ。」 と、 おは 囊 ふやう に!^ "ました」 



門お 邪 



211 



もと おど ぉぞけ ふる やう わた: し - ノ,, .li^ わた 八し : ン, 

ー兀 よりかう • されても- それに 悸毛を 震 ふ 樣な私 どもで は ございません。 甥と;;^ と はこれ を 

くと、 まるで 綱 を 放れた 牛の やうに、 兩 方から あの 沙門 を 目 鬼け て 斬って か \ りました。 いや、 

- 、 支-ご ま を わたくし た ち 

將 二 つて か., らうと したと でも 申し ませう か。 と 申します の は、 私 どもが 太刀 を ふり かぶった 

せつ, M まりし ほふし じふ もんじ カー ふ ひと またかしら うへ、 > , , : お.^、 - 、-- 

刹那に、. 摩 利 信 乃 法師が 十文字の 護符 を、 一し きり 乂 頭の 上で 板り ま はしん と ひます と そ 

,,J ふ こんじき いな-つま r'6 と たち ま わたくし め まへ お.^」 ま は,, : ) 

の 護符の 金色が、 稻 妻の やうに { 山へ 飛んで、 忽ち 私 どもの 服の. 前へ は 恐ろしい 幻が 現れん のて 

おそ *,?-< ろし わたくし くち さな お けな *- を こで > でき- , 

ございます。. あ、、 あの 恐ろしい 幻 は、 どうして 私な どの リの 先で、 御 話し中す 1^ が屮 zi^ ませう 

で き V. 二 おそ きりん か は うま さ み たいち , 

もし 出來 たと しましても、 それ は 恐らく 麒麟の 代りに、 馬 を 指して 3^. せる と 大した 違 ひ は ござ 

で き ま をし あ さいしょ 一 ふ そら ) ひ f ノレ * わた ノ、 し ゆ で. 

いますまい。 が、 出來 ないながら 申 上げます と、 最初ぁの護符が空へぁがった拍^^に ^は, ド S 

ゃス とつ- M んま りしの ほふし うしろ VJ と おも ^ 1 パ、 J ン 一 _ ろ- 

の 闇が、 突然 摩 利 信 乃^ 師の後 だけ、 裂け 飛んだ やうに 思 ひました するとそのほの破れた^^に 

-. -ナ かぎ ほのほ うま ほのほ くるま りゅう だ あ > す;^-た いつ. 、 &^^ /.^、„^\1 :"^、 J 

は、 數 限り もない 焰の馬 ゃ焰の 車が、 龍 蛇の やう な^しい 姿と 一し よに |:±ょり^な人花を^^ら 

、ま わ/くし ども - つじ 卞 お おも てん あ;^ ノ IT ふ, にあへ, t 

しながら、 ケ にも 私共の 頭上 を さして 落ち か ^ るかと 思 ふば かり 1K に 溢れて ありあり と^む 丄 

おも また なか はた * ^...2 > > , ^ぜ. ん ^^ゃ く 

つたので ございます。 と 思 ふと 又、 その 中に 旗の やうな もの や, ^の やうな もの も . ^ャ佝 K::,c 

キ ふめ お ほ かぜ うみ す さま おと か はら 1* し は ュ 9 

なく 暖ハ て、 そこから まるで 大風の 海の やうな、 凄じい もの 音が、 河原の 石 さへ 走らせ さう に 



どな 沸き返って ありました。 それ を aKS ながら、 やはり g の辦 II にかけ て、 は, 

の藝 した 儘、 嚴に 立って ゐる あの のき f 1^ が、 きど こかの ir、 g のお 

かわ "魔 f ぎて、 き S のた だ", つた やう だとで も!: しまず か, i r 

、 ども はずの 不思議に、 fpfff i-lr T たまり もな くひ 

れ 伏してし まひました。 すると その に、 1^-1. ; h かめ」 く flh 

て 、 



て、 

い G ち を ま 

じ 〔命が 惜しく ばに そのず も. ssifesv さもない どころ こ、 焉 S お 

ほち はに その fi きまに f ぞ よ。」 と、 i や 4 は!。 MH 

物凄 さと": ぎって f しても、 ぎき! f t ん。 

もとうと う i が出來 なくなって、 た r さしおげ ながら、 f - つぶつ ぁもに、 も:.、 

てんじゃう くわうて い と.,, コト -7 に-^ をつ-ヱぐ て^る 巩じ る 「毛^ 

^上 直 存 一と S: / Art てこ。 



天 上皇 帝」 と稱 へました。 

二十 八 



門宗邪 



213 



それから 5^」 の 紫 は、 t し 上げる のさへ、 御 もしい 位で ございま すから、 なる 可く 乎 短に 桐 話し 

g しませう。 IT せ T&< じお まり ましたせ ゐか、 あのお 恐ろしい 幻 は 問 もな く 消えて しま ひま 

.A.H 」- ち おと き おき きひ にん し はう わた べし > ,, ノニ 二し 

したが、 その り 太刀 音 を 聞いて 起て 來た 非人た ちが 四方から 私 ども をと り 園み ましん そ、 ヌ 

がせ ; は III: の^ bilk ちで ございま すから、 わ 私 どもが 太刀 を^て て しまったの を 幸に、 

, て か 、キ 1 ほ くち <^ す さま の. -し さわ 、 ゝ 

いざと ま へ ば 乎 ごめ にで もし 兼ねない 勢 ひで、 口 々 に 凄じく 罵り 騷 ぎながら まるで 弃にカ . つ 

た, I でも る やうに、 男 も 女 も 折り重なって、 憎さげ に 顏を顿 きこまう とする ので ございます 

そ 3, とも 紲れ ない ぱ if の g や つた S の!! おびて、 销 f f f な 

で ど *. 一ん n さ 、う くブ き み わる たうて い よ > : お f , 、 ン: r ノ 

い 程、 _1 後 左右から 頸 をのば したぐ ボ味惡 さは、 到底 この, の ものと は 田.^ はれませ. < 

が、 その W でも f& に酽 ず は、 お り 一 r つぎ だんた ち を 宥めます と、 例の 怪しげな 微 

i あべながら、 のまへ 艇 あまして、 て ま! 囊の 1, 慈 を if 5^ いて h 

fc^ >£ l つ 二. レき \ , ^ヒ しゃも^^ 力.^ 一 ^ 

かせました。 が、 その i も W の氣 になって 仕方がなかった の は、 あの 沙門の 肩に か \ つて ゐる 

i いい iSsS ,ございます。 ^^-り菌の1ド,ましても、 f 11 にきが, もので は ご. 

ざ ハ ますが、 もしゃ あれ は 中 御門の 姬 君の 御召し 物で は ございますまい か。 萬 一 さう だと 致し ま 



ひめぎみ 、 つ 

したら、 姬君 はもう 寺 こさ 5 J まめん 

; ZTK,^ レイ stcpi に 力 あの 沙 r と 御對; まこ. つ ご 二、、 ヽ , あるひ う、 

こ おへ、 P きえ #f 面 f なつ ズ グーて こさい ませう し、 或は その :!^ 

i 厨 禾., 一彰 も 锅歸 依な すって しま はない とま f,, ま.^,。,. フ 一 わたくし 

のおし まあ も、 こよ ひき 二く ま、 力 J ひます と 私 は、 おちおち If 

. レ 位て ございま したが、 うっかり そんな i をが せまして ま、 ^ 

とんな 巩. 3 ろし ハ ni こ 禹) まさ 7.- ぶ、 , '…- 、 : H 1 f ヌ 

J P しん" F.; ト, な U のても ございますまい。 しかも |£ か!? P で ま 4 

とも 4、 神佛を 蔑され るの がく 口す f . 、ぼ t ; 

1^1. つか こ; f をし 力け たもの たと でも 思った ので ございま 

15^ぃろ幸ヽ.^の?|に 御仕へ中してゐ5^ぞは、 きのつ かない やう, &ぇま したから、 あ 

の 薄色の 桂に も、 成る rf やらない やうに して、 5 の艇の 7, こぎ こ, や b、 H あ 

i の て f しく ir た。 L 石の ま i きと 神妙に あ 

すると そ, 丁が あ i ^こま、 : ほ 丄.. よ、 う み 

そォカ 先产は かに も 殊勝げ に 見えた ので ございませう。 一とお り ゃ轩 とお 

い て聽 かせます と、 ま き」^ 1 .、 L . :n^k^n 

ざし 、 ノ. ?^, i& を 和け な 力ら あの 十文字の 護 1:^.^5^ ひものお にさし、 

「その 方 どもの 雜業は 無知 蒙う^の きどし 

—ク さう ゐ " ^ -.^ つて 天 丄 皇帝 も 格別の 御宥 ;^. ^を は 4,、 

ら るるに 相違 あるまい。 されば ビ、 お、 は お t ゐ 箱 窄ギス を^ はせ 

W は,..^ もこの 丄猶 化り さう と は 思うて ^5 ぬ。 やがて は;!、 



門宗邪 .215 



まう ま MV み をし、 き え たてまつ とき i ゐ フ 

の がい i となって、 その^ど もが 摩 利の 輒敎 にお 依し 奉る 時も參 るで あらう。 ぢ やによ つて そ 

の嚇が i るまで は、 ひ11_ つ この! -を& お!? したがきい。」 と、 もの 優しく 巾して くれました。 尤も そ 

の は? - でさへ、 ^il^ たち は、 ;^;. にも i みか.. りさうな、 凄じい 氣色を 見せて 居り ましたが、 これ も 

あの 挑 の i の Ti で、 El^sr の i る i を i いて くれたので ございます。 

そこ S ひ i と は、 ,を i に を さめる i も r いやう に、 Ivliit 逃げ だました。 

その^の!!しの^^^^ちと^しましたら、 いと も、 i しいと も、 乃至 は 乂殘念 だと も、 何ともお 

か よら とほ た V あくた び あ 一 か ゆ f 

しの g しゃう がご ざいません。 でございますから 河 s§ が 遠くな つて、 唯、 あの 芥 火の 赤 く^め 

くま はりに、 もが 鬆の やうに 化ち て、 何やら 怪しげな 歌 を m つて 居ります のが、 かすかに 

^へ は ひりました^ も、 HiJ も は f^^^ さへ^す に、 i つて *i『 ばかりつ きながら、 歩いて" つ 

たもので ございます。 

二十 九 

. ク > , : ノ ひた ひ あつ まりしの ほふし なか,^ かど で; み 

そ.. 少、: しど も は、 よると さはる と、 額 を 鳩め て、 摩 利 信 乃 法師と 中 御門の ¥ ^とのい きさ 



り た 
若お が 



つ. T^J.-W やう 

つまに 推量し 合 ひながら、 どぅかしてぁの!^^?睜を 鞑ざけたぃと. いろいろ J¥ / . 

、 は,^ お, i」 * ぼろし こと おも ミ レス, > ス 1 一一 たまし 

さ - しい 幻 II ひ r ますと、 彭に g もぎません。 i-f ^ 

いだ 1 に; まだ 執念深く 初 rl£ てないで、 S によったら s< のした やう:、 i 称 

nrfi もう ま ST ききき!? ある! ぼ ま」」: 

所 の 巾に、 思. ひも よらす、 おわお しど も は if si の S 寒き な 蟹に、 うな i 

力 WIl 來た め で ござい ます。 

それ はもう 秋風の 立ち 始めました ¥ 07p^..> ぶた 

, 、やう さ こと タ/ I 長 尾 クー.^..^ 樣 カ峰峨 に,^ 彌陀堂 を御缝 てに なって、 そり, 

His Jit Ufa fi^ 

lil 上に、. 藝 pi り F になって、 i きもぎ か i く、 ^ 

f に!! つた irr^ い!; すから、 f §11 くっても、 そ の顏 き あり 

ました 事 は、 略 御 推察が 參 るで ございませう。 

"その S 編の I 田 r、 MSFi 麵 ちの 1|も,.ノ 

ヽ ntu 一、、 -、、 ,、 ゝ ,ご ろャ- -., - つ-、 rft i 

、- んレ 程で こさ. いました,^ ら、 ば- 4^- り. 1^ こ. 4,- : 5 「 , つ、 る ま ま を ら?、 さ 

/力 -ム fssk- に 寄せて ある さまざまの 車と 申し、 その) Fvel^g をめ, 



門宗邪 



217 



--し t ヽり みす * を あるひ たみ す ぎ は だ は. 3 や-つ をみ なへ し 

つた、 鍁の緣 の ある 御簾と 申し、 或は 又 御旅 際にな まめかし くう ち 出した、 萩、 枯梗、 女郎花な 

つ. H そな ぐち 、ろ ど ま を ひ ひかり あ けいだいい ち めん .ぅ つく ま れ 

どの 接 や 袖口の 彩りと 申し、 うら、 かな 日の 光 を 浴びた、 境內 一面の 美し さは 目の あたりに 蓮 

i 平 P; 土の 景色 を 見る やうで ございました。 それから、 廊に Ml まれた 街 庭の 池に はすき まもなく、 

ぐれんび to- . ^ん つく f- な ^7 ( さ あ ひだ りゅうしう いつ ぶ.- つ にしき ひらば う ^*ん 

紅蓮, n 蓮の 造り 花が 簇々 と、 あきな らんで、 その 間 を 龍舟が. 一艘、 錦の 平 張り を 打ち わたして、 蠻 

綺 を^た 童 部た ちに 畫 棹の 水 をせ- ら せながら、 微妙な 樂の昔 を 漂 はせ て、 悠々 と 動いて, 居り まし 

たの も、 淚の 出る 程 尊け に拜 まれた もので ございます。 

まして; A 面 を d めます と、 I: 堂の^ 防ぎが 燦々 と 蝶鈿を 光らせて ゐる 後に は、 名香の 煙の たな 

なか 3 ほん ぞ.? にょらい n じ せ —、し,、 わん G ん おんす がた し £ ニニん おんか. y たま で 「。マ ほの.. 

びく 巾に、 御本尊の 如來 を^め、 勢 至觀 昔な どの 御 姿が、 紫 磨 黄金の 御顔 や 玉の 璎路 を仄々 と 

おあら. H あり-, A た *. だい 「そう ,T ほとけ まへ に は いばん なか 

萍 現しに なって ゐる難 有さ は、 又 一層で ございました。 その 御佛の 前の 庭に は、 禮盤 を屮に 挾み 

^ i ば ゆ .? つ 《- い した .^-ぅし とてし かう ざ く やう しき つ It? んぷふ 

ながら、 a- る も 眩い 寶 蓋の 下に、 讅師 讀師の 高座が ございま したが、 供養の 式に 連って ゐる 何. t- 

にん そ-つ 二ろ も け V.- あ を &か いか び- い まじ.,' » .マ」 や-う な , , に, ふ * で -メ. i .V 一 

人 かの!: ども も、 法衣 や 袈裟の 靑ゃ 赤が 如何にも 美々 しく 入り 交って 經を 讀む聲 ^を る 音- 

あるひ せんだん +.、 んすゐ かをり なか た i は わた あき そ, ら の 1 — 

或は 栴. M 沈 水の 香な どが、 その 巾から 絕ぇ 11 なく 喷れ 渡った 秋の 穴ェ へ うら うらと # つて 參りま 

す。 



8 

2 



- く やう Jli ち. ± , 

,は とそ a.mf ?き 撃き うとして ゐ 

た 人々 J、 俄な 化 事が きたの か、 どっと どよ みおって、 まるで g の^ r た M の や 

うに、 押しつ 押されつ し 的め ました。 . 、? 



三十 

み: か どの を さ 



一一 をプ 1 : 1 :.^ ゾのを さ さっそく ^ , 

みだ この? ひ 見た si: 早速 そこへ S けつけ て、 pfiit. ri^ 

0^^^^^ ほ鎭 めようと i しました。 が、 その i の f ダけ て、 f §0^ 

が 一 人、 姿 を現リ たと 思 ひます と、 ま焉 は ISI 一」 一」、 gsp するど ころ か、 そ; 3- 

r へ は 化 はが r i をき したで は ござい; 

せんか。 騷動. itrt れ" 一 しきり ざわめき きつ のおが、 ぎひつ そりと ずり 

ますと、 又 「1 信 乃 i、 摩| 信 乃 PJ と 一 r ,蒙、 還の ぎ f 勵の やう こ 「どこ 

から ともなく 起った の は、 この I きの^と でございます。 - 

摩 利 信 乃 法師 は、 pip. 簾の iff へ, い t あしながら、 sop-r 



門宗邪 • 219 



がね む" きらめ あし み さむ す はたし うしろ い つ 

金 を 胸の あたりに 燦 かせて、 足さへ 見る も 寒さうな 素 跳 足で ございました。 その後に は 何時もの 

によ さつ はた あき ひ ひかり なか t を たれ -V も 

女 菩薩の 幢が、 秋の 日の 光の 中に いかめしく 揭 げられ て 居り ましたが、 これ は 誰か 供の ものが、 

さし かざして でも ゐ たので ございませう。 . . 

かたぐ t& てんじゃう くわ. T てい しんちょく たま ひ も 」 J り をし へ し * 

「方々 にもの 巾 さう。 これ は 天上 皇帝の 祌勅を 賜 はって、 わが 日の 本に 摩 利の 敎を布 かう する 摩 

りしの 《^ ふし ま を 

利 信 乃 法師と 中す もの ぢ や。」 

しゃもん クウく ^ どの を さ まい こた すな し お に は おそ す. - で 

あの 沙門 は悠々 と翁督 長の 拜に 答へ てから、 砂 を 敷いた 御 庭の 中へ、 恐れげ もな く 進み出て、 

お 一 ご そか こ ゑ を き つもん うち また さすが けび ゐし 

かう 嚴な聲 で 申しました。 それ を 聞く と 御門の 中 は、 又 ざわめきた ちました が、 流石に 檢非 侦 

おも ち,〉 じ おどろ やくめ わす くわ 

たちば かり は、 思 ひも かけない 棒 事に 驚きながら も、 役目 は 忘れなかった ので ございませう。 火 

ちゃう み に さんにん でて え ^の ひつ さ こわだか らう ビき と が しゃもん はし 

長と 見える ものが 二三 人、 手に 乎に 得物 提げて、 聲 高に 狼藉 を 咎めながら、 あの 沙門へ 走り か. - 

や によ し i. う と . ^ら レ- いた まりし ほふし にく 

ります と、 矢庭に S: 方から 飛び か \ つて、 搦め 取らう と 致しました。 が、 摩 利 信 乃 法師 は SE さげ 

に、 火 長た ち を 見やりながら、 

うう と ヒ た i- し てんじゃう くわうて い おんばち た どころ くだ あざわら こ,^ 

「打た ば 打て。 取らば 取れ。 但、 天上 皇帝の 御 剥 は 立ち所に 下らう ぞ よ。」 と、 嘲笑 ふやうな-藤 を 

お とき.,! J ね さが じふ もんじ -, -ー ふ ひう ま-ば ゆ ひか どうじ な 

出します と、 その 時 胸に 下って ゐた 十文字の 護符が 日 を 受けて、 眩く きらり と 光る と 同 ゆに、 何 



故 か 相 乎 は 得物 を 捨てて、 ひ議 ざも护 たれた かと, ばかり、 あの SQf 气、 まび 維れ 

てし まひました。 . I 

「* 何に ま。 天 上皇き &ま i は、 i ,の あたりに f れた t;,l。 一 

まりし ほふし む. i ご ふ. H, つ メ r/,? n S 」 

1m 乃 法師 は 胸の 護符 あして、 ぉ!^の,,!^る、 ,しげに さし かざしながら、 

「2リ" かやうな f はお 爵 もない 。そ辩 J;3 鍋い」 は、 き 環 を f せず た、 |ぃー っゲ " 

り み、 , 5 このお ほみ かグ し ": 、3 / W 一 rv 二 

の 大街祌 ちゃ。 此大御 神 を 知らねば こそ、 対^ かく も gs^ あ K し 一,、 ^pl X ヒ. 

ま を f たぐ ひこと ぐ く, う ザ >グ| を畫し 一- i^Ji; 陀.^ 來 なん そと 

づ妖& の 類 を 事々 しく、 供養 せらる,. げにま I はュ 。一 

ばう げん か 

この た f 兼ねた ので ございまず。 さっきから 觀ぁ めて、 s,fff 

てゐた 僧た" ド 俄に どよめき I げ ながら Tri せ」 とか 「断め に」 とか, Is てまし 

た 力 さて 誰 一人と して fi れて、 摩 利 信 う 4 ナ もの は ございません。 

一二 十一 

すると iff が if 鍵と、 その m たちの f きめ ま はして、 



門 ミミ 邪 ' 221 



あやま レ はぐ か ことな か から に せいじん き-を いったん ふつ は さつ タぶ. 'ま - と し , 

「過てる を 知って 櫸る事 勿れと は、 唐 固の 聖人 も 申された。 一旦、 佛菩藤の妖魔たる_?^-を知られ 

そ-/^ ま り をし へ き え てんじゃう くわうて い ご ゐ 七く た、 たてまつ し また まりし 

たら、 匆々 摩 利の 敎に歸 依あって、 天上 皇帝の 御 威德を 讚へ 奉る に 若く はない。 又も, -、 摩 利 

の - ふし ま を でう うたが ぶっ^ さつ えうま てんじゃう くわう-てい ヒゃ しん けつ ぢ やういた か 

乃 法師の 申し 條に疑 ひあって、 佛 菩薩が 妖魔 か、 天上 皇帝が 邪神 か、 決定 致し 兼ぬ ると あるなら 

、, か ほふりき くら あは しゃう^ ふ べんべつ ま を : ゑ あら よ 

ば、 如何 やうに も 法力 を 較べ 合せて、 いづれ が 正 法 か辨別 申さう。」 と、 聲も 荒ら かに 呼ば はり ま 

した。 

なに た いま けび ゐし ま き うしな た ふ み を 

が、 何しろ 唯今 も、 檢 非違 使た ちが 目の あたりに、 氣を 失って 倒れた の を 見て 居る ので ござい 

み す うち みす そと み-つ う : ゑ そうぞく たれ ひと リ r、 

ますから、 御簾の 內も 御簾の 外 も、 水 を 打った やうに 聲 を吞ん で、 S 俗と もに 誰 一人、 進んで あ 

しわ もん ほふりき こ、 ろ いた み しょせん なが を そ うづ ま を . ひ 

の 沙門の 法力 を 試みようと 致す もの は 見えません。 所詮 は 長 尾の 僧都 は 申す まで もな く、 その::: 

おみ やま ざす につな じ そう ドゃぅ あら ひとが み i りし" ほふし t お 

御見えになつ ていら しった 山の 座主 や 仁 和 寺の 僧正 も、 現 人祌の やうな 摩 利 信 乃 法師に、 膽を御 

くじ く やう に は しばら あ ひだ りゅうしう おんがく *ー も 一 た つく ばな れん 

挫かれに なった ので ございませう。 供養の 庭 は 暫くの 間、 龍舟の 音 樂も漀 を 絶って、 造り 花の 蓮 

げ ひ ひかり おと きこ くら ゐ し-つ か ( 

華に ふる 日の 光の 昔 さ へ 聞え た 位、 しんと 靜 まり 返って しま ひました。 

しゃもん 生たい つそう ちから え れい に ふもん ヒ ご ふ 广-ズ ぐ 

沙門 は それに 叉 一 歷カを 得た ので ございませう。 例の 十文字の 護符 を さし かざして、 天狗の や 

ち ざ わら 

うに 嘲笑 ひます と、 



2 

2 



「:??rs^"!s。 if if fli Tf して こ 

, ^摩 利 S 乃 法師と 法力 I ベよ うすもの も p ぬ は、 lii^^r sf 

祌 ほな t をな"" 貴 I き 崎 ひなく、 xfm^i?ll さら 

ば此 場に 於て、 先づ 山の f から T:<r:^.f i つの ,て とらせよう か。」 と、 ま S き 



t 所が そ I がま だ 終らない r、 ^の g からず p、 i と f へ になった、 P なぎ 

: き;!::: す; 義き、 I 蒙、 amti! , 

下に 功德 無量の 名 を 轟かせた、 ,f の f だね す f if やう も ございません。 f はお こ 

そ とられました が、 たぶ たぶ と i えお つき &腐 びながら、 if の I のまへ、 おご 

そかに 步みを 止めます と、 , 

Fi i おも その,, t く、 この I 獻, i に は、 Isif r^r^- 

ら.^ るに は 相違ない。 が、 m§lpf? ,その?^ き づれ と、 § の 

高下 を兢 はれう ぞ。 されば その f ぎ ほ: If て、 ,こ の羅 を髮す r 霧ながら、 r 



門 ズミ邪 ' 223 



して 祌通を 絞べ ような ど は、 近顷 以て 奇怪 至極 ぢゃ。 思 ふに その 方 は 何^かに て 金剛 邪 禪の法 を 

しう げ だう しゃもん こ 、ろえ ひと ^vん^-ぅ れいげん しめ ため ひと はう i えん 

修 した 外道の 沙門と 心得る。 ぢ やによ つて 一 つ は 三齊の 靈驗を 示さん 爲、 一 つ は その 方の 魔緣に 

ひ .C げんち -, フ、 お しゅじ やう すく ため ヽぅな ふみ-つか はう ほふ げん くら まか 

惹 かれて、 無間地獄に IE_: ちょうす 衆生 を 救うて とらさん 爲、 老衲 自ら その 方と 法驗を 較べに 罷り 

出た。 たと ひその 方の 幻術が よく 鬼神 を 驅り使 ふと も、 護法の 加護 ある 老衲に は 一指 を觸 る、 亭 

すらよ も出來 まい。 されば 佛 力の 奇特 を 見て、 その 力 こそ 受戒,. 致して よから う。」 と、 大 i 子吼を 

浴せ かけ、 忽ち ぼ を 結ばれました。 

三十 二 

いん むす て うち に はか い だう はくき たちの ぱ いん/ \ なか;. てら 

すると その 印 を 結んだ 乎の 巾から、 俄に 一道の 白;^ が 立 上って、 それが 隠々 と 中 i や; へたな びい 

おも ちゃう どそう-つ かしら ま ラへ はう がい いちだん も や 

たと E 心 ひます と、 丁度 i|2 都の 頭の 眞 上に、 寶蓋を かざした やうな ー團の 露が たなびきました。 い 

もや て を ふしぎ - 「んき も やう じふ ぶん 一 ご も 一 とく キゐ 

や、 露と 中した ので は、 あの 不 m わ 議な雲 氣の校 様が、 まだ 十分 御會 得に は參 りますまい。 もし そ 

れが 靄だった と 致しましたら、 その向ぅにぁる御堂の屋根などはSんでI:J^ぇなぃI:.::でござぃます 

うんき た 5- こ くう なに かたち み わ だか おも は わた そら いつ 

が、 この 雲氣は 唯、 虛 i 仝-に 何やら 形の 見えぬ ものが 蝤 まった と 思 ふば かりで、 ^れ 波った 本; の& 



224 



、 、 とほ ほ がら み す 

さへ 元の通り 朗 かに 見透かされ たので ございます C 

^ に は ひとぐ 

.Jf めぐって ゐ たる は、 いづれ もこの 讓に ので ございまず。 fa 

リ なの まやうよ! わめきが、 御 簾を 動かす ばかり, ましたが、 そのぎ まだ! !ら ない う 札に、 f 

f び f した m の.^ 都が;: 鋭 i 恥の 辦 つき K かして、 a, 0i 

氣の 中に、 00a0, ままし く 翁 ふりかざしながら、 I- の やうん S 船 

1 しひ。. これ も あると 思へば あり、 ない あへば ないや 23, は ございます。 が、 その^^を 

,で 飛 舞す る は、 fisfsr 一つき S へる かと f i、 f ? 

居った ので ございます。 

. はか f ^ 酽邨 f P は、 g 難菌 の, あげて、 ぢっ とこの 輕 i の pi めき お 

毛 一つ 動かさう と は 致しません。 それ どころ か、 SI く i ん fer たり: ま、 

力げ あざけ こ, f / f C v!.^ «M- ^ ペン 

s 力 さも 嘲りたい の I へる やうに、 i ずき るので ございます。 すると その;^ g.. お!!: 

腹き t ねたので ございませう。 If のま は!!, をき ヒ」、 ぎ きりながら、 

「叱。」 と、 &れ た聲で 大喝し ました。 



門宗邪 ' 225 



-1.05 ^う きん.?' ふじん んき ヒも く-つちう まひ さが いた した *、 りし 

その 聲に應 じて 金 巾 神が、 ^ハ飒 と共に 中から、 舞 下らう と 致しました のと、 下に ゐた摩 利:;^ 

5 ふし ド ふもん じ ご ふ ひた ひ あ なに するど -ー*" さけ まった ど,^ じ 

乃? 1 師が、 十文字の 護符 を 額に 當 てながら、 何やら 銳ぃ聲 で 叫びました のとが、 全く 同時で ござ 

ひやう し 出た、 あ ひだ にじ ひ.^ り そら C ぼ み キ-ん かふ じん すがた あと 

います. - この 拍子に 瞬く 問、 虹の やうな 光が あって 空へ 昇った と 見え ましたが、 金 甲 神の 姿 は 跡 

キ, う か は そ うづ すゐ しゃう ねん ナ なか ふた き たま 

もな く 消え失せて、 その代りに!: 都の 水 HS の 念珠が、 まん 中から 二つに 切れる と、 珠 はさながら 

あられ かつぜんし はう と も 

1^ の やうに、 S 然と 叫 方へ 飛び散りました。 

ばう て すでみ こんが うじ やぜん ほふ しう なほ つ. う こ i 一 > - 

「御坊の \f ^なみ は旣に 見えた。 金剛 邪禪の 法を修 したと は、 とりも 直さす 祸坊の 事ち や 」 

か ほこ しゃもん おも とき ひと. <\ -ーゑ あつ たか つ, -し 

勝ち誇った あの 沙門 は、 思 はす どっと 閲 をつ くった 人々 の 聲を壓 しながら、 高らかに 力う 篤り 

こ ゑ あ よ か. I そう-つ お し を べつだん た *- を 

ました。 その 聲を 浴びた 橫 川の 僧都が、 どんなに 御悄れ なすった か、 それ は 別段と り 立てて 巾す 

と キ-ぉ で し さき あらそ す. - かいはう 

まで も ございますまい。 もしも あの 時 御 弟子た ちが、 先 を 1 学 ひながら 進みよ つて、 介抱し なかつ 

、た おそ まんぞく もと らう かへ こと あ ひた り 

たと^し ましたら、 恐らく 滿 足に は 元の 廊へも 歸られ なかつ た^で ございませう その間に,雌^^- 

し ほふし いよく ほこ むね そ 

信 乃 法師 は、 愈 誇らしげ に 胸 を 反らせて、 

よ かま そう-つ いま あめ した ほふよ むじ やう だい をし やう ,r けた ま ほふし め- みノ. てんじゃう. くわ ,<^ 

「横^の 僧都 は、 今 天が下に 法譽 無上の 大和 尙と承 はった が、 この 法師の 眼から 昆れば 天 上皇 

て" せ. つら くら たてまつ みだり き じん し えき い くわた V そう ふつで メ つ. AK;.^ 

帝の g 、: 覽を昏 まし 奉って、 妄に 鬼神 を 使役す る、 云 はう やうない 火宅 傲ぢ や。 されば 佛菩? t は妖 



1 たぐ ひ しゃくけ う だ つフ、 -,J ふ、 ノ? .5 VI 、 . . 

魔の 類、 釋敎は 墮獄の 業^と 礼した が、 、。 さも b ち \ 

- だ 牙 イノ, も. 一 ノにー あり 力 さも あら は あれ まだ こり 

うへ, ま り ほふ もん き t - ,ま :- 7 6 

ト にも わが 摩 利の 法 門へ I せう と € たれす ば、 g より 露の 艇ひ はない。 なりと もこの 

ほ. ノ おい てんじゃう くわうて、 ご とく ま メノ? ジ 

場に 於て、 天上 皇帝の 御 疆| の あたりき r れい。」 と、 禁を i みながら おしました。 

とき また ひがし らう あた フ 

その 時、 又 東の 廊に當 つて、 

「#」 と、 i しく i へます と、 I 霧の, あたり & つて、 纏と へ こなり ました 

フに, 1^ じチ, ほり か は わかとの ざ J 

の は n,5, 人で もない 掘 川の 若殿 樣で ござい ます。 

(大正 七 年り 一 お〕 



ぶ 歳 rlir 0gii¥ 聽變歸 の、 if つたき, Mb ?、 

神 g の 方へ 步, いて ゐた。 自^ち の S に は、 r if 觸ま 「もっと, あずて 1: け」 と i 

した、 下級 直らし い 人, が、 まだ 5 て ゐる舊 の に、 あみ を f でず く。 r 

^ して、 ^na i ひのけようと しても i ひの けられなかった からで あらう。 

自分た ち は 外套 11 り 合 I やうに して、 おち f 1!^ ながら、 i^i^f 

すまで は、 殆ど 一 言 もき かすに ゐた。 すると 4^ ん pst&. つ 1-、、、、 ^r:J^^k^^^^ 、 でんしゃ ま 

> プ - / ^リグ #:fll 豕カ あすこの 赤い 柱の 下に、 電車 をメ 

つて ゐる 人々 の 塞む さうな 姿 を fl,j すると、 i に 4- ぶる ひ を.) とつして、 

ま-つり せんせい こと おも .£ . , 

「毛 利 先生の 事 を 思 ひ 出す。」 と、 獨り, i の やうに 丄 ^一いた。 

まう リ せん 一. - い -. ./. 一 1 

「毛 利 先生と 云 ふの は 誰 だい。」 • 

く ちう がく せ P せ. - き V まな 

「僕の 巾學の 先生 さ。 まだ 君に は, i した ^ とがなかった かな 。- 



少- 先で Ij 毛 



229 



じぶん い々 い か は V- ま ようし ひさし K しも ; * 、 と ノ つじん 

自分 は 否と 云 ふ 代りに、 默 つて 帽子の 庇 を 下げた。 これから 下に 揭げ るの は その 時 その 灰 人が、 

ちる じ ぶん はな ま-;.' り せんせい っゐ おく 

歩きながら 自分に 話して くれた、 その 毛 利 先生の 追憶で ある。 , 1-- 



かれこれ じふ れん い ぜん じ ぶん ある ふ りっちう がく さ ん ねんき ふ とき こと じ ぶん きん えい 

もう 彼是 十 年ば かり 以前、 自分が まだ 或 府立 中學の 三年 級に ゐた 時の^で ある。 .in: 分の, #に作4- 

f.) をし あ .VI; ち せんせい い ハか けうし 々- キ- ふせい はいえん と、 き キ- うげ ふ 

語を敎 へて ゐた、 安達 先生と 云 ふ 若い 教師が、 イン フル ェ ンザ. から 來た 急性 肺炎で、 冬期 休業の 

ち ひだ ぶっこ お ま レ-. '卞」 ん てきた う こつ にん ぶっしょ,、 よ ゆ-つ 

問に 物故して しまった。 それが 餘り 突然だった ので、 適當な 後任 を 物色す る餘裕 がなかった から 

きゅう V, く じ ぶん ちう がく たう じ あるし りつ f> うがく えい/ -J け^^-し , ^ヒ まう り せんせい い - いつ 

の 翁 策で あらう。 自分の 中學 は、 當特或私立中學で英:^!^の敎師を勤めてゐた、 毛 利 先生と 云ふ老 

じん いま レ ゲ- ちせ せ 一 うけも レ ゆげ ふ いちじし よ V 、たく 

人に、 今まで 安達 先生の 受 持って ゐた 授業 を 一時 嗎;^ した。 

じ ぶス はじ まう り せんせい み しう にんた うじつ ーピ y じ ぶん さん ぺんき ふ せい レ- 

自分が 始めて 利 先生 を 見た の は、 その 就任 當:: n の 午後で ある。 肖 分た ち 三年 級の 生徒た ち は、 

あたら け, T し むか い . ^う IV- しん あつば く 、- 「うか せんせい くつおと ひ と r- い . 

新しい 敎 師を迎 へる と 云 ふ 好奇心に 壓 迫され て、 廊下に 先生の 靴音が 響いた 時から、 何時に なく 

じゅげ ふ はじ ま と-ろ くつおと ひ た けうし つ そと 

ひっそりと 授業の 始まる の を 待ちう けて ゐた。 所が その 靴 昔が、 日 かげの 絶えた、 塞い 敎 1: 辛: の 外 

と ドア ひら じぶん い うち れ き/、 とや. 一 くわう ナ 1 

に 止まって、 やがて 扉が 開かれる と、 —— あ、、 自分 はかう 云 ふ 中に も、 歷々 とその 時の 光景が 



230 



め 5^ ドア ひら き ま, つり せんせい なに さき せ ひく ぇス にに み 

服に 浮んで ゐる。 扉 を 開 いて はいって 來た毛 利 先生 は、 何より 先 その 脊の 低い のがよ く緣 口の 見 

せ も C で く も をと こ ; 1- れんざう そ かん ち.,? ヽん しきさい うぶ ほ とん 

肚 物に 出る 蜘蛛 男と 云 ふ もの を 聯想 させた。 が、 其の 感じから 暗澹たる 色彩 を 奪った の は、 バんど 

うつく け, よう ひかりく わつ- せんせい は あたま こうとうぶ しょう/^ 

美しい とで も 形容したい、 光 滑々 たる 先生の 秀げ 頭で、 これ はまた 後 如 部の あたりに、 種々 たる 

コ ^ しほ .< ^み け わ-つか ざ/ぜん たも だいぶ ぶん はくぶつ けうく わしょ ゑ で だ - 乙う たまへ, 一 

胡麻 鹽の 髪の毛が、 僅に 殘喘を 保って ゐ たが、 大部分 は 博物の 敎科 書に 畫が 出て ゐる 駝. おの 卵な 

さう ゐ さいご せんせい ふうさい ぽん じんい じ やう てう ゑつ あや 

る ものと 相違 はない。 最後に 先生の 風采 を 凡人 以上に 超越 させた もの は、 その 怪しげな モォニ ン 

くわ こ おい くろ い じじつ あ. ^ ふ ばう きゃく くらん も じ ど ほ V- うが 一ん こ 

グ. コ オトで、 これ は 過去に 於て 黑 かった と 云 ふ 事 實を危 く 忘却させる 位、 文字通り 蒼然た る 古 

しょく お せんせい をり えり 今 は は で むら V- き ネク クイ 

色を帶 びた ものであった。 しかも 先生のう す よごれた 折 襟に は、 極めて 派手な 紫の 襟 飾が、 まる 

つばさ が むすい おどろ ベ き お,、 01 

で 翼 を ひろげた 蛾の やうに、 ものものしく 結ばれて ゐ たと 云 ふ、 驚く 可き 記憶 さへ^って ゐる。 

せんせい けうし つ どうじ き わら ひ こら こ-^ すみ お-一 

だから 先生が 敎窒へ はいると 同 £ つに、 期せす して 笑を堪 へる 聲が、 そこ こ、 の 隅から 起った の は- 

もと ふ し ぎ なん 

元より 不思議で も 何でもない。 

とくほん しゅっせき^ か X ま-つり せんせい おたか がんち う せ;:. と いう ぜん たいど しめ 

が、 讀 本と 出席簿と を 抱へ た 毛 利 先生 は、 恰も 眼中に 生徒の ないやうな、 悠然と した 態度 を 示 

いちおん たか けう だん C ぼ b ぶん け;:. れャ た • た、 ^ ^ ひと ゾ * けつに よべ 

しながら、 一段 高い 敎 壇に 登って、 自分た ちの 敬禮に 答へ ると 如何にも 人の 好 ささうな、 血色 

わる *、 るが ほ あいけ う ぴ せう た こよ 

の 惡 い 丸顔 に 愛嬌 の ある 微笑 を 漂 はせ て、 



や. 先 利 宅 231 



しょくん かな, <iT,WM.M,<.s よ 

「諸君」 と、 金 切聲で 呼びかけた。 . 

じ ぶん くわ こ ざんねんかん いまだ かつ ちう がく せんせ:. しょくん もつ ぐう こと いちど 

自分た ち は 過去 三年 間、 未 嘗て この 中學の 先生から 諸君 を 以て 遇せられ た^は、 一度 もない。 

まう り せんせい しょくん いき ほ じ ぶん いちどう おも き やうたん め み ひら どう;: J 

そこで 毛 利 先生の この 「諸君」 は、 勢 ひ 自分た ち 一同に、 思 はす 驚嘆の 服 を 見開かせた。 と 同時に 

じ ぶん すで しょくん くち & いじ やう あと じ:^ げふ はう しん なに だいえん" つ 

自分た ち は、 旣に 「諸君」 と 口 を:^ つた 以上、 その後 はさ しづめ 授業 方針 か 何 かの 大演說 が ある だ 

い 今 i 

らうと、 ,3?^ を ひそめて 待ち かまへ てゐ たので ある。 

まう り せんせい し よくん い ま,. - けうし つ なか み ま は しばら な ス くち ひら にく 

しかし毛利先生は、「^ぉl^^;」と云った儘、 敎窒の 中を昆 廻して、 暫く は 何とも" を 11 かない。 肉の 

せんせい かほ いう ぜん ぴ 4j う かげ ,?,^ か. -は こうかく キん にく しんけい てき 

たるんだ 先生 の^に は、 悠然た る 微笑の 影が 浮んで ゐ るのに 關ら す、 ロ^の 筋肉 は神賴 的に びく 

うつ 一 おも か ナ * く ところ はれ-^^ め なか た お つ 

びく 動いて ゐる。 と 思 ふと、 どこか 家畜の やうな 所の ある 晴々 した 服の 中に も、 絶え す^ち 着か 

ひかり きょらい 鲁 くち だ なに じ ぶん いちどう あいぐ わん いだ 

ない 光が 去來 した。 それが どうも 口に こそ 屮:: さない が、 何 か 自分た ち 一同に 哀願した いもの を 抱 

なに い こと せんせい じ しん ゐ かん はんぜん み 

いて ゐて、 しかも その 何もの かと 云 ふ 事が、 先生 自身に も遣憾 ながら 判然と 兒き はめが つかない 

らしい。 

しょくん 

「諸君」 

ま, T り せんせい おな てっし /、りかへ こんど あと ちゃう ど しょくん い 

やがて 毛 利 先生 は、 かう 同じ 調子で 繰返した。 それから 今度 は その後へ、 丁度 その-お 君と- "ムふ 



3 

2 



こ ゑ はんき やう とら 

聲の 反響 を 捕へ 



ようとす る 如 

わたくし しょくん 



, ォた く,. J しょくん 

「こォ から 私 力 諸君に チヨ イス • リイ ダァ を敎 へる 爽 になり ました」 と、 き!: に Jig いくつ ナ 



く は 

加へ た 



--メ 二 J^i/M'^^^ L ん きんち やう かつ : 

牵 おたち は 益 好奇心の 緊張 を藏 じて、 ひっそりと を _g めながら、 ^^におお の 縦 を ひ. T 

:; て は。 が、, 毛 利 S は: itp に、 a? やうな ずつきをして、 I あぎ 

中 直 廻す と、 それぎ りで 急に 椅子の へ it ぎ は 、、つれた やうに g をお ト ろした。 さう して、 f ^ 

ゝし I J D ) - かたはら しゅっ4^き^ r ; .. -. 

"てき チヨ イス. リイ グァの 傍へ、 出席簿 を ひろげて g め f た。 この 應 たる 震の g り 

方が、 如何に 自分た ち を 失望 させた か、 i^fk PSL^. V 何に €4 たち を 

滑稽に 感じさせ たか、 それ は i らく f g もない f あらう。 

一 ft, 卞ゾ : -せ, ふ, ソ; じ ぶん 



しかし 幸に して t は、 あたちが 群 i すのに^ つて、 ぁの^^のゃぅな酽 き"ら 

ま おも :,! つ-に, -r 、ン • / rnr — f / /»vf 7- " 

こ 1 /- 、 よ ちまち じ 丄ん き- A >u-^ 

ゃ擧リ /i ふと、 忽 自分た ちの 級の-一 人 を 「さん」 づけに してし 指 f た。 iS すぐに!! を きれて、 

譯讀 して 見ろ と 「?か 相圖 である。 そこで そのが いき はきち: て、 さン ソン. クル ゥく き 

の 一節 を、 東京の 中 學生 に i ず、 ぎきいた 释で した。 それ を; rHi% せき は、 rrl 



.ゃク クイ VJ やく もと さ さい はつおん V ぅゐ いちくて いねい た ほ ゆ はつおん 

3 の 襟 飾へ 手 を やりながら、 誤譯は 元より 些細な 發昔の 相違まで、 一 々丁寧に 直して 行く。 發音は 

2 に, と,, ろ だ-卜: せ", く めいれう せス せいじ しん はう めん と,、 . な いしんと くい 

. ^に^がった^!, あるが、 大 L 體正 確で、 明瞭で、 先生 自身 もこの 方面が 特に h 心得 意ら しい。 

ト-、 ヒ 4,】 き "く せんせい やくどく はじ バた V じ ス あ-だ 

が、 その^ 徒が 席に 復 して、 先生が そこ を 譯讀し 始める と、 再び 自分た ちの に は そこ こ、 

ソリ *J う こ まし " ほど はつおん めう き は せんせい まん やく 

から 丸 の聲が 起り is めた。 と 「ム ふの は、 あれ 程發 昔の 妙 を 極めた 先生 も、 いざ 飜譯を するとな 

ると、 ,i お f はぎれない, &の t を i つて ゐ ない。 i が 知って ゐて も、 そのぎ 

i んで M に はま I ひ, せない ので あらう。 たと へばた つた 一 行を譯 する のにしても、 「そこで ロビ ン 

ハニ A - なに..^ こと い もう 

ソン. クレ ゥソォ は、 とうとう, M ふ 事に しました" 何 を 飼 ふ 事に した かと 云へば、 それ、 あのお 

fe^ n ^^^に まお ゐる 11 と, ひました かね、 i え-とよ 41- を やる 11 ね、 猪が" 

も; I つて ゐ るで せう。 それ、 額の 赤い 11 何、 猿? さう さう、 その 猿で 寸。 その を 飼 ふ 事に 

しました。」 

.^-,0 る , 、らん す こ めん う ことば なんど しう ゐ ていく わい ,, あ, W く- . - ノ 

勿; i 猿で さへ この 位 だから、 少し 面倒な 語になる と、 何度も その 周 園 を^ 徊し ん揚/ n でな けれ 

利 ば、 に る. _ ?き譯 に はぶつ からない。 しかも 毛 利 先生 は その 度に ひどく 狼 脚して、 殆ど あ 

? ) , ゾノ fcl おも まど しさ-り のどもと て たう や、 力 ほ 

^_ ひま あり 襟饰を 引きちぎり はしない かと 思 ふ 程、 頻に 喉元へ 手 を やりながら、 當惑 さうな 額 を あげ 



4 

3 



<^^^di? i まげ 露 i ら、 i 

を: て 佧 にも 面目な ささう こ r 了き、、 つまつ c £ ぶ い, とき た.^ ^> > 

, >• -. i , ィき \ ーまづ てし ま 。 さ > つ 一 kT.J; きょ、 ビー、、: ゝ *.、 ひ せんせい 

iSt -、 - 、ベ; つき ぬ > 言*.,? .2 う ョ,, - おお ^て さへ. f さな 先生 

き まるで I の拔 けた 護 £ の やうに、 pfi?. 

さ/、 : フ 1 う, か こま 一- - 力ら すれて ゐる g 足 

さへ 、もりとき 浮び さうな 心 もちが した。 それ を if I- では、 0^f - 足 

す 笑 ふ: さほ, き I きす ir 4 き £sn 、 H 

うし まひ こよ 一群 ム:^ だる" つ ミゝ、 わがへ ノー 5 と 

乙 ー,, 一 f 、おの:^ 力ら さへ 公然と 湧き 返る やう こ L よつ,^」。 ル, ん わら I 

I 1/^/ 力う 云- - 自分た ちの 笑 ひ聲が 

と V 程备 良な 毛 利 先生に つらかった か、. ( .1 ん こかな 刀んで」 つ 51 ご vi^ 、は ひぶ! き .^ 

3^ r-F. こと 、つ さ、 ず- -自/ 刀て.^ b 今日 その 刻 簿な響 を 想起す ると、 g 

^す 耳を蔽 ひたくなる 事 は 一 再,. でない。 , 

ち/ほ まう り ^ん 、 ^ - 

それでも 電利 i は、 き 時 i の il が f f るまで、 ,こ s』 ナ. い 

て、 S や:;; い-つ r よ を は ふたよ r と, 勇. 14 に 一 を 緩け て 行った。 さう し 

て riif 讀み 終る と、 5 の やうな Ifc? ム r ちの ¥こ ,よ,, 

ら、 hll ,てし まった やうに、 rri つて f 



生 先 利 宅 . 235 



み 4.-* と じぶ し うへ くみち やう しるし じぶん ご ろくに N: せいと 

て 見せる 生, 徒 11 あ、、 自分 はま だ その上に 組長の 章 をつ けた 自分まで が, 五六 人の 生徒に とり 

かこ せんせ、 ご やく とくく してき いじ じつ おも だ , 

圍 まれて、 先生の 誤譯を 得々 と 指摘して ゐ たと 云 ふ桌實 すら、 思 ひ 出さなければ ならな、 レニ、」 ま 

一 4- く じぶん じっさい とき はた :-、eLV 、 

らう か。 さう して その 誤譯 は? 自分 は赏際 その 時で さへ、 果して それが ほんた うの 誤譯カ どう. 

たしか こと なに ひと ゐば D 

か、 ^な 事 は 何 一 つ わからす に 威張って ゐ たので ある 



XI ご" つ" / お る る きう, b - じ , ^ん じ ぶん 一 ご ろくにん き かいた I- さう T やう すケ よつ 

それから Irn^ls た^!, の HI 時^で ある。 自が たち 五六 人 は、 機械 體操 場の 砂 だまりに m ま 

せ, - ふく あ., こ V か "ゆ v.-i ヒ と-ら とほ きた ベ がくねんし にん うは さ くち 

つて、 ヘルの 猜 服の 背 を暖ぃ 冬の 日向に 曝しながら、 遠から す來 る^き 學 年試驗 の^な ど を 口 

、よ * i せ、 と. -っ てっ^つ さが たいり やう じふ はちくわん 

まめに しゃべり して ゐた。 すると ゲ まで 生徒と 一 しょに 鐵 棒へ ぶら 下って ゐた, 體量 十八 贯と 

41^ふナぉぎぉぉが、飞ーち,、」と1^きな聲をかけながら、 砂の 上へ 飛び下り ると、 チョッキ ばかりに 述 

ど-つ f う すがた じ ぶん なか あら は 

動帽を かぶった 姿 を、 自分た ちの 中に 現して、 

「どう だね。 ; た 毛 利 いは。」 と 云 ふ。 丹 波 先生 はや はり 自分た ちの 級に 英語 を敎 へて ゐた 

が、 な, i 好きで、 兼ねて 詩吟が 上手 だと 云 ふ 所から、 英語 そのもの は 嫌って ゐた. ^ 劍 追の 



」、 ,が" ぎ ノやん あ ひだ 



6 

3 



選手な どと まふ S^IJ の ごも、 5 ヾ;^ つ こ . 。 !ぃ 、 

i ち t^i .^分許^iカったらしぃ。 そこで 先生が かう すと、 そ あ 

傑 連の 一 スカ ミット を 弄びながら、 



「え. -、 あんまり HI ."^ んで. ね 2 ん り、 」■、 s,-^ に、 コ い .: 

へんじ ィー • も あんまり よく 5,- 來 ないやう だって 云って ゐ ます。」 と、^ こも 

なく はにかんだ 返事 をした。 すると ぽ^ せま ズボ ノ つお.,, V ズ r%」 よ、」 ■ : とくい 

み f.^^^.^,- フォング: 仏 を ザけ て はたきながら、 得意さぅこ1^1? 

つて 見せて、 

r ゴ.^」 で き 

フ, E よりも 出來 ないか。」 

「そり や 僕より 出來 ます。」 

「ぢ や、 文句 を 云 ふ 事 はな いぢ やない か。」 

謂.;":、 ットを はめき ながら、 き I なく ひっこんで しまった。 が、 ^f^^ 

isj の,、 ば S, かけ f 、 に iri た P で、 . i - ノ 

先生に 敎 へて ,たいまつて ゐ るんで す。」 と、 議 した。 が、 き靈は g 懲 r ぞな 



、 -ーノ ふ- れ を そ おな こと 

「ば、 たった,. 一^期 やそこ いら、 誰に 敎 はったつて: M じ 事 さ。」 

^ 「ぢ や;: 、舵 It は、 fSS だけし か架敎 へに ならな いんです か。」 

この には^ ん も、 ぃ觀 m よ をつ かれた f があった らしい。 *k に 長け た 先生 は それに 

リ., - Sp う ご ぶ , "ク あ: J ほこり , 'ャ まひ はら おと じ V>I ん 

よわ ざと &に すに、 運動 帽を脫 ぎながら、 五分 刈の. 頭の 埃 を 勢 よく 拂 ひ^すと ハト わに 自分ん ち 

> .1 つどう み わた 

一 同 を 23- 渡して、 

「そり や おは、 n ^おいが だから、 と はがし n つて ゐる さ。 今朝 も 僕が^ 車へ 乗った 

^ r" , £ りか きんじょ しゃし や-つ しゃし や :么 

ら、 お! _ぃ はい まん: S にかけ てゐ たつけ が、 乘換 への 近所に なると、 『車掌、 車掌』 つて? S を かけ 

るんだ。 1^ は ザ Ik しくって、 つたが ね。 おにれ ー艮變 つた 人に は 違 ひない さ。」 と、 巧に M 頭 を 

Y« させて しまった。 が、 いの さう 云 ふ方而 に^してなら、 何も 丹 波 先生 を 待た なくと も" 

-ニ が. へ. り-どち - 二- あま ほどた く V ん 

自分た ちの 眼を駭 かせた 事 は、 あり 餘る 程澤山 ある 1 

「それから は、 魔が 降る と、 洋服へ 下駄 を はいて 矿られ る さう です。」 

M 「ぁの何ぎも斷に;-^ってゐる、 ^2ぃぉぉへ化>たものは、 ま #1:1^ 生の 御 辨當ぢ やな いんです か c」 

^ 「;^ぜぉぉがま|^^の5^^にっかまってゐられるのを5^たら、 ぜ絲の 手袋が 穴だらけだ つたって ^ 



8 

3 



はなし 

ふ 話です。」 

じ "んこ たんば せんせ 



^ /M んば せんせ い かこ 

"分た ち 1 丹 波 先生 を 園んで、 えな i にもつかない?、 ま! - から やかましく, りぎ., へ 

力 それにず こまれた のか、 自 4^ たち & がさき 4r なると、 楚 謹も旷 Tr?- 一 

お だ うんどうぎ g ぴ ! ォ / チぉ^ t1 も佝; ^カ^き き 

した 聲を 出して、 運動 帽を の 先き で ま はしながら、 . 

「それより かさ。 あの 歡チ が^^だ ぜ I 」 と、 g ますく 口ち へ . I こ、 J i 

,.0 が ほ £ー3 いお 4 う も か あ ゎづ かじ... \ --づ 口へ ほして 云 ひ 力け た 丁度 その 時で あ 

る 機 II と 向 ひ 合って、 ばかり i たって ゐる sf SQi? お/: おも- 

. p^^^. . ;-- ぶつ やま かま 、き :ン マ.^ スニ P えのお 舍の 入口へ とう 出あった 

「れ 禾先 S ひら r 古物 slfi きて、 ilis まらし く r や I、 鍵と し 

て rl 裏し; の i に は ぎ あらう、 flsM. € か |かし 

ゐ ひが、 先き き r ると、 これ は婦を ま ぎ、 if. ぶり 

に:" きの i きで、 歸 rfl つて i き. ゐ るら:; い r 

li 見た I たち は、 mEit ,の Ir つ そりと、 ま 宛 ひ i 

I つてし まった。 が、 alMPK 

たからで もあった らう。 「あの 訊 だぜ」 と、 r かけた f ちょい あして、 E く籍 



生 先 利-で ■ 239 



を かぶった と 船 ふと、 突然く るりと 向き を變へ で 、「 一 —— 」 と 大きく 喚きながら、 チョッキ 一つ 

の i ィ たか It, を、 やに はに て i— 棒へ I きりつけた。 さう して 「海老 上り」 の 刚足を 遠く 空 ざまに^ しなが 

ら さ I」 と いた f に は、 もうお の囊辦 ぬいて、 とその ぎぎて ゐ た。 

この だ^おお の^!^ な てれ i しが、 おたち をお させた の は無现 もない。 一瞬間 藤 を. ん 

だ^ «li 觀 i がお i たち は、 K 銜 のおの おを^ぎながら、 まるで!^ 纖 の應援 でもす る 時の 

t や ち まくし ゆ 

やうに、 わつ と嚇し 立てながら、 拍手 をした。 

かう^ ふ^が 1^ も^とい 一つし よに、 I つ 《おした のは^ 論で ある。 が、 喝采して ゐる に、 自分 は赞: 

のおの, 丹 ス^お を、 1^ ば In きに まみ, した。 と 一 1- つても それ 丈 又、 毛 利 先生に S£ を 注いだ と 

し -fc .,ノ ... 一 ,一 vi せ/? せ 1 あ よくし ゆ どうじ まう り せ乂 せい 

il- ふ i でもない。 その lli^ に は その lie^ が、 丹淤先 あへ 浴びせた 拍手 は、 同時に 毛 利 先生へ、 

^がれた ちの さう と rK ふ、 1^ 接 目的 を 含んで ゐ たからで ある。 ケの 自分の 頭で 解剖 すれば、 

その 1」 の Si おのい 仏 いちは、 聽§の尸ーで,ん&ぉ|1^^^1|すると^に、 ST ル くのう ム では ま毛ぅ ぎ 先生 も 併せ 

てぃぎーliiしてゐたとでもlliv^るl^^がs:^るかも♦れなぃ。 或は その 毛 利 先生に 對 する 侮蔑 は、 刊 

ぎトぉ5^「ぁの£^が^21だぜ」にょって、 一 歷 然る可き 裏書き を 施された やうな、 づ うづう しさ 



"J へて は:; も. Ill が 出 f であらう。 だから ■ は 謹しながら、 ir た if に、 

昂 S は r 校舍 の::: ^の! 2 眺め やった。 すると そこに は fi. して、 ii% きが、 まるで L 

、s を 貧つ;: ゐは * か 何 かの やうに、 ぢ つと 1 のおに ,ながら、 TS のき まなき を 

J 念 もな く獨 I 守つ, ゐる。 lilif l^^l p f£ 

f して、 一瞥の 中に 牧め たこの g や fp^?f Ihfi 

來 ない。 ;… 11 





4 



ひ 



丄 いに, ん たう じつ まう り せん A,- -プ、 V r- : 

せ-きの 當日毛 利 先生が、 その 服装と によって、 か^ちに 超させた 露の ii、 

生ぽ失 5f?) があって s、 sii すると、 , それから Yf とた. 

ひ 或 朝の 奪" る。 その 曰 &r ら i£ り? けて、 i のぎ さしぎ ゐる ぼき 霸が 

!! 根な;: :2、 」 面 "も I のき F なくなって しまったが、 それでも 疆 のおに は スト ォヴ が、 

fiiis^. ig: につ もる まさへ、 iMifr( 



とい まへ いす f まつり せんせい れい とほ かな ふ.. り- --ぉ 

1 溶けて 行った。 その ス卜 ォヴの 前に 椅子 を据 ゑながら、 毛 利 先生 は 例の 通り、 金 切? us を ふりしぼ 

4 

2 ねっしん たか し もちろん たれ ま 

つて、 熱心に チ ョ イス • リイ ダァの 中に ある サ アム • ォヴ • ライフ を敎へ てゐ たが、 勿論 il も 露 

じめ み. - かたわ せいと どころ じ ぶん となり あるじう だう せんしゅ つ- V 

面目に なって、 耳 を 傾けて ゐる 生徒 はない。 ない 所 か、 自分の 隣に ゐた、 或柔. 迫の 選ず の 如き は、 

とくほん した ぶ け ふせ かい おしか はしゅん らう ばう けんせ うせつ よ 

讀本 の 下 へ 武俠 世界 を ひろげて、 さっき か ら押 川春浪 の 冒 險小說 を 讀んで ゐ る 。 

かれこれに さん じっぷん つ!^ うち まう リ せんせい きふ いす み おこ す> やう ど 

それが 彼是 二三 十分 は 綾いた であらう。 その 中に 毛 利 先生 は、 急に 椅子から 身 を 起す と、 丁度 

1 ま をし し レスせ い い もんだい べん だ しゅし こと 

今敎へ てゐる ロング フエ 口 ォの 詩に ちなん で、 人生と 云 ふ 問題 を 辯 じ 出した。 趣 匕 H は どんな; だ 

さら き おく のこ おそ ぎ ろん い せんせい せいく わつ ちう しん かんさつ 

つた か、 更に 記憶に 殘 つて ゐ ない が、 恐らく は 議論と 云 ふより-も、 先生の 生活 を 中心とした 感想 

おも い せんせい はね ぬ とり た やうて 

めいた ものだった と 思 ふ。 と 云 ふの は 先生が、 まるで 羽 极を拔 かれた 鳥の やうに、 絶えす. 跑乎を 

あ さ あわた てうし しゃべ なか 

上げ下げしながら、 慌 しい 調子で 饒舌った 中に、 

しょくん じんせい しょくん 

「諸君に はま だ 人生 はわから ない。 ね。 わかりたい つたって、 わかり はしません。 それだけおば; 

かう ふく われ ノ\ じんせい くる こと お ほ 

は 幸福なん でせ う。 我々 になる と、 ちゃんと 人生が わかる。 わかる が 苦しい 事が 多いです。 ね。 

^ てる こと お ほ わたくし こ ども ふたり がく かう あ 

^ 苦しい 事が 多い。 これで 私に しても、 子供が 二人 ある。 そら、 そこで 學 校へ 上げなければ ならな 

/ い。 上げれば 11 え \ と 11 上げれば 11 學资? さう だ。 その, 资が 入る でせ う。 ね。 だから 



なか/ \, 、る こと お ほ 、 ) . 

中々 苦しい 事が 多い :•:• 」 と f やうな きの あっき を、 かすかに 1 えて ゐる からで ある。 が、 

t 知らない 中學ぎ g つて さへ、 MmM^ る— PIT- ない, でも g〉 てゐ る、 

の 心 もち なぞと 云 ふ もの. は、 ;^.り^たちに|^きされょぅ辩がなぃ。 それより, ると そ 

じじつ 二つ ナ 1 そくめん ス 二- * :> - 

の事實 の、 滑 f 側面ば かり 見た 自 おたち は、 かう 纏が てて ゐる f 、 M から ともなく 

くすくす笑 ひ 出した。 唯、 それが if の たる に il かった の は、 聽 のぎ f し 

ふノ 、さう かなき りご ゑ しわ ベ 、 ,: 

い 服装と 翁 管 あげて 饒舌って ゐる とが、 11 にも 翁ん それ じあの M くお きれて、 き、 

ぶん どうじ やう おこ - : ンメ? -ヌー *^ 

分の i を 起させた からで あらう。 しかし^たちの!^ひ,、 それ, ずくなら なかつ あ 

りに、 暫くす ると、 自分の il, ゐ たお, iattt! お を さし & いて、 m^fy$ 

示しながら、 立ち上った。 さう して f を 一い ぶふ かと II ふと、 . 

「先生、 僕たち は蒙& へて, If に、 權てゐ ます。 ですから それが g へて, なければ、 

敎室 へ は, いって ゐる必 I ありません。 もしもつ と 震が i くの なら、 Is? から 

行きます。」 . 

かう 云って、 その 攀は、 Tisi^f い i をしながら、 磨に g した。 



生) 利乇 ' 243 



とき まう り せんせい くら ゐ ふしぎ かほ ひとみ こと せんせい .X いう くち 

の 時の 毛 利 先生 位、 不思議な 額 をした 人 を 見た 事 はない。 先生 はまる で 雷に 擊 たれた やうに y 

なか あ ま- そば ギフお いちに ふん あ ひだ たビ へう かん 亡い. -ー 4^、 \ 

を 半ば 開 けた 儘、 スト ォヴの 側へ 棒立ちに なって、 一二 分の 間 は 唯、 その 懍 悍な 生徒の 額ば かり 

たが か く め なか なに あいぐ わん へう じ 4- う き は 

眺めて ゐた。 が、 やがて 家畜の やうな 眼の 中に、 あの 何 か を 哀願す る やうな 表情が 際どく ちら 

ひ^め おも きふ れい むら V- き ネクタイ て に さんど は あたま さ 

りと 閃いた と 思 ふと、 急に 例の 紫の 襟 飾へ 手 を やって、 二三 度 宪げ頭 を 下げながら、 

わたし わる わたし わる ちゅうく なるほど 丄 よべん えいご. チ * ら 1 ゆつ 

「いや、 これ は 私が 惡ぃ。 私が 惡 かった から、 重々 あやまります。 成程 諸君 は 英語 を 習ふ爲 に屮- 

せき しょくん えいご をし わたし わる わる V- ゅラ /、 

席して ゐる。 その 諸君に 英語 を敎 へな いのは、 私が 惡 かつ. た。 惡 かった から、 重々 あやまります 

;も めう く な び せう うか なんど おな こ ひ 

ね。 重々 あやまります。」 と、 泣いて でも ゐる やうな 微笑 を 浮べて、 何度と なく 同じ やうな 事 を 繰 

かへ くち あか ひ ひかり な、 め あ うはぎ かた こし け き I ノ .V にろ 

り 返した」 それが スト ォヴの 口から さす 赤い 火の 光 を斜に 浴びて、 上衣の 肩 や 腰の 摺り 切れん: ゆ 

いっそう あざやか うか み おも せんせい は あたま さ たびみ ごと しゃくどういろ くわう. たく . 

が、 ー曆鮮 に 浮んで 見える。 と 思 ふと 先生の 禿げ頭 も、 下げる 度に 見事な 赤銅色の 光 を 、ひ 

いよ/、 だ てう たま-ご 

て、 ^駝鳥の 卵ら しい。 

き どく くわう けい たう じ じ ぶん いた-つら せんせい か とラ けうし こんじ やう ばくろ 

が、 この 氣の 毒な 光景 も、 當 時の 自分に は 徒に、 先生の 下等な 敎師极 性 を 暴露した ものと しか 

おも まう り せんせい せいと キ げん しっしょく き けん ざ 

思 はれなかった。 毛 利 先生 は 生徒の 機嫌 をと つてまで も、 失職の 危險を 避けよう として ゐる。 だ 

せ/せ 一 けうし せいく わつ ため よ ぎ なに けうい く J きょうみ 

から 先生が 敎師 をして ゐ るの は、 生活の 爲に餘 儀な くされた ので、 何も 敎育 そのものに ■ 〔味が あ 



猾 i 

さつ 

ラ 

な 



ん产 せ 



るからで はま;; 1^ ながら こんな iKir きお,、 おは ii と I おい & する f 

ばかりでなく、 人格に 對 する 握 さへ まじたがら、 チヨ イス; イダ ァ のぞ I ぎつ いて; 

;:? る:! ト:: ヴヒ- きき 1.1.. 夢に されて ゐ る,、 

き;. きれ は、 つき も f な,。 i ぎ 

ゃりこめた柔道の選\;;,なぞま、 S?2„T!A Jklwfy ご^"ゃ1ドに ,- 、 じぶん はう み 

,,;, . 3..t1 力.;: J を久 つて 謝 a 非す ると、 ちょいと 自分の 方 を かへ つて、 



穴 を:! 5: しながら、 すぐ«^き:^01^ こち,/な」.^れん.,$,:^ぉ^せ、ぅ1!; 、 べんき! はじ 

J くタ i ネの 下に あ 7-.F^n 春浪 の冒險 小: 〈说 を、 勉強し始め., こもの 

である。 



"、れ から 休 I 間の g| がきる まで、 きき 纏 はき T より g にし どろ もどろ になって 、あお 

I ' ^- 7 / or 7 . - えに む さん やくどく I 

も 巧き ロン ク フエ 口才 を 無二無三こ^ 賣 

けっしょ くわる I せ r 一 Ir き』 しょうと し, K 「Llfe IS real, life IS earnest. 」 — あの 

は 色の 惡ぃ 丸き 汗ば I て、 ぎす r れ ざる t か あ ながら、 かう 望の ^ずた、 

f.-c ) N; 、でな きり ごも W こん こち .ui 二 . ;- t 一) t- / 

まつ まり さうな 金 I は、 今 曰で も のお ああって ゐる。 が、 その 籍? ほこ, 

, いく ひゃくまん ひ さん ty^rc -s< - 7 ^ V -IT----oh ジ 

でゐ る幾百萬 の 悲慘 な: <腓2 き、 $f ■ たちの i を ベく、 1 りに 霸な も? あ 

つた。 だから その 時間 中、 倦き mil を赠 ねた 4$. たちのお は、 I ー疆ぁ r)g あ; て」 



'卜.' あ 利-で • 245 



じ ぷん ほか すくな まう り せんせい 生へ 4 つ ひ -Ar, だ ちょ, 、りつ 

もの さへ、 自分の 外に も少く はない。 しか.,^ 毛 利 先生 は、 スト ォヴの 前へ 小さな 體を 直立 させて、 

まどガラス と ゆき ぜんぜん とん;: やく あたま なか ゼン マイ いちじ いき ほひ た 

窓で W 子 を かすめて 飛ぶ 雪 にも 全然 頓着せ す、 頭の 中の 鐵條が 一 時に ほぐれた やうな 勢で、 絶えす 

とくほん ひっし さけ 

讀本を ふりま はしながら、 必死になって 叫びつ ^ける。 「Kfe is real, life is earnest. Life 

IS l.eal, liie is earnesr. し 



しおい いす. "がくき こ よ-つき かん ヌた、 まう り せんせい すがた み ことで き 

かう: ムふ 次第だった から、 ー學 期の 雇, S 期 問が すぎて、 再び 毛 利 先生の 姿を兒 る 事が 出來 なく 

とき じ ぶん よろこ けつ を おも 

なって しまった 時 も、 自分た ち は 喜び こそ すれ、 決して 惜しい などと は 思はなかった。 いや、 そ 

よろこ い き で ほど せんせい きょしう れいたん い し ことじ ぶん 

の 喜ぶ と 云ふ氣 さへ 出なかった 程、 先生の 去就に は 冷淡だった と 云へ るか も 知れない。 殊に, ai 分 

しち はち ねん ちう がく かう とうが く かう かう とうが く かう だいが,、 し だい おとな したが 

なぞ は それから 七 八 年、 中學 から 高等 學校、 高等 學 校から 大學 と、 次第に 成人になる のに 從 つて- 

い せんせい そんざい じ しん ほ とん わす くら ゐ ぜんぜんなん あいせき いだ. 

さう 云 ふ 先生の 存在 自身 さへ、 ^ど 忘れて しま ふ 位、 全然 何の 愛惜 も 抱かなかった ものである。 

だいがく そつげ ふ とし あき い ひく しば/、 ふか もや お じうに ぐ わつ しょ 

すると 大學を 卒業した 年の 秋 と 云っても、 口が 暮れる と 置 深い 露が: 卜り る、 トニ 月の 初 

じゅんち か なみき やなぎ す かけ き は ある あま よる こと 

旬 近くで、 並木の 柳 ゃ鈴懸 などが、 とうに 黄い ろい 葉 を ふるって ゐた、 或 雨 あがりの 夜の 事で あ 



I o じ ぶ- ん かんだ ふるぼん や こんき 

る 自分 は祌 m の 古本屋 を根 氣 よくあさり ま はって、 li ま霸が f つてから、 めっきり さな 

つた if 一二 冊 手に入れ たま、 S 一く ともな あいて ゐる のおい f を、 髮 ま 

、、 i 、、- 9 > な 力に しゃ まへ とま X 5 :■ ^ > : 

きな 力ら i 中 西 屋の前を通り やる と、 化 ま, i と、 1£| とがぎ, くな つた 

ので、 そこにあった カツ フエの ひ 一とつ へ、 t ぎくき りで はいって ぎ。 

ところ 

%"";:パ;:見::とカッ"^中は、 狹 いながら がらんと して、 i の 1 は t:< もない。 f 

並. I た大! 石の き 上に は、 砂 霞の S ぱ か-が、 ぉ歸の m^s して ゐる。 f I 

で 誰かに 欺かれた やうな、 寂しい 心 もち を Ir がら、 まに はめこんだ ままの、 テ おがつ 一. まり 

ぉ,- : -rv k - ^ ^/ W 一 一二 J* 

を 下した。 さう して、 用 を i きに fibril をォ ひつける と、 颭 ひ!. したやう こ霸 を!, し 

何 本: 墓:: S 句、 やっと それに f つけた。 すると f なくぎ ぎぎた き i 

茶碗が、 自分の 卓の 上に 現 たが、 それでも ん だき は、 てゐる まの やう こ、 P 

な事 では f さう もない。 とぎて S 摩から!, つてお たの は、 1- の ,環の 穩 だから、 

^つかく めいろん ぶん .-ちぺこジ : - 二. 5 17 

6 モ では 折角の 名論 文 も、 1 頁と 讀 むの はきう である。 そこで じ自 ぎし 仕ず. なく、 ff^^ 

2 を もたせて ブラジル 珈琲 とハヴ アナ 4 ああ ひながら、 すぐ 1 のぎ i がお へ、 纏と f 



生 先 利 宅 



247 



々.- し せん 

切らない 親 線 を さまよ はせ た。 

.it- み な. A に かい あが はしご だん そくめん はじめ ^ -^. かべ しろぬ ドア かべ おんがくく わい 

鋭の 屮に は、 二階へ 上る 楷子 段の 側面 を始 として、 向う の 壁、 白 塗りの 扉、 壁に かけた 昔樂會 

くわう こく ぶ たいめん いちぶ み さむ うつ ほう 

の廣吿 なぞが、 舞臺 面の 一部で も 見る やうに、 はっきりと 寒く 映って ゐる。 いや、 まだ その外に 

だいり せき テ エブル み お ほ しんえ ふじゅ はち み てんじゃう さが でんとう み お ほが た たり 

も、 大理石の 車が 見えた。 大きな 針葉樹の 鉢 も 見えた。 天井から 下った 雷燈も 見えた。 大形な 陶 

き ガ ス だんろ み だんろ まへ かこ しきり なに はな さんよ にん きふ じ すがた み 

器の 1 斯緩爐 も 見えた。 その 緩 爐の前 を 園んで、 頻に何 か 話して ゐる三 g: 人の 給 什の 姿も兑 えた. 

じ ぶん か^み なか ぶっしゃう じゅんく てんけん だんろ まへ あつ きふ じ およ 

さう して, ! かう 自分が 鏡の 中の 物象 を 順々 に點檢 して、 緩爐 g 前に 集まつ て ゐる給 什た ちに 及 

とき じ ぶん かれら かこ テェ フル むか ひとり きゃく すがた おどろ 

んだ 時で ある。 自分 は 彼等に 圍 まれながら、 その 卓に 向って ゐる 一人の 客の 姿に 驚かされた。 そ 

いま じ ぶん ちう い のぼ おそ しう ゐ きふ じ む い L キ J 

れが、 今まで 自分の 注意に 上らなかった の は、 恐らく 周 11 の 給仕に まぎれて、 無意 Pi に カツ フ H 

コック なに おも と々 - じ ぶん おどろ なに > も 

の 腐 了 か 何かと 思 ひこんで ゐ たからで あらう。 が、 その 時、 自分が 驚いた の は、 何も ゐな いと m:- 

-^■-c.- く ひ か 5>- み- なか うつ きゃくす がた わ-つか よ- -がほ 

つた 客が、 ゐ たと 云 ふば かりで はない。 鋭の 中に 映って ゐる 客の 姿が、 こちらへ は に 横顔し か 

み は だ てう たまご は あたま かっかう い こしょ V 、さう ぜん 

見せて ゐ ない にも 關ら す、 あの 駝鳥の 卵の やうな、 未儿げ 頭の 恰好と 云 ひ、 あの 古色蒼然 とした モ 

ようす 一 さいご えい ゑん むらさき ネク クイ いろ あ い わが ま-つり せんせい い 

ォニ ング • コ オトの 容 子と 云 ひ、 最後に あの 永遠に 紫な 襟 飾の 色 合 ひと 云 ひ、 我 毛 利 先生 だと 云 

こと ひとめ し - 

ふ 事 は、 一目です ぐに 知れた からで ある。 



ヒ ぶん せんせい み 



8 

4 

2 



自分 は 先生 を 見る と 同時に、 ぇぉと^1^?とを^ててゐた;_1ぺ|.の_^|^を、 Is, こ^が ほ 、おひ 

浮べ た。 チヨ イス. リイ ダァを 1!" つ c,o"」リ"-^は4t 、小 ま 、は まき けむり しま t な ., 

じ ぶん じ :ん でつ - ゐ オリ,!/ の 叙 長と 今 こ、 で 葉 卷の堙 を靜に 傲から IT して 



r 自 自 S に: r:^f は、 fni. が、 すべて を r 

流す 「時」 f ;JS_£f 塞 露ぎ かり は、 #1 き F かった か 

ら であらう か" S まの カツ フエで SEE? つて ti は- S として, あの, 

け うしつ とくまん , くし > , ノノ /, 一 二 ^ ^ P (I 

もずない 11 本を敎 へて ゐた 露で ある。 I げ, 11.. ない。. 禁爵も g じ 

力なき りつ 一 ゑ -ィ AJr J I t 3 \ っズ 

それから あの 金 切 まも —— - さう、 ノ / vr i^t 小」. 、ふま ま、 きりし-. 一 あ は t i: 

i ンめ > しつ レへは 先生 は 今 も あの 金切聲 を^り あげて、 1^ しさう にぜか 

給仕た ちへ,、 說明 t して ゐる やうで ま .H〈,^。 ;; TT お ま ま」,、^ ィ I;*- ;: メ、 た.、 いつ た 

きぶん わす 一,. - 力.. -カ 自分: す 微笑 を ぼべ ながら、 何時か ひき 立た な 

い 氣分も 忘れて、 ぢ つと 先% の i おにず; した。 

「そら、 こ、 にある 形容詞が この 雞を K する。 ね、 ナボレ オンと い S の は ひ 人と さま だから • 

そこで これ I 詞と云 ふ。 よろしい かね。 それから そ の雞を み 見る と、 す あに— この 十 あ 

にある の は、 何だか 知って ゐ るかね。 え。 お I はどう だい。」 

1;:^;? ん けい くわん けい: し 

「關係 I; 關係名 一 I。」 , 



ふじ ひとり ども こた 

9 給仕の 一 人が 吃りながら、 かう 答へ た。 

2 なに くわん けいめいし くわん けいめいし い くわん けい ^ んポ いだいめ & く;^" 

「何、 關係 名詞? 關係 名詞と 云 ふ もの はない。 關係 え \ と 1 .si 係 代 名 一; 卞"? さう さう 關 

係 代名詞 だね。 代名詞 だから、 そら、 ナボレ オンと まふ 名詞の 代りになる。 ね。 代 名 il と は 名に 

か は こ とば か 

代 る ,;f" と くだらう。」 

はなし ぐ あ ひ まう り せんせい ォ j 少じ , え, ゃヒ ^^>^ . . Z ゝ . -- .V 

話の 具合で は、 毛 利 先生 はこの カツ フ H の 給 什た ちに 英; を敎 へて でも ゐる らしい そこで 自 

ぶん いす ちが ゐ ち また か. >み c;v はた テェ. 1;- ル うへ. , ? ノ ほん 

分 は 椅子 を すらせて、 違った 位置から 又 鏡を舰 きこんだ。 すると rai^ して その 单の 上に は 讀 小ら 

いっさつ ひら ま-つ リ せんせ::. 1 へェジ しキり ゆび た いつ- , せ、 つめい 

. しい ものが 一冊 いて ある。 毛 利 先生 は その 10; を、 頻に 指で つき 立てながら、 何時までも:^:^明に 

あ よ.,.' す てん i たせんせ い い ぜん むかし とほ た j> た, ) 

厥き る容 子がない。 この 點も亦 先生 は、 依然として 昔の 通りであった。 唯 ま はりに 立って ゐる 

ふじ とき せいと はんたい みなれつ しん めかぐ や め じろ お かた あは- , -,. p^^v 

給仕た ち は、 あの 時の 生徒と 反對 に、 5:^ 熱心 な^を 輝かせて、 目白押しに 肩 を せながら K 

せんせい せつめい かた ナ_ 

しい 先生の 說 明に おとなしく 环 を 傾け てゐ る。 

じ y お か i- み なか くわう けい しばら なが あ ひだ ま- 「り せんせ; - せ _ い をん ぶ や-, し.. でい や、)! Is. , 'へ,. C 1 ん 

自分 は 鏡の 中の この 光景 を、 暫く 眺めて ゐる 間に、 毛 利 先生に 對 する 温;^ が 次第に- M 諷の^ 面 

T うか き つじ ぶん , せんせい きうく わつ じ-め あ た ぶんせん せい 

利 へ 浮んで 來た。 j そ 自分 も あすこへ 行って、 先生と 久淵を 敍し合 はう か。 が、 多 ハカ 先生 は、 たつ 

k 、し..; かくき みじか あ ひだ けうし つ - ^ほ. あは じ ぶん お ぼ , t^-;.^^ , - 

/ た:, 期の 一お、 >ir 敎窒 だけで 額 を 合せた 自分な ぞを覺 えて ゐ まい よし 又覺 えて ゐる としても 



o 

5 



じ ぶん そつぜん 」 ,一う じ ,ン ぶん せく-. - 

- 自分 は 卒然として、 當時自 かたちが. ぎ i びせ かけた、 ,の ある I- ひ g を g ひ r すと、 

^^.^.^ - ■>. : . はう はる,^ . ,一-し ナ、 ,,,: I 



けつ 今、 よくな の 



驚 名乘 なぞ は あげない?^ が、 isfi する ああした。 そこで f が r たの 

AA.^ ;〔 み. f* 力 よまき す 

を I にして、 短くな つた f を 捨てながら、 ^tfpi. それが た, でも、 

やはり 先生の 注意 を 接した ので あらう。 かまき ri れ ると, に、 謹 は あの: お、" 

1 い あのうす よごれた 觀を、 あ dsig を、 一 ぎこ ちらへ ふり % けた。 S の やう あ 

き 服! おの r が、 HFi^-^m^l ^. 0i. 

は、 さっき 自分が 豫想 した,、 して & ^62 ぎた と f S らしい もの も f でゐ ない。 き、 

そこに M いて ゐ たもの は、 きの, きもの か を、 に i^g レてゐ る やうな、 きまし い f ざし だ 



けで あつ 力 



じぶんめ ふ 



自分 は f 伏せた 儘、 Irr ら歸 をぎ とる と、 

.f^? ちゃう い 4っ^^ぅ£ じ y3 -> . $: 、 I ^± ジ *u 

へ 勘定に 行った。 I に は 4 も if みの、 g を 藤に r た が、 慰 さう に?」 ゐ 

る。 

「 h えいご をし ひと 

「あすこに 英語 を敎 へて ゐる 人が ゐる だら う。 あれ はこの カツ 7 H で i んで g へて 念 かね。 - 



生 先 利 宅 



251 



じ ぶん かれ はら た-つ キ ふじが し...:. と ぐち そと わ,.. 'らい なが i-> 

自分 は 金を拂 ひながら、 かう 尋ねる と、 給仕 頭は戶 口の 外の 往來を 眺めた!!、 つまらな さうな 

かほ こたへ き 

顏 をして、 こんな 答 を 聞かせて くれた。 

なにた G わけ だビ- まいば. -ん き をし なん 

「何、 頼んだ 譯ぢ やありません。 唯、 每晚 やって 來 ちゃ、 あ \ やって、 敎 へて ゐ るんで す。 何で 

らう キぅ え、 一, 一 せんせい やと い お ほかた ひま 

ももう 老朽の 英語の 先生 ださう で、 どこでも 储 つて くれないん だって 云 ひます から、 大方 暇つ ぶ 

/、 n ォヒィ いつば い ひとばん\^ぅ すわ ありがた 

しに 來 るんで せう。 珈琲 一杯で 一晩中、 坐り こまれ るんで すから、 こつ ちぢ やあん まり 難 有く も 

ありません。」 

き とも じ ぶん さ 5 ざう とっさ わが まう り せんせい し なにも C あいぐ わ/、 

これ を 間く と共に 自分の 想像に は、 咄嗟に 我 毛 利 先生の 知られざる 何物 か を 哀願して ゐる、 あ 

め うか き うり せんせい い じ ぶん せ/せい せんせい けなげ じん. かく はじ はう 

の 服つ きが 浮んで 來た。 あ, -、 毛 利 先生。 今 こそ 自分 は 先生 を 1 . 先生の 健 架な 人格 を 始めて 努 

„ ^つえ こ.. 1 ろ うま けう いくか い せんせい じつ 

鬆 し^たやうな 心, もちが する。 もし 生れな がらの 敎育 {ま と 云 ふ ものが あると したら、 先生 は實に 

せんせい えいご をし い こと くうき こ キ ふ い こと とも -r. ス こく 

それで あらう。 先生に とって 英語 を敎 へる と 云ふ蔡 は、 穴 n 氣を 呼吸す ると 云 ふ 事と 共に、 寸刻と 

ハ へど や ことで き しゃ ちゃう どす ゐ ぶん うしな しょくぶつ なに せん 

雖も 止める 事 は出來 ない。 もし 强 ひて 止めさせれば、 丁度 水分 を 失った 植物 か 何 かの やうに、 先 

せい わう せい くわつ りょく そくざ ゐ び せんせい よ ごと えいご をし い 

生の K 盛な 活力 も卽 座に 萎微 してし まふので あらう C だから 先生 は 夜毎に 英語 を敎 へ ると 云 ふそ 

キ- ょラみ うなが ひと いつば い コ ォヒィ す、 く もちろん キ: ふ I 

の 興味に 促されて、 わざわざ 獨 りこの カツ フエへ 一杯の 珈珠を 唆りに 來る。 勿論 それ は あの 給; 



刹ミ 
那な 

の 

間 ま 

>- だ 

ん 
な 

を 

ずレ 



io- などに、 暇つ ぶし を 以て 目 さるべき 悠長な 性質の もので はない。 まして I せ おたちが、 

の 誠意を 疑 つて、 生活の 爲と i ザた の も、 ,なって はおら ■ の 1 はない i であった。 g 

へばき 暇つ ぶしと ま 露 ふ、 £ の 製な に、 

こと あと . --, I 

しんだ 事で あらう。 元より さう f 苦しみのお にも、 S はぎえ す纖 たるま f おしながら、 

むらさき ネク クイ や t たか ズぅ み、 -ー y 

あの;. S 襟 飾と あの 山高懵 とに 身 を 固めて、 ドン .キ ホォテ よりも^ ましく、 ^ま の, |g をお 

けて 行った。 しかし 先ぎ i あに は、 それでも 聽 として、 纏の ■ あける きたち の— 

—恐らく は 先生が 面して ゐる この £ 鍵の, li£grp が、 i ましく おって ゐた 

た 自分 は、 泣いて 好い か 笑って 好い か、 わからな いやうな き t 動に ませ 

うづ そう/ 、 ,1 ニー e つ 

を 埋めて、/ f カツ フエの がへ r。 が、 I ず は 利せ 先ん せ 生いが、 ず 

さむ でん とう ひかり した きゃく 

ぎて ま 震の 光の 下で、 客が ゐな いの.,; き、 ssi^ ふりぎ て、 きずち こ 

えいご をし ,1 / { 

まだ 英語 を敎へ てゐ る。 

,—な .^.は ことば だ-め * し , -, -"J* し 

_ 名に 代る 詞 だから、 代名詞と 云 ふ。 ね。 化; 詞。 よろしい かね …… I c,4<: 止 七 ヰ 十,, 月) 



られ ながら、 外套の 襟に 節 



い か せう せ つ よ しゅる ゐ 

srs??. 呼ぶ 種 S の もので はない かも きれない。 iff fffi 

まま 書いて 見た; f$ iiMr^piiM.^, 51 

あるまい と 云 ふ 懸念 も ある。 が、 この SI は それ を r つめて けば、 靈ぎ! もお, * だ 

H、 そこに? 安んじて、 ijf にした。 fii! 

必 しも ありのままで はない。 唯 事 f の もの だけが、 せまりの まま だと 一 rf つけ,^ へて 



お 





ぷ ふい /- ぐ わつ— , あさ --さ 



十 - 月の 或 晴れた 朝で ある。 . ^しぶりに i 、か if ぎ、 露へ すたら、 1 



正門 前で やはり 



、 *1 , つ かくば う 

を, た^ぎに # つた。 こっちで 「や あ」 と 「K ふと、 うで も 「や あ」 と 「ム つた。 一し よに 两帽を 

2 1 ベて、 爵 g のおい s„ はいったら、 l^i^s のぎ、 ^ 

hn いちど い 

我 はもう 一 度 「や あ」 と 云った。 

ハ r ちながら ョ^ で、 ^vi-z さう として ゐる 同人 雜誌 『新 思潮』 の 話 をした。 それから 松 岡 が この 

IF ^ひく!;^ へ^て^て、 Kifl? 斅 かか i かの^ Si へ はいった が、 ^bH で^っても、 お^は 

ぉ!!!;ぉもがる!^;^^がなぃ。 I だ LI つて、 へぎお i に& いて?^ たら、 惜だった,4^ふ^§ 

. I で?, や つ つもり じっせん も ある と ちう き J では , 一. や, , : ヽ 、 

をした。 1 は 電車へ 乘る 心算で、 十錢 持って 歩きながら、 途中で 氣が變 つて 煙 fsT 屋へは V ると 

お I 一として 「|^, 殿 を ひ 一とつ」 と つた だ II だから こんな 家 は 家常 茶飯で ある。 その 中に、 is の やう 

こづか ひ あさ じかんし かね ふ お ほい そ 、 ん:^ ん とセ -、 :o 

な 小 使が 朝の 時 問 を 知らせる 鐘 を 振って、 大 与-ぎで 玄關を 通りす きた 

, b . > 1 二 V? せんせ. - か 一つぎ まつ を か わか なる^1ヽ 

あ 氣の時 n よもう 故人 こなった ロォレ ン ス 先生の マクべ スの 講義で ある。 松!; と 分れて、 成 * と 

f, 'パ 

I- ^iのs^iへi^くと、 もう II ぜ い!^?^ が つて、 ノオト を讀み 合せたり、 むだ 話 をしたり して ゐ. 

分 た。 ||バも偶の|^の^に就ぃて、 新 思潮へ 書かう として ゐる 我々 の 小 說の話 をした。 我々 の 頭の 

の - 

事 "おの! 一 に は、 ま靈 とつ H ふお が S つてあった。 が、 我々 は 話しながら、 ポケットから 敷 島 を 5,- して 



256 



吸 ひ 始めた。 勿論 我々 の 外の 學 もも、 £^ で P を. ふかして ゐた。 すると ザ」:, ォ レンス 、 

f かかへ て、 はいって おはき を rg ききって しまって、 fi あからす てた お だ 

つたから、 更に 恐れる 所な く、 ノオト を i いた。 しかし Si はま だ if g へて ゐ たから、 すぐ 

な それ I へ 捨てる と、 慌てて 靴で きみました つ, 口 オレン ス璧は ll^g がば r 葡る、 

^ . 1 ^ でう けむり き 

5 とした 一 條 のきに 氣 がっかなかった。 だから g 纖を つけて しま ふと、 麵 rK 

義に とり-か ふた。 

1; うぎ :レ t 二 . 一 

講義の つまらない 事 は、 當時 扉 r つた。 が、 その t^i につまらなかった。 ir のべつ 

幕な しに、 菌 ばかり まされる。 それ も Aet 】, sei 2 とー1^ふ释で、 づ くさり づ つや 

るの だから、 そ QI さは:^ g ,だった。 S は S はかう に、 よく 1 の ie- で 着へ 

なき はいつ たんだら うと 思 ひ 思 ひした。 が、 ,はそん あ も, ない I、 このぎ f 標を 

聽 く?, i なくされ たきに、 すっかり i:3 ぎて ゐた。 だから その も、 鮮 おお. ペン 

お ュ ていげき 寸 がキ- え、 りく - I 1^ f { ハ 

I 力して 帝劇の 筋 書の 蒙の やうな もの を § よく, した。 が、 その ii に i に I つて ゐ 

るス ティ ィムの 加減で、 だんだん, なって がた。 そこで iil、 fft. 



^の 分 自の顷 の あ 



257 



. ちぺ ェ ジ で ク じふ Z せんせ, なん い やへ つ 

うとうとして、 ノオトに 一 頁ば かり ブランクが 出来た 時分、 & ォ レンス 先生が、 何だか 異樣な 

g を il したので、 I がさめ た) 始めはち よいと 居睡 りが 見つかって、 叱られた かと 思った が、 見 

きん チ > fc ま は とくい もんばん 一一 わいろ つか じ メん 

ると 生" は、 マクべ ス の^を ふり i じながら、 得意に なって、 門番の 聲色を 使って ゐる 自分 も 

あの £f の 類 だな と 思ったら、 急に 可笑しく なって、 すっかり 眠氣 がさめ てし まった。 隣で は 成 

せ と.?^1^じ ぶん はう み ひと わら また n にさん 

瀨が ノオト をと りながら、 時々 自分の 方 を 見て、 くす くす 獨 りで 笑って ゐた それから 又 二三 

べェジ じ かん か, n な じ ぶん せんせい あと 

頁 ノオト をよ ごしたら やっと 時間の 鐘が 鳴った。 さう して 自分た ち は、 ロォ レンス 先生の 後から 

けうし つ そと <1 うか あ ふ だ . 

ぞろぞろ 敎窒の 外の 廊下 へ 溢れ出した。 

. で き .H た に は じ: S もく み おろ とよ だみ のる-、 ん き 

廊下へ 出て、 黄い ろい 葉 を 垂らした 庭の 樹木 を IB- 下して ゐ ると、 豐田 實 が來 て、 「ちょいと ノ 

^ ^£ あみ とよ だ. くんみ J 

オト を 見せて くれ 給へ」 と 云った。 それから ノオト を 11 けて 見せる と、 豐田^^;の見たがってゐる 

と: ろ ちゃう どじ ぶん ゐ ねむ ところ ざすが けこ , き はう ふゆく, :■ とひ だ べん,、 「、 y 、 、、ノ 

所 は、 丁度 自分の 居眠り をした 所だった ので、 流石に 少し 恐 縮した。 豐田 15 は 「ちゃよう ごさん 

- 、5 ぜん むか . いう ぜん い けつ いか げん けいよう 

す」 と 「ム つて、 S 蔽 一と 向う へ 行って しまった。 悠然と 云 ふの は、 決して 好い加減な 形容 ぢ やない 

じつ?、.? み い つ いう ぜん おる 七よ. た くん いま なに ぜん , - 一で しょ-";. f 

實際君 は 何時でも、 悠然と 步 いて ゐた。 豐田 君 は 今 どこで 何 をして ゐ るか 率然とした 事 は 承, 5- 

せんせい かう ひ も も せんせい かう い も がくせい うち、 

しないが、 口才 レンス 先生に 好實を 持ち、 若しくは II ォ レンス 先生が 好意 を 持った 學 生の 中で 



8 

.5 



i^/、 い つ 

我々 :l と 云って 惡 るければ、 n^. に it の, み を f てゐ た、 

"人間で ある。 自分 はこれ を i さぶ るず も、 ,i とした f き あ ひぎす と、 ip 

君と大學の廊下に^-って、 せ 5? な |1の 觀 でも 18 たいやうな ぎしな, でもない。 

J.r:ir、 鐘が て; 5 は 1? き 露へ rf なった。 ^ri-Mr 

I 學の騰 である。 m の &牝は f おへ つて、 ちゃんと まの 1- へ f とって F が、 i 

の 我 は L 何 f で::かき i つて、 ^isr. そのき もや! き g 

^ 愈 録が 鳴る 塁まで、 見 i しの f hiQmrs にて ゐ たので ある。 ,a ぎ, 

力く カーつ,. き らう^. ^ I 'h^ L I IT 1 1 ジ 一 一一-に II 丄 n 

學の讀 は、 .V の劍々 たる 音吐と グロテスクな 聽 を r だけで も、 疆の髮 1 の ある もの.. 

つた。 尤も 自 おの f 、 義顯 g^fri に?! しい" g にと つて は、 それだけで 纏. Mr 

は た 4 ひ 直: jr 別に 襲へ はな" if. ノオト をと つたり やめたり しながら、 

半分 はさう 云 ふ 興味で、 マ、 ノクス, ミ」 -7 r 、、、二,. 、 ご- 、い かう ざ おもしろ キ, 

じりん? - せき 、 、、ユラ ァ 力とう! したと か 云ふ 膽を面 まって 聽 いて ゐ 

た。 すると 自分の 前の 席に、 I- ああい s£ つて ゐて、 その! ^あの ぜが、 のノ 

オトの 上 を、 掃く やうに さらさら ,すぎた. M^^i^iii ど严ン 



I れ うけん ちゃう はつ だく は こんにち いた と .--i* き- ゥ、 ぅノな 

9 一 ふ 了見で あんな 長 髮を蓄 へて ゐ るの だか、 つい 今日に 至る まで 問 ひ 質す 機 < ^を づて しまつ 

. たが、 ぎぎれ が P 射の IKiK? に は てゐて も、 £ の i^li 讓ぁ g し i- あ を i , 

けん X - まさ げん- *) がく か-つぎ き じ t ざ、 ±JS か f . 

見した の は 正に この 言語 學 のき 義を 聞いて ゐた 時間で ある 。しかし!^"、 その 講義 を聽 かう と 一: ム 

じ ぶん じ r さいご キ えう キ-ぅ ほどつ う つ かみ け 3 やま ヒこ 

弋 自ハ 刀の 實際的 要求が それ 程 痛切でなかった から、 髮の 毛が 邪魔に なった 所 だけ は、 ノオト を 

す お うち じ?. ところ 《 よ V- X 

とらす に 拾て て 置いた。 その 中には 邪魔に ならない 所で も、 ノォ卜の^£りに!.ー3|を衝く:5:;にした。 

處カ {k うに 坐って ゐる、 何とか ふ 恐し く ハイカラな 舉 生の 横 觸 を、 半分が た 描いた Iff く 

力ね な か- 「ぎ +1 はり し • どうじ ひる こと i » 1. 

鐘が 鳴った。 講義の 終 を 知らせる と 同時に、 午に なった 事 を 知らせる i, である。 

.x5/\- 、い, J - たいが. く へ いつば くしゃ に かい い ノ オダす ゐ に じつ ベん」 -ぅ く く 

我々 は 一 しょに 大學 前の 一 白舍の 二階へ 行って、 曹達 水に 一 一十 錢の 辨當を 食った。 <:^{ひながら 

こと パん あ じぶん なる あ rV で ^ なり ハダへ. え うじ if , - ヒ ヽ 

いろんな 事 を 辯 じ 合った。 自分と 成? g との 間に は、 可 * 懸隔ての ない 友情 が^って ゐ た。 その ll:" 

I その 頃 は 田.^ 想の 上で も、 1 致す る 點が少 くなかった。 殊に ri" とも、 偶 11 時に 「ジ アン • クリ 

よだ どうじ .A んぷく > レ-き まご-ち 

の ス トフ」 を讀み 出して、 同時に それに 感服して ゐた。 だからかぅ!!^ふ時になると、 ^^の や-つに 

»rH . ^一 H あ. H メ、. *-t ま ぶ ) : V 

I E を 合せて ゐる 癖に、 やはり 話が はすみ 勝ちだった。 すると 一 1 やの ゐる? きろへ、 lilf のおが やって 

^ き さう 1 けな はじ ま ^!-バ /\ 

來て 相場の 話 をし 始めた。 それ も 「まかり 間遠ったら、 これになる 覺 悟で なくつ ちゃ です 



て うしろ み さ-〕 

ね」 と、 手. を 後へ ま はして 見せた の だから 成 である。 おき は 「ぎ %だ な」 とぎて、 がりが 口 はな かつ 

たが、 當時 「財布」 と 云 ふ 小 說を考 へて ゐ たかぎ、 さまざま なか 4 で IS かった から、 PL 

まふまで 谷の 相手に なった。 さう して i な 響の 議を、 T ばかり Tfg へられた。 

午後 は膽 がなかった から、 と, で、 議の 還に S して ゐ あずの is 

募った。 久米は t おおのな まけお だから、 S で? ずき I 曰 

いて ゐ たので ある。 行って i ると、 やはりお i に歸 i をぎ て、 「力: ゾ 7 髮 j か I か 5 ^ゆ 

んでゐ た。 あたれと 云 ふから、 我々、 も その g ききつ へ はいったら、 tli んの ャ ひが、 fjplf 

と 一し よに 鼻あった。 や S の攀 に 腐した さんの?、 議 にして 1, いて 

ゐるき つた。 小說 はこれ が處女 うだから、 鬚ぅがっかなくて呢るとも?!^った。 :,、 S 

^^!„、ょ. な」 f i プ .-ォ 条 

ーフ I 好 ささうな 管して、 餘り 困って ゐる らしい 容 でなかった。 その i で 「ぎ どうした-と 

き .H よま 「- - .> - # L 

訊く から、 「やっと i を卞 分ば かり 書いた」 とおへ た。 もゲ, 罕 が f ル ブスへ r つた 

と 3 はなし - ーメ - - . Z VI \ 

時の 話を書き かけて ゐる きふ 事だった。 それから, で、 : 人ず の r へたき f r ながら、 編 

6 さく じ う ふよ, よ メ - わ、" -- 、-. ■ ' * y . 

2 作 上 i 氣ぃ^ じた。 5^1^ は S 隱 崎 の 2| からぎ て、 すっと, より 握だった。 と P 



に; らー デリても、 ゃはり&れ々\に^-べると、 一 日の 長が ある 事 は事實 だった。 特に 

^ 2n ぎこの ぎ、 ^^S^^M^mftm^f. f ざる に 緩 ひて 

T I i > J * れ, レズ;" し あるひ し ぶんだんて きち み さう 

ゐた。 だから 雜々 の 中で 久米 だけ は、 彼 自身の 占めて ゐる、 或ば 占めん とする、 文 境お 地 :!^ に 4^ 

こ > -ん また、 つ つ た がんかう しゅて い たん いだ われ/ ヽ 

|i な SUM を 持って ゐた。 さう して その 自信が 又 一方で は、 絶えす 眼 itv- 低の 歎 を 抱いて ゐる 我々 

に、 ||.^211^の^&を|'び|!す^^としても働ぃてゐた。 實際 自分の 如き は、 もし 久 米と 友んで な 

かったなら、 Ifl の^^に よって、 崎に インス ピレ H シ ヨン を iiV る機會 がなかった な 

ら、 し S^Y^ の iis^ たるに して、 お II なぞ は I 曰かなかった かも 知れない。 さう ームふ 次第 だ 

から 趣^;^ が uti なると —— と||^ふょり|^|^に隠^ひた^^^£ると、 何時も 我々. の 中で は、 

がギ 4: ず を^る^" があった。 その" n も^が i 一 i とりで、 大分 議論 を 上下した が、 何 かの 關 係で 

た やま-、 わた 1. し たびく もんだい C ぼ き, - 5.y- 3 

あ ffi 山 花 袋 氏が 度 々問題に 上った やうに 記憶す る 

S こう、" がんが し ぜんし ゆぎ うんどう だけお ほ は \と う ぶん. ザ乂 - : I 、 ま/, た ひ, と,.^ 

I マに なって 公平 t に考 へれば、 自然主義 運動が あれ 丈 大きな 波動 を 文壇に 與 へたの も 全く 一 つ 

S は,§^の;^ん^のが"^|^^しめたのに1_^なぃ。 その & ぎりに お 於 ぞ田山 氏 は、 氏の 「妻」 や 「田 舍敎 

£ - > ^ i 、くつ ないし またし へいめん ベう しゃ ろん い か えま 〔- : - V- 、や-. 化 -.is く 

事 # 一が:^!: に鉱 im であるに しても、 乃至 又 氏の 平面 描寫 論が 如何に 幼稚で あるに しても 碎に 我々 



6 

2 



こラ +6 * ナ. - * 

,J じ 輩の ^ 息, I とまで 行かなければ、 pimmmffsi が、 へ 

i^.H .J 「ヽ. :t 一つ.:.、.^ / - げっ くわう せいよぐ つ Jt 2^ ^ f .Ki 力ら 

VTV は F の.^ 說を 貫して、 月光と ^、 ^ はっけ 

や 2 ん、 " 性 f を, て は 何もの も發 見す 暴 は-なかった。 と^ 

? 氏の 感想 や 許論 も、 その怪しげま iaHuyiansQ;i^B;f$?.t」f さも k 、 まづ 

ほけ い たいせう : , ^ び r ス仃 4、 が を.:^ 力され る 度に、 先 Dlu-hll 

"tir I ぺバッ として ゐ たか あ t び も 1 さ うぢ やない。 iMf"^ 

一に, Tl- j、、1 目". m> - ^ - - )L さ、 り ほんしって き 1 ナ 禾 / きさし 5, しに 

r ベ 田,^ ネぬ ししての 氏 は、 更に 本 露 I な もの だと .4^ 、 ^ ,れ く 

sfih^JSJ . ; 力つ. i それらに 义立 つて? は、 

1-^.. C r ,め? ドぼ舊 き lli き— これが ■ が、 

"益へ 冠ら せ "は J 名だった。 扉 は、 纏 や Eiifrr. fs.^ 

いて ゐた。 いや ダし して^/.:、 rx?,,.^ キ - I ん な. #:V1 ヌナ 4』 

5- こな 1 どつ f 一 f へ は づき 多く も 紀行文で、 そのお vis Lfi§ のルば 

る- -Ny スを點 出した ものに 過ぎな かつ さう して そ; t^gk んを 力き、 て b お/ひ じ いう f 

く:?、 いく f つ しゃ -ュ| , > 一 ミク 糸, ぐ 1?"^ を 養 レてゐ る 時の 氏-な、 自 おひ、 

快 活で、 正直で、 加ぎ にも どい 铲さ を, ヒ& ンこ、 お iv 一? と: ろ 

チ nr.fir、 た ぎ 資無 f 所があった。 it- て それ だ 

まて は 田 山 氏 は ユー 一 イク だ あはう が, らうが 襲へ ない. が、 が を £禁 の, 



事の分自のヒ:]^のぁ 



さんよつ か い てんき ひ こと じ ぶん ご ぜん ぎ-, しゅ, 5- せキ: > 、 ff.^,^ 

三 四日た つた、 これ も 好い 天氣の 日の 事で ある。 自分 は 午前の II 義に出 rtg してから 成 瀬と 二 

り くめ デ ン ゆく , いつ ひるめし く , 、め き やうと きくち け さ. 《 ^く I 

人で 久 米の 下宿へ 〔れつて、 そこで 一 しょに 書: 飯 を 食った。 久米は 京都の 菊 池が、 今 T ほ 送って よこ 

. ぎ f よく げんかう み 一に かお とうじ ふらう -トひ い. 、* が はじ CJH ぶ.,' な I ま ヽ i^, 一 や, ル W じ:^ 

したと 云 ふ 戯曲の 原稿 を 見せた.〕 それ は ー| 坂 田 藤十郞 の戀」 と 云 ふ 德川 時代の ネ 1 お 5^ 役者 を Tf- 人 

公に した 一 幕 物だった。 讀め とつ K ふから 請んで 見る と、 テ H マが 面白い のに も關ら す、 無. に 友 

*,」 ん ちりめん せリ. •- ぉミ なが ゐ か ふ-つし たに ざき じゅんい ちらう し V,. うはく な く;^ 

-; ,縮緬の やうな 臺辭が あくって、 どうも 永 井 荷 風 氏 や 谷 崎 潤 一 郞 氏の 糟柏を t"i" めて ゐる やうな 觀 



^ . ^つし さう か ぶんだん ん 一い と かんが こと いま さら で き にく *5ズ りよ ところ い 

がたり、 ぼ, 思想家た る 文壇の 泰斗と 考 へる 事 は、 今よりも" 史 に出來 憎かった。 遠^のない 所 を 云 

し ぜ.? しゅぎ う V? どう お し こうせき -ご VJ なに じだい じ: だい > „ し、 へ-つ, , 

ふと、 ま^ 主義 運動に 於け る 氏の 功績の 如き も、 「柯 しろ 時代が 時代だった からね」 なぞと 1- 蔑し 

てゐ たもので ある。 

^ > . き え., > .= たなる せ ふたり く め げし ゆく で で じ ぶん みじか 

ガ g こんな やうな ぐ ポ焰を あげてから、 又 成瀨と 二人で、 久 米の 下き ど 出た。 出た 時分に は 短 

\J ^ ふめ レ b うら. - が か *b おと われ/ \ 4v ^ /\ L - ^ 

ぃ夂 A の nn 脚が、 もう 往来へ 長い 影 を 落して ゐた。 我々 は 我々 のよ く 知って ゐる、 しかも? £ になつ 

-ー. つ ふん かん ほんが うさん ちゃうめ かど ある い 1 , ノ., 1^ く,.'^ 乂化 t 、 3 - - ; 

かしい 興奮 を 感じながら、 本鄕三 丁目の 角まで 步 いて 行って それから 训々 の. 物 車へ 乘 つた 



^> y y * - o - ^ し、/ J ん ごん か あくさく 

力あった だ 力ら 自分 I 下に 惡作 だとけ なしつ けた。 06fi やはり if ぶな 

いとき た。 久 f ? の 批評 を I いて 、「f きおな いんだ. Yi に M4isisir 

UJ^ マと、 i を 表した。 それ か あ f ivrg あきて、 0i^^ 

評 1 手紙で 書いて やる 事に した。 そこへ ¥w きも i びに がた。 £ は! 3^;- が 透お こ!! 

よ- か、. H .*-:c つ,、 「 ^ / 0^ 

I いて ゐ るのに も關リ す、 獨り S 化へ はいって ゐた。 が、 i 觀 f i じ やう こ、 濯 もす 

る 心算だった。 g は, の で、 r,f g しかった。 ひ 一とし きりは n;< で、 ば P して 

ゐた事 もあった。 それ は£遍^ にある、 銜遍 編 あだった。 第.^、 t^.. が, マ ン ティ 

はだな ほ f; 今!^ あの 靑 いき- P きて、 ァ トリ H の やうな i へま 184 えて、 その 

ほ を i!t 正雄ェ f 名 づけたい などと r、 ない? よくぎ ゐた。 ■ は gii る 

1 宿 ほ! 5 する::、 * 時 も かき ふお あ をお ひ f たもの だった。 が、 0i( 

曾! ェ 服と は 緣 のない it 心 もちな り をぎ てゐ るら しかった。 まだ そ f なか 

p- : , - ゝ かれ うち しゅうけ う に まひ 1 ftfl /X 

M 力 彼の 中には 裏の きする ものが、 もうふん だんに きして ゐた。 i は その if も K 

洋 ともつ かない イエ ルサ レム 9 建設 を もくろみながら キ ェ ル ケガ アド あ, たり、 I しけな お 



-ノ, ^ ,r つじ > I ^ waz-v 一、 ぐ わ ひ 上 は-つ はるか も 5 

5 を擗 いて 見たり した。 當時 彼の 描いた.^ 彩畫の 一つに さかさま にした 方が 遙に畫 らしくなる 

^ 、.,., .;:,_!"< のち まつ &か く め みや うら うつ とも ほんが やうめ 

. ものの あつたの は、 今でもよ く覺ノ えて ゐる。 その後 松 岡は久 米が 宮 裏へ 移る と共に、 本 矩五丁 は 

< 1, し A 、 リっ - i し j; か でん や 一 いれう と み まく も G ぎきょく か 

へ Tti を^した。 さう して ケ でも そこに ゐて、 釋迦傳 から 材料 を 取った 三幕物の 戲曲を 書いて ゐ 

た。 、 

> L 、: -- ^ .lyc- く ! C- て 1 コ ォヒィ t たばこ け むリ も, r/\ な 力 さ 力ん 

^^^:^!^:^は、 义久 米の SJi^ii の 珈琲 を 唆りながら、 煙草の 煙の 漠々 とたな びく 中で、 盛に いろん 

b r: あ - 一ろ ちゃう どむ しゃ 一つ S さね あっし まさ ちゃう じ. う、 た ♦ ' - 

な I ぎ t を しゃべり 合った。 その 頃 は 丁度 武者 小路 實篤 氏が、 將に パル ナスの 顶 上へ 立ん うとして 

-tj し-:、 b /\ ち- si し i/ ヽし V- くひ,? しゅち やう わ さい のぼ われ/ \ たして い- >^ ^ 

ゐる i だった。 I ザて 犯.々 の でも、 » 氏の 作 やその 主張が 話題に 上った。 我々 は 大抵 武 

^^船^が お 魔の 1?<! を^け ^つて、 さ i^KJS- を だれた « を體 i に盧 じて ゐる ものだった。 恐ら 

くこの ききい は、 ^^|ひ^2」1してがた^々、の時代、 或は 我々 以後の 時代の 靑年 のみが、 特に 痛感し 

われく" ビ: ^ h.> N . つ ぶんだ,.? および いぐ わい かんしゃ うか し .^ぃ ひ, やう.^ 

あ たが もちだら う。 だから 我々 前と 我々 後と では、 文壇 及 それ 以外の 鑑賞 家の 氏に 對 する _ 評!^ 

^ H: ト-- r - C . や * 乙 ちゃう ど われく い £ われく い ご た や *H くわたい し 

^ の^<^^に、 81 底が あつたの は 已むを^ない。 それ は 「度 我々 以前と 我々 以後と で、 H 山 花 袋 氏に 

自 -,, 、?, T > さ > つ ,3 おな こと た r さ • っゐ ていど むしゃの こう.. り し た やまし" 、 、 

分 M する ぎ 仏が、 相違す るのと :!: じ 事で ある。 (唯、 その 相 遠の 程度が、 武者 小路 氏と m 山 氏と で 

事 どちらが 3ル こ 1^ いか は 疑^で ある。 念の 爲に斷 つて くが、 自分が 同じ 事 だと 云 ふの は、 程度 ま 



5 

6 

2 



で 含んで ゐる 心算 ぢ やよ、。) が、 がつ; ^い、 ^^は"ぅ15 し ぶんだん メ 

1 ふ しみめ 一. き 一 _ 北 ま,^^」, 又ぎ の メシャ を 見 はしなかった ■) 

nf • としての f る r—i つ • は、 

S ほ。 作家 U の S 蒙 は、 lif ぎ、 Fpsf た r 

"-- ノ;: ;容:| 卽 不離な 關ぼ、 L 饩が K んが 「きぎの てゐ るのに もば はらす- f : 

UM^ ; TP ,ぎ、 こ ili きて ir: つ 

:。 ズ 力.; 氏し 力 從ド冷 股に 見 てし ゐた f 、「そのき ま r き、 ,としてし 氏に £ を i め 

, さう して 氏の 脚,^ から は、 次 翁 こその まつお 谓ぉ圹 rf.^ 、、、お r 1 い 

ぶ rs ひやう 4 ぎょく 一一き, (- グダお なト お曲^ 耍素カ 失 はれて、 (全くと は 云よ, ょハ > Y 

部の 批評家が 戲曲 でない やうに f 「裏 f の £^ YiTi のぎ r き」」 

fv 「ぱ え. かしょ し.. しん > ー齒ー .^の 丄 てーム へ はや はり 戯曲 的に 

ブ, -き f 得た 個所が ある。) 氏 I のみき る!^ が、 i る i ちり あ こし-」 

そ:」 へ はいって 來た。 し? てこに i られた S なり 離 r は、 g ぎきい きおな 讓 

h 惜 H ゐ" だけ、 そ 4 惑の 「i にき かれた ものより, つた。 fp 

ま に 親しんで ゐた は、 &Iii^ff Mr 

い-力 多かった。 が、 それと 同時に、 Ma<i. の? こきえ てゐた S 



事の 分 自の琪 の あ ' 1£1 



しゅき ひ ふ いちじ くわ-つえん けな たいふ-つ を 1 か. り ひ、 そ こと じ. r 

in 義の火 を 吹いて、 一 時に 光焰を 放た しめる だけの 大風の やうな 雄々 しい 力が 潜んで ゐる _ ^も 事 

じつ わう/ \ ちぶ ひひ やう か し ざっかん し ぢ ろんり けっかん し てき ろん 

實 だった.。 往々 にして 一 部の 批評家 は、 氏の 「雜 感」 を 支持すべき 論理の 缺陷を 指摘す る。 が、 論 

ゆ .1 ェ たしか しんり こと みと ちま われ/ \ にんげんてき そ しつ た 

现を 待って 確め られ たもの のみが、 眞理 である 事 を 認める に は、 餘 りに 我々 は 人間的な 素 1^ノ を 多 

り: CL, う も なに に/げんて き そ しつ まへ まじめ い し 

量に 持ちす ぎて ゐる。 いや、 何よりも その 人間的な 素質の 前に 眞 面目で あれと 云 ふ, それ こそ 氏 

せんめ 1 お ほ しんり ひと ひさ し ^んしゅぎ おでい ほんらい めんもく しメ 

の閭 明した、 大 いなる 理の 一 つだった。 久しく 自然主義の 淤 泥に まみれて、 本來の 面目 を 失し 

ユウ マ 二 チェ ごと ひ かたぶ くれ およ ぶんだん ふた. * びす がた あら は とき い 

てゐた 人道が、 あの H マヲの クリストの 如く r^nEK きて 暮に 及」 んだ文 培 一に W 姿 を 現した 時、 如 

か われく し とも こ、 ろ もえ こと かん げん じ ぶん ごと せけん し ぜんぜん 

何に 我々 は 氏と 共に、 「われらが 心 熱し」 事 を 感じたら う。 現に 自分の 如く I 問から は、 氏と 全然 

ic^z > け,, かう さく か ひとり か;. て にんげん こんにち なほし ザ-つかん よ かへ 

1^ 對の俊 向に ある 作家の 一人に 數 へられて ゐる人 問で さへ、 今日 も猶 氏の 「雜 感」 を讀み 返す と、 

つね むかし ±_ つ はい こうふん いっしゅ A- も かへ く われ/^ すくな じ ぶん し 

常に 昔の 懲湃 とした 興奮が、 一種の なつかし さと 共に 還って 來る。 我々 は 11 少く とも 21 分 は 氏 

ろば こ の なんち ユウ マ ニテェ むか ため ころも みち し あるひ き えだ き 

によって、 「驢馬の 子に 乘り 爾に來 る」 人道 を迎 へ る爲 に、 「その 衣 を途に 布き 或は 樹の枝 を 伐り て. 

みち し せんれい しめ もら 

途 に 布く」 先例 を 示し て おった ので ある。 - 

V しんぐ はなし あと われく みないつ く め げしゅく で ほんが うさん ちゃうめ なる せ,, まつや: か 

散々 話 をした 後で、 我々 は $11 しょに、 久 米の 下宿 を 出た。 それから 木鄕三 丁目で 成^と 松^ 

わか くめ じ ぶん でんしゃ ぎんざ い す こ はや 51 ん めし 

とに 別れた。 久 米と 自分と は 電車で 銀座へ 行って、 カツ フエ 二フ イオンで 少し 早い 晚叙 をす ませ 



I 



3 

6 



てから ちょいと |伎座 の 立 見へ はいった。 はいると ま稱が ので、 ず 8£ さ 

. へ、 更に 不 S な ものだった。 露に は,, た懇 があって、 靈の S が ST に- 簾 

H の やうな 花 を 綴って ゐた。 さう して その の で、 おの 5;s ま、 f ^op^^ 

い:::! た。 1 の 下町に W ちながら、 なる ものに 讓 のな, ぎ、 ,にまして 

"同様に、 J 多 H ラ マテ イツ f イリ ユウ ジ ヨン は f ,おない I、 0a 

間だった。 (或は * 淡に ならされた: a かも r ない。 擧 をぎ f n 濃の g から、 よく i の 

ものと, 1 しょに 見た。) だか あ f り も S の g が、 sfe よりも ゼ ば 露。 勉 i が、 S が 

J はは 面白かった。 も あの iL ゐた、 どこかの ぎ 鍵ら しい、 

せ栗 臭 ひながら、 ぎに 蒙 をぎ ゐ る,、 ,の # よりも t ずあった。 この,, 

に麵を 見て ゐ ると 云った が、 11 に ま 又 1?f やず i;^ あって ゐた。 それが だれた 

かま ふと、 甘 f 一つつ まあして、 きる が f いか かれる、 "だれた お ふと、 おろ 

手 ^ 入れて、 つまみ 出す が 早い かきつ あ ふ。 しかも その 晴 rgiY ,て、 ^ 

臺を 離れない。 |はこの&^^と&俨の羅ぁ;けに1^て、 i ひ は その P 晨 ばか 



なが かれ じしん しん"/ つもり き み 

り 眺めて ゐ たが、 とうとうし まひに 彼 自身 は どちら を 露劍 にやって ゐる 心算 だか、 尋 いて 見たい 

^ き き とき じぶん そば くめ たちばな や む で, ば-..' お ほ 

やうな 氣 がして 來た。 すると その 時、 自分の 側で、 久 米が いきなり 「橘 屋ぁ」 と、 無鐵 砲に 大きな 

-, も i ..-」 じ. t おもめぶ たいはう み なるほど まな 

t\ を 出した。 自分 はび つくりして、 思 はす 眼 を 舞臺の 方へ やった。 昆 ると 成程、 女 をたら すより 

まハ 」< たら のう う ざ る 5 もん わか ざ むら ひ しょうよう に は-つた ある く ところ 

化に は 何 等の 能 もな ささうな 羽左衞 門の 若侍が、 從容 として 庭傳 ひに 歩いて 來る 所だった。 が、 

ヒーより お + ,一な もの く 6 たちよな や み- い ぜん あまぐり く /、 

隣の 御 店 者 は、 久 米の 「極 屋」 も 耳に はいらない やうに、 依然として 廿栗を 食 ひながら、 食 ひつく 

6 ぶ み 7 なが じ ぶん こんど こっけい わら あま しんげん き 

やうな 服で 舞臺を 眺めて ゐる。 自分 も 今度 は その 滑稽 さが、 笑 ふに は餘 りに 眞劍 すぎる やうな 氣 

f また せう せつ ろ かん ぶたいう. へ し 5- ゐ せっかく 

がして 來た。 さう して 又 そこに 小說 めいた 心 もち も 感じられた。 しかし 舞臺の 上の 芝 i5 は、 折^ 

匕す- 'f なや お > ? けお てる かたし &5 い.!." やう ぞくあく じ ぶん ひと. *?、 1 

その 「橘 屋」 が 御出でになっても、 池 田 輝 方 氏の 畫 以上に 俗 惡 だった。 自分 はとうとう 一幕が 待ち 

き ぶ た 、, ま は しほ く め そと で 

切れな くって、 舞臺が 廻った の を 潮に、 久米を ひつばつて 外へ 出た 

ほし-つきよ わ うら 一 で こ ゑ だ ばか い くめ, なに.. , » 

あ 星月夜の 柱 來へ屮 Z てから 「あんな 聲を 出して、 莫翻 だな」 と 云った が、 久米は 「何 あれ だって 

.Kac ハくぃ こ ゑ じ まん ようい ぐ みと いま "sfa こ.^^ カスカ, . J J 

f 中々 好い 聲 だよ」 と 自慢して 容易に その 愚 を 認めなかった。 今でも あの 時の 事を考 へる と 彼 は 

•Is の た X おも 

分 カツ フ H • ライオン で 飲んだ ウイ ス キイに 祟られて ゐ たものと しか 思 はれたい 

の 



270 



ミ 

トー 體大學 の is ,どと r もの は、 4fimf ,やって、 iMf.^ 

學 科が ある けれども、 あれ は £ を やって ゐ るんだ と!! ふ? f きを やって ゐ るか、 f, 

つ B と はわから な いん 1 成 霜?^ して ゐる もの は、 i£n さう して そ 

の j<j なる もの は、 "libm^, か f とか r るに や i ひない。 Ltsir 

る學問 だね、 あれ は, 一 裏 i だら うか。 S 製した 8? かあつても r が。) もし ig 

とすれば、 (1 むづ かしく へば wiiihafr」 して 靈す るのに 講な, をぞ ると すし 

ば だね。 さう け P 蒙と 同じ ものに なつち ま ふぢ やない か。 いや、 露ば かり ぢ やない。 i 

史な ts、 始 から 史學と 同じ もの だら うと? ふんだ。 そり ゃ囊? sir つて ゐるき 

にや; も 蒙 や 豪と 緣 のない もの だって、 露 ある。 が、 その 體 ある もの は、 雾こ お? 

と は 思 はれない I ないか。 あれ はま あよ 4 へば 露の 1P4 ベた も, で、 f^-f 

ら めだから ね.) だから の觀 i んぞ は、 fs^iip 



拿の 分に 1 の顷の あ 



^71 



ぶんがく がいろん なに び がく いつ ぶん 力く し し がく かた ^〔i , 、- 

文學 概論 や 何 か は 美學と 一 しょに する。 文學 史は史 學へ片 づけて しま ふ。 さう して あとに 殘 V た 

かう ぎ えう で だいがくぐ わい < f C . で い,' 一 メ、, 

講義 は、 要するに 屮 I たらめ だから、 大學 外へ 驅逐 しち まふんだ。 出たらめだからと云って.^1--/。り 

あま かう しゃう だいがく がくもん けんき-つ もくてき ところ ふ つりあ ひ い I- 

れば、 餘 りに 高 尙で、 大學の やうな 學 問の 研究 を EI 的に する 所に は、 不 釣合 だと 云っても: S レ 

だし か もく か きふむ おな で しんぶん ざっし 、で ひ 5« う 、ろん 、 ぶお ノ. 

これ は 確に HI 下の <11 務 だよ。 さもないと 同じ 出たら めで も、 新聞 ゃ雜 誌へ 出た 評論より 大警 て 

か-つぎ はう じ やうとう かい てんか あた やす じつ しんぶん ざっし, 、で 

やる 講義の 方が、 上等の やうな 誤解 を 天下に 與へ 易い からね。 それ も贲は 新聞 ゃ雜 誌へ 出る 力 は 

せ けん あ ひて だいがく はう がくせい あ ひて * .. ^ ,1 ' r 

,i ^を 相手に して ゐ るんだ が、 大學で やる 方 は學生 だけ を 相 乎に して ゐ るんだ から それた け は 

キー やく あ", H あんぜん で いっそう はく 力/力 

脚が 露れ すに すんで ゐ るんだら う。 その 安全なる 出たら めが、 ニ歷范 をつ けて ゐ るの は. どう あ 

ふ 二う へい じっさい ぼく む せきにん としょくわん ほん よ くら ゐ れ うけん だいがく 

へたって 不公平 だ。 赏際 僕なん ぞ は無資 任に、 圖書 館の 本を讀 まう 位な 了見で、 大學に はいって 

い まじめ けんきう しん お いったい ぶんがく けんきう 

ゐ るんだ から 好い が、 面目に 研究心で も 起したら、 一 體 どう すれば 文學 の硏究 にな るんだ か 

ヒ はつ が いす" か はさんき げんつ 一 がくて き * えいぶんがく けんき リ 

途方に くれち まふの に 遠 ひない。 それや 巿河三 喜さん の やうに 言語 學 的に 英文 學を 研究す るん な 

りつよ てってい おも 

ら、 立派に 徹底して ゐ ると 思 ふんだ。 けれども さう すると、 シ H クス ピィァ だら うが、 ミル 卜ン 

し しば ゐ えい ぎ や-つれつ ぽく キ- 

だら うが、 詩で も 芝 ほで も なくなって、 唯の 英語の 行列 だからね。 それ ぢゃ僕 はやる 氣 もない し、 

たうて い もちろんで まんぞく い 

やった つて 到底 ものに はなり さう もない だら う。 勿論 屮:: たらめ で滿 足して ゐりゃ 好い が、 それな 



272 



ら御 I にも へ はいらす ともの,。 sf^fit is しぶ? > , 

んならぶの科へ管置ぃ^,がどへ霸が|ぃてゐるかゎからなぃ。かぅまてぎ 

學 科の レエ::" デェ トル は、 まあ i お S き, ねぶ、 いくら i ぎ も、 葡の g が 

くつち や、 勿論ない のに 劣って ゐるぁ ふもん だ。 ?てゐ る, は、 f^§f 

何、 あれ は 中 學の敎 師を靈 する i に S だ? |くは|^断をーミてゐるん|なぃ。 こさ 

は眞 J 蒸 謹なん だ。 ail ちゃん 4iig あ ふ も, が ある。 

扉? 範を^;. ろなん 4 ふの は、 それ こそ it だ。 そのぎ i で 化っても さるべき も 

n.§^. 蒙 i は r お. れ をき てし まふが 4 い。 - - 

ころ あるひ ふる ぽん J0、 :リ - 7,51> し 

そ の 或 日、 古本屋ば かり f でゐる SKi ^を!: きながら、 ■ あ, をつ かまへ て、 こ 

んな 議論 を ふっかけた とが ある。 

じふい す, ぐ わつ すゑ . 

十 一 も そろそろ 末になら -?」 して ゐる 蹇、 フィル. ハァモ 二 ィ きぎ 



ノ ひ むか われ/ \ おな いふく き く め あ 二ろ じ ぷん われ/ \ たか 

3 きに 行った。 I;;: つたら、 向う で 我々 と 同じく 制服 を 着た 久 米に 遇った。 その 頃- H 分 は、 我々 の屮 

7 

2 、- ちばん おんがく つう い じ ぶん いちばん おんがく つう ほど ほど われく おんがく えん とほ にんげん 

で 一 番音樂 通だった。 と 云 ふの は 自分が 一 番音樂 通だった 程、 それ 程 我々 ir^i:! 樂に緣 が 遠い 人間 

じ ぶん む やみ お/がく: わい き ある かんしゃう もノ二 れ うかい 

だった ので ある。 が、 その 自分 も 無暗に 昔 樂會を 聞いて 歩いた だけで、 鑑赏 は: 兀 より、 了解す る 

こと すこぶる あや ま-ついち-まん と い つ ていこく 

事 も 頗 怪しかった。 先 一 桥 よく わかる もの は、 リストに 止め を さして ゐた。 何時か 帝國 ホテル 

ふ じんい ば あ 

で、 あの ペッツ ォ ルド 夫人と 云 ふ ふ 婆さんが、 リストの der lielllg.e Antomus sclireitend auf 

おも -.. - めん ひ とき ね ひと びと 

den ン Velleu (だと 思 ふ。 ちがったら 御免なさい。) を彈 いた 時 も、 その ピアノの 一 骨の 一 つ 一 つ は、 

f ん 1 了、 り, つどう と ま ふしぎ あざやかぐ わめん め ^へ つか 

寸刻 も 流動して 止らない、 しかも 不思議に 鮮な畫 面 を、 ありあり と 肌の 前 へ^ばせ てく わた。 そ 

ぐ わめん なか み さいげん なみ うご なみ うへ ひとあし ごと 

の畫 面の 中には、 どこ を 見ても、 際限な く 波が 動いて ゐた。 それから その 波の 上に は、 一足 I 母に 

は もん つく にんげん あし うご V- い, ビ なみ あし うへ くわ o-(> ひかり な 一 

波紋 を 作る 人間の 足が 動いて ゐた。 a!^ 後に その 波と 足との k に、 s;^ 々たる 光が あって、 それが 風 

た-か だい やう ま^ゅ くう ちう うご あかる つし いき なが じ ぶん えん 

^ の 中の 太陽の やうに、 眩く 空中で 動いて ゐた。 この 明い 幻 を 息 もっかす に 眺めて ゐた 自分 は、 : 奴 

え 

f ノ を は はくしゅ こも S おこ とき おんが"、 は どう キ- -、 -っ きょ しうん Y ぴ 

^ 奏が 終って 拍手の 聲が 起った 時に、 昔樂の 波動が 消えて しまった、 空虚な 周 園の 寂し さがしみ じ 

Jt な V, は かん : A 一 まへ い レ-ほ せい-^ ゆ 

分 み 情なく 感じられた。 が、 こんな 事 は 前に も 云った 通り、 リストが 精々 行き どまり で、 ベ H 卜才 

ジ- 

4&- い しろもの い おも い わる おも わる さら けんたう 

,-- フ H ン などと 云 ふ 代物 は、 好い と 思へば 好い やう だし、 惡 いと 思へば 惡 いやう だし、 Is- に見當 が 



つ f なかつ f。 だから フィル . ハァ モー ーィ, f とずても、 い 一つ 纏 i5i らしくない、 おしげ 

な 耳 を そば 立てて、 樂 器の 森 か あいて f ォ オケ スト ラの ,一!^、 議 とぼいて ゐ たので あ 

る。 

ゐん のみお でんか ごりん; らゃう 

裏 は 11 下 も 御 臨場に な つ た の で 、 f ボックス ゐる才 才ケス トラ. スト ォ 

ルに は、 校 fif ん やきさん がお に t んでゐ た。 g にがぎ P ぞ こも、 

まね か は J つ ふ 一 ■ ' - -ノ. V t raflo/t 

つ ±た# と 皮ば かり I 夫人が、 £n^fmp?. ^i&t 

_ ^にての 上 f まだ慊ら す、 fit^^^fiil^ 

端然と して 控 へて ゐた。 が、 § に 雾£ の^をし &と はぎって、 お の 

より、 シォ パンや シ ユウ ベルトの, S かった から、 それ^^^^ぉはこの5^鋭とぎに,て 

ゐる老 夫人に、 g を i はなかった。 i0f かお. を かけた、 ディ スィ リュウ ジョ 

ン それ 自身の やうな 囊 だった とぎ, て、 のぎ |g ぎ をぎ てゐる 飼ぎ は r く 

れす、 頻に周 園ば かり を 見廻して ゐた。 

その 中に 山 田夫 人の きかで、 i おの milg になる と、 IV は 透 まって、 ゾ: i の i 



5 室へ 出かけて 行った。 すると そこの 人口に、 黑ぃ背廣の下へ赤ぃチ ョッキを^15た、 背の 低い 人が 

7 

2 た. -す はかま はおり つ いつ きん, ぐち たばこ r く め ひと .i. がた み われ/、 

佇んで、 袴 羽織の 連れと 一し よに 金口の 煙草 を 吸って ゐた。 久米は その 人の 姿 を 見る と、 我々 の 

み- - くち たに ざき じゅんいち らう をし じ ぶん なつき ひと ま >ふ* 

环へ 口をつける やうに して、 「谷 崎 潤ー郞 だぜ」 と敎へ て くれた。 自分と 成 瀬と は その 人の 前 を:^ 

めい たんぴ しゅぎ さ,、 か . ^ほ す み どう ふって き くち せい 

りながら、 この 有名な 耽美主義の 作家の 顔 を、 偸む やうに そっと 見た。 それ は 動物 的な 口と、 精 

しんてき め たが ひ が は あ とくしょく かほ われ, c きつえんしつ ながい す 

祌的 な^とが、 互に 我を張り 合って ゐる やうな、 特色の ある 額だった。 我々 は 樊 煙 室の 長椅子に 

二し おろ ひとは こ しきし ま ナ あ たにぐ-きじゅんい ちらつ ろん す こ たう じ だに や- ャし Vj 、らいし 

腰 を 下して、 一 箱の 敷 島 を 吸 ひ 合 ひながら、 谷 崎 潤 一 郞論を 少し やった。 當時谷 崎 氏 は、 在來氏 

かいたく キ- え-つき にいたい た/び し£ぎ はたけ つや ごろ ごと しんどう 一 ごと おる ひ また V- い 

が して 來た、 妖 氣穀靆 たる 耽美主義の, 禹に T ぉ艷 殺し」 の 如き T 祌童」 の 如き、 或は 又 「お ネ 

み の . ^け /」 と も じ ど ほ そこき み わる そだ 丈ん めう 

とじ 之 助」 の 如き、 文字通り 底氣 味の 惡ぃ Fieurs du Mai をお てて ゐた。 が、 その 斑猫の やうな 

色 をした、 美しい 惡の花 は、 氏の 鯽ぺ 倒して ゐる ポオ や ポオ ドレ エルと、 同じ 壯嚴な 腐 败の香 を 放 

あるい つてん かれら まった おもむ 今- ちが . ^れら ぴ やうて き たんぴ しゅぎ はい 

I ちながら、 或ー點 では 彼等の それと、 全く 趣 が 遠って ゐた。 彼等の!;^ 的な 耽美主義 は、 その 背 

^ 景に 恐る 可き 冷酷な 心 を控 へて ゐる。 彼等 はこの ごろた 石の やうな 心を捉 いた ぼ 果に、 嫌で も 

^ 德を 捨てなければ ならなかった。 嫌で も 神 を 捨てなければ ならなかった。 さう して 乂嫌 でも 戀 

.Ifit す . ^れら ふるぬ まみ し-つ なほ 

き を 捨てなければ ならなかった。 が、 彼等 は デカダンスの 古沼に 身 を 沈めながら、 それでも 猶 この 



6 

7 



仕 末に 了へ ない、 もと— ge vieille gabare sgs 0f sm- i mer molruie et si 

bords の 心と 脫み 合って ゐ なければ ならなかった。 だから gas 難 蒙 は、 ^-^^pf^ 

カ才ら たまし ひ そこ J 一 J >v ^ 5 -C Jort. 

た 彼等の 魂の どん底から、 やむ を f とびぎ たきの T-i だった。 g ゲて攀 の M に は、 ^ に 

Ah! seignj li la force et le 8ul.e / De off Bg i et n 画 

"orps 羅 s d6lt! と 云 ふせつば つまった i ま、 雜 のま rii して ゐた。 i バが攀 の 

美 主義から、 嚴 肅|激| びせられ る の- は、 m に こ の 「維の ドン. ジ ユア ン」 の やうな f な 

は 苦しみ を見 せつ けられる からで ある。 しかし 鍵が の攀 蒙に は、 このまき のとれ ない 

い、 ヒ J \ ) あま キ- やうら くて キ, よ A う J . 

きし さの 代りに、 餘 りに 享樂 的な I が tf た。 f 震 あ 露が S する ぎぎ、 

一、 さが A * ^ 

意で ェ, ドラ ド でも 探して 行く やうき まみで、 ま, 、ああめ てぎ その g が f 

ひ オノ ヽ し むしろけ いべ つ i , . ( P y X 1^1 

t.- 々に、 氏の 寧輕 蔑す る ゴォテ イエ を ssf させる だった。 ゴォ ティ ヱの 1 〔ル赌 -、 、,-、 ォド 

\ 二 \ /•> ニン . - せいき まつ しきさい お 、 _ 

レ エルの そえと ひとしく 世紀末の 色彩 は帶 びて ゐて も、 もに ぎち あ きった。 ;仏 

に I れて 形容 すれば、 寶 石の 重み をぎ して ゐる、 き g した サルタンの <f 爆 g ぎた。 だ. 

ら 彼に は 翁 氏と 共に、 ポオ や ポオ ドレ エルに 麵 r 炖 I した, がぎ けて ゐた。 が、 そ 



か" 

の t 



j^i:«^ri の tit の あ 



277 



かス かくて,;. - び じょじゅつ こと こん /-\ ひゃくり なん ひるが、 か は おどろ ベ ゆうべん 

りに 感覺 的な 美 を 叙述す る 事に かけて は、 々として 百 里の 波 を飜す 河の やうな、 驚く 可き 雄 辯 

そ, -." さいきん ひろつ かづ を し たに ざ キ. -し ひやう あま i: ん かう うらみ い 

を備 へて ゐた。 c! 取近廣 律和郞 氏が ハ八 口 崎 氏 を 評して、 餘り 健康な のを憾 とすると 云った の は、 Xj の 

くわつ りよ,、 -ひ ゾ やうて きはい かう し V- 一キ- おも い か くわつ りょく あ ふ し ば.;' くわた 

活力に 滿 ちた 病的 傾向 を 指摘した もの だら うと 思 ふ。 が、 如何に 活力に 溢れて ゐて も、 li 肋 過多 

しゃう くわん じ や そ/ざい う かぎ し ぴ やう 一」 きはい かう V- ぅゐ こ たんび しゅぎ ぁ^--た 

症の 患^が^ 在し 得る 限り、 やは^ 氏の それ は 病的 傾向に 相違ない。) さう して 此の 耽美主義に 饿 

ら なかった 々も、 流石に その 非凡な 力 を 認めない 譯に 行かなかった, の は、 この 滔々 たる 氏の 雄 

べん し に ほん: か ご さら だ .vw ん かくてき ぴ あるひ し-!.' 

辯で ある。 氏 はありと あらゆる 日本語 や 漢語 を 淡 ひ 出して、 ありと あらゆる 感覺 的な 美 を (或は 醜 

を) T 刺 fs」 比 後の 氏の 作品に 螺鈿の 如く 鏤めて St つた。 しかも その 氏の: Les Emaux et Cam6es 

は、 朗々 たる リズムの Si で始 から 終まで、 見事に すっと 貫かれて ゐた。 自分 は 八.': n でも^、 氏の 

作品 を讀む 機^が あると、 一字一句の |.息 味よりも、 寧 その 流れて 盡 きない 文^の リズムから、 半 

せいり てす- くわいかん かん 二と たび/、 いた 二ろ し いま ごと ひ るゐ 

ば 生理的な 快感 を 感じる 事が 度々 ある。 ここに 至る とその 頃 も、 氏 はや はり 八, の 如く、 比類ない 

ことば おり もつ し し あんたん ぶんだん そら きょうふ ほし し 

語の 織物: 帥だった。 たと ひ 氏 は暗擔 たる 文壇の 络に T 恐怖の 星」 はと もさなかった にしても、 氏の 

つす.' か はんめ ういろ はな した >- き にほん ま ^よ ひら 

培った 斑猫 色の 花の 下に は、 時なら ない 日本の 魔女の サバトが 11 かれた ので ある。 —— 

またえん そう はじ し あ ひ-つ 七 も われ/. ヽ たにて や-じゅんいち.^ つ N? ん あ した 

やがて 乂 演奏の 始まり を 知らせる 相圖の ベルと 共に、 我々 は 谷 崎 潤 一郎 論 を 切り上げて、 下の 



278 



我" の 1 ぎた。 ぎ R で;,!^ が 、「YK£ ^がわ かるの かい」 あ ふ t、「i が f p 

と 皮と 息と より はわ かりさう だ」 4 へた。 それから; -そ あおの, g をず て、 ショル 

ッ 氏の ピアノ を 聞いた。 g 、力 シォ パンの ノク テュル ヌ とか f とか 一 r ものだった と lr。 ン モノ 

ズぁュ 男 は、 子供の 時に シォ。 ハンの 函の霧 g いきいて、 ちゃんと わかった と 濃いて f 

が、 自分 はショ ルツ 氏の f に 動く i を i めながら、 II のき を 霧 ^<れ ないでも、 しの g で 

. たう C 、-; n よ ^ ^2 ^ 一 

^:: ンズ; II 及ばな 觀 きた。 その あと は, あつたか、 もうお f てゐ ない。 が、 

會が 終って 外へ 出たら、 車 寄の ま はりに や sli^ が、 ,ぬけられない 震继 んでゐ た。 

さう してき 中の 1 つの 氩 g に は、 ああと S1 との gis-II^i を 旭め ながら、 f 

ところ わ 1.,^ ぐつ、 こ ソ ん IN こ つ! ジ 

として ゐる 所だった。 我々 は 外 まの i を 一 さて、 その, やっと 1の艇 い Hi へ 1! た。 ふと る 

M 我々 の 前に は、 警視甄 の S 應な爾 が、 i く M をき いて f てゐ た。 ■ は 1きな がら、 

*■ 八 1^ .^L- し +っ や -っ -' - >w ふ ぁソ 

.^だ かそ こに 警視 廳のぁ 暴が 不安に なった。 で、 ミ はす 「きな」 と 一す たら、 まが 「ず? . 

き とが じぶん j< ん.. /.., (フ - .^-^ ,」 

と 聞き咎めた。 自分 はい やと か 何とき つて、 おぎ I に 摩 r た。 その? S まもう, 

さいう 59 じ どうしゃ さか と,, - r 

の 左右 を、 馬車 ゃ自働 車が 盛んに 風り すぎて ゐヒ。 



事の 分 f^j の顷の あ 



279 



五 

くわいい ひ r) ザん お ほつ か はか,」 . ^うぎ だ、 も,、 てつがく 

フィル. ハァモ ニイ 會へ 行った あくる u、 午前の 大塚 傅士の 講義 (题::: は リッケルトの 哲學だ 

じ ぶん キ- なか もジと けいはつ ところ お ほ か-つぎ あこ *- たな:》 

つた。 これが 自分が 聞いた 中で はは 取 も啓發 される 所の 多かった fi 義 である) をす ませた 後で、 乂成 

せ こがらし ふ なか いつば くしゃ に じっせん べんた う く い かれ レー. - ぜんじ ぶん V み ゆう 

瀨と风 の 吹く 屮を、 わざわざ 一 A 舍へー 一 ト錢の 辨當を 食 ひに 行ったら、 彼が 突然 自分に は 昨 

ベ ぼくら うしろ をん な ひと し たづ し し レ t り きん か は 

夜 僕 等の 後に ゐた 女の人 を 知って ゐ るかい c」 と St ねた。 「知らない。 知って ゐ るの は 隣の 金と 皮 

ほね おしろい きん か は なん なん い と かく うしろ をん な ひと 

と 骨と 白粉と だけ だ。」 「金と 皮と —— 何 だい、 それ は。」 「何でも 奵ぃ。 鬼に 角、 後に ゐた 女の人 

こと たしか きみ また をん な ひと ほ ほ . どころ ぽ,、 し 

ぢ やない 事 は 確 だ。 さう して 君 は 又 その 女の人に 惚れで もした のかい。」 「惚れる 所 か、 俟も 知ら 

なん にス げん おな こと 

なかつ たんだ。」 「何 だ、 つまらない。 そんな 人 問なら、 ゐ たって ゐ なくたって、 同じ 1^ ぢ.. やない 

ところ うち かへ うしろ をん な ひこみ い ひと ぽく さい 

か。」 「所がね。 家に SI つたら ムック ァが 後の 女の人 を 見た かと 云 ふんだ。 つまり その 人が 僕の 細 

くん こうほ しゃ みあ みち ほど しんぽ 

君の 候補^だ つたんだ さう だね。」 r ぢゃ 見合 ひか。」 「見合 ひ 程 まだ 進步 した もの ぢ やな いんだら 

み 一 み あ み また う ゑん み つもり 

う。」 「だって 兒 たかって 云へば、 見合 ひぢ やない か C !!^;のムッタァも亦、 迂遠 だな。 兑 せる 心算 

At へ すわ い うしろ み く <!ゐ に じつせ? べんた う く 

なら、 前へ 坐ら せり や 好い のに" 後に ゐる ものが 見える 位なら、 こんな 二十 錢の辨 なん ぞ食ジ 



てゐ やしない。 一 成^. ズ 2i わ It,^ ノ, r: お 、;ひ ? つ、.;;^; j ひ,, ^ ?.^! 、 めう かほ 

J た 力ら 自分 力 力う? と ちょいと 妙な 顏 をした。 が、 すぐ 

に 又 「し 力し 向う の 女の人 を まにして まへば、 攀 がまに ゐ& にな るんだ かき。 一 「■、 

り や 5 はう むか あ /プ -/ ヌ 」 I ハ 

_ ?」 ちゃ 兩 方で 向 ひ 合って ゐ ようとぎ たら、 どっち か 3, 露へ ぞ なくつ ちゃなら ない 

譯だ。 —譯だ が、 それで 君 は 何って I をし たんだい。」 rf かったつ 5 つた あね。 

なかつ たんだから 仕方がな いぢ やない か。」 「さう IT になって、 i に を f したって だよ。 

だが 惜しい 事 をした な。 fi あれ は變 またから、 いけな いんだ。 蒙なら I が ずれた く 

つたって、 帝 慮 中の 見物 をの こらす laj;^ してや るんだ のに。」 1|§ とが^と まこん な し 

■ > お ほ わら わら ち ;./. ノフ ,^ > - A J/ -^-n s L 

なから 1< 笑 ひに 笑 ひ 合った。 

その 日 は 午後に は、 is の M があった。 が、 攀 は アイ アム ビックに Mr と" は 

は ほつ は、 I が f ば S がき、 Inr^^^o さう して T つきず 

る 一一 人で 假名 をつ けて、 き§ に は r しょに その 議&ん でぎ おせて ゐた。 そ 

^ f 午後の 獨講は I が 出席す あに I, てゐ たから、 がお は S をし まふと、 きに Mm を 

2 ;: K き i して、 i りで ぃーっぱ ま, f 。 . 



1 出る と 外は风 が、 砂煙 を 往来の 空に 捲き 上げて ゐた。 黄い ろい 並木の 鉱 杏の 落 紫 も、 その 中で 

8 

2 ま だいがく まへ ふる ぽん や みせ おく ふいし ぶん iH つ 1> か 1-: つ み 

. くるくる 舞 ひながら、 大學 前の 古本屋の 店の 奥まで 吹かれて 行った。 自分 はふと 松 1; を 訪ねて 

い まつ を か じ ぶん おそ たいてい ひと ちが お ほか. i- ふ ひ いち?^ ん おち ン 

ようと 云ふ氣 になった。 松 岡 は 自分と (恐らく は 大抵な 人と) 違って 大風の 吹く 日が 一番 落 翁いて 

、 しょう ひ こ レー おちつ おも たん ど 》 ^うし と 

^いと 稱 して ゐた。 だから その m など は 殊に 落着いて ゐる だら うと 思って、 何度も 衔子を 飛ばせ 

ほんが うごち やうめ . ^れ げし ゆ 二 たど げし ゆ,、 ば あ ぃリ, 、に まつ を か 

さう にしながら、 やっと 本鄕五 丁::! の 彼の 下宿まで 迪 りつく と、 下宿のお 婆さんが 入::! で T 松!: 

お やす き どく かほ い れ 

さん はま だ 御休みに なって いらっしゃ いますが」 と、 ぐ やの 毒 さうな 顔 をして 云った。 「まだお てゐ 

おそ ね ばう ゆうべ で 3 や お 

る? 恐ろしく (1^ 坊 だな。」 「いえ、 昨夜 徹夜な すって、 つい さっきまで 起きて いらし つたんで す 

がね、 今し方, おる からって、 へお はいりに なつたん でございますよ。」 「ぢ やまだ 服が さめて ゐ 

るか も 知れない。 鬼に^ ちょいと 上って 見 ませう。 .^ て ゐれ ばす ぐに 下りて 來 ます。」 自分 は 松!; 

にかい あしつ-と ぬす あが あが ふすま に さん いと 

あ のゐる ニ^へ、 足 昔を偷 みながら、 そっと 上った。 上って とつつ きの 襖 を あける と 一, 三枚 戶を 

の 

•p^ ヒ ぐら へ や なか キ: つや-,.^ とこ く.:: もと あ J ;、 いっかん ほり メみ 一 

^ ^:;てた、 うす 一階い 部屋の まん 中に、 松岡の」^^:がとってぁった。 枕元に は しげな r ぬ 張-:: 机が あ 

うへ げんかう ようし らん や-つ か VJ あ おも つくも 5 した ,-: ノ"^ しん. ぶん し うへ 

八 刀 つて、 その上に は^ 稿 用紙が 亂雜に 重なり合って ゐた。 と 思 ふと 机の下に は、 古新聞 を 敷いた 上 

ヌ おびた な, きん キめ か は 十ぎ なり たか お あが じ SA まつ を か ^ V 

t こ、 夥しい いさ:;: 小一 の 皮が、 :^^ に 高く 盛り 上って ゐた。 自分 はすぐ に 松!; が丧 くと 云って ゐる 



fltt^t^ , j 一, s- よく こと おも .i 

5 物 ifri し ド「バってゐ るな」— ふだんなら t つて、 f その| 

^りな 力:: gft の 原 稿を 讀ま せて, i つた。 が、 0i.fi 

は 業 "顏を 1 枕の 上に のせ 卜 死んだ やうき つて ゐた。 Mis は si ぎ mfe 

しさる 彼 を、 起さうな ど あ ではなかった。 しかし;^ぉ讓ってしまふのも、 f なく^ 

ノ; :- つ こ。 : . , - やじ i ん かれ くらもと す b つ,、. f !fe 

t し 力 つん そこで 自分 は 彼の 枕元に 1. りながら、; r+i(r,ga^ ご、 i ばら よ 

ヌ;. な」。 あ P だ こばし にかい ? 机ひ-士の原!^^を 暫く あっち こっち 読んで 

1" その この ヒ階 を搖 ぶって しつ f なく, すぎた。 が、 き はが g として、 P 

して: f:" お 1 て、 かう して ゐ てきがない きたから、 sr き 

rh",tr: 靜 に 枕元! れ ようとした。 ifit fn 

お u へ、 J を 一 ぱいた め hi リ; K さう? ば i のおに も、 誘 i れた ずて ゐた. 

自分 はこば ひも よらな, きのき にきが つくと、 さっきの 「やって ゐ るな」 と ff り 

もき 一時に どこかへ 消えて しまった。 さう して その!^ に、 f^ki. 靈で 

4f ^,1 は、 i れ ない 鶴 が、 ,^へ il た。 ききな;^ 

な 力ら 泣く 程 苦しい 仕事なん ぞを するな よ cgp g^ ノ じぶん -, ぶ 

f , rf^gf とうす るん た。」 自分 は その、 い j 



8 

2 



^の 分 【'! のし の あ 



283 



^そ なか まつ を か しか しか ラら ほどく る 

紬 さの 中で、 かう 松!: を 化りたかった。 が、 叱りたい その 襄 では、 やつば り 「よく それ 程 苦しんだ- 

な」 と、 內證で 褒めて やりたかった。 さう 思ったら、 自分まで、 何時の間にか 淚 ぐんで ゐた。 

* た あしおと ぬす はしご だん お く げしゅく お あ しんば い お やす 

それから 又 足音 を 伶んで、 梯子段 を 下りて 來 ると、 下宿の 御婆さんが 心配 さう に T 御休みな す 

き じぶん ね へんじ たキが ほ 

つてい らっしゃ います か」 と尋 いた。 自分 は 「よく 疲てゐ ます」 とぶ つきら ぼうな 返 をして、 泣 顔 

み いや そうく こがらし わ-らい で わう らい あ ひか はら ヤ すなけむり そら ま あ 

を 見られる のが 嫌だった から、 匆々 風 の 往来へ 出た。 往來は 相 不變、 砂煙が 空へ 舞 ひ 上って ゐ 

そら す さま なに うな き ラへ み た 14 ひ 

た。 さう して その 空で、 凄じく 何 か t 心る ものが あった。 ぐ湫 になった から 上 を 見る と、 唯、 小さな 

たいやう しろ てんしん う-ご じ ぶん わう らい た ま、 ゆ 

太陽が、 白く 天心に 動いて ゐた。 自分 は アスファルトの 往来に 立った 儘、 どっちへ 行かう かなと 

カズ 力 

考 へた。 

, (大正 七 年 十二月 > 



284 



I 



6 

8 

2 



何時ぞや 上野の 博 fe? に griii おて ゐ. た i あで ある。 

つき? 後 1 私 は その 簾き 戴 をべ お S ぞ ぎだて、 St4sf 匿が if れてゐ 

る、 f 後の〕 ~ 室へ は ひった, ? ^oi-rr.. S ぼけた 11 かの ii を i めて 

ゐ" 一人" 紳士が き」 g つた。, は r すらりと した、 どこか 駕ぁ f あ で、 

) 、 MM ゴ J^^H, ; じ やう ひん やまた か f う 一、 一 」 - 

ュし" t つくめ. の! に まな 山 高 f かぶって ゐた。 私 f のぎ を ひ ると、 すぐ こそ 

れ i 曰 ほ; き 蒙. li されきき と! にきが ついた。 が、 f 

つて ii もない 私 も、 子爵の 交 i 嫌 ひな llg^ は、 tit よく i して ゐ たから、 p.i は、 

い あいさつ . 7 Z n,.s\ グー I ; 

? つて J; レ たもの か か を f かねた。 すると は、 ゎま继 がぎ は ひった ものと 

見えて、 徐に こちら I ぎた が、 やがて その rsfe に I はれき や ちらりと 寫の, S 

くと、 心 もち 山應を 持ち上げながら、 「や あ」 と,, き 伊した。 わお i かすかな おき 



む ん f ていれい -_>!L やく かへ ししゃ、 そば、 ほ 5 つ , 

7 を 感じて、 無言の 敲、 叮嚀に その 會釋を 返しながら、 そっと 子 e! の 侧へ步 を 移した 

00 

2 まんだ ししゃく さつ ねんじ だ 1 び ばう くれがた ひかり - ごと にく お かほ た 5- よ 小,, ば 

^多 子爵 は壯年 時代の 美貌が、 まだ 暮 方の 光の 如く 肉の 落ちた 額の どこかに -fs つて ゐる種 舞 

ひと どうじ また >^>ほ き ぞく, A いき ふ め • つ こ, -ろ そこ ベ フ , は. , 

の 人であった。 が、 同時に 又 その 額に は、 贵族 階級に は 珍ら しい、 心の底に ある 苦勞の 反映 力 

おも ,.ん えい おと わた; し せんだつ け ふ とほ ひといろ く *f なか its ぅゝ "ふり 5 - . 

もの 思 はしげ な 陰影 を 落して ゐた。 私 は 先達ても 今日の 通り、 唯一 色の m,"; の 中に 饨; > 光 を:^ つて 

ゐる、 おきな; 珠の ネクタイピン を、 子3^その人の心のゃぅに眺めたとっ!^ふ記惊がぁった。 •::• 

「どうです、 この 銅版畫 は。 築地 居留地の! :| です か。 11 どり が屮々 巧妙 ぢ やありません か。 

うへ めいあん さうた う おもしろ で き 

そ の 上 明暗 も 相當に 面白く 出 來てゐ る やうです。」 

ししゃく こ 一 ゑ 1. ほそ つる 5 ぎん にぎ ガラスと だ I な なか , 丄^ , -,。 わた べし: 

子餘 は小聲 でかう 云 ひながら、 細い 杖の 銀の 握りで "お 子戶 梅の 屮の繪 を さし 一 i パした ^ は 

う まう きら、 なみ きざ とうき やうわん はた ひお ギ-、 , -じ いそつ キ, ば仏ゝ ふ: 小 ヽ 1 - 卞 IJ 

額いた。 雲母の やうな 波 を 刻んで ゐる柬 京灣、 いろいろな 旅 を 翻した 蒸汽. 舻 柱 氷 を 歩いて I ぐく 

せ * やう だん ぢょ すがた やうく わん そら えた ひろ 丄ガ まつ 'た.^ み;-、 - - - - hklMwbu 

西洋の 男女の 姿、 それから 洋館の 空に 枝 をのば して ゐる 廣重 めいた 松の. 一 リ-木 —— そこに は 取お 

しゅ はふ きょうつう いっしゅ わ やうせ つちう め いぢ しょき がい ゆつ ノぺん う ; う, リ、. 、おわ, ー -ヒ? \: こ。 

問 と 乎 法と に 共通した、 一種の 和洋折衷が、 明治 初期の 藝 術に 特有な 类 しい 調^ を 一- 力して ゐん 

化 てう わ い らい えいきう われく げいじゅつ うしな われく; せい. ス わつ ひ?,; t*- う, 1 ) ^^^^ 

の この 調和 は それ 以來、 永久に 我々 の藝 術から 失 はれた。 いや、 我々 が 生活す る:^ 京 力ら も 失はォ 

V わ-.: く レ V 6 ?y っネも .- きょりう す. - -っ ひ- V 一 どう ±/ ぐ わ きよ-い マリ 、 - 、 

スた。 私 が ほび 額きながら、 この 築地: 留 地の 闘 は、 獨り 銅版畫 として 興味が あるば 力り でな く 



ひ 出させ r で、 :a 懷" み J あると ぎた。 はや はり 露 あべながら、 ゎ靈ま いて 

ゐ たが、 ^^^m それに I ベて ある m 霸あ f ぎ へ、 , つ 

くりした 歩調で 步 みよる と、 



00 

00 



よしと し 



し、 〔マ」 の 芳年を ごらんなさい。 面をまた,,ま|しの|^£と が、 f%p 

J 嘆 J を 出 ひて ゐる 所です。 iaf ,11 あの &r も Br つかな,、 

夜 はと::」 はした やうな S が、 あり t と i のまに, で f やう It ません かご 

私 はま 爵が、 今で こぁ聽 ひで i つて ゐ るが、 そ si は sf のお f して、 くで に 

の 2sr?lr:l,,l ふ, i も, いて ゐた。 i ^^i 

r:::;^;!.:?;: ふさ はしく f れる きあつた。 が、 い I つず はきの 鍵 すぎ あが、 ダ 

i の. は 撥: r 私 へたので、 わ g^f i ると f Iltrf X. Y き 

i 浮 I の雾へ 運ばう とおって ゐた。 しかし はきぎ ぎ. きりで、 おおん ¥ 



人 上え の 化 



289 



ひと ぴと しめ あ ひか はら, 尸 fS く : ゑ 

を 一つ 一 つ さし 示しながら、 相不變 低い 該で、 . 

1 こ. 乂 わ.^ し い はんぐ わ なが さんし じふ ねん まへ じ だい キ C ふ >r5 

「殊に^な ど はかう 云 ふ 版畫を 眺めて ゐ ると、 三 S: 十 年 前の あの 時代が、 まだ 昨 nl の やうな 心 も 

いま しんぶん み ろくめい くわん ふた ふく わい きじで き 

ちがして、 今でも 新聞 を ひろげて 見たら、 鹿呜 館の 舞踏 食の 記事が 出て ゐ さうな:;. 湫 がする のです。 

ぷ つい ちんれつしつ とき わたし じお い にズ げん ま- : かへ 

赏を云 ふと さっき こ の 陳列 i 至 へ は ひった 時から、 もう 私 は あの 時代の 人 1^ がみん な乂 生き返って、 

め み 4^ る つれ、 と 今 1.=;,^ わ 

我々 の 眼に こそ 见 えない が、 そこに もこ こに も步 いて ゐる。 —— さう して その 幽靈が 時々 我々 の 

み、 くち むかし はなし さ.^ や あや かんがへ わんとう .? 二 

fir へ n をつ けて- そっと ま 曰の 話を懾 いて くれる。 —— そんな怪しげな^_^,-がどぅしても念頭を離れ 

こと いま やう ふ,、 き きく n らう あま わ だし とも に に が 5* 

ない のです。 殊に 今の 洋服 を 着た 菊 五郎な ど は、 餘 りょく 私の 友 だち に似て ゐ るので、 あの 似顔 

f, , へ た.,.' レーき ほ とん きうく わつ じょ くら ゐ なか きみ わる なつか かん 

直の" I に 立った 時には、 殆ど 久濶 を敍 したい 位、 半ば I ポ 味の惡 い 懐し ささへ 感じました。 どうで 

お いや とも はなし キ * 、た S4 

す。 銜嫌 でなかったら、 その 友 だち の 話で も 聞いて 顶く としませ うか。」 

ほんだ ししゃく め そ わたくし き おちつ てっし , 

本 多 子爵 はわ ざと 肌 を 外ら せながら、 ^の氣 を かねる やうに、 落着かない 調子で かう 云った。 

わた y し せ乂: it^J- て丄 しゅつ、 あ > A. 一き せ? A い らう と わたくし いう じん をと こ せう せっか な: おも 

私 は 先達 子爵と 會 つた 時に、 紹介の 勞を 執つ た^の 友人が、 「この SR は小說 家です から、 佝か而 

しろ なル とき き くだ たの おもだ ま- - 

,门 い 話が あった 時には、 閱 かせて やって 下さい。」 と 頼んだ の を 思 ひ 出した。 ヌ、 それがない にし 

. » .V き わたくし い つ しし J^- ミ くわい こてき えいたん つ でき 、ま しし to>< 

て も その 時にはもう 私 も、 3: 時 か 子 の 懐古 的な 詠歎に 釣り こまれて、 出來 るなら 八:' にも 子爵 



え 一人で、 過去の 霧の 中に i れてゐ る rriif^ の囊 なき i へ、 E を i りたい とさへ, て 

ゐた。 そこで 私 は 頭 を 卜げ ながら、 11^ で 「どうぞ」 と 姆!. を^ 1. た。 

「ぢゃ あすこ へ 〔0 きませ う。」 

子爵の 言に つれて 我々 は、 陳列 のまん!? に^えて ある ベンチへ 厅 つて、 Y しょに g を P ろし 

, 室^に はもう 一人 も 人影 は 見えなかった。 ^、 ii!! に はおくの tH:;- まが、 のい り >ぽ リ 

中に、 古色 を帶 びた i 顏ゃ, 4 を siff ベて ゐた。 梦 S はぎ i の i りに f の 

せ、 暫く はぢ つと この 子爵 I の 「ま & の やうな if 勢 を か g して ゐ たが、 やがて I おがお 

に轉 じる と、 沈んだ^で かう il り!; した。 . 

「そのお だち と f の は、 ーゴ g 酵と £^ で g お S から, て f I の,、 SI づ 

きになった のです。 年 は 私:^」 g じ 1 一せ ^1 でした が、 あの S の懇 ,やうに、 ぎ S い、. If 

の、 長い 髮を まん 中から きった、 も雞. 扉の! # が Mil になった やうな f ゼ でした。 そ 

。 れが 長い 航海の 間に、 何時と なく きになって、 い 一つ if は If ぎゃ した i 

? t •> くらん した 

かない 位、 親しい 仲に なった のです。 



人 の 化 f^/ き 



291 



み うら おや なん したや お ほち ぬし .^;れ フ I フ ン ス わた ど-つじ ふ.,: り ぜん,.. 一 な 

「三 沛の親 は 3: でも 下 谷 あたりの 大地 主で、 彼が 佛蘭. e へ 渡る と M 時に、 二人とも 前後して 歿く 

い 二と ひ. V り むすこ Ji; れ うじ つたう し さんか 

なった とか 云 ふ 事でした から、 その 一人息子だった 彼 は、 當 時もう 相當 な资產 家に なって ゐ たの 

わ..: し し J 少れ せいく わつ お やくめ だい ぎんかう で ほか いつ ふところで 

でせ う。 私が 知って からの 彼の 生活 は、 ほんの 御 役目 だけに 第 X 銀行へ 屮 I る 外 は、 佝^ も 懐手 を 

あそ い し |*) く はっこう み ぶん 、ハれ き て-つ ま 

して 遊んで ゐられ ると 云 ふ、 至極 結構な 身分だった のでチ 。 ですから 彼は歸 朝す ると もな く、 

おや だい す り やろ っフ、 ひやつ ぼんぐ ひ ナノ ^ ていたく ャ I せいやう ふう しょさい しんちく か なり ビぃ 

親の代から 住んで ゐる兩 國百本 杭の 近く S 邸宅に、 の 利いた. S 洋風の 書齋を 新築して、 可也^ 

澤な 幕し をして ゐ ました。 . 

わたし い うち むか どう > ^んぐ わ いちまい み へ や あり さま あり,, ,、 め 

「私 はかう 云って ゐる屮 にも、 向う の 銅 版畫の ー妆を 見る やうに、 その 部屋の 有様が 歷々 と 肌の 

まへ つか き お ほか は のぞ フ ーノ ン ス まど へり キ: ん い しろ てんじゃう も か が は い す 

前へ 浮んで 來 ます。 大 川に 臨んだ 佛蘭西 窓、 緣に金 を 入れた 白い 天井、 赤い モロッコ 皮の 椅チゃ 

ながい す かべ か いっせい せう ざう ぐ わ ほ り こ,、 たん お ほ しょだな なみ 

長椅子、 壁に 懸かって ゐる ナボレ オン 一世の 肖像 畫、 彫刻の ある mi 搜の 大きな 書棚、 鏡の ついた 

だいり せき だんろ うへ Q ち、 おや ゐ あい まつ ぼんさい ある ふる あたら 

大理石の 緩爐、 それから その上に 載って ゐる 父親の 遣 愛の 松の 盆栽 11 すべてが 或 古い 新し さ を 

かん いんき くら ゐ ひと けいよう てうし くる がくき ね おも 

感じさせる、 陰ぐ ボな 位けば けばし い、 もう 一 つ 形容 すれば、 どこか 調子の 狂った 樂 器の 音 を 思 ひ 

だ じだい しょさい いしう ゐ なか み i い つ 

させる、 やはり あの 時代ら しい 書齋 でした。 しかも さう 云 ふ 周 11 の 中に、 三沛は 何時も ナボレ 

いつ 4.- い した ぢんど ゆ ふき ぞろ なに えり かさ よ 

オン 一 i の 下に 陣取りながら、 結 城 揃 ひか 何 かの 襟 を 重ねて、 ユウ ゴォの オリ アン タ アルで も 



んで 居ようと 云 ふので すから、. きす こに, て ある 讓に でも ありさう あ さ 

へ ぎ いで、 3^ ききき すぎる の も、 M 鲁 もの P き 

で 眺めた 覺 えが ありまし たつけ。 

^沛は I な ,をして ゐる とずても、 m 襲の 霸の やうに、 き とか 濃:^ か f 

は 踏み 人れ る I もな く、 i、 霞き 雜の議 に f きつ,、 gmf f より は 辟 

隱 居に でも ふさ はし さうな 讀書ー きに g つて ゐ たのです。 これ は i きとつ に は、 ^01^1 

1 一つ f "SB さな ひった から も t ませう が、 at 

今 I や,. つバ > J //J-/ -.^J M f r 

ん じる やうな i に まれて しまったので せう。 難 if n おの, だった メ 一献が、 

^^^^^aa この is な Kg、 ここへ i?i き li 

ぶ m の 政治的 夢想家に 似通 つて ゐ る贿 1, あった やうです。 

幼 「その薦は彼が私:^」ー1;<_^、 ir こかの 摩で やって ゐる鲥 § の spr ぎた 嚼 

です。 たしか 大野 鐵平" 良 意 場の i がし まった, つた LI ひます が、 g は しの 矿 ふり 



人 1:1 の 化 開 - 293 



む きみ かれら どうじ やう で き まじめ , ^ほ と わたし もと やう ュゃ つがへ 

向く と、 『君 は 彼等に 同情が 出來 るか。』 と、 眞面 EI な 顔 をして 問 ひかけ ました。 私 は: 兀 より 洋 ーれ 歸 

ひとり きうへ い だい キ-ら ころ 、-っ かう どうじ やうで キ, - 

りの 一 人と して、 すべて 駕弊 じみた ものが 大嫌 ひだった 頃です から、 『いや 一 向 同情 は屮 Z 來 ない。 

はいたう れい で い いっき おこ れん-ちう じ めつ はう た-つ ザん おも 

廢刀 令が 屮 I たからと 云って、 一 授を 起す やうな 連屮 は、 自滅す る 方が 當然 だと E 心って ゐ る。』 と、 

至極 冷淡な 返事 をし ますと、 彼 は 不服 さう に 首 を 板って、 『それ は 彼等の キー 張 は 問 違って ゐた かも 

し _ れら しゅち やう じゅん たいど ど-つじ やうい じ やう あた ひ おも い 

知れない。 しかし 彼等が その 主-吸に 殉 じた 態度 は、 同情 以上に 惯 すると 出 心 ふ。』 と、 云 ふので す。 

、 4^.^-^ いちど I . ^-み ,ii れら め いぢ よ - なか . ^みよ むかし かへ いこ ども 

そこで^ がもう 一 度、 『ぢ やお は 彼等の やうに、 明治の 世の中 を 神 世の 昔に 返さう と.: ムふ 子供 じみ 

た 夢の 爲に、 二つ とないん 叩 を 拾 てても 惜しくな いと 思 ふの か。』 と、 笑 ひながら 反問し ましたが、 

かれ まじめ てうし こ ども ゆめ しん ところ じめん ほ,、 

彼 はや はり 露 面目な 調子で、 『たと ひ 子供じみた 夢に しても、 1;:^ する 所に 殉す るの だから、 僕 は そ 

ほん まう おも き 二た とき い れ ことば たん いちぢ やう こ-つと-つ ご 

れで木 望 だ。』 と、 忍 ひ 切った やうに 答へ ました。 その 時 はかう 云 ふ 彼の 一一 一一 〔も、 に 一場の 口 頭; 

として、 深く ぐ 求に も 七め ませんで したが、 ケ になって 思 ひ 合 はすと、 資 はもう その 言の 屮に 傷し 

こうねん うんめい かげ けむり は おひく ± なし す V したが 

い 後年の 運命の 影が、 煙の やうに 這 ひまつ はって ゐ たのです。 が、 それ は 追々 話が 進む に從 つて、 

し ぜん ご ゑ とく * ^ゐ 

,目 然 と 御會 得が 參 るで せう。 

なに み うら なに い たいど お とほ けっこん もんだい くわん ぼく 

「何しろ 三 浦 は 何に よらす、 かう 云 ふ 態度で 押し通して ゐ ましたから、 !: i 婚 問題に 關 しても 、『^ 



1 のない 結婚 はした く はない。』 と ふ, で、 どんな £i が 15 いて まても、 fi< 

.斷 つてし まふので す。 しかも その; adgr ものが、 一 とずの 露と は觀 つて、 輕 g ち 

に 入って ゐる やうな 令 嫂が 現れても、 『どうも まだ,;^ いちに は、 skf^fz: J 

きとぎ て、 M^0imn^ft. それが i でぎ ゐて も、 ず 11 

い るので、 時には 私 も 横 合 ひから、 『それ は f でも, やうに、 f ら f で S のおら 

1!" て か f ると 女 ふきなる と、 きき さへ I き は 4 ぎしない。 だから どうせ r は 

は I 通りに 行かない もの だと あきらめて、 4 いま i な is で辦 する さ。』 と、 f 

事 は あるので すが、 i はずて その i に、 if うな I で pa めながら、? あ rf こ 

) 、 * やく どくしん とま i 

の 年まで 僕は獨 身で 通し はしない。』 と、 まるで ,に ならない のです。 が、 ぎち は それで g 

つ";? も、 親戚の 身に なつ あると、 sirpg では あるし、 ,i をぎ やして はと ザ 

さ 配 もな く はない ので、 せめて 疆 でも & いたら どう だと 獸 めた もあった さう です が、 「お 

^ :::: そん II どに f 借す やうな いではありません。 いや、 ff&. g は その 

2 霧と 云 ふ 言が 大嫌 ひで、 K か あ ひっか まへ て は tIL, ろい くら ぼ だた とざた,、 ま 



si 



-- -»* c ^ V 7 、 こうぜん ^ 4--f 

5 だ では 妾 ど IK ふ ものが 公然と 幅 を 利かせて ゐ るの だから。』 と、 よく 晒って はゐ たもの なので 

^ き て-つ/に に さんねん あ ひだ れ まいにち いっせい あ ひて, 、 d き. ズズ, i よ 

. す。 ですから 歸朝後 二三 年の ii、 彼 は 毎 H あの ナボレ オン 一せ を朴 ザに 积:; 湫 よく;; i 宵して ゐる 

, つ かれ いは sS る アム.!: ル けっこん わたし いう じん けんたう 

ばかりで、 何時に なったら 彼の 所 ii 『愛の ある 結婚』 をす るの だか、 とんと 私たち 友人に も 25<當 

の つけ やうが ありませんでした。 

ところ うち わたし あるく わん ぺん ようむ しばら かんこく けい ヒ やう ぶ にん - 一と む 力 

「所が その 屮に私 は 或官邊 の 用 -2 きで、 暫く 韓國京 城へ 赴任す る 事に なりました < すると!^ う; 

お つ ひとつき た うち おも み うら はつ-一ん つうち とビ 

落ち着い てから、 まだ 一月と 終たない 中に、 思 ひも よらす 三 浦から;: お^の 通知が 屈いた ぢゃ あり 

とき -T た i おど, つ .V: 、て 1 n さう ざ う おどろ どうじ ォ 力し L よ/ 

ません か。 その 時の 私の 驚き は、 大抵 御 想像が つき ませう。 が、 驚いた と: 1: 時に 私 は、 愈 彼に 

アム ウルお ひて でき おも さ す 。ひ .i-- う つうち 、山ん リ .0 ん 

も その 愛の が出來 たの だな と m 心 ふと、 流石に 微笑せ すに は ゐられ ませんで した。 迎^" 文. S 

つ 7、,^ んたに だビ ふぢ ゐ つみ い ご ようしゃ うにん むすめ えんだん と、 G い 、 , ::、 ) 

は 極 簡單な もので、 唯、 藤 井 勝 美と 云 ふ 御用商人の 娘と 緣談が 整ったと 云 ふだけ でした が その 

ごひ つ 5- ラナと て がみ J いれ あるひ さんぽ ついで やなぎし ま はぎ でら よ ところ 

後 引き 緩いて 一れ み 取った 乎 紙に よると、 彼 は 或 曰 散歩の 序に ふと 柳 島の 获 寺へ 寄った 所が、 そこへ 

ちゃう ど, f れ やしき でい こっとう や ふち ゐ おやこ いつ まゐ あは- 、 、 ノだ, > - ^^^^ る 

^ 丁度 彼の 屋敷へ 出 人り する 骨董 屋が藤 井の 父子と 一 しょに り 合せた ので つれ 立って 境い を. T ソ 

化 ,r ち 、. つ たが ひ みそ みそ いしだい 1^ に が 55;- で い 

の - いて ゐる屮 に、 何時か 互に 見 染め もし 見 染められ もした と 云 ふ 次第な のです 何しろ 萩^と 云へ 

、 --ろ に わう も V? わ.,: ぶき や ね ゆ ひと あめ はぎ い ば せ., V をう な だ i 

ノ ば、 その 頃 はま だ 1! 王 『も 薬" 耳 屋根で、 『ぬ れ て 行く 人 も を かしゃ 雨の 获』 と 云 ふ tH:- 蕉 翁の 名高い 



'^i 、 はぎ なか の- 



9 

2 



1 マ、, に-リー- の 二 * ,A 

萩の 屮 にきて ゐる、 imfmft Mi§k^f. 

舞薹 だった のに 違 ひありま^ レ。 て r ゥ乂、 はに f 一 かなら, パリィ じた りつ. 一一 一- . t 

, , 、 たくわん し !; せ/" し 力し き 外.. する 時 は、 必 i 仕ぎ の gff ピ、 

とひ rr 開化の ま:! 以てぎ てゐ き, して は、 きぶぎ めず ので、 f0 

の 通知 を 請んで さへ 微笑した は、 ^fipiiff^^ 

:。 ^ V、、 t ち ろん えんだん はし な , , ミオー 二 ス ;.., 力:::: 1^ ませんで し 

f 力 I へ us 談の I しに は、 その 鍵ぎ なった と f f 、 tif 

」 一-,。 : ン; ま さ ふ, は ひ そくざ ±- - 一: 一- i く It !^;^;VJ 力 .1^ ノ るて 

U それ か 又 幸と、 卽 座に f まとまって、 歸 きの ■ を艇. -i; J^^^ 

こ、 ん れい と.、 こ ほ 6 イノ ミ Z 一/。 力 rY" レカそ クー 秋り.: :! こ 

ami ですから ままかった f ffl^ 

でせ:^: ^^.iirmlifi Ifiti 

、、、 、 iii/. いん-一, き, < じ やう j "うち r ォ禾. ^.*w,^BSJl-.fl-v 切 グ,: 7= 

力 詰 婚後は 近狀を 報知す るお g の I? でも、 ほム と.? 旷 つお c-..^ フ,: はねつ しめ i 

グ 人の やうな 快活 さ を 示す やうに なった g でし 



た 

おの I の ほの,? f^ia if, p 

は ひ:::: £に1 る やうな 心 もちが します。 i はおの やうな まし さで、 

g 細 II よく 書い 一」 ましました。 ケ おは 鍵の 讓, きした, ^rs.f 



人 良の 化 開 



297 



. ,1: 2. こと に ふばい し.": もつ たいはんよ.",' こと か、 しゃふ はし ゃ-っふ う こと みやこ ざ 

を 依頼され た 事、 入梅で 書牧が 大半 微び てし まった 事、 抱への 車夫が 破傷風に なった ま、 都 の. 

せハ やうて じな み い こと く、.:: t へ くわ じ こと いち/ ヽかぞ だ さいげん 

西洋 手品 を 見に 行った 事、 藏前に火_^^がぁった事 III 1 々數へ 立てて ゐ なので は、 とても 際限が 

ありま せんが、 屮 でも 一^. 嬉し さう だった の は、 彼が 五 姓 m 芳梅 書. 伯に 依賴 して、 細^の 恃像畫 

を いて ia; つたと 云 ふ 一 條 です。 その 肯像畫 は 彼が 风 のナボ レオン 一 * の 代りに、 寄 |1 の 辟 丄へ懸 

お わたし C ちみ なん そくはつ ゆ かつみ ふじん け きん ぬひ とり くろ 

けて §^ きました から、 私 も 後に 見ました が、 何でも 束髮に 結った 勝 美 夫人が 毛 金の 纖の ある mi の 

も やう *K ら はなた ぶ て すがたみ まへ た ところ ブロフ イイ ル か 

校 様で、 S ば微の 花束 を 乎に しながら、 姿 a- の 前に 立って ゐる所 を、 横顔に 描いた ものでした、" 

み ことで たう じ くわいく わ み うらじ しん えいきう み こごで き 

が、 それ は见 る^が 出來. て も、 常時の 快活な 三 浦 自身 は、 とうとう 永久に 见 る:^ が出來 なかった 

のです。 …… 」 

まんだ しし r 二 ひ と ぶ】 もら しばら あ ひだく ち つ:;、 はなし き 

本 多 子 g はかう.. ーム つて、 かすかな 吐息 を:^ しながら、 暫くの 問 口 を噤ん だ。 ぢっ とその 話に^ 

い わたくし ししゃく . ^ん こくけ いじ やう かへ とき まんいちみ うら ぶっこ 

き 入って ゐた私 は、 子餘が 韓圃京 城から 歸 つた 時、 萬 ニニ 浦 はもう 物故して ゐ たので はない かと 

おも われし ふ あん め あ ひて かほ そ、 ししゃ-、 はや ふ 

思って、 我 知らす 不安の 服 を 相手の 額に 注がす に は ゐられ なかった。 すると 子餘は くも その 不 

あん さと み おもわろ あたま ふ 

安を覺ったとs^ぇて、 狳に; S を 振りながら、 . 

「しかし 何も かう: ム つたから と -「ム つて、 彼が 私の 留守中に 故人に なった とべ f, 一 ふ 次第 ぢゃ ありませ 



8 

9 



ん。: iH、 S| え に > 5 - ; わたし ふた 、びないち t み ^ 

/ .ffiljl^ 力 ,9 ^?ぉ つ ーし 、 ^ •> 5 M- ,up ^ 1 - ^ • み うら お つ. t, 

むろい f ノぅ ほ 一 . ^カポ えへ きて 見る と、 一 i はや はりぎ ち I きまった、 

寧お;^ T は? リ^ はな: 一て ゐた 4 ふだけ です。 え は 船 r の疆 iir ま 

i-iiili g に ずつ いて ゐ& でした。 いやず _ 

! 5 はい rfti そ? i すぎる のがぎ なつた-でも いふべき のでせ う。 續 その 

^^M^!i 化よりも i に 『どうした。 攀も g いの ぢゃ ないか。』 とずた, 

音 あ 外な 感じ こ j:J..l」 ノこ。 -;, ^^t^p . わ し あや ふノん , し . 

^^.> . . 彼 はきて 私の 怪しむ の を £ が-ながら、 g ばかりでなく i 

のき, J 極靈 だと 答へ るので す。 さう まれて ぎば、 S い 「ぎ かりの き」、 いくら 

の rss をした からと f 、 s&^MliAit i 

I も! きとめない せき ilf くない やうに f き だら う』 と、, 

て濟 ませけ し 4 ひました。 それが聽^!^って纩 せなくなるまでには、 にこの 粗な g:,- 



ノ ) ふれ はんもん かん - 7; ( L II こに ゆ 額な 假:. m に 

て ゐる彼 に 感づく までに は、 まだ き 震の |g が g だった, で t 

U • \ -、 まへ ひとと ま ャ, - - 7 一一 一 a W 

. せとして、 その 前に 一 遠り、 ^り 際::;:? .J;^/:^ つ ご,^ . …,お- ひ、? つ 

な, しょじ . r がグ 糸, の 入物 を 御 話しし て^く 必要が ありま, t- う。 

「1 始めて 三 浦の 細君 にぎた の は、 sfe?f t « l^s^^^^c> 



. ぺ"の露靜餓ケた1ぁです。,けば1^^は驚ーー:まと1|^だったさぅですが、 おでで も 

^ ふ. J メっ. - X ? 6^ さ ゆ こ :; つし よく あ て やか 

_ あつたせ ゐか、 M の i にも 二つ 三つ 若く 3- えたのに 相違ありません。 それが,. 5 の い、 血色 

な: jj| で、 その ^は^! ^gi の Ife か^かに の を しめたの が、 當 時の 曾 を 使って 形容 すれ 

, . 、5 レ-ぅ /" おた み うら アム ウル あ ひて わたし. さ り や; う .^.w 、- ) - - 

ば、 t 如, I: にも 『nii な じ をき ハ へて ゐ ました〕 が、 三 浦の 愛の 相 f こして、 私が 想像に?^ いて ゐん 

に m ベ る と、 ど こ かそ の^ I じ に そぐ はな い 所が あ る の です。 尤も これ は ど こかと 云 ふ 位な 

5^ で、 ^^^$;にもその,.^がはっきりとゎかってゐた譯ぢゃぁりません^ 殊に 私の 豫 想が 狂 ふの 

レニ: た,. ノ * ナ 3 すん 二と もち 1 つん とき た V 

は、 :J!s^f 一一 i に I きめて 鲈 つたい I を^め として、 度々 ®* した 事です から、 勿論 その 時 も 唯 ふと さ 

う^った だけで、 |^それだから1の結婚を祝する心が冷却したと^1-ふ譯でもなかったのです.^ 

それ 爬: V ^w^skil^ の II 卜隨ん で、 ^ひ 輕に i つて ゐ る^^、 B のま まの Si たる 才 おは、 

すっかり^ i 衝 i させて しま ひました。 俗に 打てば 響く と ふの は、 恐らく あんな, - 熟の 仆 狼り 

a. り;! を すので せう。 『li 、、さん。 あなたの やうな 方 は 實際曰 本より、 佛蘭 ぼに でも 御 生れに なわ は 

^ よかった のです。』 11 とうとう 私 は 3 妈面 31 な 額 をして、 こんな 事 を 云ふ氣 にさへ なりました す 

^ L 、 L - つ、 とま 

人 るとョ_|"^:14^みながら、『それ£^^るが^ぃ。 ?^が仰時も^^^りぢゃなぃか。』と、 からか ふや 



i^fi そのから かふ やう あの ■、 きま ■ 船が f 蹴 f ない P おへ 

た』" rrr 私の S のせ f ばず だった でせ うか。 いや、 この 雜ば i する f 、 

プほ fl ^タノの S 力 ,^^?りに露;^ゲ,,ょせ に ^ ^r-^n^^ ^ : ) - おも ±-- 

f ..-sf 户舺 力し さ をー氣 せって ゐる やうに W3 は X- たのま、 ^ .-c^3^^-,^ 

ばかりだった でせ うやぎ fll ぎの, ■ の p、 攀ュー" も f 纏./ "i"" 

、かん わけ ゆ c-r',,' < ^お 「ニノの HI 生 力 の やうに く;:^ 

を じな ハ B^f- こ ilj 、二 、つ: クー、 - J いまお も わ.: - I 

. —- い: rf"— 力な 力った のて す 今 思へば あれ はきと つて、 S の鍾ぎ S こ f 

合" た 霧の葡 きだった のです が、 g| は i 觀 r ても、 iffi^^^s 

を i めた だけで、 i は i の f 、 ir^.^^ 4 m 

よ もじ どま 、つせ き ;んっ 三、、/ を 才^に^ な盃の やりとり を 始めました。 ですから そ 

の 夜 は 文字 通, 夕の しあで、 fffmi 0i^a..^ 



力 

です。 



力 それから 一月ば かりぎって (;^ より g-^ 啦び、 SS, 1^ へ 5 つ 

、 - 。ノ あるひ わたしい うじし ちろ I ノ <^等+^4^とは往來し介っ てゐた の 

r ) 或 雲 rr ルき 1 て、 siifilfpr 

ますと 丁度 向う の 梭敷の巾 ほどに、 fMfiii lip 



人 皮の 化 [If! 



301 



ゆ とき かなら サ オペ 一! "グー フス も い かつみ ふ じん * る カラス たか も, た かに 

へ 行く 時 は、 必 脱 銃 を 持って行 つたので、 勝 美 夫人 も その 圆 い^子の 中に、 燃え^つ やうな^ 

.? つ 4J ん i へ i じ すが だ み ^らお も はな そくはつ ぢ み 

毛鴕を 前にして、 始めて 姿を昆 せた のです。 それが 蓄薇 かと W 心 はれる 花 を束髮 にさして、 地味な 

、ろ +1 ん えり うへ しろ ふたへ あ 一, 一 やす わたし か ほ き ^ どうぶ- むか ^ 

おの 5h 襟の 上に、 白い 二重 顋を 休めて ゐ ましたが、 私が その 額に 氣 がっくと Hi: 時に, 向う も:^ の 

な まめか め .^-る もくれい おく わたし オペラグラス おろ もくれい こ 

.^ しい 服 を あげて、 輕く III 禮を 送りました。 そこで 私 も 脱 鏡 を 下しながら、 その M 禮に 答へ 

み うら さ-くん また あわ わたし はう ゑし やく へ 

ますと、 三 浦の 細君 はどうした のか、 又 慌てて 私の 方へ 會釋を 返す ぢ やありません か。 しかも そ 

ゑし やく まへ くら はるか ろ^く わたし さいしょ もく. い わたし おく 

のき 釋が、 前の それに 比べる と、 遙に 恭しい ものな のです。 私 はやつ と 最初の 禮が 私に tl られ 

, - 一と おも しう ゐ たか ど み あい "つ 

たのではなかった と 云 ふ 事に ぐボ がっきました から、 思 はす 周 園の 高 土 問 を 見 ま はして、 その 挨拶 

ぶっしょく となり ます は で しま せびろき わか をと こ かつみ ふ 

の 針个を 物色し ました。 するとす ぐ 隣の 树に派 乎な 縮の 背廣を 着た い がゐ て、 これ も 勝 突 夫 

じぐ ゑし やく あ ひて つもり に ほひ だか まきた.^」 く は • わ,^ し - 

人の 會釋の 相 乎 を さがす 心算だった のでせ う。 勻の 高い 卷 煙草 を啣 へながら、 じろ じろ; j4 たちの 

.1 う ぅハビ し +し乞 で あ わたし あてぐ ろ かほ なに ふく わい とくしょく み 

方 を つて ゐ たのと、 ぴったり 視線が 出合 ひました。 私 は その 淺黑ぃ 額に 何 か 不快な 特色 を 見て 

とっさ め そ また オペう グー 7 ス あ み わか さ じさ み 

とった ので、 咄嗟に 脱 を 反らせながら、 又 服 鏡 をと り 上げて、 13- る ともなく 向う の 棧敷を 見 ま 

み うら ざ-. くん *、 す ひとり をん な すわ なら やま ぶ i けんろ > ん丄ゃ い. 

すと、 三 浦の 細君の ゐる桝 に は、 もう 一人 女が 坐って ゐ るので す, - 柄 山の 女權 論者 11 と 云った 

ぶる ひ .3 およ 二と た-つじ さうた う めいせい なら やま い 

ら、 或は 御^き 及びに なった;^ がない もので もあります まい。 常時, 1^ 常な 名聲 のあった 橘 と-ぶ 



2 



ふ 代言人の 細 乳で、 0ffmA^^. MfL § ^ . X 、 ま わたし 

: く, つ もんつき : i f 1 し vfe-i カ紀 えた 1=7 のない,^ です。 K 

、; ばが、 § 紋付 If 、 裹 i 暴!、 まる i と i ち 

liAil き? J き tici ぎ? 

,4,J. レ V, ご ノこ ノ、 ) . ^よけべ ろんしゃ まひ.; 5, . S -, ^ f ^ ^ 

f C ノ-」 ノカも あの 女權 論き ま、 おつ ^sf こ 舞 し i;:; ノ- .:、 んノ えり き :, 

, f ユ っォ彥 に 薄 化 fe をして、 えす 襟を氣 にしな "ち、..^ 

二 > - , - となり しま t プろ よう .• t 、/ 习 

と 云.^ より は 巩匕 らく 米绅 の Q 匕 3 ぞり ^ / 、 や ,5、 > 、めっ^ 

ぶつ い, にち ; T,: j シ, -シ^ 廣 の^へ 力 一味 ありげ な 眼 を 使って ゐ るので 

. -.. i 物の 一 日 力、 舞臺の 上の 菊 五 郞ゃ左 it より、 i プ編 o^t^ と:^ fu^ i 

のお 君と を 注意す るのに、 よりおく 化 おれと か . i / お— 

れ連ゥ ド r ^ !らっ リ!^ "ソ! /にして.^ 決し て過| やありません。 そ 

れ fe;^ は き な 下座の 蠊 しと 櫻の!; との^ i ^こゐ なが、;、 ^i. . 

ずに:,」 ノ、 し 1 や お I う くる グ . -.ノ-—->ォ 力 、も 、七 は 全 伙-: さう 云 ふ ものと 沒 交 涉- な、 

還と色彩を 帶び|像に,められてゐたさ _ 〕; さ 

り、 をん なづ お V- i 一 一 力 レ f-lf 力 19,^ と":: も.^/、、 ち 二 

人の 女 連れが 向う の %g こゐ なくなつ,, こお 、な-., ぐ おせ; か I ;\ あ ピー 

^ . -\|| ^ 户, ズ.^ 私 は 貴に 肩が 拔け たやうな ほっとした: 仏: P ち をお よ 

ひました。 勿論 女の ぶよ ゐな くまつ てら、 F - 七ず ty 

. つ、 Li:^ r つて き I はや はり 隣の s で、 しっきり なく 編ず を ふ 

力し "りら 時々 私の 方へ f やって ゐ ましたが、 ま S つ f つがな くな ミリ:; て 

c」 , :::^ し おさ, ろ かミ 二 7 T/ , プ \ になつ-てよ ; J.^ 

ほ I も その 蠻 i が、 氣 にならない やうに なって ゐ たのです。 ! 



/- r こ) すうぶ ん きこ わか をと こ ぉャ 1 ぐろ かほ y4 .W たし 

3 「と rK! ふと S, が ひどく 邪推 深い やうに 聞え ますが、 これ は その 若い 男の 淺黑ぃ 額 だち が、 ^に 私 

T ±ん> ん, & ,„ 'だし やと こ あ ひだ あるひ わたし をと こ あ ひだ は 化め 

の おった からで、 どうも 私と その sf- との^に は、 —— 或は私たちとその5^-との1^には 始 

から §i まが てゐる やうな がした のです。 ですから その後 一お とたたない 巾に、 あの 大 

h-i つ; V み うら しょさい れじ しん をと 二 わたし きう-^,' い き .、 一、 % . ^ - _ 

川" へ 臨んだ 三 浦の 書齋 で、 彼 自身 その si- を 私に 紹介して くれた 時には まるで^でも 力: C られ た 

やうな、 當 ^"ぎ 情 を 味 はすに は ゐられ ませ. ん でした。 何でも 三 油の, 11:^ によると、 これ は 彼 

の 1 おの 從?^ ださう で、 當時 X X 舫績 社で も 歳の 割に は 重^されて ゐる、 敏腕の 社 だと 云 ふ 

こと なるほど い ひと .-.「o ル : つち や かこ た わい さ た、 ん ふ,^.: f 、ん, ,、,、、 >、 -^. て , 

事です。 成程さぅー^:?へばー っ阜 子の 紅茶 を 1E んで、 多瞹 もない 雑談 を 交換し な 力ら :<=1^1=,7 をぶ 

ち- J こ 、 V- うた, ン V- 、い" つ > 二と わたし なに さ ('、〜つ 

かせて ゐる 問で さへ、 彼が 相當な 才物 だと 云 ふ 事 はすぐ に 私に も わ 力り ました-, が 4^ も. V 杉た 

からと- ム つて、 その人11に!^する好惡は、 勿論 變る もありません。 いや、 私 は. i: 度と なく、 旣 

さ 、くん いとこ い いじ やう しば ゐ あいさつ か は , 、らゐ 二と ふ し、, „f に, ん, 、ゝ 、; 3 , 、ヽ i 

に 細 の從弟 だと 云 ふ 以上、 芝-居で 挨接を 交す 位な _ ^は 更に 不 出ム議 でも.^ でもな い^ゃな リカ 

りせい うった で き だは & とこ せっきん - ノリ ,-7、 , み. - ' : 3 Z 、 ^J^> - - J 

^ と、 かう 现 性に 訴 へて、 出来る 丈 その 男に 接近しょう とさへ 努力して 見ました し 力し^ 力 その 

の . おこ やっと^.^" しさう になる と、 彼は必 すず を 立てて 紅茶 を 啜ったり、 卷 K 草の 灰 をき-: 造作に 

,、 テ エブル うへ おと あるひ *: たじ ぶん しゃれ じ ぷん こわだか わに なに i に. と \ -、 ^ \ 

ス 卓子の 上へ f したり、 或は 又 自分の 洒ャ济 を 自分で 聲 高に 笑ったり 何 かしら 不快な 東 をして 力し 



4 

o 



1, ゝ ふ^;^ぴゎ^^.;^^ はんかん よ おこ 

で- Jfi;^ 呼びき てし まふので す。 ですから g が 表ぎ かりぎて、 li^ 

かへ 出る はに、 ? I てぎ た, は、 np^. ぎぎ あの 製な if it. 

たは 4"、 川に 向った 佛藤窓 を i ばいに 1^ きく if した。 すると ョ i は i の I り、 ず 

き 花束 を 持つ.^ 膨雾 人の 断の にず ながら、 『ひどく, あの, 観 ひ ぢゃ ないか。』 と、 た 

"ドる やう な聲^;-ふの です。 わ まう 4 が r ない の だから S がない。 あれが i のま 

君の 從弟 だと は 不思議 だな。』 一二 lii— だ 4 ふと?』 わ 攀¥ あんまり おの i が i ひ 

-、 ^. みうら し f ら ち- V こ,. --t ノー I C H.4:l.s^J„J<..f;i ;_、ぉ 

すきる 力ら さ。』 一一 it の i 默 つて、 もう 箱, |£ グてゐ るき のお g をぢ つと ず 一」 ゐ 

_ ^したが; やがて 『ど うだらう。 その S に T つきに でも ぎ は。』 と、 i の? きもない 

事 を 云 ひきました。 が、 tif よりも あのき g の鮮 から、 の i れる のが, かった ので、 

『よから う。 釣な あは 外交より I が ある。』 と、 ぎ藉ょ 4 へます と、 ffs 

ノ 、、 ぐ わい-, ノラ V 、く 7? 7> \^ ^ スヲ 

"r^sr? に ぢゃ 僕 は— さう さな、 §pimf 

る ひ 君 Ql 以上の I が ありさう だ 4 きになる が。』 羅 『さう したら;^ ず鬆ざ P か 

られ いぢ やない か。』 私 はかき き, ま;^ に、 怖 あの f おき ものが あるの こが 



人 上 もの 化 開 



305 



S ふやみ なか > み かれ あ ひか はら ナ ひや 、か へう じ やう うか ま. - フ -フ -, ス まど そと 

がっきました。 が、 夕 暗の 屮に 透して 見る と、 彼 は 相不變 冷 な 表情 を 浮べた^、 佛蘭西 窓の 外 

み-つ ひかり こんき なが わたし ところ つり いつ で みうらい つ キみ つ がふ 

の 水 の 光 を根氣 よく 眺め てゐ るので す e 私 『所で 釣に は 何時 出かけよう。』 三 浦 『何等で も^^;の 都合 

い とき たま わたし ぼく はう て がみ だ こと わたし おもわろ あか 

の 好い 時に して くれ 給へ。』 私 『ぢゃ 僕の 方から 手紙 を 出す 事に しょう。』 そこで 私 は徐に 赤い モ 口 

が は -, す けな む ごん i,- かれ あくしゅ か は ひ . みつくさ はくぼ しょさい 

ッコ 皮の 椅子 を 離れながら、 無言の 傲、 彼と 握手 を 交して、 それから この 祕密 臭い 薄^の 書齋を 

さら ぐら そと らう か ひと しりぞ 、 おも とぐち たれ 

更にう す 暗い 外の 廊下へ、 そっと 獨 りで 退きました。 すると 思 ひがけな くその 戶 口に は、 誰 やら 

くろ ひとかげ なか よろ す f き し-つかた.." す ひと 

黑ぃ 人影が、 まるで 中の 容子 でも 偷み聽 いて ゐ たらしく * 靜に 佇んで ゐ たのです。 しかも その 人 

-1^ げ わたし すがた み いな とっさ ま ぢか す.." よ お かへ 

影 は、 私の 姿が える や 否や、 咄嗟に 間近く 進み 寄って、 『あら、 もう 御歸 りになる ので ございま 

It, 亡 H めか こ ゑ わたし い ぐる いっしゅん C ち け ふ ばち 

すか。』 と、 ,しい 聲を かける ぢ やありません か。 私 は 息苦しい 一瞬の 後、 今日 も蒂 薇を髮 にさし 

ん つみ ふ じん ひや、 か なが む ごん 、る; そうく くるま ま げん/、 わ ス はう いて 

た 勝 美 夫人 を 冷に 眺めながら、 やはり 無言の 傲會釋 をして、 匆々 俾の 待たせて ある 玄關の 方へ わ 

と キー わたし こ V ろ わたし じしん い しキで き ほど こんらん き は 

ぎました。 この 時の 私の 心 もち は、 私自身 さへ 意識 出来なかった 程、 混亂を 極めて ゐ たでせ う。 

わたし た わたし くるま りゃう r フ、 ばし うへ と は とき た くち なか つぶや い な 

私 は 唯、 私の 俥が 兩國 橋の 上 を 通る 時 も、 絶えす 口の 中で 眩いて ゐ たの は、 「ダリ ラ」 と 云 ふ 名 だ 

こと き おく 

つ た 事 を 記憶し て ゐ る ばかりな の で す C 

い 、いいわたし あきらか み うら いつうつ よ, T す t ひみつ に ほひかん だ もちろん ひ みつ 

「それ 以來私 は 明 に 三 浦の 幽 |ぉ な容 子が 藏 して ゐる 密の勻 を 感じ 出しました。 勿論 その 秘密 



の勻 が、 すぐぎ べき 襲の 1ー| あおむ 4 きつけた の は、 きリ する まで もあります ま、 C 

何故 叉 あの S きの ョ g とも ある ものが、 if 稱 しない Q でず 

! S "疑惑 は 2ぃ_:!? も、 その i がない からでず か。 それとも pi があって も、 ま 

婚を I する, lis どぎ てゐ るからで せう か。 llf んな逼 を f おひし i く 

れつ ゆ やく a.- く 二,, 

/- ノ n=、l、 や f -f>!, おく こ 力 力, C 

彼と 釣りに 行く 約束が あった f へ t れぎ」 て、 證 1. きかり の g だ t のよ、 ; こ. も 

に は f ました ド あれ rr 難した g の 薦の霸 にも、 鍵 さへ しなくな つてし まま 

した:, S が:: の 半 さかりが ぎてから、 僻 is^ にも ii な i に ので、 とう 

いとう II し 旁、 fMfifflmmf^Mi!ka 

立った のです。 . 

に: it は p£i ? はり g の ドクトル あ P 編した Ei に、 たし 力 i 坩 

して ゐ た^きも 轰の E とべし よに なって、 ら rl, した g あ を、 

|柳橋£ つき i へ ー盞 を つたので す。 if この づ f ,、 ^の 群 舭.. せ 

と 51 ヒ やみせ 乂 き * /, I It 一 

る やうな 豐味 線の 昔 I きながら、 し 襲き 編; -でゐ ると、 .^-^.f 1^. 



人 良の 化!];? 



307 



ん., ジ、 りん し^じん きぶ-つ をり/ ->け いめう し われ . A; じ な I やす ふ トん パ、. ?ン グ., .;•-< もしら 

うな 珍 竹林 主人が、 ふと 興に 乘 つて、 折々 輕 妙な 洒落 を 交へ ながら、 あの 稱山 夫人の 醜聞 を 面白 

はな ォ! はじ なん ふ じん ぜんしん かう ベ らしゃ めん い -: と 、しつじ V.-V; 、うてい. a,;- 

く 話して 聞かせ 始めました。 何でも 夫人の 前身 は神戶 あたりの 洋妾 だと 云 ふ *、 一時 は: 二 遊亭ぼ 

ぼう をと こめ かけ い -rv- 二, つ ふ じん ザ- ん せいじ V,) い キ-ん ゆびわ むつ t 、 

曉を 男妾に して ゐ たと 云 ふ 事、 その頃は夫人の<王盛時代で金の指!^^はかり六っも1^めてゐたと.1^ 

こと に さんねん まへ ふ ぎ り しゃく きん ほとんど くび ノ こと 卞ノ 二- ノ. 、りぐ し r ヅじノ ) 

ふ 事、 それが 二三 年 前から 不義理な 借金で 殆首 もま はらない と 云 ふ 事 —— 珍 竹 札 主人 はま だ こ 

ほか うち まく ふ ひんかう す き なか わたし こ 、ろ 5 へ 、ナ- 'ゼ ん,^ チ 

の 外に も、 いろいろ 內 幕の 不品行 を 素つ ばぬ いて 聞かせ ましたが、 中で も 私の 心の 上に 一^ 1^ 愉 

くわい か! £ おと ゥん らい わ. A ご しん ザ.: つ な,:: やま ふ じん こし ぎん 十-やく ある 、 

快な 影 を 落した の は、 近來は どこかの 若い 御新造が 樹山 夫人の 腰巾着に なって、 ル いて ゐ ると ぶ 

ふう ひやう わか _ ご しん ざう とき- <\- ちょ けんろん しゃ いつ v», ゐ じん ん.. 、と-: ノ レ -t, 

ふ 風評でした。 しかも この 若い 御新造 は、 時々 女權 論者と 一し よに、 水神 あたりへ. 連れで 泊り 

い わたし き- と キー や-つ. -V- けんし-つ いひた 

こむらし いと 云 ふぢゃありません か。 私 はこれ を 聞いた 時には、 陽^なる べき 獻酬の でさへ、 

おも み うに- すがた しふね め まへ ぎり にぎやか わら ご ゑ た 

もの 思 はしげ な 三 浦の 姿が 執念く 服の 前へ ちらつ い て、 義理に も 娠な笑 ひ 骤 は 立てられ なくなつ 

てし まひました。 が、 幸と ドクトル は、 早く も私& ふさいで ゐ るのに 氣が ついた ものと ru- えて、 

たくみ- あ ひて あやつ いつ わだい な <: や t ふ じん まった えん i うめん も 、 

巧に 相手 を 操りながら、 何時か 話 题を枘 山 夫人と は 全く 緣 のない 方面へ 持って行って くれました 

わたし いき と かくいち ざ きょう そ て V と や:; うた ハ つ -; レ J て V- 

から、 私 はやつ と 息をついて、 觅も角 一座の 興 を 殺がない 程度に、 : 臉對を _ 殿 ける: が出來 たので 

- ' . ば ふ わ i "し , うん わる で き あが ちょ けん,. -ん— や つ はさ き 

す しかしその晚は;^^にとっ て、 どこまでも 運惡 く出來 上って ゐ たので せう。 ケ、^ <i ^の^に 飒 



313 



を f した 私が、 やがて 一 I 人と r しょ あ をお つて、 Mi£if!^^ 

ると へ、 急に 一 臺の 相乘 俥が 幌を i に, せながら、, くそ こ へ いこみました。 L^uf 

うへ くつ かたあし ふ : 7 f 

r へ 靴の 片足 ほ 5!:- けたのと、 i^mrF fif^p<f 

!: りた? が、 i 殆 同時だった のです。 if の 蒙ぎ が ST いか、 ぎ fi ので f g じて、 

車夫が 梶榨を 上げる f の, されながら、 『あいつ だ。』 fa ?」 は ゐられ 

ま a でした。 あいつと, の は もない。 あ f ,る、 あのお の 霞い 衡 

の背廣 だった のです。 ですからお i-lf の聊 をお る m 一 歡ジ こ 4 じき,.、、..,、 ぉパ j., お ? V? リぢ !.. と 

よ」 、 力 禾 の 胴 を 傅の 幌 に^きな 力ら 燈 火の 多い 廣 小路の 往 來を资 

、、ゝ b 、 二 7?ニ r^ - isi^ た ► あ ひ C りぐ る. なか ? 

4 うに 走って 行く,, も、 あの 相乘 体の 中に 乘 つて ゐた、 もう t:< の t^f M して、 ,とな 

お; V ろ ふ あん ねん お, ひやか > ^ -I . / i ィ户) ズ 

く ぞい 不安の 念に 脅されました。 あれ はおき 5 おでしたら うか。 SMk^^f 

さは 鐘 夫人だった でせ うか。 群, この どちらと もっかない £ に i まされながら、 P 

の 疑惑の #れ る f 恐れて、 直と, f i:^ た の S 禁ぉ ちが、 雰 たしく g まれ 

てな りませんでした。 このもう ひ f;- の:^ が 膽しョ mQr い S\ こっこ、、 ごし ^Mui ? 

i ノ牛 r5 ムこ I 三 7^ ジ-糸 まえった 力 それとも 女權; itw 者: i, でつ 

たかは、 今にな つても si は f ,おない I なので さ 



y «^^^はどこからか、 おきな の 手. お を 出して、 っっましく^^?をかみながら、 もう 暮色 を帶 

J , こ -. - I J X つ な" み わた し-つか .? たはな し つ V はじ 

び i.1 した^ S: 室の 中 を 見渡して、 靜に又 話 を 綾け 始めた - 

「; T もこの!^ ぎい は いづれ にせよ、 ^ に く g^st だから £ いたき 丄 だけ は、 三 浦の 身に とって 三.^.' 

? よく. -二 て がみ ほ やう や,、 そく つり で 

にもき!? にも^ f る ま V すから、 S は その 翌日す ぐに 手紙 を やって、 保養が てら 約 来の 釣に 出た 

いと II ふ ひ 日 を^ら せました。 すると すぐに^り || して、 三 浦から-ぎ 事が:^ きました が、 見る とそ 

の^は 1:: 戯せ: _ へ^だ から、 よりも お^が |?> ^の i から l^f へ 船 を, さう と 云 ふので す。 勿論 

. b r さっそく かれ まつ- ぜ どうい たう じつ う 

稗にしてもままきりに^^^ぁづた謂でもぁりませんから、 早速 彼の, 發議に 同意して、 當日 はまね 

ての^? ^诞 り幫 観が 艇 II で^ つてから、 まだ^?の&なぃ¥に、 舟で 大 川へ 潜ぎ 出しました" 

し な- p.* 

「あの 銜の; llg の!^! &は、 たと ひ I^^Ki に はおばなかった かも 知れません が、 それでも M、 

_ つ _ ?,? ひ. あんばち した お ほか はす ぢ 、で み J 

どこか!&酽じみた鬆ぃさが!^ってゐたものです。 现に その 日 も 萬 A の 下を大 川筋へ 出て 見ます 

^ ,こ、 ずく a をな すった やうな is ま が、 のかす かな?^ i りを搖 かして ゐる川 波 塞 

f に、 Tlk り Ik つた を ir? とひ き^して、 そのお を 通る 車馬の 影が、 早く も 水需に ぼやけた 

人 S こ は、 ^まぐ るし く!: き! < ふ ill^^ かりが、 もぅ^«^の¥ささに點.^赤く動ぃてゐました。 



310 



函.; うだ、 この f は。』 私 『さう I、 こればかり はいくら r? きった つて、 廣ぢゃ 

41 むれ ま f かも 知れない。』 §al だ 纏 g でも 悪.;?」 

一 h ま 力 』 私 『まあ、 *s だけ は 負けて きかう。』 ヨ&, t は になつ 一」、 すつ ゾ S 

なる I い;; になって しまった。』 わ f ん でも isi がヴル ヴァルき て I き 

"一 r 口の; い::,:: :4 ふやつ は、 境に ゐたデ ユマ か ,に「 おい、 ,い 一 ま を あん 

な f もな 4 い 刀に ずつ けたの だら う。」 とほた さう だぜ。 ずん ぞは f つけない と、 す 

.::^1:.:.メ!!!:?」き!^:.れる雞らしぃな。』 3 摩い や、 それよりも こんな P ある" r 

力 使に 来た 何き と f 支荤 おは、 mmi-^?^iriis^ 

なる もの、 i^Misii4 齡 仏した と ないか。 i も m 

弊 だからって、 一概に は 霧に ■ ない。』 その にぎ の 、きに?, たのに, て、 

ヱと あたり を 見 まます と、 ザき こ 、お.,;; ご _rL 、卜:, いちだん ろ お V; t や . 

/. ご」 の, 5 に 力 我々 を乘 せえ^ 牙 舟 は、 一段と 槽の ^おめながら、 H 

では:: 兩 i: 後編: あ r も g い, i き、 さし! うとして ゐ るので す。 そ 

こで 私 はョも 早く、 置 夫人の へ li を!? う. きました から、 SS 面き つ 



かま/一,」、 『そんなに 君が 舊弊 好きなら、 あの^ 化な 紙 君 は AJ うする の だ にと、 探りの 鋪を 投げ こ 

みました。 すると f 二 浦 は 暫くの 問、 私の 問が 聞えない やうに、 まだ 月 代 もしない 街 竹 〈おの, ぉをぢ 

つと i めて ゐ ましたが、 やがて その 服 を 私の 額に 据ゑ ると、 低いながら も 力の ある 聲で、 『どうも 

しな、。 いへ^ i ばかり 戯に ilf した ¥」、 きつば りと 答へ たぢ やありません か。 私 はこの 意外 

な 1$ へに して、 ,1 はす ふ つかみながら、 『ぢゃ 君 も i つて ゐた のか。』 と、 際どい 聲で 尋ね まし 

た。 が、 , 一顧 は,^ とした Ififc 子で 、『君 こ そ 萬 事 を 知つ て ゐ た の か。』 と 念 を 押す やう に 問 ひ 返 

,- 一し fv?- ノ レ . ^み さ *V くん な、 いやま ふ じん くわん;! い き « J * 

すので す。,. が 『ハ 《!s ^かどう か は 知らないが、 ^の 細君と 榴山 夫人との 關係 だけ は 聞いて ゐん し 一 マ 

, t: つま 、と 二 くわん ァ、 わたし うす ノ\ すゐ さつ み うら . 、 ヌ" 

if ぢゃ、 俊の 妻と 妻の &弟 との 關係 は?』 私 『それ も 薄々 推察して ゐ た。』 三沛 『それち や 侈: S も 

う 1 も _4 ふ^ If はない IS だ。』 1! 『しかし II しかし 君 は 何時から そんな 關 係に 氣 がつ いたの だ?』 

ーゴ i> まに こまの との か? それ は 結婚して 三月 程經 つてから 11 丁度 あ. の 妻の 肖像 寄 一 を、 五 姓 

^ 體 に^^し て^いて 貰 ふ^のぎ だった。』 この 答が 私に とって、 更に 乂 意外だった の は、 

^ 想 象が つくで せう。 私 『どうして 君 は义、 今: n まで そんな 事 を is して ゐ たの だ?』 - 三、. リ 

A して ゐ たの ぢ やない。 僕 は 肯定して やって ゐ たの だ。』 私 は 三度 意外な 答に 驚かされて、 哲 



- た ばう ぜん , ^れ かま > 

く は si:: 彼の 5r 見つ きゐる と、 itf^pa^ff 

との 現在 Iftff した ,ぢ やない 。まの, 菌 あいて ゐた攀 の ifi ?」 やつ 

たの だ。 i 僕が 「愛の ある 結婚」 を主, てゐ たの を f えて ゐる だら う。 あ 1ょ¥ 、ず f^l,^ 

, It? てべ - ため" しゅ 力 やう ?、 :ビ まォ ,^-§ 力き. び- 禾ー」 、も 

B 足 爲 い。 * きをす ベての おに & いた i だった の だ" だか あは i 

i I の 間の 禱が s 粹な もので ない St つ % r 藉の 續を觀 r と, こ、, さ 

う 一は 僕と 同棲し なければ ならない^ ぎ, に 逝 じたの だ。!^ & も^て ゐ る," 

If やない。 その上 f 妻 を まう と职 つて ゐて も、 き, はどうしても g を!^ すず 2, 

來な いの だ、 ぃゃこれも;^^にょると、 そまく s、d,!l ヒるも 3;、 giL": : ねつ ""こ え 

ほど ひんじゃく し 俘の K 灰なる もの 力 相 に それだけの 熱 を 起させ 得な 

い 程い I な" のだった かも 知れない。 だから もし i と? 擎と -、 f f 

?」 純 1 な 愛情が あったら、 I ひ tit の攀 sir になって tp つた。 i 

ければ 管 3 て 3 ぎ fi, 義ぞ 羅 あの, m 靈ぁ T 

さうな J;s ば、 妻,!? りと して i の i あして F おだった の だ。』 E は tf な 

力ら、 又 f 向う 河岸 墓へ 送りました。 が、 i はまる で纖 でも f したやう に、 g の S 



A 上 t の 化 開 



313 



r し き う,、 -んく お 5 *t つき で くも いま^ す、 こ み, - - , > りし 

の, 齔の 上へ!? と轰 ひかかった 儘、 月の出ら しい 雲の け は ひ は 未に 少しも 貝せ ません。 ^は卷 

こ 》H 1 ひ ん ど あ ひて うなが み うら ところ ぼく 1 つ 

Ijc: 十に 火 をつ けた 後で、 『それから?』 と 相手 を 促しました。 三沛 『所が 僕 は それから もな く、 

- とこ アム. - ふじゅ.? こと よつ けん ろ こつ い や 一 レー こ なら やま ふ じん あ ひだ じ やう かう 

の 顯仉? ^の 愛情が 不純な 事を發 見した の だ、 露骨に 云へば あの 男と 栖山 夫ス との 問に も、 ^交の あ 

こと i つ すん i つけん い こと きみ くべつき 

る 事 を ダ せした の だ〕 どうして 發見 した かと 云 ふやうな 事 は、 君 も 格別 聞きた く はなから うし、 

T く 、ま-. <:ま な おも と かく ある キは ぐうぜん きく わい ? くじ しん かれら みつく わい ところ 

僕 も ゲ更; jj^ したいと は 思 はない。 が、 鬼に 角 或 極めて 偶然な 機會 から、 僕 自身 彼等の 密會 する 所 

^ , こと ノ お わたし まき たばこ は ひ ふなばた そと おと い ノ、) ね i. め よ, 

を 見た と tk ふ 事 だけ 云って 置かう。』 私は卷 煙草の 灰 を舷の 外に 落しながら、 あの 生^の 渾の夜 

き おく こ. -ろ ^;が だ み うら よど ことば つ なく 

の, J; 化慌 を、 まざまざと 心に 描き出しました。 が、 三 浦 は 澱みな く 言を繼 いで、 『これが 僕に とって 

まさ „」i * ち ビ】 デき ぽ/、 , ^れら ノ、 わんけ い こうてい こんきょ いつばん うしな いき ほひ 

は、 正に^ 一 の 打 蒙だった。 僕 は 彼等の 關係を 肯定して やる 根據の 一半 を 失った の だから、 勢、 

ま へ かう、 め -1^ れら じ やう じ みことで き たしう せみ 

前の やうな 好意の ある 服で、 彼等の 情事 を 見る 事が 出來 なくなって しまったの だ。 これは^、 ^ 

てう ん かへ き 二ろ こと ころ く いか つ, f いと:; ., 「,r- p. は、, み 

が 朝^から 歸 つて 來た 頃の 蔡 だったらう。 あの 頃の 僕 は、 如何にして 妻の 從 弟から 変 を r りき 離さ 

、. もんだい まいにち あたま なや をと こ アム ウル 今ょぎ ) ノ じゅ, メ寸ん 、 

うかと 云 ふ 問題に、 1 母 口頭 を惱 まして ゐた。 あの 男の 愛に 虚偽 はあって も、 赛の それ は 純^な の 

ちが しん ぼく どうじ 牛: たつ 支 じ しん -1^ う ふ 、 ため かれら くわん けい かつや 

に 違 ひない。 —— かう 信じて ゐた僕 は、 同時に 又 妻 自身の 幸福の 爲 にも、 彼等の 關 係に 交 涉 する 

ひつえ, リ しん , ^れら すくな つま £,< く • い .- <^ ぶ、 かん, , 

必要が あると :!^ じて ゐ たの だ。 が、 彼等 は I -少 くと も 妻 は、 僕の かう 云 ふ 素振りに 感づく と 



僕が 今まで IQ, 係 を 知らす にゐ て、 その i やっとず ついた もの だから、 暴: . 

かいしゃく 二,: ^?/!' f F.^ i IX II, ( 

た"」 でも 解釋 してし まったら しい c きて 街の き、 iff, f -^t^M 

へ 始めた。 いやい 事によると 時, は、 g にさへ i と 襲の 觀を, てゐ たか も;! れな いに. g 

【,云へば、 何時か 君の 細君 は 、雲で f^ll して ゐ るの あち I きをして ゐ きがあつ, 

一二 浦 【さ、 さらう、 すゐ ぶん その 位な 鍵 はしき ねない 禁 つた。』 ^t^^t^. ^ 

ひ 川面 を 眺めました。 き f もう f^i 編 は、 のき くぐりぬ けて、 か I 

脚 を 夜の 水に? ながら、 露 I の is くへ さしかかって ゐ たのです。 ^ip. 

沈ん 應で まます に は、 『が、 mismkfi $ifrf 

• はい 點で、 (- 通じない 所 か、. g 扉 を I? ゐ あで、 それだけ に きは gg した。 f ^ 

橘に 出迎 (て ゅ來、 とうとう 今 るまで、 i は 鍵 このま」 なければ ならなかった の 

だ。 が、 ー歷 ばかり 前に、 下女 か 何 かの 棄 から、 きが r は ひる ぎ、 I の 憩へ が 

H てゐる ぢゃ ないか C 僕 はす あの 磨の PS た。 さう して — と?」 うその S を |-、 て ひ 

た。 すると、 その si ひも よらない,, らき てた ききった の だ。 f-f 



を A 三 たい つま あいじ やう じゅんす ゐ . もちろん だいに だ げき in ノノ ち- 

5 あの ER に對 する の 愛情 も、 やはり 純粹な もの ぢ やなかった の だ" 勿論 この 第二の 打撃 は、 第 一 

3 か :ハ そろ ちから もつ ぼ,、 り V,- う ふん V- い ど-つじ また ^^く せき 

の それよりも 遙に 恐し い 力 を 以て、 あらゆる 僕の 理想 を粉碎 した。 が、 それと 同 持に 乂、 僕の 责 

にん きふ ,il る かなし あん ゐ かんじゃう あ,: は こと また じ じつ み うら かた a は 

任が 急に 輕く なった やうな、 悲 むべ き 安 慰の 感情 を 味った 事 も 亦事實 だった。』 一: 一浦が かう 語り 終 

とき しゃう どむ か が し なみ ぐら うへ すご あか ヒ ふろく や つき はじ .;、: に C は はし 

つた 時、 r 度 向う 河岸の 並 倉の 上に は、 もの i^H いやう に 赤い 十六夜の 月が、 始めて 大きく 上り 始 

わ, べし よしと し つきよ ゑ やう ふく き きく ご らう み うら こと ; ,,. も だ 

めました。 私が さっき あの 芳 年の 浮世 繪を 見て、 洋服 を 着た 菊 五郎から 三 浦の 事 を 思 ひ 出した の 

一一と ャ "か つき し li ん ひい つきに 二と いん しろ 

は、 殊に その 赤い: が、 あの 芝居の 火 入りの 月に 似て ゐ たからの 事だった のです。 あの 色の 白い、 

ほそおもて なが ^-^ なか ね み うら い つき で なが きふ なが いき r 

細面の、 長い 髮 をまん 中から 割った 三 浦 は、 かう 云 ふ 月の出 を 眺めながら、 急に 長い 息 を 吐く と、 

ベリ せラ お こ ゑ きみ わかし しんぷ-つれん い C ち と あ、 いそ こ ども ゆめ --と 

さ びし い 微笑 を帶 びた 聲で、 『君 は 昔、 神風 連が 命 を 賭して 爭 つたの も 子供の 夢 だとけ なした 事が 

み め み . ぱ く けっこんせ いく わつ わたし こ ども 5 め 

ある。 ぢ やおの 眼から 見れば、 僕の 結婚 生活な ども 11 』 私 『さう だ。 やはり 子供の 夢だった か 

し こんにちわれ/ \ もく-、 う かいく わ ひゃくねん C ち み ゃハた 1 ども 

も 知れない。 が、 八:'!::! 我々 の 目標に して ゐる 11 化 も、 百年の 後に なって 見たら、 やはり! M じ 子供 

開 の 夢 だら うぢ やない か。 ;… 』」 

匕 , 

f ちゃう ど ほんだ ししゃく まで かた つ と,^: われ/ \ い つ そ- ュ き し £ゃ い くヤ : I'/^A じ 一-く すて 

r 度 本 多 子 健が ここ 迄 語り 縫け た 時、 我々 は 何時か 側へ 來た 守衞の 口から、 閉館の 時刻が 旣に 

IV せす-、 . こと つた ししゃく わた: し N もむ ろ たちあが いす.' ど し-つ ゐ つ々」 よ ? i どうば ズぐゎ 

ソ 迫って ゐ ると 云 ふ 事を傳 へられた。 子歸と 私と は 徐に立 上って、 もう 一度 周 園の 浮世 綺と銅 版 叢 



み わ/? 

3TJ.ffy- ノ I J ゝ)、 - - ? ) -ズら ちんれつしつ そと e 

見渡して 力ら そっと この うす 暗 い 陳列室 の 外へ 出 た- 

び 出た 過去 の 醉靈か 何 か の やう こ。 



トしチ 

/ ル 

ふ, つ み た ぶんがく しじ やう .7 



これ は予が 嘗て 三 yas に 挺した 「麵 きと, く、 ri-i-.. し. 

だ • おう, ち |りぃーっ^5ジ、 た, ゆう じゅんしょく <± , -- お ゾせ 支ダ版 一 れ:! ^ん 

^. オフれ あ」 の 一一 さ 多 ま g を 加へ たもので ある。, 「i ガん の 

げん だ. おうれ あ」 i も、 ifl めて 讓 

で M ちう ほ とん こつ ナ、 ナ>" .-. . 

^> フ, i ひつ V: く ミ.., 一 H/ -. -*Ii=i ヌ r-^f 色 をお まいとした.^ g 

M わざと 何等の 筆 f もぎない f にした。 1^ ま 豪 P ふお リ 3 

X く T ノブ,;^ it ぉーズ 子に して ザ 力 常 の 有無 を 疑 まれ 

ければ 幸甚である。 . ィ 4, ^(^^ 



傳人 上ろ ほと しり き 319 



一 山す まひの こと 

:t ^ くに や おく * へ を . や 二 

fjg いずの ことで ぉぢ やる。 「しりあ」 の國の 山奥に T れぷ ろぼす」 と 5- す 山男が ぉぢ やった r そ 

二ろ お ほ を \ 三 おん あるじ にちりん て たま あめ した い , リノ り. 

の 頃 「れぷ ろぼす」 ほどな 大男 は、 御主の 日輪の 照らさせ 給 ふ. 大が下 は ひろしと 云へ 絶えて 一人 

キ を み たは V- ん *i. やう え ぅ\ ぶ :! ■ たん 

もお りなかった と 申す。 まづ 身の 丈 は 三 丈 あまり もお ぢ やらう か。 ^萄^ かと も 貝 ゆる 髮 のりに 

し じふから なん マよ し す く を て あし み やい;';:、 のき 

は、 いたいけ な S; 十 雀が 何 羽と も 知れす sm^ 食うて 居った。 まいて 乎 足 はさながら 深山の 松 檢にま 

がうて、 0^昔は七っの谷々にも欲するばかりでぉぢゃる。 されば その 日の 糨を獵 、りうに も、 鹿 熊 

なんどの たぐ ひ を とりひしぐ は、 指の 先の 一 ひねり ぢゃ。 又は 折 ふし 海べ に 下り立って、 すな ど 

おも 七き み る .f ひげ た おとが ひ すな ほど- - み-つ ひ. vS - す,、、 » 

らうと 思 ふ 時 も、 海松房ほどな^^の垂れた顋をひたと砂にっけて ある 程の 水 を 一 吸 ひ 吸へば 

ぎ も 鰹 も 尾 I を ふるうて、 ざ は ざ はと 口へ 流れ こんだ。 ぢ やによ つて 沖 を 通る 廻船 さへ、 時なら 

し 5 た よ こ かんど リ あわ 二と * へ 「一 ゝ - 

ぬ 潮の さしひきに 漂 はされ て、 水夫 楫 取の 慌てふためく 事 もお ぢ やった と 巾し 傅へ た, 

しゃう とくこ- 'ろね や *ー 、て?,, り-:' ど ,h と J 

なれ ど r れぶ ろぼす」 は、 性 得心 根の やさしい もので ぉぢ やれば、 山す まひの 杣獵夫 は 元より 

わう らい た. ひびと がい く は ,を こと かへ そま き \ 一. - 、",^ つ-ど > 

往来の 旅人に も 害 を 加へ たと 申す 事 はおりない。 反って 私の 伐り あぐんだ 樹は 推し ^x- 獵 火の 



320 



お うしな け も Q - -.^ < 

追 ひ 失うた I はとって おさへ、 きんの Is なやんだ £1 にかけ て、 なにかと i をつ くいた 

ひれば 一 謹の 山里で もこの 山男 を 憎ま うすもの は、 gf" おりなかった。 g にもと あるひ S では、 

羊 飼の わらん ベが 行き方 知れす になった おから、 さり その わらん ベの f ぎ ri を f ii 

くもの が あつたれば、 驚き まどうて 上き たに、 If ほどな 「れぷ ろぼす」 へ.^ ぜ よく I だった 

わらん ベ を かいの せて、 星窘:.. から と r て i たこと もお I るお す。 ^i0f 

合.. 5 まじい、 殊勝な 心 映えで はお ぢ やるまい, い。 

やまがつ .. 

されば 山賤 たち も r れぷ ろぼす」 に 出が へば、 まや ■ など を ふるまうて、 へだてな く まこと 

も 度々 お ぢゃ つた。 さる ほどに ある r こと、 まの T むれが ぎ をぎ うずて、 ふかく わけ 

"つたに、 この 山 がの さの さと 藝 あから 稗-たれば、 もてなし:;^ 醇を r て、 ,の 

11 て とらせた。 その 滴 ほどな 扉の ずへ、 r れぷ ろぼす」 はぎに, だけし きで、 I が 

"に巢 食うた 四十雀に も、 :i たちのぎ t いた f ばらまいて とらせながら、 f I-T 

申した は、 

「それがし も Mi とぎれ たれば、 あつ ばれ がら を も, て、 1^ は gr ならう する。」 



い そ *i う キ- よう 

1 と 云へば、 杣 たち も 打ち 輿 じて、 

2 

3 ことわり りきり やう し^0 ふた み i.- おと , ^たて >rj : 

「道理 かな。 おぬし ほどの 力量が あれば、 城の 二つ 三つ も 攻め 落さう は、 片乎 ぎに も Bi- る まじ 

* い とき あん てい 亡」 を 

い。」 と 云うた。 その 時 r れぶ ろぼす」 が、 ちと もの 案す る體で 申す やう は、 

ひと なんぎ ひ ごろ やま ク: や 

「なれ どこ に 一 つ, 難 俄な ことが ぉぢ やる。 それがし は 日頃 山す まひの み^いて れば、 どの 

との はたもと た かっせん つかまつ ふんべつ いた つ -ノ- こんでん: 

殿の 旗下に 立って. 合戰を 仕らう やら、 とんと 分別 を 致さう やう もこ ざない。 就いては 5〉3 今 天で 

わ さう つ はも Q i を くに たいしゃう た. J ,i ? , 

無双の 强 者と 申す は、 いづく の國の 大將で ござらう ぞ。 誰に も あれ それがし は、 その i り^ 5§ に 

は V- ん ナ, - うせつ と 

馳せ參 じて、 忠節 をつ くさう する。」 と 問う たれば、 • 

こと りゃう ナノ;" 、まあ も し』,) * * ,,」 ,, 

「されば その 事で おちゃる。 まづ われらが 量 見に て は、 今 天が下に 『あんち おきや』 の. ほど、 、1k 

ゆう そ たいしゃう こた やま をと こ き な.,, め よ, ノー 

勇に 富んだ 大將 もお ぢ やるまい。」 と 答へ た。 山男 は それ を 聞いて、 斜 ならす: g びながら、 

き 

リ 「 、 , 、っ产 こやま みお こ ,"しぎ 

い 「さらば すぐさま 打ち 立た うす。」 とて、 小山の やうな 身 を 起いた が、 ここに:.^ m 心議 がお ぢ やつ 

と * を あた i なかすく し じふから いちじ よ おと C-1 そつ +' . ± ^ J 

ほ たと 申す は、 頭の 中に m 食うた 十 雀が、 一時にけ たたまし い 羽 昔を殘 いて、 (や; に 網 を-おつたん ^ 

ろ 

K こ 「ゑ ーゼな あま と た こと え, ヒ のよ ひのき ) ^ 

人 の 稍へ、 11 も餘 さす 飛び立って しまうた 事ぢ や。 それが 斜に 枝を延 いた 檜の うらに f つたれば、 

^ , せし じふから み を し .: レ.^ ヽ 

とんと その 核 は M 十 钱が實 の つた や うぢ やと も 申さう す。 「れぷ ろぼす」 はこの 叫.!: 银の ふるま ひ 



322 



ュ ぶか まなこ なが を -- 

を、 S げ I で 眺めて 居った が、 やがて sf^ を聪 あいた 靈で、 もとにつ どうた 慰た 

ちに ねんごろな g を つげてから、 街 S の藝 をき み R いて、 鎖た やうに のしの しと、 ^へ 

獨 り往ん でし まうた。 

されば 「れぷ ろぼす」 が 大名 I- ならう す概對 と は、 i もな く 1 ず〕 の や あぎ 1 にも:^ れ, g つた、、、、 

ほ ど經 て 又 かやう きが、 i のた よりにき はって i つた。 と 1 す は ぼ ざ かひれ g で si ぜ、 つ y 

し どろ す お ま i 一, < ビ 、 一 ノ P- 1 ク. 

夫た ちが 泥に 吸 はれ I 船 を ひ I、、 つんで ぎた,、 i しげな § と f こ からか i ぎ、 その 

船の 帆 管む ずつ かんだ と 見て あれば、 く 苦 もな, 4 〜ひきよせて、 い fi き V きる ひま こ、 

はや すがた い う. H さ x 

4 くも 姿 を かくした と 云 ふ や。 ぢ やによ つて 「れぷ ろぼす」 を ,がし 知った まどの 崎 § たちな、 お 

なさけ やま をと こ A よく こ,、 ちう , ' 1 

この 情ぶ かい 山男が、 愈 「し-や」 の國 中から S した こと あつたれば、 s&m あて まま 

やま/ \ みね あ ふ 一 ごと. -ぎ _^ , / - - )^ 

した 山 さ峯を 仰ぐ 毎に、 限りない 名 殘り がきし まれて、 IS にた あが もれた "す。 まいて あ 

の 羊 飼の わらん ベな ど は、 崎 かげに f うす i は、 T ま づれの Y 養に たかだかとよ 

ぢ のぼって、 下につ どうた 羊の むれ も, たやう に、 「れぷ ろぼす J しゃ、 て どち 行った 

と、 かなしげ な聲で 呼びつ づけた C さて その I 「れ ぶろ ぼす」 が、 t 如!: なる しあ-せに めぐり r た 



傳入 上ろ ほと しりき ' 323 



みき いす, でう し かた- «^ つぎ よ, 5 

か、 右の 一條 を 知らう す 方々 はま づ 次の くだり を讀 ませられい 

二 俄 大名の こと 

なん じ やろ り .5 ゐ ゐ なか , やま- rJA- ん, は 

さる ほどに 「れぷ ろぼす」 は、 難なく 「あんち おきや」 の 城, 裡に參 つたが、 田舍の 山里と はこと 變 

みやこ * を ころ あめ した なら はんく わ と ち * やま をと- - • ナ>-*< 一力 

り、 この 「あんち おきや」 の 都と 申す は、 この頃 犬が 下に 並びない 繁華の 土地 がら ゆ ゑ 山 sf- が 》^ 

-」 -s ナ/ r- ぶつ なんこよ おびた^ つうかう で き >,^J. , 

へ はいる や 否や、 見物の 女 夥 しう むらがって、 はて は 通行す る こと も出來 まじい と はれ. 

^ ま うがく うしな ひとなみ 二し も -ゃ に-^ や-つ ヒ つ. ち 

さ,, ^ば r れぶ ろぼす」 もとん と 行かう す 方角 を 失うて、 人波に 腰 を 揉まれながら、 と ある 大. v.:? お 

つじ „ こ をり き みかど ぎよ れん 乙 ) 

の、 辻に 立ちす くんで しまうた に、 折よ くそ こへ 來 かかった は、 帝の 御 策 をと りまい た はたちの 

や-つれつ けスぶ リ ぐんじゅ さき お や t を \ 三 ひと リ C こ ま、 み. み し せつ , .V; は..' 、 - „ 

行列 ぢゃ。 見物の 群 猿 はこれ に 先 を 追 はれて、 山 を 一人 殘 いた 儘、 見る見る S: 方へ 遠の いてし 

だい ゲ J う あし て だ t ゲ! 

まうた。 ぢ やによ つて r れぶ ろぼす」 は、 大 象の 足に もまが はう すした たかな ザ を 火 地に ついて 

ぎよ れん まへ かしら さ 

御輦の 前に 頭 を 下げながら、 

キ を やま をと こ た い £ みかど . ズ.^^ . ^、さ-! > ノん 化. やう 

「これ は 『れぷ ろぼす』 と 申す 山男で ござる が、 唯今 『あんち おきや』 の 帝 は 大 T 無双の 大將と 

^> 一 ご まう こう キ を ぼ ま を t- N \ 

^ り、 御 奉公 申さう すと て、 はるばる これまで まかり 上った。」 と 申し入れた これより さき 



324 



,f 力 ど と^1, ぜぃ す: : 

帝の 間 勢 も、 「れぷ ろぼす」 の^ Ife をけ して、 こ 4Kr な,, お t らぶ f 4,- . 

しゅしよう こまき 、が マ ^叮. ^a,.".^ 難 フ,, 勒をも 胡 はう すりし きで あつ 

, 力 この 殊勝な f 聞いて、 f も ある まじい ものと 紕 ひつら う、 と I へす 川 を そこ こ: 

JJ も, し. It- メ、 ナ 1 も +aj チー - It. H 

めて 供 頭の 口から その" 趣 をし かじかと 議 した。 $ ぎれ あし r さ、 

お 一-を A £ _ ノ >^ 一 

「かほ どの S のこと なれば、 115 裏 も:^ に f つらう。 r ,てと き g す 

カノ、, 〈つ せん) き , * ,.1 - f メ- 

たれば、 格別の 贿と あって、 すぐさま 認 Qi- へ * へられた。 「れぷ ろぼす」, 1 びよ ずき 

::r まじい。 ぢ やによ つて ま m, ,ら、 SBlf&£&^ 

つて;. J ど f 御所の, そ、 俨か だかと Isr つた。 まこと この i の 「れぷ ろぼす」 が、 

J. けな ^ ま 墓お けて、 mifii ,を ふって ま 力り I つき 

开す I の ビそ、 目 ざまし いもので ぉぢ やったら う。 

rrir り 「れぷ ろぼす」 は、 疆^ ,幾の 震 裏た へて、 5 あんちお き £s 

の 御所 を 守護す る 役者の f なった が、 さ fr にき r らを if すぎ S がま f た kt、 

f~ , «^ ん?、 たいぐん t こ I > - - 3 -/ I - f 

き" i の大 軍が この 都 を 攻めと らうと、 ^にきしす てぎたことぢゃ。 i リの i 

の大將 は、? 王 ま 乎 打ちに す? g えた、 ,隱 の, ぉぢ やれば、 「あんち おきや」 の 



傳人 上ろ ほ としり き ' 325 



かど かつ ヰ- -ん こんど さきて いま 

帝 とても、 なほ ざり の合戰 はなる まじい C ぢ やによ つて 今度の 先 \ ^は、 今 まゐ りながら 「れ ぶろ 

お-は みかど おんみ づか ほん ちん ぎよ れん がう れい つ.; i さど -. い 

ぼす」 に 仰せ つけられ、 帝 は 御 自ら 本陣に 御輦 をす . ^めて、 號令を 司られる ことと なった。 こ の采 

けい 'にた *. は ズ. -こ み あし ふ お ぼ i うとうむ り 

配 を 承 つた 「れ ぶろ ぼす」 が、 悅び 身に あまりて、 足の 踏み ども 覺 えなんだ は、 毛頭 無理 もお ぢ 

やる まレ 

み かた と、 の みかど かひが ね ちんだい こ おと い.. ま くに 

やがて 味方 も 整へば、 帝 は T れぷ ろぼす」 を まっさきに、 貝 金 陣太鼓の 音 も^しう、 圃ざ かひ 

/、 いだ み てき ぐんぜい もと CiV かっせん 

の 野原に 繰り出された。 かくと 見た 敵の 軍勢 は、 元より 望む ところの 合戰ぢ やによ つて、 なじ か 

ん 二く C は.,: おで はだ さしもの に はか なみだ み ノちど と 今- 

は寸刽 もた めら はう。 野原 を蔽 うた 旗, お 物が、 俄に 波立った と 見て あれば、 一度に どっと 閲 をつ 

いま か あ み とき にスす なか ひ レ-リ いう 

くって、 今にも 懸け 合 はさう すけし きに 見えた C この 時 「あんち おきや」 の 人数の 中より、 一/、 悠 

う す. - だ べつじん やま をと-一 ひいた 寸ゐ〉 う かぶ. V たん 

悠と 進み 屮 I いた は、 ^人で もたい 「おぶ ろぼす」 ぢゃ" 山 sf^ が この 曰の 出で立ち は、 水牛の に 南 

ばんてつ よろ ひ き おろ は わた しす.' しゃく お ほな ぎな た え しろ てんしゅ 

蠻鐡 の鏜を 着: 卜いて、 刃渡り 七 尺の 大赌刀 を 柄み じかに おっとつ たれば、 さながら 城の 天主に 

たまし ひ やど だ いぢ せま ゆる いだ ごと りゃう ぐん た > なか 

魂 が 宿って、 大地 も狹 しと 搖ぎ 出いた 如くで ぉぢ やる。 さる ほどに r れぷ ろぼす」 は 軍の 唯屮 

た お ほな きな た はるか てきぜい まれ いか-つち. こ ゑ よば 

に 立ちはだか ると、 その 大 薙刀 を さし かざいて、 遙に 敵勢 を 招きながら、 雷の やうな!^ で 呼 はつ.. 

たま、 



2 

3 



「ぎらん もの は 音に も s:、 近くば よって にも F。 これ は 『あんちぎ やおき に、 一 

さるもの ありと f れ たる 『れぷ ろぼす』 と,,, や。 4r おは, の禁; , 一"、 

こ、 に 軍 を 出い たれば、 われと はう する もの ども は、 ずぎ て i ぎよ やつ。」 k した C そ 

^武者ぶ:! 後 U はに 曰 「ベり して」 の 蘭に 「ごり あて」 と f たが、 114-^. 

提げて、 百 J の ゆした にも、 t る まじい と f たれば、 さすが ■ の 驚た ち も、 しば 一 

しが ほど は 嗚を靜 めて、 iz で 合 うすもの もお りなかった」 おやに よって 組の-お こ 

1、 では、 かな ふま じいと 思 ひつら う。 IKr い g のお ハに駕 , の? をぬ きかざいて、 環 こ . 

泡を食 ませながら、 これ も大 一 曰ん に 雾りを あげて、 まっしぐらに 「れぷ ろぼす」 へう 打って かぶた 。 

な はも こなた はものと もせいで、 纏 f とりの ベながら、 き y き f しらうた が、 やが 一 

て 得物 をから りと 捨てて、 猿臂 をのば いたと ぎ ほどに、 f 、あの ま: fel から ひきぬいて、 一 

P ,、 、 おほそら つぶて ごとな と - -, - r .»1> 一一 

fj^ るかな 大空へ、 碟の 如く 投げ飛ばいた。 そ あの 赫 がきり きりと g にぎながら、 靈 

の へ r つと 落ちて、 I 骨灰に なった のと、 「あんち おきや」 の 謡が S の f ,いて、 き 

の 御輦 を 中に とりこめ、 雪崩の 如く 攻め やった のとが、 f に I を もど まじい、 ^^^^^^ 



f# 人 十-ろ ほ としり き 



327 



りんご,、 ぐんぜい ひと う あしだ ぶぐば ぐ す 

きぢ や。 されば 隣國の 軍勢 は、 一 たまり もな く 浮き足立ら て、 武具 馬具の たぐ ひ を なげ 拾て なが 

ら、 四分五裂に 落ち 失せて しまうた。 まこと や 「あんち おきや」 の 帝が この 日の 大勝 利 は、 味. の 

て かぶとく ぴ かナ いちねん ひ たつ お ほ ま を 

手に とった 兜 首の 數 ばかり も、 一 年の 日數 より は 多かった と 申す ことで ぉぢ やる。 

ぢ やによ つて 帝 は 御 悅び斜 ならす、 目で たく 凱歌の 裡に軍 をめ ぐらされ たが、 やがて r れぷろ 

だハ みやう くら ゐ く は うへ しょしん いち/ \ しょうり えん たま は くん- - う 

ぼす」 に は 大名の 位 を 加 へられ、 その上 諸臣 にも 一 々勝利の 宴 を 賜って、 ねんごろに 勳功 をね ぎ 

しょうり えん たま は よる おぼしめ たう じ くに かたぎ よ かう 

ら はれた。 その 勝利の 宴 を 賜った 衣の ことと 思 召されい。 當時國 々の 形 俄と あって、 その 夜 も 高 

みやう び は ほふし おほしよ; だい ひ もと ふしお もしろ げん てう いまん.: かし かっせん て ごと 

名な 琵琶 法師が、 大燭臺 の 火の F に 節 向 白う 敍を調 じて、 今昔の 合戰の ありさま を、 乎に とる 如 

く 物語った。 この 時 「れぷ ろぼす」 は、 かねての 大願 を 成就した ことで ぉぢ やれば、 涎 も 垂れよう 

すば かり 笑み 傾いて、 餘念 もな く 珍 陀の酒 を 酌み かはいて あった 所に、 ふと 醉 うた 服に もとまつ 

にしき まんまく は わた しゃう めん ぎよ Vj みかど い おん な ぜ を 

たは、 錦の 幔幕 を 張り 渡いた 正面の 御座に わせられる 帝の 異な 御 ふるま ひぢ や。 何故と 屮 せば、 

けんげ う ものがたり うち V やぼ い ことば おも みかど おんて 

檢 校のう た ふ 物語の 中に、 惡 魔と 云 ふ 言が ぉぢ やる と 思へば、 帝 は あわた^しう 御 乎 を あげて、 

かなら じふ じ いん き おん け み 

必す 十字の 印 を 切らせられた。 その 御 ふ る まひが 怪しから す ものものしげ に 見え たれば、 「れぷ ろ 

どう 41- き ざむ に ひ 

ぼす」 は 同席 の^に、 



8 

2 



あの やうに おの, &ら せられる ぞ。」 と, fa f 



シ, すら ひ , 

侍 の 答へ たは、 



「總 じて 惡 魔と 申す もの は、 5^が^;"0.^、ん^んと,/£^ろ: 0ト ー",ほ,^; だいりき りゃう 

. フ f r\ しゃ うげ 力 ノ." にの せて 弄ぶ 大力 量の もので お I る〕 ぢ 

やによ つて 帝 も、 惡 魔の 障碍 をき はう すと ミ, れ、 ,? の f ずって、 Mrff 

の ぢゃ。」 と 申した。 「れぷ ろぼす」 はこれ を, いて、 :i げに; r 問 ひ f たは、 

お 〔1 れ ど$- んち おき ,p に ,ない!^ t の 霧: /3 た。 されば i が 

身 こま、 一 匕 曰. ここ n?/ レニ 、。- び ど::., ざ むら ひ く, ひ , 

11 i 一 キをズ にカハ まじ レ 」 と 申した が、 侍 は 首 を ふって、 

お 〔い t にやに 帝 も、 惡魔 ほど; S はお I るまい。」 と i へた。 ,f のき r や,、 

大いに 憤って 申した は、 

しが f ザた は、 wiir^^fi しかる こ 

"、帝" へ、 惡 魔に は 腰 を 曲げられ ると ある なれば、 それがし はこれ よ I かり f て、 ,の 

臣 hlf うす。」 と 喚きながら、 ただちに s;£pi?n」、 f うと, たれ ミ さ 

の 侍 はさら いで も、 「れ ぶろ ぼす」 がきの 取き f まきず 一き つきよって、 



傅 人 上ろ ほ と し り き 



329 



やま をと 二 む まん いく どうおん の-し さわ し はう はつばう キ」 そ 

「す は、 山 が 謀叛す る わ。」 と 異口同音に 篤り 騷 いで、 やに はに 四方八方から 搦 めと らうと 兢ひ 

た ひ-, 一ろ さわら ひ : ノ はす 

ケ * つ た。 もとより 「r^l ぶろ ぼす」 も 曰 頃なら ば、 さうな くこ の 侍 だち に糾 みとめられう!^ も ある ま 

よ ちんだ ゑ ひ 一 ふかくてい たぜい あ ひて 

じい。 なれ ども その 夜 は 珍 陀の醉 に 前後 も不覺 の體ぢ やによ つて、 しばし が ほどこ そ 多勢 を 相 乎 

に、 糾んづ ほぐれつ、 樣み 合うても! 1;5 つたが、 やがて 足 を ふみ すべらいて、 はす どうと まろん 

>,..4- らひ •i' へ を かさな いか くる たか ズ こ、 て, 

だ X- ば、 えたり やおうと 侍 だち は、 いやが 上に も 折り 重って、 怒り狂 ふ r れぷ ろぼす」 を 高 ザ.^ ザ 

く、 ち みかど てい しじゅつ C こ _.) らう 

に り ヒ げた。 帝 もことの 體 たらく を 始終 殘らす 御覽ぜ られ、 

おん あ 1 こ ,A へ そう ノ\ つち にう な い お ほ げきり/、 

「恩 を 響で 返す. につく いやつ め。 匆々 土の 牢へ 投げ入れい。」 と、 大いに 逆鱗あった によって、 あ 

はれ や r れぷ ろぼす」 は その. ー仪 の^に、 見る も いぶせい 地の 底の 牢舍 へ、 禁獄 せられる 身の上と な 

らうない とら n い ハ し あけ 

つた。 さて この 「あんち おきや」 の牢 內に囚 はれと なった 「れぷ ろぼす」 が、 その後 如 4^ なる 仕 合せ 

あ みぎい ちで うし かた <,、 つぎ よ 

にめ ぐり 合うた か、 右の 一條 を 知らう す 方々 は、 まづ 次の くだり を讀 ませられい C 

三 魔往來 のこと 

いま な はめ つち らう やみ そこ な い 

さる ほどに 「れぷ ろぼす」 は、 未だ 繩 □! も ゆるされいで、 土の .{ 牛の 暗の 底へ、 投げ 人れ られ たこ 



3 

3 



とでき やれば、 ほば しが ほど は 葬の やうに、 i おうずと f ぎて、 fft 

りな か? た。 その 時 いづく よりと もがら す、 まの fr とうた 震ぞ il-x. 

しげに 問 ひかけ たは、 

r, ^作に U れ^ろ 一. i,- す no ぉコ - ,x ^' - - ノ:、 ^ 3 ところ を , 

i r,,;M』 あ.^ し は 何として 力 やうな 所に 居る ぞ。」 と あつたれ、 ま、 

がら、 i の やうに i ド」 f いて、 " ,fv 更な 

「それがし は、 psr Hi かやう に sf れた? お 

ぢゃ る。 おう、 おう、 これ を^て、 ,やさしぎ f たよ、 

た 〔さ" ばお ぬし は、 今 もな ほ 醇にぉへょ|まぉ り やる か。」 と f に i 

竪に 動かいて、 ( お 

「むな ほ、 おへ:; つす る。」 きた。 いに この 霧 あんで、 ffi 

ゝ I 、 ュ > ゾ, ら きょう メず - f 一一 卩く J す」 ね 

力り 力ら 力ら と 笑ひ與 じたが、 やがて 一 ひやさ しげに £じ たま、 

「ゴ, 1 z ゥ :;- よは-つ » ちかごろし ゆしよう せん f ん 

? a 近 震? 萬ぢ やによ つて、 これより ただちに S を 1 いて とら さう する。」 

とあって、 身に まとうた きの 袍を、 「れぷ ろぼす」 がお に g つたれば、 ず i や, のま r 



き やま をと 二 おどろ を J ノ、 お み, , "1 ベ- ヽ -,、 "^べ 

はらり と 切れて しまうた。 山男の 驚き は 申す まで も ある まじい されば 恐る恐る 身 を 起レて 學 

3 

3 しゃう かほ み あ いんぎん れい な * を , 二-、、 

匠の 額 を 見上げながら、 慇勲に f ぉを爲 いて 申した は 

な は 力 <- ^る ご おん しゃう- <\ よ ばう きゃく , ヽノ *^ 

「それがしが 繩 目を赦 いてた ま はった 御 恩 は、 生々 *1 々忘却 つかまつる まじい。 なれ ども この ョ 

J ^ ^ 一 、 ま を 、 がくしゃう とき また 

の牢 をば、 何として 忍び 出で 申さう する。」 と 云うた。 學匠 はこの 時 又え せ 笑 ひ をして 

「かう すべい に、 なじ か は 1 からう。」 と 巾し も す、 やに はに 緋の袍 の 袖 を ひらいて、 「れ ぶろ ぼ 

す」 をが S- に 1 いたれば、 見る見る 足下が 暗うな つて、 もの 狂 ほしい 一陣の風が 吹き 起った と m 丄 

ふ ほどに、 riv は;!: 時 か {a を 踏んで、 牢舍を 後に 飄々 と 「あんち おきや」 の 都の 夜. さへ、 火花 を 飛 

i とき がくしゃう すがた 々り ■ し-" -, つき ュ"! I :、 に; \ 

いて 舞 ひあがった。 まこと やその 時は學 匠の 姿 も、 折から 沈まう す 月 を 背^うて さな 力、 レ忤, L 

お ほか,? より くろくも つばさ いちもんじ ひぎ やう ごと み ま を 

げな 大蝙蝠が、 黑 雲の 翼 を 一 文字に 飛行す る 如く 見えた と 申す 

り されば r れぷ ろぼす」 は 愈膽を 消いて、 學匠 もろとも 中 { 仝 を 射る 矢の やうに 翔りな 力ら ?ャく 

ほ 聲で 尋ねた は、 

上 「そもそも ごへん は、 でお ぢ やらう ぞ C ごへん ほどな 大し祌 通の 博士 は、 せに も 又と ある まじ 

傳 、し 4 まゆる。」 と^したに、 ま、ほ_^1 忽ち 底 I 浙味惡 いほく そ 笑み を:^ しながら、 わざと さりげない 聲 



で 答へ たは、 

「.1: を隱 さう、 われら ま、 IJ^^fif.Jii^l^vl.^sru.^-..?;?? おい I りゃうが う も。 

メ ーズカ 下" ノ.. を 掌に のせて 弄ぶ 大力 量の ぼの 都ぢ や。 一とあった こ 

「れ ほぼ は 藝、 fff I 

}Si あ 魔 はこの 答の さ.、、 、 : ノ V き はし 

ジ l、c S め靈 の: れる おく, ひたき りこお. & せ つ こ L > ノ — , , 

^こと もしび いま で , こ プ涝— リを^ つんれ は 一 あんち おきや」 の 

S 燈?" ははる かな 闇の 底 I みはてて、 やがて f とに f & つた は、 ff^ 

は i の 沙漠で お I らう。 幾里と も r まじい g の i が、 15 き. おの!^ が ほこ、 

白々 とぎ g つた。 この 磨お i な ,のべて、 fip^v I 

「かしこの 蒙に は、 さる て r ときいた。 3^^p.fr 

る:」,. T て、 「れぷ き? ■ に ,争と ある あばき 1 へ 、ひまら あ 力 

bt5y-l=l 1、 フ < 一 f ?ズ 



ら舞ひ 下った。 

キ , おこな 



び こなた は そ、 あばら 家に いてぎ た醫の まや。 f ら ぎふけ たの も f 

火の かすかな 光う りの p. とで、 Ili^mK サ i まケ て, せつこ、、.、 g 、ちま !う . お- 1 ゆ, 

ま > が fi r~ "バ: る r 奉って 居った 力 f えならぬ 杏 M が 吹き^って、 i にも 

お: S うす 櫻の 花が 粉々 と % り 户幻ヽ こ g 、 、 ?, リ . '! 

ィ>-: r ,1/ と H んへは レ つくより ともなく 一人の が、 11: の, 術! 



/、トス ほ と し り 



333 



K おが^く さしない て、 ^i^ ぎ v4 う ぁ銜び 11 ビ とひき はえながら、 天女の やうな 媚を 凝し 

b - J .£/ -c ,.H ,-マ41-< さ ^r. た とき - つち むろかん ざき くるわ 

て、 1^ かとば かり^の まへ^ がた。 ^はさながら 「え じっと」 の 沙漠が、 片時の 内に 室 神 崎の 廓に 

, し ぎ L r- す 1 れ,. に、 けいせい -r- がた み まも 

I ぬった とも "まひつ らう。 あまりの 不思議 さに 我 を 忘れて、 しばし が ほど は惚々 と 傾城の 姿 を 見守 

, 一 ち ひて -H な ふ-,^ き み あ S ひ. -ii ま を 

つてぎ つたに、 相 乎 はやがて^ 吹雪 を 身に 浴びながら、 につ こと 微笑んで 巾した は、 

「これ は 『あんち おきや』 の i に 隠れ もない 遊びで ぉぢ やる。 近 ご ろ 御 M の つれづれ を 慰め まゐ ら 

せう と! g じたれば、 はるばる これまで まかり 下った c」 とあった。 その 聲 ざまの .a^ し さは、 樂に 

ぎむと や らう 1!" はつ た赠 きつ ま (鮮 に も ある まじ い。 されば さすがに 有驗の 隱 者もうかと そ の に乘ら 

うとした が、 i でば この 眞ー 仪.^ に i^rc 里と も 知らぬ 「あんち おきや」 の 都から、 傾城な どの 來 よう 

1 ,、 つ * I T る, 一-,、 二.. -ろ f/^-^ 6, 

や ^ も お ぢ や ら ぬ C さ て は 又し て も. 惡魔 めの 惡巧 みで あら うすと 、もづ いたによ つて ひたと 御經に 

> 1 V £ , こ 一- . 一て t-.- つ を す-せ、 いんじゃ おきな おと 

^を嚼 しながら、 凝お に 1^ 膨?; ^を 離し, 奉って 居った に、 傾城 はかまへ てこの 隱 の 翁 を m さう と 

い r にき はめつら う-〕 Si の 薰を漂 はせ た 綺羅の 袂を 弄びながら、 嫋々 とした さまで、 さも 恨めし 

なげ . 

げに 歎いた は、 

「ぎ カリ-^ びの, 1^ と はお ノせ、 干. i- の 11: も 敵 はいで、 この 沙漠まで まかり 下った を、 さりと は =w 



3 

3 



もない 御 方 かな ピと 申した。 その 越^ まこ ノン p 、ひ !ら はな いろ 

と ぶ、、、、 pf お? ん しん r r ト.. は 散りし く 櫻の 花の 色 さへ f ようする 

とお は,, んカ 隠者の 翁は遍 身に 汗 を ま.^ いて * . よ 

ffF^^f けしき 降魔の f を讀 みかけ 蒙 かけ、 かつ ふっその 殿 

ぼび 申す 事に 耳 を 借 さう す氣 色す らおり |_ ^い き に . 

つと 畕 、ほめ V2- さ さえ はき も 力くて はなる まじい ときず つた か- 

ン し.^., ^棒の, を 翻して, 抖こ 每』: Jkno お. -- 卜、、、 5 : お^ 

なん - き. 垧の縣 へと す 力った と 思へ、 ま、 

「何として さほど つれない ぞ。」 と、 よよと、 ま. が-、 

こ r,- こ き あ, -ゃ は.. こ !ビロ きん と 見る や 否や iifir は、 

. -.^ されん やうに 躍り 上った が、 早く も 肥 > につ ュノた がぎ を.^ ャ ヽ 一し、 ぶみ i ?し 

「2;n マ、 おん あるじ . ( ス i 'ネカ を 力 さいて、 霹饞の 如く 1 つた, H、 

「業畜 、御主 『えす きりし と』 5 に^ i ^ ヒ /P- 

.^1」 う う . せ fz て, M ある まじ V そ。」 と 申し も?^ てす、 てうと 切: 

の 面 を 打った。 打 たれ. 臭 * は i^QSV なよなよと きしま ろん さ.、 1- パ L み i 

^c. 4f ) i わ おこ . に " と :^. しま ろん た 力 忽ち その 姿 は 見えすな 

つて 唯一 むらの 黑雲 が 湧き起った と, ほどに、 € の 前; まゲ だ- 

1 いた ま- = - , )t 7 ク^^ グー ぼカ縛の ,5^く5:^.$:^ 愤 し \:、」 、 

「お、 つ、 .sub ひ / \ -, ベる-す う J fi" /Hi え 1ヲ / て 

Jf 又しても +字架 に 打 たれた わ。」 と I4V S に ま i に? つて f た。 も 

とより 隠者 はかう あらう といい-ひ I か . ^あ ひだ ひみつ しきん :ォ 

た 5? こ,、 - み く!" 期 一居つ/によって この 問 もき の ir ぎき 籠に ぎし 

奉 つたに 見る見る 黑雲 も あれれば、 is も f すな ?、 きら f ド かこ」、 た ご: 

i がかり が i つたと SV あは まの. r に は 又もとの 如く、 



なれ ど は亞デ 魔の 障碍が 猶も あるべ いと 思う たれば、 夜もすがら 御經の 力に すがり 奉って、 

あ •「 yl 1 ーザジ - ^ しぶぶ AJ ぽそ 

SEIi もが 口 はさいで W いたに、 やがてし らしら 明けと 覺, しい 頃、 誰 やら 柴の昴 をお とづれ る ものが 

>J チ 、 -1 て ご、 ^ *^た なん ハらゃ へ う-つくす a うや/ \ 

あつたに よって、 十字架 を 片手に 立ち 出で て 見 たれば、 これ は 又 何ぞゃ 藁 家の" >S に 縛って、 井 ふ 

しげに I, を i にて, つた は、 }?<^^ら&ったか、 地から 湧いた か、 小山の やうな 大男 ぢゃ。 それ 

まや あす なが そら くろん、 t 一 いんじゃ まへ かしら さ 、 お,. V ^.^^ *£ • - :t 

が sj. くも 朱 を 流いた 空を黑 々と 周に かぎって、 隠者の 前に 頭 を 下げる と 恐る^る 中した は 

ま を くに やま をと こ -、 ■ ) • 

「それがし は 『れぷ ろぼす』 と 申す 『しり や』 の國の 山男で ぉぢ やる ち 力 ごろ.. - つと 魔の 下 * 口と 

あ ひ-. さ ばく まゐ ちゃ?^ おん あるじ — 

^^成って、 はるばる この 『え じっと』 の 沙漠まで 參 つたれ ど、 惡魔も 御主 U えす • き りしと』 とやら 

んの ぎ獻 おに は ポひ觀 く、 それがし 一人 を殘し 置いて、 いづく ともなく 逐天 致いた。 自 §i それが 

>* あ も :> た 」<ら いがう もの た-つ いだ み うち つか こ、., つや J し.' > ) 

し はゲ; 大が; 卜に 並びな、 ぃ大 剛の者 を 尋ね 出いて、 その 身內に 仕へ ようする 志 が あち やる によつ 

な: のち ふつ、 か おん あるじ レ も.."、 4: び , .1," ん /-^ 、ベが ノヽ o - ぶ、 

て、 とぞ これより 後 は 不束ながら、 御主 『えす. きりし と』 の 下部の 數へ街 加へ- ト されい 」 と-ぶ 

> メ?. -ンゃ -Jp や-な キ- や かど た、 す に は 力 *1 ゆ こ 力 

うた。 ぽ 者の 翁 はこれ を 聞く と、 あばら 家の 門に 佇みながら、 俄に を ひそめて 答へ たは、 

レぎ そ うぢ ゎぽ しも ベ か ^ キ ば に 

「はてさて、 せんない 仕宜に なられた もの かな。 總 じて 惡 魔の 下部と なった もの は、 お 木に 微 

さ おん あるじ ち ぐう たてまつ とき ^ 

の^が.! 尺 かう する まで、 御主 『えす • きりし と』 に 知遇し 奉る 時 は ござない。」 とあった に 一れ ュろ 



336 



ほす」 は 又 ねんごろに 頭 を 下げて、 

1 > _ 、 いくせん ざい へ 

「たと へ擎歳 I ようする とも、 それがしは111|.4^纩 ,7^羅,た。 ill 

『""きり しと』 の S き, ベい S あべ あ へられい。. 6 した。 isf 

の 間に は、 かやうな 問答が しかつめらしう とり f された と,, お ぢゃ る 

「- 、 おんき やう もんく :?」 - _ * J / 

一 ご へ んは御 :徑- 



あいにくい ちじ i んノ- 

「生憎 一 字 半. E 




1 : I, ).; んじき で き ま を 

「 な ら は き 食 は 屮 I 來 申さ うす。」 . 

それがし は S えた ひでお I る」 ぎ はなる まじい。」 

rife 力な。 夜もすがら 眠らいで 居る 事 は Ml; あらう。 - 

「如何な こと、 それがし は g えたき き」 お I る。 f バ きらいで は f れま じい。」 

- それに はさす がの i の,、 ほと. ほと 環つ ぎき さへ お ぢゃ| ん だが、 i.^f^ 

と 打って、 したり 顔に. &し たは、 

1 みなみ さ 、 +っ り 

「ここ を 南に 去る こと 一里が ほどに、 辦 r ,お I がお ぢゃ,。 .^af, f 



f も (入 一 ヒろほ としり き 3:i7 



» , > つ) > ュん 》H わた なズぎ い S うけた ま は 

もが を^る 蛇く ぢ やによ つて、 :!: 頃から 人 Bll の 渡りに 難 俄 致す とか 承 つた。 なれ どご へん ほど 

, , .A よ わた もり 

の 51^^ たは、 11^^ く りさへ ならう する。 されば ごへん はこれ よりこの 河の 渡し守と なって、 

「ノウ- て": > 'こ と 4 つつ てに し, *、 た あつ --とナ り 

の^: ^を谢 させられい。 おのれ 人に 篤ければ、 天 主 も 亦お のれに 篤から う 道理 ぢ や。」 と あつ 

お ほ をと こ お ほ いさ た 

たに、 大男 は 大いに: み 立って、 • 

* - 3- 二 もり ま ビ » I* 八 I *^ お ふ. な 

「^ザに も、 その 流沙 I: とやら の 渡し守に なり 申さう する。」 と- ムぅ た。 おやに よって 隱ネの 翁 も 

し: S しょ-:' こ >- ろざし ほ, ^よろこ 

「れ ぶろ ぼす」 が 殊勝な 志 を ことの 外悅ん で、 

「i らば 啦ぉ、 f お を け f さう する。」 とあって、 おのれ は 水瓶 を かい 抱きながら、 も そ も そと 

醫& へ I ひぎて、 stspg おへ その ああぎ いた。 ここに y きが おおや 

つたと ¥ す は、 爹膨 ぬ、 が も^てす、 i からさし 上った の爛々 と 輝いた ぼ 〈唯 中から- 

1 やら mil がた なびいた かとお へば、 忽ちそれが數限りもなぃ2十^^の群となって、 空に 聳えた 

「れ ぶろ ぼす」 &| ほどな g の 上へ、 ばらばらと 舞 ひ 下った こと ぢゃ。 この 不思議 を 見た 隠者の 翁 

^.b "-ん み-つ V- ゥ ようがく わす あ, さ ひ .1; ーヽ, を, 5 , - ,、> 、 J 、、、一- 

+i、 E::-,^ す 御水 を 授けよう す 方角 さへ も 忘れ はてて、 ぅっとりと^-日を^レ で居っ.^.!カ や 力て 

n、 しく 一 t .4 を 伏し 拜 むと、 家の 棟から r れぷ ろぼす」 を さし 招いて、 



一 I な:: も 御 かれた 上 t は、 顯 『れぷ ろぼす』 を? て、 『きりし とほろ』 あのら せ 

ら:: い。 ご はきき f it え I、 鍾き i る まじい 

に 於て は、 必息 f II えす きりし と』 のま 麵 If みまう?」 と r た。 I 

〔3 しと ほ "えと 名 を 改めた 「れぷ ろぼす」 が、 その i4r る S せに めぐりす たか、 

條を 知らう す 方々 はま づ 次の くだり を, ませられい。 



四 往生の こと 



^^JJ^f0ff sai まこと 

は l:rn 岸: の ほ! S 蒸ら、 厨の 霍 あり I、 if r き 

よれと 山! 1 は 身の 丈 凡そ 一一 一 丈 あま! ぉぢ やる ほどに、 IQif f i さへ、 f 

修に£ の ほ" を II が あれる ばかり ぢゃ。 されば 「きりし とほろ」 はこの; へ:、 さ ふ 

ゝ-、 、、ゝ ) ;: VI, . JT,r , 、 と. T- をり. 7 た 4M や ヌニ V V - 

Htl^ 時折ずに 難む と f きが, れれ ば、 すぐさま さきえ 

歩み寄って 、「これ はこの li の!! しずお ぢ やる。」 と "かれた。 もとより, あが、 a 



やと こ おそろ すがた み いか てん." は じゅん はじめ キも け に こ.. - ろね 

9 男の 恐し げた 姿 を 見る と、 如何なる 天魔 波,:? かと 始は膽 も 消いて 逃げの いたが、 やがて その 心根 

3 がてんい しかお せわ あひな な 

の やさし さもと くと 合點 行って、 「然 らば 御世 話に 相 成らう す。」 と、 お づぉづ 「きりし とほろ」 の北リ 

つ. 4 ところ た^!-ぴと かた あ い つ みぎ は やなぎ ね 

に のぼるが 常ぢ や。 所で 「きりし とほろ」 は 旅人 を 肩へ ゆり 上げる と、 毎時 も 汀 の 柳 を 根 こぎに し 

つ ゑ た ざ かま なが みう ネ なん 

たした たかな 杖 をつ き 立てながら、 逆卷く 流れ を ことと もせす、 ざん ざ ざん ざと 水をハ 刀け て、 難 

&L わた し じふ, アら あ ひだ なん やう 、わ と 

なく 向う の 岸へ 渡いた。 しかも あの 四 卜^ は、 その 問 さへ 何 羽と なく, さたがら^ 花の 飛びち る 

んー , ^しら うれ ざへ づ か は キを 

やうに、 絶えす 「きりし とほろ」 の 頭 をめ ぐって、 嬉しげ に醵り 交いた と 申す。 まこと や 「きりし と 

しん ヒ ん かたじけな む しん こ とり すゐき おも ひ た , D 

ほろ」 が, 心の 辱 さに は、 無心の 小鳥 も隨 喜の 思に ぇ堪 へなん だので おちゃら うす 

、た あめかぜ いと さんねん あ ひだ わた もり やくめ つと を わた 

かやう 致いて 「きりし とほろ」 は、 雨風 も 厭 はす 三年が 間、 渡し守の 役目 を徹 めて 居った が、 波 

ヒ5 H-- び。..' と かす お ほ おん あるじ おんす がた た いちど ち ぐ- パ 

りを尋 ぬる 旅人の 數は 多うても、 御主 「えす. きりし と」 らしい 御 姿に は、 絶えて 一度 も 知遇せ な 

さんねんめ あるよ をり す さま あらし > • かみな 、 な マ ) : 

り んだ。 が、 その 三年 EI の 或 夜の こと、 折から 凄じい-: 風が あって 神 鳴り さへ おどろと いり 波った 

ゃキを A 三 し じふから いほり キ: も かた ゆ, め お f や 一 r> : 、 、 

ま に、 山男 は 四十雀と 舰を 守って、 すぎこし 方の ことども を 夢の やうに ひめぐ らんて 居つ たれば 

ろ た ナ-ま しゃちく なが あめ あつ こ ゑ ひ ビ-, 

丄 忽ち 車軸 を 流す 雨を壓 して、 いたいけ な聲が 響いた は 

iub , y わた もり .4" は ひと わた たま キ-- 一 わた. s 、 1 

傳 「;^EnJ 度^し 守 はおり やるまい か。 その 河 一 つ 渡して 袷 はれい。」 と、 閱ぇ 波った され ぱー きり , 



340 



し "ほろ きを 起いて、 がの,? i ぎ 11 いたに、 ??」 、^のほとりに は、 ff 

だは は 足る ま は、 f め, かな g の わらん ベが、 きつん ざ,; ぶ籍の g に、 

れて唯 r は ^でぎ たで はお I るまい か。 きおぎ 群ない て、 £ の irf 

まじい 大の體 を か.. めながら、 ま |£ る やうに i ひ!^ ねた は、 

, なん ,、 , 

5 ぬし は 何として かやうな 夜ぎ に ひと あく ぞ。」 とおした に、 わらん ベ はきげ なき あげ 



て、 

かへ 



「われ" がき もとへ 歸 らうと 一」。」 と、 もの, しげな i で變 した。 もとより 「きりし きろ」 

2 この 答 を 聞いても 二 向 不審 は S なんだ が、 f やら その f を fir あはれ にやさし く 

覺 えたに よって、 - 

レか 、 ねんな わ だ , 

らば 念 無う 渡さう する。」 と、 双手に わらん ベ を かい I いて、 の f II へのせ ると、 f 

太 J? つと つ 化」、 岸べ の靑曹 きしうながら、 g くも ざんぶと が 

を M いた。 が、 風 は黑雲 を卷き 落いて、 か I もっかす まじい と ^ きどよ もす。 ^も き^を お ま、 

て、 底に も徹 らうす ばかり いだ。 を かい, 續 のおぎ あれば、 .€fr 



傅 人 上ろ ほ と し りき . . 341 



ヒ かへ ちう まひ あが み-つけ むり わ すう あんちよ ゆき つばさ と 

き 立ち返って、 宙に舞 上る 水煙 も、 さながら 無數の 天使た ちが 雪の 翼 を はため かいて、 飛びし き 

るかと も S ひふば かり ぢゃ。 されば さすがの 「きりし とほろ」 も、 今宵 は ほと ほと 渡りな やんで、 太 

-っゑ いし サゑ く た ふ いくた:. S た ぶめ かぜ 

杖に しかと すがりながら、 礎の 朽ちた 塔の やうに、 幾度 も ゆらゆらと 立ちす くんだ が、 雨風より 

さら なんぎ けし かた しだいお も はじめ 

も! 3- に 難儀だった は、 怪 からす 肩の わらん ベが 次第に 重うな つたこと でお ぢ やる。 始は それ もさ 

お お ぼ か は まった. V なか f びやく 

ばかりに、 ぇ堪 へま じいと は覺 えなんだ が、 やがて 河の 眞唯 中へ さしかか つたと W 心 ふ ほどに、 白 

衣の わらん ベが 重み は 愈 增 いて、 今 は 恰も 大 磐石 を 負 ひないて ゐ るかと 疑 はれた。 所で 遂に は 

おも お ふ しょせん りう さ が い C ち おと かくご 

「きりし とほろ」 も、 あまりの 重さに 壓し 伏されて、 所詮 はこの 流沙; I: に 命 を 残す ベい と覺^ した 

^ \ キ- れいきな し じふから こ やみよ なん ことり 

が、 ふと 耳に はいって 來 たは、 例の 聞き慣れた 叫 十 雀の 餘ぢ や。 はて この 問 夜に 何として、 小鳥 

が 飛ばう ぞと, 訝りながら、 頭 を 接げて 签を見 たれば、 不思議 やわらん ベの 面 をめ ぐって、 三 口 月 

きんく わう さんらん る か^ゃ し じふから あらし きんく わう にい 

ほどな 金 光が 燥 爛と圓 く 輝いた に、 g: 十 報 は, みな 嵐 を ものと もせす、 その 金 光の ほとりに 近く、 

ふんぷん やど くる を み やま をと こ こ 七り を 、 にんげん う 

紛々 と 躍り 狂うて 居った。 これ を 見た 山 は、 小^^^さ へ かくは雄々しぃに、 おのれ は 人 問 と^ま 

みと ごんぎ やういち や す も えび. rv つら まが かみ 

れ ながら、 なじ か は 三年の 勤行 を 二 仪に捨 つべ いと 思 ひつら う。 あの 葡萄 蔓 にも 粉 はう す 髮をさ 

そら ふ みだ よ かへ あらなみ ち、 あら ふと-つ ゑ を 

つ さっと 签に 吹き 亂 いて、 寄せて は 返す 荒波 に^の あたりまで 洗 はせ ながら、 太 杖 も 折れよ とつ 



かた ひっし め きし ,- 

き iia めて 必死に 目 ざす 岸へ と々 ^、しこ C 

ひとと. *u 



t I 、i u 1 - - > 、しくはっく うち つ ビ 

r:: そ 一時 ft り ききの 內に續 いたでお ぢゃ らう。 「きりし とほろ」 は ■t.f の 街 

へ、 S 疲 1 獅子 王の けしきで、 i ぎ i ぎよろ めき f と、 き I にさいて、 F ら 

んべを 抱き 下しながら、 吐 i| をつ いて 5: じた は、 

「はてさ:: おぬしと f わらん ベの 《r さは、 1菌 りきれ まじい ぞ。」 とあった こ、 !<, 

に" 4" で、 miifiril 0ih, 

さも 懐 しげに 答へ たは、 

J- さも あらう す。 おぬし はゲ f と f S こそ、 iifi;n 

食 ひないた のぢ や。」 と、 ぎ を&る やうな 一お 一で f に, こ。 



*^"たりぅさ が 



. ? その 夜こ^ 流沙 河の ほとりに は、 あの!! し r の應 r くつけ ぃ禁 f すな つた。 霞 こ 

3 殘っ たは、 向う の 岸の 砂に さいた、 したた かな is 街で、 これに は 1, れ&れ あの ま はりこ、 



傳人 上ろ ほと し リ き 



343 



J. レ ぎ 5 るよ く 1 なん f ら +< な んぐは さ ほこ を *• を i たい おん tu ハぅ しる 

•^s 議 ゃ魔リ い 紅の 翁 i 微の 花が、 蒸しく 吹 き 誇 つ て 居 つ たと 申す。 さ れば馬 太 の 御 終に も 記 い た 

-. 一と こ-ろ ま. し あは いちち やう てんごく ひ y ) 3 - , 

如く 「心の 贫し いもの は 仕 合せ ぢゃ。 一 定天國 は その 人の ものと ならう する」 

(大li:八年s:H-十l^^u) 



344 



I 



Mce き I である。 ま iiss り 環霄, g に rr」、 f やつ a? ぎ 

待" てゐ た。 とうに 電燈 のつ いた g おに は、 m0i^. ほ 

t くと、 うす 暗い プラット フ ォォム にも、 U は rws りの さへ 1 をぎ つて、 き、 ^ 

なほ はた 尖が 一 匹: 時々 悲し さう に、 rri mf 

i5 まか はしい s だった。 ま tpl やうの ないぎ f 態とが: まる 

fl の やうな どんより した して ゐた。 わ P 謹が ポッケ ッ トへぢ つと 獎 をつつ し 

だ 儘、 そこに はいって ゐる" r を f て f うと f 霸 さへ, なかった。 

め が; へや? 車の 笛が 鳴つ f わ 街 i かすかな ぉまを ,ながら、 ,辯へ Mr たせて、 

眼の J の 停車場が するすると 後す さ It める の をず ともなく ぎち かまへ てゐ た。, 



4 

3 



い 、し - 一る; とも わたくし G に とうしつ と あ じふさん し こむすめ ひ 十-り あわた 

7 か 云 ひ 篤る 聲 と共に、 私の 乘 つて ゐる 二等 { 至の 戶が がらり と 問いて、 十三 四の 小娘が 一人、 慌し 

4 

3 なか き どうじ ひと ゆ おもむろ きしゃ つ ご だ いつぼん め 

く 中へ はいって 來た、 と 同時に 一 つづし りと 搖れ て、 徐に 汽車 は 動き 出した。 一木 づ つ^をく ぎ 

. ゆ はしら お わす うんす ゐ しゃ しゃない たれ し- -.. さ れい い 

つて 行く プラット フ ォォム の拄、 置き忘れ たやうな 運 水車、 それから 車內の 誰かに 祝 俄の 禮を云 

あか 丄ぅ い まど ふ ""いえん なか み れん うしろ た n I 

つて ゐる 赤帽 11 さう.. ムふ すべて は、 窓へ 吹きつける 煤煙の 中に、 未練が ましく 後へ 倒れて I:;: つ 

わたくし やう や こ.. -ろ まきたばこ ひ はじ ものう まぶた i へ 

た。 私 は渐く ほっとした 心 もちに なって、 卷 煙草に 火 をつ けながら、 始めて 懶ぃ醒 を あげて、 前 

,じさ こし おろ こむすめ かほ いちべ つ 

の 席に 腰をド して ゐた 小娘の ■ を 一 曾した." 

そ れ は油氣 のない 髮を ひっつめの!^ 杏 返しに 結つ て 、 橫 たでの 痕の ある 皲だ らけ の 兩顿を (湫持 

わる. ほど あか ほご いか fr- なか も Q むすめ あ 1^ もえぎ いろ け いと zn^^& 

の. 化 i い 程 赤く.^ 照らせた、 如何にも 田舍^ らしい 娘だった。 しかも^ じみた 萌黄色の \ ^絲の 襟^ 

た ざが ひざ うへ お ほ ふ ろ しき • つつ またつ V だ しも や て 

が だら りと 垂れ 下った 膝の 上に は、 大きな 風呂敷 包みが あった。 そ 〇 又 包み を 抱いた- 寐燒 けの 乎 

なか さんとう あかぎっぷ だいじ にぎ わたくし こむすめ げひん かほ この 

の 巾に は、 三等の 赤切符が 大事 さう にしつ かり 握られて ゐた。 私 はこの 小娘の: F 品な 額 だち を 好 

まなかった。 それから 彼女の 服装が 不潔な の もや はり 不快だった。 最後に その 二等と 三等との iHi: 

べつ わき ま ぐ どん ろ はら だ まキん ズ二 ひ わたくし ひと 二 

^さへ も辨 へない 愚鈍な 心が 腹立たしかった。 だから 卷 煙草に 火 をつ けた 私 は、 一つに はこの 小 

1 ザ 

t .CJ- め そんざい わ f い ろ こんど ゆ ふかん まんぜん ひや」 うへ 

t 娘の # 在 を 忘れたい と 云 ふ 心 もち もあって、 今度 はボッ ケッ トの 夕刊 を 漫然と 膝の 上 へ ひろげて 



oc 



見 たっする と 其 時 に f てゐ 為お や ^il g の 二、 お 

パ 1 .-> し、:? まぽか わたくし め まへ-つか き , -ン, 7 1 も \ マ f に V 力 の 

d^l 鮮 に 私 の 腺の 前へ 浮んで 來た。 f まで もな く K はや き £ こおい i 

の 最初の それへ はいった ので ある。 . 。、.. 

でんとう -V 、ク て 

"かお J 震、 き 照らされた "世; g をき きても、 や は" ま讓を g がべ く、 ^-^ 

J ずュ J 凡な 出來 事ばず, で 持ち I つて ゐた。 i¥ i. 籠 凝、 雪お に 

私 は ほへ はい つ? きて ゐ ききなった やうな i きな;:;、 そ 

はの ^ 漠 とした 聽から ぎへ ほ riii に i を, た。 が、 SIr-M! , 

f f き u》 あぎ、 ま li き f I 蒸 

T。 この if^f 、 :」 の # ,きと、 liif 

r r h ぽ象徵 でなくて 何で あらう。 ?ぎ、 f 厳 あ くて ^ 

てあらう、 私 は 一 切が くだらなく なって、 み,^ サ. ごき ト 、 ま??、 き: もた 

し Z マ きびみ 力け. K,A 于 を拗リ 4, すと、 又窓枠に^§;を,處せな:.ハ 

ら 死 A だ やうに 眼 をつ ぶって、 ぅっらぅっらし^^^めた。 • 

それから 1 かぎ. た i であった。 ふと t かき 4 れ たやうな が F つがして、 f! 



力 

ゆ 

夕刊と、 



^ 、つま れい こむすめ わか が は せき わた リ、 し とな リ うつ レキーり * ど P 

9 見 ま はすと、 何時の 問に か讽の 小娘が、 向う側から 席 を 私の 隣へ 移して 頻に窓 を 開けよう とし 

4 , , , 

てゐ る。 が、 重い 砲 子戶は 中々 思 ふやう にあがらない らしい。 あの 皸 だ、 りけ の 頼 は 愈 赤くな つ 

ときん ■、 よ な お と ち ひ い き き 二 ゑいつ み- - /、 

て、 時々 鼻 R をす すりこむ 昔が、 小さな 息の 切れる 聲と 一し よに、 せ はしな く へ はいって 來る 

しち ろん r たくし ク、 ぶし ど. T ヒ やう ひ た さう ゐ き しゃ い キヤ- -. 

これ は 勿論 私 にも、 幾分ながら 同情 を惹 くに 足る ものに は 相違なかった。 しかし 汽車が 今將に 

トンネル くち こと &f しょく なか かれくさ あかる り や,.' が は さんぷ ス、 p ぶふ t. ビ-: 

隧道の 口 へさし か. - らうと して ゐる事 は、 暮色の 中に 枯草 ばかり 明い 兩 側の 山腹が 問 近く 窓 仰 

に 迫って 來 たので も、 すぐに 合點の 行く 事であった。 にも 關^ す この 小娘 は、 わざわざ しめて あ 

る 窓の 戶を 下さう とする、 , I その 理由れ 私に は吞 みこめなかった。 いや、 それが 私に は、 おに 

この 小娘の 氣 まぐれ だとし か考 へられなかった。 だから 私 は 腹の 底に 依然として 11 し い.^.^ 仏 を^ 

しも や て * 力 1 フ スど もた あ,、 せんく とう よ-つす 、 ; 、> え い- 

へながら、 あの 雜 燒け の 乎が 砲 子戶を 擡げ よ う とし て 惡戰 苦闘す る 容子 を まるで そわが 永久に 

成功し ない 事で も _s る やうな か 酷な 眼で 眺めて ゐ た。 すると 問 もな く じい 音 を はため かせて、 

汽 卓が. 隧道へ なだれこ むと M 時に、 小娘の 開けよう とした 砒子戶 は、 とぅとぅばたりと;卜へ ^^ち 

し J ゲ、 あな な rr I とか ぐろ くうき にけ か いきぐ る リれリ 

た。 さう して その 叫^ な 穴の 中から、 煤 を 溶した やうな どす 黑ぃ 空4 湫が、 俄に も 翠:: しい 煙に なつ 

t もう ノ\ 、u ない みなぎ だ ぐ わ Z 、いい いん- -ぅ がい わたくし ハンケ チ & あ つ"^,、、 f 

お て、 M 々と 車内へ 漲り 出した。 元 來咽啦 を- して ゐた私 は、 手 巾 を^に 當 てる 暇 さへ なく この 



o 

5 



り まんめん あ 

を滿 面に 谷び せら^. ^たつ ュデ つ」、 ほお どい ゆ、 ほどせ 

。::r せォた 才力け て "タ -, もっけない 程 咳き こまなければ ならな ハっ こ。 .->、 --、 

t けダ わたくし とんちゃく ナ しき さ ..T'.i- ォ. レ-, ^力, -,^ ,PIJ 

リ rrs:frtt:5 か あへ m をのば して、 M あく fig しの i さあ 

力 If 力:; つと 汽ほ 進む f を 見やって ゐ る。 その, if 房の,. めた, 

もう 窓の 外が る % く なって、 そ! おの, ,がき こんき 

かったなら、 渐 嘆き やんだ ネ^ は、 この き^らない: e お を ら, こ は つ 二、 、またもと , ほ 

まど と .^i..^ 7 V /- お を 一 5^ こなしに 叱り つりてで も、 又 元の ,.3 

り 窓の n をし めさせた のに 相違なかった ので ある。 . 

しかし 汽車 は その 時分に は、 もう 5^ 々、と d や a う ほな 二 V. 

1 、 ふ,? i ...J を,」 りぬ けて 祜 革の U と U との 問に 挾まれた、 

或 貧しい 町 はづれ ,り*0^ こ 、つ か . , 

^ I ね せ マ 通り 力 力って ゐた ぼず の 近くに は、 いづれ もぎ ぼらし ぃ辦 

根" isj ご;: ごみと i しくぎ こんで、 跣ず り, きる ので あらう、 MS のうす S い 孵 

が 懒ば暮 :? き;::^ た。 やっと 憲ぁ たと, (- その i その 羅 としたき f の嶺 の^ 

: に: aif か に t ん; ョぶ るの をぎ。 攀 は, i 

II に f しすく め:: れは と思 ふ 程 一、 ぎて ず 影かった。 さぅして;^」の^づれの醫たぁ 

物と 同じ やうな 色の 着物 をぎ ゐた。 それが S の i るの をき ぎ ながら、 Y まに rT るが 



枇蜜 



351 



はや の ど たか そ なん い み わか かん. t- い いっしゃう けんめい ほと „f ^し 

早. いか、 いたいけ な 喉 を 高く 反らせて、 何とも 意味の 分らない 喊聲を 一 生 懸命に 迸らせた。 する 

しゅんかん * ど はんしん C だ れい むすめ しも や て いき ほひ 

とその 瞬 問で ある。 窓から 半身 を乘り 出して ゐた 例の 娘が、 あの 霜燒 けの 手 をつ とのば して、 勢 

さ いう ふ おも たち ま こ、 ろ ナ くど あ,, かひ いろ ぞ み- f ん およ いつ む 

よく 左右に 振った と 思 ふと、 忽ち 心 を 躍らす ばかり 暖な 日の 色に 染まって ゐる蜜 相が 凡そ 五つ 六 

キ- しゃ み おく こ ども うへ そら ふ き わたくし おも いき 

つ、 汽車 を 見送った 子供た ちの 上へ ばらばらと 空から 降って 來た。 私 は 思 はす 息を^んだ。 さう 

せつな いっさい れっかい こむすめ おそ ほうこうさき おもむ こむすめ 

して 刹那に 一切 を 了解した。 小娘 は、 恐らく はこれ から 奉公先へ 赴かう として ゐる 小娘 は、 その 

ふところ ざう い ノヌ、 わ み 》A ん まど な ふみき み おく き おとうと らう J;:: 

懷 に藏 して ゐた 幾顆の 蜜柑 を 窓から 投げて、 わざわざ 踏切りまで 見送りに 來た 弟た ちの 勞に報 

いたので ある。 

ぽ しよく お *A ち ふみき こ 七り 二 ゑ あ さんにん こ ども 

暮色 を帶 びた 町 は づれの 蹄 切りと、 小 i!:! の やうに IS を擧 げた 三人の 子供た ちと、 さう して その 

うへ らんら 二 ぁダ やか み かん いろ き しゃ ど そと また. - ひま とほ す わた,、 し 

上に 亂 落す る鮮な 蜜批の 色と III すべて は 汽車の 窓の 外に、 瞬く 暇 もな く 通り過ぎた。 が、 私の 

心の 上に は、 切ない 程 はっきりと、 この 光景が 燒 きつけられた。 さう して そこから、 或得體 のぼ 

ほがらか こ、 ろ わ あが < い しき わたくし-^ う^ん あたま あ べつじん み 

れ ない 朗な心 もちが 湧き上って 來 るの を 意識した。 私 は 昂然と 頭 を擧げ て、 まるで 刖人を 兒るゃ 

こ^:;すめ ちう し -- わすめ い つ わたくし まへ せき かへ あ ひか はらす ひ 1- ほ、 もえ:? いろ 

うに あの 小娘 を 注視した。 小娘 は 何時かもう 私の 前の 席に 返って、 相 不變皸 だらけの 頓を 萌黄色 

け いと えり *!- き うづ お ほ ふ ろ しき-つつ か、 て さんとう キ- つぶ に: き 

の毛絲 の襟卷 に!.: めながら、 大きな 風呂敷 包み を 抱へ た 手に、 しっかりと 三等 切符 を 握って ゐ る。 



352 

I 



さ 
ラ 
し 

て 

不ふ 

可 か 
解?: 
な 

下 か 

リ f う 
な 

返 5 

な 



(大正 • 八 ^四月) 



iv-K くし と き は,: J 、 

私 はこの 時 始めて、 まひ やうの ない^ 1^ と と を、 

じ 小 .f- 力 か i, こと でき 

人生 を 僅に 忘れる 事が 出來 たので ある。 



レ める お め ふ ひ ご ご こ 

よ 或 雨の 降る 曰の 午後であった。 iiswKSITQY まで、!^ さな 11 をい 「髮 It^ た。 

f 見: ::と 云 ふと 大袈裟 だが、 讓 さう ぎても 襲へ ない, この は ひずって 港が 

if ",それ も 恐し く 11 へ はいって、, られ たやう に f つて ゐ たので ある。 &は 

沼地」 とか IK ふので、 ま はまお の でも f でもなかった。 鎖 そのもの も、 ま i つた f、 

fMf 土と、 さう して その 土に 繁茂す あ f をき いただけ だから、 f<00i. 

文字通り 一 顧 さへ も 受けなかった 事で あらう。 

その上 不 i な i にこの ■ は、 觀 たる, お を f ながら、. T 酽ぜ も, ぎ I つて ゐ. -、。 

^rL. y ポプ ーファ いちじゅく -ろど メ , f { ン i 卩ヌレ 

蘆 や 白楊 や 無 花 f 彩る もの は、 どこ をぎ も i つた おで ある。 まるで || れ た!! おの やうな、 

4 重苦しい 黄色で ある。 この i に は SOS が さう f たので あらう か。 化と も y こおむ 

^ ;ゾ r 一につ,, ) ことさら --ち やう くよ ゥ, r/ ( A% t 

,あって、 故意 こんな 誇張 を 加" へたので あらう か 。—わ 松、 f のきの ま-にぎて、 それから^ 



力ん あ 亡 は とも い :. さ もん iH たさし はさ 

5 ける 感じ を 味 ふと 共に、 かう 云ぶ 疑問 も 亦 挾ます に は ゐられ なかった ので ある。 

一 Z 、 , -I. 一- なか おそろ ちから ひそ こと み したが わか き こと ぜんけい つち 

し 力し その 畫の 中に 恐し い 力が 潜んで ゐる事 は、 見て ゐ るに 從 つて 分って 來た。 殊に^ 景の土 

ふ レーき あし こ-ろ ど まどて キ. かく か 

の.^ き は そこ を^む 時の 足の、.; P もちまで も まざまざと 感じさせる 程、 そ. れ程 的確に 描い てあつ 

: D 、1 - tej と - くるぶし t なめらか お でい こ-ろ わたくし ち ひ あぶら 

た ^むと ぷ すりと 音 を させて 驟が 隠れる やうな、 滑な 辦 泥の 心 もちで ある C 私 はこの 小さな 油 

f\. なか .一。 る ど しぜん つか いた i げいじゅつか すが 4- 一 み J 一 すぐ 

. 晝の 中に、 鋭く 自然 を摑 まう として ゐる、 傷し ぃ藝術 家の 姿 を 見出した。 さう して あらゆる 優れ 

-び や:, つ ひん,, う やつ & ち や-つ t くわう こつ ひ さう かんげき う じつ V- いおな 

た藝術 品から 受ける 樣に、 この 黄い ろい 沼地の 草木から も 恍惚た る 悲壯の 感激 を 受けた。 實 際::^ 

ぃズ; 1: つ ; .^,、、 S. ) -. だいせ う も; なか いち も:; きっかう う ほ .i つか たつよ & 

じき 場に 懸かって ゐる 大小 さまざまな 畫の 中で、 この 一枚に 拮抗し 得る 程 力 强ぃ畫 は、 どこに も 

1W; 出す 事が 出來 なか つたので ある。 

「大 へんに 感心して ゐ ますね。」 

I 二とば とも かた た- わたくし あたか なに 二- 1 ろ んる おと キ- そつ 

かう 云 ふ 言と 共に 腐 を 叩かれた 私 は、 恰も 何 かが 心から 振 ひ 落された やうな 41- もちが して、 卒 

ぜん うしろ .^A 

然と 後 を ふり 返った。 

. 「どうです" これ は。」 

/口 

あ ひて, む とん;: や,、 い かみ スリ あ あご ぬ. 1; ち -么 し め りう かう 

相, は 無頓着に かう 云 ひながら、 剃刀 を當 てた ばかりの 頸で、 沼地の 畫を さし 示した」 流れの 



せ びろ 



6 

5 



茶の II た"!^ f " si ききず」 ゐる、 .:liis であ \ が. 

き I 老 から 前に も 1 「一お 為な g きけ た, が あるので、 おお々 さ P をした。 • 

「傑作で ず。」 ■ 



けつ く 

おもしろ 



「傑 „^ — です か。 これ は 面白い。」 

き しゃ はら ゆすつ ソ 

者 は 1 きてきた。 その i に IP れ たので あらう。 ffflsi 

が 皆 云 ひ 化 I やうに こちらき た。 わお かい 『おぎなった。 

「これ は f い C 元來 こ の畫 はね、 き sst やない のです。 が、 i しあ, 人ん 仏 寧の やう ここ 

こ.., す 出す あって ゐ たもので すから、 i 、が 撃 へ I んで、 やっと この i へ&け あにた 

つたので す。」 

「遣 族? ぢ や こ の 畫 を 描 い た ^^とは ■ ん で ゐ る の で す か 。」 

「死んで ゐ るので す。 お;, ぎて ゐぁ から、 し 死んだ やうな ものでした が。」 

4, た K し しん > つ 4:/ 一,、 し ? y L 

取の 好 犬 了 v;^ は 奸時か 私の く なま ig:. り なって ゐた。 , 

「どうして?」 



7 「この 畫 描き は餘程 前から 氣が 遠って ゐ たのです。」 

5 

3 

-0- ^ とき 

「この 畫を& いた 時 もです か。」 

もちろん き ちが たれ いろ ゑ. ^ けっさく 

「勿論です。 :: 淞遠 ひで でもなければ、 誰が こんな 色の 畫を 描く ものです か。 それ を あなた は 傑作 

い ュデん しん い お ほい おもしろ 

だと 云って 感心して お出でな さる。 そこが 大に 面白 いです ね。」 

き しゃ 吏た とくい こ ゑ ち わら , ^れ わたくし わたくし ふ めい は よ そ,、 

記者 は 又 得意 さう に、 聲を 擧げて 笑った。 彼 は 私が 私の 不明 を 恥ぢる だら うと 豫 測して ゐた 

あるひ いつぼ す、 かんしゃう じ やう お かれ じ しん い. T えつ わたくし いん, 1 やう .1", も 

ので あらう。 或は 一 步 進めて、 鑑賞 上に 於け る 彼 自身の 優越 を 私に 印象 させようと 思って ゐ たの 

し かれ き たい ふた む だ かれ はなし き とも ほとんど げんしゅく や, か 

かも 知れない。 しかし 彼の 期待 は 二つと も 無駄に なった。 彼の 話 を 聞く と共に、 殆 嚴肅 にも 近 

い 感情が 私 の全精神にー:!^ひゃぅのなぃ波動を與へ たからでぁる。 私は惊 然として 再び この 沼地 

^ ). ざよう し ふた- ち ひ なか おそろ せつ V.. つ ふ あん V- いな 

の畫を 凝視した。 さう して 再び この 小さな カン ヴァス の 中に、 恐し い 焦燥と 不安と に虐 まれて ゐ 

いたま げいじゅつか すがた み いだ 

る 傷し ぃ藝術 家の 姿 を 見出した。 . 

「尤も 畫が思 ふやう に 描け ない と rK ふので、 氣が 違ったら しいので すがね。 その 點 だけ はま あ 1凤 

へば 買って やれる のです。」 . 

也 き しゃ は.? t ぐ かほ ほとんど うれ ぴ せう む めい げいじゅつか われく ひ ォり 

^ 記者 は晴々 した 顔 をして、 殆 嬉し さう に 微笑した。 これが 無名の 藝術 家が ! 我々 の 一 人が、 



せいめい ぎせい 「-ク 、せ ナノ 

その 生命 を犧牲 にして 僅 1- 肚 g から I 。が 4 ^た!, J つり gri ピっ こり ^OJ^^d 一い V う せんりつ 

. - 严 X f d-/^ - ダ 一幸 S たつえ グーで ある レ ゼは 全身 こ 異樣, 战栗 

を 感じて、 三度 この 憂 P な 油 畫を观 いて^た。 そ. こに はう す!! い!^ とおとの n ば、 酽れた ゼの 

色 をした I、 I が、 、 K それが き f やうな, W 攀 f てゐ る。 ……… 

「傑作です。」 

4v ユリ、 し & しゃ かほ ぺ * 

禾ぉ記 者の 顏を まともに 見つめながら、 W 卯つ g と して かう ^り!^ へ した。 

, (大正 八 年 g:HO 



5k} 



^> だいな ごんた^ くこ 

大 J 一目 「やれ、 やれ、 摩 &f r ば、 U は; 3 とまい やう I . 

の松ケ 枝の 藤の ずへ、 ゆ さりと I る g g も か。 す t 5 .f. . 

. かへ あつぐ る „ス 力ぬ 何時も は、 ュ S しう 聞え る € 水の 音 も、 どう 

聲に まぎれて、 どれ、 ig たちに g いでで も, 



うか 

—なに わ 



「;;?^、 ufc^t ) ) あつま 

^n^H.f ml 磁 たち も その? Ml あれす 

「や あ、 f もの、 r 陽ぢ や。 i- ぬぎの M はきて くれい。 

rl - . じ 二 はう こ r 7 I 

一 さて 今 口 は その 方 どもに ちと g みた、^ と., う S r: あし と . 

まきに . ろち ま f レ事 力あって わさと、 この 宇治の, S を f て g うた 

のち や と 申す はこの 頃 ふと ここへ が^って、; もがと I? こお かぜ, J む も た / 

Is r, も ノ# に 双紙 を 一 つ 綴らう と E ぬひ 立った が、 つら 



ひと .f,? が み あいにくよ い ふで ほど はなし し めんだ いつ 

つら 獨り考 へて 見れば、 生憎 予 はこれ と 云うて、 筆に する 程の 話 も 知らぬ。 さりながら あだ 面^ 

しゅかう こ よ なま なに おっくう せんばん つ け ふ わう 

な ■ 向な ど を 凝らす の も、 予の やうな 怠け ものに は、 何より 億劫 千萬ぢ や。 就いては 今 =3 から 往 

らノ はう いま むかし も C がたり ひと き -もら * . 4,^^ . お. f 、 o 

來の その 方 どもに、 今 は 昔の 物語 を 一 つづつ 聞かせて 赏 うて それ を 双紙に L 锸 みなさう と 

- 9 と を よ おも いつじき ぶん , ふね - くる 1* 

さすれば 內 裡の內 外ば かりう ろつ いて 居る 予 などに は、 思 ひも よらぬ 逸事 奇聞が 舟に も 載せ 車 

つ ミど し はう あつま さう ゐ なん みな めいわく しょ ま- > な 

にも 積む i、 g! 方から 集って 參 るに 相違 あるまい。 何と、 皆の もの 迷惑ながら この 所! II- を おへ 

て くれる 譯には 行くまい か。 

なに かな ちょうで ふ さ そくいち どう はなし じ W 乂 /(^ き 1>; 

「何、 叶へ て くれる? それ は 重疊、 では n 十 速 一同の 話 を 順々 にこれ で 聞く と 致さう。 

「こり や Jill たち、 一座へ 風が 通 ふやう に、 その 大團 扇で 爆いで くれい。 それで 少し は S§ しく も 

ならう と 申す もの ぢゃ。 {i 物師も 陶器 造 も 遠慮 は 人らぬ。 二人とも すっと この 机の ほとりへ 參れ 

すしう り をん な ひ ちか をけ えん すみ お よ ほふし ヌカズ , はつ,: . > 3 

解 寶の女 も 日が 近くば、 桶 は その 緣の 隅へ 置いた が 好い ぞ。 わ 法師 も 金 鼓 を 外したら どうち や 

V, むら ひ や Hr. ぶし たか むし ろ し 

そこな 侍 も 山伏 も 簟 を 敷いたら うな。 

したく と、 Q だいいち とし すゑ ものつくり おきな なん はな ノ 

「よい か、 支度が 整うたら、 まづ 第一 に 年 かさな 陶器 造の 翁から、 何なりと も 話して くれい。」 



2 

6 

3 



二 

お *v な 



翁 「き; や これ は、 ^li^. ^irofrlp. T おず ぎい 

て や 有い ます- i れ ばかりで も 、まぎと! して、 どれ わかりません: 

退 :し" して はぎて, に S 顯 でございますから、 S を, て、 Ti り まも 

な ¥ き 申し上げ ると 致し ませう。 どうかき 露で 4 ひの If ぎ fir し 12 さ、 まし。 

り 「私 どもの まだ 年若な 時お、 きに SS ,^まして まもなく 戴の? い 

リ 居りました。 しかも そのぎ 先が、 まるで i にで もき された かと!! ふ m 化 

赤 養:;^::" |:ど"; で寶の 町の ものが、 えに if つけまして、 證—— と S します 

のね ー兀 れ來大 鼻の 藏人得 業と 呼ばれた ので ございま すが、 それで はち あすぎ ると おし 

iipii が、 si それでも まだ, おしま 

^ で) U こ 々と、 きれる やうに なった ので ございます。 S お き、 その g 

寶の與 きの 寺內 I で 見かけた, ございま すが、 いかさま 麵と でも lg られ さうな、 ぎ もが 



弋,. 、ジ 、らう ど ち **-H な くらう どと,、 ••) ふ も i い 乂 ほ..; し fp/ 

な^^の li^l: 駕で ございました。 その.! « の、 *s 人の、 ^ の 藏人得 業の 惠印 法師が 或 夜 

6 、 + うねめ やなき まへ つ、 み さん 

. 3 の -、 もつれす に^ ひ そっと 觀 i ぷま I の ほとりへ 參 りまして、 あの 采女 柳の 前の 堤へ、 『三 

おこの^よ ^ 獻^ らんす るな り』 と 載お に齡 曰いた^^ を、 とい 一つ 本 打ちました。 けれども 

^^は 1^ の 觀 親の^に iSi どが ほんた うに^ん でゐ たか どうか、 て ゐた譯 では ございま 

せん。 ましてその1ぉ.ー1ぐ月ゎーっ11£^に1?<んゼ";^ると铲%^は、 だ 王つ ひ, S からで 出 まかせの 法!^ なので ござい 

ます。 いや、 どちら かと, ねし ましたら、 k ん おいない と 申す 方が まだ 確だった で ございませう。 で 

はどうして そんな; <ら ざる^^ を^した かとお します と、 惠印は 日頃から 奈 良の 愤 俗が 何 かにつ 

けて?11ぉの1ビ|カ^6ものにするのがぉゃぃなので、 ゲ度 こそ この 鼻藏 人が うまく J 孫 かついだ 與 f い、 

rj ダ >〕 

さんざん I ビ i してやら うと、 かう ふ魂膽 で惡戲 にと りかかった ので ございます。 御" -肌 などが 

ぎ きになりましたら、 な i と きしませ うが、 その 頃 はか やうな 

s や 4 まします ものが、 m 角 どこに も あり 勝ちで ございました。 

: A .IH: あ V- 二う ふくじ にょらい さま をが . 

「さて あくるひ ZI、 IT 一ち にこの II ぉを贮 つけ ましたの は、 &别興 福 寺の 如來 樣を拜 みに 參 ります リ卜 A 

m さんで、 これ が^ぎ y かけた f に お を せっせと つき 立てながら、 まだ 露の がかって ゐる 池の ほ. 



6 

3 



とりへ 來カ 力り ますと、 . ^日まで な,^ っゝ J き は、、、; め や ほ 一 した た を 

HE まて 方 力 つん 建 札 采女铆 Qu- こ 之つ 一し? L,TT き, C t - ほ, ふお た- 

J - _ : やつ ところち . ,ー:, ン す,^, f " ュ つて; :i5 り. まュ 5 し はて 去き. J, ト 

れ こし て ま 少」 M 厅 こリ /- フニ、 、 ュ しん おも ) -if 1 も <^ ジ 1 

所に $ て ゐる なと S に は 思った ので ございます: A 、選 p.. ,ま ト レ I 

で、 その i りすぎ よう あしました, や、 ^ . へんさん !^り.^:?&めませんの 

.3 し.^. 時 折よ く 向う から 偏衫を 着た ぎが ^、齢 

もので ございま すから、 g んー; んで 5- さ」 I -、 ^ . 12.. A 通? R 力った 

り』 で、 f すん 一 ど ひます と 何しろ 『一言せ この, 齟俨 ん するな 

Z u^^^i^n 謹さん もき に とられて、 :! つた f 

J^ln つ 『此 ほに が 居 I つかいな』 と、 if ft t 

つて 落ち着 き拂 つて、 『お-ぶの i 囊が g のお 4 がお て、 さ こ -. r 反 

あるひ い つ てんに, H" く。 「プ カジ 1 — 11^ 力 ttl^ て 痒 うてた ま ら な ん お」 Jl* , パち, .i 、 

或 ai 天 俄— に衝き i つて、 i ず は-:^ を 、ヒド と ^ ! み んた凄 力 ある 力 

さ i\ て 雷 I..: 車 車 を す 力 如く 降り注い だと;^ て あれ、 ま、 が. ゲ; ぬ,、、、 

と 裂けて、^ から fi のお; fr.j: 一? &ぉニ ふち f んじ しよう てん ,c 勿ん ちその 瘤 力. - つつ 

、、.r 匹の ま fl を 棬レて I 文字に 昇天した と TMi しも ござる。 g の f さへ ま 

きて こ 11 に は、 菌 とな" 磨 i§ て f 

說 法した Iflo f I に f ない と stf ん: 

で ござ ヽ, 1 41 ュっ、 .1 P きも け :- / ^.^-Jc / ^- ^ 

てこ さ、 ます 力ら これ を 聞いて 肝 を 消しますまい i と,, 、&产 い r 4U 

い. り あ,' に づレ辜 力 『1^ 程 さう 承り ますれ、 ま、 どう 

のき ま 色が 怪しい やう あえます で、 き, わ さ 

】 -1 レ, J」 て また 三月 三日に もな りません のに、 お. を ひ ばか 



り^に て、 まぎ i ぎ m を ¥」 しながら、 竹 杖 をつ く 間 もま だる こし さう に J ふいで 逃げて しま 

^ ^ご t I この ほふし 

ひました。 おで 尸 &I がご ざいませんでしたら、 ^を 抱へ たかった のは此 法師で II これ はさう で 

ございませう。 15 は あの i 頭 人の 得業惠 印、 譯名 は鼻藏 が、 もう 昨夜 建てた 高札に ひっかかった 

レ- くら ゐ ± な. H だナ りゃう けん ようす み いけ 、 あ-る グ丄 T 1 ニヽ- 

が ありさう だ 位な、 > ^^しからん 量 見で、 容子を 見ながら、 池の ほとり を ルレて 居 つん.:; 

f あ , あと はや だ たびびと み と 1 げに^ ザ- - お、 

でございますから。 が、 r 髮 さんの 行った 後に は、 もう 早立ちの 旅人と 見えて、 伴の 下人に 荷 を 負 

はせ た攀 のき リ? I の $r 气 ; 5^ か I, の 下から 建 札 を 讀んで 居る ので ございます。 そこで惠^31はチ 

ま をと つて、 いつ 「お 慰が い!^ ビ# み i にながら、 自がも 建 札の 前に 立って 一 應讀む やうな ふり をす る 

, ,し y な > こうふく じ はう ひき. * - 

と、 あの iRi| の Is! を さも. か 思議 さう に 鳴らして 昆 せて、 それから のそのそ 興 福 寺の 方へ.? i」 し 

キゐ 

て參 りました。 

「すると 赌き IT の S< い i:" の 做で、 き I ひがけな く數を 合せ ましたの は、 同じ 坊に 住んで 居った 車? i: 

と ¥ す Si でございます。 それが 惠 印に 出合 ひます と、 ふだんから 片意地な げじげじ. = ^をち よい 

- 「 >-, り X y S てんき か. i し .3 や、 

とひ そめて、 『ぎ^に は^しい m 干^き で ござるな。 これ は 天 氣が變 るか も 知れ ませぬ ぞ。』 と 申し ま 

- --ぶ J i な、 つ いか てんきく らゐ か m 、 , 

p す, A ら、 こちら は 得たり 賢し と. を 一 ばいに にやつ きながら、 『如何にも 天 氣位は 變るカ も,^ れま 



せぬ て。 聞けば あの g^Qg から こ は、 ま . 、ド 

こ g,l】、 た、 き 一, 二. -は f 力 天 J すると か 申す では ござらぬ か。 「と、 し 

たり 戴に 答へ ました。 これ を& い.^」 お ま; T "にが,. ノ ん 、ま-. 

,、 こ S."』J れまレ た P- は 疑 はし さう に、 ぢ ろり とか, S んの fr ましたが、 す 

磨 Mrl ら!」 、まき f ら き。 いやさ、 m0h 

UHii3, m の i いた 羅 r き r すぎようと f 

"力 ぎ 力まる で獨り 一一 目の やうに、 『はてさて、 ,き i^f f , こ 

でも 開え た Q で ございまず 。まぎき, f ず、 g 

^ : ^ . い I ひ さ に ^々し:^ に- 1 り 返ります と、 まるで 法 一 

論ても し 力け さうな 勢で、 『そ I P がな おれ し て さ 

- . 力 f カァ丄 すると 申す しかと して g 據 がござる かな』 と 

&詰る ので ございます。 そこで € はわ ざと と、 もうき r ぼ" さし ぞ:: 

£ 二」、 『が、ぉ.,ま を, こと うたが もつ ^曰の 北 力 さし^めた 池の 方 を 指さ 

"ま"、 『愚 1 申す しければ、 あの g 銜の m にある き. まれ まよろ しう ござ 

;:、 £ 見 IT ノに答 へました。 f£ff. f§i 

力 眩し さうな 瞬き を 一つす ると、 『ま はち、 t は、、、 旷 . カス. ノグ 

ひ f ミ. 气ン I /あ その やう 奢 札 か 建ちました かぜき ない |#でミ 

こダ てた 力ら 又て くて く,:. u:!' き;;:: T ノ,: \ : 、、、 、 べん ど はち ひら 4?> 一 ま 

一 く/ ノき 出しました が、 今度 は 鉢の 開いた Jr£l がて、 ^iscr 

くらしい ので ございま t li^f, 0ii 



, なんだい もん いしだん のぼ I 

, 觀 はどう やら 震の S がむ づ i いやう ながもち がして、 しかつめらしく 南 大門の 石 f 上って 

J ずく;^ にも、 す 4; き 屮:: さすに は 居られませんでした。 

こ^- ^よ 一 sf.ilj y 

「その S でさへ 『透 (一 まこの i よ ん するな り』 の 痙き、 こ&の 利き目が ございまし 

- っ5 - V- る V は いび り -っ はさ 

たから、 まして T,r ぎって ぎす と、 f の g 中 どこへ & つても、 この I の 池 ss 

が ない ございません。 Jk とより S に は 『あのき」 S も 誰かの 惡戲 であらう』 など もの も ござ 

いました が、 g か 4lrs きの, S きたな どと, 職ぎ ざいました ので、 i 

ふ もの さへ^^で は!! 1% とおし ませう か、 によると そんな 大變が あるか も 知れない 位な 氣 

こ iz- つて ^5 つたので ございます。 すると ここに 又 思 ひも よらない 不 田.^ 議が 起った と 巾し ますの 

は、 nil の 術^に ぉ/ て& ります^ ま ss.r:^i で、 とってお ゲ になります のが、 その後 ト H と 

-. 一 を てん いっぴき こ,、 りゅう くも — 

!-たなぃ?^に、 の E^si してう とうと て 居ります と、 天から 一匹の Mi が 雲の やう 

こ 5* つてぎ-し、 『わし はい iir 月 わ 一つ 一 1« に! k ん B ャる ま」 になった が、 II してお 前た ち 町の ものに 迷惑 は 

かけない _ 仏 だから、 どぅか」1^^してゐてくれぃ』とだ語を放って申しました。 そこで 娘 は 目が 

龍 さめる とすぐ にこれ これ かう かう と 1-i に i しました ので、 さて はぎ 釋の 池の 龍が 夢枕に 立った 



、 , ま また * ちぢう お まひ やう i*/、 

のた と 忽ち 又 それが 町中の 大 評判" になった では ございま せんか。 かうな ると i にに, 44喊 がつ い 

て、 やれ あすこの 稚兒 にも 龍が 憑い て^を i ん だの、 やれ ここの にも ii が^が て ぬ をし に」 

V- る さま 3 ダ り <p う-、 ま JO つ - ^ 

- のと、 まるで その 猿澤の 池の 龍が ケ にも あの^の 上へ、 ^でもぎ しさう な^ぎで ございます。 、く 

く; し だ、,, ^) ち, C 

や、 首まで は 出し も 致します まいが、 その 中に 龍の j^%?.VJ 、ま 目の あたりに しかと, 見と どけた と * お 

す 男 さへ 出て 參 りました。 これ は 毎朝 川魚 を 巿へー まり に^ます!^^ で、 その ひ 日 もま だう す 一 g いの 

さる M ま 、ナ ュ、 -- ; 

に 猿! S の 池へ かかり ますと、 あの 采女 柳の 技 垂れた あたり、 辦 おの ある = おが に 々と默 /た^ 

あまへ み-つ あ-るみ -. 

ゆけ 前グ 力 そこ だけ ほんのり とうす 明く 見えた さう でございます。 -I おに も ,g が 幅^ やか ま 

しい 時分で ございま すから、 『さて は 龍神の I^N まし か』 と、 士 f しいと もっかす、 1:^ いと もっか 

す、 唯 ぶるぶる 胴 震 ひ をしながら、 一 の^を そこ へ^くな り、 ぬき s_ しに そっと g びぎる と、 g 

め やなぎ す , ナ 1. A.^ 

女 柳に つかまって、 透かす やうに、 ^を氣 ひました。 すると その ほの^ おの^に、 ip^ の節ピ 

卷 いたやうな 何とも^れ ない I しい 40 が、 ぢっ とわ 崎 まって りました が、 IT ち-だ 1 に^ろいた のか、 

8 するりと そのと ぐろ を ほどき ますと、 ^る^る の &もーに^ 膨 がー r つて、 あ I しい^の 解 は どこと も 

知れす 消え失せて しまった さう でございます。 が、 これ をみ 見ました ぉ&耶 は、 やがて ま 射に; ig を" 



に おろ ところ き み いつま こ ひふな あは に じっぴ あ 今. な;.. も C 

9 いて、 荷 を 下した 所へ 來て 見ます と、 何時の間にか 腹 鮒 合せて 二十 尾もゐ た商賫 物が なくなって 

6 

3 お ほかた こふ へ か は を そ だま わら 

ゐ たさう でございますから、 『大方 劫 を經た 獺に でも 欺され たので あらう』 などと 哂ふ もの も ござ 

な, ハ りゅう わう ちんご あそ いけ か はや そ す はす 

いました。 けれども 中には 『龍王が 鎖 護 遊ばす あの 池に 獺の 樓 まう もない から、 それ はきつ と 

りゅう わう うろく-つ い のち お あはれ n じ ぶん いけ なか お め よ クぅ .ん 

龍王が 魚鱗 の 命 を 御 偶み になって、 御 自分 のい らっしゃる 池の 中へ 御召し 寄せな すつ た の に 相 遠 

な い 。』 と 申す も の も、 思 ひ の 外 多 か つた やうで ご ざ い ます。 

はな; ら ゑ いん ほふし さんぐ わつ みっか いけ りゅうのば たてふだ お ほひ やうばん 

「こちら は 鼻 藏の惠 印 法師で、 『三月 三日 こ の 池より 龍 昇らん するな り』 の 建 札が 大評 判になる の 

につけ、 內々 あの 大鼻を うごめかして は、 にゃにゃ 笑って居りました が、 やがて その 三月 三 n も 

し つ にち うち せま ゐ おどろ こと せつつ くにさ; らゐ を ば あま ぜ ひ りゅう しょう 

g: 五日の 中に 迫って 參 ります と、 驚いた 事に は攝津 の國樱 井に ゐる 叔母の 尼が、 にん 非 その 龍の 昇 

天 を 見物した いと 中す ので、 遠い 路を はるばると 上って 參 つたで は ございま せんか。. これに は 虫^ 

印も當 惑して、 嚇す やら、 賺す やら、 いろいろ 手を盡 して 樱 井へ つて 貰 はう と 致しました が、 

を ば とし りゅう わう おすが た ひとめ をが わう じ やう ほん まう 

. 叔母 は 『わし もこの 年ぢ やで、 龍王の 御 姿 をた つた 一 R 拜 みさへ すれば、 もう 往生しても 本 §:」 ぢ 

や。』 と、 剛情に も 腰を据 ゑて、 甥の 申す 事な どに は 耳 を 借 さう とも 致しません。 と 申して あの 5^ 

^lu ふだ じ ぶん いた-つら た いまさら はくじ やう わけ *^ ゐ ゑいん ん丄 

f 札 は 自分が 惡戲に 建てた の だと も、 今更 白狀 する 譯に は參 りません から、 惠印 もとうと う 我を折 



370 



> さんぐ わつ みっか を! I せ つ ひ 5 

つて 三月 三日まで は その 叔母の せ 話 を 引き受けた ばかりでなく、 g じ OS は Y しょに が 1^ ん ii^-f 

る 所 を 見に 行く と 云 ふ 約束まで もさせられました。 さて かうな つて-おがへ ますと、 ぎば 母の よ g さ/り 11 

ことき つた h , 

の 事 を 聞き 傅へ たので ございま すから、 ん I の 斷!^ は^まで もな く、 艦ぎ の ¥ の ¥ ^ 

.PJ r\ S3T ご" ロク: ノー-、 一は- -- S り?". くに やましろ くに あ ふみ くに ^-/-.± く- J 

人 r の國 を^め として 尊に よると 播 麿の 國、 山城の 國、 近 江の 國、 化 f ぎの 亂の あたりまで も、 も 

こ C うは さ いち ゑん 

ぅ此 が 一 g に ひろまって ゐ るので ございませう。 つまり の i^^;^ かつがう と!! つてした^ 

戲が、 田. a も よらす 四方の ぼ々 で 何 萬 人と も きれない VI んを ivfe になって しまったので ござい 

ます。 惠印 はき 1 ひます と、 l^iK しいより は t となく s!3 いぎが 1^ に 1- つて、 2^^^ 

の 案 €: が てら、 っれ立って^^^の^^^を^^しに|.ぃて,ります||^ とんと, y^i のに を^ 

んで、 身を隱 して ゐる ^ 非人の やうな めたい^ ひがして, りました。 が、 の ものの Hi 

どで、 あの 建 札へ この頃は香花が手向けてぁるとー!^ふ^たど附く;;^でもござぃますと、 やより (,4- 

tf- る いつよう fcs と 3 まて: リ- こ 

の惡ぃ 一 方で は、 一 かど 大手 柄で も 建てた やうな 嬉 じい I- が i すので ございます G 

rsi ひ 追 ひ 1! きがぎ て、 nmsfMP^?^i^^. そこで 

ゑ いん ゃメ、 そく て, へ いまさらまで 、ヒ 户ヒ 

惠印は 約束の 手前、 今更 ^に%^|^ も ございま せんから、 n バ^ 1- のまの^ をして、 いれ 



I 一 目に 見える あの 興. 福 寺の 南 大門の?^ 段の 上へ 參り ました。 丁度 その::: は i4i も ほがらかに 晴れ渡 

つて、 門の 風鐸を 鳴らす 程の 風 さへ 吹く 色 は ございませんで したが、 それでも 今 n と; ぶふ 今; n 

ま ^ けんぶつ な まち .* を およ -Ant, い-つみ きつつ un-*^ や t し, に あ-. . 、 じん 

を 待ち 翁ね てゐた 見物 は、 奈 良の 町 は 申す に 及ばす、 和 泉、 攝 iir 播磨 山城 近 江 丹 

波の 國々 から も 押し寄せて 參 つたので ございませう。 . 石段の 上に 立って 账 めます と、 見渡す 限り 

にし ひがし 、,ち めん ひと うみ たす ゑ か. V ぺ に て、 お ほ t.- , 

西 も 東 も 一 面の 人の 海で、 それが 又 末 は ほのぼのと 霞 を かけた 一 -條の 大路の はての はてまで あ 

る 5 ぼし なみ. ん おも 一:、 

りと あらゆる £1.^ 帽子の 波 を ざわめかせて 居る ので ございます。 と E ャ si とその ところどころに は 

あ をい とげ あかい とげ あるひ ま たせん V.- んび V- し す き -. ぎつ; |\ や . ) . ,, - a^-^ ^ 

靑絲毛 だの、 赤絲毛 だの、 或は 叉 栴檀庇 だのの 數寄を 凝らした 牛車が のつ しりと あんりの 人?^ 

おさ やかた う *.」 んぎん かなぐ をリ はる ひ > ほ ば \ - や., 

を 抑へ て、 屋 形に 打った 金銀の 金具 を 折から うらら かな 春の 2: ざしに、 眩 ゆく きらめかせて 居り 

ほか ひ がさ ひら ビり そら は わた あるひ またぎ やう/ \ マ しき ム f つら-し 

ました。 その外、 III 傘 を かざす もの、 平 張 を i や: に 張り 渡す もの、 或は 乂仰々 しく^ 敷を路 に: ね 

る もの. —— まる で M の の^ のま はり は 時なら ない 加 茂の 祭で も^りさぅな^^^で ご ざ い ます。 

み ゑ いん ほふし たてふだ た , ^ほ 化 お ほ Y わ は、 じ :ポ - 

. これ を 見た 惠印 法師 はま さか あの 建 札 を 立てた ばかりで、 これ 程の 大騷 ぎが;^ まらう と は 夢にも 

おも を あき かへ をば あ i はう む : * U- 

思 はすに 居りました から、 さも 呆れ返った やうに 叔母の M の 方 を ふり 向きます と 『いやはや 飛 

f ん でもない 人 h で ご ざ る な』 と iiT けない 變で 申した きり、 さすがに ゲ := は大 I を %ヷら すだけ の: 兀 



372 



さ-でみ 

I* も屮— な い と 見え て、 そ のき-|^ぉ^^ス0 おし チ Is- や、 、 J 、 V: い ぢ .'I 

「 . も. _ そ.. グま儘 南フ, の 柱の 板 力た へ 裏地な く S つてし まひました。 

- けれども? り叔ぎ 尼に は、 き 1.1.^ り, かしお 

bt€ -.、 ,f ほどい つし 言ナ んめ くひつ /プ s.^^ 力 谷み こめ ヌ嗪 £ も ございません から、 こち 

ら は 1 朋巾 も す り ち る £壬 一 b^H^ ^-r : ; み . : 

; ;ノ る禾 一と 一..^/ -1 を延 はして、 あちらこちら を しながら、 

iif ift きっと iiJiMi u 

r は" r か "は 居られません ので > 鼠お あげて f すと、 Is 

ml いて f し p、 fsr, 8 の i いた き: 

や 力 直ら、 liiin fr 

uu^r^ll し |」¥ の きかついで i 会ぎ さに 鲥 h き 

れな 力ま rr.:」..s を かけて、 ^ら『1 も お g かな』 とから かふ やう :3, し 

ましたが、 惠 『よ 暖!^ こ.;; り、 / ら:、 . > ほ ;> ま, じ め . ^ほ I 

... f お, i り 力へ ると =ぷ ひの 外 虞 面目な 顏で、 『さやう で ござる C ぎ KKS^:^!^ 

をし j 专 きの げじげじ fp, きる ので ご, います。 こ;; 

力 f すきた! i ふと、 浮いた i ず i¥ に なつて しま ひま :.: ひ,— く, -t 

户 Z マし まひました 力ら t?f?cir は乂 元の,^ 



よ こ、, c?^ そ . ^ほ ひこ うみ . ^か さる さは いけ み おろ い.: 

3 り 世に も 心細 さうな 額 をして、 ぼんやり 人の 海の 向う にある 猿 澤の池 を 見下しました。 が、 池 は 

7 

3 ぬる そこび か み-つ おもて つ、 み さくら やなぎ あざやか ,r つ ま.^ いつ 

もう 溫ん だら しい 底光りの する 水の面に、 堤 をめ ぐった 樱ゃ柳 を 鮮 にぢ つと 映した ST 何^に 

. り,^ レぅ てんじゃう け しき 一-と なんり し. はう す けん 

なっても龍などを^K上させる^^色はござぃませんC 殊に その ま はり 佝. 里 四方が、 隙き ii もな く昆 

ぶつ にんす うづ け ふ いけ ひろ ひ ご. つ いっそうせ ま み だいいち 

物の 人数で 埋まって でも ゐ るせ ゐか、 今日は 池の 廣 さが 日頃より 一層 狹く 見える やうで、 第一 こ 

こに 龍が 居る と ふそれ が 抑 も 途方もない 噴の やうな ハ湫が 致す ので ございます e 

い つ とき / ヽ と キー うつ ゆ し けんぶ つ みな 二,: つ の 々- なが o^o てん ヒ やう 

「が、 一時々々 と 時の 移って 行く の も 知らない やうに、 見物 はせ I 片唾を 飲んで、 氣長に 龍の 天上 

ま ゐ もん した ひと f-- み す/ \ ひろ ゆ しばら 

を 待ち かまへ て 居る ので ございませう。 門の 下の 人の 海 は 益 廣 がって 行く ばかりで、 暫くす る 

うち ;. r つし や ん-す ところ くるま ぢく たが ひ お あ あ ほどお ほ キゐ 

內には 牛車の 數も、 所に よって は 車の 軸が 互に 押し 介 ひへ し 合 ふ 程、 多くな つて 參 りました。 そ 

れを 見た 惠 印の 情けな さは、 大概: からの 行きが かりで も、 御 推察が 參 るで ございませう。 が、 

ここに 妙な 事が 起った と 申します の は、 どう 「ェ ふ もの か、 惠印の心にもほんたぅに龍が::^^りさぅ 

な —— それ も 3^ は どちら かと 申す と、 n 升らない 事 もな ささうな 氣 がし 出した^ でございます C 

ぼ は 元より あの 高札 を 打つ た當人 で ござい ます から、 そ んな莫 迴 げ た 1^ のす る こ と はあり さう も 

ない もので ございま すが、 目の 下で ずせつ 返しつ して ゐる烏 帽.? h の 波 を 見て 居ります と、 どうも 



そき きが, さうな f 致し 一」 な I せん。 これは^の きのお r がぎ となく S こ- 

も J り 移つ ひので ございまず か。 それとも あの をぎ たばかりに、 こんな ilf つた 

と f と、 何となく 氣が 咎める ので、 f す铲 す ほんた うに つて くれれば r とぎ 

"ほさ ざい ませう か。 そのき 襲 は 、 i^^kii^M 

, 承,, L ながら、 それでも 惠印 は^ 第 々々に!^ けない _ ^もちが, くな つて、 ^^协 ぎのお とお 

じ f に 飽かす 池の, i め i めました。 焉 i さう f きが 船り でも ,ませんで したら、 お 

る ^ づ かひの ない 龍 を 待って、 き t に と は ものの、 薦 if のおに^ おもぎて 

る譯 には參 りますまい。 

そ 〔けれども 讓の i& の f まぎす に f の rt を f ぎて f ばかりで ござ. ます. 

空::!:? り ほがらか きれ 渡って、 こ S のま, へまて f if ございません。 が、 i 

--x り 力 はら f> ひ がさ JJ-tK > J.tl 一 こ J / X 

は 相 不變、 日傘の I にも、 If^ の £ こも、 §?-;flv^c>^4:^:-.s^" 、 :!^ く t かさ 

. は ひる ひる , ?、, - — 1^は又核^.の^^,ャの後にも 蔌々 と黨 なり 重なって、 

.4 午から 夕へ 日影が 移る の も t き やうに、 靈 SKr をお おと H 一 A 

3 フニ 、ノニ c , 



J 



ろ J -ん き よ- C にち じふん せん. f う けむり りと ノ、 f* 

5 「すると ぼが そこへ 來 てから、 やがて 半日 もす ぎた 時分、 まるで 線 术:: の 煙の やう: な 一す ぢの霍 

がお!.; にたな びいた と 思 ひます と、 見る 問に それが 大きくな つて、 ゲ までの どかに れてゐ た i 企 

が、 衡 li うす 暗く 鍵り ました。 その 途端に 一陣の風が さっと、 猿 澤 の 池に 落ちて、 鋭の やうに 3^ 

み. つ おもて リ .-J- う なみ ゑが かく 2 -^. ^ 二け 乂 1;:^: t ) , 

えた 水の面に 無 數の波 を 描きました が、. さすがに 覺!^ はして ゐ ながら „れ てまど つん^ 物 力 あわ 

よ あれよ と 申す 11 もな く、 天 を 傾けて まつ,:: にどつ と 雨が 降り出した では ございま せんか。 のみ 

ならす i§ も!! に^じく 鳴り はためいて、 絶えす 稻 妻が 梭の やうに 飛びち がふので ございます。 

、ナ- 'ビ かぎ て n,^.^ くも ひ ざ あま いき ほひ いけ . ^-? はしら ごと ま おこ 、 、 ヽ 

それが t 一 度 鍵の 乎に 群る 雲 を 引つ 裂いて、 餘る 勢に 池の 水 を 柱の 如く 捲き 起した やうで ござ、 ま 

いん め せつな み. つけむ り くも あ ひだ こんじき つめ >^ め,, - い/ -fi 化. 丄 ゝっ?,-r^ 

したが、 惠 印の 眼に は その 刹那、 その 水煙と 雲との 問に、 金色の 爪 を 51 かせて 丁乂 字に ivh へ 13:- つ 

P ノ. いち J: 、う こくり う もうろう f> つ また、 ひま あと .V i^r^l —な 力 -、 

て 〔1;: く 七 丈 あまりの 黑 龍が、 膽朧 として 映りました。 が、 それ は 瞬く 暇で、 後は啡風^^の屮に 

、ナ て-くら よな . くら そら と み も を : と - ゾ, :"〉 

^をめ ぐった 樱の 花が まつ 暗な 空へ 飛ぶ のば かり 見えた と 申す 事で ございます 1, 度 を 失った リ 

;,; J つ う わう に まど いけ おと ひとなみ いな-つま した う - こ.^J ^i^fww, - 、: ,, - 

物が 右往左往に 逃げ惑つ 一し、 池に も 劣らない 人波 を稻 妻の 下で 打た せた 事 は 八/ 更 „ がに くだく た 

吏 を あ コ 

しく 申し 上る まで も ござい ますまい 

り n うち :a うう あ をぞら くもま み だ お、 いん は A > .^^ 、 > 7 「り ン: r- 

「さて その内に 豪雨 もやんで、 靑 空が 雲間に 見え 出 します と、 惠印は 鼻の 大き いのも 忘れた やう 



な I て f きょろ あず を £ きした。 

^1^5^ う たう- C 一 fz』 見 ズ f ひ-姿 は附 のせ ゐ ではなかったら- ン 

力 さう f と 自分が 高札 を 打った? 3 力んだ けこ、 どうもで ゆう., 1^ ん f、, ま こと 

さうな f i して i! 寸。 と S: ビ」、 ^cpr み i^ai^. なさ 

^ますく ふし V I 申て 見た 事 は 確に 見た ので ございま すから、^ ^ゾ, 

程 益 不 L 藩で たまりません。 そこび %T かお や;. ひ: i す/ ^へれ は フへ る 

おこ 6, て.^ の&の 下に 死んだ やうに なって おつ c,o 、/rf r> ^产 

起します と、 t 〈こ c,- こ ひ J ? か , ^プ Z て/- ュ 二し ゐん 叔^の 尼 を 抱き 

• 3) と , ^に てれた 容子も 隱しケ ie, がき 

こ。,.. 3 f お ほいき し 『fを御覽じられたかな』と臆^らしく^^,^-まし 

, すモ」 叔母 もま をつ いて、 g ひ^、 お .;.f し 

りで ござ、 まし、」、、、、,. i ふる , -户 ミカ 唯 何度と なく f しさう に 額く ばか 

、ナ 力 やかて また 震へ 聲で、 『.《 ^たと もの、, がた とも.,、 つつ 3、 、 ひらめ 

、. こた 見/ともの 今 A3 の 爪ば かり^かいた、 

一 まっ^な f 神ち やろ が』 と 答へ るので ござ、 ま u.,c ご、!.,, りゅうみ な: t,, . 

^n-it グて こさ V ます して 見ます と 龍 を 見た の は、 ぎ .211 

人の 得 f き 眼の せゐ ばかりで はまった ので ござい ffnu^r 

すと、 を, VP ご::;^,.. 3 は, らうに や 4 ん によ 一:,, レメ 翁て H. ほに 許. 5t を 聞き ま 

ざい ま;;; r 居|老| は、 がお へ ffi?」 ずぎ 

「その後惠印は何かの拍;5^に、 !^はぁ 歡ぉま^;^ 救¥ はく f , 

たが、 おお ご I- じう ほ P ほ- r ! 戲 たったと 申す 事 を白狀 してし まひ まし 

ズカ 唐严 を; め: 間り 去 &ま V に J ー3 ず、 はう おも 

f 严の f は 一 ノも その 白 1 を ほんた うと は t はなかった さう でございます。 



龍 



377 



これで, T 體 あの 建 札の 惡戲は 圖 星に 中った ので ございませ うか" それとも 的 を 外れた ので ござい 

i な,、 ら .H なくら うど お ほ はな て,: うどと く-ごふ ゑ いん ほぶし だ 5 お へ.^., !、 > 

ぉせぅか。 ^^藏の、 ^藏 人の、 大 鼻の 藏人得 業の 惠印 法師に 尋ねましても、 恐らく この 返答ば 力 

り は 致し 翁ね るのに 相違 ございますまい 」 . 

う ; ごんた J- くこ なるほど これ めんえ う はなし むかし V.. る さは C い; - り 〔〃う す:、 を -.^ ? 

宇治 尤納 言隆國 「成程 之 は 面妖な 話ぢ や。 昔 は あの 猿 澤 池に も、 龍が 棲んで 居った と 兌えるな Q 

な,, .J^ ノ わか 4- かし す を ^--「71 む, 5- し あめ した にんげん ,:. つ-, ん 

化、 昔もゐ たか どうか 分らぬ。 いや、 昔 は 棲んで 居った に 相 違 あるまい。 昔 は 天が. 卜の 人 問 も 

しん なな, e こ 9 ゆう す おも. を り やつ あめつち あ ひだ ひ J*; 一 やう 、 . ^み 

心から 水底に は 龍が 住む と 思うて 居った。 さすれば 龍 もお のづ から 大地の 問に 飛れ して 利の.^ 

をり く ふしぎ すがた あ..:: は はす よ だんぎ., - い r た - . は-つ ) は, 、- LJ 丄 J 

く 折々 は 不思議な 姿 を 現した ぢゃ。 が、 予に 談議を 致させる より は その 力 どもの 話 を 聞 力せ- 

つぎ あんぎゃ ほふし ばん 

てく れい。 次 は 行脚の 法師の^ ちゃな。 . 

な: よ う ものがたり -ナ を ぜんち ない ぐ t を にな なが ほふし こと ノ または チ ナ,、 <^ お; と- 

「%、 その.? の 物語 は、 池の 尾の 禪智內 供と か 申す 鼻の 長い 法師の 事ぢ や? これ は 乂鼻藏 の 後 

いちだん おもしろ さっそく はな 

だけに、 一 段と 面白から う。 では 早速 話して くれい 11 」 

(人 正 八 ^四月 > 



378 



さはもう 十 年 あまり s になる が、 8 の は 震 の if 傲 i されて、 

彼是 一 f ばかり、 岐. fe ぶ 3S£ おする^ なつ 气 issf るも,の 觀秦 

こうぐう へきえ.^ わ.:,、 ^ づ- 一く し 」. 、- こ、 |\ 、、! |< - r 

な厚 遇に 辟易して ゐた私 は、 私 を 零して くれた I 稱ぎ應 おが 斷"の£ を^、 ^ 

が 1 ュ パ~,ん^^ゎぃ ., あるひ まため いしょ あんな * . . . : 

a と カ实會 とか 或は 又 名所の 案 e とか、 その いろいろ 1^ に yi する ぃーっ 悔 のず 听な S つぶし を 

担絕 したい I 望して & いた 。する. Jf.trsi:^??K^^^SSC„i?,$ 

ゐ たものと 見えて、 やがて 私が ^ふへ!: くと、 その 喊 鬱^^ S だるお t^rlr の こよつ c、 

で" 化ト 、> わが ま >- き ばう ど ほ とり. H か , - 

I 力 この 我儘な If a- ら はれた ばかりでなく、 ff£Bf^. 

ほうか しべつ ざう 、- せ、 ふ.、 n f ^ ^ 

封 f 氏の 训莊と かにな つて ゐる ig な あぎ S ^された。 ゎ默 これから;! さう と g ふの は、 そ 

の滯 在中 その 別 莊で仏 Irr. がせに した life な!! お, g まで ある。 

そ QI の ああ? i、 還 t に i い g お g も 露に 1 いい 一つ ii だった C ぎ ■ してゐ 



1 た 書院造りの 八疊 は、 u 當り こそ 惡ぃ憾 はあった が、 障子 襖 も, 程よ く 寂び のつ いた、 如何にも?^ 

つ ざ しき わた メ、 し せ わ や べつ さう だん ふうふ も かくべつよう かぎ 一 4- つ: 

着きの ある 座敷だった。 私の 世話 を燒 いて くれる 別 莊番の 夫婦 者 は、 格训 川の ない 限り 作, W も 

. ^つて さが ぐら i- ちで. ふ たいてい しんかん ひとは ^ 力 M 

g;^ に 下って ゐ たから、 このうす 暗い 八 疊の問 は 大抵 森閑と して 人 (かがなかった。 それ は 御影の 

VJ う-つ ばち うへ えだ つ も,、 れん とき しろ は チ< おと ^^0^' - ^ - .1^ ノ > 3 ^ 

手水 鉢の 上に 枝 を 延ばして ゐる 木蓮が、 時々 白い 花 を 落す ので さへ 明に ほき ゆれる やうな^ 力 

キ. 十に) ぜん 、ゲ つえぐ > わた,、 し 一 ご ご よる しキ- はなはだたい へい くら こと で 

さだった。 ハ他^:!午前だけ^演に行った私は、 午後と 夜と を この 座敷で 甚 泰平に 暮す 事が 出 來た. 

ど-つじ ま た んか うしよ & が い „ ?- なえ ほか なに ひと I わた,^ しじしん 4 パ, -., W お. f ; JfJ . ^び/, ヽ 

が、 同時に 又、 參考 書と^ 換 へと を 人れ た袍の 外に 何 一 っなぃ;^4自身を 春寒く ふ is!- も 度々 あ 

つた。 

h ^ つ) ご とキ をり く .H うもんき や/、 き * : さ i ノび おも たけ 「 

尤も 午後 は 時折 來る. 問 客に 氣が 紛れて、 さほど 寂しい と は 思はなかった。 が、 やがて 竹の ci: 

だ > こ ふう ひ \- も にんげん いぶき かぶ せ かい たち * ちその , ^5ふり c,^ 

を臺 にした 古風な ランプに 火が 燈 ると、 人 問ら しい 氣 息の 通 ふせ 界は、 忽 ま ハカす 力な 光に 照 さ 

わたくし しう ゐ ちビ わたくし し. つん け, つ., , たの Z き- お-; _ 

れる 私の 周圍 だけに 縮まって しまった C しかも 私に は その 周圍 さへ、 決して 頼もしい 4 才は 起させ 

- に/、 うしろ と こ -i - はな い せいどう かめ ひと ゐ r, 

なかった。 ^の 後に ある 床の 問に は、 花 も 活けて ない 靑 銅の 瓶が 一 つ、 威 かつく どっしりと 据ゑ 

うへ あや やうり うくわん のん つく す、 /、らん へう さう な. A もつ ろう ぼくしょく 

C てあつた •」 さう して その上に は 陸 しげな 楊柳 観 昔の 軸が、 煤けた 錦 欄の 表装の 巾に 膝朧と 墨色 を 

S 冗 

42^5 べん わたくし をり くしょ けん め ふる ぶつ ズ," ?, かへ „ ^^^T'. . , ぇ|, 乂 

辨 じて ゐた。 私 は 折々 書見の 眼 を あげて、 この 古ぼけた 佛畫を ふり 返る と 、お 蛇き もしない 



2 

3 



I どこか "句って ゐる やうな おちが した。 それほど ぼの ぎ はおらし, f かぎお 

わたくし ±J:„ 、ね - - t. yl^ 6 ジ ^117 \ - i< 

ゐ だから 私 はよ く • をした。 が、 おに はいって あ ff はならなかった。 " 

^J. !! あめ. S 鬚した。 iiffihp. 

rr 何 ri は、 觀 とし li 厨 i き昏、 ききき^ 

空 へ 無 數の鴻 を ばら 傲 いて ゐる。 (1 Hx^r . - ま s..- 

J そ-」 み-つ IP よ 禾 は.^ 折 力う とうとと 淺ぃ 眠に 沈みながら、 それでも まだ 

腹の 底に は 水の やうな ま與 が i ,てゐ るの を £^ ミ , 

- あるよ こと £ 

すると 或 夜の 事 —— そ叱ま4ん1^っきっ:ぉ%っ^^リ、、、__ぉ:5卞 -ro : . , 

とほ f へ"^ そ f.- 定 の講、 t 數カ將 に 終らう として ゐる 頃であった。 1^, に ザ? 

通 "はりの 前に あぐ 1 かいて、 襲と 霞 I てゐ ると、 のばと ぁ讓 ぎずが 

"!! ssf そ のにぎ いき き * にあの 疆きき 蒙、 掀; 

く 先 1 いて, た 端 意 癒 あまう あって、 雜 なく 禁を YF た。 すると そ, き- 1 

I 二、、 ォ んリ、 L まった 一 - : - > ン t .^^c^ レ 

うす 晤 かりに は、 私の 全く 見知らな いず: P5n つお %: い i い、. I れ^ , 

しゅもん,. たくし 拿う, く サ の 男 カー 人 端然と して 坐って ゐた。 資を. I- へば 

その 瞬間、 私 は 薄—— と f よりも, i 纏な 羅き Yg の 霞が lri。 i 

その 男 は、 それだけの. ョック にき r く、 ぼんやりした ランプ あ" ぎて、 ^^^1 



すがた ゃ<< かれ わたくし かほ あ c.,^ しふう りゃう ひ .リ たか は- うや, ゾヽ か丄ら さ. 、- - 

3 姿 を 具へ てゐ た。 が、 彼 は 私と 顏を合 はすと、 昔風に 闲肱を 高く 張って 恭しく 頭 を > けながら 

8 . 

3 おも わ.^ -; ゑ ほとんどき たして き あいさつ 二とば の 

思った よりも 若い 聲で、 殆 機械的に こんな 挨拶の 言 を 述べた。 . 

や ち-つ - 一と おいそが ところ お じゃセ A あが なん ま を わ,?" いた- > 、-、 - / % 

「ず 中、 殊に 御 忙しい 所 を 御 邪魔に 上りまして、 何とも 申し 譯の 致し やう は ごさいません 力 ち 

をり、 せ/," せ * お ねが キを ぎ しつれい か,、 りみ さ 尺 じ や-つ し ,t 

と 折 人って 先生に 御 願 ひ 巾したい 儀が ございまして、 失 禮 を も-鼠す、 參上 致した やうな 次第で ご 

ざいます c」 

f つや さいしょ くわい ふく わたくし べん た あ ひだ . は、 じ • 「- , - 15 

く; 3 取 初の ショックから 恢復した 私 は、 その 男が かう 辯 じ 立てて ゐる ii に 始めて落„1^|5レ て:.5= 

て くわん V- つ .f- れ ひ/,: ひ ひろ ほ、 とし にあ め はヒら , ひに > い- - がん^、 > じ.^ 

手を觀 察した。 彼 は 額の 廣ぃ、 頰 のこけ た、 年に も 似合 はす 狠に 御き の ある の 打い x^,f の 人 

:i だった。 それが 紋附で こそなかった が、 見苦し からぬ 羽織 持で、 しかも 膝の あたりに はちゃん 

と 一 i§ を控 へて ゐた。 唯、 咄嗟の 際に も 私の 神經を 刺戟した の は、 ぎの 左の 乎の 指が 一本 缺 けて 

ゐる 事だった。 私 はふと それに ハ浙 がっくと、 我 知らす 脱 を その 手から 外ら さないで は ゐられ なか 

つた。 

なに ご よ-つ 

rl I , nur IJ 一、、 I 」 ゝ o 1 

_ 4^ カ^; It です 力 」 

,v 、- 1> たく よ しょもつ と ぶ あいさう と t ネた, 、し ^^ォ 

凌 私 は讀 みかけた 書物 を閉ぢ ながら、 無愛想に かう 問 ひかけ た。 云 ふまで もな く^に は、 の 



はう もん 



4 

8 



唐突, i^n-^ 問が 意外で あると 共 こ 度 5, に?.)、 つ こ。 ま^つ fi- ん いちごん : 

ニノ. t.- 、一し 力 \ 一,^ とぎ-.^ 寸こ 之リ 44,1 ら 3 、、、 11. ノ に」 やく 二 とりつ 

の も こつ こ。 て, 一 ! わ きし れペん こき r,,! ュ.. 莊^ カ 一 言 もこの 客來を 取次が たい 

の 7 た番ズ ぐた し 力し その 男 は 私の 冷 t 淡ん と I こ 

^^^0. . てうし --. ^な V て もう 一度 額 をき につける と、 

^ 不 .氣,5^ 讀 でもし さうな 調子で、 

ま を おノ、 , Z 

「中し 厘 ノこ -> 、 J,^,^ ^;^か^^らザ んでゥ * & 

、逸れ.^ しん 力 私 は 中 村す 么道と 申します もので、 やまり Ml 广 日ち 山, 齢 ん - ノ で を 

— ,.,」 1,、 つんた すう なか ^ -.' ハ.^ の 御 講^ を; 3- ひに や-て 居 

ります 力 勿論 多數 の中ゼ ござ、 ま 4 . つ、 €^0 I 

,p ノ I ク Tr- こさ レ ます 力、, -ー 夠見覧 え も ござ、 ま,^ ま、。 . CL-t 

こんご i たなに-ぶん - ィし \ こさん ま,^ ま,^ とう 力 これ を^ 1;^ こ ノ 

て, た a 後 は 又 何分 ともよろ しくき |£ を £ひ鉱し ます。」 御 f 

I 私 はこ こに 至って、 渐 くこの, 蒙が r こ 

興 を 破られた 事 は、 使, し 一お f に f ひなかった 

「すると (-何 か 私の iii に, でも あると ま m るので すか。」 

力 ^ねた; 5^+^ .^、:>.,VJ i -' - : みやう にち かうんん ぢ やう う.. ハ.. . , 

,? f に 「農なら 明 II で 伺 ひ 4 う。」 と f ^ の 1】 い f の J^,,' 

を 用意して な,. こ。 レ- つ t ^ハー- tot ま *- a さ ご f VIL^ -'/p 

/ 力 相 ザ はや は I の 筋肉 一つ 動かさないで、 ぢ つと t^s:- こし 

しながら、 チレ ルレ J,l 一 :4 糸 を?? g 

1 、 しつぎ 

1 レぇ、 質 では ございませし C ござ、,?, Li ヒ、、 、 TAn^t わた" し少 つ., I:- かた 5 

セん こさ レ ません 力 實は^ 一身の ふり 方に isi きまして、 街 I、 と 



一た。 が、 夜 巾 書 n4 の^ 



も" M おの IIJ^S^ をう" なりたい ので ございます。 と 申します の は、 唯今から ざっと 二十 年ば かり 以 

s、 わ sli^sl ひも よらない ,來 事 に 出合 ひまして、 その 結果 とんと 私に も 私自身が わからな くな 

つてし まひました。 つきましては、 先生の やうな 倫 现學界 の 大家の 御說 を. 3: ひましたら、 自然 ハ F 

くつ ; ;ご し 11.^,>ボん すゐ さん L た 10"、 、 、 - _ -i- 

1 もっかう とせ じまして、 今晩は わざわざ 推參 致した ので ございます ^で.、 こざい ませう。 樹 

た-くつ わたくし み ぅへ^なし ひとと ほ お き と /、. ガ ます J y o 

g^og でも 私の. JiJK' の 上 話 を 一 通り 御聽き 取り 下さる 譯 には參 りますまい 力 」 

ゎ^^^ぉに&路じた。 成程 l^n. の 上から. 云 へ ば 倫理 學 者に は 相違ない が、 さう かと... ム って乂 私し 

に-/ もん ち しき うんてん たう めん じつ V- いも ズ だい れいく わつ かや は-り あ - 6 ^.^ ) frj 

は、 その 專 門の 知識 を運轉 させて すぐに 當 面の 實際 問題への 靈活な 解決 を氛 へ^る^ 1^^ 

う う も 3 ハん うぬ ま こと で き かれ わたくし し: じ W ん はべ き . 

く. 抓^の 持ち主 だと は遣憾 ながら 己 惚れる 事が 出来なかった。 すると 彼 は 私の 逶 巡 に =- くも ハ沭 

み いま はかま ひ f うへ ふ し-せ. 乂 . 、 Hf -、 ん,, 丄 ぐ,^ ベ J :、 ジ、、 、> 

がつ いたと 见 えて、 今まで 袴の 膝の 上に 伏せて ゐた _s 線 を あける と 叶ば? 做す る やうに つ 

S わ. -r 、レ かほ、 ろ うか ピ お.^ へ わ.、 し ぜん こ ゑ いんぎん ことば つ.' 

Sr つ 私の 額お を 薪 ひながら、 前より 稍 自然な 聲で、 殷議 にかう 一一 H 葉 を 11 いた 

「いえ、 それ も 勿論 强 ひて 先生から、 是非の 御 判斷を 伺はなくて はならない と 巾す 譯 では ござい 

. -- ^ わ. V- -,、 > とし しじ; S う あたま なや i 、 、 

ませ i -。 唯、 私が この 年になります まで、 始終 頭を惱 まさす に は ゐられ なかった 問^^ で、 こざ,^ ま 

--, 

^ すから、 せめて その 問の ぎしみ だけで も 先生の やうな 方の 御 耳に 人れ て、 多少に もせよ 私 身の 



心 やりに 致したい と ml ふので ございます c」 

\1 L ノ み. -K-i/ / 、し ぎり みし チ. L 一と. - .H ち,^ \ , ^一 » ク. 

力う 云 はれて 見る と 私 は、 義现にもこの見知らなぃ男の;^を聞かなぃと5{^ふ||には|:かなかっ 

た。 が、 ^時に 又不ぉ rii 逝と 一 £i とした V ^の!? "tew とが、 戲 Jj? し, ^11 が:; 5 が^に のしかかつ 

て來る やうな 心 もち もした。 私 は それらの 不安な 感じ を挪 ひぎけ たいい 一つ: « から、 わざと 1-1- らし 

たいど よそ ほ ひ、 つ、 > A ^ 

い 態度 を 装って、 うす ぼんやりした ラ ンプの 向う に 近 とぎ 手 をぎ じながら、 

と かくお はなし う.^ もっと う.^ 1 . くう 一 - .、 

「では に 角 御 話 だけ ii^ ひませ う。 尤もそれを伺ったからとぺ_^って、 格別 御 象 % になる やうな 

見な ど は 申し上げられる かどう かわかり ません が。」 . 

「いえ、 唯、 御開きに なって さへ 下されば、 それでもう 私に は 本望す ぎる お fj ございます ノ」 

f^, ^ゆら ガゾ な I ヒスぶ つ f」 ひ いつぼん た て た、 みう へ せんす ち おえ、 

4s:tH 道と 名のった 人物 は、 指の 一本 足りない 乎に 疊の 上の 扇子 をと り 1- げ ると、 お々 そっと 

め こ 、 わたくし わしろ とこ ま やつり うくわん C ん ぬす ...I- よ: や-つ >-v. 1 ご て 

^を あげて 赵 よりも. 寧 床の 問の 楊柳 觀音を 偸み 見ながら、 やはり 抑揚に 乏しい お ラ なま, 子で、 と 

ぎれ 勝ちに かう 話し 始めた。 . . 



惑、 疑 



387 



ちゃう どめ いぢ に じ. ふよ ねん こと ご しょうち 七 ほ に じふよ ねん ま を Q うび .;:; ほぢ しん 

丁度 明治 二十 wit の 事で ございます。 御 承知の 通り 二十 §: 年と 申します と、 あの 濃 の 大地. 靈 

とし い。 い お ほが き よ" つす ちが --- つまち 

がご ざいました 年で、 あれ 以來 この 大坑 もがら りと 容 子が 遠って しま ひました が、 その; 町に は 

せう がく かう ちゃう ど ふた ひと はんこう お; た ひと キすノ だ 

小學 校が 丁度 二つ ございまして、 一つ は 藩侯の 御 建てに なった もの、 一つ は 町方の 建てた ものと、 

わか を わたくし はんこう お た せう がく かう ほうしょく を 

か う 分れ て 居った もので ご ざいます。 私 は その 藩侯 の 御 建てに なった K 小學校 へ 奉職し て 居り ま 

に V.- ん ねん まへ けん し はス がく かう しゅせき そつげ ふいた C- ちまた ひ っ^ t も f 

したが、 二三 年 前に 縣の, 1 範學校 を 首席で 卒業 致しました のと、 その後 义 W き いて 校.:^ などの 

信^も 相當 にご ざいました のとで、 年取にしては古2級な十五圓と11^ ふ^: g: を 、戴 致して. ^5 り まし 

た いま じふ ご ゑん げっ きふ. V り ろ めい つな くら ゐ なに ふんに じふ れん い ザ- ん こと 

た: 唯今で こそ 十五 圓 の:!: 給 取 は 露命 も繁げ ない 位で ございませ うが、 何分 二十 年 も 以前の 事で、 

十分と は參り ません まで も、 L¥ し に } ^自 か は ご ざいませんで したから、 M 僚 の屮 でも 私な ど は、 

キを んゼぅ まと ほど 

どちら かと 巾す と 蒸び 1- の 的に た つた 程で ご ざ い ました" 

か てん に っキひ \ -リ けっこん クっゃ に ねん た . - .0 

{ "^族 は 天に も 地に も赛 一人で、 それ もま だ 結婚して から、 渐くニ 年ば かりし か經 たない で ご 

つま ^^^'ぅす-ゃ-っ とほえん を さな とき りゃう しん わか わたくし ところ ムん 

ざいました。 妻 は 校長の 遠緣の もので、 幼い 時に 兩 親に 別れてから 私の 所へ 片づ くまで、 すっと 

かう ちゃう ふうふ むすめ めん V- う み をん な な さ よ ネ を ハケリ 、し ノ ノリ ま を 

校長 夫婦が 娘の やうに 面倒 を 見て くれた 女で ございます。 名 は 小夜と 巾し まして、 私の:: から 申 

ぶ い いたすな ほ やす かけ む くちす 

し 上げます の も、 異な もので ございま すが、 至って 素直な、 はにかみ 易い —— その代り 又 無口 過 







ぎて、 どこか 影の 薄い やうな、 i しい れっきで ございました。 %^^£f^p.^. , 

t& ほど はなぐ ヒ ) /.I/ C ニノ, 》<- > / 

と 1"」 れと 申す 程の 花 t ぃ樂 しさ は ございませんでも、 まづ f かな その r の r、 

力 出來た の で ご ざ い ます。 

お ほち しノ, - -' - > S 

する:」 f の は 鐘で、 —忘れ も, ません お &r 一; pf き gpig で ございませう 

か。 私が 井戸側で 楊 技 を 使って ゐ ると、 i は 霞 SQg を f てゐ る。— そ のぞまが つぶ 

れ けした。 それが ほんの Tr 一お の is で、 まるで g の やうな ききい if がき ひかかった 

i ひます と、 忽 めきめき あが g いで、 i は isi ぶの が;^ えた はかりで ございます。 わ 

L- *- し i -っ d ーづノ ft 

あっと 云ふ假 もな く、 や こ まこ ら お Y,.^ L:、 t ばら t ナ 、ちう *、 

, 4{,.,^^^ち^^ズ庇に敷カれて, 暫く は 無我 無 中の 0、 どこから ともなく 

^ く だいしん どう なみ * £ ノス-. 7 く 

5 て 來る大 I の 波に 搖られ て f ましたが、 やっと その らお I おへ I ひ!, して 

ますと、 目の前に あるの は 私の i のまき で、 しかもお 4is の f たのが、 そっくり f のぞ 

ひしゃげ て 居 り ました。 

とき わたくし 二、 ろ ;ミ どろ まぶ 

どう ^ の 時の 私の 心 もち は、 驚いた とた ませう か。 i てた, おしませ うか. 意で航^^したのも 

同前で、 べったり 其 處へ腰 を, たなり、 P 薦 S の やうに おに 4-1, もき を, ベの 



- ;レ- J J s 一 じゅ も-、 を おと かべ く • つ おと いくせ ス にん 

い を やって、 りの 一 ま、 I 水の 一 ちる 昔、 樹木の 折れる 昔、 壁の 崩れる 音、 それから 幾ャム 

こ,! >S 」 つと ひ r き V,: つ ぜん に かへ 

" の が la げき ふので ございませう、 聲とも斧ともっかなぃ響がs然と#^ぇくり返るのをぼんゃ 

, ^つな あ ひだ むか ひさし した う」. 一 - ) _ 

り, いて ^5 りました。 が、 それ はほんの 刹那の 問で、 やがて 向う の 庇の 下に 動いて ゐる もの を = た 

i. ^ ^ さ 、み お ほご ゑ あ 

つけます と、 ll^i に i びお つて、 & い!^ からで も覺 めた やうに 意味の ない 大聲 を舉げ ながら、 

>ケ し し: つ 支 マー よ か よん しん はり い も だ- くる 

いきなり ハぎへ うけつけました。 ) & の; 卜に は卞ち 小夜が、 下半身 を 梁に 壓 されながら、 え 苦し 

んで 居った の で ご ざ い ます。 

1|し は 街の f を^って^^ りました。 おの 礎 を I: して I さう としました e が、 壓 しにかかった 

ひさし、 た 、ちまい /、 と 

^は、 |^の|1ひ11す|!も瞬きません。..§はぅろたへながら、 庇の 板 を 一 枚々々 むしり 取りました" 

, 7,". つま あるひ わたくしじしん はげ 

^りながら、 ^きも に^って 「しっかり しろ。」 と晚 きました。 妻 を? いや 或は 私自身 を勵 まし 

?ど くだ ま を 

てゐ たの かも &ん じません。 ^&は 「一 古しい。」 と 中し ました。 「どうかして 下さい まし。」 とも 巾し ま 

した。 が、 IT に 疇 まされる まで もな く、 k つお の やうに 血^ を變 へて、 必死に 梁 を 擦げ ようと 致し 

て|5りましたから、1!^1その|¥の^^^が、 t も^えない li^ に まみれて、 震へ ながら 梁 を さぐ 

K/ > t くる き お, くのこ 、、ヽ 1 C 

つ て §5 つたの が、 ゲ でも まざまざと 苦しい 記憶に 殘 つて ゐ るので ござ レ ます 

拳 



それが 長い 長い 問の i で ございました。 I ,fc ぎつ きま, c、 、 . ! 一 

ノ su^^y ひと や a !J "-穿 力ぐ きます と どこから か f 々と 

しんぜ § か 一な だれに 屋^ を^って、 むつ. 、ヌ瑶 \f っチ ノ t , . 

こ-ここ . なに は おと ャむパ ぐ" 禾シ 養へ, へきつ けました。 と 思 ふと、 その g りの f う 

に H たたまし く 何 か 爆ぜる 一ず し、!^ 梦 そら ま S 

わお しょ う つま し. や- i お 力 はら はらと f に 空へ 舞 ひ あ 4 りました: 

H iii さう してもう gil に、 ぎ gs の?^ 

Mil ,きつ If ffihh 

T になる II ん、 い!:: iil う。 a した:、 t 

と覺 えて ゐな いので ございま i キ.^ 一.: わたし 力 / 

「ろ さ。. 1,* i . ^.^t 血に まみれた 乎で 私の 腕を つかみながら, 

"1: 」l:n:. た! バ覺ぇー 香ます。 fi Iff 

はの 粉 ifes が、 f g む 3 ぼ 一」 f あ f kulu; 

r 生 ほに きかれて、 &應と f した。, がら? あ 汽 は 



9 



惑 疑 



391 



い こと. なか む すう. い つ ひ む すう 、,.^.-.< じ やう ,; "ん • L * 、- 

の 「あなた。」 と 云 ふ 言葉 の 中に、 無數 の 意味、 無數 の 感情 を 感 じ た ので ございます 生きながら ? 

» ,ヒ ノ、 i マん ど な-一 V ; し 1, ぉぽ を おお 

きながら? 私 は 三度 か 叫, びました。 それ は 「死ね。」 と 云った やうに も覺 えて 居ります。 一 已 

もがぬ0」と「14ったゃぅにも|^ぇて居ります。 が、 何と 「ム つた かわからない 內に、 私 は 手 第、 

"J . い. H ら と あ つ S.* つま あたま う おろ 

サ W ちて ゐる瓦 を 取り上げて、 核け さまに 妻の 頭へ 打ち 下しました。 

つち, こと せんせ > お さつ ほか わたくし ひと い C こ r- ほ".: J んど 

. それから 後の 事 は、 先 牛 y の 御 察しに まかせる 外 は ございません。 私 は獨り 生き 殘 りました 殆 

町中 を燒 きつく した 火と 煙と に 追 はれながら、 小山の やうに 路を 塞いだ 家々 の 屋根の 問 をく ぐつ 

" -Jr. rj- ^ " 、 0^ ■)_ , ,つ J ハ-フ ま- Ir-J!- ?1 JJ 5 ォ^// 、し ケん 

て、 漸く 危 い,. 一 <g をお つたので ございます。 幸 か、 それとも 乂 不幸 か、 私に は 何にも わかり ませ 

r ..、 よ も くわ じ ひかり , 、ら そら のぞ ど-つゆつ ひ. とり、 ふんへ り、 ぶつ . 

ん でした。 唯 その 夜、 まだ 燃えて ゐる火 察の 光 を 暗い 空に 望みながら、 同僚の 一 人 一 1 人と 一 しょ 

ひと ! A く. う そと り, ご や ただ にぎ めし て >. 

に、 やはり 一 ひしぎ につぶ された 學 校の 外の 假 小屋で、 炊-き 出 しの 握り飯 を にと つた 時と めど 

まみに こ な べ> こと い.? . ^す 

なく 淚が 流れた 事 は、 未だに どうしても 忘れられません。 • 



な. f ん i, こう し f ら こどば おくび やう め た、 み おご とつぜん はなし ノ た ゾヽし 

屮村 がス 道 は 暫く 言葉 を 切って、 臆病ら しい 脱 を疊へ 落した。 突然 こんな 話 を 聞かされ た^も 



t よ、/;;^ てろ . ざ し キ.; :1^る\.,に 



2 

9 



愈廣ぃ 座敷の S が觀 まで せた やうな;^ i ちがし お 、ま ^ 

へ や なか ,.:... - 7 - I ん H^」 と- ム 一 儿< ^さへ 起ら な,^ つ"」; 

^€ J 1^ - に、 け ひ . おふら す あ き S レ.. 7 ->i V / 

の 油 H きた。 I ら f に £ii 

力す 力な w,;In^ をつ く 昔が した。 



私 は は 股 を f 、 i きて ゐる まの 蒙ぎ。 ,した If か。 

"つまき 身 だら うか。, I が、 it^^^, ¥m 疆 はや は あい で、 おお ひ 

話 を績け 出した。 



申 はで;:::! r 私 5 ま i あしみました。 それば かり か、 i として は、 か 爆1 め 

^ rllf ぎ、 き F, きき ございました。 が、 まあ If 

蒙で、 I き Ef 、 I き r て H ま ii, ます C 

「生きながら 火に 燒 かれる より はおって、. わ 雷 r まきて f した。」 I これ だチ のお 



. を-お g にたから と t}s て、 ま^^&、-^ま、へ||られる^第でもござぃますまぃ。 いや、 寧ろ その 爲 

^ に^ II は YmlT に いて くれたのに 栖^ ございません。 それが どう 云 ふ もの か、 云 はう とす 

二. I つ. ft r ビ b と ひとこと した うご » - D 

ると I- ち t 元に こびり ついて、 一 言 も 舌が 動か なくなって しま ふので、 こざいます 

|^^^^ぉ1?の^|?が、ま|.^^^^^にぎざしてゐるのだとき^ひました。 が、 赏は m に 脇 病と 

よりも、 もっと 深い 所に 潜んで ゐる 原因が あつたので ございます。 しかし その 原 w は ^に 

^^;^はの!!が!!-っ, て、,.愈^?ぅ 一 度 新 生涯 t へ はいらう とヨふ ii 際まで は、 私自身に も わかりませんで 

し,. こ。 さっして それが わかった 私 はもう 二度と 人並の 生活 を 送る 资格 のたい、 ^むべき 精祌 

上 の 敗殘^ になる より 外はなかった ので ございます。 

w« の は E^&tii?i, いしたの は、 ^す 化の 維き になって ゐた 校長で、 これが 純粹に 私の 爲 を^つ 

た US! だとお す ま、^ もよ く^み^め ました。 又 赏際そ の 頃 は も う あ の 大地 - 化お があって か ら、 

^.fff あまり I つた la^ で、 mii^i の it をき り Ik した, 1 にも、 .^〃1じゃぅな&^|をれ 

> •- レ さつ J N > - ち ど ところ かう す-やう なし ド 

ちかけ て 私 Q ロ裹を 引いて る ものが 一 度な らすぁ つ た の で ご ざ います iH^ か 校長の 一!^ を ゆ I て 

でに-' _ -., 

じ" 力 J » 、:? ス ひ て " --- * ませぐ せ * に に / 

^ますと、 な に は その^ 膨の 相手と 1^- ふの が、 唯ゲ 先生の いらっしゃる、 この N 家の 一: 桥 



む;^^^め たう じ わたくし ,< 、 * 

娘で、 當時 私 が雲以 にも、 ^i-f ^^^-11 

ぅでは ございま せんか。 is し は ri し お!! g^f 層 f 

ない ffl も g くないと ず" 上ら ii 何: fl^:! 。た I どと、 f 

うしつ さ 力, -と 田ん つん 力ら でございます。 司 4;;!.; ォ だし 3 お . り -ぅ 

の 後に は、 ff^'^^ き f 私 の まなかった 现: k 

1 げ は" り fik して お 編 悲しい きはなかった まで も、 わ 鍵,. つに" さぶ 

面影が、 ききき の やう. きん r 象 まって,?」.^ f. 矛 ち t たづき 

; 翁"! 春し :: 「や. i はって ゐ たのに 相違 ございません。 

力 校長 は 1- 分 私の 心 もち を、 がんでくれ ヒ P 一わ^ しぐ,.^ ゆね 乂,』 い も, , き どくしん… ; 

n-tl: い こと こんど, 丄て 私 位の 年輩の 者が 八 射 i り vs. ピ ュズ" 

の は &難だ と 一 な、;; g ;、 - i >」ん;^>"乂、んだん せんば-つ た フノ 二. よ \〃1.„;3;: を, る- 

„ミ し? 事 カも今度の緣談は先方から^-っての8.ぞと411 さ\ゃぅじしん r 

:^^ り wc; ノ,; < じ 、あ ひ、 ひやう ち 、 え 二 ftj ョ たと 云,.? 校長 自身が I- んで 

凝 の,, ガを 串る 以上、 惡評 などが ぜ つ!. g.HelQ, よ、 二 か 、お-、 . まひ? わたくし きラ _ズカ^^^んて 

I ういう が.:.:」 ナ„ ブ ユン f オケ カレと 云 ^ 事 その;?^日!^^ バ、 っ^^1は;;ー X- i 

京 遊學 のきき も、 ILftt^. こまば き い と ^ の! して ゐ K« 

てて、 お f 4ii p;v^f 力 着 だら うと 2 事— さう, いろいろお ベが 

! よく 私|き ました。 かう きぎ :. ュ 

ません。 そこへ 姆 r 齡" ます.? I に はぎって しま ふ 譯には 氛リ. 

〈ォ まタと 申します の は 5 の 美人で ございま、 S ふぼ. 

は ございま すが、 ;の にも まし こさ、 そグ: ^耳し レ I で 

目 力/まし たのて 复に勸 めら れ るの も:^ まって おり ま 



惑 疑 



395 



すと、 何時か 「熟考して 見 ませう。」 が 「いづれ 年で も變 りましたら。」 などと、 だんだん 軟化 致し 始 

とし か は め いぢ に じふろ くねん しょか いよ/ ヽ あき し, き あ い 

めました。 さう して その 年の 變 つた 明治 二十 六 年の 初?^ に は、 愈 秋に なったら 式 を舉げ ると 云 

ふ 運び さ へつ い てし まった ので ございます。 

なし : ろ めう わたくし キ! _ つつ じぶん ふし ギー おも まど なに 

すると その 話が きまった 頃から、 妙に 私 は 氣が營 して、 自分ながら 不思議に m 心 ふ 程、 何 をす る ■ 

ち, A し げんき がく.^ う ゐ け-つ ゐん しつ. つく ゑ よ 

にも 昔の やうた 元禁が なくなって しま ひました。 たと へば 學 校へ 參 りましても、 敎 E 貝 室の 机に 倚 

り懸 りながら、 ぼんやり 何 かに 思 ひ 耽って、 授業の 開 t 始を 知らせる 板木の 昔 さへ、 聞き落し てし 

まふ やう た^が 度々 あるので ございます。 その 癖 何が 叙になる のかと 中し ますと、 それ は 私に も 

み キ-は 二と でキ- な あた *^ なか は;.、 る ま あ 

はっきりと は 見極め をつ ける 事が 屮 U 來ま せん。 唯、 頭の 屮の齒 車が どこかし つくり 合 はない やう 

あ れ か わたくし じ 义 てう ゑつ ひ みジ .T-.i-r^- ま き 

な —— しかも そのし つく リ合 はない 向う に は、 私の 自覺を 超越した 秘-ダ 山が 潘 つて ゐる やうな、 ハ姒 

味の. め:^、ゎぃ心もちがするの でございます。 - 

ふたつ,^, - っヾ こと す, やう どし よちう きう. A たう ドヒ 

そ れが ざっと 二月ば かり 絞い て か ら の 事で ございました ら う。 丁度^ 屮 休暇 になつ た當座 で 、 

ある ゆ ふが た わたくし さんば かたん、 ほんぐ わんし べつ ゐん うらて ほんや み: ijv, き C そ み ころ ひやう ばん だか 

或 夕方 私 が散步 旁、 本願 寺^ 院の 裏手に ある 本屋の 店先 を舰 いて 見ます と、 その 頃 評判の 高 か 

ふうぞくぐ わ はう も を V- つし ご ろて- -V つ や さう き だん げっかう まん"、 わ いつ せき.^^ん十リ へう し な.:: 

つた 風俗 畫 報と 申す 雑誌が 五六 册、 夜 窓 鬼 談ゃ月 軿漫畫 などと 一 しょに、 石版 刷の 表紙 を 並べて 



居りました。 そこで 店先に 佇みながら、 ff くその m 聽街を r まに とってぎ すと、 

A^: . fj. くわ じ はじ ジ、 - r 

に 家 力 倒れたり 火事が 始 つたり しで ゐる, があって、 そこへ jl^ こ 「1 おお^!: お は S お 

ーパ、 i ぐ わつ ば じぶ 巧-に ちしん-いき ぶん お ほ,, -- r f 

.1 十月 日 震災 記 聞」 と 大きく 刷って あるので ございます。 それ をが た啦、 わお ざ、^ が 

- はすみ 出しました。 私の 耳 もとで は i かが, さう に 嗎!^ ひながら、 「それ だ。 それ だ。」 と g ひや 

うな 心 もちさへ 致します。 私 f だ f ともさない 灣の P で、 あ, く靜を はぐって f 

した。 すると まつ 先に 一 家の 老若が、 & ちて f i に £ ち ひし がれて ぎる! _且 さて f 

ます。 まから 土地が n つに f て、 を i グた a:!?., んでゐ る Isff ます。 それ か 

ら II- 々數へ 立てる まで も ございま せんが、 その f その 霸!! ま は、 -l^ii 

ふた. h びわた くし め まへ てんか" フょ, 

を 再 私の 服の 前へ 展開して くれたので ございます。 s# 難滅 11^ の ぼ、 sm§s 

の圖、 豐 I 兵士 屍 11 の ir l^gi 霸 gssll———- さう r ふ iM な Is おからお と、 

あの 呪 はしい 當 時の 記憶の 中/お;^!; きこんで 1^ りました 。わお が I がうる みました。 、化- 

% めました。 苦痛と も變 ともつ かない 霞?,、 iit^iif i させて しま ひま 十。 さう 

3 して 最後の 一 まま 見 ■ が I のまに i かれた il^ 街 i ず も その i の 1 が あ.. ありお 



て-, ります c それ は& ち^た、 t に i を たれて、 一人の 女が 無慘 にも 悶え 苦しんで ゐる畫 で ござ 

■ いました。 その, の橫ュ つた 向う に は、 黑 煙が 濠々 と卷き 上って、 朱 を 撥いた 火の粉 さへ れ飛 

わたくし つま たれ つま "-ぃ P なん • J J 

んでゐ るで は ございま せんか。 これが 私 の 妻でなくて 誰で せう。 妻の は 取 じなくて 佝で せう 

IT は^ぐ ^11 衡 をおから & とさう とま じました。 き やひ 一お を 鱗げ て f ばう と 致しました。 しかも 

その に Y 鎖 IT を is えさせた の は、 i^l^ぁたりが赤.^明くなって、 火 S を 想 はせ る やうな 

一 1 一、 ろ お し-つ -v;sv:? わ は,, した ハ 

||りの5?|-ぶんと1*^打った事でござぃます。 私は强 ひて 心 を 押し」 きめながら 厕.^ 晝 報をド へ^ 

いて、 きょろきょろ^ を^^し ました。 では ト m が i ランプへ 火 をと ぼして、 タ 暗の 

た: つ, つ- リ 1 ナむり V- マ ッ チが f t. と-, 、、ゝ - 

; g れ てゐる Jti 來へ、 まだ の 立 つ 憐寸殼 を 拾て て ゐる 所だった ので ご ざ I ます 

そ、 7-," ま、 わ II ザ 做よりも 更に 幽 匿な 人 問に なって しま ひました。 今まで 私 を したの は 

: , - ^ ^ -C'J ご る. さ わく わたくし あたま なか わ. は- 、 に そゾ. 

とも は 1 れ ない な 心 もちで ございま したが、 その後 は 或 疑惑が 私の〉 卯の 巾に ぼって 仅 

を I: はお^ JIJI- め il がので ございます。 と屮 します の は、 あの 大地 溢の 時 私 が 妻 を!^ したのに- 

, ^ 、つそう ろ こつ ま を わたくし つま -; つ は. し、 め 

してび む を" 纩 なかった の だら うか。 —— もう 一 層 露 竹に 申します と、 泡. は 妻 を 殺しん の は お 

^ ク - J -, ら お ほち しん た わたくし ため キーく わ-い "め^、 - 、 

* からおしたい;::?^ あって 殺した のではなかった らう か。 大地震 は 唯 私 の爲に 機^ を與 へんの て 



3 

9 



f な 力ったら うか、 (I かう 云 ふ 疑惑で ございました。 わが:;, ^が^ I- ク だせし ーパ 、なんど? . 

いな いな 二た -: 7 ォ にタ. 乂 ..s ごレ凝 .^J の リ 5: こ、 ;^. 、、一 ム刀リ 

i^fi が、 ,養 i に 「I 「そ 

た 何物 か は、 その i„i^)s. き rn? つ ご、 「?tiL, ザ、 t つま - 一ろ こと ,っ. : Li^l 

ンゅチ つて 「て は 何故お 仏 g まき &え て」 S ご P <f 小 -に で キー 

f 。- . P つめ ; もお-.' ^ を x.^ しん 蓦を 口外す る 都が 出來 なかった リ 

た」 と 問ひ詰るのでござぃます。ォ5^がそのず^こ;:^ュ^^^.. VI い, - 力- ズ t 

,ト ど わ. おし つま ミ -i づ 禾,^ その 身 に ひ i„ はると 、ゼ ぎくり と 致し ましな。 、 

佝敌私 は 妻 を 殺したなら 化した と: ひ He なハ つ. ク e 二。 、- , 

こ、 tf おろ ノ、 I >< ノ -rr 力; 力った のて こさ レ ませう 。何 故ケリ まで ひた 際し 

— 七., 程の 恐し い 終驗を 隠して ほった ので ございませう。 , 

しかも そ Q 際 私の 記 i~lif ,てが、 攀 0^、,- やぶ ヒゃき 

丄、; いま じじつ ジ— ti, グ i カ^の 刁丄仪 を久リ し, ん で」 

:^でごぉ: すピ If i、 ちとぎ i な L 

しません 力 き』 小 幸に も 肉 S に 晩 i. の あ, ゾ こざいました。 (し以 

こで 私!! は、,! 画 iff gs し!" f ^ 

ざい: す。 が、 ; f S ほ nl, て、 い 「诞 iii が," £g 

はノ T し r それと 共に 私き iife なかった き I。 ど. し 

已心も 火の t 揚げなかった と S せませ \ 默 おに f ,て や は あし- 2 2 



9 に 殺した ので はなから うかと Ik ふ、 疑惑 を 認めす に は 居られませんでした。 わ い 3kr 略 まに なつ 

3 .1:: しろし ぜんすう キを 

た の は 、 寧 自然 の 數と でも 申す ベ きものだった ので ご ざ います。 

, > y 、わた べし ば あ ひつ ま ころ つ, ノー, かなら ナく わじ ?め r し 

し 力し まだ 私に は 「あの 場合 妻 を 殺さなかった にしても、 妻 は 必 火 亊の爲 に燒け 死んだ のに 

相違ない。 さう すれば 何も 妻 を 殺した のが、 特に 自分の! §惡 だと は 云 はれない だ。」 と r ぶふ Y§ 

1 ^^10^ . . 、 Z ,-o とこ ス., あるひ き せつ ま なつ I-.- ん しょ ふ か は がく. A う よじ ゐ 

の,^ 3^ 力、 こさ V ました。 所が 或 日 もう 季節が 眞 夏から 殘 暑へ 振り 變 つて、 學;^ が 5s まって 居た 

-, 、、ヽ - -,, 、わた K し ふ,^" ゐん ぃナ; ど-つけう ゐん しつ テャ; ブル かこ つんち や つ わ、 

頃て ごさ レま すか ^ども 敎 員が 一 同敎: S 至の い Z 十 子 を 園んで、 番茶 を 飲みながら、 他!^ もない 雜 

談を 交して 居ります と、 どう 云 ふ 時の 拍子だった か、 ぎ臧 がお あの ィー の;?^ fil に& ちた 

f , 、 - つ わた::、 し とき ひと やち つぐ ど-つれ-つ はなし ,.. なパ & 

力 ごさ レ ます ^は その 時 も 獨り门 を噤ん だぎ りで、 同僚の 話 を 聞く ともなく 閱き 流して g り ま 

したが, 本願 寺の 別院の 屋根が 落ちた 話、 fef の^ まれた if ^儲 Fbl^^ の が is- た i に 

I とそれ から それへ 話が はすみ ましたが、 やがて 一人の 戲 m がキ収 します に は、 とかのき 

)r ,j ^ や, ようばう いったん はり したじき み うご V?、 で き う、 ,,一 

と 云 ふ 酒屋の. M 房 は、 一旦 梁の 下敷に なって、 身動き も碰 に出來 なかった のが、 その 內に 九^が 

けし? はり さい は ひや を ち ひろ , 

1 始 つて 梁 も 幸燒 け: れ たもの だから、 やっと 命 だけ は 拾った と、 かう.. ぶふので ございます。 

私 は それ を § いた 時に、 使に 目の前が 暗くな つて、 その 儘齊く は 吸 さへ もお る やうた-、 仏 |i が 



400 



ん, ' : 3 またよ っパぃ あ ひだ しっしん ど-つやう J, がた r,- -、 . 

致しました 又實際 その 間 は、 失心した も 同様な 姿だった ので ございませう。 雜:, ,|§に_ まって 

ど-つれう きふ わたくし ほいろ か, H ^ す > , 

ますと 同僚 は. J わに 私の 額 色が 變 つて、 椅子 ごと 倒. れさ うにな つたのに^ きながら、 ijr^ 、しの ま 

はりへ 集って、 水 を 飲ませる やら 藥を くれる やら、 大騷ぎ を t 致して, ぎり, ました。 が、 わ &、. ^その 1 

^.0 - - w-^ ぶ、 、よ,、 ゆつ ほど あたま なか "-, そ ぎ ゎノ、 -, ハ たまり -っ 

に禮を 一て.^ 餘% もない 程 頭の 中 は あの 恐ろしい 疑惑の 塊で,! ばいに なって ゐ たので ございま 

ォナ くし つま 二ろ だめ-一ろ t クミ ノ 

す ^はや はり 姿 を 殺す 爲に 殺した のではなかった らう か。 たと ひ I- に 響され てゐて も、 gY.^ 

が 助かる の を 恐れて、 打ち殺した のではなかった らう か。 もし あの lii さないで, ^ いたなら おの 

りズご や にょうどう はなし わつ,、 ^ つま 、 う,, 1 キ つし ^ J 

備後屋 の 女房の 話の やうに、 私の 妻 もどん な 機 九死に T お; お I たか も;; 邓れ ない。 それ. 

なさけな か i ら いちげき - 一ろ おも , ^ぶ., ' - J 

情無く 瓦の 一撃で 殺して しまった, I さう 思った 時の 私の 苦し さは、 ひとへ に "おおのぎ^; あ を 

W ぐ 外 は ございません。 私 は その 苦しみの 中で、 せめて は N きとの ■ll を itn」 でも、 歡 おい 一つ 射 

きょ ナっ しん 

を 潔くし ようと 決心した ので ございます。 

ところ いよ/ \ はこ - ゼノ .V * 、 3 : し,, - 

所 力 愈 その 運び をつ ける と 云 ふ 段になります と、 折角の 私の:^ 心 は 嫩 にも * お^り!. r ノ まし 

I ^ . A;; ベく ^つ-. にんしき あ い ま ぎ は とつぜん よだん t V 一 

た ろ 近々 結婚式 を擧げ ようと 云 ふ 間際にな つて、 突然^ 談 にしたい と すので ございます 

お ほち しん とき わたくし つま せつがい てんまつ もと つ:、.'., n - '-' , 、ン- 

から、 あの 大地. 震の 時に 私が ¥V4 权 害した 顚末は 元より、 これまでの.めの^^しぃ^5.=1も..ー#护ち 



せう しん わ,, -ケ、 し い „.Ii あ ひ たいた い つか - 

I 明けなければ なりますまい C それが 小心な 私に は、 いざと 云 ふ 場合に 立ち至る と、 如.!^ に 自らき 

娃 しても、 斷行 する 勇氣が 出なかった ので ございます e 私 は 何度と なく 腑甲斐ない 私自身 を 食め 

い たづら せ なに ひと しか しょち と ち てんしょ また あ V. ふん うつ が は 

ました。 が、 徒に 責める ばかりで、 何 一 つ 然るべき 處 も 取らない.^ に、 殘: は 又 朝 表に 移り 變 

- いは §る くわしよ く てん あ ひ もくぜん せま 

つて、 とうとう;;^ 謂 華燭の典 を 舉げる =1 も、 目前に 迫った では ございま せんか。 

わたくし 二ろ だ れ めった くち き ^ど しづ き にんげん を 

私 はもう その-: に は、 何 誰と も 滅多に 口 を 利かない 程、 沈み 切った 人 問に なって 居りました。 

けっこん えんき すノ つい どうれ う ひとり ふだり 。しゃ み もら 、 

結婚 を 延期し たらと 注意した 同僚 も、 一 人 や 二人で は ございません。 醫 者に 見て 貸ったら とヨふ 

4t- うこく さんど かう ちゃう う たう じ わたくし い しんせつ ことば て へ ぐ わ.,' けん 

忠吿 も、 三度まで 校長から 受けました。 が、 當 時の 私に はさう 云 ふ 親切な 言葉の \ij 前、 外見 だけ 

で も 健康 を 顧慮し よ う とま ふ 氣カ さへ 旣 になかった ので ございます。 と; 1: 時に 又 その 連屮 の 心. W 

り よう び やうき こうじつ けっこん えんき いま い く v 一一 そくし ゆだん "いも 

を 利 川して、 病:!^ を ロ實に 結婚 を 延期す るの も、 今と たって は 意 地の ない 姑, 乎 段と しか E 心 は 

いっぽう け しゅじん わたくし き うつ げんいん どくしん せいく わつ えいき やう 

れ ませんで した。 しかも 一方で は N 家の 主人な どが、 私の 氣 |¥ の 原因 を獨身 生活の 影饗 だとで も 

かんちが いちにち はや けっこん しきりし ゆち やう ひ A., が 

感違ひ をした ので ございませう。 一 日 も 早く 結婚し ろと 频に 主張し ますので、 口 こそ 遠 ひます が 

に ねんぜん ぉほぢ しん じふぐ わつ いよく わたくし け ほんてい けっこんしき あ こと れべ ヒっ 

疑 二 年 前に あの 大地震の あった ト月、 愈 私 は N 家の 本邸で 結婚式 を 舉げる になり ました。 連:::: 

しんら う せう すゐ き わたくし はなむこ もんぷく ちゃくよう 々- -んび やうぶ た ひろ 

の 心勞に 惟悴し 切った 私が、 花婿ら しい 紋服 を 着 川して、 いかめしく 金屏風 を 立てめ ぐらした 廣 



402 



問へ 簿 された 時、 どれ 程 ^ はおお itg ひく 11 つたで ございませう。 わ, まるで t^f J£ 

y , * だいざい あく はたら あく. - ^ • Z { 

んで 大 ^ 惡を 働かう として ゐる 惡漢の やうな 氣が しました。 いや、 やうな I- では ございませ 

ん。 實際 私 は 殺人の i をぬ り i して、 の t54fe と を Ty^ まう と, てゐ あ!^ が 

? ございます C 私 纏が 熱くな つて, ました。 &,く なって i りました。 おるなら こ 

の f - 私が 妻 を殺 した 一 條を逐 一 ^111ぃてしまひたぃ。 11 そんな!^ がまる で P やう こ、 I- 

. わたべ し あたま なか, A t じ ( 

こくき 頭の 中 I けめ ぐり f ました。 すると その わ t^E して ゐ あの,、 l^f 、ノ 

にお 羽 i の 足袋が ました。 g いて g か あの I に i あとがきで ゐる Ms が f まし 

た。 それから I の 意 や はこせ この. 顯 ぶ § とまぎ て、 紺 SQglrfe さう にぎて ゐ 

る 高 倉が i に はいった i 、まほ r きつ 意 1、 ききな 謹に 霞され て、 f す獎 

息へ つくと、 「私 は 人殺しです。 slisr^ です」 と、 祭な P ずげ てし まひました。 ……… 



た *>^ん.-..,? げ., -p, でう * 丄こ ザ-. H 

,r 村玄道 はかう 語り 終る と、 暫く ぢ つと 私の 翁 を^つ めて ゐ たが、 やがてお もとこ I 一ず なぎ I; お 



し 
た 

相 ま 

手て 

の 
士 匕 ゆ 
ォロ ぴ 

の 

本!! 

な 

い 

の 

さ 

へ 

問と 
ひ 

し 

見み 
る 

Z ゴみ 



3 を 浮べながら、 



, い つ) こと ま を あ V-J-^- と?^ 乂> !、 

「その::^ 後の 事 は 申し上げ るまで も ございますまい。 が、 唯一 つ 御 斗 に^れて ききたい のよ、 が 3 

口 I り^ は 狂人と ふ 名前 を 負 はされ て、 憐 むべ き 餘生を 送らなければ なら なくなった 5^ で ござ 

は 力 わたくし キゃ うじん こと つて-, - せんせ. - つ 一 よ ん.; -r? お ま 、,一 

います。 果して 私が 狂人 かどう か、 その やうな 事 は 一 切 先生の 御 1 斷に御 任 かせ ギ§ しませう。 し 

今やう じん わたくし ザ やう じん い., こ フ 1- く 一, - ぐ于ん M> ち そ 一 > ご 

力した とひ 狂人で ございましても、 私 を 狂. <に 致した もの は、 ゃはり我々人出の、.:3びハ^i^-にl:んで 

ゐ る怪牧 のせ ゐ では ございますまい か。 その 怪鞭 が ります 限り、 ケ. が を F ^どき つて ゐ 

7,- 乂グ う、 、ゝ あす いわた くし どうやう き やう じん つ -1 、 し 

る 1^ 中で さ へ, 明 nn は乂私 と 同様な 狂人に ならない もので も ございません。 —— とま あ g は 

考へ て 居る ので ございま すが、 如何な もので ございませう。」 

„ / 」^11*:v^;i^;*^VL 1,、*L, "^ゝ やく あ ひだ はる さむ ほ C ほ うご わたくし や-つりう くわく? うし, つ 

ラン フ は:^ 不變 ^とこの 無氣 味な 客との 問に、 赛 寒い 焰を 動かして ゐた。 私 は 楊柳 観音 をき 

, よく もくねん すわ ほか 

义も なく、 默 然と 坐って ゐ るより 外 はな 

かった。 

疑 (大: 止 八 年 六月) 



404 



5 

o 

.so 



^ う どうじ まとん ひ と..! T メ 

々! なと 同時に、 ぎ 人ぎ f なくなった! ぎ ig は、 一 3^/ あ.、、、, -こ 

, I つべ ろ" み h らおた .: つら":; フ : 一- つ カ5^^んな い ,s^』> 

もうと この 机 を 見ても、 荒 R は iss でぎ つてし まで)。 

っノゑ むか ヒニ たま: : y J/ 

そ u^r^^ssff/ に は ®£iiis きて ゐ たらき 

そ 1 力 rllf し i いだ g うに は、 II に f こんだ i のき、 うす g あ r お 

が 見えた。 さう して そのお の gg び は、 ぢ 4i;、 J、r リ"" 

は y 一」、 ^ 一、 3 し^ と 4 户ブ 备桥カ . ^段と なく 古ぼけた 背 を 

1 へて まる で 學問 の 守備 でもして ゐ や うな f g へて や こ。 

ひ、 それだけの; 2 裏て ひるのに もま w、 疆 i あは ひっそりして ゐ た。 か 

a^^i If るゃぅき| し ic 續 

?音 ベン を 紙に ませき、 それから i に P する ir それらの こ i 



上路 



407 



くうき は どう てんじゃう つた うち ま、 と ちう き こ、 ろ 

されて、 氣の 波動が まだ 天井まで 傅 はらな い^に、 その 儘 途中で 消えて しま ふやうな 心 もちが 

した。 - 

しゅんすけ い としょくわん ど-き は せき こし おろ こま くわつ じ うへ たんねん め i 

俊 助 はかう 云 ふ 岡 書 館 の 窓際 の 席に 腰 を 下して、 さっきから 細かい 活字 の 上 に 丹念 な^を m じ 

-1=- れ いろ ぁャ- ぐろ たいかく せいねん かれ ぶんく わ がくせい い こと 

てゐ た。 彼 は 色の 淺黑 い、 體格 のがつ しりした 靑 年だった。 が、 彼が 文科の 學生 だと: ぶふ は 

せ" \ ふく えり じ と あ 今- ら 

制服の 襟に ある L の{ 子で、 問 ふまで もた く 明かだった。 

かれ あたま うへ たか ど まど そと しげ しひ は わう か そら いろ す そら 

彼の 頭の 上に は 高い 窓が あって、 その 窓の 外に は 茂った 椎の 葉が、 僅に i<H の 色 を 透かせた。 〈や; 

た くも かげ さへ ぎ はるさき うら ひ ひかり めった こ やた 

は 絶えす 雲の^に 遮られて、 春先の 魔ら かな 日の 光 も、 滅多に さして は來 なかった。 さしても 亦 

たいてい かぜ そよ しひ は もうろう かげ しょもつ うへ おと おと うち き 

大抵 は、 風に 戰 いで ゐる椎 の 葉が、 膝-腕た る 影 を 書物の 上へ 落す か 落さない 内に 「m えてし まった。 

しょもつ うへ いろえんぴつ おか せん なん ぼん ぎ やう した ひ とき うつ 

その 書物の 上に は、 色 鈴 筆の 赤い 線が、 何 本 も 行の 下に 引いて あった。 さう して それが 時の 移る 

とも し だ い ぺェ ジ ぺ ェ ジ う つ い 

と共に、 次第に R から 頁へ 移って 15 つた。 …… . 

じふに じ はん いちじ いちじ に じっぷん しょこ うへ と けい はり やす たしか う I ご 」 

i 二 時半、 一時、 一時 二十 分 —— 書^の 上の 時計の 針 は、 休みな く 確に 動いて 行った」 すると 

ヘリれ これに じ おも じ ぶん としょくわん と ぐち 4^ か カク ログ はこ なら ところ こ くら はへ; ま くろ も めん 

彼是 二 時 かと も 思 ふ 時分、 觀書 館の 犀 口に 近い、 目 錄の函 の 並んで ゐる 所へ、 小 倉の 挎に黑 木綿 

もんつき せ ひく か,、 ばろ ひとり ふ 1- やう ふところで そと 

の 紋附を ひっかけた、 会の 低い^ 精が 一人、 無精ら しく 懷手 をしながら、 ふらりと 外から はいつ 



408 



て來た c これ は wsr だらしなく はみ r た ノオト. ブノノ あぎ 、 i 

び rti、 、 おき あつ を - を.: こ ォ - フック グー署 ノ V によると、 やはり 文; f の 

學 生で、 大井篤夫と^^ふがらしかった。 ュ^^ 



つ * は 其處に 佇んだ ^ 、^ひま あたり,, リ、 る 5. ヽ 尸.^? - こ.. ふつし よ,、 : 

f I ,f P ま ズり レ ^^を^め つ チたゃ;っ こ ,^ー<:1 ノ C -)><、、、、、 つ :- ナか 

P も" お ほ は.^ うすび ひ; ti",^ Z { 、,.^ぅ,<%-^;^してゐんカ やがて 向う の 

3 - フニ- 乂っ. Jl rN - r ' ちま あ v.- ぐろ ほ、 / う -,' „ TVT- cfv It 1 - - 

の?^を4^返ったが、 忽ち;^||;、ぶ:衝ハこ^4,ピ1?、、/ っ「0 ,^ • はたん あいさつ .^^: : 

ク<卞、ド..し,,;.,,,,天を^?/て「ゃぁ」と簡單な挨按をした。 と、 :I^JJ- もが g 

,パ hsrn: いと, この 鍵に きながら 、ぎ 養った、 謹な, で」 - 

「u 郁 奪 g,l 會 つたら、 ff&l 。ぎ 謹へ I つたら、 

でに i の 木』 の 「一 へ來て くれと 「_! ふんだ が。」 • 

二 

「さう か。 そり や 難!^ う。 I 

俊 助 はかう ぎながら、 ifrt fi0tif 



あ を あご な t は とけい み 

9 靑ぃ顋 を 撫で 廻しながら、 ぢ ろり とその 時計 を 見て、 



4 もの も をん な も 

「すばらしい 物 を 持って ゐ るな。 おまけに 女持ちら し いぢ やない か。」 

は- かたみ 

「これ か。 こり や 母の 形見 だ。」 

しゅんすけ む >,.: つ さ と けい ハへ おもむろ たくま v らだ おこ 

俊 助 はちよ いと 顔をしかめながら、 無造作に 時計 を ポッケ ッ 卜へ 返す と、 徐に、 逞しい を 起し 

つく ゑ うへ いろえ ス びつ かた A 二 あ ひだ つ ほゐ し :2 ん. け よ 

て、 机の 上に ちらかって ゐた 色鉛筆 や ナイフ を片 づけ 出した。 その 問に 大井は 俊 助の 讀 みかけた 

書牧を 取上げて、 がい 加減に 所々 問け て 見ながら、 

「ふん Marius the Epicm-eall か。」 と、 冷笑す る やうな 藤 を 出した が、 やがて 生 欠 仲 を 一 っ嚼み 

殺す と、 

し: ん すけ きん ャ やう 

「俊 助ズ ィ • エピキュリアン の 近況 はどう だい。」 

「いや、 一向 振 はなく つて 困って ゐ る。」 • 

けんそん をん な も キ-ん ど けい さ ほ,、 よ: な.,、.' . かる 

一 さう 謙遞 するな よ。 女持ちの 金時計 を ぶら下げて ゐる だけで も、 僕より 遙 に;^ つて ゐ るから 

ズ" な。」 

上 ぉほゐ T: よもつ はふ だ ま.,,: りゃうて ふところ つつ ; ノん」 、- 山す はじ う V し *^ し. uf 

大井は 書物 を 抛り 出して、 又 兩乎を 懐へ 突 こみながら、 貧乏 り をし 始めた が、 その. s: に 俊 



ぐ わいた う て とほ だ きふ .J つも だ てつ レ 

カ外赛 へ ザ を 通し 出す と、 急に 思 ひ 出した やうな 調子で、 

「 、ヽ、 1.〕 み ■ しろ どうじん おんがく くわい きっぷう i 

「ぁレ hi; は 『城』 同人の 音 樂會の 切符 を寶 りつ けられた か。」 と、 S は 〈g になって 問 ひかけ た。 

『きと r の は、! :!^ が 挑の 震が 「蒙, II の iti を讓 して、 髮稱し 1 めた 1:^ 幌 

誌の 名前で ある。 その連中の^^衝する|^1|^|ぉべ||,の!§軾で||かれると^ ふ;!は、 1^ お?? 

け IV .V は は /、 わ う 二,、 ) 力ぶ ナ 、 ; 

の揭示 場に 貼って ある 廣吿 で、 俊助^p翁ねiね^^ょfしてゐた。 

し あは う 

「いや 51 合せと まだ 寶り つけられない c」 

しゅ/すけ しゃ うぢき こた しょもつ ぐ わご- 3 つき >こ 4.?- ノ 

俊 助 は 正直に かう 答へ ながら、 書物 を 外 の 臉の下 ノ拂」 むと、 ^1- のつ いた l、E^ かぶって、 

お ほゐ い つ やき はな お まゐ らる , , ノフ , , 

大 井と 一し よに 席 を 離れた。 と、 大 井も步 きながら、 使き さう に^ をき;^ せて、 

きみ う パ V 

I さう か 僕 はもう 君なん ぞ はとうに 資り つけられ たと つて ゐた。 ぢゃ この i^i おがい f^lz; つて 

f ^く もちろん しろ どうじん :ノニ * う 、- - 

やってくれ。 僕 は. fe, 『城』 同人 ぢ やな いんだが、 あすこの ー膨 澉に賫 りつけ!^ を, life されて、 I^.H 

お ほ こんき や,、 . 

大いに 困却して ゐ るんだ。」 

ふ い うち く しゅんすけ ,^ > ニー、 

不意 打 を 食った 俊 助 は、 買 ふと か 買 はない とか 答へ る 前に、 苦 i< しすに は ゐられ なかった e "、 

1^ ほゐ くろ も めん もんつき たもと しろ どうじ,;, マァク ンゎ 

.Ki.K は黑木 新の 紋 附の袂 から、 『城』 同人の 印の ある、 洒落れ た を 7 「おぎす と、 それ を まるで 



ふだ も み 

1 札の やうに 持って 見せて、 

4 いっとう さん ,:>5ん に とう に ゑん いっとう に と う 

「一等が 三圓 で、 二等が ニ圓 だ。 おい、 どっちに する? 一等 か。 二等 か。」 

「どっち も眞平 だ。」 

きんど けい てまへ だい いちまい か ぎ む 

「いかん。 いかん C 金時計の 乎 前に 對 しても、 一枚 だけ は S3: ふ 義務が ある。」 

ふたり おし もんだ ふ くり かへ えつらん にん う つく ゑ あ ひだ とほ ふ 

二人 はこん な柙 問答 を 繰返しながら、 閲覽 人で 埋まって ゐる 机の 問 を 通りぬ けて、 とうとう 吹 

さら げんく わんで ちゃ うど そ 二 まつ 、トルコ f う や だい V- く 、 ひと リ 

き 爆し の 玄關へ 出た。 すると 丁度 其處 へ、 眞 赤な 土 耳 其帽を かぶった、 瘦せ ぎすな 大學 生が : 人 

今ん ボタン せいふく みじか ぐ わいた う ひ いき ほ そと き であ ひがしら ヌ: ほフ 1 , ^ほ 

金釦の 制服に 短い 外さ 4 を 引っかけて、 勢 ひよく 外から はいって 來た。 それが 出合 頭に 大井 と^を 

あは をん な やさ -ーゑ .*^-たふ し ぜん くら ゐ いん. ビん 

合せる と、 女の やうな 優しい 聲で、 しかも 亦 不自然な 位盤穀 に, 

こんにち ぉほゐ こ ゑ 

「今日は。 大 井さん。」 と、 聲を かけた。 

• 三 

「や あ、 失敬。」 

ぉほゐ げ た ば こ *: へ たちどま. あ ひか は-,:. fv つ ぶと こ ゑ だ あ ひだ しゅん たけ に 

大井 は!^ 駄 箱の 前に 立 止る と、 相不變 11 太い を 出した。 が、 その 問 も 俊 助に 逃げられ まいと 




412 



ひ f フ : 、 そり あと あ を 45 わう、 い 卜, -コ ぞう 

田あった- クカ 剃 痕の靑 い 顋で橫 柄に 土 环其帽 をし やく つ て せて-、 

ns まだ この 先生 を f なかった かな。 i^^s^. > 一の ir ト 

ん せう い i ん やく だ- s:u - 1- ジ 

レ エル 詩抄 まふ 羅を 出した 人 だ。 —こっち は 譲廳 ぎと、 

してし まった。 

そこで 俊 助も已 むを& す、 き な を, たがら * IS きいで i ました。 が、 顏は, し g 

ぬの れ ない 態度と は つて 鬆 つた、 ,| にも t おない で、 . 

10^^^ か. ぶ,^ お ほゐ な こ う/: ま i 

一 ^噂は5 大 井さん から、 H かと * はって f ました。 やはり i 續 をなさい ます さう で C そ 

の 2 に 面白い 物が 出來 ましたら、 『^』 の へ すから、 どう かぜぎ でもぎ^ ^なく c」 

しにんす i またび せう ま、 、、叉え. 7 」 

俊 助 は 又 微笑し、 iT い や」 とか 「い い え」 とか な yf する より g はなかった。 する 

と 今まで 皮肉な 眼で 一一 人 を S ベ 一」 ゐ た;^ が、 Ef^^^^ft 

「今、 大いに 『城』 同人へ ぎ Si を i んで てゐる i がんだ ピ と- が ぼが ましい き. r た。 

「あ \ さう。」 

; ばっさ. は きみ わる ほど 一め > ナぅ う b - 

■ 纖 味の 惡ぃ程 きの ある I で、 ちょいと gfiii: と を ,たが、 すぐ その^, 



3 へ 返して、 

4 つとう きっぷ いちまい さし あ たま しつれい ノ . きつぶ- に —し、 ん に;; - 

「ぢゃ 一 等の 切符 を 一 妆差 上げて くれ 給へ。 11 失禮 です けれども 切符の 御 、も 配 はいりません 

から、 聽 きにいら しって 下さいません か。」 

レ A んすナ ん- うづく パーよ なんど :-ら じ だい ふぢ さは あいさう わら 

、俊 助ば 言 惑 さうな 顔 をして、 佝度も 平に 辭 退しょう とした。 が、 藤澤 はや はり 愛想よ く 笑 ひな 

がら 、「御 でも どうか」 を 繰返して、 容易に 出した 切符 を 引 込めなかった。 のみなら す、 その 笑 

うしろ まんいち ことわ ば あ ひ かん ふく わい ろ, こつ す : - み I. - ,-2 

の 後から は、 萬 一 斷られ た 場合に は 感じさうな 不快 さへ 露, に 透かせて! せた。 

「ぢゃ 頂戴して 置きます。」 

俊 助 はとうとう 我を折って、 ^々その 切符 を 受取りながら、 素つ i 湫 ない 1^ で? きを 云った。 

たう や しみ づ しゃう いち ゾ 口 はナ ポー ひ お ほゐ 

「どうぞ。 當夜は 淸水吕 一さん の 獨唱も ある:^:: になって ゐ ますから、 是非 大井 さんと でもい らし 

つて 下さい。 11 君は淸 水さん を 知って ゐ たかしら。」 

ふぢ さよ まんどく きゃしゃ りゃうて も あは やさ ぉほゐ と な ビ 

藤 戴 は それでも 滿足 さう に 華奢な 兩手を 揉み合せ て、 優しく か- ン大 井へ 問 ひかけ ると 何故か 

6 う かま ふ V- り もんだ ふ き お ほゐ じょうだん い はな 

C さっきから 妙な 鍋 をして、 二人の n: 答 を 問いて ゐた大 井 は、 さも 冗談 ぢ やない と 云 ふやう に 

路 、 

t お ほ いき ぬ 4- たもと ふと-一ろ で , 

_ から 大きく 息 を拔 いて、 又 元の 懐 乎に 返りながら 



もちろんし 3 ': „ 

「勿論 知らん。 $i と, %rt にや 10 だ。」 

「さう、 ! 君 は^ 凝 ひだった つけ。 ゲ H テ も!^ が g ひだつ C こず . . フ, i さ 

なのか も;! れ ない。」 天 4v は iju さう 

土 耳 其帽は 俊坊の とめる おお ミ ミ こわだか わら み 

? , 一、 る 丄ぉカ わさと らしく 聲 高に k つて せ,/」。 が、 娘 け まな ごむ J 

いた 儘、 まるで その ntc せ 人 よ、., f 力 俊お は 「を^ 

ク レスブこ&カ問ぇな い ゃぅな_^を レ匸 こ、、、、 、、: じだい /、 

> さ」 一」 ^ 力ぶ をして ゐんカ やがて あの 時代の ついた. が 



f う ひさ" 

帽の 庇へ 手 を かける と、 ーピ 



ほ とうぶ/? 

) 顏を 等分に 眺めながら、 



「ぢゃ 僕 は 失敬しょう。 いづ ,0:^ 。一二、 ひへ つ- , あ、 ま - 

一力 レっォ フス-」 と 取って っチヒ ,う, M.k 、"た: ノ:、 ,n くいし だん お . 

こ。 マ Z やうな お,^ をして 匆々 石段 を^り て •/ つ 



四 



t わ iif > Ig へ I つき If iif 

の を p 出した。 i^itt 

tin 瑪 あ 唐し へ.; HI 



ら、 



上路 



415 



はふ ぶん,、 わ だいがく ふる あ, A れんぐ わ だても C は-つ、、 ) , : ほ, て,: つ、 i る だ I • :c 

法文 科 大學の 古い 赤 嫁 瓦の 建物の 方へ ゆっくりした 歩 謂で 步き 屮- した C 

とつぜん あたま うへ はるら いな あ ふむ み そら いつ ま あ. -ス 

と、 突然 頭の 丄で、 ごろごろと 春の 雷が 鳴った。 仰向いて 見る と、 i 仝は柯 時の 問 にか 灰闩 I を 

か いろ そ こ しめ みなみかぜ は. ひろ じゃり みち な もた V か ふ』 PC V..- 

播き まぜた やうな 色に なって、 其處 から 漏つ ぼい 南風が、 幅の 廣ぃ 砂利道へ 生暖く 吹き 下して 來 

ゝ. S く-す ナ にめ つぶや いっかう いそ け しき しょ もリ わ した はぶ- や、 i.y 

た.。 佼助ぼ 「雨 かな」 と 眩きながら、 それでも 一向 急ぐ; M 色 はなく、 寄 物 を腋の 下に 挾んだ 儘、 悠 

ちゃう あゆ っビ い 

長な きみ を 緩け て; つた。 

が、 さう 1^ 一く か 眩かない 內に、 もう 一度 かすかに .1 めが 鳴って、 ぼつり と 冷たい 滴が 頰に 觸れ た" 

r ま. r ひと 一一/ ヽど ふれ き は ,: がくば う ひさし ,A す いと ほそ ひか リ おと 

續 いて 又 一 つ、 今度 は觸 るまで もな く、 際どく^ 帽の庇 を 掠めて、 絲 よりも 細い 光 を 落した" と 

おも ,r. ひ/ \ あ,, ;. れんぐ わ いろ さむ せいもん まへ っビ いて ふ なみき した く- * 

忍 ふと 追々 に赤谏 瓦の 色が-紫く なって、 正門の 前から 緩いて ゐる 銀^の 並木の 下まで 來 ると も 

たか な-めき こす ゑ いちめん けぶ み ほ.) に , fl め,.. ふ: ' : D • 

う 高い 並木の 術が 一 面に 煙って:^ える 程、 しとしとと 雨が 降り El した。 

あめ なか ある や しゅんすけ こ X ろ し-つ かれ ふぢ さは こみ S おも だ ぉほゐ か * み お f 

その 雨の 中 を 歩いて, n く 俊 助の 心 は 沈んで ゐた" 彼 は 藤 澤の聲 を 思 ひ 出した。 犬 井 の^も ひ 

だ また,^;れら だいへ う せ けん おも だ かれ め えい いつばん せ けん じつ 

出した。 それから 又 彼等が 代表す る, 問なる もの も 思 ひ 出した。 彼の 服に 映 じた 一 般靠 11 は 赏 

かろ しゅうし とくしょく あるひ じっかう さきだ しん .\ 一 y しょく _ -3 

行に 終始す るの が 特色だった。 或は 實 行す るのに 先立って、 信じて か、 るの が 特色た つた が 

ハれ も V つま せい-^ く こんにち ,つ けうい く わ • つら む- A し i/L せつ しん I* 

彼 は 持って 生れた 性格と 今日まで 受けた 敎育 とに 鎖 はされ て、 とうの 昔に 大 5?. な, 1^ すると 云- - 



き の, < 

つかう ゆうき 



"I つて ゐた。 ましてき する 雞は、 g ぎず f :ん ご 

r ぐるし、 4 ヤ? 巧,.?, リ バマ ""力 つんき て 彼 は I に 伍し 

— Ifr4^^^ 切つ 5 び こむ 事が S なかった。 撒ず して 證 

リ i に は 事が 出來 なかった。 だか & り i I- : く 

は, • よぎ ■ , ^ ^ W. £5! レ: TiIH5 力、, り維 さし,, こ t^m お」 て 

未 ヾく余 ま、 i; : - :o ゆれ ぉほゐ t< -, .^/n^^^.. 

^na 彼が 大 井と 交, て ゐな がら、 Ltif . ェピキ ユリアて, 

と ^"れ_ るの はこの f つた。 ましてお ずき ハ, 一, ど は :.:• フンな 

彼の 考が 此處 まで, ^"1^ して:!..^」 お」、 れ liiT 力 に, にい、 あたま もた え: . 

> if L 7 取. r„- がん ij く; に V, 一 まお、 チ :o ひゾド "れ め まへ ど、 

s^^^i.^. げんくわん >リ "おつ 丫, メ/ く 一 ヌを捧 りん 瘙け ると 彼の 服の 前に は、, が 

尸, ^敎 1 至グ- 古色 務然 たる 玄關 が、 霧の ^ ^ る f の 5f こ、 s^fk . 

-re^ii うへ f 漆 i おのお けた 壁 を!! らして ゐた。 さう 

1 驚 ■if I; !!? も よらな ききった Tii。 

れ 角 もリは f i をず ものの f 、 ,爵 いまきいで ゐた。 鍵 r つ 

れ t つた 孝の 下に は、 潤&の ある |^きな§ が、 ぢ つと S3、 P はョ み f し 

れ, い!」 一 f t むし 書ろ U ちつまん^ 眺めて ゐる やうに f た。 そ 

y 白レ 云ヌょりも寧ろ蒼白ぃ靖の^^に、 ふさょしぃ^^445^ぉぞっこ。訏5|,: くろ きぬ 

が/ は ~ゥ 、こ 1 ル. - 1 ぬ と :: 二,, 'し レニ S 臉 たつん 着物 は ,;. ——!{; 〔- ぃ賴の 

6 地へ ガ,^ めいた 花 を 竦に 輸ひ 取った 扉 % けが、 な だら、 よき.. つぬ、、 む f ざ . 

も よ., 1 かこ、 でに . うつ . ^ズら 力な.^ 力 ら^へ かけて 無造作に 乖-れ てゐる 

7- 外に 何も 俊 助の 眼に は 映 つらな かつ,. こ C ォ ^7 



を/な 7, ゆん すけ あたま もた ぜんこ とほ そら かれ うへ くろ., が め-うつ 

女 は 俊 助が 頭 を 擦げ たのと 前後して、 遠い 空から 彼の 上へ うっとり とその 黑隨 勝ちな 目 を 移し 

かれ め であ とき をん な し せん しばら あ ひだ と ^--w た I 

た G それが 彼の 眼と 出合った 時、 女の 視線 は 暫くの ir 止まる とも 動く ともつ かす 漂って ゐた。 

かれ せ 一な をメな なが まつげ うしろ かれ けいけん てう ゑつ えだい し いっしゅ かん ヒ やう え-つえ-, 

彼 は その 刹那、 女の 長い 隨 毛の 後に、 彼の 經驗を 超越した、 得體の 知れない 一 稀の 感情が 搖. し 

こ-ろ おも ひま をん な まため あ れか かう だう や ね ふ 

てゐる やうな 心 もちが した。 が、 さう 思 ふ 暇 もな く、 女 は 又 眼 を舉げ て、 向う の fi 堂の 屋根に 降 

あめ た. -し なが だ, し 5S んすけ ぐ わいた う かた そぴ をん な そんざい がんち う お ひと 

る!; の 脚 を 眺め 出した。 俊 助 は 外套の 肩を錄 やかせて、 まるで 女の 存在 を 眼 巾に 5£ 一かない 人の や 

おい ぜん 生へ とほ す さんど あたま うへ くも ふる はつらい ひ きみ- 

うに、 冷然と その 前 を 通り過ぎた。 三度 頭の 上の 雲 を 震 はせ た 初 雷の 響 を;: きにしながら。 

あめ ム しゅんす は はち き にかいき み つ むら r- 才ヒ ィ; つやわん まへ お *: ど そ V 

雨に 儒れ た 俊 助が 『鉢の 木』 の 二階へ 來て 見る と、 野お はもう 珈琲 茶碗 を 前に S いて、 窓の 外の 

わつ らい ,にいく つ し せん おと しゅんす ぐ かいだう かく "にう きふ じ て わた ノき ほひ つ 

往來へ 退屈 さうな 視線 を 落して ゐた。 俊 助 は 外套と 角帽と を 給仕の 手に 渡す が 早い か、 勢よ く 野 

わに- テ ヱ プル まへ い t い * げき い す こし ; C ろ 

村の 卓子の 前へ 行って、 「待たせた か」 と 云 ひながら、 どっかり 曲 木の 椅子へ 腰 を 下した。 

まこと , 

「うん、 待たない 事 もない。」 

ほ. V ん どんち ゆう かん おこ ほど キる/ f/- ひ 中: ん C むら ふと § び さき おほし ま えり 

殆ど 鈍重な 感じ を 起させる 程、 丸々 と肥滿 した 野 村 は、 その 太い 指の 先で ちょいと 大 島の 襟 を 



仲び 
を 

—ひ 
つ 

す 

る 
と 

そ 

の 

m 
乂ぇ 



/tie 

ろ 
ん 
で 
ゐ 
た 
黑-; 
犬ぬ 
を 



卓: 



00 

4 



なほ ま そ ^ ... 

直しながら、 細い 鐵 i の しに のんびりと ,かた。 

「 マム , - 1 13 セ-ィ こうちゃ 

一. t にす る? 瑜^ か。 紅茶 か。」 

なん 、 , - 

rit 一、、, 、 いま かみなり な 

「. ^て も 好い II 今、 雷が 鳴ったら う。」 . 

「うん、 鳴った やうな 氣 もしない はない。 I 

「和不觀 は のんき だな。 Bl の觀 はき. にある かと か f か f S を、 IL^ 

へ てゐ たんだら う。」 ^ 

し 1^ んす. b きんぐち た, ズこ ひ 

俊 助 は 金口の 輩に 火 をつ ける と、 S さう にかき つて、 ! ^おのぎ!. いて あき 想のお 

へ?;:" た。; J とその 拍子に、 さっき g のず f けたおが I が、 ぎ 4 つ flfv と鳅 

の 記憶に 浮んで 來た。 - 

I {-, V/ 9 ^ .< 「そ 

「まさか II 僕 は 犬と 遊んで ゐ たんだ。」 

の むら 



^おは 子供の やうに 微笑しながら、 おち, r すらせて、 あ or 下と こ" 

プール ク。. ォス ムふ £ 、ュ 0^ - ( 

T から ひつば り 出した。 4{ は!^ あいせ をず て、 おきなお 

ごろり あにな つて、 fimifr. isl^f 



、つく 



力 



9 氣 がな ささう に 犬の 頭 を 撫でて やった。 . 

" あ ひだ くり はら ち もら き 

「この間、 栗 原の 家に ゐ たやつ を K つて 來 たんだ。」 

P.S ら: ひ-ふ^- ) き, 「u ヒ-ィ しゅんす は はう お *. た ふと ゆび v.. き キ- も C えり 

野 村 は 給仕の 持って 來た 珈^ を 俊 助の 方へ 押し やりながら、 又 肥った 指の 先 を^ 物の 襟へ ちょ 

いと やって、 

「あす こぢや この頃、 家中が トルストイに かぶれて ゐる もんだ から、 こいつに も 御 尤曆な ピニル 

い なまへ ぽく 、 、 Q よ-つ V 、:ヒ 

と 云 ふ 名前が ついて &る。 僕 はこい つより、 アンド レエと 云 ふ 犬の 方が 欲し かったん だが、 俊自 

,レん たん ,1 う ゆ 、 i 、りゃう 

,せピ H ル だから、 佝 でも ピ H ル の 方 を つれて 行けと 云 ふんで、 とうとう こ い つ を鄉領 させられて 

しまったんだ。」 

しゅんすけ r ォヒく *c ,5; :: ん くナ, びる あ ひと わる プ せう 6^ からが わ-し :: ちべ つ 

と、 俊 助 は 珈琲 茶碗 を 脊へ當 てながら、 . 人の 惡, ぃ 微笑 を 浮べて、 調戲 ふやう に 野 村 を I 一瞥した" 

「まあ ピエルで 滿 足しと くさ。 その代り ピ H ル なら、 ^つて は 目出度く 十タ シァ, こも? お^ 出來ょ 

うと- ェふも し!, M。」 

0. 小, -ら - <, ?,. .yt- い み しばら かほ と,., ろ まだら- あか -i; 

ん, 野 村 もこれ に は狼猊 した ものと 見えて、 暫く は 額 を 所 斑に 赤く したが、 それでも- 樓 だけ は ゆつ 

UIJ てうし 

- くりした 調子で、 



ぽ,、 い もちろん 

「僕 はピ H ルぢ やない。 と 云って 勿論 ァ ンド レ H でもない が —— 」 

「ない が、 15- に 角 初子 女史の ナ タシァ たる 事 は 認める だら う。」 

お てんば てん いくぶん みと こと 

「さう さな、 まあ 御轉 婆な 點 だけ は 幾分 認めない 事 もない が ———」 

ついで ぜんぶ みと い Ai ろ はつ こ * ちょし せん さう へいわ ひってき ちゃう 

「序 に 全部 認めち まふ さ。 —— さ う 云へば この ! S ハ 初子 女史 は 、 『戰爭 と 平和』 に 匹敵す る や うな 長 

へんせ うせ. つ か おつ くわん せい 

篇小說 を 書いて ゐるさ うぢ やない か。 どう だ、 もう 追つ: t 完成し さう かね。」 

し 5/ す::" やう や ほうば う みじか キ-ん ぐ ャ.' は ひざら なか はふ や、 ひ にく た-つ 

俊 助 は 漸く 鋒き を を さめながら、 短くな つた 金口 を 灰皿の 中へ 拋 りこんで、 稍 皮肉に かう 尋ね 

た。 

六 

じつ 4 つやう へんせ, T せつ こと け ふ きみ & もら 

「實は その 長 篇小說 の 事で、 今日は 君に 來て 貰つ たんだが。」 

れ-ら てつぶ ち めがね ほ-つ こくめい ハ ソケチ くも ぬぐ 

野 利 は 鐵緣の 眼鏡 を 外す と、 刻 銘に手 巾で 玉の 曇り を 拭 ひながら、 

はつ こ なん ちたら をん な いっしゃう か つもり 

「初子さん は 何でも、 新しい 『女の 一 生』 を 書く 心算なん ださう だ。 まあ uno Vie i\ 】;ll\^lsto.i 

o 

2 い ところ ちよし めじん 二う い さくき うんめい もて あそ 1; つく わ 

4 と 云 ふ 所なん だら う。 そこで その 女 主人公と 云 ふの が、 いろいろ 數奇な 運命に: 弁 ばれた 結果 だね。 



「それから?」 

しゅんすけ はな f すゐ きん はち も ゆ .,= 'くべつき C 、 

俊 W は 鼻 を 黄水仙の 鉢へ 持って行きながら、 格^ 一 颯乘り もして ゐな ささ うな L 感 で か う 云 つ た 。 

Q, むら ほそ めがね > つる み- 1 ,r しろ あ ひか よらす おちつ よら てうし 

が 野 村 は 細い 眼鏡の 一: を 耳の 後へから みつける と、 相不變 落着き^った 調子で、 

「最後に どこかの 嫩狂院 で、 命す る 事になる ん ださう だ。 就いては その 撤狂院 が 生活 を 描. おし 

たいんだ が、 生憎 初子さん はま ださう 云 ふ 所へ 行って 見た 事がない。 だから この きぼ かの ぎが を 

、 い, てん ややう ゐん けんぶつ "-. 

^つて どこでも 好い から 癒 狂院を 見物した いと 云って ゐ るんだ。 !- 」 

しゅんすけ * 〔たきん ぐち ひつ な i?- ひ -ン、 へ-つじ やう 5^ つ 、す, ど - 

俊 助 は 又 金口に 火 を 付けながら、 半ば 皮肉な 表情 を 浮べた 服で、 もう,) 度 「それから?」 と ベム ふ 

ぁひづ 

相 圖 をした。 

きみ ひと にった せ-つかい もら こつ ヒ <- 

一 そこで 君から 一 つ、 新 W さんへ 紹介して やって 贳 ひたいん だが ,—— 新田さん と 云 ふんだら う、 

マテリアリスト い がくし 

あの 物質主義者の 醫學士 は?」 

1 、 と t ズ がみ わか つ がふ と あは み た ぶん V.- しっか 

1 さう だ 11 ぢゃ 兎も角も ザ 紙 を やって、 向う の 都合 を 問 ひ 合せて a よう。 多分 差 支へ はなから 

うと 忍 ふんだ が。 ! 



422 



「さう か c さう して 貰 へれば、 僕の 方 は 非 |e に街辩 いんだ。 1^ ト さんも^ ii お だら ぅピ 

Q わら まん; そ -.、 6 d ヒ:, .1 つ,, 

野 村は滿 足さう に 眼 を, 着く して、 緩け さまに 「一 f 一 ll-si が § を I しながら、 

「この頃 はまる で その 『女の 一生』 で 夢中に なって ゐ るんだ から C f しょに ゐる艇 觀の船 y なん ぞを 

つかま へ て も、 始終 その 話ば かりして ゐる らし い。」 

しゅんすけ だま ラナ プ卜 ナ. *!: り .H だ - リ 

俊 助は默 つて、 養の S を ま 出しながら、 0^f0-ff^o まだ ま g のぎて ゐ 

る 往來 に は、 細い 銀杏の 並が が ず を I ばして、 きの,にぎた8:がきっもその1^ぁぃ 

ゆ またな ビ かれ き ! つく dJ つ, M Ic- 5 

て 行く。 それが 又 何故か 彼の 記^に、 刹那の^ おつき i つたお が I を^ ひ 13 させた。 …… 

ま しろ どうじん おんがく くわ , ゆ 

「君 は 『城』 同人の 音 樂會へ は 行かない のか。」 

し; は 6 +っん f ノ、 つ あと Q むり ひ...: : 

暫く 沈 m が 綾いた 後で、 野 村 はふと 思 出した やうに かう 家ね た。 と i ぎに ^きに ギ ぎ "のお!. "か" 

ぶん あ ひ v.! ほ とん はくし -ご i わな き • . 1 

分力の 間、 殆ど 白紙の 如く 空しかった のに 氣が ついた。 g はちよ いと 顔をしかめて、 お 1!, なつに し 

ゴ ォヒィ C ほ 、せ,.、 げ: わ-, - 

お を 飲み干す と、 すぐに 以前の やうな 元氣 を恢; i>„LJ て、 

「僕 は 行かう と 思って ゐる。 君 は?」 

「w;,.;,-/s JL,;:^y ぶんだ-つ ぉほゐ くん こと-つ たつ ん . , 

r 俟は 今朝 郁文 堂で 大井 君に 言 傅て を賴ん だら 何でも f 貝って くれと まふので、 とうとう のま. 



ぶ よ まいお し 

3 符を 枚 押つ けられて しまった。」 . 

2 

「§: 枚と は 又 ひどく 奮發 した もの ぢ やない か。」 

なに さんまい ノ リはら か もら 

「何、 どうせ 三枚 は 栗 原で 買って 貰 ふんだ から" —— こら、 ピエル ピ 

いま しゅん すげ あしもと ね くろい ぬ ,\ 二.; きム み おこ かいだん あが くち にら 

今まで 俊 助の 足下に 寢 ころんで ゐた黑 犬 は、 この 時 急に 身 を 起す と、 階段の 上り 口 を 睨みな が 

す v,i こる; ろな だ ぃム け しき おどろ Q わら しゅんす じ き すゐ ん li ちへ だ むか あ 

ら、 凄, じい 聲で吟 心り 出した" 犬の 氣 色に 驚いた 野 村と 俊 助と は、 黄水仙の 鉢 を 隔てて 向 ひ 合 ひな 

いす, ど は う 二 かへ ちゃう ど そ こ トルコ ばう ふ-ち;. -ょ くろ 

がら、 一度に その 方へ 振り返った。 すると 丁度 其 處には あの 土 耳其帽 の藤澤 が、 黑ぃ ソフト を か 

. だいがくせい いつ あめ ぬ ぐ わいた う きふ じ て わた ところ 

ぶった 大學 生と 一 しょに、 雨に 濡れた 外套 を 給 什の 手に 渡して ゐる 所だった。 

いっしう かん のち しゅ/すけ つき ぢ せいやう けん もよ ほ しろ どうじん おんが /、くわい い おんがく くわい じ: S んプ と- C 

一週 問の 後、 俊 助 は 築地の 精 養 軒で 催される 『城』 同人の 音 樂會へ 行った。 昔 樂會は 準備が 盤 は 

い こと ていこく /に ご ろく じ ii キ- ようい ひら け しき くた 

ない とか 云 ふ 事で、 やがて 定刻の: ャ後六 時が 迫って 来ても、 容易に 開かれる 氣 色はなかった。 ま 

V やう つぎ ちゃうし ゆう ほぜい でんとう ひかり くも まど さかん たぶ こ けむり た っぽ 

各 場の 次の間に は、 もう 聽 衆が 大勢つ めかけて、 電燈の 光 も 暴る 程 盛に 煙草の 煙 を 立ち n サ- つせ てゐ 

tr-. なか だいがく せいやつ しん けうし ひ レ,- り ふたり キ- しゅん- --t: お ほ ご む き 

J た。 中には 大學の 西洋人の 敎師 も、 一人 二人 は 來てゐ るら しかった。 俊 助 は、 大きな 護 説の 樹の 



は、 う 一;; す へや す, ひ ^ v-^ べつ,^, - くわ、 セ、 > 

鉢 楠が 据えて ある 部屋の 隅に 佇みながら、 g に 開 t 會. 5j 待ち, ねる でもな く、 ぼんやり 船 Isi に 

で么 くったく み >- たむ 

聲 に屈托 のない 耳 を 傾け て ゐ た 。 

すると 何處 からか 大井篤 夫が、 は!! いく « ^を!?、 と^の 鶴へ!? いて, た。 

ふたり て ん とう かう くわ ん 

1 一人 はちよ いと 點頭を 交換した。 

一 野 村 はま だ 來てゐ ないか。」 

. ゆづ , お ほゐ few うへ り や, T て く そ りみ 

俊 力う 尋ねる と、 大井は 胸の 上に 兩手を 組んで、 反身に あたり を 25^^ しながら、 

「まだ 来ない やう だ。 11 來 なくって 仕 合せ さ。 僕 は 藤澤に ひっぱられて % たもんだ から、 もう 

彼是 一 時間 ばかり 待た されて ゐ る。」 

しゅんす に ゃニ., け ブ せ-つ 

俊 助 は 嘲る やう に 微笑した。 

きみ ^い- -I く 今) く ろく こと 

一 君が たまに^ 服なん ぞ 着て 來り や、 どうせ 碌な 事 はあり やしない。」 

「これ か。 これ は 藤澤の 制服なん だ。 彼 曰、 是非 僕の 制服 を惜 りて くれき へ、 さう すると" g は そ 

れ をロ實 に、 親爺の タキ シ イド を 借りる から。 !-- そこで やむ を 得す、 僕が これ を 5^ て、 ぎきた 

おんがく くわ い で 

くもない 音樂會 なん ぞ へ 出たん だ C 一 



え" に.": -i^ ま こと ,しやべ いちど へや なかみ わ. C 一 

5 大井は あたり 構 はすこん な 察 を 健 舌りながら、 もう 一度ぐ るり 部屋の 中 を 見渡して、 そ X- から.. 

彼 處にゐ るの は, 誰、 此 處にゐ るの は 誰と、 量 間に 名の 知られた 作 t 豕 や!! を をい r,?, き辦 ITS へて く 

^ ついでも 3 い めいし プ、 カン グ アル おもしろ i- な 

れん のみなら す 序 を^て, さう 云 ふ 名士た ちの 醜^ を 面白さう に 話して くれた。 

1 ん ぶく さ ひ ある べんご し さいくん や .f.,* つ し, a 

「あの 紋服と 來た 曰に や、 或 辯 護士の 細君 を ひっかけて、 そのいき さつ を!! 曰いた 小 說を御 あの 

, バ _*) し けん ほど どきょう にん?.'/? .= なり 

辯 護 士に鄺 じる 程、 すばらしい 度胸の ある 人間なん だ。 その 隣の ボヘミアン: 不ク タイ も、 これ 

*, たし ぢ よちう て ほんしょく 

叉 詩よりも 女中に 手 をつ ける のが、 本職で ね。」 

しゅんすけ みにく - つち t く きょうみ も 、 .H*.^ る : :> 

俊 助 はこん な 醜い 內 幕に 興味 を 持つべく、 餘 りに 所謂 ニル • アド ミラ リな 人間だった。 まして 

$ げいじゅつか ぐ わい ぶん こ リょ き ^ L V;-- V. 

その 時 は それらの 藝術 家の外 聞 も 顧慮して やりたい 氣 もちが あった。 そこで 彼 は 力:^ が 一 ,i 、ち-い 

し, ほ きっぷ ひ ,5.- か うけと ひ i „ .-: , -- -, -;, てう 

たの を機會 にして、 1^ 符と 引換へ に 受取った プログラム を擴げ ながら、 話題 を 今夜 演奏され る 昔 

^M^u , もつ?, い - ニコ '> お ほゐ, はう めん ぜんぜんむ かんか: でき あが み tr ノ, ゑ 

樂の f-fs へ 持って行った。 が、 大井 はこの 方面に は 全然 無感覺 に出來 上って ゐ ると:^ えて、 沐植 

ご む は ゑんり よ つめ 

の 護 設の葉 を 遠慮なく 爪で むしりながら、 

と かく しみ づし やういち い をと こ ふぢ V は はなし ノ,, ィ, -ト 、 ュ? で/ -き 

路 「鬼に 角 その 淸水 一と か 云 ふ 男 は、 藤澤 なん ぞの 話に よると、 獨唱 家と: f:? ふより や 寧 立派な 色. 

上 ふ", L *: たはな し しゃく わいせい くわつ あんこくめん もど 

■ 魔た ね。」 と、 又 話 を社會 生活の 暗黑 面へ 1;^ してし まった。 



ノぶ^ ひ とき かいく わい し な くわい W やう V かひ と やう や りゃう.? つ ひち 

が、 幸、 その 時 開會を 知らせる ベルが 嗚 つて、 會 場との 境の 扉が 漸く 兩^ へ 11 かれた。 さう し 

£F - ちゃうし ゆう しほ ひ と ぐち 一 なが はじ しゅんす ナ ^ 

て 待ちくたびれた 聽 衆が、 まるで 潮の 引く やうに、 ぞろぞろ その 扉 口へ 流れ 5s めた。 俊 助; p.^ 井 

い-つ Z なが ノ メでそ しだい くわい )- りゃう はう い なにず と ナノ リ うしつ .J. 

と 一し よに この 流れに 誘 はれて、 次第に 會 場の 方へ 押されて 行った が、 何^なく 途中で 後 を;^ り 

返る と、 思 はす 知らす 心の中で 「あつ」 と rf, 一 ふ 驚きの 聲を 洩らし た 。 

しゅんすけ くわ いぢ やう い す つ あと まった おどろ くり く 一一と - ふ, 

俊 助 は 會 場 の 椅子に 着いた 後で さ へ、 まだ 全く さっきの 驚きから 恢復して ゐ ない 事 をず^!! し 

力れ こ、 ろい つ ふし ぎ どうえ う かん くわん き /、 つう べんべつ , ^^- - t . レっ 

た。 彼の 心 は 何時に なく、 不思議な 動搖を 感じて ゐた C それ は歡 喜と も 苦痛と も辨 別し 鼠い 粗 質 

カオ A 二ろ どうえ う み キ か い よ W ばう どうじ * 二: 

の ものだった。 彼 はこの 心の 動 搖に身 を 任せたい と 云 ふ 欲望 もあった。 で 同時に 又 さう して はな 

I き U たら かれ すくな げんざい いじ やう どうえ う こ.. -ろ もたら i う べん 

らな いと 云.. -案も 働いて ゐた。 そこで 彼は少 くと も 現在 以上の 動搖を 心に!! さない 方便と して、 

成る 可く 眼 を 演壇から 離さない やうな 工夫 をした。 

.li^"/ へつ, うぶ た 4 、は えんだん き ちう ねん しんし あ..: よ ひた ひ た , ^み 

金 屛風を 立て 廻した 演壇へ は、 まづ フロック を 着た 中年の 神士が 現れて、 額に 垂れ かかる 髮を 

かき 上げながら、 撫でる やうに 柔 しく シ ユウ マン を唱 つた。 それ は Idi kauii ビ iiicht fasseii. 



i し "イド しはんす け 、した ,つた なか たに 

7 nidit glauben で 始まる シャ ミツ ソ才の 歌だった。 俊 助 は その 舌た るい 喷ひ ぶりの 屮 から、 何 か 

2 

4 おそ ふ ナ ぐビん つき はつさん く かん う, 一 ふ. - カオ 

恐るべく 不餹 全な 香氣 が、 發 散して 來 るの を 感ぜす に は ゐられ なかった。 さう して この-^: 湫が彼 

さわ こ.. i ろ いっそうい にだ ^ き やう や ソ U を は 

の 騒ぐ 心 を ー曆背 立てて 行く やうな 氣 がして ならなかった。 だから 漸く 獨唱が 終って、 けたた ま 

はぐし ゆ おと おこ とき かれ わ-つか め あ すく もと , ばせ-き 

しい 拍手の 音が 起った 時、 彼 は 僅に ほっとした 服 を擧げ て、 まるで 救 ひ を 求める やうに 隣席の 大 

7^ り.^ -、 おな 变 る ばう ゑんき やう め あ 

:;^ を;^ 返った。 すると.!? 井 は プログラム を 丸く 卷 いて、 それ を 望遠鏡の やうに 服へ 當 てながら、 

. えんだん ,つ.、 あたま さ ゾ I? イス, 1- の- 1) 、 , , - 、„ ゝ . 

演壇の 上に 頭 を 下げて ゐるシ ュ ゥ マ ン の獨唱 象を舰 て ゐたカ 

なるほど し み-つ い をと こ りつば しきま に Z そう そな 、 - - "や v;^" 、 ん ) ,-, 

「成程、 淸 水と 云 ふ 男 は、 立派に 色魔た るべき 人相 を 具へ てゐ るな。」 と 吱 くやう な^で 云った. 

しめ-/ す/ おじ ち. T ねん しんし しみ-つし やうい. ち い をと こ き また. *,ん んだ丄 はう 

俊 助ば 一柳め て その 中年の 紳士が 淸水昌 一 と 云 ふ 男だった のに 氣が ついた。 そこで 又 演增- の 方へ 

め がへ こんど そ こ すそ も やう れい だ やう さか ス うつさい ナ》^ ノ: k , . . ぷ *、- 

眼 を 返す と、 今度 は 其 處へ祸 模様の 令 嫂が、 盛な? J 采に迎 へられながら ヴァイオリン を 抱いて 

P X 二 ところ れい *ん やう ほ. V ん にんぎ やう かはい ゐ 力ん 

しづ しづ と^って 來る 所だった。 令孃は 殆ど 人形の やうに 可愛かった が、 遣憾 ながら ヴ アイ オリ 

た i- ま が ひとと ま ひ&' い しゅんすけ さい は ひ しみ. つし やういち 

ンは唯 問 違 はすに 一通り 彈 いて 行く と 云 ふだけ の ものだった。 けれども 俊 助 は 幸と、 淸水 Em 一 の 

ほど わる あま し げき おび や と かく こ,; つ ,d, ん ぴ、, グカ r ■ ん 

シ ユウ マ ン程惡 せい 刺戟に 脅かされないで、 兎も角も 快よ く チヤ ィ コ ゥ ス キイの 祌" M な 廿界に 安 

; T ゆうで き よろこ お ほゐ たいくつ こっとうぶ いす せ „p た- ;キ 、ぐぶ:、 ゑ乂 りな 

丄 iil 出來 るの を 喜んだ。 が、 大井 はや はり 退屈ら しく、 後頭部 を 椅子の 背に 凭せ て、 時々 無遠慮に 



428 



暴 を 鳴らして ゐ たが、 やがて 急に 思 ひついた とい ふ 調 で、 

「おい、 蜀 村!^ が 來てゐ るの を 知って ゐ るか。」 

「知って ゐ る。」 

俊 助 は小聲 でかう 答へ ながら、 それでも 猶脱は 金屏風の i の |r き や;^ ら g へま-かさなかった。 と、 

ぉほゐ あ ひて こたへ も み つ あく" ... き- 

大井は 相手に 答が 物 足らなかった も の と 見えて、 妙に 惡 IG- の あ る ぎ 笑 を ま-は せながら、 

1 / -、 ひ じん ふたり つ き はん く. H 

I あまけに すばらしい 美人 を 二人連れて 來てゐ る。」 と、 念 を 押す やうに つけ. S~ へた。 

が、 俊 助 は 何とも 答へ なかった。 さう して 今までより は. 一 歷熱 心に ぽ壇の 上から 51 れて るヴ 

アイ オリ ン の靜な 音色に 耳 を 傾けて ゐる らしかった。 …… 

, / ^ どメ、 そう し ぶが つし やう を は V- ん じっぷん ^ t -i.- If y 

それから ピアノの 獨奏と g 部 合唱と が 終って、 三十 分の 休 II 時間に なった ひ I、 ,きき, ば!?^^ に « 

着な く、 逞ぃ體 を 椅子から 起して、 ぁのi-蒙のiの^Kのぁ^^^ilがs^のぎへ、 の^^ を 観 

, い あと こ お ほゐ まう ぅゴ V- , . 

しに 行った。 しかし 後に 殘 つた 大 井の 方 は、 まだ 傲然と 腕組み をした 儘、 まぐ つたり と "き: y+ まへ 

おと え Z そう や し > » 

落して 演奏が 止んだ の も 知らない のか、 組 何にも 快よ ささう に、 かすかな を^ら して ゐ.. で 



丄!? 各 



429 



九 

つ:! S ま き み はた むら くり はら むすめ なら お ほ だんろ, - まへ ,た ヽナ け?^ しょく 

次の間へ 来て 見る と、 果して 野 村が 栗 原の 娘と 並んで、 大きな 暖爐の 前へ ュ むんで ゐた。 血色の 

あぞ IJ^ め ゆ いき/ 、 ちから あ ふ とし こ がら はつ こ し: §ん すけ すがた み け や 

鮮 かな、 服に も にも 活々 した 力の 溢れて ゐる、 年より は 小柄な 初子 は、 俊 助の 姿 を るが n 十い 

七 一 i ゑく ぼ よ キ- がる こし の むら ひろ きん ボ クン わ;; t 1:5 ん すけ は-つ 

か、 くから 饗を 寄せて、 氣輕 くちよ いと 腰 を か どめた。 と、 野 村 も 廣ぃ金 釦の胸 を 俊 助の 7^ へ 

わ ど つよ きんが ズ キ- やう ,つし ろ れい ごと ひと よ ぴ せう みな. S おう やう - つなつ 

向けながら、 度の 强ぃ近 服 鏡の 後に 例の 如く 人の 好 ささうな 微笑 を 漲らせて、 瞎揚に 「や あ」 と. タル 

み. しゅん すげ だ/? ろ うへ か みせお イン. ト さ. さ ;_v ひ はつ こ お ほ からだ いふ/.、 つ 

いて 見せた。 俊 助 は 暖爐の 上の 鏡 を 背負って、 印度 更紗の 帶を しめた 初子と 大きな 體を 制服に 包 

むら わか あ た なが とき せ J な あ ひだ かれら かう ふく ねたま r- 、ろ 

んだ野 村と が、 向 ひ 合って 立って ゐ るの を 眺めた 時、 刹那の 問 彼等の 幸福が 如しい やうな、 ももち 

さへ した •〕 

「今夜 はすつ かり 遲く なって しまった。 何しろ 僕 等の 方 は 御 化 赃に手 問が 取れる もの だから。」 

1^ ん すげ ふたことみ こと ざつだん たつ,、 わん あと Q むら だいり せき て じょう 

俊 助と I 11 一一 言 雜談を 交換した 後で、 野 村 は 大理石の マントル 。ピ イスへ 乎 を かけながら、 冗 

談の やうな 調子で かう 云った。 

い つ わたし お て 丄" と むら お い おそ 

「あら、 何時 私たちが 御手 を 取らせて? 野 村さん こそ 御出でになる のが 遲か つた ぢ やない 



の?」 

ゼ IT こ- : >、 こ: *- ゆ こ むら かほ. み ざ すた ,し C しふん 

初子 はわ ざと 濃い 眉 を ひそめて、 媚びる やうに 野 村の 練 を 見上げた が、 十ぐ に 又 その ig 線 を 俊 

すけ はう *H ムニ 

助の 方へ 投げ返す と、 

せんじつ わたしめ う こと お ねが ご めいわく 

「先日 は 私 妙な 事 を 御 願 ひして il 御迷惑 ぢゃ ございませんで したの?」 

「いや、 どうしまして。」 . 

L^,^^ はつ こ る; しゃく あと むら はな た、 ど 

俊 助 はちよ いと 初子に 會釋 しながら、 後 はや はり 野 村 だけへ 話しかける やうな 態度で、 

の ふ にった へんじ き げ つす ゐきん うち い つ よろこ ,,) な:. . 

1 昨日ぎ 田から 返事が 來 たが、 月水金の 內 でさへ あれば、 何時でも 喜んで 御 案. 2: すると. ム ふんだ。 

, うち つが ふい ひ V.- ん くわん き たま 

たから その 內で 都合の 好い 日に 參觀 して 來 給へ。」 

「さう か、 そり や 難 有う。 —— で、 初子さん は 何時 !£: つて 見ます?」 

「f ?,r, o - わた ル よう か だ Q むら -ご つ がふ いた r ,.. 

ー佧 時で も。 どうせ^ 用の ない 體 なんです もの。 野 村さん の 御 都合で 極めて 頃けば: ^いわ。」 

ザく さ- 5-7、 ナゐ かう 1C. ま す こ 

「僕が 極める つて ,—— ぢゃ僕 も 隨行を 仰せつか るんで すか。 そいつ は 少し —— 」 

すら 一-一 J がり あたま お ほ て. へきえき ナ しき み .H つ こ 6 b^J 

野柯は 五分 力. の 頭へ 大きな 手 を やって、 辟易した らしい 氣色を 見せた。 と、 ;柳子 は 服で 笑 ひな 

二 ゑ す 一-うし 

がら、 聲 だけ は 拗ねた 調子で、 



わたし にった シ た お め こと わたし 

1 「だって 私 その 新田さん つて 方に も、 御 服に かかった 事が な いんで せう。 です もの、 私たち だけ 

3 

ぢゃ 行かれ はしない わ。」 

なに やすだ めいし もら ゆ むか ぁ乂 ない, ノ, ) 

「何、 安田の 名刺 を 貰って 行けば、 向う で ちゃんと 衆內 して くれます よ」 

ふ. り しもんだ ふ かう くわん とつぜん そ こ げ うやい がく かう やい ふく き 七 を . つねん 

二人が こんな 問答 を 交換して ゐ ると、 突然、 其處 へ、 曉星學 校の 制服 を 着た 十ば かりの 少年 

ひと なか ぬ い キ-ほ 十が た あら は し S ん fii かほ み 

が、 人 ごみの 中 をく り拔 ける やうに して、 勢 ひよく 姿 を 現した。 さう して それが 俊 助の 顏を見 

ちょくりつふどう し せい あいけ う 今よ しゅ れい み クん にん ハも 

ると、 いきなり 直立不動の 姿勢 をと つて、 愛嬌の ある 擧 手の 禮 をして 見せた。 こちらの 三人 は E 心 

わら V- なか いちまんお ほ こ ゑ だ わら .4, ら 

はす 笑 ひ 出した。 屮 でも ー潘 大きな 聲を 出して 笑った の は、 野 村だった。 

「や あ、 今夜 は 民 雄さん も 來てゐ たの か。」 

し: S んすは りゃうて .5.- うねん かた おさ か。 か ほ ci.v 

俊 助は兩 で 少年の 肩 を 抑へ ながら、 II 戲 ふやう に その 額 を^き こんだ。 

r-VA じ ど-つし や 〇 产 ー お. すだ 

「ああ、 皆で 自動車へ 乘 つて 來 たの。 安 E さん は?」 

「僕 は 雷 車で 來 た。」 

でんしゃ かへ じ どうしゃ の あ 

C 「けち だな あ、 電車 だなん て。 歸 りに 自動車へ 乘 せて 上げよう か。」 

路 . 

上 「ああ、 乘 せて くれ 給へ。」 . 



, だ 化 f ^ け 一う ね, ん & な, f . たれ たみを あと お かれら ちか あゆ よ 

この^も 俊 助 は 少年の 顏を 眺めながら、 しかも 誰かが 民 雄の 後 を 追って、 彼等の 近くへ 歩み 小 _3 

つたの を 感ぜす に は ゐられ なかった。 

丄 ^,1:5:- け め, あ: はた はつ こ となり どうねん ばい わ. A をん な :んぢ ぁゐ たてじま *0 む:3 おし 

俊 助 は 服を擧 げた。 と、 果して 初子の 隣に 同年輩の 若い 女が、 紺地に 藍の ^縮の^ 物の 胸 を 中 敬 

. で- tl: ゴつ, ホ, ぴ ^0 ひん た. -ナ かの ぢょ はつ こ お ほ がら どうじ め はな. た 

校 樣の帶 に 抑へ て、 品よ く すらりと 佇んで ゐた。 彼女 は 初子より 大柄だった。 と 同時に ュ 

あい ベ ふだへ, ぶた はるか はつ こ v- び ふ. *- ノ、 やぶ V- し 卜 

ち は、 愛く るし かる 可き 二重 險 までが、 遙に 初子より 寂しかった。 しかも その 二重 險、 の 下に ある 

め ほ とん いうう つ はいよう うる ひ.^ り んっ.^ くわ- 'ケ -ゃラ キ ; r-M 

吸 は, ひんど 憂鬱と も 形容したい、 潤んだ 光 さへ^へ てゐ た。 さっき 會 場へ はいらう とする 問 

ぐ-リゼん うしろ ふ かへ しゅんす に こ- -ろ を. と じつ おも み-つ/、 :ノひ 

に、 偶然 後へ 振り返った、 俊 助の 心 を 躍らせた もの は、 實 にこの もの 思 はしげ な、 水々 しい 隨の 

ひ 力り > かれ 々とみ も ぬしし せき あ ひだ むか あ いま ふた、 さ いぞん こ-ろ どうえ う かん わけ 

光だった。 彼 は その 瞳の 持ち主と 咫尺の に 向 ひ 合った 今、 搏び 最前の 心の 動摇を 感じない 譯に 

は 行かなかった。 

「辰 子さん。 あなた まだ 安田さん を 御存知なかった わね。 —— 一 iK 子さん と 中し ますの。 京都の 女 

がくう う そつげ,. 1 ,^た ごろ とうき やう こ- V- 二 X な 

學校を 卒業な すった 方。 こ の顷ゃ つ と 東京 詞が せる やうに なりました c」 



^ c. も な、 . - くち か C ちょ しゅんすけ せ-つかい たつこ あ を じろ a*.- そこ ち -5 5,.- 

B 初子 は 物 惯れた 口ぶりで、 彼女 を 俊 助に 紹介した。 辰 子 は 蒼白い 術の 底に かすかな 血の i3 を 動 

しと や そくはつ あたま さ ,しゅんすけ たみを かた て まな \j 、 i * ご、. こ、 ^ 、 

かして、 淑 かに 束 髮の頭 を 下げた。 俊 助 もお 雄の 肩から 手 を 離して、 ど ゾ I のお!! をした リ 

さい は cS かれ あさぐろ ほ >- いつ まて ヒ 1. き 

幸. 彼の 淺黑 ぃ頻が 何時に なく 火照って ゐ るのに は、 si も氣づ かすに ゐ たらしかった。 

むら よこ あ こんや とく ゆく わい くち VJ 

すると 野 村 も橫合 ひから、 今夜 は 特に 偸 快 さうな 口を出して、 

「辰 子さん は^子 さんの 妹で ね、 今度 繪の學 校へ はいる もの だから、 それで こっちへ すリ しがる 

こ.^ ところ まいに.^ はつ こ れい せう 亡 つ し >J : まど、, V- こ 

事に なつたん だ。 所が 毎日 初子さん が 例の 小説の ばかり 聞かせる ので、 11, 程 こたへ るの だ 

-ご ろ け ん-^ う おも 

らう。 どうも この頃 はちと 建^が S3 はしくな ハ。 一 

「まあ、 ひどい。」 

^こ, いこ, どう.^ い たつこ --ゑ はつ こ j "C 5 とん ャ i 

一 W 子と 1:^ 子と は 同時に かう 云った。 が、 辰 子の 膝 は、 初子の それに^!; されて、 ぽど 問えない 

程 低い 聲 だった。 けれども 俊 助 は、 この 始めて 開いた 辰 子の 聲の屮 に、 優しい、. ^ゲ」 一 切る ものが 

沿んで ゐる やうな 心 もちが した。 それが 彼に は 心 强ぃ氣 を felvj せた。 

る ~ い やうぐ わ お 

路 一 畫 と云ュ と —— やはり 洋畫を 御 やりになる のです か。」 

上 .! ん ひて- こ ゑ ゆうき え しゅん すげ はつ こ Q むら わら ち うち - 一つ- •- 

相手の^に 勇氣を 得た 俊 助 は、 まだ 初子と 野 村と が 笑 ひ 合って ゐる內 に、 か- リ 1!^ 子/, ひかけ 



たつこ め おび ど ひ すゐ おと 

た。 辰 子 はちよ いと 服を帶 止めの 薪 琴へ 落して、 

f へ んじ 

「は。」 と、 思った よりも はっきりした 返事 をした。 

r 畫は 却々 うまい。 i に 初子さん の 小 說と氣 時す るに 足る 位 だ。 —— だから、 辰 子さん。 僕が:^ 

こと をし あ はつ 二 せう せつ はなし ャ >ん ゑ .H なし 

い 事を敎 へて 上げ ませう。 これから 初子さん が 小 說の話 をしたら、 あなた も 盛に 畫の話 をす るん 

からだ 

です。 さう でもし なくつ ちゃ、 體が たまりません。」 

俊 助ば 唯 微笑で 野 村に 答へ ながら、 もう,. 一 度 炭 子に 聲を かけて 見た。 

お.^ らだ じっさいお わる 

「御 體は實 際御惡 いんです か。」 

しん ザ-う す こ たい こと 

「ええ、 心 脇が 少し 1! 大した 事 は ございません けれど。」 

たいくつ ほ いちどう かほ なが たみ を した し *S んすナ 

すると さっきから 退屈 さうな 顏 をして、 一同の 顏を 眺めて ゐた民 雄が、 下から ぐいぐい 俊 助 1 の 

手 を ひっぱって、 

たつこ はし- *】 だん あが いき き W ズ、 にだん ,スノー ん あ,, A 

「辰 子さん はね、 あすこの 梯子段 を 上っても、 ,:n:0 が れ るんだ とさ。 僕 は ニ段づ つ, 一遍にと ひ 上 

る 事が 出來 るんだ ぜピ 

しゅんすけ たつこ かほ み あは やう や こ、 ろお y> せう .A うくわん 

俊 助 は-お 子と 顔 を 見合せ て、 漸く 心 置きの ない 微笑 を 交換した。 



5 

お 十一 

たつこ あ を じろ かた ゑく ぽ よ *,、 しづか たみを はつ こ め うつ 

辰 子 は 蒼白い 顿に片 I ぬ を 寄せた 儘、 靜 に 民 雄から 初子へ 服 を 移して、 

たみを, おつよ はしご だん て またが すべ お 

r:!^ 雄さん は そり ゃ御强 いの。 さっき も あの 梯子段の 手すりへ 跨って、 、やり 下りよう とな さるん 

でせ う。 私 吃驚して、 墜 ちて 死んだら どうな さるの つて Tk つたら 11 ねえ、 民 雄さん。 あなた あ 

とき ぼく し こと つし や ゥた レを い 

の 時、 僕 はま だ 死んだ 事がない から、 どうす るか わからな いって 仰 有った わね。 私 可笑しく つて 

. 一 

なるほど なかくて つがくて き 

「成程ね、 こり や 却々 哲學的 だ c」 

の むら またたれ お ほ こ. 0" わら お: 

野 村 は 又 誰よりも 大きな 聲で笑 ひ 出した C 

なま), き ね- ん * つ 、 た-." を f 3 

「まあ, 生意氣 つたらない のね。 —— だから 姊 さんが 何時でも 云 ふんだ わ、 民 雄さん は莫: f だつ 

て。」 

へや なか くわき む いっそう けっしょく あざ や. a はつ こ ねま 

路 部屋の 中の 火氣に 蒸されて、 一 屠 血色の 鮮 になった 初子が、 ちょっと 睨める 眞似 をしながら、 

JII おとうと たしな たみを しゅんすけ て ま- * 

. かう 弟 を 究める と、 民 雄 はま だ 俊 助の 手 をつ かまへ た 儘、 



「う うん。 僕 は 莫迴ぢ やない よ。」 

「ぢゃ 利 巧 か?」 . 

こんど しゅんすけ くち だ . 

今度 は 俊 助まで 口を出した。 

「う うん、 利 巧で もない。」 . 

なん 

「ぢゃ 何 だい。」 

たみを, い の むら かほ みあ ほ とん こっけい ちか まじめ マ もく あ ひだ ひらめ 

民 雄 はかう 云った 野 村の 顏を 見上げながら、 殆ど 滑稽に 近い 眞面 E さ を win の 問に 閃かせて、 

ちう ぐら ゐ だう. H I 

「中位。」 と 道破した。 

よにん こ ゑ あは しつ:; 一う 

四 人 は聲を 合せて 失笑した。 

ちう ぐら ゐ よ おとな おも いっしゃ うかう ふく くら ぅゐ は リー 一 

「中位 は 好かった。 大人 もさう 思って さへ ゐれ ば、 一生 幸福に 暮せ るのに 相違ない。 こり や 初子 

- 一と けん./ \ ふくよう こと し たつこ はう だ いぢ やうぶ 

さんなん ぞは 殊に 拳々 服麼 すべき 事 かも 知れません ぜ。 辰 子さん の 方 大丈夫 だが II 」 

わら ご S し-つ と き むら ひろ むね うへ うで く ふたり わか をん な み くら 

その 笑 ひ聲が II まった 時、 野 村 は廣ぃ 胸の 上に 腕 を 机んで、 二人の 若い 女を兒 比べた。 

なん おっしゃ こんや むら わたし 

「何とで も 仰 有い。 今夜 は 野 村さん 私ば かり いぢめ る わね。」 

6 . 

4 r ぢゃ僕 はどう だ。」 . 



上路 



437 



しゅんすけ じょうだん むら やおもて た 

悛助は 冗談の やうに 野 村の 矢面に立った。 

-^; み きみ 4^- うぐら ゐ もつ じ にんで き をと こ キーみ きんだい にんげん 

「君 もい かん。 君 も 中位 を 以て 自任 出來 ない だ。 i いや、 君ば かり ぢ やない。 近代の 人間と - 

t みなち うぐら ゐ まん JU, くで き れん ぢぅ いき ほ ィゴ イス ティ ヅク ィゴ ィ,、 1r イツ ク い 

一 H 、ふやつ は、 皆 中位で 滿 足出來 ない 連中 だ。 そこで 勢 ひ、 主 我 的になる。 主 我 的になる と 云 

こと た にん ふ . ^う い 二と じ ぶん ふ , ^う \ 二と よう 

ふ 事 は 他人ば かり 不幸に すると 云 ふ事ぢ やない。 自分まで も 不幸に すると 云 ふ _ ^だ。 だから W 

心しな くつち やい けない。」 

ゥ み- ちう ぐら ゐは 

「ぢゃ 君 は 中位 派 か。」 

もちろん た 、ビん 

一^論 さ。 さもな けり や、 とても こんな 黎 然とし ちゃ ゐられ はしない。」 

しゅんすけ あはれ め C むら かほ み 

俊 助 は 飼む やうな 服つ きをして、 ちらりと 野 村の 顏を 見た。 

ィゴ イス、 ティ ック い こと じ ぶん ふ かう こと た にん ふ ^ -5 

「だが ね、 主 我 的になる と 云 ふ 事 は、 自分ば かり 不幸に する 事ぢ やない。 他人まで も 不幸に す 

こと ちう ぐら ゐは よ なか にんげん ィゴ イス ティ ッグ ふ あん 

る;^ だ。 だら う。 さう するとい くら 中位 派で も、 f の 中の 人間が 主 我 的 だったら、 やつば り 不安 

きみ だい ぜん ため +f 'うぐら ゐは いじ やう ィゴ イス チイ ック 

だら うぢ やない か。 だから sl^ の やうに 泰然と して ゐられ る爲に は、 中位 派た る 以上に、 主我 的 

よ なか ま ィゴ イス ティ ッグ キ-み しう ゐ しんよう い 

でない 世の中 を —— でな くと も、 先づ主 我 的で ない 君の 周圍を 信用し なけり やならない と, ムふ 

こと 

事になる。」 



1 , > , ^ん よう ► 々J み しんよう 5 へ ま いったいき み ぜんぜん にんげん あ 

「そり やま あ 信用して ゐる さ。 が、 君 は 信用した 上で も 11 待った。 ー體 s?^ は 全然 人 問 を 常て に 

して ゐ ない のか。」 

しゅんすけ うす わら ま.. - こだ i つ 二 ヒっニ 

俊 助 はや はり 薄 笑 ひ をした 儘、 して ゐる とも、 して ゐ ない とも 答へ なかった。 子と :!^ 子との 

め め,. かれう へそ. - い しき 

眼が もの 珍ら しさう に、 彼の 上へ 注がれて ゐ るの を 意識しながら。 

十二 

おんがくく わい を は あと しゅんすけ ぉほゐ ふち さは ひ しろ ど 5 じ./ S わく わ I... しゅつ 

音 樂會が 終った 後で、 俊 助 はとうとう 大 井と 藤 澤 とに 引き とめられて、 『城』 同人 の 茶話 會に出 

せき , , 、 かれ もちろんす. - ふぢ さはいぐ わい どうじん た せう かう 守 しん 

席し なければ なら なくなった。 彼 は 勿論 進まなかった。 が、 藤 澤 以外の 同 人に は、 多少の 好奇心 

こ 4 ► きっぷ もら ぎり あ じ やう む げ ことわ き どく 

もない 事はなかった。 しかも 切符 を 貰って ゐる魏 理合ひ 上、 無下に 斷 つてし まふの も 氣の毒 だと 

い: 、"? 1:1- りな、, I かれ え ぉほゐ ふぢ さは あと つぎ i ャ なり 

云 ふ 遠慮が あった。 そこで 彼 はやむ を 得す、 大 井と 藤 澤 との 後に ついて、 さっきの 次の 問の 隣に 

ち ひ へやと ほ 

ある、 小さな 部屋へ 通った のだった。 

y0 > , . L> や. なか しご にん だいがくせい しみ づ しゃう いち いつ t, ひ 

通って 見る と 部屋の 中には、 もう 四 五 人の 大學 生が、 フ & ック の淸水 01 一と 一し よに、 小さな 

8 

テ エブル .A こ ふぢ さは れんち う いちく しゅんすけ せう かい なか こんどう い ドイツ ぶんく わ がく 

4 卓子 を 園んで ゐた。 藤澤は その 連中 を 一 々俊 助に 紹介した。 その 中で は 近^と 云ふ獨 逸文 科の, 



せノ はなぶ さ い フラン プ、 ぶんく わ がくせい とく しゅんすけ ちう い ひ じんぶつ こんどう ぉほゐ 

9 生と、 花房と 云 ふ 佛蘭西 文科の 學生 とが、 特に俊助の注意を惹ぃた人物だった^^ 近 藤は大 井より 

3 

4 さら せ ひく お ほ はなめがね せいねん しろ どうじん ま だいいち くわいぐ わつ う い ひやう ばん にな 

も 更に 背の 低い、 大きな 鼻眼鏡 を かけた 靑 年で、 『城』 同人の 屮 では 第一 のき 畫 通と 云 ふ 評判 を 荷 

-ぃ ■ つ ていこく ぶんがく だう/ \ ぶんてん ひひ やう か し どんな まへ しゅんすけ 

つて ゐた。 これ は 何時か 『帝國 文學』 へ、 堂々 たる 文展の 批評 を ほ :! いたので、 自 然 名前 だけ は 俊 助 

き おく G こ ひとり はなぶ さ いっしう かんい ぜん はち き ふぢ さは いつ ケ 

の 記憶に も殘 つて ゐる のだった。 もう 一人の 花房 は、 一週 ii 以前 『鉢の 木』 へ 藤 と 一し よに 來た 

くろ えい ふつ どくい し こくご ほか ギリシャ-ご ラ テ ン I ご こ-ろえ い ひ ぼん 一 ご が,、 

黑の ソフトで、 英佛獨 伊の 四 箇國語 の 外に も、 X 布臘語 ゃ羅甸 語の 心得が あると 云 ふ、 非凡な;^ i 學 

つう とほ また しょめい えい ふつ どくい ギリシャ- フ テ ン しょもつ とき ほん 

通で 通って ゐた。 さう して これ 亦 Hanabusa と 署名の ある 英佛獨 布 醞羅; の 害 物が、 時々 本 

がう ど ほり ふるぼん や なら なまへ しはんす け しょうち せいねん ふん-り 

鄕 通の 古本屋に 並んで ゐ るので、 とうから 名前 だけ は 俊 助 も 承知して ゐ る! ;円 年だった。 この 二人 

くら ほか しろ どうじん ぞんぐ わい とくしょく とぼ みぎれい ふぐ さう むね ち ひ あかば ざう 

に比べる と、 外の 『城』 同人 は 存外 特色に 乏しかった。 が、 身綺 魔な 服装の 胸へ 小さな 赤 SSi の 造 

花 をつ けて ゐる .-a!^ は、 いづれ も軌 を.. 1 にして ゐる らしかった" 俊 助 は 近-藤の 隣へ 腰 を 下しながら- 

い れんち う まじ ぉほゐ あつ を や まん すがた こっけい かん , 

かう 云 ふ ハイカラ な述 中に 交 つ て ゐ る 大井篤 夫 の 野 蠻な姿 を、 ^精に 感ぜす にはゐ らんな か つ た 

お かげ さま こんや せいく わい 

「御 薩樣 で、 八/夜 は盛會 でした ヒ 

き ふぢ V,- は をん な やさ こ ゑ ゾ 口 ィん卜 し み-つ あいさつ 

^ クキシ イド を 着た 藤澤 は、 女の やうな 柔 しい 聲で、 ま づ獨唱 家の 淸 水に 校 接した C 

J 「いや、 ど ぅも こ ;浪 は 咽喉 を〕;^め て ゐ る も ん で す か ら —— そ れ よ り 『城』 の "一 買 行 き はどうで す? 



440 



しう し つぐな く AT ゐ ゆ 

もう 牧支償 ふ 位に は 行く でせ う。」 

そこ い ほん まう われ/ \ か も 0- よす 

一 いえ ハ處 まで 行って くれれば 本望なん です が 11 どうせ 我々 の 書く 物なん ぞが、 喪れ る 普 は 

なん じんだ うし ゆぎ し ぜんし: いぐ わい f いじゅつ r も I ナん 

あり やしません。 何しろ 人道主義と 自然主義と 以外に、 藝術 はない やうに £ 心って ゐる责 ^なんで 

すから。」 

、 I つ- うち きみ し 斗-う 

一 さう です かね < だが 何時までも、 それ ぢ やすまないで せう。 その 內に 君の 『ポオ ドレ H ル 詩抄』 

はね は う とき く し 

が、 羽根の 生えた やうに 寶れる 時が 來る かも 知れない。」 . 

し み-つ み す おせじ い きふ じ ま は き 二う 4^- や う ヒ.! り すわ 

淸水は 見え透いた 御世 辭を云 ひながら、 給仕の 廻して 來た 紅茶 を 受けと ると、 隣に^つ てゐた 

はなぶ さ はう む 

花房の 方 を 向いて、 

あ ひだ キ-み せう せつ たい おもしろ はいけん な- - r 人れ うと 

一 この間の 君の 小說 は、 大 へん 面白く 拜 見し ましたよ C あれ は 何から 材料 を 取ったです か。」 

「あれです か。 あれ は ゲスタ • 口 マノ ルム です。」 

「は あ、 ゲスタ • ロマ ノル ムで すか。」 

丄 み- 9,., かほ い かげん へんじ な, め きせる くミ 

淸水 がけ けんな 額 をしながら、 かう 好い加減な 返事 をす ると、 さっきから 鉈豆の 煙管で きな 臭 

キ-ざ ふ お ほゐ テニ ブ.^ へ つ ゑ 

い 刻み を 吹かせて ゐた大 井が、 卓子の 上へ 頻杖 をつ いて、 



なん ぶ る 一ん りよ とひ はふ 

「向 だい、 その ゲ スタ. ロマ ノル ム つて やつ は?」 と、 無遠慮な 問を拋 りつけ た。 

4 

4 

十三 

ちう せい でんせつ あつ ほん じふし ご せい キ- あ ひだ で き なにぶん げんぶん 

「中世の 俾說を 集めた 本でして ね。 十四 五 世紀の 問に 出來 たもの なんです が、 何 文 原文が ひどい 

t 雜甸 なんで —— 」 

「君に も 請め ないかい。」 

さんかう ほんやく たん 

「まあ、. どうにかで すね。 參考 にす る 飜譯も いろいろあります から。 —— 何でも チヨ ォサ ァゃシ 

ェ ク ス ピィァ も、 あれから 材料 を 採つ たんだ さう です。 ですから、 ゲ スタ • & マノ ルム だって、 中 

中莫 翻に は出來 ません よ。」 • 

「ぢゃ 君は少 くと も 材料 だけ は、 チヨ ォサァ や シェク スピィ ァと肩 を 並べて ゐ ると" ふ 次第 だ 

ね。」 , 

しゅんすけ い もんだ ふ き め- リ こと ひ V はっけん はなぶ さ : ゑ たいど •.: し ザ 

. 俊 助 はかう 云 ふ 問答 を 聞きながら、 妙な 事 を 一 っ發 見した。 それ は 花房の 聲ゃ能 A 度が、 不 m4 議 

h , 、らゐ ふぢ さは こくじ い 二と りこんび やう い はなぶ さ £さ 

- な 位, 澤に 酷似して ゐ ると 云 ふ 事だった。 もし 離魂病と 云 ふ ものが あると したならば 花房 は^ 



442 



に 藤澤の 離魂體 とも 見るべき 人 問だった。 が、 どちらが. si^ どちらが nl^^ だか、 その^の 

ti ド 、 1^:^:そ,/ 、 しゅんすけ み I こと , L 

際と, >r1eH:- になる と まだ 俊 助に ははつ きりと 見定め をつ ける 事が むづ かしかった。 だから g は. 

1^,11, さ ジ; i^〈 ) あ ひた とキ /,\ むね あか i ら キ- ふぢ さ. H ^/ み 

花房 のき さって ゐる間 も、 時々 胸の 赤蒂藏 をハ艰 にして ゐる藤 澤を儉 み 見す に は ゐられ なかった C 

すると 今度 は その 藤澤 が、 緣に a の あるきお で Sl<5 を I 队ん だく 口ち もと を&ぐ ひながら、 ; K た i. が 

ソロ イス 卜 まう む 

獨唱 家の 方 を 向いて、 

しぐ ォっ しろ とくべ つがう だ ぜんご こんどう ひと つづら てし -'? 、 > > 

1 この 匹 月に は 『城』 も特 號を 出します から、 その 前後に は 近 藤さん を 一 つ 頃 はせ て、 l^i チも; .v」 

ひら おも 

開かう と 思って ゐ ます。」 

「それ も 妙案です な。 が、 展覽會 い jfK ふと、 何です か、 やはり. i.^ のお Si だけ を —— 」 

「ええ、 5^ 艇 さんのお g« と、 ^厨さん や^が と —— それから^ I- のき さ!!^ g と を^^し 

ゝ I た ピ けいし やう またら t-: ぐ. てつく わ i 一と 

よう 力と E 化って ゐ るんで す。 唯、 さうな ると、 - 警視 鹿が 又 裸 |i 畫 は撤! ^じろ なぞと や, かまし い 車 

を 云 ひさう でして ね。」 

はく もくほんぐ わ だ いぢ やうぶ きみ はなふさ くん あぶら,. 1! き ナ_ん こと き 3- ,- I : T* 、,- 

「僕の 木版 畫は 大丈夫 だが、 君 や 花房 君の 油緯 は危險 だぜ。 殊に あの 『utli の 1^ きに iSf つち 

rj らん こと 

や —— あなた は あれ を御覽 になった 事が あります か。」 



" ほな めがね こんどう け, 1;., り は なが め しゅんすけ f 

3 かう 云って、 轟 服 鏡の 近 藤 は マドロス • パイプの 煙 を 吐きながら、 流し 眼に ぢろ りと 俊 助の 方 

4 

4 み しゅんすけ こた うち テ 一一 ブル むか ふぢ さは くち はさ 

を 見た。 と、 俊 助が まだ 答へ ない 內に、 卑 子の 向う から 藤 澤がロ を 挾んで、 

きみ -* 一 らん うちお め おも 

「そり や 君、 まだ 御 驚に ならない のです よ。 いづれ その 內に、 御 服に かけようと は 思って ゐ るん 

JCU すだ る? ほんうた まくら い ご らん こと し 

です が —— 安田さん は繪本 歌枕と 云 ふ もの を御覽 になった 事が あります か。 ありません? 私の 

た そ *ん れ なか いちまい さ うしょく てき か ゆ かた こんどう 

『utamaro の 黄昏』 は、 あの 中の 一 枚 を 装飾的に 描いた ものなん です。 In き 方 は —— と 近 藤さん 

い い 

あれ は 何と 云ったら 好 いんで せう。 モォ リス • ド 一一で もな し、 さう かと 云って —— 」 

こんどう 4- なめが ね うしろ め と し マ" ら かんがへ ふけ お,.!^/ \ , く ち ^ - 、 

近 藤 は 募 服 鏡の 後の 眼 を 閉ぢて 暫く 考に 耽って ゐ たが、 やがて 重 A しい 口 を かう とすると 

またお ほゐ よこ あ なたまめ 今-せる く は ま- * 

又大 井が 橫合 ひから、 鉈豆の 煙管 を啣 へた 儘で、 

きみ し <^厶 ぐ わ らんまう ちう しゃく ほどこ 

「っまり|_^;、 春靈 みた いなもの なんだら う。」 と、 亂 暴な 註釋を 施して しまった。 

ところ ふぢ さ は ぞんぐ わい ふく わい おも み れい _♦】 と ぶ き み, ほ \- や; 1^ , ぴ、 ま よ - 、- 

所が 藤澤は 存外 不快に も 思はなかった と 見えて、 例の 如く 無 叙 味な 程柔 しい 微笑 を 15 はせ たが 

ら、 

» 、ちぶん. H や し てん ビん お ほゐ さんせい 

「ええ、 さう 云へば 一 ^ 早い かも 知れません ね。」 T こ、 恬然と して 大 井に 贊 成した。 

上 , 



444 



十四 

なるほど おもしろ ヒ ころ > ゆ ノ, , , 

「成程、 そり や 面白さう だ。 n 所で どうで せう、 泰畫 どと ふ^は、 やつば り ぎぃぎっ の?; が. i 

達して ゐ るんで すか。」 

丄み. 5;- たづ しほ こんどう 、ぅぜ し iw 

淸 水力 力う 尋ねた の を 潮に、 近 藤 は 悠然と マ ス. パイプの; i を はたきながら、 ! j^l; の!^ 面 

-、、 Z ^";^ー.、 お. f むろ ; 5- いやう か ゑ かう しゃく はじ 

て もし さうな 聲で、 徐に 西洋の 恁 うした 畫 の講釋 をし 始めた。 

「一概に 春 畫と云 ひます が、 まあ ざっと 三種 類に 區別 する のが. 土 IS なので、 IIT は x〉<xx を Is 

ヽ: }、 ばいに, ぜんご ^ JW 、:? ? み广> . 

たもの 第二 は その 前後 だけ を 描いた もの、 |^?三は『早にズ X X ズを撕ぃたもの II 」 

俊 勿論 かう 云 ふ 話題に、 一 種の 義憤 を發 する I と、 liit 豕 でない には柩 |j なかった。 チ,, / 

かれ こんどう ぴ てきぎ ぜ>? しょう S , f 5 * 、 

も 彼に は 近 藤の 美的 偽善と も稱 すべき ものが —きの £ な ぼ g のぞ! 破^ を I 

ゆく わ 1 .tH ヒ . し 二つ ,, 

りつけ るの が、 不愉快だった の も 亦事實 だった。 だから jgs が i-jn^ になって、 さもが つの が、 

^i心ぅした畫にぁるゃぅな、 姚 ^はしい-口う #を湾 し と、 i 聯け はぎり 理 にも、 * 金ん, 口ち の I マに g 、れ て、 

顔をしかめない 譯には 行かなかった。 が、 ;^" i はそんな iJ! に は m に!^ がっかなかった ものと,;^ え 



かみ こ だい ギリシャ たうぐ わ しも きんだい フ ラ ン ス せきばんぐ わ か も 一 けいしき 

S て、 上 は 古代 X 布 職の 陶畫 から 下 は 近代 佛蘭 西の 石版 畫 まで、 ありと あらゆる 恁 うした 畫の 形式 を 

4 

4 、ち-,^ く は ^5-- つ 6 い 

一 々詳しく 說 明して から、 

おもしろ こと まじめ ,,タ ゑ 

「そこで 面白い 事に はです ね、 あの 萬 面目 さうな レム ブラント や,、 テ ユラ ァ までが、 斯うい ふ畫を 

描いて ゐ るんで す。 しかも レ ム ブラ ン 卜の やつなん ぞは、 やつば り慨の レ ム ブラ ン 卜 光線が、 ば 

いっか しょ お ふる い てんさい 

つと 一 筒 所に 落ちて ゐ るんだ から、 振って ゐるぢ やありません か。 つまり ああ 一. ムふ大 ォ でも、 や 

はう めん て だ くら ゐ ぞくき じふ ぶん てん われ/ \ に よ 

つ ばり こ の 方面 へ 手 を 出す 位な 俗氣は 十分 あ つたんで —— まあ、 その 點は 我々 と 似たり^ つ f 

だつ たんで せう。」 

しゅんすけ いよくき ぐる いま テェ プル うへ モ、 う ゑ なか め 

俊 助 は 愈 聞き苦しくな つた。 すると 今まで 卓子の 上へ 頰杖 をつ いて、 半ば 眼 をつ ぶって ゐた 

ぉほゐ ぱか び せう もら .i? 、び や 二ろ こる I だ 

大 井が、 にやり と莫迎 にした やうな 微笑 を:^ すと、 欠 仲 を嚼み 殺した やうな を 出して、 

きみ ついで われ/ \ どうやう へ だ い うしょう はつ ペラ み 

「おい、 君、 序に レム ブラン 卜もデ ユラ ァも、 我々 同 樣屁を 垂れた と 云 ふ考證 を發^ して 見ち や 

どう だ。」 . 

こんどう お ほ はなめがね う しろ け は し せん お ほ つ と お ほゐ いっかう へ、 かま な、 --ま 6 

路 近 藤 は 大きな 鼻阪 鏡の 後から、 險 しい 視線 を大 井へ 飛ばせた が、 大井は 一 向平 な 額で、 鉈お 

ir^ きせる 

. の垔ま をす ば すばやりながら、 



1 ぁズ) ひ ひゃくせ 1 ふんと-つ いつぼ す- おな へた ^-^ かれら かんお つ てんさ. - ン 

「或は 百 尺 竿頭 一歩 を 進めて、 同じく 屁 を 垂れる から、 君 も 彼等と ffl: 乙の ない 天お だと 號す るの 

も 洒落れ てゐる ぜ。」 

ぉほゐ くん たま 

「大井 君、 よし 給へ よ。」 . 

* お ほゐ い 

「大 井さん。 もう 好 いぢゃありません かノ」 

み 1-^ い ようす はなぶ さ ふぢ さは どうじ やさ こ ゑ だ お iy- ャ ろ 

見f、ねたと云--容^^で、 花房と 藤澤 とが、 同時に 柔 しい 聲を 出した。 と、 丸 井 は狡搰 さうな 1^ 

さ を こんどう かほ の;. ご 

で、 まつ 靑 になった 近 藤の 額 をぢろ ぢろ舰 きこみながら、 

しっけい ぽく なに きみ おこ つもり ノ ば- 

「こり や 失敬した ね。 僕 は 何も 君 を 怒らす 心算で 云った んぢ やな いんだが 11 いや、 ない 

み ち しき がいはく つと いふく た くら ゐ 3 二 -1 ま 

君の 知識の 該博な のに は、 夙に 敬服に 堪 へない 位なん だ。 だから まあ、 怒らないで くれず へ c」 

こんどつ しふ ねんぶ か くち つぐ チエ ブル うへ こう. -っ わ; つやわん う 4f J > 

近 藤 は 執念深く 口 を噤ん で、 卓子の 上の 紅茶 茶碗へ ぢ つと 眼を据 ゑて ゐ たが、 大井 がかう fy^ 、ふ 

どう £^ と, つ, ぜ、 んぃ す た あが あっけ と れんち う あと 、や で 、 

と 同時に 突然 校 子から 立ち上って、 呆氣に 取られて ゐる速 中 を 後に、 さっさと 部屋 を k て卞っ 

いち ざ たが ひ かほ み あは ま.. - しばら ち ひだ f ち もく え も 

てし まった。 丁 M は 互に 額 を 見合せ た 俊、 暫くの 間 は 氣まづ い 沈默を 守って ゐ なければ ならな か 

しゅんすけ そら- 「そぶ お ミゐ はう jC ご あ- VP « -.? フ ^ -r * 

+ つた。 が、 やがて 俊 助 は i4i 镰 いて ゐる大 井の 方へ、 ちょいと 額で 相 闘 をす ると、 _微||- を おんお 11 

4 二 ゑ 

4 な聲 で、 



チ、 お さき ご めん かう む 

7 「僕 は 御先へ 御免 を 蒙る から e ,11」 、 

4 

ゥ だう や かれ くち も へ. いしょ キ: たぶ-いご ことば 

これが 當夜, 彼の 口 を 洩れた、 最初の さう して 又 最後の 言葉だった ので ある" 

十五 

一 ご またい リし うかん た ,r ち しゅんすけ うへ § き でんしゃ な.,.." ぐうぜん たつこ かほ あは 

すると その後 又 一週間と 經 たない :2: に、 俊 助 は 上野 行の 電車の 中で、 偶然 辰 子と 顏を 合せた。 

はるさき A 一う-? やう め-つら ほこり, かぜ ふ 1 ご n I じんす け だいがく VI/ 二., - やた や が, ぷち 

それ は 春先の 東京に 珍しくない、 埃 風の 吹く 午後だった。 俊 助 は大學 から 銀 の八咫 尾へ 額緣 

ち うもん キ:. は かへ を はり,^ やう かど でんしゃ の りゃうが は せき うづ じょうかく な シ 

の 註文に 廻った 歸 りで、 尾 張 町の 角から 雷 車へ 乘 ると、 ぎっしり 刚 側の 席 を H めた 乘 客の 中に、 

たつこ さび かほみ かれ でんしゃ いりくち た とキ- かの. ちょ くろ キム シ 3 オル ひざ 

辰 子の 寂しい 額が 兑 えた。 彼が 電車の 入口に 立った 時、 彼女 はや はり 黑ぃ銷 の 肩懸を かけて、 膝 

うへ N じん ざっし め おと うち め あ 

の 上に ひろげた 婦人 雜 誌へ、 つ- - ましい 股 を 落して ゐる らしかった。 が、 その 內に ふと 肌 を 舉げ 

ちか つり,;" は さが かれ すがた なが たち ま かた も i くぼ ほ, - うか すわ てい" い 

て、 近くの 吊 皮に ぶら 下って ゐる 彼の 姿 を 眺める と、 忽ち 片饕 を頗に 浮べて、 坐った 儘、 叮 に 

. もくれい あたま さ しゅんすけ る" し 《;、 i V, ふ- あ ヒょう ふ, く お わ たつこ まへ つ?^ は 

默體の 頭 を 下げた。 俊 助 は 會釋を 返す より 先に、 こみ 合った 乘客を 押し分けて、 辰 子の 前の 吊 皮 

ん_ へ 手 を かけながら、 

h せんや へい ぽん あいさつ 

J 「先夜 は 11 」 と、 平凡に 挨拶した。 



一 私 こそ —— 」 

ふたり くち つぐ でんしお、 まど そと み ときぐ かビ だプ わ うら、 、ちめ; 

それぎ り 一 一人 は 口 を噤ん だ。 電車の 窓から 外 を 見る と、 時々 風が なぐれる 度に、 往來が 一 面に 

は ひいろ おも まな ぎんざ ど ほ まちなみ は ひいろ なか う あが V づ うし-; 

灰色になる。 と 思 ふと 又、 銀座 通りの 町並が、 その 灰色の 屮 から 浮き 上って、 崩れる やうに 後へ 

"^.^ ノ - P : 丄 5| &け い. はいけい まへ たんぜん すわ たつこ すがた しばら あ ひだみ おろ 

1^なれて行くc 俊 助 はさう 云 ふ 背景の 前に、 端然と 坐って ゐる辰 子の 姿 を、 哲 くの 問 下して ゐた 

ちんもく くつう お こんど ベ き がる てうし 

が やがて その 沈默 がそろ そろ 苦痛に なり 出した ので、 今度 はなる 可く; M 輕な 調子で、 

1U ふ 3 かへ で なほ み 

「今日は? 御歸 りです か。」 と、 出直して 見た。 

あに ところ くにもと あに で まゐ 

丁ち よいと 兄の 所 ま で —— 國許 の 兄が 出て 參 りました か ら。」 

がく t お やす 

「學校 は? 御休みで すか。」 

はじま らいげつ いっか 

一 まだ 始 りません の。 來 月の 五日からで すって。」 

し!^ > ^すに し, だい ふたり あ ひだ た にんぎ やうぎ こほり と /、 かん くわう こく や しんく 

俊 助 は 次第に 二人の 間の 他人行儀が、 氷の やうに 溶けて 來 るの を 感じた C と、 廣吿 屋の眞 紅の 

^,:> ^ ば- 3 えんべ まと かぜ .V: - また. - ま でんしゃ まど ふさ たつこ わう か かた おと 

か 嘛叭ゃ 太鼓の 音 を 風に 飛ばせながら、 瞬く 間 電車の 窓 を 塞いだ。 辰 子 は 储 に 肩 を 落して、 

) ま..^ そ, と かへ とき かのちよ ひ み ij ぶ な、 め くひ ひかり 5 ほの 

そっと 窓の 外 を ふり 返った。 その 時 彼女の 小さな 耳 菜が、 斜 にさして 來る n の 光 を 受けて、 仄か 

あか す み しゅんすけ うつく お も 

に 赤く 透いて 見えた。 俊 助 は それ を 美しい と つた。 



9 「先達 は、 あれから すぐに 御歸 りに なって。」 

4 

^ たつこ しゅんすけ かほ ひとみ かへ ひとな つか こも; に 

辰 子 は 俊 助の 額へ 隱を 返す と 、人懷 しい 聲 で かう 云つ た 。 

「ええ、 ,1 時 問ば かり ゐて歸 りました。」 

おたく ほんかう 

「御宅 はや はり 本 鄕?」 

もり,/!. はちゃう 

「さう です。 森 川^。」 

^ ふべ かく めいし たつこ て わた わた ときむ か て み 4- ファイア- 

俊 助 は 泡 服の 隱しを さぐって、 名刺 を 辰 子の 手へ 渡した。 渡す 時 向う の 手 を 見る と、 靑玉 を: < 

会い- ん S ぺ、 ォ ほ こ ゅぴ めぐ し; S ん す」,' キ たうつ く おも 

れた 金の 指環が、 細つ そりと その 小指 を繞 つて ゐた C 俊 助- それ も 亦 美しい と 思った。 

だいがく せいもん まへ よこち やう KT ち あそ 

「大學 の 正門 前 の 横町 です。 その 內に 遊びに いらっしゃい 。」 

「難 有う。 いづれ 初子さん とで も。」 

辰 子 は 名刺 を帶の 問へ 挾んで、 殆ど 聞えない やうた 返: 樂 をした。 

ぶノ * へたく ち . つぐ でんしゃ おと か J おと *ナ,- おと み. - かたむ し 二,.' 

二人 は 又 口 を 襟んで, 電車の 音と も 風の 音と もっかない 町の 音に 耳 を 傾けた C が、 俊 助 はこの 

に rt? 、め 、 . ^へ > > い. 5:」 マる かん わし かれ ちんもく なか ある やす かう 

路 二度目の 沈 を ^の やうに 自, ぶ 古しく は 感じなかった。 寧ろ 彼 は その 沈默の 中に、 或 安らかな 幸 

LJ* ふく そんざい あきら い しき 

_ 福の 存在 さ へ も 明かに 意識して ゐ たのだった。 



十六 

しゅんすけ げしゅく ほんが う もり か はちゃう ひ 4 くて キ ん い い つくく わく き;: U う. しへ し マ,.. や , /V. にじよ 

俊 助の 下宿 は 本 鄉森川 町で も、 比較的 閉靜な 一 15!: 劃に あった。 それ も 京橋逾 の洒: i£j の 隠 居所 を、 

..•^-dr ピて, > に, > い ふ もら た.. i たてぐ せ けんな み げしゅく くら はるか こ ぎ れ". で き あ ..A 

或傳 ザから 二階 だけ 贷 して 貰った ので、 疊 建具 も 世 問 並の 下宿に 比べる と、 造に 小^麗に 出來上 

^-- ' : . P や-くお ほ ヂスク あんら: い する ゐも みめた せう せま,、. 

つて ゐた〕 C ,は その^ 41 へ 大きな 西洋 机 や 安樂 椅子の 類 を 持ち こんで、 兑た 眼に は 多少 狭苦しい 

、_ゝ と 力く ゐ ごころ わる ていど せいやう ふう しょて, い : しら あ しょ パぃ かご しキ マパ 、 

か 兎に角 居、 七は惡 くない 程度の 西洋風な 書齋 を: iS へ 上げた。 が、 書齋を 飾るべき 色彩と 云って 

』、、 も, ぶ f1 よだ, *- リ丄 う やうし よ ぎ やうれ つ かべ ,"、 がく なか たいて-. 

は 唯 書:^ を $ ^めて ゐる 洋書の 行列が あるば かりで、 壁に 懸 つて ゐる 額の 中に も、 大抵 はあり ふ 

, せいやう めいぐ わ しゃしんばん す つね., 4>> ふ ふく .^^れ .;:-ょ 

れた 西洋 名畫 の寫眞 版が はいって ゐ るのに 過ぎなかった。 これに 常々 不服だった 彼 は、 そ. の り 

く メ;」 ゾな は; f か き へや ちう あう す よき チエ ブル うへ お -bo ナ ふ 

によく 草花の 剑を買 つて 來て は、 部 まの 中央に 据 ゑて ある 寄せ木の 卓子の 上へ いた。 ^に ゲ:: : 

, テュブ .ル う 〈 とう >A ご い さくら さう はち なん ぼん ほそ くき ぬ さき ぞくく あ^ 

も この 卓子の 上に は、 籐の 籠へ 人れ た樱 草の 鉢が、 何 本 も 細い 莖を抽 いた 先へ、 鼓々 とうす ま 

はな ちつ 

い 花を攢 めて ゐる C 

す だち やう C りた たつこ わか しゅんすけ いちじ . ん つち げしゅく にかい まどぎ は ダス ク ま、 す 

須田 町の 乘換で 辰 子と 分れた 俊 助 は、 一時 問の 後 この 下宿の 二階で、 窓際の^ 洋 机の 前へ 据ゑ 



巧 りズ てんい す こし おろ まんぜん きんぐち だぶ こ く ± かれ 4H へ よ しケ も:' 

た輪轉 椅子に 腰 を 下しながら、 漫然と 金口の 煙草 を啣 へて ゐた。 彼の 前に は 請み かけた 害 物が、 



ざ, つげ ぺェパ ァ ナイフ はさ * で ひら , 'ま、」 

I 象牙の 紙せ 小刀 を 挟んだ 傲、 さっきから ちゃんと ii いてあった。 が、 今の.^ に は、 その js^ ピ 詰ま 

つて ゐる 思想 を 咀嚼す る だけの 根 (淞 がなかった。 ^の 頭の もに は の^が、 ^^の 慰り の もつれ 

る やうに、 ^ぎまで も 観ぃ く, ひ聽 ザて ゐた。 ^に は その 聯^ f ^まや 船ま!^^の^で?^た 

ふうふく な ご , ごと み どうじ * たきた ざら お ほ ,A う. Jt く *w ヽ" ^ 

幸 S の名殘 りの 如く 見えた。 と 同時に 乂來 るべき、 ;史 にかき なが 幸 一 g の? き 歐れの I くも? I- え 7, の だ 

つた。 - 

- っノ、 も うへ • は ひざら に さんぽん す ん ぐち とき た、 ぎ よに- > n .t !., 

すると 机の 上の 灰皿に、 二三 本 吸 ひさしの 金口が たまった 時、 まづ. I ^俄 さう に 柳 子 g を In- る. お 

- > ^ 9 , たれ からかみ むか たちどま 

かして それから 誰か 唐紙の 向う へ 立 4:: つたけ は ひがす ると、 

き ふと こ も 5 

_ あい ゐ るか。」 と、 聞き慣れた 太い 聲 がした。 

ん」 ま 

「はいり 給へ。」 - 

俊 助が かう^へ る^も 1: たないで、 からりと5ハ^1の戯1が^くと、 if を^いた ぎせ がの 

チ, エブ, ル ン. £^ 、 ふと 。 むら すがた かた ゆす J 

卓子の! うに は もう 肥った 野 村の 姿が、 腐を搖 つて のそのそ はいって 來た。 

1 も か げん,、 わん なんど ご めん い ちょ "う ひ. V り で こ し t) ,- 

路 r 靜 だな。 玄關で 何度 御免と 言っても、 女中 一 人出て 來 ない。 仕方がない からとうとう、 g つて 

一 上って 來て しまった。」 



^^じ げしゅく 、き の むら まん べん へ や なか み * は し 5g んす. K § び ち,?,?,、、 r 

始めて この 下宿へ 來た野 村 は、 萬遍 なく 部屋の 中 を 廻して から、 俊 助 § 指 ざす 樂称 if, へ、 

お ほ しり す 

どっかり 大きな 尻を据 ゑた。 

-I お ほ,^ た よちう、. - またつ か い し- S じん いんきょ つんぼ ない く f 一 6 ん ぐら ゐ つう 

r 大 女中が 又 使 ひに でも 行って ゐ たんだら う。 主人の 隱 居は聲 だから、 中々 御免 位ぢゃ 通じ や 

今-み がく かう かへ 、 

しない。 . I 君は學 校の 歸 りか。」 

しゅん すげ テ エブル うへ せいやう ちゃ だう ぐ も だ つ むら せ-ふく. -.' がた め 

俊 助 は 卓子の 上 へ 西洋の 茶道具 を 持ち出しながら、 ちょいと 野 村の 制服 姿 へ^をやった" 

「ヽ r- 、け、 ふ: -ン 、 ゝ へ,. V - 一 vli おも あ さ つ て ちゃう どお ゃぢ きん くわいき あた 

1 V や 今日は これから 國へ歸 つて 來 ようと つて 11 明 後 曰が 丁度 親父の 三!: 忌に 當る もの だ 

ゝ, 3 一 

力、 レ- 」 

だいへん きみ くに かへ ひとし ごと 

「そり ゃ大變 だな。 君の 國ぢ ゃ歸る だけで も 一 仕事 だ。」 

なに * はう な へいき と かく ゐ, か ねんき なん 、 

「何 その 方 は 慣れて ゐ るから 平氣 だが、 见角 田舍の 年忌と か 何とか 云 ふやつ は —— 」 

Q むら まへ もつ へきえき ひ ろう - ごと きんがんき やう うしろ キ-ゅ ,A またき ^ 

野 村 は 前: て 辟易 を 披露す る 如く、 近眼鏡の 後の 眉 を ひそめて 見せた が、 すぐに 又 氣を變 へて、 

ところ く きみ ひと だの こと よ 

「所で 僕 は 君に 一 つ、 頼みたい 事が あって 寄った の だが- ——」 



3 r 佝 だい、 改まって。」 

5 

4 しゅんすけ 二う. ゃぢ やわん の むら まへ お じ ぶん 一 M! ブル まへ いす ざし ふしぎ あ ひ VJ 

俊 助 は 紅茶 茶碗 を 野 村の 前へ ii^ くと、 自分 も 卓子の 前の 椅子へ 座 を 占めて、 不 m 心 議 さう に 相手 

かほ め そ V 

の 額へ 服 を 注いだ。 

「改まりなん ぞ しゃしな いさ。」 

むら か へ きょうしゅく -. '一 ぶ がり あたま な ま は 

野 村 は:^ つて 恐縮ら しく、 五分 刈の 頭 を 撫で 廻した が、 

じつ れい てん や, T ゐんゅ いっけん きみ く ,ij は はつ こ つ い 

「實は 例の 繊狂院 行きの 一 件なん だが 11 ど うだらう。 君が 僕の 代りに 初子さん を述れ て:;;: つて、 

み まく は ふ ゆ なんかん いっしう.^ ん かへ 

見せて やってくれ ないか。 傑 は 今日 行く と、 何 だ 彼 だで 一週 問ば かり は、 とても 歸られ さう もな 

ヽ ン、、 こ、, ク 一 

ん た 力に- 」 

こま いっしう かんくら ゐ かへ きみ つゆい 

「そり や 困る よ。 一週間 位 かかった つて、 歸 つてから、 君が 連れて行き や 好 いぢ やない か。」 

「所が 初子さん は、 一日 も 早く 見たい と!, K つて ゐ るんだ。」 

の わら じ. - さいこ ま かほ しばら かべ な i しゃしんばん じゅん/ \ め 

野 村 は實際 困った やうな 顏 をして、 暫く は 壁に 懸 つて ゐ る寫眞 版へ、 順々 に 眼 をく ばって ゐた 

が、 やがて その 服が レオナルドの レダ まで I;;: くと、 

路 * 

t きみ たつ-一 に いぐ わい はう めん だんぺい おと 

- 「おや、 ぁれはl;^;、 - お子さん に似て ゐるぢ やない か。」 と、 意外な 方面へ 談柄を 落した。 



454 



ほく おも 

「さう かね" 僕 はさう とも 思 はない が。」 

ル け、 > -ンた 、 -. , あざら うそ い じ -A ノ、 もちろ,;" il 

俊^ は 力う 答へ ながら 明かに 噓を ついて ゐ ると 云 ふ自覺 があった。 それ は 勿^ とって、 

でもし ろ じ かノ、 さう ゐ どうじ まな ナ r ひ s>f うすん .e-/,-,- 一 

面白くない 自覺に は 相違なかった。 が、 同時に 又、 小さな iEI^ をして ゐる やう なぜ g が腊 んでゐ 

たの も事實 だった e . 

「-」 、 " に、 3 す こ たつこ ふと 

一^て ゐる。 似て ゐる。 もう 少し 辰 子さん が 肥って ゐり や、 あれに そっくり だ。」 

p^^ -^^^^MA^ ^ >rd ばら X、 ii> ふ - あと こんど め さくら V.- うまち ±ら そ- - 

肝 4? は 近 肚齡の 下 力ら 暫く レグを ffl: いで ゐた 後で、 今度 は その 眼を樱 草の^へ やる と、 麼の. 

から 大きな i(l を ついて、 

「 ^ ねソ^^ゃ I か-う 一. めん ひと あんない やく ひ う ,< く *. も . 

一とうた 年來の 好誼に 免じて、 一 つ 案 內役を 引き;, (又け て くれない か。 Is もう s?; が 5;: つてく, 丄 

) お, - 、 むね こ て がみ つうち 

る ものと つ て その d:: を 初子さん まで 手紙で 通知して しまつ たんだが。」 

しゅんすけ した さき キ, み .,s- つて , こと i 

俊 助の 舌の 先に は、 「そり や 君の 勝手 ぢ やない か」 と .It ふ 言 紫が あった。 が、 その 言 紫が まだ,:! 

,^,レと ゝ 口" に 、 -U :、 15 め ivi なか、 ほつ あ ひだ ふしめ たつ-一 ",がた .5,- や う" あが t 

に 外 〈41 ない:^ に 彼の 頭の 中へ は 刹那の 間、 伏目に なった 一;K 子の 姿が 鮮 かに 浮び 上って 來た。 

、-ゃ 1: ズ . ノ、, - は ひて- つぶ? • ごと つ むら あんらくい す ひち ^zx 

と 殆ど それが 相 ザに 通じた かの 如く、 野 村 は 安樂 椅子の 肘 を 叩きながら、 

「初子さん 一人なら、 そり や; かやの 辟易す るの も 無理 はない が、 辰 子さん も 多" お —— いや、 きっと 



5 , 一 しょ にれ くって 云って ゐ たから、 その 邊の 心配 は? < らたいんだ がね。」 

4X しゅん. W け -ー う ちゃちゃわん てのひら つ i、 しギ * ら あ ひだかん が ゆ ゆ もんだい かんが いや どこと わ 

俊 助 は 紅茶 茶碗 を 掌に 載せた 俊、 暫くの 間考 へた。 行く 行かない の 問題 を考 へる のか、 一度 斷 

い らい *fe ひきう だめ しか こうじつ かんが かれ はんぜん こ V ろ 

つた 依 頓を又 引受ける 爲に、 然るべき 口 實を考 へ るの か —— それ も 彼に は 判然し ないやうな 心 も 

ちがした。 

「そり や 5; つても ^いが。」 

がれ ヂん きん , ^れ じしんは い あとお ことば そ 

彼 は 現金す ぎる 彼 自身 を恥ぢ ながら、 かう 云った 後で、 追 ひかけ る やうに 言葉 を 添へ すに はゐ 

られ なかった。 

「さう すり や、 久しぶりで 新田に も會 へる から。」 

「やれ、 やれ、 これで やっと 安心した。」 

の む" .c-it ボ クン ふた み は-つ はじ -7,- ちゃ ちゃわん くち 

野 村 はさ も ほっとし たらしく、 胸の 鈕を 二つ 三つ 外す と、 始めて 紅茶 茶碗 を 口へ つけた。 

十八 

上 ひ 

. 「曰 は ァ。」 



けメ め: .9 ら てのひら >- うす-や ちゃわん と やす 

俊お の 眼 はま だ 野 村よりも、 掌の 紅茶 茶碗へ 止まり 易かった。 

「來 週の 水曜日 午後から とョふ 事に なって ゐ るんだ が、 君の 都$ ダ惡 るけ り や、 か ¥S 

に繰變 へても 好い。」 

「なに、 すゐ え-つ ちゃう どぼく はう かう.. き ひ くりよ, り JM く .7 つ で 

「何 水曜なら 丁度 僕の 方 も 講義の ない 口 だ 。それで II と、 栗 ぼさんへ は 僕の 方から 出かけ 

て 行く のか。」. 

q . ^ら あ ひズ まゆ あ ひだ おも き わる へう じ やう み ic レー 

野 村 は 相 ザの 眉の 間にある、 思 ひ 切りの 惡、 い 表情 を 見 力 めさなかった。 

ナ リカ こ 、 き もら だいいち よう みちじ ゆ/? 

一 いや 向う から 此處へ 來て骨 巧 はう。 第 一 その 方が 道順 だから ピ 

し ん すけ i;; ま うな 一つ しばら かんきゃく ェ. チプト fef 二 ひ ± じ 

俊 助 は is- つて 银 いた 儘、 暫く 閑却され て ゐた埃 及 煙草へ 火 をつ けた C それから 始めて のびのび 

い す ヰ) あたま もた 

と 椅子の 背に 頭を義 せながら、 

,J ^一み そ-つげ ふろん ぶん まった べつ ナ- う, ん わ ir-- ,^,,ヒく 

「 ! ^はもう 卒業論文へ とりかかった のか。」 と、 全く 別な 方面へ 話!! を^ 拓 した。 

「本 だけ は ぼ つぼつ 讀 んでゐ る が 11 何時に なったら 考 へが 纏る か、 自 八^でも ち よ い と^1^|^が つ 

こと 一 ごろ ぞくようた たん 

かない。 殊に この頃の やうに 俗用 多端 ぢゃ 11 」 

1* むら め また ひや,;^ ノ ナ ね,? >A んすナ あんぐ, f '、ま 

かう 云 ひかけ た 野 村の 眼に は、 叉冷評されはしなぃかと:^^ふ^念がぁった。 が、 ^助 ぼ 案外^ 



7 面目な 調子で、 

「多 I 11 と 云 ふと?」 と 問 ひ 返した C 

きみ ± な ? ヽ ^ ^ いま くに f:i く だいがく そつげ ふ 

「君に はま だ 話さなかった かな。 僕の 母が 今 は 國にゐ るが、 僕で も 大學を 卒業したら、 こちらへ 

で そいつ い くに でん ぢ なに せいり 

出て 來て、 一し よに ならう と: ム ふんで ね。 それに ゃ國の 田地 や 何 かも 整理し なけり やなら ないか 

二ん ど おや ぢ ねんき 0:^ めんだ う み ゆ つもり い もん い 

ら、 八/度 はま あ 親父の 年忌 を 兼ねて、 その 面倒 も 見に く 心算なん だ。 どうも かう 云 ふ問题 にな 

なか/ ヽ てつがくし いっさつ よ かんたん わけ い --ま 

ると、 中 々折!: 學史の 一 册も讀 む やうな、 簡 m な譯 にや 行かな いんだから 困る。」 

こと きみ せいかく にんげん 

「そり やさ うだらう。 殊に 君の やうな 性格の 人間に や I」 

しゅんす は おな とう キ- やう かう \ー うがく かう つく ゑ なら ?、 わんけ い なに むらい つか い 力 

^助 は 同じ 東京の 高等 學 校で 机 を 並べて ゐた關 係から、 何 かにつ けて 野 村 一 家の 立ち入った 家 

庭の 事情な ど を、 聞かせられる 機會が 多かった C 野 村 家と へば.!: 國の 南部で は、 名な 舊 家の 

ひと い こと かれ ち、 .t 一いた う くわん けい いらい たせう か さん かたむ なほ きんが-つ くつ 

一 つ だと 云 ふ 事、 彼の 父が 政 黨に關 係して 以來、 多少 は 家産が 傾いた が、 それでも 猶近鄕 では 屈 

し ぶ „ ^んじ や v,-,i^ ゐ ノ こと はつ-一 ^ X くり はら かれ は乂 はらち が ひ おとうと せ いぢ J 尸 こんにち ゐ 

指の 分限者に 相違ない と 云 ふ 事、 子の 父の 栗 原 は 彼の 母の 異腹の で、 政治家と して 今日の 位 

ち 二ぎ ひと かた むら ち > -让ゎ い こと ャ,、 ぼつ- •) ど こ 

置に i5 つける までに は、 一方なら す 野 村の 父の 話に なって ゐ ると 云 ふ その 父の 殁後 何虚か 

路 

h せ ふふく こ な C をん な で き いちじ めんだ う そしょう た こと い 

J から 妾腹の 子と 名乘る 女が 出て 來て、 一 時 は 面倒な 訴訟 沙汰に さへ なった 蔡が あると 云 ふ 事 —.1 



458 



をく 野つ 

出て m 

た が 
% 止と 

m め 
とひ る 

う の 
に も 

風^ 聞 さ 十 
が か 九 

落お す 
ち 、 

て 俊 :5 

助^ 

往な はけ 

來, ら. 鳥 さ 

に 打^ 

は 帽ま 

m に 

寒さ ィ 
い ン 

曰 ひ バ 

の ネ 

フヽ 

が を 
、 ひ 

う つ 
す 力、 
明 ま け 
くるて 
ァ 、 

フ、 彼 }1 
フ と 

ァ 一 
ル し 
卜 よ 
の に 
上ノ、 森り 
を 川?^ 

m. 町; 
れ の 
て 下げ 



さう ik ふいろ いろな 消息に 通じて ゐる俊 助 は、 今 又 野 村の it を?!^ として ゐ る!^ ぎに も、 ど C- 

.u^'> . ^おか I ほ 1- さう ざう で き 一 r ろ 

程 複雜な 問題が 蟠ま つて ゐ るか、 略 想像 出來る やうな 心 もちが した。 

1 、、 .^ぅ い j ん どころ さわ 

「まつせ £ 分はシ ュ ライエル マツへ ル 所の 騷ぎぢ やな ささう だ。」 

r シュ ライエル マツ ヘル?」 

ぼく そつげ ふろん ぶん 

「僕の 卒業論文 さ。」 

野: e はぐ ポ のな ささうな 聲を 出す と、 ぐったり 五" が^の 頭 を げて、 が、 ルれの SJh^ を i めて ゐ たが、 

, 、_ げ.^ き ー, くわい ふく むね きん ボタン な vH 

やかて 元 4 外 を 恢復した らしく、 胸の 金鈕を かけ 1^, して、 

「もう そろそろ 出かけな くつち や。 II ぢゃ や^ ig きの んは、 f およろ しく^!^ ら つて くれ 

たま 

へ 一;: / 一 

糸 ^ し 



5 

4 ふたり でんしゃ ちう あうて いしゃ ゲ> やう い むら さ キ a ん t: かばう わた でんとう 

二人 は 電車で 中央 停車場へ 1::;: つた。 野 村の 下げて ゐた飽 を 赤 幅に 渡して、 もう. ま燈 のと もって 

に とう 4- ち あ ひしつ い み かべ うへ と けい はり はっしゃ じ こく だいぶ とほ ところ V- 

ゐる 二. 等 待合室へ 行って 見る と、 壁の 上の 時計の 針が、 まだ 發 車の 時刻に は 大分 遠い 所 を 指して. 

ゐた。 俊 助 は 立った 俊、 ちょいと 額 を その 針の 方へ しゃくって 見せた C 

「どう だ、 晚飯を 食って 〔I;: つて は。」 

「さう さな。 それ も惡く はない。」 

の わら せいふく く とけい さ 4>バ , ^へ み くら 

野 村 は 制服の 隠しから 時計 を 出して、 壁の 上のと 見比べて ゐ たが、 

きみ むか ま たま ぽく さき きっぷ か く 

「ぢゃ は 向う で 待って ゐて くれ 給へ。 僕 は 先へ 切符 を賈 つ て 來 るから 。」 

しゅんすけ ひと ち あ ひしつ そば しょく だう い しょく だう ほ とん まん ゐん れ いりくち た 

俊 助は獨 りで 待合室の 側の 食堂へ 行った。 食堂 は 殆ど 滿 員だった。 それでも 彼が 入口に 立って-. 

しゅん.:^ ゆん し せん た t よ き き きふ じ ひとり て ぢか テ エブル くぅ1^-き をし 

遂 巡 の 視線 を 漂 はせ てゐ ると、 氣の 利いた 給仕が 一 人、 すぐに 手近の 卑 子に 穴 十 肱が あるの を敎 . 

テェ ブル すで じつげ ふか ふうふ むか あ -? -- 

へて くれた。 が、 そのい:: 十 子に は、 旣に實 業 家ら しい 夫婦 づれ が、 向 ひ 合って フォク を 動かして ゐ 

^ た。 彼 は 四 洋風に 遠慮した いと 思った が、 外に 腰 を 下す 所がない ので、 やむ を 得す 其處へ 述 らせ 

t もら こと も J と あ ひて ふうふ かくべつめ いわく ようす いちりん ざ さくら へだ 

J て 貰 ふ 事に した。 尤も 相手の 夫婦 づれ は、 格別 迷惑ら しい 容子 もな く、 一 輪插 しの 樱を隨 てなが 



おほさ か ベ ん しきり し や ベ 

, ら、 大阪 辯で 頻に 饒舌って ゐた。 

きふ じ 十.' うもん き ゆ ま Q むら ゆ ふかん に さんまい いそが き 

給仕が 註文 を 聞いて 行 くと、 間もなく 野 村が 夕刊 を 二三 枚つ かんで、 忙し さう に はいって 來たレ 

かれ しゅんすけ U る $ あ ひて ゐ ば しょ き これ りんせき ふ-つ ふ とん ぢ や,、 

彼 は 俊 助に 聲を かけられて、 やっと 相手の 居場所に 氣 がっくと、 之 は 隣席の 夫婦 づれ にも 頓^な 

む ざう さ いす よ 

く、 無造作に 椅子 を ひき 寄せて、 

いま きっぷ か お ほゐ くん に ひと み せんせい 

「今、 切符 を 買って ゐ たら、 大井 君に よく 似た 人 を 見かけた が、 まさか 先生 ぢゃ あるまい な。」 

ていしゃば こ かぎ 

r 大井 だって、 停車場へ 來な いと は 限らない さ。」 

なん をん な 

「いや、 何でも 女づれ らしかった から。」 

そ こ き ,*-た り お ほゐ かんきゃく あらし やま さくら はや せ と つり 

其處へ スゥ プが來 た。 二人 は それぎ り 大井を 閑却して、 嵐 山の 樱は まだ 早から うの、 湘戶. S の 

き せん もしろ はる たび はなし Q か うち G むら さら か は 

汽船 は 面白から うのと、 春めいた 旅の 話へ 乘り換 へて しまった。 すると その 內に、 野 村が 皿の 變 

ま きふ おも だ い てうし 

るの を 待ちながら、 急に 思 ひ 出した と 云 ふ 調子で、 

い *、 はつ こ ところ れい けん でんわ い お 

「今 初子 さ ん の 所へ 例 の 件 を 電話で さう 云って 置いた。」 

r ぢゃ 今日は 誰も 送りに 來 ないか。」 

^ 「來る もの か。 何故?」 



な ぜ き しゅんすけ へんじ きゅう ほか 

1 何故と 尋 かれる と、 俊 助 も 返事に 窮す るより 外はなかった C 

6 

4 くり はら け さ て がみ だ ノ、 に かへ なん い てがみ 

「栗 原へ は 今朝 手紙 を 出す まで、 國へ歸 ると も 何とも 云つ ちゃな かったん だから 11 その 手紙 も 

でんわき す こ と, 

電話で 聞く と、 もう 少し さっき 屆 いたば かりださ うだ。」 

の むら おく こ はつ こ ため べん.. い らう と < てう 

野 村 はまる で 送りに 來 ない 初子の 爲に、 辯 解の 勞を 執る やうな 口調だった。 

だう り は ,i たつこ あ なん い はなし き 

「さう か。 道理で 今 子さん に 過った が 何とも さう 云 ふ 話 は 聞かなかった。」 

n お子さんに 遇った? ^時?」 

ひる でんしゃ なか 

「午す ぎに 電車の 中で。」 

し。 ん すけ : た げしゅく たつこ はなし で -^"itj な ビ いま こと だ i 

俊 助 はかう 答へ ながら、 さっき 下宿で 辰 子の 話が 出た にも 關ら す、 何故 今まで こんな 事 を默っ 

かんが . ^れじ しん t 、,つ ぜん こ い はんだん 

てゐ たの だら うと 考 へた。 が、 それ は 彼 自身に も 偶然 か 故意 か、 判斷 がつ けられなかった。 

二十 

うへ れ. !' 一 ごと み おく ひ. げ れ らが た うごめ 

プラット フ才 ォムの 上に は 例の 如く、 見送りの 人影が 群って ゐた。 さう して それが 絶えす 惠ぃ 

. 1 一 うへ でんとう れっしゃ まど ひと あかる きぬ むら まど く 

" てゐる 上に、 電燈 のと もった 列車の 窓が、 一 つづつ 明く 切り 拔 かれて ゐた。 野 村 も その 窓から 贯 



, だ 1 ゝ そ, と - ) しゅんすけ ふたことみ ことおち つ ことば かう くわん ん, れら ふた" しう. 3 

を 屮1 して 外に 立って ゐる俊 助と、 ニー 一一 一 〔三 言 落着かない 言葉 を 交換した。 i 等 は ?〕 人と も、 周 

V;.? しゅう き J えいき やう はっしゃ まち ど ほ まち どま 、 J し, 9- fcb^- .V -? 

の 群集の I* もちに 影響され て、 發 車が 待 遠い やうな、 待 遠, くない やうな、 I 一 種れ 慌 しさ を #1 じす 

こと しゅんすけ はなし と ぎ f ,>-c でき、 6 V. ノリ > ヒ :: 

に ゐられ なかった。 殊に 俊 助 は 話が 途切れる と、 殆ど 敵 f 曰 あある やうな ぼで、 左1右の^^1|を1め 

: ■ X げ だ そこな 

ながら もどかし さう に 下駄の 底 を 鳴らして ゐた。 

- つち はっしゃ ベル ひ s.- 

その 內 にやつ と發 車の 電鈴が 響いた。 

い きた ま 

r ぢゃ 行って 來 給へ。」 

しゅんすけ とりうち ばう ひさし て 

俊 助 は 鳥 打帽の 庇へ 手 を かけた。 

「し,〕.^ に. >ん つ. 卞, ん なにぶん ねが の. 2;- いつ あらた /、 V- う ぁゾ 

I 失敬、 ^の 一件 は 何分よ ろしく 願 ひます。」 と、 野 村 は 河 時に なく、 改まった 口調で 4^1^ した。 

今 しゃ ,つ-ご だ しゅんす は い つ レ V: 七 ま ち 

汽車 はすぐ に 動き 出した。 俊 助 は 何時までも プラット フォ ォムに 立って、 次第に^ ざ かって r 

Gr 力ら み, おべ ほ ..Jl かんしゃう へき とら -, つど とりう 42- う ひ? - て 

く 野 村 を 見送る 程、 感傷 癖に 囚 はれて はゐ なかった。 だから 彼 はもう 一度.;:! 打 懂 の 庇へ. 乎 を かけ 

み:.^" ひとかげ まじ いりくち いしだん はう ある だ 

ると 未練な く あたりの 人影に 交って、 入口の 石段の 方へ 步き 出した。 

; 9 とき れ まへ とほ き しゃ まど め おも そこ i?-MJ ちつで 

-カ その 時 ふと 彼の 前 を 通りす ぎる 汽車の 窓が 眼に はいると、 思 ひがけす 其 處には 力が!. <i、 

'> y / ひしつ- まどわ,、 もな ヘンケ チ ふ み しゅんす ナ おも 'し A- 

力 マ ントの 肘 を 窓枠に 靠 せながら、 乎 巾 を つて ゐ るの が兑 えた C 俊 助ば はす:: え を 4.* めた。 



どうじ お ほゐ み いの むら ことば おも だ お ほゐ T ゆ N: すに すがた 

.3 と 同時に さっき 大井を 見かけた と 云 ふ 野 村の 言葉 を 思 ひ 出した。 けれども 大井は 俊 助の 姿に ぐ湫が 

6 

4 みみみ きしゃ まど とも とほ し キリ 〈ン ケチ ふ つ 

つかなかった ものと 見えて、 見る見る 汽車の 窓と 共に 遠くな りながら も、 頻に乎 巾 を 振り 緩け て 

しゅんすけ きつね き ばう ぜん あと み おく ほか 

ゐた。 俊 助 は 狐に つままれ たやうな 氣 がして、 茫然と その後 を 見送る より 外はなかった。 

ショック /、わい ふく とき しゅんす は こ、 ろ なに ハンケ チ ひらめ おう あ ひて ぶっしょく 

が、 この 衝 動から 恢 役した 時、 俊 助の 心 は 何よりも、 その 乎 巾の 問き に應 すべき 相 V^M ゲ J 物色す 

-. そが Jl" れ かた そび や ^んコ さ いう な だ だ み お,、 にん なか し 

るのに 忙しかった。 彼 は インバネスの 肩を聲 かせて、 前後左右に 雪崩れ 出した 见 送り 人の 屮へ 

せん と もちろん かれ あたま ま をん な い の むら こと, -i こ 

線 を 飛ばせた。 勿論 彼の 頭の 中には、 女 づれの やうだった と 云 ふ 野 村の. 言 紫が 殘 つて ゐた。 しか 

をん な すがた ざが み あた い をん な い 3 

しそれ らしい 女の 姿 を、 いくら 探しても 見當ら なかった。 と 云 ふよりも それらし い 女が、 何時も 

ひ \ -.^ げ あ ひだ か は ほんた う あ ひて ズ:. C はん ペリ 

人影の 問に うろうろして ゐた。 さう して その代り どれが 本営の 相手 だか、 更に 判別が つかな かつ 

かれ ぶっしょく だんねん 

た。 彼 はとうとう 物色 を斷 念し なければ ならなかった。 

ちう あうて いしゃち やう そと で さ: る うち お ほ ほしづきよ あ ふ とき しゅん すげ ふ し や! こ、 ろ 

中央 停車場の 外へ 出て、 丸の 內の 大きな 星月夜 を 仰いだ 時 も、 俊 助 はま ださつ きの 不思議な 心 

まった じ いう かれ お ほゐ き しゃ あは い こと 

もちから、 全く 自由に はなって ゐ なかった。 彼に は大 井が その 汽車へ 乘り 合せて ゐ たと" ム ふ^ょ 

t しゃ 4H ど 《ン ケチ ふ い こと - 一つけ い くら ゐ むじゅん かん あた ち/、 ひ 

& り、 汽車の 窓で 手 巾 を 板って ゐ たと 云 ふ 事が、 滑稽な 位 矛盾な 感を與 へる ものだった。 ぁの恶 辣 

■ が 

♦LJ に Z げん もつ じた 七 も ゆる お ほゐ あつ を し, t ゐ ま ね 

J な 人 を 以て 自他共に許して ゐる大 井 篤 夫が、 どうして あんな 芝 じみた 眞似 をして ゐ たの だら 



c f/!^ ひ、 ひ t」 、、ォ . ^け や-一 バーば じつ さんぐ わい しゃう お-き セン ティ メリク リスト し I: し i ぐ 

う。 或は 人が 惡 いのは 附燒 刃で、 實は 存外 正直な 感傷主義者が 正體 かも 知れない。 I . ^耿 ぼい 

4, で、、 ^ あ ひだ まよ しんかいち ひろ だう ろ まり/ -ー 、 で らしゃ つ 

ろい ろな 臆, 抑の 間に 迷 ひながら、 新開地の やうな 廣ぃ 道路 を、 へお 靴まで!;;;: つて 電車に。 乘 つた。 

い!^",^;: ハ じつお ベ 小が;.、、, t) » ま 、f- ゆん ぶん. y わ きょうつう てつがくが いろん けうし つ さくや しす-じ きふ かう の ± す 

力 翌日 大學へ 行く と、 彼 は 純 文科に 共通な 哲學 概論の 敎窒 で、 昨夜 七 時の 急行へ 乘 つた I? の 

ぉほゐ * へた K1 も あよ 

大 井と、 叉 思 ひがけな く 額 を 合せた。 

二十 一 

そのが gt?i、 き f り も 1 藤 i れ たので、 囊 をめ ぐった iliil^ も、 Tir のっ^ 

に 坐らなければ ならな かつ た。 所が 其處 へ 坐 つ て ^ ると、 なぞ へ に はう へ くな つ たぺ 一 ヨ^ * ま の 

っバ み な、 , くろ も めん もんつき す wr づ, 0; i K- も V: 

机に 見慣れた 黑 木綿の 紋附 が、 澄まして 頻杖 をつ いて ゐた。 ^称ば おやと i 心った。 それから 昨 

や ちう あうて いしやち やう み お まゐ あつ を -, b ニー 

夜 中央 停車場で 見かけた の は、 大井 篤夫ぢ やなかった のか しらと ぎった。 が、 すぐに * 乂: いや、 

ぉほゐ ちが おも かへ < ンズゃ N I t*, 

やはり 大 井に 違 ひなかつ たと 思 ひ 返した。 さう したら、 彼が 手: E を 撥って ゐ るの を, U た i よりも、 

いっそうき つね - こ.. -ろ . 

一 曆狈 につま まれた やうな 心 もちに なった。 

その 內に大 井 は 何 かの 拍子に、 ぐるりと こちらへ 振 i つた。. i を if- ると、 倒の- H く, ^..^ti な 



へう ひやう ,s ん すけ たう ぜん へう じ やう めう め-つら ん-ん > ぁ 二; 

5 表情が あった。 俊 2^- は當然 なるべき この 衮情を 妙に もの 珍しく 感じな が ら 、「や あ」, •」 ゾム ふ: IJ^ii; を 

^ め 、 おく お ほゐ くろ も めん もんつき ク" た rr レ あご も: しゃく キ、,、 

眼で. 送った。 と、 大 井も黑 木綿の 紋附の 肩 越に、 額で ちょいと/碑 釋 をした が、 それなり 又に: i う を 

む 、 となり せいふく がくせい なに はなし はじ し <p- ん. u- ナ 今ム V くや > ンナし た -V 

向いて 隣に ゐた 制服の 學 生と、 何 か 話 をし 始めたら しかった。 俊 助ば えに 昨夜の,. 一 5: を^め た 

い 氣が强 くな つて 來た。 が、 その 爲に わざわざ 席 を 離れる の は、 i 倒で も あるし、 11^1 ぶく々 しく 

もあった。 そこで 萬 年 筆へ インク を 吸 はせ ながら、 聊か 腰 を げ;^ 、ねて ゐ ると、 竹 を Ik 

ィ- いうめ い ::: うじ ゆ ノ、 -っ かばん こ ゎキ- か、 そと さ 

して ゐる、 有名な, -敎授 が、 黑ぃ袍 を 小脇に 抱へ て、 のそのそ 外から はいって # てし まった。 

"i,,^ 化 f ゆ V つがく しゃ い むし ヒ, げ ふか ふつ.: い f 二 ひ 

L 敎授は 祈:: 學 者と 云 ふよりも、 寧ろ 實業 {ぞ りしい 風采 を 倫へ てゐ た。 それが その:!: の やうに、 

り- ハ,^ う -ー つや せ びろ いつす. - やく きん ゆびわ て う, ご ん な % さう, A う と iL」 

流行の 茶の 背廣を 一 着して、 金の 指環 を はめた 乎 を 動かしながら、 鞭の 巾の 卓 % を 取り したり 

, - _ ん うだん じ わ-つ/ つし ろ た み - -、。 ひ,:? 

などして ゐ ると、 殊に 講 堉: より は 事務机の 後に 立た せて; nj- たいやうな 心 もちが した。 が、 0^ 

"i^^w > ふ,^さ.小 かつせ ふ そ C めん vr つ ごつ がく カテゴリ ィ ぎ,;: ん よじ しゅん. r す せつもん え、.,. I 

敎授の 風采と は 沒交涉 に、 其 面倒な カント 折 :! 學 の範嗜 の 議論から 始められた。 俊 助ば の i 充ハぐ 

力つ、 メ;^ ギー か S でつ がく ぴ がく かつぎ ちうじつ がくせい -- じ t .a:-v-- 

學 のま 義 よりも 反って 哲學 ゃ美學 の 講義 に 忠實 な學生 だ つ た か ら ざっと T : 時 ばか リの il、, 

わに しん まんねんひつ o ご て ぎ は -と、 t ごと .-i ,r 

路 寧 心に 萬 年 筆 を 動かして、 手際よ く ノオト を 取って!: n つた。 それでも 八:: ひ 問 毎に 1 を けて、 こ 

上 れは婦 S をつ いたぎ にぺ ンを g はない らしい お I. へ gg^:^^ める と、 お,^ 啊^ 乂 おの 



き ふん れ あ ひだ もや なが く かん 

議な氣 <H が- 力 ン 卜と 彼との 間へ 靄の やうに 流れ こんで 來 るの を 感ぜす に は ゐられ なかった。 

かう ぎ つく ゑ う-:' がく 4j い かう だう そと なが だ れ 

だから やがて 講義が すんで、 机 を 埋めて ゐた學 生た ちが ぞろぞろ 講堂の 外へ 流れ出す と、 彼 は 

いりくち いしだん うへ あし と あと く ぉほゐ いつ ぉほゐ あ ひか はらお 

入口の 石段の 上に 足 を 止めて、 後から 來る大 井と 一 しょに なった。 大井は 相不變 ノオト . ゾック 

だ .1 ところ ぶし やう りゃうて つっこ しゅんす ナ , ^ほ み わら だ 

の はみ出した 懷へ、 無精ら しく 兩手を 突 込んで ゐ たが、 俊 助の 顏を 見るな り にゃにゃ 笑 ひ 出して、 

あ ひだ ばん び じん けん ざい ぎゃくれ、: ひやう お 

「どうした。 この間の 晚の 美人た ち は 健在 か。」 と、 逆に 冷評 を 浴びせ かけた。 

一り お ほぜい がくせい せま いりくち りゃう 、しどん ち ふ ドこ 

二人の ま はりに は 大勢の 學生 たちが、 狹ぃ 入口から 兩侧ゅ 石段へ、 しっきり なく 溢れ出して ゐ 

しゅん すげ く せう もら ま、 ぉほゐ ことば こた 、しだん ひと , 

た。 俊 助 は 苦笑 を 漏した 儘、 大 井の 言葉に は 答へ ないで、 すん すん その 石段の 一 つ を 下りて I;;: つ 

, そ, こ め. ふ けやき なみき した で はじ ぉほゐ はう ふ . ^へ 

た。 そうして 其 處に芽 を 吹いて ゐる櫸 の 並木の 下へ 出る と、 始めて 大 井の 方 を 振り返って、 

^^ーみ き ゆうべ とうき やうえ き あ さぐ 、- つく な み 

「H?^ は氣 がっかなかった か、 昨夜 東京 驛で 遇った の を。」 と、 探りの 一 • 句 を 投げ こんで 見た。 

二十 二 

とう キ- やうえ き 

「へえ、、 束京驛 で?」 

お ほゐ らうば い い むし けつだん まよ め ,^-ぅくゎっ しゅん 

大井 は狼狠 したと, 云 ふよりも、 寧ろ 決斷に 迷った やうな 眼つ きをして、 狡^ さう に ちらりと 俊 



すけ かほ ろか め しゅんすけ ひや し せん はね かへ .4>れ きふ わる たいど 

7 助の 顔 を 窺った。 が、 その 服が 俊 助の 冷やかな 靦^ に 刎 返される と、 彼 は. J んに惡 びれ ない 態度で、 

6 

4 ぽく き よ く;:: やう 

「さう か。 僕 はちつ とも I がが つかなかった。」 と白狀 した。 

びじん み おく き 

「しかも 美人が 見送りに 來て ゐたぢ やない か。」 

いき ほひ し^2んすけ いちど き は かま お ほゐ そんぐ わい へいぜん 5 すわら ひ くちびる う.^ 

勢に 乘 つた 俊 助 は、 もう 一度 際どい 鎌 を かけた。 けれども 大井は 存外 平然と、 簿笑 を. 待に 浮 

ベながら、 

ぴ じん ぼく い おも へんじ た,?、, C い 

「美人 か—. I あり や 僕 の 1! まあ:^ い や。」 と、 思 はせ ぶりな 返事に 韜晦して しまつ た。 

r 一 體 どこへ 1:;: つたんだ?」 

? く へきえき し! S ん すけ こんど まった ぎ.^ う す しゃう めん ぉほゐ っゐ き; 3 う 

「あり や 僕の — 」 に 辟易した 俊 助 は、 今度 は 全く 技巧 を 拾て て、 正面から 大井 を追窮 した。 

r 國" 时 it まで。」 , 

「それから?」 

ひき かへ 

「それから すぐに 引返した。」 

「どうして?」 

h し, * じじ やう 

_ 「どうして つたって、 11 いづれ 然るべき 事情が あって さ。」 



468 



ときち や- 「じ はな に ほひ あま ふたり に, 5,^ う ,r-- り 5 と) - • $ „ 

この 時, 子の 花の 句が、 せた るく 二人の 鼻 を 打った。 二人とも^, ど 同時に * を ずげ て, ると、 

fl- ゝ 、 どう >r: つ まへ ところ ちゃう じ ど-つ r う 、 

^時 力もう-ティ ッ キン ソ ン の 銅像の 前に さしかかる 所だった。 ,子 は 銅像 をめ ぐった サ せの 卜; に 

6^ こ カリ あ ぞノ、 /■ ヽ わら さき ± な っビ 

麗ら 力な 日の 光 を 浴びて、 族々 とうす 紫の 花 を 線って ゐた。 

し 力 ;: J じ やう そ も そ なん き 

「だ 力ら さ その 然るべ き 事情と は 抑 も 何 だと 零い てゐ るん ヒ。 一 

おほゐ ゆ C わい r, ほ -ーゑ わら だ 

と 大井は 偸 快 さう に、 大きな 聲で笑 ひ 出した。 

1 一一と しんぱい をと こ しか じじ やう " 乞, J 二 …ノウ ン 

「つまらん 事 を 心配す る 男 だな。 然るべき 事情と 云ったら、 する にぬ るべき:? £1-^ ぢ やな C か C I 

しゅんす は に ど め ようい め く 

力 俊 助 も 二度目に は、 容易に 目つ ぶし を 食 はされ なかった。 

「いくら 然るべ き 事情が あつたつ て、 ちょぃと國」.^^^まで|:くだけなら、 in- も \ ;:, hi まで!: k~ ら. H く 

つたって 釘 ささうな もん ぢ やない か c」 

すると さすがに 大 井の 顔に も、 瞬く 間 周章した らしい;: 浙 色が i ゾた。 けれども,: だけ は l^f 

らナ が-つ ぜん - 

變 傲然と、 

まだべ つ しか じじ やう " 

一 これ 又 Si に 然るべき 事情が あって;^ つたの さ。」 . . 

俊 助 は 相手の たじろいだ 虚 につけ; - つて、 更に 調戯 ふやうな 惡問 ひの I を 慰めよう とした C が、 



おに ゐー はや けいせい ひ さと み せいもん えへ つ 1- 、ご.!" なみき した 

9 , ^、井 は 早く も 形勢の 非に なった のを覺 つたと 兄え て、 正門の 前から 核い. てゐる 銀杏の 並木の 下へ 

4. 一. 

mM る と 

「.?s どこへ 行く? M るか。 ぢゃ 失敬。 僕 は 圖書館 へ^って 1:;: くから。」 と、 巧に 俊 助 を 翻り k 

して、 さっさと 向う へ It つてし まった。 

俊 助 は その後 を 送りながら、 E 心 はす 苦笑 を:^ したが、 この 上 追つ かけて;;:;: つて ま ゼも、 泥 を 

ひ-り- „ - ん 、キー せいもん で でんしゃ ど ほ へ だ いくぶん だう みチ 

^力せ よ う と 興味 もない の で 、 正門 を 出る とまつす ぐに. W 車 通り を 隔 てて ゐる 郁文々 i の^ へ 

打った。 所が其虑 へ 足を^<れると、 うす 暗い 店の 奥に 立って、 古本 を 探して ゐた sf- がー 人、 靜 12 

彼の 方へ 向き つて、 . 

「〈.i.- 田さん。 軒く c」 と、 優しい 聲を かけた。 

二十 三 

路 3^ ど 常に 夕暮 の 様な 店 の 奥 の 乏しい 光 も、 まつ まなが;: \- 其 帽を顶 い た 藤 澤 を 力, け るに は h ルル 

LIf し 5 ん -.. 'け た ふれい ぽぅ ぬ ほ 一-りく さ しうる .t る ほ C あ ひご .r V う t^>^ 

■ だった。 俊 助 は 答禮の 帽を脫 ぎながら、 埃 臭い 周 園の 古本と 相 \ij のけば けばし い 贤::^ム とり EE に、 



ふしぎ たいせう かん 

不思議な 對照を 感ぜす に は ゐられ なかった。 

ふぢ さは だいえい ひゃくく わ ぜんしょ たな きゃしゃ かたて な t 、め けいよう ブ i- う かほ;? う た 

藤澤 は大英 百科全書の 棚に 華奢な 片手 を かけながら、 ,かしい とも 形容す ベ き 微笑 を 額 中に 漂 

はせ て、 

お ほゐ まいにちお あ 

「大 井さん に は 毎日 御會 ひです か。」 

いま いつ かう ぎ キ- キ J ところ 

「え \ 今 も 一 しょに 斷 義を聽 いて 來た處 です。」 

;ヒく ばんいら いいち どお め 

「僕 は あの 晚以 來、 一度 も 御 眼に か, -らな いんです が 11 」 

しゅんすけ こんどう ぉほゐ あ ひだ くしつ おな しろ どうじん い くわん けいじ やう "u-v, は くわす.' う モー 

俊 助 は 近 藤と 大 井との 問の 確執が、 同じく 『城』 同人と 云 ふ關係 上、 藤澤も その 渦中へ 格き こん 

V,-- リ r う ふぢ^\-は も こと さ いよ/、 やさ 1^ だ 

だの だら うと 想像した。 が、 藤澤 はさう 思 はれる 事 を 避けたい のか、 愈 優しい iil を 出して、 

ぼく はう に さんど げしゅく い あいにくい つる す たん お ほん 

「僕の 方から は 一 一三 度 下宿へ 行つ たんです けれど、 生憎 何時も 留守ば かりで 11 何しろ 人并 さん 

とほ ひやう ばん よう ひ*^ し 

は あの 通り、 評判の ドン ニン ュ アンです から、 その 方で 収 がない のか も 知れません がね。」 

だいがく いらい は じ お ほ し しゅ ズす は け ふ くろ も めん もんつき ,し 二ん 

大學へ はいって 以來、 初めて 大井を 知った 俊 助 は、 今日まで あの 黑 木綿の 紋附に そんな 脂粉の 

きてん めん ゆめ おも おも おどろ こ ゑ だ 

氣が 纏綿して ゐ ようと は、 夢にも 思 ひがけなかった。 そこで m や はす 驚いた 聲を 出しながら、 

だう らく も Q 

「へええ、 あれで 道樂 者です か。」 



だ,. -ら くもの と かく をん な せいふく ひと い, ズん ., , ^^^.^ 

「さあ、 迸樂者 かどうで すか —— 见に角 女 はよ く 征服す る 人です よ、」 さう 云ふ點 にかけ ちゃ. お 等 

7 

學校 時代から、 すっと 我々 の 先 W でした c」 

しゅんかん しゅんすけ あたま なか V- く^ き しゃ キ-ど ハ/ ケチ ,; I、 ■ ゐ- -ぉ ほ- 3 一 > す jf^i に * ) にュ 1- 

その 瞬 問 俊 助の 頭の 中には、 昨夜 汽車の 窓で 乎 巾 を 根って:^ た大 井の 姿が ありあり とぼ ひ 上 

き どうじ ふぢ V- は なに ぉほゐ ふく ところ い か げん ちう しゃう ど,、 ノっ ろしつ 

つて 來た。 と 同時に やはり 藤澤 が、 何か大 井に 含む 所があって、 好い加減に 巾 傷の を 弄して 

お も つぎ しゅんかん ふぢ V. は くぴ. H 二 ぴ せ; つ 

ゐ るので はない かと も S 心った。 が、 次の 隠 問に 膽澤 はちよ いと; is: を 曲げて、 媚びる やうな 微 5 人 を 

お < 

りながら、 

なん さいきん . き ふじ たい なかよ 、-, - -, AJ,.^ や-" tl:^* ボ _-っ- - 

「. ^でも;; 取 近 は どこかの レ ス トラ ン の 給仕と 大へ ん 仲が 好くな つて ゐる さう です。 御 £^ 樣羡^ に 

堪 へない 次第です がね。」 

しゅんすけ ふぢ さは い はなし むし ぉほゐ めいよ ため べん い に〕 ひ- 、ゝ, -0 . 

俊 助 は藤澤 がかう 云 ふ 話 を、 寧ろ 大 井の 名 譽の爲 に 辯 じて ゐ るの だと 云 ふ 事に 象が ついた も 

とも あた なか お ほん すがた いよく ふ ハンケ チ のうこう わか ぢ よせい ほひ はう 

れ と共に、 頭の 中の 大 井の 姿 は、 愈 その 振って ゐる乎 巾から、 濃厚に 若い 女性の たつを 放散せ すに 

はす まさなかった。 . 

ケ" 「そり や 盛です ね。」 

C さかん ぼく あ ひま ゆうくむ り 

J 「盛です とも。 ですから 俟 になん ぞ會 つて ゐる 暇がな いのも、 重々 無理 はな いんです おまけに 



472 



ゾ、 ゆ よ-つむ い せいやう けん おん- rv 、くわい きっぷ お かね もら ゆ 

伊 の 行く 用向き と :K ふの が、 あの 精 養 軒 の 音樂會 の 切符 の 御 金 を賀ひ に 行 くんです からね c」 

ハ.^ ザぶ メは い て 一ち か ちゃうば-つ V 、ゑ かみべ うし ふるほん あ と: ろ- <\ノ ^ げん ぺ r- ジ 

藤澤 はかう. ム ひながら、 乎 近の 帳場 机に ある 紙表紙の 古木 をと り 上げた が、 所々 好い 加, に n 

を 繰る と、 すぐに 俊 助の へ 表紙 を 見せて、 

はなぶ さ 一つ 

「これ も 花房さん が資 つ たんです ね。」 

し 5 んすげ し .1.-- スび 一う ,、 ちび る C ぼく い しき 

俊 助 は 自然 微笑が 替に 上って 來 るの を 意識した。 . 

サンスクリット ほん 

r 梵 字の 本です ね c」 

「ええ、 マハ アバ ラタ か 何から しいです よ。」 

二十 四 

「安田さん、 御客様で ございま すよ。」 

い V- よちう こも t ャ-二 レ, ぶ: いんく V, J> しゅんすけ なん へんじ 

かう 云 ふ 女中の 聲が 聞え た 時、 もう 制服に 着 襖へ て ゐた俊 助 は、 よしと か <^ とか 瞹眯な 返が を 

, , お, ノ,, げんき はしつ 一 だん たら したい い み 

して 置いて、 それから わさと 元氣 よく、 梯子段 を跻み 鳴しながら-、 ^卜へ 1:;: つた。 れ つて 兒 ると、 

グ ん;; 1;? ん >, ^し な. > まんなか わ え なが むらさ.? も つ こ -. 3 

T 么關の 格子の 中には、 眞屮 から 愛 を 割って、 柄の 長い 紫の パラソル を禱 つた 「初子が、 何時もより 



上路 



473 



い? て-つ...^ -, に J ぐ わ-. „,、>. う そ,., た-. -ャ -」: g ん すけ しふ;, J- うへ た *.■ ぶ ,r:- おび や 

は 一 曆潑 刺と 外 光に 背いて 佇んで ゐた。 俊 助 は 閑の 上に 立った 儘、 眩しい やうな まじに 脅かされ 

て、 ■ 

「あなた 御-一 人?」 と 尋ねて 見た。 

「いいえ、 -i^ 子さん も。」 

に? 一 み ^ V V.. ^.4^. 4: うし そと み ,A うし そ と -っ. -ノ; > ん. な しき > レ 

初子 は 身を斜 にして、 透す やうに 格子の 外 を 見た。 格子の 外に は、 一 1 に:: 止らない 御 散の 敷、 わ 

があって、 その 父 敷石の すぐ 外に は、 い 加減 古びた くぐり 門が あった。 初子の 視^ を 追った 肥 

VM^ :> - ) i:^ と P けな み お!^ こん あん たて じ i ^. もの ひ ひかり 

W は そのく ぐり 門 の 尸 を £ ^け 放した 向う に、 昆覺 えの ある 鎌と 藍との 堅 n の」. i5 物が、 日の 光 を 

袂に搖 りながら、 立って ゐ るの を 發 見した。 

「ち よ い と 上 つ て 、 難 茶 で も飮 んで 行きません か c」 

「難^う ご ざ い ます けれど —— 」 

: 柳.^ は媽 然と 笑 ひながら、 もう J 度 服 を 格子の 外へ やった。 

「さう です か。 ぢ やすぐ に 御 伴し ませう。」 . 

「始終 御迷惑ば かり かけます のね。」 . 



なに け ふ あそ からだ 

一 何、 どうせ 今日は 逃んで ゐる體 なんです。」 

しゅんすけ て あみあげ ひも ぐ わいた う うで ま、 む ざう さ かく =t.i う かたて つ, ,5- 

俊 助 は 手ば しこく 編 上の 紐 を からげ ると 外套 を 腕に かけた 儘、 無造作に 角帽 を片 乎に 插ん で、 

はつ こ あと もん と 

初子の 後から くぐり 門の 戶を くぐった。 

はつ こ おな むらさき も そと ま たつこ しゅんすけ すがた み 

初子のと 同じ 紫の パラソル を 持って、 外に 待って ゐた辰 子 は、 俊 助の 姿 を 見る と、 しなやかな 

て ひざ そろ ていねい もくれい かしら さ しゅんすけ ほ とん れいたん ゑし やく かへ かへ 

手 を 膝に 揃へ て、 叮嚀に 默禮の 頭 を 下げた。 俊 助 は 殆ど 冷淡に 會釋を 返した。 返しながら、 その 

れいたん あるひ たつこ ふく わい 。ん しゃう あた き どうじ またはつ こ め 

冷淡な のが 或は 辰 子に 不快な 印象 を與へ はしない だら うかと 氣づ かった。 と 同時に 义 初子の 肌に 

かれ しんちう うらぎ やさ おも よつ 二 ,心-り 

は、 それでも まだ 彼の 心中 を 裏切るべき 優し さが あり はしまい かと も 思った。 が、 初子 は 二人の 

おうたい とん ぢ やく な. -め むらさき ひら 

應對に は 頓着な く、 斜に 紫の パラソル を 開きながら、 

でんしゃ せいもん まへ お の 

「電車 は? 正門 前から 御乘 りに なって。」 

はう ちか 

「え. -、 あちらの 方が 近いで せう。」 

さんにん せま わう らい ある ゼ 

三人 は 狹ぃ往 來を步 き 出した。 

「辰 子さん はね、 どうしても ゲ日 はいらつ しゃら な い つて 仰 有った のよ。」 

しゅんすけ い め となり ある たつこ み だっこ かほ 5 す おしろい 

俊 助 は 「さう です か?」 と 云 ふ 眼 をして、 隣に 歩いて ゐる辰 子 を 見た。 辰 子の 額に は、 く 白粉 



け う i わら さ キ! は ん え い かげお と 

5 を 刷いた 上に、 紫の パラソルの 反映が ほんのりと 影 を 落して ゐた。 

4 わたし き ちが ひと ところ ゆ キ- み わる 

「だって、 私、 氣の 違って ゐる 人なん ぞの 所へ 行く の は、 ハ湫 味が 惡 いんです もの。」 

わたし へいき 

「私 は 平 氣。」 

孤 7 はくる りと。 ハ ラ ソル を 廻しながら、 

とき- 1,,- き ii- が み おも こと 

「時々 ぐポ違 ひに なって 見たい と 思 ふ i5i^ も ある わ。」 

かた 

「まあ、 いやな 方ね。 どうして?」 

「さう したら、 かう やって 生きて ゐ るより、 もっと いろいろ 變 つた 事が ありさうた: m がする の Q 

おも 

あなた さう m わ はなく つ て?」 

わたし わたし .^"は こと い たく 心」ん 

「私? 私は變 つた 事なん ぞ なくった つて 好い わ。 もうこれ で澤 山。」 

二十 五 

にった さんにん キ」 やく び やう ゐん おうせつしつ あんない そ こ しゅ たても C め-つら どかけ じゅうたん 

^ 新田 はま づ 三人の 客 を 病院の 應接 室へ 案内した。 其處 はこの 種の 建物に は 珍しく、 窓掛、 絲^、 

LJ 一 あぶら ゑ はなはだ ふ てう わ さう しょく うへ V- i- リ 

J ピアノ、 油綺 などで、 甚 しい 不調和 もな く 装飾され てゐ た。 しかも その ピアノの 上に は、 季節に 



, はや ば, ら けな お _r-:「"..J て ごろ iJ 、どう つ S さ ' - 3 i V V - - > r J 

はまだ早すぎる^^1藏の花が、 無造作に f 頃な 靑 銅の 箴へ插 してあった。 は 一? P に^子 を まめ 

I 、 ^-^^^1 ノ び や-つ ゐん をん しつ さ ,t ら / んた, S 

ズ 。と 俊 助の 問に i^〕 じて、 これ は 病院の 溫 i 至で 1 大 かせた gis だと: ぎ 答. した C 

:L 、 3 つ JMIlc* .21;;」, .J ;〕 こ, } はう 、む 、 あら, A じ しゅんすけ い らい お とほ 一い しん? やつ.. A く , 、しし 

マて,, C 力ら ith は :w 子と ii- 子との へ 向 いて、 豫め俊 助が 依頓 して^いた 通り、 精神-:^ 學に i 

す,。 一 般的 智識と でも 云 ふべき もの を、 齒 切れの 好い n 調で 說 限した。 ^は^^. bij^ 驟 として、 

M じ £K チ 校に ゐた 時分から、 §a ひの 文 學に與 味 を 持って ゐる 1^:4- つた。 だから その ま i の W 

しゅぐ 、ヒ いし /-ゾ やうし や じつれ * 

にも 種々 の 精神病 者の 實例 として、 ニイ チェ、 モォ。 ハッサン 、ポオ ドレ H ル たどと.. ぶふ tti が、 

一 冉 ならす 引き出されて 來た。 

: 私 子 は 熱., -に その 說明を 聞いて ゐた。 M 子 も ii— これは^ 終^ I がちだった が、 やはり^ な 

.^i.- 、つ," , .5 ん おも し! 5 ん. * タけ こ-ろ そこ ± う ふた J ちう、 > ^- »- »- . 

だけ は 感じて ゐる らしく 思 はれた。 俊 助 は 心の底の 方で、 二人の 注意 を惹 きつけて ゐるぁ ■ 

新 tE が 羨し かった。 が、 ニ人に對する新阳の態度は殆ど^$^§ぎとも&^^すべき、 ■ifei な 

ものだった。 同時に 又綺 の背廣 に 地味な 襟 飾 をした g の K も、 ま iils^ の ま獻 まの^^ を ま 1: す 

ふしぎ ほど そ??、 で き あ 

るの が、 不思議な 程、 素朴に 出來 上って ゐた。 

一 , ^だ 力 yi^ 御,!^ を 4^ つて ゐる內 に、 自分 も I 讽が 違って ゐる やうな jj^ がして 參 りました。 I 



丌 ? i^? ^明が 一段落つ いた 所で、 初子 はこと さらに 眞面 目な 額 をしながら、 ため, uhj をつ くやう にかう 

11^ つ た。 

「いや、 實際 嚴密な 意味で は、 ^通^^liで^ってゐるぉぼレiまs^l^t,Jのll.^^4、 ?^^!!っ 

きりして ゐな いのです。 況ん やかの 犬才 と稱 する ん になる と、 まづ ^ひの If に、 0^ 

„w がない と 云っても 差 支へ ありません。 その #-贤 のない 點を 指摘した のが、 御 承知の m り ロム ブ 

口 ゾォの 功^です。」 

「僕 は 差別の ある 點も 指摘して 赏 ひたかった。」 

しゅんす li よこ あ ひ じょうだん い ぎ $ を た : つ だ ft -, 

かう 俊 助が 横 合から、 冗談の やうに 與議を 申し立て ると、 は 冷 かな 服 を こちらへ ぼけて、 

「あれば 勿論 指摘した らう。 が、 なかった の だから、 やむ を!: ない。」 

「しかし 天才 は; 大才 だが、 氣遠ひ はや はり 氣違 ひだらう。」 

い さ ベ つ こだい まう ざう き や-つ ひがい まう r うや やう あ ひだ 

「さう 云 ふ 差別なら、 誇大妄想 狂 と 被害 妄 想 狂との 間に も ある。」 

ん" 「それと これと 一し よに する の は亂暴 だよ。」 

上 いつ なるほど てんざい エフ イシ ェン卜 き Ji-;- ヒし V.: フィン V.- ン卜 ちパ 

「いや、 一 しょに すべ きもの だ。 成程 天ネは 有 爲だ らう。 狂人 は Jta:. 爲ぢ 5- な ハ こ- L:^ ひな 、 。 



さべつ にんげん かれら しょぎ やう あだ . ^ち さべつ しぜ 0> そん さべつ 

が、 その 差 训は人 問が 彼等の 所行に 與 へた 價爐の 差別 だ。 自然に 存 して ゐる 差別 ぢ やない。」 

にった ぢ ろんし しゅんすけ ふたり をん な ぴ せう かう くわん くち つぐ 

新田の 持論 を 知って ゐる俊 助 は、 二人の 女と 微笑 を 交換して、 それぎ り 口 を んで しまった。 

r^^fc ほんき かれ じ しん ftvl け ごと うす わら ひ くちびる ゆがみ まじめ 

と、 ^田 もさす がに 本氣 すぎた 彼 自身 を 嘲る 如く、 薄 笑の 脣を 歪めて 見せた が、 すぐに 眞:. gmi な 

へう じ やう かへ さんにん かほ み わた 

1* 情に 返る と、 三人の 顏を 見渡しで、 

ひと ヒほ .*) あんない き がる い す た あが 

「ぢゃ 一通り、 御 案 5: しませう。」 と、 祭輕く 椅子から 立ち上った。 

二十 六 

さんにん はじ あんない ,ひ やうし つ そくよ つ ゆ れいち J:^ う ねっし-? ひ 

三人が 初めて 案內 された 病室に は、 束髮に 結った 令嬢が、 熱心に ォ. - ガン を 彈 いて ゐた。 オル 

i へ てつが うし まど まど ち /、 ひ.^ り ひや れ、; ? やう ほそおもて て 

ガンの 前に は鐵 格子の 窓が あって、 その 窓から 洩れて 來る 光が、 冷やかに 令嬢の 細面 を 照らして 

, しゅんすけ び やうし つ とぐち た まど そと ふさ しろつ ばき. H な なが とき .t -、. c う 

ゐた。 俊 助 はこの 病室の 戶 口に 立って、 窓の 外 を 塞いで ゐる白 椿の 花 を 眺めた 時、 :!: となく 西洋 

あまでら い こ,, ろ 

の 尼寺へ でも 行った やうな 心 もちが した。 

1 ノ なが 0, あるし ざんか おちゃう なん えんだん と>-0 はっき う 

「これ は 長 野の 或 資産家の 御嬢さんで すが、 何でも 緣談が 調はなかった ので、 g ね 狂した の だと か 

い こと 

云 ふ 事です。」 



9 「御 可 一:^ さう ね。」 

7 

4 たつこ ほそ こ ゑ さ、 や い はつ こ どうじ やう い れし . ^う キ- しん み 

辰 子 は 細い 聲で、 ^くやう にかう 云った。 が、 初子 は 同情と 云 ふよりも、 寧ろ 好奇心に 滿 ちた 

め た.^ や れぃぢ やう よこが ほ み 

眼 を 輝かせて、 ぢ つと 令嬢の 横; ^え」 見つめて ゐた。 

「オルガン だけ を 忘れない と 3- える ね。」 

ノ、. C んじゃ み 1 ^ ざいほう じ こと んブ 、み 

「オルガン ばかり ぢ やない。 この 忠者 は畫も 描く。 裁縫 もす る。 字なん ぞは 殊に 巧 だ。」 

にった しゅんすけ い さんにん と ぐち のこ お し-つか そば あゆ よ 

新田 は 俊 助に かう 云って から、. 三人 を戶 口に 殘 して 置いて、 靜に オルガ ン の 糊へ 步み 寄った。 

れ いぢ やう き ごと い ぜん けんぱん £ぴ はし つ V 

が、 令孃 はまる で それに がっかな いかの 如く、 依然として 鍵盤に 指 を 走らせ 總 けて ゐた。 

こんにち I ご き ぶん いか^ 

「今 n は。 御 氣分は 如何です?」 

にった に さんと くり かへ と れい ぢ やう まど そと しろ つばきむ, 4 あ ま、 ふり かへ け しき 

新田 は 二三 度 繰返して 問 ひかけ たが、 令 雄 はや はり 窓の 外の 白 棉と向 ひ 合った al、 振 返る;. 湫色 

み につ だ , ^る . ^た て おそ いき ほ はら 

さへ 見せなかった。 のみなら す、 新田が 輕く 肩へ 手 を かける と、 恐ろしい 勢 ひで ふり 拂 ひながら _ 

ゆび ま ちが び やうし つ くうき いん-つつ キ- よく ひ 

それでも 指 だけ は 問 違 ひなく、 この 病室の 空 に ふさ はしい、 陰 ま-な 曲 を彈き やめなかった, - 

さんにん いっしゅ ぶきみ かん むごん *5、 へや そと しりぞ 

ん 三人 は 一 種の 無 氣味さ を 感じて 無言の 儘、 部屋 を 外へ 退いた。 

路 

h け ふ-ご き げん わる き む おも ほか あい.!:: う をん な 

_ 「今 口 は 御機嫌が 惡 いやう です。 あれで も氣が 向く と、 思 ひの 外 愛^のある 女なん です が。」 



480 



にった おい. ちゃう r やうし つ と た せう しつ 5 う 二;^ J ? 

ぎ E は 令嬢の 病室の 戶を しめる と、 多少 失 Sil したら しい 聲を 1,1 したが、 -ん? は その. すぐぎ の!^ 

やと あ 

屋の戶 を 開けて、 , 

1P ^-^ , さんにん きゃく さしまね 

「祸覽 なさい。」 と、 二人の 客を麾 いた。 

み そこ ゆどの <^ハ.-->- 、や 、 

はいって 見る と、 其處 は? _ぽ 殿の やうに 床 を 叩きに した 部屋だった。 その. n ぎの まし W によ、 

I けた やうな f が f あって、 その i のぎ は、 が あつ 滅 へて ゐた。 しかも そ 

の 穴の 一 つに は、 坊主頭の 若い 男が、 カァ キイき の i どら m だけ!: して、 赌を 1^": てた やうに t 人れ 

てあつた。 

くわん じ や あたま ひや と ころ だ ど ;モ L . 

「これ は 者の 頭 を 冷す 所です がね、 唯ぢゃ あばれる i^l あるので、 あ あぜ ふ^に 絕. -; <れ て!^ 

くんです。」 

成程その5^^はぃってゐる|^では^_^のぉが峋ぃ灣になって、 1^ えす^ S ^威のお へ^れぎ ちて 

をと こ あ を かほ i: ぐで-つかん み I ク 

ゐた。 が、 その 男の 青ざめた 顔に は、 唯 穴」 問 を 見つめて ゐる、 どんより した, が ある だけで、 iy 

の Ti^ 情 も 浮んで はゐ なかった。 俊 助 はき を ま"り齔 して、 お i 广なパ 仏-仁ち に^!^ され, した。 

1 / ざズ 17、 かんごく やくにん てん li.- やうん C . に- 

「これ は 残酷 だ。 監獄の 役人と 癒 狂院の &I 者と にや、 なる もん ぢ やない。 一 



きみ り さう か む かし じんたい 1 いい^う じんだ う もと , こう f き 

1 「君の やうな 理想 象が、 昔は人體解剖を人道に悖るとー!^って攻擊したんだ。」 

「あれで 苦しく は 無 いんで せう か。」 

一 無論、 苦しい も 苦しくない もな いんです。」 

はつ こ まゆ ひと うさ れいぜん あな なか をと こ み おろ たつこ ... レ S,J--V.C 

初子 は 眉 一 つ 動かさす に、 冷然と 穴の 中の 男 を 見下して ゐた。 辰 子 は 11 ふと^が つ いた 俊 服 

はつ こ め てん とき へや なか いつ ま V 一つ こ す!^ に 一 ^ 

が,?^ から 服を轉 じた 時、 もう その 部屋の 中には 何時の間にか、 辰 子の が 見え なくなって, Q た。. 

二十 七 

しゅんすけ ?1 くわい や さき はつ こ にった ちと つ 1 一 * , ジ つ .フ 5 --、 A- n 

悛助は 不快に なって ゐた 矢先 だから、 初子と 新田と を 後に 殘 して、 うす 1 ク麟 卜へ ず〕 恥じた。 

そ こ だっこ と はう く しろ かべ せ .ffl L こ、々 

と ハ處に は 辰 子が、 途方に 暮れた やうに、 白い 壁 を 背负 つて 佇んで ゐた。 

き み わる , 

「どうした のです。 氣 味が 惡 いんです か。」 

た^^こ み-つく め あ うつ だ しゅんす ナ ん. ま み 

辰 子 は 水々 しい 眼 を舉げ て、 訴 へる やうに 俊 助, の-新 を 見た。 

路 「い \ え、 可哀 さうな の。」 . 

ijll しゅんすけ おも ぴ せう 

. 俊 助 は 思 はす 微笑した。 



482 



.「 僕 は不! 恥 先です。」 . 

「可 f:^ さう だと は 御 思 ひに ならな くって?」 

「可 哀さ うか どうか わからな いが —— 鬼に 角 あ. -づ K ふぶ 間が、 あ、 して ゐ るの を 見た くないんで 

す。」 . 

ひ A- こと おかんが 

「あの人の 事 は御考 へに ならない の。」 . 

メメェ ざ じぶん 1 一と かんが - 

「それよりも 先に、 自分の 事 を考へ るんで す。」 

たつこ あ を じろ , -、. - 、び せう かげ 

辰 子の 青白い 頰に は、 あるかない 微笑の 影が さした。 

はくじ やう かた 

「薄情な 方ね。」 

は: じ やう し か は じ ぶん くわん ぼい こと 

「薄:^ かも 知れません。 その代りに 自分に 關 係して ゐる 事なら —— 」 

ご しんせつ 

一 # 親 2JB^ ?」 

其處 へ 新田と 初子と が 出て 來た。 

こんど び やうし つ い み 

「今度 は —11 と、 あちら の 病室 へ 行つ て 見ます かご 

にった たつこ しゅんすけ そん ャぃ まった わす ふたり i へ セ!, ぺ こ 々ほ 

新 K は 辰 子 や 俊 助の 存在 を 全く 忘れて しまった やうに、 さっさと 二人の 前 を: 通り越して、 t 近い 



らう-^ あた と ぐち はう ちる ゲ よ つ こ ん-^^こ > ;3 * t 

^ 廊下の つき 當り にある 戶 口の 方へ 歩き 出した。 が、 初子 は 辰 子の 織 を 見る と、 心 もち 農、,^ を ひ 

4 

そめて、 

「どうしたの。 額の 色が 好くな くって よ,^」 

「さう。 少し 頭痛が する の。」 

た 一,^ こ, !"" い、 一 is : た てのひら ひた ひ あ つ つれ. 

辰 子 は 低い 聲 でかう 答へ な が ら 、ちょいと 掌 を 額に 當 てた が、 すぐ に 何時もの はっき り した で 、 

「行き ませう。 3: でもない わ。」 

..y^r-^ スな IJ^/、 こ, んが ご Co らう か ある だ 

三人 は呰 ;々 の 事を考 へながら、 前後して うす ぃ廊卜 をルき 出した。 

やがて」 切 卜の つき 常り まで 來 ると、 新田 は その 部屋の 戶を n けて、 後の:;; 人 を 扳"; ^りなが、,:、 

.^1^ 1- てまね 二、 じう だう だう ゲ- やう おも ひろ 、なじず 。> やつし つ 

1 街覽 なさ, >」 と 云ぶ ザ 貫 似 をした." 此.. I は,^ 道の 迸 場 を 思 はせ る、 廣ぃ 唇: 敷の 病-. だった。 さう 

' - - - た,.; み に じふ にんち,, をん な くわん じ や ぃナ, -5- リ ね卞み ま-っ じ *i 今 も つ r 一-リザん 1st., リ 

して その 疊の 上に は、 ざっとニ十人近ぃ女の忠^^が、 一様に;:^ の 棒: S のお 物 を あて 雜 然と ii?. 'の 

-, 51 ご 、 しゅんすけ たが てん *, ど ひ t もと ネ- や-つじ C * ナ-だ ,? 、 h た レーキ. * た .;■ 

如く 動 レてゐ た。 俊 助 は 高い 天窓の 光の: トに、 これらの 狂人-ひ 1 團を见 渡した 時、 又 さっきの. か 

快な 感じが、 カ强く 蘇.^ 一って 來 るの を 意識した。 

なた かよ 

. 「ル U 仲好く して ゐる わね。」 



はつ こ 力 ちく み め となり た V 一つ こ ざ、 や だっこ しづか c な-つ 

初子 は 家畜 を 見る やうな 眼つ きをしながら、 隣に 立って ゐる辰 子に 攝 いた。 が、 辰 子 は 靜に額 

くち だ なん こた 

いただけで、 口へ 出して は、 何とも 答へ なかった。 

, 「どうです。 中へ はいって 見ます か。」 

にった あざけ び せう うか さんにん かほ み ま は 

新 W は 嘲る やうな 微笑 を 浮べて、 三人の 顏を 見廻した。 

ぼく ま ぴら 

「僕 は 眞っ平 だ。」 

わたし たくさん 

「私 も、 もう 澤 山。」 

たつこ い いまさら と いき も 

辰 子 はかう 云って、 今更の やうに かすかな 吐,: In^ を:^ らした。 

「あなた は?」 、 

はつ こ いき/、 ち け な r みなぎ こ につ, f, 一 かま み 

初子 は 生々 した 血の 氣を頻 に 漲らせて、 媚びる やうに ぢ つと 新 K の 観 を 見た。 

「私 は 見せて 頂きます わ。」 

二十 八 

しゅんす 一:; たつこ お 5 せっしつ cs かへ ひかへ み い, y ん ひ 

俊 助と 辰 子と は、 さっきの 應接窒 へ 引き返した。 引き返して 見る と、 以前 はささなかった 日の 



I 



ひかり な、 め まど, 力 ラ ス い とほ ちし お ひ r しかり む 

5 光が、 斜に窓 術 子 を^ 透して、 ピアノの 脚に 落ちて ゐた。 それから その 日の 光に 蒸された せゐか 

4 つ £ ら t な まへ いっそう お もく る あま に ほ t な Y いご れい-ちゃう ひ 

壶 にさした ま £ts の 花 も、 前より はー曆 重苦しく、 甘い 勻ひを 放って ゐた。 は 取 後に あの 令嬢の II: く 

てんきやう ゐん たても Q と いき とき-^ V?- つか わか -? 三 き 

オルガンが、 まるで この 癒 狂院の 建物の つく 吐, iE- の やうに、 時々 廊 卜の 向う から 問えて 來た。 

お y やう ひ 

「あの 御孃 さん は、 まだ it いてい らっしゃる のね。」 

たつこ まへ た ま、 め とほ ところ た よ しゅんすけた ば こ ひ 

辰 子 は ピアノの 前に 立った 儘、 うっとり と^を 遠い 所へ!: § は せた。 俊 助は堙 へ 火 をつ けなが 

むか あ ながいす つか 二し おろ 

ら、 ピアノと 向 ひ 合った 長椅子へ、 ぐったりと 疲れた 腰をド して、 

しつれん くら ゐ き ちが ひと - ごと つぶや たつと しま め しゅんすけ かほ 

「失敬した 位で、 氣が違 ふ もの かな。」 と、 獨り 語の やうに 眩いた。 と、 辰 子 は 靜に服 を 俊 助の 額 

うつ 

へ 移して、 - 

ち が お おも 

「遠 はな い と 御 思 ひに なって?」 

ぼく ちが 

「さあ 僕 は 違 ひさう もありません ね。 それより あなた はどうです。」 

わたし わたし 

「私? 私 はどうす るで せう。」 

たつこ たれ たづ い きふ あ を じろ ほ. >- ちい-つ め し- C た ぴ うへ 

辰 子 は 誰に 尋ねる ともなく かう. 云った が、 急に 蒼白い 頰に 血の 色が さすと、 服 を 白 足袋の 上に 

fq おと 

J 落して、 . 



485 



「わからない * わ。」 と 小さな 聲を 出した。 

嫂に 、ひ; ベぐ ち , -; ^」ら た i-f くねん たつこ すがた なが かる てうし 

俊お は 金口 を吻 べん 傻 k« く は 唯, 然と 辰 子の 姿 を 眺めて ゐ たが、 やがて わざと 輕ぃ 調子で、 

「御:.^ 心なさい。 あんた なん ぞは 失戀 する やうな 事 はない から。 その 5^ り —— 」 

た-〕 こ また しづか め あ . しゅん ダけ まゆ あ ひだ み 

脱 子 は 又 靜に眼 を舉げ て 俊 助の 眉 の 問 を 見た。 

「その代り?」 

「失 戀 させる かも 知れません。」 

し U スすけ じょうだん い ことば あんぐ わい ま じ め てうし お き どうじ 

俊 助 は 冗談の やうに 云った 言葉が、 案外 眞 面目な 調子 を帶 びて ゐ たのに;^ がつ いた。 と^ 時に 

*H じ ん. いやみ は 5>ハ おも 

眞面 M: な だけ、 それだけ 厭味な の を 恥し く 思った。 

「そんな 辜 を。」 , 

子 はすぐ に 服 を::^ せた が、 やがて 俊お み 方へ 後 を, :!: ける と、 そっと ピアノの ー盍を 11 けて、 ま 

るで 一 一人 をと りまい た、 S 问^ の^ ひの する 沈默を 追ひ拂 はう とする やうに、 一 一つ 三つ 鋤 盤 を 打つ 

た I それ は 打つ 指に 力がない のか、 いづれ も 音と は 思 はれない 程、 かすかな 昔 を 響かせた のに 過 

, V ) : し け ぶと き 七 も ひ つ-ろかれ けいべつ セン チイ ズンタ リズム かれ じ しん 

ぎなかった。 が 悛助は その 皆 を 聞く と共に、 = 頃 彼の: i: 蔑す る 感傷主義が、 彼 {w, せ を も すん 



上路 



487 



七ら い しき い しき もちろん かれ き けん い しき V.-- っゐ 

で の 事に 捕へ やうと し て ゐ たの を 意識し た" こ の 意識 は 勿論 彼に と つ て 、 危險 の 意識に は 相 遠な 

かれ こ X ん きけん * へぬ か い まんぞく " V ら 

かった。 けれども 彼の 心に は、 その 危險を 免れた と 云 ふ、 滿 足らし いもの は 更になかった。 

しば。 はつ こ にった いつ おうせつしつ すがた あら は とき しゅんすけ い つ くわいく-;: つ 

暫くして、 初子が 新田と.: しょに、 應接室 へ 姿 を 現した 時、 俊 助 は 何時もより 快活に、 

はつ 二 く. C んじゃ ^ こ ,^1 

「どうでした。 初子さん。 モデルに なるやうな 忠 者が つかりました か。」 と _【= ^を かけた。 

「え、、 御薩樣 で。」 

は? 1 . にった し §ス^ け .V うぶん あ う ま 

初子 は 新 E と 俊 助と に、 等分の 愛嬌 を ふり 撒きながら、 

「ほんた うに 私爲 になり ました わ。 -i^ 子さん もい らっしゃれば がいのに。 そり や 可?: 《さうな 人が 

い J やぶ 二 ど^ おも ひレ」 リ -r- み はう すわ 

ゐ てよ。 :e 時で も 御腹に 子供が ゐ ると 思って ゐ るんで すって。 たった 一人、 隅の 方へ 應 一って、 子 

守 ばかり 歌って ゐ るの。」 

二十 九 

初子が 辰 子と 話して ゐる 問に、 新田 はちよ いと 俊 助の 肩 を 叩く と、 

「おい、 ^に 二つ 見せて やる 物が ある。」 と 云って、 それから 女た ちの 方へ 向 きながら、 



「あなた 方 は此處 で、 ^く 御が t になって P さい。 や ^;! でも ijij げ ますから。」 

しゅんすけ にった 、 とま ちと リぉ 

俊 助 は 新 £ の 云 ふ 遇り、 おとなしく その後に ついて、 ^るい 麟^ 1^ からうす if い へ!: ると、 

こん. ゾ , はんたい ほうかう ひろた X み じさ, ひやう \ つ ゆ : 

今度 はさつ きと 反對の 方向に ある、 廣ぃ疊 敷の 病室へ つれて 行かれた。 すると *4-il にも f うと 一 

ねナみ うじ ま き をと こ くわん じ や に じふに んぢか 

じ やうに 鼠の 棒縞 を 着た 男の 息 者が、 二十 人 近く も ごろごろして ゐた。 しかも そのまん:^ に は、 

髮 をまん 中から 分けた 若い & 1、 SVJ^ いて、 i_t4> らして、 iii: を 編が やうに ま-かしながら、 

怪しげな 踊 を 踊って ゐた。 新田 は^, ひっぱって、 きん くその ■ おの |f> t いって- 广 つた: A、 

D ,i - や マ だ ■ すわ ひとり らう じ ノ? 

や 力て 膝 を 抱いて 坐って ゐた、 一人の 老人 をつ かまへ ると、 

なに か は こと もっとも ご 

一 どう だね。 何か變 つた 事 はない かい。」 と、 尤 らしく 問 ひかけ た。 

「ございま すよ。 何でも 今月の 末までに は、 ; lil, んが I きっする さう で、 II i ば I も そのぎ ©1 

^^A\ うへ CJ あつま 

に、 神々 が 上野へ 御 集りに なった やうで ございました。」 

老人 は 目脂 だらけの 服 を 見張って、 ひやう にかう 一が つた。 が、 ,1^ は その^へ には輕 る, 

しき しゅんすけ はう ふり か、 

色 もな く、 俊 助の 方 を 振 返って、 

1 あざ は こ,^ だ 

一 どう だ。」 と、 嘲る やうな 聲を 出した。 



しゅんすけ び せう もら たん こた につ * こ また ひとり 

9 俊 助 は 微笑 を:^ したば かりで、 何とも その 「どう だ」 に は 答へ なかった。 と、 新田 は 又 一人、 こ 

8 

めがね かん つよ をと こ まへ い 

れは -1 ッケル の 服 鋭 を かけた、 癎の强 さうな 男の 前へ れつて、 

いよく. A うわ でう やく てう いん きみ ひま 

「 愈 講和 條 約の 調印 も すんだ やう だね。 君 もこれ からは^になる だら う。」 

をと こ いんうつ め あ にった かほ み 

が、 その 男 は 陰 i- な 服 を舉げ て、 ぢろ りと 新田の 顏を 見ながら、 

- ひま ぽく じしょく ちゃうき よ 

「とても 暇に はなり ません よ。 クレマ ンソォ はどうしても、 僕の 辭職 を聽 許して くれません から 

ね。」 

にった しゅんすけ かほ み あは そ こ た i- よ ぴ せう みと またもく ねん ぴゃ ろしつ すみ ほ うつ 

新田 は 俊 助と 顏を 見合せ たが、 其處に 漂って ゐる 微笑 を 認める と、 又默 然と 病室 一の 隅へ 步を移 

ふたり み ひん い はんばく をと こ 二. i>5 

して、 さっきから ぢ つと 二人 を 見つめて ゐた、 品の 好い 半白の 男に 聲を かけた。 

「どうした。 まだ 細君 は歸 つて 來 ないかね。」 

「それが です よ。 妻の 方 ぢゃ歸 りたがって ゐ るんで すが、 11 」 

くわん じ や い .^,: ふ うたが め しゅんすけ む きみ わる ほど しんけん てうし 

その 者 はかう 云 ひかけ て、 急に 疑 はし さうな 眼 を 俊 助へ 向ける と、 味の 惡ぃ 程眞劍 な調于 

路 になって、 

上 せんせい たいへん ひと つ おい ひやう ばん をん な わたし さい 

「先生、 あなた は 大變な 人 を 伴れ て 御出でな すった。 こり や あの 評判の 女たら しです ぜ。 私の 



を ひっかけた 11 」 

「さう か。 ぢゃ 早速 僕から、 i.I 察へ 引き渡して やらう。」 

;,; つた む てう さ てうし あ み たび しゅんすけ はう ふ かへ 

新田 は 無造作に 調子 を 合 はすと、 三度 俊 助の 方へ 振り返って、 

一 F ;、 この 連中が 死んだ 後で、 ^髓を 出して 見る とね、 うす 赤い ^ の 重なり合った 上に、 まるで. 

^-$3 しろみ もつ び さきほど 

卵の,: n 味の やうな 物が、 ほんの 指先 程、 かかって ゐ るんだ よ。」 

「さう かね。」 

、俊 助 は 依然 と し て 微 笑 を やめな か つ た 。 

?,' ん だいざん ば,、 はつ だ じしょくと ドは をん な だいがく 亡, - みな しろみ 

「つまり 磐梯 山の 爆發 も、 クレマ ンソォ へ 出した 辭職屆 も、 女たら しの 大學 休; も、 ^^=その,::^の 

やうな 物から 出て 來 るんだ、 我々 の 思想 や 感情 だって. ! まあ、 他 は 推して 知るべし だね。」 

にった ボ -zrl さ いう うごめ ねす み ? うじ ま み ま は たれ い 二と ナん くわ 

新田 は 前後左右に 靡いて ゐ る- M の 祷綺を 見廻しながら、 誰に と 云 ふ 辜 もな く、 を 吹き かけ 

て ま れ 

る や ラ な 手 眞似 を. し た 。 



がつ 二 、つ/」, つ, - ,-?.、 つ, でん: や はんめん はる S ふ ひ お し. つか ていり-つば う, ご i--- 

I お 子と- R 子と を 載せた 卜;, i^l:;: の 電車 は、 半面に 春の 夕日 を帶 びて、 靜に停留場から動き.^.1し,へ